救出編
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『・・め様、・・・』
(・・・?)
暗い中、何かが聞こえたような気がした
『ま。・・・・リア様』
(・・・誰?)
誰かが私を呼んでいる
(・・この声、前に何処かで聞いたような・・・)
「「リア ―――」」
「!」
私を呼ぶ声の事を気にしていると、ある人達の声が聞こえた
79.届かない
「・・! ユーリ! フレン!」
勢い良く身体を起こすと妙に荒い息を吐いていた
「はあ・・・はあ・・・・。ゆ、め・・・?」
荒い息を少しだけ整え、深呼吸をしてさっきまで見ていた事を思い出す
優しい女性の声音が聞こえた
だけど妙に必死に私を呼んでいた
その後にはユーリとフレンの声も聞こえた
「・・・・?」
その事を考えていると何かの機械音が聞こえ辺りを見た
「・・・此処、何処・・?」
気付けば見知らぬ場所にいた
今解る事は私は何処かの部屋で寝かされていた、と言う事だけだった
「私、みんなと一緒にミョルゾに向かって長老さんの所であの伝承を見てその後兄さんとアスラと話してて・・・それから・・・」
此処に来る前の事を思い出そうと、記憶を手繰って行く
「あの後急に頭が痛くなって、さっきの人の声が聞こえて・・・レイヴンに支えて貰って・・・、レイヴン?」
そこまで思い出しある事を思い出す
意識が遠のく寸前、
「っ、・・・ごめん、リアちゃん」
『・・・姫様っ、逃げてっっ!!』
と聞こえた気がした
「お目覚めのようだな、姫君」
「!? 貴方は・・・!?」
そこまで思い出すと急に声が聞こえ私はそこに目を向けその人物を見て目を瞠ってしまう
「アレクセイ・・・」
部屋に入って来たのは、騎士団長のアレクセイだった
「気分はどうかね」
「・・・どうして貴方が此処に?」
アレクセイの質問を聞き少しだけ警戒を強めた口調で言うとアレクセイは面白いものを見るような目をして小さく笑った
「警戒心が強いのは流石と言うべきかな。此処はヘラクレスの中だ」
「ヘラクレス・・・?」
ヘラクレスと言えばフェローがダングレストでエステルを狙って来た時に見た、そして帝国騎士があまり表に公表せずに作り上げた巨大な兵器だった
その威力は凄いものだったのを今でも覚えている
けど、そのヘラクレスの内部の一室らしき所に今私はいた
ミョルゾでユーリや兄さん達と一緒にいたはずなのに・・・
そう思っているとアレクセイはまた面白そうに小さく笑う
「リア・ルーティア、いや、言霊使いの姫君」
「!? ・・どう、して・・貴方がその事を・・・」
思わぬ言葉が出てきて更に目を瞠ってしまうが、アレクセイは私の様子を気にした事もなく話しを進める
「君の力が必要でね。彼に君を連れて来て貰ったのだ」
「!?」
その言葉と同時に扉が開き、一人の騎士が入って来た
「シュヴァーン・・・?」
「・・・・」
シュヴァーンは視線を外したまま無言だったが、ある違和感を感じ私はぽつりと呟いた
「・・・違う。この感じ・・、レイ・・ヴン・・・?」
「・・・・」
私の言葉を聞きゆっくりと私の方に視線を向け、彼の顔を見て思わず目を瞠ってしまう
そこに居たのは確かにシュヴァーンだが、レイヴンでもあった
「「・・・・・」」
お互いに視線が合ったまま無言になってしまうが、直ぐにシュヴァーンが口を開く
「あまり驚かないのだな」
「・・・驚いてるよ。 ・・・けど、カドスの喉笛でルブラン達に声を掛けた時からちょっと違和感は感じてた」
あの時レイヴンはユーリ達の前に行き私達の所に走って着ていたルブラン達を見て、声を掛けた
けどその時の声が、ヘリオードで初めて会った時のシュヴァーンの声に似ていた
いや違う、あの時のレイヴンはシュヴァーンその者だった
あの時に感じていた違和感が今解り少しだけ複雑な思いが湧いていた
その光景にこの場にいた私もアレクセイもシュヴァーンも各々違った思いを抱いていただろう
そしてある事を思いそれを聞こうとしていると扉をノックする音が聞こえアレクセイはシュヴァーンに合図を出すとシュヴァーンは扉の方に向かって行き、ノックをした騎士、現アレクセイ親衛隊の一人の前に来ると親衛隊は一歩下がりシュヴァーンもそのまま外に出た
どうやらこの部屋はアレクセイとシュヴァーンしか出入りが許されていないのだろうと見て思った
数言話すとシュヴァーンは頷き親衛隊は一礼してその場立ち去り、シュヴァーンは部屋に戻って来てアレクセイに報告する
「まもなく合流地点に到着します」
「そうか。ならこちらも準備をするとしよう」
アレクセイの言葉を聞くとシュヴァーンは頷き踵を返し部屋を出て行った
「・・・・」
だけどその背中はとても悲しげで声を掛けようにも何も言葉が出てこず彼が部屋を出て行くまでただじっとその背中を見つめていた
「さて、」
「!? それ、」
アレクセイの言葉で扉から目を戻し、彼が手にしている物を見てまた目を瞠る
「そう、聖核だ。だが、普通の聖核とは違う」
「っ! ああっ!!」
アレクセイが不適に笑った途端、手にしていた聖核から光が放たれ身体に電流が走るような痛みを感じ思わず声を上げてしまう
(なに、これ・・・。息が・・・っ、苦し・・・)
「ぅ、くっ・・・!」
あまりにも苦しくなって身体を抱きしめるようにして荒い息を吐く
「やはり言霊使いには満月の子の力が影響を及ぼすようだな」
「満月の・・子・・・の、力・・・?」
「この聖核には満月の子の力に近いよう調整してあるのだよ」
「っ・・・何が、・・目的・・・なの・・・?」
荒い息を吐きながら少しだけ睨み付けて言うとアレクセイは驚いた顔をした
「この状態でまだ話せるとは・・・。やはり姫と言う存在は強いのだな。先程も言ったが、君の力が必要なのだよ、言霊使いの姫君」
「っ!」
また“言霊使いの姫”と出て驚いてしまうが、言葉を発そうにも上手く言葉が出てこない
「私の理想を成し遂げる為に君のその力を貸して欲しい」
「ああっっっ!!」
そう言われた途端また聖核の光が強くなりさっきよりも強い力が身体全体に流れる
「っ、・・・はぁ・・・っはあ・・・」
「ほう、まだ耐えられるか」
「貴方に・・・協力しちゃいけないって・・っ、本能が訴えてる・・・」
「勘、と言うやつかな?」
「ええ・・・」
荒い息を整えながらまた睨むようにして言う
言霊使いの力を利用しようとする人がいると言うのは昔から兄さんやアスラ達神将にもずっと言われていた
だから“外の世界”では私達が言霊使いだと言う事は本当に信頼出来る人にしか言ってはいけなかった
どんな理由であれ、この人に力を貸してはならないとずっと本能が感じていた
それでもこの人は諦めないだろうと言うのも見て解る
「そうか・・・。では、エステリーゼ様の」
「エステル・・・?」
小さく息を吐いて言ったアレクセイのエステリーゼ様と言う言葉に疑問を持つと、小さく笑って言葉を続ける
「これからある場所へ行った後にエステリーゼ様の力を使う」
「エステルの力を・・? エステルも此処にいるの?!」
思いもしなかった人物の名前が出てさっきより大きな声を出してしまう
「君がいるこの部屋とは別の所に、な」
「どうして。エステルもミョルゾにいたはず・・・、! まさか」
「シュヴァーンに君と同じく此処に連れて来て貰ったよ。少々手荒な手段になってしまったがな」
「っ!!」
その言葉を聞き更に睨み付けその場からどうにか動こうとしたが聖核から発せられる光が強くなりまた動けなくなってしまう
「っ、・・エステルに、何をしたの?」
「この聖核と似たようなもので姫様を捕らえただけさ」
「・・・帝国の意志、と言う訳じゃなさそうね」
「評議会の連中の事か? 私が目指している事にあんな連中は関係ない」
「なら、・・・騎士団・・いえ、貴方の理想の為?」
「そうだ、その為に君と姫様の力が必要なのだ。だがもうすぐ合流地点に着いてしまう、あまり話しをしている時間はない」
「・・・、ヘラクレスは何処に向かっているの?」
「バクティオン神殿だよ」
「バクティオン神殿? ・・確か始祖の隷長アスタルがいる神殿・・・! まさか!?」
それを思い出しある事に辿り着く
バクティオン神殿は始祖の隷長アスタルを祀っている神殿だ
今は祀っている人達はいないがアスタルはずっとその神殿に住んでいるのだと、故郷に戻っている時に神将達から聞いた
「アスタルの聖核を狙ってるの!?」
「その通りだ。だが、これ以上は君が心配する事はない。君は大人しく私に協力を」
アレクセイは私に触れようとしたが私は俯いたままその手を払い除けた
「・・ない」
「ん?」
「貴方の理想の為だけに始祖の隷長の命を奪うなんて・・・そんなの、」
「!」
「『そんな事、絶対に許さないっっ!!』」
アレクセイの言葉を聞き肩を振るわせ顔を上げて叫ぶと、とてつもない力が吹き出しその力と聖核の力がぶつかり、私もアレクセイも弾き飛ばされた
「っ!!」「ぐおっ!!」
お互いに壁に背中をぶつけたが、アレクセイは直ぐに起き上がった
「っ、何という力だ・・・」
聖核を持っていた手が震えているが聖核に何処も異常がないのを確かめるとそのまま立ち上がりリアの前に移動する
「だが、君のこの力があれば問題はない」
リアは力を使い切ったのか、壁に打ち付けられた時にそのまま気を失ってしまっていた
「少々手間取ってしまったが、このまま計画通り事を進めるとしよう」
アレクセイはリアの側に複数の聖核を置きモニターを開き軽く操作すると聖核から光が放たれリアを包むように術式紋様が浮かぶ光の球を作った
「では、行くとしましょうか。言霊使いの姫君」
それが完成したのを見てアレクセイは不適に笑いモニターを消して踵を返して歩き出すと、リアを包んだ光球もその後に続くように着いて行った
その時、リアの首元に結んであったリボンが解け床に落ちた事に、リアもアレクセイも気付かなかった
『―― どうか・・・、貴方達で姫様を救って』
何処か遠くで女性の儚い願いが、リアにもユーリにもフレンにもセイ達にも聞こえたような気がしていた
続く
あとがき
かなーーーり久しぶりに本編を書いた
ずっと書けない状態が続いていたけど、何とか書けるようになりました!(書く内容を思い出したって言うのもありますが(おいι))
虚空の仮面(上下巻)を読み終わったからちょっとだけレイヴンとシュヴァーン、そしてアレクセイの位置づけみたいなのが解ったからこんな感じに仕上がりました
というか、ユーリやセイ兄ちゃん達が出てこなかったのも久々な気がしますww
まあこの辺から箱版とは違う形にもっていかないと・・・ねι
とりあえずリアちゃんがピンチです!!
でも最後はリアちゃんの力が・・・?
今後はどうなっていく事か・・・
タイトルの意味の捉え方は・・・色々ですよww
では次回をお楽しみに~!
2010.10.21
(・・・?)
暗い中、何かが聞こえたような気がした
『ま。・・・・リア様』
(・・・誰?)
誰かが私を呼んでいる
(・・この声、前に何処かで聞いたような・・・)
「「リア ―――」」
「!」
私を呼ぶ声の事を気にしていると、ある人達の声が聞こえた
79.届かない
「・・! ユーリ! フレン!」
勢い良く身体を起こすと妙に荒い息を吐いていた
「はあ・・・はあ・・・・。ゆ、め・・・?」
荒い息を少しだけ整え、深呼吸をしてさっきまで見ていた事を思い出す
優しい女性の声音が聞こえた
だけど妙に必死に私を呼んでいた
その後にはユーリとフレンの声も聞こえた
「・・・・?」
その事を考えていると何かの機械音が聞こえ辺りを見た
「・・・此処、何処・・?」
気付けば見知らぬ場所にいた
今解る事は私は何処かの部屋で寝かされていた、と言う事だけだった
「私、みんなと一緒にミョルゾに向かって長老さんの所であの伝承を見てその後兄さんとアスラと話してて・・・それから・・・」
此処に来る前の事を思い出そうと、記憶を手繰って行く
「あの後急に頭が痛くなって、さっきの人の声が聞こえて・・・レイヴンに支えて貰って・・・、レイヴン?」
そこまで思い出しある事を思い出す
意識が遠のく寸前、
「っ、・・・ごめん、リアちゃん」
『・・・姫様っ、逃げてっっ!!』
と聞こえた気がした
「お目覚めのようだな、姫君」
「!? 貴方は・・・!?」
そこまで思い出すと急に声が聞こえ私はそこに目を向けその人物を見て目を瞠ってしまう
「アレクセイ・・・」
部屋に入って来たのは、騎士団長のアレクセイだった
「気分はどうかね」
「・・・どうして貴方が此処に?」
アレクセイの質問を聞き少しだけ警戒を強めた口調で言うとアレクセイは面白いものを見るような目をして小さく笑った
「警戒心が強いのは流石と言うべきかな。此処はヘラクレスの中だ」
「ヘラクレス・・・?」
ヘラクレスと言えばフェローがダングレストでエステルを狙って来た時に見た、そして帝国騎士があまり表に公表せずに作り上げた巨大な兵器だった
その威力は凄いものだったのを今でも覚えている
けど、そのヘラクレスの内部の一室らしき所に今私はいた
ミョルゾでユーリや兄さん達と一緒にいたはずなのに・・・
そう思っているとアレクセイはまた面白そうに小さく笑う
「リア・ルーティア、いや、言霊使いの姫君」
「!? ・・どう、して・・貴方がその事を・・・」
思わぬ言葉が出てきて更に目を瞠ってしまうが、アレクセイは私の様子を気にした事もなく話しを進める
「君の力が必要でね。彼に君を連れて来て貰ったのだ」
「!?」
その言葉と同時に扉が開き、一人の騎士が入って来た
「シュヴァーン・・・?」
「・・・・」
シュヴァーンは視線を外したまま無言だったが、ある違和感を感じ私はぽつりと呟いた
「・・・違う。この感じ・・、レイ・・ヴン・・・?」
「・・・・」
私の言葉を聞きゆっくりと私の方に視線を向け、彼の顔を見て思わず目を瞠ってしまう
そこに居たのは確かにシュヴァーンだが、レイヴンでもあった
「「・・・・・」」
お互いに視線が合ったまま無言になってしまうが、直ぐにシュヴァーンが口を開く
「あまり驚かないのだな」
「・・・驚いてるよ。 ・・・けど、カドスの喉笛でルブラン達に声を掛けた時からちょっと違和感は感じてた」
あの時レイヴンはユーリ達の前に行き私達の所に走って着ていたルブラン達を見て、声を掛けた
けどその時の声が、ヘリオードで初めて会った時のシュヴァーンの声に似ていた
いや違う、あの時のレイヴンはシュヴァーンその者だった
あの時に感じていた違和感が今解り少しだけ複雑な思いが湧いていた
その光景にこの場にいた私もアレクセイもシュヴァーンも各々違った思いを抱いていただろう
そしてある事を思いそれを聞こうとしていると扉をノックする音が聞こえアレクセイはシュヴァーンに合図を出すとシュヴァーンは扉の方に向かって行き、ノックをした騎士、現アレクセイ親衛隊の一人の前に来ると親衛隊は一歩下がりシュヴァーンもそのまま外に出た
どうやらこの部屋はアレクセイとシュヴァーンしか出入りが許されていないのだろうと見て思った
数言話すとシュヴァーンは頷き親衛隊は一礼してその場立ち去り、シュヴァーンは部屋に戻って来てアレクセイに報告する
「まもなく合流地点に到着します」
「そうか。ならこちらも準備をするとしよう」
アレクセイの言葉を聞くとシュヴァーンは頷き踵を返し部屋を出て行った
「・・・・」
だけどその背中はとても悲しげで声を掛けようにも何も言葉が出てこず彼が部屋を出て行くまでただじっとその背中を見つめていた
「さて、」
「!? それ、」
アレクセイの言葉で扉から目を戻し、彼が手にしている物を見てまた目を瞠る
「そう、聖核だ。だが、普通の聖核とは違う」
「っ! ああっ!!」
アレクセイが不適に笑った途端、手にしていた聖核から光が放たれ身体に電流が走るような痛みを感じ思わず声を上げてしまう
(なに、これ・・・。息が・・・っ、苦し・・・)
「ぅ、くっ・・・!」
あまりにも苦しくなって身体を抱きしめるようにして荒い息を吐く
「やはり言霊使いには満月の子の力が影響を及ぼすようだな」
「満月の・・子・・・の、力・・・?」
「この聖核には満月の子の力に近いよう調整してあるのだよ」
「っ・・・何が、・・目的・・・なの・・・?」
荒い息を吐きながら少しだけ睨み付けて言うとアレクセイは驚いた顔をした
「この状態でまだ話せるとは・・・。やはり姫と言う存在は強いのだな。先程も言ったが、君の力が必要なのだよ、言霊使いの姫君」
「っ!」
また“言霊使いの姫”と出て驚いてしまうが、言葉を発そうにも上手く言葉が出てこない
「私の理想を成し遂げる為に君のその力を貸して欲しい」
「ああっっっ!!」
そう言われた途端また聖核の光が強くなりさっきよりも強い力が身体全体に流れる
「っ、・・・はぁ・・・っはあ・・・」
「ほう、まだ耐えられるか」
「貴方に・・・協力しちゃいけないって・・っ、本能が訴えてる・・・」
「勘、と言うやつかな?」
「ええ・・・」
荒い息を整えながらまた睨むようにして言う
言霊使いの力を利用しようとする人がいると言うのは昔から兄さんやアスラ達神将にもずっと言われていた
だから“外の世界”では私達が言霊使いだと言う事は本当に信頼出来る人にしか言ってはいけなかった
どんな理由であれ、この人に力を貸してはならないとずっと本能が感じていた
それでもこの人は諦めないだろうと言うのも見て解る
「そうか・・・。では、エステリーゼ様の」
「エステル・・・?」
小さく息を吐いて言ったアレクセイのエステリーゼ様と言う言葉に疑問を持つと、小さく笑って言葉を続ける
「これからある場所へ行った後にエステリーゼ様の力を使う」
「エステルの力を・・? エステルも此処にいるの?!」
思いもしなかった人物の名前が出てさっきより大きな声を出してしまう
「君がいるこの部屋とは別の所に、な」
「どうして。エステルもミョルゾにいたはず・・・、! まさか」
「シュヴァーンに君と同じく此処に連れて来て貰ったよ。少々手荒な手段になってしまったがな」
「っ!!」
その言葉を聞き更に睨み付けその場からどうにか動こうとしたが聖核から発せられる光が強くなりまた動けなくなってしまう
「っ、・・エステルに、何をしたの?」
「この聖核と似たようなもので姫様を捕らえただけさ」
「・・・帝国の意志、と言う訳じゃなさそうね」
「評議会の連中の事か? 私が目指している事にあんな連中は関係ない」
「なら、・・・騎士団・・いえ、貴方の理想の為?」
「そうだ、その為に君と姫様の力が必要なのだ。だがもうすぐ合流地点に着いてしまう、あまり話しをしている時間はない」
「・・・、ヘラクレスは何処に向かっているの?」
「バクティオン神殿だよ」
「バクティオン神殿? ・・確か始祖の隷長アスタルがいる神殿・・・! まさか!?」
それを思い出しある事に辿り着く
バクティオン神殿は始祖の隷長アスタルを祀っている神殿だ
今は祀っている人達はいないがアスタルはずっとその神殿に住んでいるのだと、故郷に戻っている時に神将達から聞いた
「アスタルの聖核を狙ってるの!?」
「その通りだ。だが、これ以上は君が心配する事はない。君は大人しく私に協力を」
アレクセイは私に触れようとしたが私は俯いたままその手を払い除けた
「・・ない」
「ん?」
「貴方の理想の為だけに始祖の隷長の命を奪うなんて・・・そんなの、」
「!」
「『そんな事、絶対に許さないっっ!!』」
アレクセイの言葉を聞き肩を振るわせ顔を上げて叫ぶと、とてつもない力が吹き出しその力と聖核の力がぶつかり、私もアレクセイも弾き飛ばされた
「っ!!」「ぐおっ!!」
お互いに壁に背中をぶつけたが、アレクセイは直ぐに起き上がった
「っ、何という力だ・・・」
聖核を持っていた手が震えているが聖核に何処も異常がないのを確かめるとそのまま立ち上がりリアの前に移動する
「だが、君のこの力があれば問題はない」
リアは力を使い切ったのか、壁に打ち付けられた時にそのまま気を失ってしまっていた
「少々手間取ってしまったが、このまま計画通り事を進めるとしよう」
アレクセイはリアの側に複数の聖核を置きモニターを開き軽く操作すると聖核から光が放たれリアを包むように術式紋様が浮かぶ光の球を作った
「では、行くとしましょうか。言霊使いの姫君」
それが完成したのを見てアレクセイは不適に笑いモニターを消して踵を返して歩き出すと、リアを包んだ光球もその後に続くように着いて行った
その時、リアの首元に結んであったリボンが解け床に落ちた事に、リアもアレクセイも気付かなかった
『―― どうか・・・、貴方達で姫様を救って』
何処か遠くで女性の儚い願いが、リアにもユーリにもフレンにもセイ達にも聞こえたような気がしていた
続く
あとがき
かなーーーり久しぶりに本編を書いた
ずっと書けない状態が続いていたけど、何とか書けるようになりました!(書く内容を思い出したって言うのもありますが(おいι))
虚空の仮面(上下巻)を読み終わったからちょっとだけレイヴンとシュヴァーン、そしてアレクセイの位置づけみたいなのが解ったからこんな感じに仕上がりました
というか、ユーリやセイ兄ちゃん達が出てこなかったのも久々な気がしますww
まあこの辺から箱版とは違う形にもっていかないと・・・ねι
とりあえずリアちゃんがピンチです!!
でも最後はリアちゃんの力が・・・?
今後はどうなっていく事か・・・
タイトルの意味の捉え方は・・・色々ですよww
では次回をお楽しみに~!
2010.10.21