救出編
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「ふひ~。出口っぽいかぁ?」
あの後、倒れたカロルをレイヴンが背負ってやっと出口へと辿り着いた
「なによ。もう疲れたの?」
「年寄りは体力がないのよ・・・ジュディスちゃん、代わって~」
「・・・(///)」
「・・・・」
「あら、貴方の仕事を奪うつもりはないわ」
「・・・」
「カロル・・・起きてるな」
「お、起きてない!」
その言葉を聞くとレイヴンはどさりとカロルを落とした
「あいた!」
「カロルは狸寝入りが上手いの」
「この寒い中おっさんに労働させるとは、カロル君。君もなかなかやるではないか」
「もう大丈夫か、カロル」
「うん」
「心配したのよ。とても」
「うちもじゃ」
「そんな風には見えなかったけど」
「おかしいわね」
「ワン!」
「とにかく、もう無茶な事しないでよね。サポートしきれないわ」
「うん」
嬉しそうな笑顔をみんなに向けるカロル
「なーにニタニタしてんだ?」
「ひどいな、ユーリ。 ・・・ドンの言葉を思い出してたんだよ」
「仲間を守ってみろ、そうすれば応えてくれる、・・・だったか?」
「うん。あれってこういう事だったのかなって」
ユーリはその言葉を聞き、何かを思い出すように空を見上げた
「それがお前の見つけた答えって事か。なら、きっと正解だよ」
「そうだと良いな」
「さ、出口は直ぐそこだ。とっとと抜けちまおうぜ」
「どうかしたかしら?」
ずっと氷刃海を見て何かを考えているリタを見てジュディスが声を掛けるとリタは小さく頷いて答えた
「うん。此処の氷ってエアルから生まれたのかもしれないって」
「氷が? エアルから?」
「あらゆるものがエアルから出来ているのだから、そうかもしれないね」
「此処のエアルクレーネはある意味、凄く安定してた。魔物が操れる程にね。もしかしたら大量に物質化出来たらエアルは安定するのかも」
「それってエアルの乱れを解消出来るかもしれない、そう言う事か?」
「分らない。その為にはもっと効率が必要だろうし、量だって・・・」
「でも、確かにそれが出来たらスゴイのじゃ」
「もっと此処のエアルクレーネ、調査したいのかい?」
「ううん。今はそんな事してる時間はないわ」
「ああ、思わぬ時間食っちまったしな。急ごう」
「じゃ、話しが纏まった所でハルルの宿屋にでも行くか」
「「「「! セイ!?」」」」「セイ兄!?」
突然聞き慣れた声が聞こえ、皆一斉に声の聞こえた方を見ると出口の少し先からセイがユーリ達の方に向かって来ていた
「セイ、お前どうして此処に?」
「アスラから此処通って来るって連絡貰ってな。それよりボロボロだけど大丈夫か」
「ああ、まあな」
「大丈夫そうなら、このままハルルに行くぞ」
「そういえばハルルの宿に行くって言ってたわよね」
「今は無事かもしれないが、そんな状態じゃ持たないだろ」
「ハルルに行って今までの事やセイが調べた事を話しながら身体を休めるって事だよ」
「そういう事だ。ハルルまでもうちょい距離あるけどそこまで頑張れ」
「ああ」
89.決意
ハルルに着くと前来た時よりもごった返していた
ハルルの住人以外の人達、身なりからして帝都から逃げて来た人達だと一目で解った
街の様子を見ているとカロルが荒い息を出しているとジュディがカロルの額に手を当てると、かなり無理していたのか熱が出てしまった
そのままセイが泊まっている宿屋の一室へと向かいカロルをベッドに寝かせ、一息付いた所でユーリ達は話を始めた
「あの避難民・・・帝都は大変な状況のようね」
「ああ。近付けたもんじゃないぜ」
「入れなくはないんだろ?」
「ああ。ただ・・・」
「ただ・・・?」
セイはそこで言葉を切って、ゆっくりと口を開いた
「・・・もう人の住めない街としか言えないな」
「!」
「・・・詳しい話は後で、な」
「アレクセイの大将、一体何をしでかすつもりなんだか」
「・・・アレクセイは絶対、許せんのじゃ・・・」
「アレクセイなんてどうでもいい。・・・エステルとリアよ。あたしはエステルとリアを助けたい」
「そうね。でもその為にはアレクセイを何とかしないと。それに、このままじゃ無策すぎるわ。またノール港まで飛ばされる訳にはいかないもの」
「そっちも色々大変だったみたいだな」
「まあな。で、リアの方は分かったのか?」
「ああ。流石に今回ばかりは手こずったな」
「それだけリアが必要って事でしょ」
「みたいね。で、リアちゃんは?」
「城の貴族達が住んでる部屋の何カ所かに術式結界が張ってある所があった。しかもご丁寧に中と連絡が取れないようにしてある」
「間違いなさそうだな」
その言葉に全員が頷いた
「ま、とにかく今はカロルが回復するまで待つしかないな」
「だな。今のうちに休んでおくか」
「そうね。そうするわ」
「身体を休めるのも大事な事じゃからの」
「ユーリ、アスラ、お前等は一緒に来い」
「?」
少し休もうとしているとセイがユーリとアスラを呼び、そのままセイに連れられて宿の外まで来た
「で、オレ達は何処向かってんだ?」
「長老の家だ」
「長老の?」
「さっき詳しい話しは後でって言っただろ? そこに行けば大体解るはずだ」
そう言ってセイは長老の家を目指して行き、ユーリとアスラもその後に続いた
「! ・・・皆さん、無事だったんですね」
長老の家に行くと、丁度ある人物が出て来た所だった
それはあのヨーデルだった
「成る程な、あんただろ? 宿屋をタダで解放させたのは」
「なんだね君は。無礼であろう。この方を何方と・・・」
だが、ヨーデルは男の前に出て首を横に振る
「身一つで逃げ出して来た人も多いですし、これも国の役目だと思っています」
「ふうん、ま、良いさ。セイから帝都が人が住めない街だって聞いた」
「・・・その通りです」
「それをもう少し詳しく教えてくれ」
ヨーデル達は少し視線を落として話を始めた
「街の結界魔導器が光を発して・・・地震と落雷が街を襲った・・・」
「ですが本当の恐怖はその後でした。結界魔導器の根元から光る靄のようなものが現れて、全域に広がったんです。触れた植物が巨大化して、水は毒の沼のように・・・地獄のような光景でした」
「エアルの暴走だね・・・」
「栄えある帝国の首都、ザーフィアスがよもやあのような事になろうとは・・・」
「帝都全部を満たすエアル・・・どれだけ負担掛けてんだか・・・」
「あ、あれはアレクセイめの仕業に違いない! 奴は我々に服従を要求してきた。断ると、それなら塵になれと言いよった!」
「しかも脱出した我々に、アレクセイめ、親衛隊を、け、けしかけおったんじゃ!」
「じゃあどうやって此処まで来たんだ?」
「フレンが食い止めてくれたのです。そしてセイさんが此処まで護衛してくれたんです。彼等が駆け着けてくれなかったら私達は全滅していたでしょう」
「流石フレン、と言いたい所だが、避難民の中に下町の連中が見当たらねぇのが気になる。連中はどうなった?」
その言葉にヨーデルは顔を俯け、護衛の者達も顔を逸らし気まずい雰囲気が流れるが、その気まずい雰囲気をセイが壊す
「下町の連中なら他の場所に避難してる。心配すんな」
セイはそう言ってユーリの肩にポンと手を乗せた
「ヨーデル様、私達はこれで失礼します」
セイは一礼するとユーリとアスラに合図を送り宿に戻った
宿に戻るとユーリ達はさっき聞いた話をジュディス達に話した
「ヨーデル殿下が・・・」
「帝都は丸ごとエアルに飲み込まれたらしい。中心にいるのはおそらく・・・」
「無茶苦茶よ! つまりそれ全部エステルの負担って事なのよ? 無理矢理、力使わされる度にどんだけの消耗を強いられるか。ただでさえ制御が危うくなっているのに、そんな使ってたらどうなるか・・・」
「・・・・」
「もし・・・もし手遅れになったりしたら・・・・アレクセイを倒したって・・・」
「その・・・力を抑える方法ってのはないもんなのかね」
リタは首を横に振るが直ぐに顔を上げる
「ある。きっとある。でもまだ・・・」
「あ・・・と、そうそう、騎士団はどうしてんの?」
「城には親衛隊が残ってる。今フレンが頑張ってるが、そう長くは保たないだろうな」
「宙の戒典もねえしな」
「ふーむ・・・」
「フェローに聞いてみるわ。まだどのくらい時間が残されているかって」
「・・・・」
ジュディスはそう言ってフェローと連絡を取り始めると、
「ユーリ・・・」
カロルの力ない声が聞こえユーリはカロルの所に移動した
「悪ぃ起こしちまったか。調子はどうだ?」
「ごめん、また足引っ張っちゃって・・・帝都に行くんでしょ?」
「気にすんなって。オレ達助けてそうなったんだから。それより治す事に集中しろ」
「うん、でも置いてっちゃやだよ。エステルとリア、ギルドのみんなで助けるんだから・・・」
「ああ、分かってる。さ、もう少し寝とけ。な?」
「うん・・・」
カロルはそう言ってまた目を閉じた
「繋がらないわ。エアルが乱れている所為かも」
「いいさ、どっちみち、アレクセイの野郎をぶっ倒すだけの話だ。だろ?」
「・・・それだけ?」
「・・・ちょっと外の空気吸ってくる。カロル、見ててやってくれ」
ユーリは一つ間を置いてそう答え部屋を出ようとしているとパティがユーリの腕に掴まり、ぽつりとユーリの名を呼んだ
「ユーリ・・・」
が、その顔は何かを心配してる顔だった
「何そんな顔してるんだよ、心配いらねえよ」
言うとユーリは部屋を出て行った
「・・・・」
ジュディスはユーリが出て行った後をじっと見ているとラピードがユーリの後を追い駆けた
「氷貰ってくるわ」
俺は小さく溜息を吐いて洗面器を持って部屋を出て行った
「・・・損な役回り、か」
「そう思うんだったら何でも一人で背負い込むな」
「!」
「前にリアに言われなかった?」
「・・・セイ、アスラ・・・」
急に聞こえた声にユーリは驚いて俺とアスラがいる宿屋の階段を見た
「一人で行くなら俺等に気付かれない様に気配消してけ、って昔から言ってるだろ」
「・・・これでも消してたんだけどな」
「みんなには分かんなくてもボク等は分かるって」
「・・・だな」
俺は階段を降りてユーリの前に行きながらアスラと一緒にそう言うとユーリは苦笑していた
そして俺はユーリの前で止まって、真剣な表情をしてユーリを見た
「大体の事はアスラやフキ達に聞いた」
「・・・・」
俺の言葉にユーリは少し視線を落とした
リアの事もあるが、今ユーリが思っている事はエステルが言ったあの言葉を自分一人でやろうとしている
こいつは昔から損な役回りをするヤツだからな・・・
俺は小さく息を吐いてユーリを見て言葉を続ける
「此処は俺等に任せてさっさと行け」
「セイ・・・」
「止めたって無駄なのは知ってるから」
「アスラ・・・」
「ラピード、この馬鹿の事頼むぞ」
「ワン!」
「・・・悪ぃ。頼んだ・・・」
「ああ・・・」「うん・・・」
ユーリは俺達の返事を聞くと、手をひらひらとさせ出口へ向かって歩いて行き、俺も踵を返して宿屋に入りフロントに預けてあった洗面器を取りに行き氷と水の入った洗面器を持って部屋に戻った
続く
あとがき
最初しか変わってないww
でも此処も削れない所だからね(次回もだけどι)
まあ久々にセイ兄ちゃん出せたし良いよ ←
よし、じゃあ次書くぞ~(逃げたww)
2011.05.01
あの後、倒れたカロルをレイヴンが背負ってやっと出口へと辿り着いた
「なによ。もう疲れたの?」
「年寄りは体力がないのよ・・・ジュディスちゃん、代わって~」
「・・・(///)」
「・・・・」
「あら、貴方の仕事を奪うつもりはないわ」
「・・・」
「カロル・・・起きてるな」
「お、起きてない!」
その言葉を聞くとレイヴンはどさりとカロルを落とした
「あいた!」
「カロルは狸寝入りが上手いの」
「この寒い中おっさんに労働させるとは、カロル君。君もなかなかやるではないか」
「もう大丈夫か、カロル」
「うん」
「心配したのよ。とても」
「うちもじゃ」
「そんな風には見えなかったけど」
「おかしいわね」
「ワン!」
「とにかく、もう無茶な事しないでよね。サポートしきれないわ」
「うん」
嬉しそうな笑顔をみんなに向けるカロル
「なーにニタニタしてんだ?」
「ひどいな、ユーリ。 ・・・ドンの言葉を思い出してたんだよ」
「仲間を守ってみろ、そうすれば応えてくれる、・・・だったか?」
「うん。あれってこういう事だったのかなって」
ユーリはその言葉を聞き、何かを思い出すように空を見上げた
「それがお前の見つけた答えって事か。なら、きっと正解だよ」
「そうだと良いな」
「さ、出口は直ぐそこだ。とっとと抜けちまおうぜ」
「どうかしたかしら?」
ずっと氷刃海を見て何かを考えているリタを見てジュディスが声を掛けるとリタは小さく頷いて答えた
「うん。此処の氷ってエアルから生まれたのかもしれないって」
「氷が? エアルから?」
「あらゆるものがエアルから出来ているのだから、そうかもしれないね」
「此処のエアルクレーネはある意味、凄く安定してた。魔物が操れる程にね。もしかしたら大量に物質化出来たらエアルは安定するのかも」
「それってエアルの乱れを解消出来るかもしれない、そう言う事か?」
「分らない。その為にはもっと効率が必要だろうし、量だって・・・」
「でも、確かにそれが出来たらスゴイのじゃ」
「もっと此処のエアルクレーネ、調査したいのかい?」
「ううん。今はそんな事してる時間はないわ」
「ああ、思わぬ時間食っちまったしな。急ごう」
「じゃ、話しが纏まった所でハルルの宿屋にでも行くか」
「「「「! セイ!?」」」」「セイ兄!?」
突然聞き慣れた声が聞こえ、皆一斉に声の聞こえた方を見ると出口の少し先からセイがユーリ達の方に向かって来ていた
「セイ、お前どうして此処に?」
「アスラから此処通って来るって連絡貰ってな。それよりボロボロだけど大丈夫か」
「ああ、まあな」
「大丈夫そうなら、このままハルルに行くぞ」
「そういえばハルルの宿に行くって言ってたわよね」
「今は無事かもしれないが、そんな状態じゃ持たないだろ」
「ハルルに行って今までの事やセイが調べた事を話しながら身体を休めるって事だよ」
「そういう事だ。ハルルまでもうちょい距離あるけどそこまで頑張れ」
「ああ」
89.決意
ハルルに着くと前来た時よりもごった返していた
ハルルの住人以外の人達、身なりからして帝都から逃げて来た人達だと一目で解った
街の様子を見ているとカロルが荒い息を出しているとジュディがカロルの額に手を当てると、かなり無理していたのか熱が出てしまった
そのままセイが泊まっている宿屋の一室へと向かいカロルをベッドに寝かせ、一息付いた所でユーリ達は話を始めた
「あの避難民・・・帝都は大変な状況のようね」
「ああ。近付けたもんじゃないぜ」
「入れなくはないんだろ?」
「ああ。ただ・・・」
「ただ・・・?」
セイはそこで言葉を切って、ゆっくりと口を開いた
「・・・もう人の住めない街としか言えないな」
「!」
「・・・詳しい話は後で、な」
「アレクセイの大将、一体何をしでかすつもりなんだか」
「・・・アレクセイは絶対、許せんのじゃ・・・」
「アレクセイなんてどうでもいい。・・・エステルとリアよ。あたしはエステルとリアを助けたい」
「そうね。でもその為にはアレクセイを何とかしないと。それに、このままじゃ無策すぎるわ。またノール港まで飛ばされる訳にはいかないもの」
「そっちも色々大変だったみたいだな」
「まあな。で、リアの方は分かったのか?」
「ああ。流石に今回ばかりは手こずったな」
「それだけリアが必要って事でしょ」
「みたいね。で、リアちゃんは?」
「城の貴族達が住んでる部屋の何カ所かに術式結界が張ってある所があった。しかもご丁寧に中と連絡が取れないようにしてある」
「間違いなさそうだな」
その言葉に全員が頷いた
「ま、とにかく今はカロルが回復するまで待つしかないな」
「だな。今のうちに休んでおくか」
「そうね。そうするわ」
「身体を休めるのも大事な事じゃからの」
「ユーリ、アスラ、お前等は一緒に来い」
「?」
少し休もうとしているとセイがユーリとアスラを呼び、そのままセイに連れられて宿の外まで来た
「で、オレ達は何処向かってんだ?」
「長老の家だ」
「長老の?」
「さっき詳しい話しは後でって言っただろ? そこに行けば大体解るはずだ」
そう言ってセイは長老の家を目指して行き、ユーリとアスラもその後に続いた
「! ・・・皆さん、無事だったんですね」
長老の家に行くと、丁度ある人物が出て来た所だった
それはあのヨーデルだった
「成る程な、あんただろ? 宿屋をタダで解放させたのは」
「なんだね君は。無礼であろう。この方を何方と・・・」
だが、ヨーデルは男の前に出て首を横に振る
「身一つで逃げ出して来た人も多いですし、これも国の役目だと思っています」
「ふうん、ま、良いさ。セイから帝都が人が住めない街だって聞いた」
「・・・その通りです」
「それをもう少し詳しく教えてくれ」
ヨーデル達は少し視線を落として話を始めた
「街の結界魔導器が光を発して・・・地震と落雷が街を襲った・・・」
「ですが本当の恐怖はその後でした。結界魔導器の根元から光る靄のようなものが現れて、全域に広がったんです。触れた植物が巨大化して、水は毒の沼のように・・・地獄のような光景でした」
「エアルの暴走だね・・・」
「栄えある帝国の首都、ザーフィアスがよもやあのような事になろうとは・・・」
「帝都全部を満たすエアル・・・どれだけ負担掛けてんだか・・・」
「あ、あれはアレクセイめの仕業に違いない! 奴は我々に服従を要求してきた。断ると、それなら塵になれと言いよった!」
「しかも脱出した我々に、アレクセイめ、親衛隊を、け、けしかけおったんじゃ!」
「じゃあどうやって此処まで来たんだ?」
「フレンが食い止めてくれたのです。そしてセイさんが此処まで護衛してくれたんです。彼等が駆け着けてくれなかったら私達は全滅していたでしょう」
「流石フレン、と言いたい所だが、避難民の中に下町の連中が見当たらねぇのが気になる。連中はどうなった?」
その言葉にヨーデルは顔を俯け、護衛の者達も顔を逸らし気まずい雰囲気が流れるが、その気まずい雰囲気をセイが壊す
「下町の連中なら他の場所に避難してる。心配すんな」
セイはそう言ってユーリの肩にポンと手を乗せた
「ヨーデル様、私達はこれで失礼します」
セイは一礼するとユーリとアスラに合図を送り宿に戻った
宿に戻るとユーリ達はさっき聞いた話をジュディス達に話した
「ヨーデル殿下が・・・」
「帝都は丸ごとエアルに飲み込まれたらしい。中心にいるのはおそらく・・・」
「無茶苦茶よ! つまりそれ全部エステルの負担って事なのよ? 無理矢理、力使わされる度にどんだけの消耗を強いられるか。ただでさえ制御が危うくなっているのに、そんな使ってたらどうなるか・・・」
「・・・・」
「もし・・・もし手遅れになったりしたら・・・・アレクセイを倒したって・・・」
「その・・・力を抑える方法ってのはないもんなのかね」
リタは首を横に振るが直ぐに顔を上げる
「ある。きっとある。でもまだ・・・」
「あ・・・と、そうそう、騎士団はどうしてんの?」
「城には親衛隊が残ってる。今フレンが頑張ってるが、そう長くは保たないだろうな」
「宙の戒典もねえしな」
「ふーむ・・・」
「フェローに聞いてみるわ。まだどのくらい時間が残されているかって」
「・・・・」
ジュディスはそう言ってフェローと連絡を取り始めると、
「ユーリ・・・」
カロルの力ない声が聞こえユーリはカロルの所に移動した
「悪ぃ起こしちまったか。調子はどうだ?」
「ごめん、また足引っ張っちゃって・・・帝都に行くんでしょ?」
「気にすんなって。オレ達助けてそうなったんだから。それより治す事に集中しろ」
「うん、でも置いてっちゃやだよ。エステルとリア、ギルドのみんなで助けるんだから・・・」
「ああ、分かってる。さ、もう少し寝とけ。な?」
「うん・・・」
カロルはそう言ってまた目を閉じた
「繋がらないわ。エアルが乱れている所為かも」
「いいさ、どっちみち、アレクセイの野郎をぶっ倒すだけの話だ。だろ?」
「・・・それだけ?」
「・・・ちょっと外の空気吸ってくる。カロル、見ててやってくれ」
ユーリは一つ間を置いてそう答え部屋を出ようとしているとパティがユーリの腕に掴まり、ぽつりとユーリの名を呼んだ
「ユーリ・・・」
が、その顔は何かを心配してる顔だった
「何そんな顔してるんだよ、心配いらねえよ」
言うとユーリは部屋を出て行った
「・・・・」
ジュディスはユーリが出て行った後をじっと見ているとラピードがユーリの後を追い駆けた
「氷貰ってくるわ」
俺は小さく溜息を吐いて洗面器を持って部屋を出て行った
「・・・損な役回り、か」
「そう思うんだったら何でも一人で背負い込むな」
「!」
「前にリアに言われなかった?」
「・・・セイ、アスラ・・・」
急に聞こえた声にユーリは驚いて俺とアスラがいる宿屋の階段を見た
「一人で行くなら俺等に気付かれない様に気配消してけ、って昔から言ってるだろ」
「・・・これでも消してたんだけどな」
「みんなには分かんなくてもボク等は分かるって」
「・・・だな」
俺は階段を降りてユーリの前に行きながらアスラと一緒にそう言うとユーリは苦笑していた
そして俺はユーリの前で止まって、真剣な表情をしてユーリを見た
「大体の事はアスラやフキ達に聞いた」
「・・・・」
俺の言葉にユーリは少し視線を落とした
リアの事もあるが、今ユーリが思っている事はエステルが言ったあの言葉を自分一人でやろうとしている
こいつは昔から損な役回りをするヤツだからな・・・
俺は小さく息を吐いてユーリを見て言葉を続ける
「此処は俺等に任せてさっさと行け」
「セイ・・・」
「止めたって無駄なのは知ってるから」
「アスラ・・・」
「ラピード、この馬鹿の事頼むぞ」
「ワン!」
「・・・悪ぃ。頼んだ・・・」
「ああ・・・」「うん・・・」
ユーリは俺達の返事を聞くと、手をひらひらとさせ出口へ向かって歩いて行き、俺も踵を返して宿屋に入りフロントに預けてあった洗面器を取りに行き氷と水の入った洗面器を持って部屋に戻った
続く
あとがき
最初しか変わってないww
でも此処も削れない所だからね(次回もだけどι)
まあ久々にセイ兄ちゃん出せたし良いよ ←
よし、じゃあ次書くぞ~(逃げたww)
2011.05.01