救出編
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封印結界を解き、更に奥に進み最深部らしき所に近付くに連れ、人の声が聞こえる
「あの声は、アレクセイ!」
「どうやらあこそが最深部のようね」
「あこそにエステルが!!」
「急ぐぞ!!」
「ああ!」「「うん!」」「「ええ」」「うむ」「ワン!」
更に走る速度を上げてユーリ達は最深部へと足を踏み入れた
83.二つの顔を持つ男
「エステル、無事か!」
「エステリーゼ様!!」
「エステル!」
「助けに来たのじゃ!」
「また君達か。どこまでも分を弁えない連中だな」
「ユーリ! フレン! みんな!」
「エステル、今助けてあげる!」
「ふん。お前達に姫は救えぬ。救えるのはこの私だけ」
「ぶざけろ!」
「道具は使われてこそ、その本懐を遂げるのだよ。世界の毒も正しく使えば、それは得難い福音となる。それが出来るのは私だけだ」
そう言うとアレクセイはエステルの方を向いて、また言葉を続ける
「姫、私と来なさい。私がいなければ、貴女の力は・・・」
「アレクセイ!!」
「きゃあああ!」
アレクセイはそう言って聖核をエステルの方に向けるとエステルの力に反応して、その衝撃がエステルに当り、エステルは苦しそうに悲鳴を上げた
「やめなさい、アレクセイ! あっ!」
ジュディスがエステルの元に向かうとしていると、赤い光が発せられユーリ達は歩みを止めた
「ジュディス!」
「ぐ・・・あ・・・」
「アスタル!!」
更にその光はアレクセイの近くで横たわっているアスタルに当り悲鳴を上げる
「ははは、何が始祖の隷長か。何が世界の支配者か」
「やめろ!! エステルを放せ!」
「死んだか。あっけなかった」
「っ!」
「そんな・・・」
アレクセイはユーリの言葉を聞き流し、アスタルへと近付いて行き、アスラとジュディスは顔を歪めアスタルを見て、エステルもショックを受けた顔をしていた
「思ったより小ぶりだな。まあ使い道はいくらでもある」
アレクセイはそう言って聖核になったアスタルの聖核を拾い、懐に入れた
「貴様・・・」
「そうだ、せっかく来たのだ。諸君も洗礼を受けるが良い。姫が手ずから刺激したエアルのな」
言うとアレクセイはユーリ達の近くに移動して、また聖核を高く掲げるとまた赤い光が放たれユーリ達はその場から動けなくなった
「うわあああ!」
「ううっ!」
「っ!!」
「いや! もうやめて!!」
カロルとリタが苦しそうに悲鳴を上げると、エステルも叫んでいた
「く・・・っだらぁ!」
ユーリは力を振り絞って宙の戒典を取り出し、それを宙に掲げる
途端、エアルの乱れは消え、正常な空気に戻った
「なんだと? 何故貴様がその剣を持っている? デュークはどうした?」
アレクセイは目を細めてユーリが持っている宙の戒典に目をやる
「あいつならこの剣寄越してどっかいっちまったぜ。てめえなんぞに用はないそうだ」
「・・・皮肉なものだな。長年追い求めた物が不要になった途端、転がり込んでくるとは」
「・・・不要?」
「そう、満月の子と聖核、そしてあの娘と我が知識があればもはや宙の戒典など不要」
「あの娘って・・・もしかして」
「リアの事!!」
それには此処にいた全員が反応しエステルも驚いてアレクセイを見た
「てめえ、リアを何処にやった!!」
「彼女は此処にはいない。別の所にいる。此処には姫の力が必要だったからな」
「もう一度聞くぜ。リアは何処だ?」「アレクセイ、リアは何処だ?」
ユーリは剣を握り直しさっきよりも低いトーンで言い、隣にいたフレンもアレクセイを睨み付けた
「そうだな・・・君達と彼女にとっても大事な場所の近く、とだけ言っておこうか」
「オレ達とリアにって大事な場所の近く・・・?」「僕達とリアにって大事な場所の近く・・・?」
その言葉にユーリとフレンは疑問を持っているとリタがエステルを返せと叫んでいるのが聞こえ、視線を前へと戻した
「ふん。姫がそれを望まれるかな?」
「・・・・・」
「エステリーゼ様!?」
「エステル! どうしたのよ、エステル!」
「・・・分からない」
「何言ってんだよ!」
「一緒にいたらわたし、みんなを傷つけてしまう。でも・・・一緒いたい! わたし、どうしたら良いのか解らない!」
「エステル! しっかりするのじゃ!」
「四の五の言うな! 来い! エステル! わかんねぇ事はみんなで考えりゃ良いんだ!」
「ユーリ・・・!」
ユーリはそこで言葉を切り走り出すとカロル達も走り出したが、直ぐにさっきの光で弾き飛ばされ悲鳴を上げてしまう
「もう・・・イヤ・・・」
「いかんな、ローウェル君。ご婦人のエスコートとしてはいささか強引過ぎやしないかね。紳士的ではないな」
「生憎、紳士と無縁の下町育ちでな。行儀と諦めの悪さは勘弁してくれ」
「今となってはその剣は邪魔以外の何物でもない。此処で消えてもらう」
アレクセイはそう言うとエステルを連れて、出口へと向かい出し後を追おうとしていると、入れ違いで何人もの騎士がユーリ達の前に現れた
「あんた達、そこをどきなさい!」
リタがそう叫んでいると騎士達は入り口の方を向き、敬礼をしユーリ達も視線をそっちに向ける
すると、一人の男が入って来た
男は騎士達の前に止まり何か命じると騎士達は出口の方へ走って行き、その男だけが残った
「あいつは!?」
「シュヴァーン隊長・・・!」
「いつも部下に任せきりで顔見せなかったクセに、どういう風の吹き回しだ?」
「ワンワンワン!」
「どうした、ラピード」
途端、ラピードがシュヴァーンを見て鳴いた
が、その声は警戒した声ではなく、何か懐かしんでいるような声だった
「・・・やはり犬の鼻は誤魔化せんか」
「!?」
「・・・この声・・・まさか・・・レイヴン?」
「はえ? おっさん!? どういう事じゃ!?」
ユーリ達はその声を聞いて一瞬耳を疑った
だがシュヴァーンが顔を上げてユーリ達を見た瞬間、今度はその目を疑った
「冗談・・・って訳じゃなさそうね」
「ギルドユニオンの幹部が騎士団の隊長!?」
「初めて会った時、まさかとは思ったが・・・」
「成る程な、そう言う事かよ」
「そんな! だってドンは・・・ねえレイヴン!」
「騎士団長だけでなく貴方まで・・・何故です!」
「俺の任務はお前達とお喋りする事ではない」
「レイヴン・・・!」
みんな動揺しているのか次々と言葉を発するがシュヴァーンはそれを綺麗に切り捨てユーリ達を見据えた
「こっちは急いでるんだ。通してくれない」
「それとも本気 でやり合うつもりか?」
ユーリとアスラの問いに、シュヴァーンは剣を抜いて答えた
「バッカやろうが!」
「帝国騎士団隊長主席、シュヴァーン・オルトレイン、・・・参る」
シュヴァーンはそのままユーリ達に斬り掛かって来た
「悪ぃけど、おっさんだからって手加減しねえぜ!」
「全力でお手合わせ頂けて光栄だな!」
「隊長・・・貴方と戦う日が来るなんて・・・」
「君と戦う機会が出来て、俺は嬉しい」
ユーリとフレンと剣を交えそう言うと今度はカロルが悲しそうな声を出して言う
「レイヴン、何で・・・何でなの?」
「何度でも言おう。俺はレイヴンなどという人間ではない!」
「あんたなんて・・・大っ嫌いよっ!!」
「ふっ・・・。嫌われたものだな」
反撃しながら、リタはいつも以上に大きな声でそう叫ぶ
「貴方と戦わなきゃいけないなんて、とても悲しい宿命ね」
「俺も悲しいよ。貴女のような美しい方と戦わなければいけないとは」
「いつもその調子でやってくれよ!」
「いつもとは、どのいつもの事だ!?」
「ボク・・・レイヴンの事好きだったんだよ・・・」
「・・・残念だったな。・・・此処にその本人がいなくて」
「うちらの事が嫌いになったのか・・・?」
「好きも嫌いもない。俺は命令に従うまで」
「絶対に許さないわ・・・許してたまるか・・・」
「・・・敵対する者に・・・許されるものはない!」
「貴方・・・まさか此処で死ぬつもりなのかしら?」
「戦場では何時だって死ぬ覚悟・・・。故に、手は抜かぬ!」
更に戦力を上げてユーリ達に向かって来る
「っ、厄介な相手になったね」
元の姿に戻っていたアスラが今の状況を見てぽつりと呟いた
こっちは七人と一匹、この人数で相手してるにも関わらず、息一つ上がっていない
流石は帝国騎士団隊長主席というやつだ
けど、この状況がいつまでも続かせる訳にはいかない
エステルの事もだが、ユーリとフレンは何よりリアの事が心配だった
さっきのアレクセイの言い草だとリアもアレクセイの計画に必要みたいだったからだ
「戦闘中に考え事とは余裕なものだな」
互いに剣を交わらせ、跳ね除け数歩下がる
「生憎と、こっちは考えなきゃいけねえ事が山程あんだよ」
「ふん。満月の子・・・いや、言霊使いの娘の方か」
「やっぱエステルとリアを攫ったの、あんたなのか?」
「そうだ」
「なんで!!」
「それが俺の任務だったからだ」
「でも何故リアまで?」
「そこまでは知らぬ。必要だから連れて来いと命じられただけだ」
「満月の子に、聖核・・・そして言霊使い・・・宙の戒典が不要・・・」
シュヴァーンの言葉を聞き小さくアスラが何か呟いていた
「さて、お喋りは此処までだ」
剣を翳し更にさっきまでとは違う力を感じ、ユーリ達は警戒を強め相手を始めた
キイィィン
剣の混じり合う音、魔術が発動してぶつかり合う音がもう何度も響いている
かなりの時間こうして戦り合っていると、流石にお互いに体力が落ちてくる
ユーリ達は荒い息を整えていると、息を整えたシュヴァーンがユーリに向かって来て剣を振るう
互いに剣を交わらせ跳ね返していると、シュヴァーンが急に剣を降ろした
そしてその隙を見てユーリは一撃を入れる
「ぐぅっ」
「なっ!」
「これは!?」
「っ!!」
斬った所を見てユーリは思わず声を出し、後ろにいたフレン達も驚いていた
「ふ・・・今の一撃でもまだ死なないとは・・・因果な体だ・・・」
「な、何よ、これ、魔導器・・・胸に埋め込んであるの!?」
シュヴァーンの心臓近く、いや、心臓には魔導器が埋め込まれていた
「・・・心臓だよ。魔導器が代わりを果たしてる」
「・・・自前のは10年前に失くした」
「10年前って・・・人魔戦争?」
「あの戦争で俺は死んだはずだった。だが、アレクセイがこれで生き返らせた」
「あの男、そんな事までしとったのか・・・」
「・・・なら、それもヘルメス式と言う事? 何故バウルは気付かなかったの・・・?」
シュヴァーンは少し視線を逸らして口を開く
「多分、こいつがエアルの代わりに俺の生命力で動いてるからだろう」
「・・・生命力で動く魔導器、そんな・・・」
その途端、大きな揺れがした
「何?」
揺れが収まると、ユーリ達が来た出口が今の揺れで落ちてきた天井の破片で埋められてしまった
「大変じゃ! 閉じ込められたのじゃ!」
「・・・アレクセイだな。生き埋めにするつもりだ」
「馬鹿な、貴方がいるのに」
「今や不要になったその剣でさえ始末出来れば良い、そう言う事だろう」
「それでエステル使ってデュークを誘き寄せたって訳か。つくづくえげつない野郎だぜ」
シュヴァーンは黙ってその場に座り込んでいた
「ちょっと、おっさん! 何でそんなに落ち着いてんのよ!」
「俺にとってはようやく訪れた終わりだ」
「初めから・・・此処を生きて出るつもりがなかったのね」
「シュヴァーン隊長・・・」
シュヴァーンはジュディスの問いに答えず、俯いたままだった
「一人で勝手に終わった気になってんじゃねぇ!」
その態度に腹を立てたユーリはシュヴァーンの所に行き、肩を揺らしながら怒鳴った
「オレ達との旅が全部芝居だったとしてもだ、ドンが死んだ時の怒り、あれも演技だってのか? 最後までケツ持つのがギルド流・・・ドンの遺志じゃねぇのか! 最後までしゃんと生きやがれ!」
微かな振動が響く中、ユーリの声も辺りに響き、張り詰めた沈黙が訪れた
「・・・ホント、容赦ねえあんちゃんだねえ」
そして俯いたままだったシュヴァーンは小さく笑ったような声で言い立ち上がるとカロルがユーリとフレンとシュヴァーンの側に駆けつけた
そしてユーリ達を見て小さく頷き出口の方に弓を構え、矢を放つと大きな爆発が起き、岩が粉々に砕けた
出口が開き、一歩踏み出すとまた振動がし、天井が落ちてきそうになっていた
「危ない!!」
「く! 間に合わねぇ」
パティとユーリが言うと同時に天井はユーリ達の上に落ちてきた
だが、いつまで経っても衝撃が来ないと思い振り返ると、シュヴァーンが頭から血を流しながらその岩を支えていた
「レイヴン!?」
「ちょっと! 生命力の落ちてるあんたが今魔導器でそんな事したら!」
「長くは保たない・・・早く脱出しろ」
「おっさん!」「レイヴン!」「シュヴァーン隊長!」
「アレクセイは帝都に向かった。そこで計画を最終段階に進めるつもりだ。多分、リアちゃんもそこにいる」
「「!」」
その言葉にユーリとフレンの目が少しだけ見開いた
シュヴァーンはそれを見て小さく笑い、アスラやリタ達も見て続ける
「後は・・・お前達次第だ」
「レイヴン! レイヴン!!」
「・・・行くぞ、カロル」
「でも!」
「行くんだ!」
ユーリはそう叫ぶとフレン達と先に出口へと向かい、カロルはレイヴンを見た後、急いで出口へと走り出した
「・・・・・」
アスラはカロルが来たのを確認するとちらりとレイヴンを見てその場を離れた
「ふっ。ガラにもなかったか、な・・・」
ユーリ達がいなくなったのを確認すると、レイヴンはそう小さく呟き、
その後は瓦礫が崩れ落ちる音が神殿内に響いた
*
「うぅぅ・・・レイヴン・・・」
最深部からだいぶ離れた所でユーリ達は一旦足を止め、カロルが地面に両手と膝を着いて泣き出し、リタも今にも泣きそうな顔をしていた
「バカよ・・・やっぱり仲間だったんじゃない・・・バカ・・・バカぁ!!」
「なんでじゃ、なんでこんな・・・」
リタは悔しそうにそう叫ぶとパティも悲しげな声を出し、フレンと後ろを向いていたジュディスが振り返ってリタとカロルとパティを見ていた
「ぐずぐずすんな! リアとエステル助けるんだろうが! とっとと走れ!」
「さあ、早く」
ユーリとフレンの言葉にカロルは立ち上がり、走り出したのを見るとフレンがカロル達を連れて先に走って行った
「損な役回りね、ユーリ」
「・・・別に。実際ぐずぐずしてられねぇだろ」
「・・・だね。行こう」
言うとユーリはアスラの横をすり抜けて行き、ジュディスも後を追おうとしていたがアスラが難しい顔をしている事に気が付く
「どうかした?」
「・・・ううん。なんでも」
アスラは何かを思っている顔をしたが直ぐに目を瞑って首を横に振り、ジュディスと一緒にユーリ達の後を追った
*
外に出るともうヘラクレスの姿は何処にもなかった
「ヘラクレスがいない!?」
「レイヴンが言った通り、ザーフィアスに向かったんだろうな」
「アレクセイが言ってたユーリとフレンとリアにとって大事な場所って、ザーフィアスの事だったんだね」
「ただ、その後に近く、と言っていたわ」
「それが何処か把握出来ないと・・・」
「ユ、ユーリ・ローウェル!? 何故、此処にいる!?!? それにフレン殿も!?」
みんなと話していると入り口の方から聞き覚えのある声が聞こえ、皆一斉に顔を向けると
「ルブラン!? それに、デコとボコもか」
「デコと言うなであ~る!」「ボコじゃないのだ!」
「ばかも~ん! そんな事言っている場合か!」
シュヴァーン隊のお馴染みのルブラン達が走って来た所だった
そしていつものお決まり台詞を言うとルブランが二人を怒鳴り、踵を返してフレンの方に歩いて来た
「丁度良かった、フレン殿、我等がシュヴァーン隊長を見ませんでしたかな?」
シュヴァーン、という言葉にカロルは顔を俯けてしまう
「単身、騎士団長閣下と共に行動されたきり、まるで連絡が着かんのです。どうも最近の団長閣下は何をお考えなのか・・・親衛隊は何も教えてくれんし。あちこちあたってみて、やっと此処まで来たんでありますが・・・」
「・・・・」
その言葉を聞きフレンも黙り込んでしまい、代わりに答えたのは後ろにいたユーリだった
「アレクセイは帝都に向かった。ヘラクレスでな」
「なんと、入れ違いか!? それでシュヴァーン隊長は・・・」
その言葉に今度はリタが顔を俯けて握り拳を作っていた
「レ・・・シュヴァーンはボク達を助けてくれたんだ」
カロルは小さな声で答える
「おお、そうか! で、今はヘラクレスか?」
「・・・神殿の中よ。一番奥」
ジュディスが静かに答えるとまた神殿の中から大きな振動が響いて、ユーリ達がいるこの場所にもその振動は響いた
その揺れに皆顔を上げ、神殿を見た
「「「「「「・・・・」」」」」」
揺れが収まるとカロルとリタはまた俯き、そしてユーリ達も目を伏せた
「え・・・?」
「ちょ・・・お・・・」
「・・・まさか、おい、そうなのか、そんな!」
ユーリ達の表情を見てルブラン達は信じられないと言う顔をして固まった
だが、ルブランだけは言葉を続ける
「どういう事なんです。フレン殿、答えて下さい、フレン殿!!」
「アレクセイの所為であたし達死にそうになったのよ! それを助けてくれたのがあんた等のシュヴァーンよ!」
「あの人は・・・本当の騎士だった」
リタは悔しそうに言い放ち、フレンも少しだけ声が震えていた
「アレクセイは帝国にも内緒でなんかヤバイ事をしようとしているらしい。オレ達はそれを止めに行く。あんた等も騎士の端くれなら頼むから邪魔しないでくれ」
「・・・そんな・・・何がどうして・・・」
ルブランはそのまま膝を着いてそう呟いき、アデコールもボッコスも言葉を失っていた
「早くしないとヘラクレスに逃げられるのじゃ」
「急ぎましょう。バウルを呼ぶわ」
その直後バウルの声が聞こえ、フィエルティア号に乗ってヘラクレスの後を追い始めた
続く
あとがき
何とか書き終わりました
うん、やっぱ此処は泣けるよ
書き上げる時に動画見たりシナリオブック見たり、そして虚空の仮面(下巻)読み返したりしてたので余計に泣けます!!
因みに虚空の仮面(下巻)の方ではこの後ルブラン達が良い仕事をしてくれてます!!
ネタバレになりそうなので知りたい方は是非とも読んで下さいww
そして劇場版見た後に思った事をちょっとだけプラスしてみました
シュヴァーンの最後の所がユーリとフレンには絶対にナイレンさんと被って見えたんじゃないかと・・・
だからあそこでアスラが難しい顔をしていたんです
・・・これ以上書いてるとまたテンション下がっちゃいそうなのでさっさか次行きます!(回れ右!ww)
2010.11.09
「あの声は、アレクセイ!」
「どうやらあこそが最深部のようね」
「あこそにエステルが!!」
「急ぐぞ!!」
「ああ!」「「うん!」」「「ええ」」「うむ」「ワン!」
更に走る速度を上げてユーリ達は最深部へと足を踏み入れた
83.二つの顔を持つ男
「エステル、無事か!」
「エステリーゼ様!!」
「エステル!」
「助けに来たのじゃ!」
「また君達か。どこまでも分を弁えない連中だな」
「ユーリ! フレン! みんな!」
「エステル、今助けてあげる!」
「ふん。お前達に姫は救えぬ。救えるのはこの私だけ」
「ぶざけろ!」
「道具は使われてこそ、その本懐を遂げるのだよ。世界の毒も正しく使えば、それは得難い福音となる。それが出来るのは私だけだ」
そう言うとアレクセイはエステルの方を向いて、また言葉を続ける
「姫、私と来なさい。私がいなければ、貴女の力は・・・」
「アレクセイ!!」
「きゃあああ!」
アレクセイはそう言って聖核をエステルの方に向けるとエステルの力に反応して、その衝撃がエステルに当り、エステルは苦しそうに悲鳴を上げた
「やめなさい、アレクセイ! あっ!」
ジュディスがエステルの元に向かうとしていると、赤い光が発せられユーリ達は歩みを止めた
「ジュディス!」
「ぐ・・・あ・・・」
「アスタル!!」
更にその光はアレクセイの近くで横たわっているアスタルに当り悲鳴を上げる
「ははは、何が始祖の隷長か。何が世界の支配者か」
「やめろ!! エステルを放せ!」
「死んだか。あっけなかった」
「っ!」
「そんな・・・」
アレクセイはユーリの言葉を聞き流し、アスタルへと近付いて行き、アスラとジュディスは顔を歪めアスタルを見て、エステルもショックを受けた顔をしていた
「思ったより小ぶりだな。まあ使い道はいくらでもある」
アレクセイはそう言って聖核になったアスタルの聖核を拾い、懐に入れた
「貴様・・・」
「そうだ、せっかく来たのだ。諸君も洗礼を受けるが良い。姫が手ずから刺激したエアルのな」
言うとアレクセイはユーリ達の近くに移動して、また聖核を高く掲げるとまた赤い光が放たれユーリ達はその場から動けなくなった
「うわあああ!」
「ううっ!」
「っ!!」
「いや! もうやめて!!」
カロルとリタが苦しそうに悲鳴を上げると、エステルも叫んでいた
「く・・・っだらぁ!」
ユーリは力を振り絞って宙の戒典を取り出し、それを宙に掲げる
途端、エアルの乱れは消え、正常な空気に戻った
「なんだと? 何故貴様がその剣を持っている? デュークはどうした?」
アレクセイは目を細めてユーリが持っている宙の戒典に目をやる
「あいつならこの剣寄越してどっかいっちまったぜ。てめえなんぞに用はないそうだ」
「・・・皮肉なものだな。長年追い求めた物が不要になった途端、転がり込んでくるとは」
「・・・不要?」
「そう、満月の子と聖核、そしてあの娘と我が知識があればもはや宙の戒典など不要」
「あの娘って・・・もしかして」
「リアの事!!」
それには此処にいた全員が反応しエステルも驚いてアレクセイを見た
「てめえ、リアを何処にやった!!」
「彼女は此処にはいない。別の所にいる。此処には姫の力が必要だったからな」
「もう一度聞くぜ。リアは何処だ?」「アレクセイ、リアは何処だ?」
ユーリは剣を握り直しさっきよりも低いトーンで言い、隣にいたフレンもアレクセイを睨み付けた
「そうだな・・・君達と彼女にとっても大事な場所の近く、とだけ言っておこうか」
「オレ達とリアにって大事な場所の近く・・・?」「僕達とリアにって大事な場所の近く・・・?」
その言葉にユーリとフレンは疑問を持っているとリタがエステルを返せと叫んでいるのが聞こえ、視線を前へと戻した
「ふん。姫がそれを望まれるかな?」
「・・・・・」
「エステリーゼ様!?」
「エステル! どうしたのよ、エステル!」
「・・・分からない」
「何言ってんだよ!」
「一緒にいたらわたし、みんなを傷つけてしまう。でも・・・一緒いたい! わたし、どうしたら良いのか解らない!」
「エステル! しっかりするのじゃ!」
「四の五の言うな! 来い! エステル! わかんねぇ事はみんなで考えりゃ良いんだ!」
「ユーリ・・・!」
ユーリはそこで言葉を切り走り出すとカロル達も走り出したが、直ぐにさっきの光で弾き飛ばされ悲鳴を上げてしまう
「もう・・・イヤ・・・」
「いかんな、ローウェル君。ご婦人のエスコートとしてはいささか強引過ぎやしないかね。紳士的ではないな」
「生憎、紳士と無縁の下町育ちでな。行儀と諦めの悪さは勘弁してくれ」
「今となってはその剣は邪魔以外の何物でもない。此処で消えてもらう」
アレクセイはそう言うとエステルを連れて、出口へと向かい出し後を追おうとしていると、入れ違いで何人もの騎士がユーリ達の前に現れた
「あんた達、そこをどきなさい!」
リタがそう叫んでいると騎士達は入り口の方を向き、敬礼をしユーリ達も視線をそっちに向ける
すると、一人の男が入って来た
男は騎士達の前に止まり何か命じると騎士達は出口の方へ走って行き、その男だけが残った
「あいつは!?」
「シュヴァーン隊長・・・!」
「いつも部下に任せきりで顔見せなかったクセに、どういう風の吹き回しだ?」
「ワンワンワン!」
「どうした、ラピード」
途端、ラピードがシュヴァーンを見て鳴いた
が、その声は警戒した声ではなく、何か懐かしんでいるような声だった
「・・・やはり犬の鼻は誤魔化せんか」
「!?」
「・・・この声・・・まさか・・・レイヴン?」
「はえ? おっさん!? どういう事じゃ!?」
ユーリ達はその声を聞いて一瞬耳を疑った
だがシュヴァーンが顔を上げてユーリ達を見た瞬間、今度はその目を疑った
「冗談・・・って訳じゃなさそうね」
「ギルドユニオンの幹部が騎士団の隊長!?」
「初めて会った時、まさかとは思ったが・・・」
「成る程な、そう言う事かよ」
「そんな! だってドンは・・・ねえレイヴン!」
「騎士団長だけでなく貴方まで・・・何故です!」
「俺の任務はお前達とお喋りする事ではない」
「レイヴン・・・!」
みんな動揺しているのか次々と言葉を発するがシュヴァーンはそれを綺麗に切り捨てユーリ達を見据えた
「こっちは急いでるんだ。通してくれない」
「それとも
ユーリとアスラの問いに、シュヴァーンは剣を抜いて答えた
「バッカやろうが!」
「帝国騎士団隊長主席、シュヴァーン・オルトレイン、・・・参る」
シュヴァーンはそのままユーリ達に斬り掛かって来た
「悪ぃけど、おっさんだからって手加減しねえぜ!」
「全力でお手合わせ頂けて光栄だな!」
「隊長・・・貴方と戦う日が来るなんて・・・」
「君と戦う機会が出来て、俺は嬉しい」
ユーリとフレンと剣を交えそう言うと今度はカロルが悲しそうな声を出して言う
「レイヴン、何で・・・何でなの?」
「何度でも言おう。俺はレイヴンなどという人間ではない!」
「あんたなんて・・・大っ嫌いよっ!!」
「ふっ・・・。嫌われたものだな」
反撃しながら、リタはいつも以上に大きな声でそう叫ぶ
「貴方と戦わなきゃいけないなんて、とても悲しい宿命ね」
「俺も悲しいよ。貴女のような美しい方と戦わなければいけないとは」
「いつもその調子でやってくれよ!」
「いつもとは、どのいつもの事だ!?」
「ボク・・・レイヴンの事好きだったんだよ・・・」
「・・・残念だったな。・・・此処にその本人がいなくて」
「うちらの事が嫌いになったのか・・・?」
「好きも嫌いもない。俺は命令に従うまで」
「絶対に許さないわ・・・許してたまるか・・・」
「・・・敵対する者に・・・許されるものはない!」
「貴方・・・まさか此処で死ぬつもりなのかしら?」
「戦場では何時だって死ぬ覚悟・・・。故に、手は抜かぬ!」
更に戦力を上げてユーリ達に向かって来る
「っ、厄介な相手になったね」
元の姿に戻っていたアスラが今の状況を見てぽつりと呟いた
こっちは七人と一匹、この人数で相手してるにも関わらず、息一つ上がっていない
流石は帝国騎士団隊長主席というやつだ
けど、この状況がいつまでも続かせる訳にはいかない
エステルの事もだが、ユーリとフレンは何よりリアの事が心配だった
さっきのアレクセイの言い草だとリアもアレクセイの計画に必要みたいだったからだ
「戦闘中に考え事とは余裕なものだな」
互いに剣を交わらせ、跳ね除け数歩下がる
「生憎と、こっちは考えなきゃいけねえ事が山程あんだよ」
「ふん。満月の子・・・いや、言霊使いの娘の方か」
「やっぱエステルとリアを攫ったの、あんたなのか?」
「そうだ」
「なんで!!」
「それが俺の任務だったからだ」
「でも何故リアまで?」
「そこまでは知らぬ。必要だから連れて来いと命じられただけだ」
「満月の子に、聖核・・・そして言霊使い・・・宙の戒典が不要・・・」
シュヴァーンの言葉を聞き小さくアスラが何か呟いていた
「さて、お喋りは此処までだ」
剣を翳し更にさっきまでとは違う力を感じ、ユーリ達は警戒を強め相手を始めた
キイィィン
剣の混じり合う音、魔術が発動してぶつかり合う音がもう何度も響いている
かなりの時間こうして戦り合っていると、流石にお互いに体力が落ちてくる
ユーリ達は荒い息を整えていると、息を整えたシュヴァーンがユーリに向かって来て剣を振るう
互いに剣を交わらせ跳ね返していると、シュヴァーンが急に剣を降ろした
そしてその隙を見てユーリは一撃を入れる
「ぐぅっ」
「なっ!」
「これは!?」
「っ!!」
斬った所を見てユーリは思わず声を出し、後ろにいたフレン達も驚いていた
「ふ・・・今の一撃でもまだ死なないとは・・・因果な体だ・・・」
「な、何よ、これ、魔導器・・・胸に埋め込んであるの!?」
シュヴァーンの心臓近く、いや、心臓には魔導器が埋め込まれていた
「・・・心臓だよ。魔導器が代わりを果たしてる」
「・・・自前のは10年前に失くした」
「10年前って・・・人魔戦争?」
「あの戦争で俺は死んだはずだった。だが、アレクセイがこれで生き返らせた」
「あの男、そんな事までしとったのか・・・」
「・・・なら、それもヘルメス式と言う事? 何故バウルは気付かなかったの・・・?」
シュヴァーンは少し視線を逸らして口を開く
「多分、こいつがエアルの代わりに俺の生命力で動いてるからだろう」
「・・・生命力で動く魔導器、そんな・・・」
その途端、大きな揺れがした
「何?」
揺れが収まると、ユーリ達が来た出口が今の揺れで落ちてきた天井の破片で埋められてしまった
「大変じゃ! 閉じ込められたのじゃ!」
「・・・アレクセイだな。生き埋めにするつもりだ」
「馬鹿な、貴方がいるのに」
「今や不要になったその剣でさえ始末出来れば良い、そう言う事だろう」
「それでエステル使ってデュークを誘き寄せたって訳か。つくづくえげつない野郎だぜ」
シュヴァーンは黙ってその場に座り込んでいた
「ちょっと、おっさん! 何でそんなに落ち着いてんのよ!」
「俺にとってはようやく訪れた終わりだ」
「初めから・・・此処を生きて出るつもりがなかったのね」
「シュヴァーン隊長・・・」
シュヴァーンはジュディスの問いに答えず、俯いたままだった
「一人で勝手に終わった気になってんじゃねぇ!」
その態度に腹を立てたユーリはシュヴァーンの所に行き、肩を揺らしながら怒鳴った
「オレ達との旅が全部芝居だったとしてもだ、ドンが死んだ時の怒り、あれも演技だってのか? 最後までケツ持つのがギルド流・・・ドンの遺志じゃねぇのか! 最後までしゃんと生きやがれ!」
微かな振動が響く中、ユーリの声も辺りに響き、張り詰めた沈黙が訪れた
「・・・ホント、容赦ねえあんちゃんだねえ」
そして俯いたままだったシュヴァーンは小さく笑ったような声で言い立ち上がるとカロルがユーリとフレンとシュヴァーンの側に駆けつけた
そしてユーリ達を見て小さく頷き出口の方に弓を構え、矢を放つと大きな爆発が起き、岩が粉々に砕けた
出口が開き、一歩踏み出すとまた振動がし、天井が落ちてきそうになっていた
「危ない!!」
「く! 間に合わねぇ」
パティとユーリが言うと同時に天井はユーリ達の上に落ちてきた
だが、いつまで経っても衝撃が来ないと思い振り返ると、シュヴァーンが頭から血を流しながらその岩を支えていた
「レイヴン!?」
「ちょっと! 生命力の落ちてるあんたが今魔導器でそんな事したら!」
「長くは保たない・・・早く脱出しろ」
「おっさん!」「レイヴン!」「シュヴァーン隊長!」
「アレクセイは帝都に向かった。そこで計画を最終段階に進めるつもりだ。多分、リアちゃんもそこにいる」
「「!」」
その言葉にユーリとフレンの目が少しだけ見開いた
シュヴァーンはそれを見て小さく笑い、アスラやリタ達も見て続ける
「後は・・・お前達次第だ」
「レイヴン! レイヴン!!」
「・・・行くぞ、カロル」
「でも!」
「行くんだ!」
ユーリはそう叫ぶとフレン達と先に出口へと向かい、カロルはレイヴンを見た後、急いで出口へと走り出した
「・・・・・」
アスラはカロルが来たのを確認するとちらりとレイヴンを見てその場を離れた
「ふっ。ガラにもなかったか、な・・・」
ユーリ達がいなくなったのを確認すると、レイヴンはそう小さく呟き、
その後は瓦礫が崩れ落ちる音が神殿内に響いた
*
「うぅぅ・・・レイヴン・・・」
最深部からだいぶ離れた所でユーリ達は一旦足を止め、カロルが地面に両手と膝を着いて泣き出し、リタも今にも泣きそうな顔をしていた
「バカよ・・・やっぱり仲間だったんじゃない・・・バカ・・・バカぁ!!」
「なんでじゃ、なんでこんな・・・」
リタは悔しそうにそう叫ぶとパティも悲しげな声を出し、フレンと後ろを向いていたジュディスが振り返ってリタとカロルとパティを見ていた
「ぐずぐずすんな! リアとエステル助けるんだろうが! とっとと走れ!」
「さあ、早く」
ユーリとフレンの言葉にカロルは立ち上がり、走り出したのを見るとフレンがカロル達を連れて先に走って行った
「損な役回りね、ユーリ」
「・・・別に。実際ぐずぐずしてられねぇだろ」
「・・・だね。行こう」
言うとユーリはアスラの横をすり抜けて行き、ジュディスも後を追おうとしていたがアスラが難しい顔をしている事に気が付く
「どうかした?」
「・・・ううん。なんでも」
アスラは何かを思っている顔をしたが直ぐに目を瞑って首を横に振り、ジュディスと一緒にユーリ達の後を追った
*
外に出るともうヘラクレスの姿は何処にもなかった
「ヘラクレスがいない!?」
「レイヴンが言った通り、ザーフィアスに向かったんだろうな」
「アレクセイが言ってたユーリとフレンとリアにとって大事な場所って、ザーフィアスの事だったんだね」
「ただ、その後に近く、と言っていたわ」
「それが何処か把握出来ないと・・・」
「ユ、ユーリ・ローウェル!? 何故、此処にいる!?!? それにフレン殿も!?」
みんなと話していると入り口の方から聞き覚えのある声が聞こえ、皆一斉に顔を向けると
「ルブラン!? それに、デコとボコもか」
「デコと言うなであ~る!」「ボコじゃないのだ!」
「ばかも~ん! そんな事言っている場合か!」
シュヴァーン隊のお馴染みのルブラン達が走って来た所だった
そしていつものお決まり台詞を言うとルブランが二人を怒鳴り、踵を返してフレンの方に歩いて来た
「丁度良かった、フレン殿、我等がシュヴァーン隊長を見ませんでしたかな?」
シュヴァーン、という言葉にカロルは顔を俯けてしまう
「単身、騎士団長閣下と共に行動されたきり、まるで連絡が着かんのです。どうも最近の団長閣下は何をお考えなのか・・・親衛隊は何も教えてくれんし。あちこちあたってみて、やっと此処まで来たんでありますが・・・」
「・・・・」
その言葉を聞きフレンも黙り込んでしまい、代わりに答えたのは後ろにいたユーリだった
「アレクセイは帝都に向かった。ヘラクレスでな」
「なんと、入れ違いか!? それでシュヴァーン隊長は・・・」
その言葉に今度はリタが顔を俯けて握り拳を作っていた
「レ・・・シュヴァーンはボク達を助けてくれたんだ」
カロルは小さな声で答える
「おお、そうか! で、今はヘラクレスか?」
「・・・神殿の中よ。一番奥」
ジュディスが静かに答えるとまた神殿の中から大きな振動が響いて、ユーリ達がいるこの場所にもその振動は響いた
その揺れに皆顔を上げ、神殿を見た
「「「「「「・・・・」」」」」」
揺れが収まるとカロルとリタはまた俯き、そしてユーリ達も目を伏せた
「え・・・?」
「ちょ・・・お・・・」
「・・・まさか、おい、そうなのか、そんな!」
ユーリ達の表情を見てルブラン達は信じられないと言う顔をして固まった
だが、ルブランだけは言葉を続ける
「どういう事なんです。フレン殿、答えて下さい、フレン殿!!」
「アレクセイの所為であたし達死にそうになったのよ! それを助けてくれたのがあんた等のシュヴァーンよ!」
「あの人は・・・本当の騎士だった」
リタは悔しそうに言い放ち、フレンも少しだけ声が震えていた
「アレクセイは帝国にも内緒でなんかヤバイ事をしようとしているらしい。オレ達はそれを止めに行く。あんた等も騎士の端くれなら頼むから邪魔しないでくれ」
「・・・そんな・・・何がどうして・・・」
ルブランはそのまま膝を着いてそう呟いき、アデコールもボッコスも言葉を失っていた
「早くしないとヘラクレスに逃げられるのじゃ」
「急ぎましょう。バウルを呼ぶわ」
その直後バウルの声が聞こえ、フィエルティア号に乗ってヘラクレスの後を追い始めた
続く
あとがき
何とか書き終わりました
うん、やっぱ此処は泣けるよ
書き上げる時に動画見たりシナリオブック見たり、そして虚空の仮面(下巻)読み返したりしてたので余計に泣けます!!
因みに虚空の仮面(下巻)の方ではこの後ルブラン達が良い仕事をしてくれてます!!
ネタバレになりそうなので知りたい方は是非とも読んで下さいww
そして劇場版見た後に思った事をちょっとだけプラスしてみました
シュヴァーンの最後の所がユーリとフレンには絶対にナイレンさんと被って見えたんじゃないかと・・・
だからあそこでアスラが難しい顔をしていたんです
・・・これ以上書いてるとまたテンション下がっちゃいそうなのでさっさか次行きます!(回れ右!ww)
2010.11.09