救出編
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ユーリが出て行ってかれこれ一時間位は経っただろう
その間俺はみんなにこれまでの事を更に詳しく聞いたり、おっさんを一発殴ったり(みんなケジメとしてやったしな)した後、俺はまた街の様子を見にと情報集めをしていた
「ワン!」
ヨーデル様に様子を伺いに行こうとしていると、街の入り口からラピードの声が聞こえた
「ラピード! お前、ユーリと一緒じゃなかったのか?」
俺は足下に寄って来たラピードに目線が合うようにしゃがみそう聞くとラピードは俺を見て言葉を続ける
「ワンワンワンワーン」
「・・・そっか」
俺はラピードの言った事を理解して頭を撫でてやった
ユーリは今、クオイの森ん中にいるらしい
けど今はラピードに見張りを任せて少し休んでいるらしい
デイドン砦は騎士団や評議会の連中が帝都攻略の為使ってるから、クオイの森を抜けて帝都を目指しているのだろう
ユーリが眠りについたのを見計らってラピードは俺達の元に戻って来た
いや、正確には知らせに来た、の方が正しいだろうな
「お前はユーリ一人に背負わせたくないんだな」
「ワン!」
それは俺も同じだった
けど、あん時に俺が一緒に行くと言うのはユーリのケジメに反する事だった
だからそう言わなかったが、ヨーデル様に様子を伺った後、俺も直ぐに帝都に向かうつもりだったから
(こっちだって、アレクセイ の計画に大事な妹 を使わせるワケにはいかねえからな)
そう思っていると、ラピードが俺の顔を除き込んできた
「ワウゥン?」
「ん? 何でもねえよ。フキ、カロルの様子はどうだ?」
「もうだいぶ熱も引いたみたいだ。今は起き上がってるとこだ」
「そっか。じゃあ宿に戻ってあいつ等連れてユーリの後追い駆けるか」
「ワン!」
俺の呼び掛けにフキは答え隣に現れ、ラピードの返事を聞くと俺達は宿に戻り出した
90.crossroad
宿に戻って来た俺は直ぐに部屋に向かった
部屋の扉を開けると一斉に視線が向けられた
「あら、お帰りなさい」
「ラピード! に、あんたはフキ」
「セイ兄の相棒、じゃったの」
「どうしたのよ、勢揃いで」
「いや。それよりカロル、もう大丈夫か?」
俺は扉を閉めてカロルの側に行く
「うん、今薬も飲んだから大丈夫だよ」
「そっか」
「それより、ユーリは?」
その言葉に一同はまた眉を寄せる
「青年が出て行ってもう一時間位は経ってるわね」
「ラピードと一緒じゃなかったの?」
「ワンワン!」
ラピードは俺達を見て吠え、そして扉へと視線を向ける
「えっと、何て言ってるの?」
この中で唯一言葉が解る俺とアスラとフキに視線を向ける
「着いて来いってさ」
「着いて来いって・・・何処に?」
「ユーリがいる所だよ」
「ユーリがいる所って・・・?」
「・・・やっぱり」
カロルが疑問符を出しているとジュディスがそう小さく呟いた
「・・・・」
「青年、一人で行ったのね」
「エステルの・・・あの言葉を果たしに?」
リタの言葉に俺はやっぱりなと思った
アスラの話しじゃ、フィエルティア号が吹っ飛ばされる時にエステルはユーリ達に聞こえるか聞こえないか位の声で「殺して」と言ったらしい
それは勿論ユーリにも、アスラにも聞こえていた
その言葉がちゃんと聞こえていなかったのはカロルだけだったようで、エステルが何か言っていた・・・と前に聞かれたらしいが、誰一人答えようとしなかったそうだ
「・・・ああ」
「セイ、あんたまさか知ってて行かせたの!?」
「ああ」
俺が頷くとリタが勢い良く俺を見てそう言い、また頷いた
「何で!!」
「ユーリのケジメを曲げない為だよ」
俺の代わりに答えたのはアスラだった
「あいつは昔から自分で重荷を背負おうとする。それは今も変わんないが」
「だからってあいつ一人に全部背負わせようとは思ってないぜ」
「え?」
フキの言葉に食って掛かろうとしていたリタに俺はそう言うと前に踏み出そうとしていたリタの足が止まった
「そうさせない為にラピードは戻って着た」
「ワン!」
「ラピード・・・」
「それに、どのみち後でユーリの後を追うつもりだったしな」
「うん」「ああ」「ワン!」
俺は笑って言うとアスラもフキも笑って答え、ラピードも同意の声を上げる
「くっははっ。流石セイ、一本取られたわ」
レイヴンは一息笑うと立ち上がって俺の所に移動して肩に手を乗せた
「俺様達そこまで考えてなかったわ」
「本当。ユーリの行動を怪しんではいたけど、そこまで深くは考えてなかったわ」
「幼馴染みのセイならではの考えだよね」
「あたし等だったら、考えなしでそのまま追い駆ける所だったし」
「付き合いが長いからこそ、解る事じゃの」
思っている事を全部言った訳じゃないが、その先の意味まで理解したのか、レイヴン達はそう言う
「リアとエステルを助け出すのは俺達の仕事だろ。なあ首領?」
俺はそう言ってカロルを見るとカロルはベッドから降りて俺達の前に来た
「うん。ボク達凛々の明星の仕事だよ!」
「ワン!」
カロルの言葉に俺達はまた口角を上げて笑った
「じゃあ行きましょうか」
「ええ。あのバカ、見つけたらただじゃおかないんだから」
「リタ姐、目が恐いのじゃι」
「今の魔導少女に近付いたらこっちに被害が来るわよ」
「カロル、まだ無理すんなよ」
「うん」
「さてと、じゃあ行くか」
「ワン!」
各々自分の荷物を持って立ち上がり、ラピードを先頭にして俺達は宿を出た
*
移動している間に、カロルにエステルが言ったあの言葉を教えたり、街で集めた情報を話していた
そして辿り着いたのはクオイの森の中だった
「そういえばボク、此処で初めてユーリ達と会ったんだったね」
「そうだったね」
「こんな所で何してたのよ、少年?」
「エッグベアを探してたんだ」
「エッグベア?」
「ハルルの木の結界を治そうと思って。でもエステルのお陰で結界は直ったんだけどね」
「満月の子の力はそんな事まで出来るのね・・・」
「本人は無我夢中で全然気付いてなかったみたいだけど」
「エステルらしいと言えばらしいがの」
「ワン!」
そう話しているうちに少し広くなっている所に出た
そしてその少し先にユーリが寝ているのを見つける
ユーリの姿を見つけると、直ぐにカロル達の空気が代わり、そして移動を始めた
「・・・みんな目が本気になってるι」
「ああ・・・ι」
通り過ぎざまに見えた目を見てアスラとフキ、そして俺は少し寒気がした
「・・・ユーリ、頑張れι」
「ワフ・・・ι」
俺はそう言って被害が当たらなそうな所に移動した
「・・・・」
気持ち良さそうに寝ているユーリに最初に近付いたのはカロルだった
「・・・ユーリの」
「・・・?」
その声が聞こえたのかユーリの瞼が少し動く
「バカーーーーッ!!」
カロルは怒りが籠もった声と今にも泣きそうな声で言って、ハンマーをユーリに向かって振り翳す
「おわ!?」
ユーリは勢い良くそれを避ける
・・・フツーの奴なら確実に死んでんぞ、それι
「なっ? え、あ? カロル!?」
ユーリは今にも泣きそうなカロルの顔を見て、というか、カロルがこの場にいる事に驚いていた
「バカ! アホ!」
カロルは更に言葉を続けて手に持っている大きなハンマーを振り翳す
「ちょ、まて、おい!」
「トーヘンボク! スットコドッコイ!!」
「スットコって・・・待てって!」
トーヘンボクにスットコドッコイって・・・
カロルの年で良くそんな言葉知ってんなι
そう思って見ていると次に動いたのはリタだった
「言い訳は後で聞いたげる」
「へ!?」
ユーリはリタの声が聞こえた方に視線を向けると、既にいつでも魔術が発動出来る状態だった
「一回、死んどけ!!」
リタは直ぐに魔術を発動させ、ユーリに向かってファイアーボールを放った
「ごわ!!」
「あー、ユーリが吹っ飛んだ」
思いっきり吹っ飛んだユーリは俺とアスラとフキとラピードがいる木の前を通り過ぎ、その少し先にいるジュディスとレイヴンとパティの前に落ちた
「豪快じゃの」
「はぁい、生きてる?」
「・・・多分」
「目も覚めたみたいね。良かったわ」
いや、ジュディスι
そう言いながら握り拳を作っていつでも殴れるような状態で言っても説得力ねえぞι
そう思っているうちにジュディスもレイヴンもパティもユーリを叩いていた
「・・・ボク達の事容赦ないって言ってたけど、みんなの方が容赦ないと思うな」
「「同感・・・」」
アスラのぼやきに俺もフキも同意して、ユーリの前に移動した
「おーい、ユーリ、生きてるか?」
「っ・・・セイ?」
「生きてるみたいだな」
「・・・勝手に殺すな」
ユーリはゆっくりと起き上がろうとし、俺は手を貸して立たせてやった
ユーリが起きたのを確認するとカロル達も俺達の元へやって来た
そしてユーリはラピードと俺達を見て言う
「ったくラピード、てめえ見張りはどうしたんだよ。セイ、アスラお前等も・・・」
「ボク達ちゃんと役目果たしたんだけどね」
「ラピードもちゃんと役目果たしたぞ、な」
「ワン!」
「あ?」
「この子が私達を案内してくれたのよ。賢い子ね」
「そこ行くと、どっかの馬鹿は大違い」
リタの言葉にユーリは一瞬黙り、少し表情を固くして口を開く
「お前等分かってんのか? これから何しようとしてっか本当に分かってんのかよ?」
「分かってないのはユーリだよ!」
「カロル・・・」
カロルの怒鳴りにユーリは押し黙る
「ユーリだけで・・・ユーリだけでなんて駄目だよ!」
「あんた一人で何するってのよ。あたし等差し置いて何が出来るって言うのよ!」
「うちらの事が不必要で、ユーリがうちらを置いて行ったとしてもうちらは世界中何処までもユーリを捜して着いて回るのじゃ」
「ま、ようするに、だ。一人で格好つけんなって事よ」
「・・・・・」
「俺が何でお前だけ先に行かせたか解ってるか?」
ユーリはカロル達の言葉を聞きまた黙り、俺の言葉を聞き視線をこちらに向ける
「ユーリのケジメを曲げない為でもあるからだよ」
「けど、お前は昔から何でも一人で背負い込む」
「だからってお前一人に何でも押しつけようとは思ってない。それは此処にいるみんなそうだ」
俺の言葉にカロル達は頷く
「どのみち、後でお前の後追うつもりだったしな」
「・・・セイ」
俺はそう言って笑うとユーリは少しだけ表情を変えた
「そう言う事だよ」
「もう少し信じてみても良いんじゃないかしら?」
「うちらはユーリを信じとるぞ」
「そうだよ、仲間でしょ!」
「・・・参ったね」
ユーリは目を閉じて、少し宙を仰いだ後、小さく笑って俺達を見た
「・・・分かったよ、みんなで行こう。最後までな」
「じゃの」
「うん!」
「当然よ」
「ワン!」
「そんじゃま、行ってみますか!」
「森を抜ければ帝都はもう直ぐそこよ」
「ああ。行こう」
みんなの返事を聞くと俺達は帝都に向けて歩き出した
「・・・セイ」
「ん?」
少し歩いた所でユーリが俺の隣に並び、そう声が聞こえユーリを見た
「ありがとな」
ユーリの表情は安心しきった顔になっていた
「ああ」
そして俺も同じように笑い、ユーリの背中を押して歩き出した
続く
あとがき
変わらず・・・だけど、やっぱり愛あるフルボッコは好きだww
ユーリ、乙!!ww
タイトルは、ユーリにとって此処は前回の絆と同じで交差点でもあるのでこのタイトルにしました
ユーリも此処があったからこの後からみんなの前で表情とかも変わってくるんですよねぇ
さ、次はいよいよあの名シーンですよぉ!!
crossroad:交差点、十字路
2011.05.01
その間俺はみんなにこれまでの事を更に詳しく聞いたり、おっさんを一発殴ったり(みんなケジメとしてやったしな)した後、俺はまた街の様子を見にと情報集めをしていた
「ワン!」
ヨーデル様に様子を伺いに行こうとしていると、街の入り口からラピードの声が聞こえた
「ラピード! お前、ユーリと一緒じゃなかったのか?」
俺は足下に寄って来たラピードに目線が合うようにしゃがみそう聞くとラピードは俺を見て言葉を続ける
「ワンワンワンワーン」
「・・・そっか」
俺はラピードの言った事を理解して頭を撫でてやった
ユーリは今、クオイの森ん中にいるらしい
けど今はラピードに見張りを任せて少し休んでいるらしい
デイドン砦は騎士団や評議会の連中が帝都攻略の為使ってるから、クオイの森を抜けて帝都を目指しているのだろう
ユーリが眠りについたのを見計らってラピードは俺達の元に戻って来た
いや、正確には知らせに来た、の方が正しいだろうな
「お前はユーリ一人に背負わせたくないんだな」
「ワン!」
それは俺も同じだった
けど、あん時に俺が一緒に行くと言うのはユーリのケジメに反する事だった
だからそう言わなかったが、ヨーデル様に様子を伺った後、俺も直ぐに帝都に向かうつもりだったから
(こっちだって、
そう思っていると、ラピードが俺の顔を除き込んできた
「ワウゥン?」
「ん? 何でもねえよ。フキ、カロルの様子はどうだ?」
「もうだいぶ熱も引いたみたいだ。今は起き上がってるとこだ」
「そっか。じゃあ宿に戻ってあいつ等連れてユーリの後追い駆けるか」
「ワン!」
俺の呼び掛けにフキは答え隣に現れ、ラピードの返事を聞くと俺達は宿に戻り出した
90.crossroad
宿に戻って来た俺は直ぐに部屋に向かった
部屋の扉を開けると一斉に視線が向けられた
「あら、お帰りなさい」
「ラピード! に、あんたはフキ」
「セイ兄の相棒、じゃったの」
「どうしたのよ、勢揃いで」
「いや。それよりカロル、もう大丈夫か?」
俺は扉を閉めてカロルの側に行く
「うん、今薬も飲んだから大丈夫だよ」
「そっか」
「それより、ユーリは?」
その言葉に一同はまた眉を寄せる
「青年が出て行ってもう一時間位は経ってるわね」
「ラピードと一緒じゃなかったの?」
「ワンワン!」
ラピードは俺達を見て吠え、そして扉へと視線を向ける
「えっと、何て言ってるの?」
この中で唯一言葉が解る俺とアスラとフキに視線を向ける
「着いて来いってさ」
「着いて来いって・・・何処に?」
「ユーリがいる所だよ」
「ユーリがいる所って・・・?」
「・・・やっぱり」
カロルが疑問符を出しているとジュディスがそう小さく呟いた
「・・・・」
「青年、一人で行ったのね」
「エステルの・・・あの言葉を果たしに?」
リタの言葉に俺はやっぱりなと思った
アスラの話しじゃ、フィエルティア号が吹っ飛ばされる時にエステルはユーリ達に聞こえるか聞こえないか位の声で「殺して」と言ったらしい
それは勿論ユーリにも、アスラにも聞こえていた
その言葉がちゃんと聞こえていなかったのはカロルだけだったようで、エステルが何か言っていた・・・と前に聞かれたらしいが、誰一人答えようとしなかったそうだ
「・・・ああ」
「セイ、あんたまさか知ってて行かせたの!?」
「ああ」
俺が頷くとリタが勢い良く俺を見てそう言い、また頷いた
「何で!!」
「ユーリのケジメを曲げない為だよ」
俺の代わりに答えたのはアスラだった
「あいつは昔から自分で重荷を背負おうとする。それは今も変わんないが」
「だからってあいつ一人に全部背負わせようとは思ってないぜ」
「え?」
フキの言葉に食って掛かろうとしていたリタに俺はそう言うと前に踏み出そうとしていたリタの足が止まった
「そうさせない為にラピードは戻って着た」
「ワン!」
「ラピード・・・」
「それに、どのみち後でユーリの後を追うつもりだったしな」
「うん」「ああ」「ワン!」
俺は笑って言うとアスラもフキも笑って答え、ラピードも同意の声を上げる
「くっははっ。流石セイ、一本取られたわ」
レイヴンは一息笑うと立ち上がって俺の所に移動して肩に手を乗せた
「俺様達そこまで考えてなかったわ」
「本当。ユーリの行動を怪しんではいたけど、そこまで深くは考えてなかったわ」
「幼馴染みのセイならではの考えだよね」
「あたし等だったら、考えなしでそのまま追い駆ける所だったし」
「付き合いが長いからこそ、解る事じゃの」
思っている事を全部言った訳じゃないが、その先の意味まで理解したのか、レイヴン達はそう言う
「リアとエステルを助け出すのは俺達の仕事だろ。なあ首領?」
俺はそう言ってカロルを見るとカロルはベッドから降りて俺達の前に来た
「うん。ボク達凛々の明星の仕事だよ!」
「ワン!」
カロルの言葉に俺達はまた口角を上げて笑った
「じゃあ行きましょうか」
「ええ。あのバカ、見つけたらただじゃおかないんだから」
「リタ姐、目が恐いのじゃι」
「今の魔導少女に近付いたらこっちに被害が来るわよ」
「カロル、まだ無理すんなよ」
「うん」
「さてと、じゃあ行くか」
「ワン!」
各々自分の荷物を持って立ち上がり、ラピードを先頭にして俺達は宿を出た
*
移動している間に、カロルにエステルが言ったあの言葉を教えたり、街で集めた情報を話していた
そして辿り着いたのはクオイの森の中だった
「そういえばボク、此処で初めてユーリ達と会ったんだったね」
「そうだったね」
「こんな所で何してたのよ、少年?」
「エッグベアを探してたんだ」
「エッグベア?」
「ハルルの木の結界を治そうと思って。でもエステルのお陰で結界は直ったんだけどね」
「満月の子の力はそんな事まで出来るのね・・・」
「本人は無我夢中で全然気付いてなかったみたいだけど」
「エステルらしいと言えばらしいがの」
「ワン!」
そう話しているうちに少し広くなっている所に出た
そしてその少し先にユーリが寝ているのを見つける
ユーリの姿を見つけると、直ぐにカロル達の空気が代わり、そして移動を始めた
「・・・みんな目が本気になってるι」
「ああ・・・ι」
通り過ぎざまに見えた目を見てアスラとフキ、そして俺は少し寒気がした
「・・・ユーリ、頑張れι」
「ワフ・・・ι」
俺はそう言って被害が当たらなそうな所に移動した
「・・・・」
気持ち良さそうに寝ているユーリに最初に近付いたのはカロルだった
「・・・ユーリの」
「・・・?」
その声が聞こえたのかユーリの瞼が少し動く
「バカーーーーッ!!」
カロルは怒りが籠もった声と今にも泣きそうな声で言って、ハンマーをユーリに向かって振り翳す
「おわ!?」
ユーリは勢い良くそれを避ける
・・・フツーの奴なら確実に死んでんぞ、それι
「なっ? え、あ? カロル!?」
ユーリは今にも泣きそうなカロルの顔を見て、というか、カロルがこの場にいる事に驚いていた
「バカ! アホ!」
カロルは更に言葉を続けて手に持っている大きなハンマーを振り翳す
「ちょ、まて、おい!」
「トーヘンボク! スットコドッコイ!!」
「スットコって・・・待てって!」
トーヘンボクにスットコドッコイって・・・
カロルの年で良くそんな言葉知ってんなι
そう思って見ていると次に動いたのはリタだった
「言い訳は後で聞いたげる」
「へ!?」
ユーリはリタの声が聞こえた方に視線を向けると、既にいつでも魔術が発動出来る状態だった
「一回、死んどけ!!」
リタは直ぐに魔術を発動させ、ユーリに向かってファイアーボールを放った
「ごわ!!」
「あー、ユーリが吹っ飛んだ」
思いっきり吹っ飛んだユーリは俺とアスラとフキとラピードがいる木の前を通り過ぎ、その少し先にいるジュディスとレイヴンとパティの前に落ちた
「豪快じゃの」
「はぁい、生きてる?」
「・・・多分」
「目も覚めたみたいね。良かったわ」
いや、ジュディスι
そう言いながら握り拳を作っていつでも殴れるような状態で言っても説得力ねえぞι
そう思っているうちにジュディスもレイヴンもパティもユーリを叩いていた
「・・・ボク達の事容赦ないって言ってたけど、みんなの方が容赦ないと思うな」
「「同感・・・」」
アスラのぼやきに俺もフキも同意して、ユーリの前に移動した
「おーい、ユーリ、生きてるか?」
「っ・・・セイ?」
「生きてるみたいだな」
「・・・勝手に殺すな」
ユーリはゆっくりと起き上がろうとし、俺は手を貸して立たせてやった
ユーリが起きたのを確認するとカロル達も俺達の元へやって来た
そしてユーリはラピードと俺達を見て言う
「ったくラピード、てめえ見張りはどうしたんだよ。セイ、アスラお前等も・・・」
「ボク達ちゃんと役目果たしたんだけどね」
「ラピードもちゃんと役目果たしたぞ、な」
「ワン!」
「あ?」
「この子が私達を案内してくれたのよ。賢い子ね」
「そこ行くと、どっかの馬鹿は大違い」
リタの言葉にユーリは一瞬黙り、少し表情を固くして口を開く
「お前等分かってんのか? これから何しようとしてっか本当に分かってんのかよ?」
「分かってないのはユーリだよ!」
「カロル・・・」
カロルの怒鳴りにユーリは押し黙る
「ユーリだけで・・・ユーリだけでなんて駄目だよ!」
「あんた一人で何するってのよ。あたし等差し置いて何が出来るって言うのよ!」
「うちらの事が不必要で、ユーリがうちらを置いて行ったとしてもうちらは世界中何処までもユーリを捜して着いて回るのじゃ」
「ま、ようするに、だ。一人で格好つけんなって事よ」
「・・・・・」
「俺が何でお前だけ先に行かせたか解ってるか?」
ユーリはカロル達の言葉を聞きまた黙り、俺の言葉を聞き視線をこちらに向ける
「ユーリのケジメを曲げない為でもあるからだよ」
「けど、お前は昔から何でも一人で背負い込む」
「だからってお前一人に何でも押しつけようとは思ってない。それは此処にいるみんなそうだ」
俺の言葉にカロル達は頷く
「どのみち、後でお前の後追うつもりだったしな」
「・・・セイ」
俺はそう言って笑うとユーリは少しだけ表情を変えた
「そう言う事だよ」
「もう少し信じてみても良いんじゃないかしら?」
「うちらはユーリを信じとるぞ」
「そうだよ、仲間でしょ!」
「・・・参ったね」
ユーリは目を閉じて、少し宙を仰いだ後、小さく笑って俺達を見た
「・・・分かったよ、みんなで行こう。最後までな」
「じゃの」
「うん!」
「当然よ」
「ワン!」
「そんじゃま、行ってみますか!」
「森を抜ければ帝都はもう直ぐそこよ」
「ああ。行こう」
みんなの返事を聞くと俺達は帝都に向けて歩き出した
「・・・セイ」
「ん?」
少し歩いた所でユーリが俺の隣に並び、そう声が聞こえユーリを見た
「ありがとな」
ユーリの表情は安心しきった顔になっていた
「ああ」
そして俺も同じように笑い、ユーリの背中を押して歩き出した
続く
あとがき
変わらず・・・だけど、やっぱり愛あるフルボッコは好きだww
ユーリ、乙!!ww
タイトルは、ユーリにとって此処は前回の絆と同じで交差点でもあるのでこのタイトルにしました
ユーリも此処があったからこの後からみんなの前で表情とかも変わってくるんですよねぇ
さ、次はいよいよあの名シーンですよぉ!!
crossroad:交差点、十字路
2011.05.01