救出編
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「これで、制御室の前にある防護壁は解除出来たわ」
リタは慣れた手付きでモニターを操作すると制御室へと続く廊下にあった防護壁の仕掛けが解けた
「じゃあ行こう」
カロルの合図で皆制御室へと向けて歩き出した
「・・・・」
「ん? どうした、おっさん」
が、レイヴンはその少し手前にある部屋の前で止まりじっとその部屋を見つめていた
「この部屋がどうかしたんですか?」
レイヴンの後ろにいたユーリとフレンが声を掛けるとレイヴンは少しだけ複雑な表情を浮かべていた
「ん、・・いや、ちょっと・・ね・・・」
「・・・微かにだけどリアが居た気配がする」
「「「!?」」」
レイヴンが言葉を濁しているとラピードの隣にいたアスラがリアの気配を感じ取った
「リアが?」
「おい、おっさん」
ユーリとフレンの言葉でレイヴンは小さく息を吐いてぽつりと話し出した
「エステル嬢ちゃんとは別にリアちゃん、此処にいたのよ。バクティオンに行く前まではね」
「何だって」
驚いている二人の横をすり抜けレイヴンは扉を開き中に入り、少し遅れてユーリもフレンもアスラもラピードも続いた
部屋に入ると、ただ機械音が響いているだけでそれ以外は何もなかった
「今は蛻の殻、だね」
「リアもエステリーゼ様も、此処にはいないと言う事ですか?」
「リアちゃんは、ね。嬢ちゃんは分かんないけど。それとリアちゃん、シュヴァーンが同一人物だったって事に早くから気付いてたのよ」
「「「!?」」」
今は何もない部屋を見てその時の事を思い出しながらレイヴンは語った
「気付いてたって、いつからだ?」
「カドスの喉笛の時よ。あの時ルブラン達に声掛けたっしょ、その時から少し違和感を感じてたらしいのよ」
「だからあの時リアの様子が少し可笑しかったんだ」
「ワフっ!」
ユーリもアスラもその時の事を思い出しているとラピードが何かに気付き一声鳴き、床に何かが落ちている事に気付く
「これは!?」
「リアの、リボン」
そう、それはいつもリアが肌身離さず首元に付けているリボンだった
「どうしてこれが此処に落ちているんだ?」
「シュヴァーンは途中で退出したから会話した事までしか解んないのよ」
ユーリはリアのリボンを拾いレイヴンに視線を向けるが、そう言われレイヴンの表情と口調を聞く限り、その後の事は一切知らないのだとユーリもフレンも理解した
「「・・・・」」
「ちょっとあんた達、何してるのよ!」
ユーリもフレンもリアのリボンに目を移しリアの事を思っていると、いつまで経っても来ないユーリ達にリタが声を掛けた
「ほら、リタっちが呼んでるわよ。そろそろ行きましょ」
「「・・・(リア・・・)」」
レイヴンはユーリとフレンにそう声を掛け先に部屋を出て行き、ユーリもフレンもリアの無事を祈りながらアスラとラピードと共に部屋を後にした
85.囮
「なんだこりゃ?」
制御室に入ると思いも寄らぬ光景が目に入った
「親衛隊が倒されてる・・・」
この制御室の管理をしていたと思われる数人の親衛隊が一人残らず倒されていたのだ
「アスラの仲間が倒したのか?」
「いや、ボク達は何も・・・」
「待ちかねたぜぇ。ユーリ・ローウェル!」
パティの質問にアスラが答えようとしていると、アスラの言葉を遮り男の声が聞こえた
「お前は!」
ユーリ達の前に現れたのは、あのザギだった
「貴方が此処の人達を倒したのね」
「余計な邪魔を入れられたくないからなぁ」
「てめえなんぞに用はねぇ。アレクセイは何処だ? エステルを何処にやった!」
「くっくっく。居ねぇよ! そんなヤツは最初から此処には居ねぇ」
「!?」
「なんですって!」
「どういう事なのじゃ・・・!?」
「アレクセイ、この要塞すらオトリに使ったのか・・・!」
「随分、気前のいいこった。やってくれるぜ」
「成る程ね・・・ヘラクレスに俺達や騎士団を引き付けて、自分はその間にトンズラか・・・」
「アレクセイ! 何処までもむかつくヤツ」
「直ぐ追い駆けるのじゃ」
パティは踵を返して登って来た階段に向かおうとしていると、爆発が起こった
「おいおいおいおいおい! そうじゃないだろ! 喋ってる暇あるのか? さっさとお楽しみに入ろうぜぇ」
「何度も言わせるなよ。お前に用はねぇ。消えろ! 邪魔するってんなら容赦はしねぇ!」
「くっくっく・・・そうだ・・・ユ~リ。もっと怒れ! たかぶれ! 憎め! それこそが最高のスパイス! はーっはっはっは!」
「こいつ・・・怒らせる為だけに邪魔して来てるの?」
「救いようのない人ね」
「さぁ・・・逝こうぜぇ! ユーリ・ローウェル!」
言うや否、ザギは有無関係なくユーリに攻撃を仕掛けてきた
「こうなったら戦うしかないみたいだね」
「ああ。時間が惜しい。早く済ませてしまおう」
「そう簡単に倒れてくれる相手じゃないと思うけれどね」
「バイオレットペイン!!」
既に詠唱を唱え終えたリタが魔術を放つ、その隙にカロル、ラピード、パティが攻撃を仕掛ける
そのままレイヴン、ジュディス、そして元の姿に戻ったアスラの攻撃も決まっていく
「ミストラルソウル!」
「ぐっ!」
「そこだっ!」
「ぐふっ!」
次々と連携が決まっていきフレンの魔術が決まり、ザギが体制を崩した所にユーリの一撃が決まった
「くくく・・・お前は最高だ・・・ユ~~~リ~~~!」
「この粘着野郎! いい加減にしやがれ!」
「ぐはぁ!!」
ユーリはそう言って思いっきり蒼破刃を放ち、ザギに直撃しザギは窓を破って艦外へと吹き飛んでいった
「リタ!」
「解ってる!」
ザギがいなくなったのを確認するとリタはそのまま制御盤の前に移動し直ぐさま制御盤を操作した
「これで・・・おしまい!」
「・・・止まったわ」
「流石天才魔導少女」
「これでソディア達も乗り込んで来れるだろう」
皆、ヘラクレスが止まった事に安堵の息を吐いたがリタは遠くを見つめてぽつりと呟いた
「・・・エステル・・・何処に連れてかれちゃったの?」
「リタ・・・」
「アレクセイはエステルを道具としか見てない! このままエステルの力を使われちゃったら・・・ホントにエステルが星喰みを引き起こしてしまうかもしれない!」
「させないさ。だからオレ達がいる。そうだろ」
「リタ姐、元気を出すのじゃ。絶対・・・アイツを倒してエステルとリアを助け出すのじゃ・・・」
「・・・そうね」
「もう一刻の猶予もないわ。このヘラクレスもきっとヘルメス式魔導器を使ってる。これだけのものを動かしているんだもの」
「そうだね。早くアレクセイを見つけないと・・・!」
「「「「うわっ!」」」」「きゃっ!」「「うおっ!」」「っ!」
ジュディスの言葉にアスラが同意していると、突然赤い光線がユーリ達に直撃し皆吹き飛んでしまった
「っ・・、!?」
「ひゃはぁ~! ユゥゥリィ! まだ終わっちゃいねぇぇえ!」
辛うじてあまり攻撃が当たらなかったアスラが顔を上げると其処には先程窓を突き破って艦外に吹き飛ばされたザギがいた
「せ、制御盤が・・・」
「・・・また動き出した!」
今の爆発で制御盤が機動したのかヘラクレスはまた動き出してしまった
「はーっはっはっは! ユーリ! 昇り詰めようぜぇ!」
「や、やべぇ・・・体が・・・」
「だめだ・・・エステルやリアみたいな高度な治癒術じゃないとみんな同時に治せないよ」
有無を言わずの戦闘後に更に不意打ちのダメージを受けてしまい、皆思うように体が動かなかった
「此処で倒れる訳にはいかない・・・!」
「くっくっく、やっと良い声で鳴いたなぁ・・・。・・・いっちまいな!!」
ザギはユーリ達を見下したような目をし、攻撃をしようとした瞬間、
「ぬぁ!」
何処からともなく現れたゴーシュとドロワットがザギを蹴り飛ばし、トドメの一撃と言わんばかりの弾丸が部屋の入り口から放たれた
「ああああぁぁぁぁぁ!」
それはザギに直撃し、ザギはまた艦外の海へと落ちていった
「ふっふん。ビュリフォーなシャウトですねー」
武器を納めながらそう言うと、ゴーシュとドロワットがユーリ達に治癒術を掛けた
「イエガー! てめぇ何のつもりだ」
ユーリは聞き覚えのある声が聞こえ部屋の入り口を見ると、不敵に笑っているイエガーがいた
「またうちらの邪魔をする気か!?」
「ミーのビジネスにとって帝国ばかりがパワフルになるのは都合がバッドバッドなのでーす」
「アレクセイはザーフィアスにいる」
「帝都ザーフィアスの御剣の階梯に秘密があるのだわん」
「宙の戒典がキーとしてニードなはずだったのに、ユー達のプリンセスで代用しようとしてマース」
「なんですって!」
「エステリーゼ様をどうしようと言うんだ!」
「話し込んでる場合じゃなさそうよ」
イエガーの言葉に驚いているとジュディスの冷静な声が聞こえ外を見ると帝都が見え始めていた
「こりゃまずいな。このままじゃザーフィアスの下町はぺしゃんこだ」
「ちっ! リタ!」
「無理よ! 完全に壊れちゃってる!」
リタは制御盤を操作しようとしていたが、ザギの攻撃が当たった所為で制御盤が完全に壊れてしまって操作が出来なくなってしまっていた
「動力を止めるしかないよ!」
「頑張るでーす! じゃ、そう言う訳でシーユー!」
「あ、待つのじゃ!」
言うや否、イエガー達はいつものように煙幕を張ってあっという間にいなくなっていた
「イエガーめ」
「奴の狙いは何なんだ?」
「それは後で考えましょ。早くヘラクレスを止めないと」
「うん。あんまりのんびりとしてたら本当にザーフィアスが無くなっちゃうよ」
「解ってる。動力室へ向かうぞ」
ジュディスとアスラとユーリの言葉に皆一斉に頷き急いで部屋を出て行った
「イエガー・・・次は絶対逃がさない!」
カロルは決意の籠もった声で言うとユーリ達の後を追いかけて行った
「凛々の明星の首領とはいえ、イエガーだけは、譲る訳にゃあいかないよね」
カロルの様子を見ていたレイヴンはいつもより真剣な表情と口調で言った後、少しだけ気持ちを切り替えたような顔をして制御室を後にした
「・・・満月の子を代用・・か」
機械音が鳴り響く中、アスラは宙を見上げてぽつりと呟いた
「リアと満月の子を連れてって事は、狙いは一つじゃないのか?」
そう声が聞こえた途端、アスラの前に金髪の青年が現れた
「ケンク。珍しいね、こっちに出て来てるなんて」
「セイと故郷からの伝言伝えに来たんだよ。それより、」
「ああ」
ケンクの言葉に頷くと先程までとは違う張り詰めた空気が辺りを包み、アスラは元の姿に戻った
「アレクセイの野郎、リアとエステル、言霊使いの姫と満月の子を連れてるって事はアレを復活させるつもりか?」
「・・・かもしれない。セイやフキ、故郷でも似たような話が出てたからな。奴が何処まで情報を手にしてるかは解らないけどな」
いつもとは違う口調で話すアスラだが、此処には同じ神将であるケンクしかいないし、アスラがこう言う口調になる事も知っているのでその事を気にする事なく話しを進める
「とにかく、一刻も早くリアと満月の子を助け出さないとな」
「ああ。セイとフキ、みんなに任せるよ。こっちはまだやらなきゃいけない事があるからね」
アスラは目の前に見える帝都を見て言うと、ケンクもアスラの思っている事が解り小さく微笑んだ
「リアとセイの為に、な。じゃ、残りの事はこいつに纏めておくから後で読んでくれ」
「了解」
ケンクはアスラに紙を渡すとそのまま姿を消し、部屋にはアスラだけが残された
「・・・・」
アスラはケンクから貰った紙に軽く目を通すと先程よりも険しい表情を浮かべ、少しだけ強く紙を握った
「・・・はぁ・・・」
そして大きく深呼吸した後、いつもの姿に戻り気持ちを切り替えてユーリ達の後を追い駆けた
続く
あとがき
ふぃ~~、無事に此処も書き終えたーー
箱版の時は此処 カットになったけど、流れ的に書いてしまったww
リアちゃんのリボンを見つける所は戦った後にしようかと思ったけど、書き直したら何かイマイチだったので先にしました
あの部屋での会話で、レイヴンが「シュヴァーンが」と言っていたのはもう彼 は自分 じゃないと自分の中で整理が着いたからなんですよね(虚空の仮面(下巻)読んだ人ならお判りだと思いますがw)
ザギ戦は・・・まあ此処の戦いもかなりめんどいので簡単に書きましたが・・・ι
まあ後に必要な事とかも言ってるので戦闘は簡単にしてセリフの方を重視して貰えれば幸いです←
そして最後はまさかのアスラ(本性)とケンクの会話
や、ホントはレイヴンとちょっと会話して終わらせるつもりだったんですけど、そろそろアスラの心境とかも入れたいなぁ~と思ってたらこうなりましたww
アスラ達は既に?アレクセイがしようとしている事に気が付いているようですが・・・
ま、この辺りは詳しく書いちゃうとネタバレになるので書きませんがww
それは今後に期待ですww ←
良し、次は・・・あー、あそこか・・・(テンション下がった)
うん、頑張って書こう
2011.04.19
リタは慣れた手付きでモニターを操作すると制御室へと続く廊下にあった防護壁の仕掛けが解けた
「じゃあ行こう」
カロルの合図で皆制御室へと向けて歩き出した
「・・・・」
「ん? どうした、おっさん」
が、レイヴンはその少し手前にある部屋の前で止まりじっとその部屋を見つめていた
「この部屋がどうかしたんですか?」
レイヴンの後ろにいたユーリとフレンが声を掛けるとレイヴンは少しだけ複雑な表情を浮かべていた
「ん、・・いや、ちょっと・・ね・・・」
「・・・微かにだけどリアが居た気配がする」
「「「!?」」」
レイヴンが言葉を濁しているとラピードの隣にいたアスラがリアの気配を感じ取った
「リアが?」
「おい、おっさん」
ユーリとフレンの言葉でレイヴンは小さく息を吐いてぽつりと話し出した
「エステル嬢ちゃんとは別にリアちゃん、此処にいたのよ。バクティオンに行く前まではね」
「何だって」
驚いている二人の横をすり抜けレイヴンは扉を開き中に入り、少し遅れてユーリもフレンもアスラもラピードも続いた
部屋に入ると、ただ機械音が響いているだけでそれ以外は何もなかった
「今は蛻の殻、だね」
「リアもエステリーゼ様も、此処にはいないと言う事ですか?」
「リアちゃんは、ね。嬢ちゃんは分かんないけど。それとリアちゃん、シュヴァーンが同一人物だったって事に早くから気付いてたのよ」
「「「!?」」」
今は何もない部屋を見てその時の事を思い出しながらレイヴンは語った
「気付いてたって、いつからだ?」
「カドスの喉笛の時よ。あの時ルブラン達に声掛けたっしょ、その時から少し違和感を感じてたらしいのよ」
「だからあの時リアの様子が少し可笑しかったんだ」
「ワフっ!」
ユーリもアスラもその時の事を思い出しているとラピードが何かに気付き一声鳴き、床に何かが落ちている事に気付く
「これは!?」
「リアの、リボン」
そう、それはいつもリアが肌身離さず首元に付けているリボンだった
「どうしてこれが此処に落ちているんだ?」
「シュヴァーンは途中で退出したから会話した事までしか解んないのよ」
ユーリはリアのリボンを拾いレイヴンに視線を向けるが、そう言われレイヴンの表情と口調を聞く限り、その後の事は一切知らないのだとユーリもフレンも理解した
「「・・・・」」
「ちょっとあんた達、何してるのよ!」
ユーリもフレンもリアのリボンに目を移しリアの事を思っていると、いつまで経っても来ないユーリ達にリタが声を掛けた
「ほら、リタっちが呼んでるわよ。そろそろ行きましょ」
「「・・・(リア・・・)」」
レイヴンはユーリとフレンにそう声を掛け先に部屋を出て行き、ユーリもフレンもリアの無事を祈りながらアスラとラピードと共に部屋を後にした
85.囮
「なんだこりゃ?」
制御室に入ると思いも寄らぬ光景が目に入った
「親衛隊が倒されてる・・・」
この制御室の管理をしていたと思われる数人の親衛隊が一人残らず倒されていたのだ
「アスラの仲間が倒したのか?」
「いや、ボク達は何も・・・」
「待ちかねたぜぇ。ユーリ・ローウェル!」
パティの質問にアスラが答えようとしていると、アスラの言葉を遮り男の声が聞こえた
「お前は!」
ユーリ達の前に現れたのは、あのザギだった
「貴方が此処の人達を倒したのね」
「余計な邪魔を入れられたくないからなぁ」
「てめえなんぞに用はねぇ。アレクセイは何処だ? エステルを何処にやった!」
「くっくっく。居ねぇよ! そんなヤツは最初から此処には居ねぇ」
「!?」
「なんですって!」
「どういう事なのじゃ・・・!?」
「アレクセイ、この要塞すらオトリに使ったのか・・・!」
「随分、気前のいいこった。やってくれるぜ」
「成る程ね・・・ヘラクレスに俺達や騎士団を引き付けて、自分はその間にトンズラか・・・」
「アレクセイ! 何処までもむかつくヤツ」
「直ぐ追い駆けるのじゃ」
パティは踵を返して登って来た階段に向かおうとしていると、爆発が起こった
「おいおいおいおいおい! そうじゃないだろ! 喋ってる暇あるのか? さっさとお楽しみに入ろうぜぇ」
「何度も言わせるなよ。お前に用はねぇ。消えろ! 邪魔するってんなら容赦はしねぇ!」
「くっくっく・・・そうだ・・・ユ~リ。もっと怒れ! たかぶれ! 憎め! それこそが最高のスパイス! はーっはっはっは!」
「こいつ・・・怒らせる為だけに邪魔して来てるの?」
「救いようのない人ね」
「さぁ・・・逝こうぜぇ! ユーリ・ローウェル!」
言うや否、ザギは有無関係なくユーリに攻撃を仕掛けてきた
「こうなったら戦うしかないみたいだね」
「ああ。時間が惜しい。早く済ませてしまおう」
「そう簡単に倒れてくれる相手じゃないと思うけれどね」
「バイオレットペイン!!」
既に詠唱を唱え終えたリタが魔術を放つ、その隙にカロル、ラピード、パティが攻撃を仕掛ける
そのままレイヴン、ジュディス、そして元の姿に戻ったアスラの攻撃も決まっていく
「ミストラルソウル!」
「ぐっ!」
「そこだっ!」
「ぐふっ!」
次々と連携が決まっていきフレンの魔術が決まり、ザギが体制を崩した所にユーリの一撃が決まった
「くくく・・・お前は最高だ・・・ユ~~~リ~~~!」
「この粘着野郎! いい加減にしやがれ!」
「ぐはぁ!!」
ユーリはそう言って思いっきり蒼破刃を放ち、ザギに直撃しザギは窓を破って艦外へと吹き飛んでいった
「リタ!」
「解ってる!」
ザギがいなくなったのを確認するとリタはそのまま制御盤の前に移動し直ぐさま制御盤を操作した
「これで・・・おしまい!」
「・・・止まったわ」
「流石天才魔導少女」
「これでソディア達も乗り込んで来れるだろう」
皆、ヘラクレスが止まった事に安堵の息を吐いたがリタは遠くを見つめてぽつりと呟いた
「・・・エステル・・・何処に連れてかれちゃったの?」
「リタ・・・」
「アレクセイはエステルを道具としか見てない! このままエステルの力を使われちゃったら・・・ホントにエステルが星喰みを引き起こしてしまうかもしれない!」
「させないさ。だからオレ達がいる。そうだろ」
「リタ姐、元気を出すのじゃ。絶対・・・アイツを倒してエステルとリアを助け出すのじゃ・・・」
「・・・そうね」
「もう一刻の猶予もないわ。このヘラクレスもきっとヘルメス式魔導器を使ってる。これだけのものを動かしているんだもの」
「そうだね。早くアレクセイを見つけないと・・・!」
「「「「うわっ!」」」」「きゃっ!」「「うおっ!」」「っ!」
ジュディスの言葉にアスラが同意していると、突然赤い光線がユーリ達に直撃し皆吹き飛んでしまった
「っ・・、!?」
「ひゃはぁ~! ユゥゥリィ! まだ終わっちゃいねぇぇえ!」
辛うじてあまり攻撃が当たらなかったアスラが顔を上げると其処には先程窓を突き破って艦外に吹き飛ばされたザギがいた
「せ、制御盤が・・・」
「・・・また動き出した!」
今の爆発で制御盤が機動したのかヘラクレスはまた動き出してしまった
「はーっはっはっは! ユーリ! 昇り詰めようぜぇ!」
「や、やべぇ・・・体が・・・」
「だめだ・・・エステルやリアみたいな高度な治癒術じゃないとみんな同時に治せないよ」
有無を言わずの戦闘後に更に不意打ちのダメージを受けてしまい、皆思うように体が動かなかった
「此処で倒れる訳にはいかない・・・!」
「くっくっく、やっと良い声で鳴いたなぁ・・・。・・・いっちまいな!!」
ザギはユーリ達を見下したような目をし、攻撃をしようとした瞬間、
「ぬぁ!」
何処からともなく現れたゴーシュとドロワットがザギを蹴り飛ばし、トドメの一撃と言わんばかりの弾丸が部屋の入り口から放たれた
「ああああぁぁぁぁぁ!」
それはザギに直撃し、ザギはまた艦外の海へと落ちていった
「ふっふん。ビュリフォーなシャウトですねー」
武器を納めながらそう言うと、ゴーシュとドロワットがユーリ達に治癒術を掛けた
「イエガー! てめぇ何のつもりだ」
ユーリは聞き覚えのある声が聞こえ部屋の入り口を見ると、不敵に笑っているイエガーがいた
「またうちらの邪魔をする気か!?」
「ミーのビジネスにとって帝国ばかりがパワフルになるのは都合がバッドバッドなのでーす」
「アレクセイはザーフィアスにいる」
「帝都ザーフィアスの御剣の階梯に秘密があるのだわん」
「宙の戒典がキーとしてニードなはずだったのに、ユー達のプリンセスで代用しようとしてマース」
「なんですって!」
「エステリーゼ様をどうしようと言うんだ!」
「話し込んでる場合じゃなさそうよ」
イエガーの言葉に驚いているとジュディスの冷静な声が聞こえ外を見ると帝都が見え始めていた
「こりゃまずいな。このままじゃザーフィアスの下町はぺしゃんこだ」
「ちっ! リタ!」
「無理よ! 完全に壊れちゃってる!」
リタは制御盤を操作しようとしていたが、ザギの攻撃が当たった所為で制御盤が完全に壊れてしまって操作が出来なくなってしまっていた
「動力を止めるしかないよ!」
「頑張るでーす! じゃ、そう言う訳でシーユー!」
「あ、待つのじゃ!」
言うや否、イエガー達はいつものように煙幕を張ってあっという間にいなくなっていた
「イエガーめ」
「奴の狙いは何なんだ?」
「それは後で考えましょ。早くヘラクレスを止めないと」
「うん。あんまりのんびりとしてたら本当にザーフィアスが無くなっちゃうよ」
「解ってる。動力室へ向かうぞ」
ジュディスとアスラとユーリの言葉に皆一斉に頷き急いで部屋を出て行った
「イエガー・・・次は絶対逃がさない!」
カロルは決意の籠もった声で言うとユーリ達の後を追いかけて行った
「凛々の明星の首領とはいえ、イエガーだけは、譲る訳にゃあいかないよね」
カロルの様子を見ていたレイヴンはいつもより真剣な表情と口調で言った後、少しだけ気持ちを切り替えたような顔をして制御室を後にした
「・・・満月の子を代用・・か」
機械音が鳴り響く中、アスラは宙を見上げてぽつりと呟いた
「リアと満月の子を連れてって事は、狙いは一つじゃないのか?」
そう声が聞こえた途端、アスラの前に金髪の青年が現れた
「ケンク。珍しいね、こっちに出て来てるなんて」
「セイと故郷からの伝言伝えに来たんだよ。それより、」
「ああ」
ケンクの言葉に頷くと先程までとは違う張り詰めた空気が辺りを包み、アスラは元の姿に戻った
「アレクセイの野郎、リアとエステル、言霊使いの姫と満月の子を連れてるって事はアレを復活させるつもりか?」
「・・・かもしれない。セイやフキ、故郷でも似たような話が出てたからな。奴が何処まで情報を手にしてるかは解らないけどな」
いつもとは違う口調で話すアスラだが、此処には同じ神将であるケンクしかいないし、アスラがこう言う口調になる事も知っているのでその事を気にする事なく話しを進める
「とにかく、一刻も早くリアと満月の子を助け出さないとな」
「ああ。セイとフキ、みんなに任せるよ。こっちはまだやらなきゃいけない事があるからね」
アスラは目の前に見える帝都を見て言うと、ケンクもアスラの思っている事が解り小さく微笑んだ
「リアとセイの為に、な。じゃ、残りの事はこいつに纏めておくから後で読んでくれ」
「了解」
ケンクはアスラに紙を渡すとそのまま姿を消し、部屋にはアスラだけが残された
「・・・・」
アスラはケンクから貰った紙に軽く目を通すと先程よりも険しい表情を浮かべ、少しだけ強く紙を握った
「・・・はぁ・・・」
そして大きく深呼吸した後、いつもの姿に戻り気持ちを切り替えてユーリ達の後を追い駆けた
続く
あとがき
ふぃ~~、無事に此処も書き終えたーー
箱版の時は
リアちゃんのリボンを見つける所は戦った後にしようかと思ったけど、書き直したら何かイマイチだったので先にしました
あの部屋での会話で、レイヴンが「シュヴァーンが」と言っていたのはもう
ザギ戦は・・・まあ此処の戦いもかなりめんどいので簡単に書きましたが・・・ι
まあ後に必要な事とかも言ってるので戦闘は簡単にしてセリフの方を重視して貰えれば幸いです←
そして最後はまさかのアスラ(本性)とケンクの会話
や、ホントはレイヴンとちょっと会話して終わらせるつもりだったんですけど、そろそろアスラの心境とかも入れたいなぁ~と思ってたらこうなりましたww
アスラ達は既に?アレクセイがしようとしている事に気が付いているようですが・・・
ま、この辺りは詳しく書いちゃうとネタバレになるので書きませんがww
それは今後に期待ですww ←
良し、次は・・・あー、あそこか・・・(テンション下がった)
うん、頑張って書こう
2011.04.19