救出編
夢主名変更
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長老の家に着くと私達は中に入り椅子に座ったり壁に寄り掛かって長老の帰りを待っていた
「ホントに勝手に入って良いんでしょうか?」
「本人が入って待ってろって言ったんだから良いでしょ」
「やっぱりクリティアの人ってなんか変わってるよね」
「のほほんとしてると言うかマイペースと言うか」
「おかしな人達でしょう?」
「ジュディスも何となく似てるけどね」
「おかしいわね。随分と違うと思うのだけれど」
「パティもノリが合いそうだね」
「それじゃあ、此処に住むのも良いかもの・・・」
違うとは言うけど確かにマイペースな所は一緒だと思っていると、ガチャリと扉が開く音が聞こえ、長老さんが中に入って来た
「ただいま」
「あ、お帰りなさい」
「待たせたの。それじゃ、その奥に行くと良い」
長老に言われ、私達は部屋の奥にやって来た
そこには横長い壁があった
「・・・・?」
「これこそがミョルゾに伝わる伝承を表すものなのじゃよ」
「でも、ただの壁だぜ?」
「ジュディスよ、ナギーグで壁に触れながら、こう唱えるのじゃ。『・・・霧のまにまに浮かぶ夢の都、それが現実の続き』」
「・・・霧のまにまに浮かぶ夢の都、それが現実の続き・・・?」
「これは・・・」
ジュディスがそう唱えると目の前の壁に絵が映し出された
77.揺れる鬼灯
「ほー、ナギーグってのはこんな事もできんのね」
「ナギーグを知ってなさるか。この力と口伝の秘文により、この壁画は真の姿を表すのじゃ」
ユーリ達はあの岸辺でナギーグの力を見た事あるらしくあまり驚かなかった
「な、なんか不気味な絵だね・・・」
「うん・・・」
目の前の壁に映し出された絵は、何かドス黒いものが絵の中に書かれている世界を覆っていた
まるで、この世界を食べようとしているかのように・・・
ジュディスはその壁画に描かれている文字を読み始める
「クリティアこそ知恵の民なり。大いなるゲライオスの礎、古の世の賢人なり。されど賢明ならざる知恵は禍なるかな。我等が手になる魔導器、天地に恵みをもたらすも星の血なりしエアルを穢したり」
「やっぱりリタの言った通り、エアルの乱れは過去にも起きていたんですね」
「・・・」
「こいつがエアルの乱れを表してるのか」
「世界を食べようとしてるみたい・・・」
「んむ。大量のエアルが世界全体を飲み込むかのようだったという」
「エアルの穢れ、嵩じて大いなる災いを招き。我等怖れもてこれを星喰 みと名付けたり・・・」
「「星喰み・・・」」
その言葉にまた心臓が脈打った
「此処に世のことごとく一丸となりて星喰みに挑み、忌まわしき力を消さんとす」
「ねえひょっとしてこれ、始祖の隷長を表してるのかな?」
「魔物みたいなのが人と一緒に化け物に挑んでるように見えるねぇ」
「結果、古代ゲライオス文明は滅んでしまったが、星喰みは鎮められたようじゃの。その点はワシ等がこうして生きている事からも明らかじゃな」
「ようするにこの絵はその星喰みを鎮めてる図って事?」
「これは、何じゃ?」
「大きな輪っかみたいね。何、これ?」
「さあの。何じゃろうの」
「「「・・・・」」」
パティの言う輪っかみたいなものを見ると、何故だか胸が締め付けられるような感覚がした
隣にいた兄さんもアスラも何かを感じたのか少しだけ顔を歪めていた
「最後、なんて書いてあるの?」
「・・・・」
「ジュディ?」「ジュディス?」
カロルの問いにジュディスは少し黙ってしまい、私とユーリはジュディスを見ると、少し顔を歪めて続きを読んだ
「・・・世の祈りを受け満月の子等は命燃え果つ。星喰み虚空へと消え去れり」
「!」「なんだと?」
「世の祈りを受け・・・満月の子等は命燃え果つ・・・」
「かくて世は永らえたり。されど我等は罪を忘れず、此処に世々語り継がん・・・アスール、240」
最後まで読み終えると私達は表情を変え、リタは勢い良く長老さんを見た
「どういう事!」
「個々の言葉の全部が全部、何を意味しているのかまでは伝わっておらんのじゃ」
「・・・・」
「とにかく魔導器を生み出し、ひとつの文明の滅びを導く事となった我等の祖先は魔導器を捨て、外界と関わりを断つ道を選んだとされておる」
「エステル!」
その言葉を聞いた途端、エステルは走って外に行ってしまった
「ほっといてやれ」
「今は一人で考えさせてやれ」
「ミョルゾに伝わる伝承はこれで全てじゃ」
「ありがとな、じいさん。参考になった」
「有り難う御座います」
「ふむ。もっと参考になるどんな料理も美味しくなる幻のキュウリの話があるのじゃが・・・」
「結構よ。それより何処か休める所を借りても良いかしら? 仲間が落ち着くまで暫くお世話になりたいのだけれど」
「む。ならば隣の家を使うと良い。今は誰も使っておらんでの」
「助かるわ。行きましょ」
そう言い、ジュディス達は歩いて行き出し私は長老に一礼してその後に続いた
「・・・故郷で話してくれた事、本当だったんだね」
「・・・ああ」
長老の家から出た後、私と兄さんとアスラもみんなと別れて別の場所に来た
「言霊使いに関しては書かれてないけど、クリティア族にはちゃんとこの伝承が伝わってるんだね」
故郷に戻っている時に兄さんやアスラ達式神から満月の子と言霊使いの事、そして始祖の隷長達の事を詳しく聞いた
あの時も色々とショックを受けたり驚いたりしていたけど、長老の家であの壁画を見て、私だけじゃなく事実を知っている兄さんも思う事が出来たのか、みんなと別れて私達だけで話しをしていたのだった
「・・・私達、本当に何も出来ないのかな」
「実際問題、エアルの乱れは満月の子だけじゃない。ヘルメス式魔導器にも原因がある」
「その原因を除くだけじゃ、駄目だと思う」
「どういう事?」
アスラの言葉に疑問を持ってアスラを見る
「過去に遭ったのは確かにエアルの乱れが原因。だけど、あの伝承の頃にはまだヘルメス式はないんだ」
「つまり、過去のエアルの乱れは満月の子だけじゃなく、魔導器のエアルの量、って事か」
「そう。それによって星喰みが起こった・・・。 ・・・後はさっきの伝承や故郷で話した通りだよ」
「「・・・・」」
アスラの言葉を聞いて兄さんは途中からこれがどういう事を意味するかを理解した
「魔導器が原因って事は、武醒魔導器や他の魔導器も駄目、って事よね?」
「そうだね。・・・そうなると、生活面や戦闘面でも厳しくなってくるよね」
「戦闘面に関しては俺達にはあんま影響はないけどな」
普段からあまり武醒魔導器を使わない私と兄さんは良いとしても、ユーリ達は武醒魔導器がないと今みたいに戦う事は難しくなる
それに魔導器が無くなれば安全な生活を送る事が難しくなる
でも、原因は魔導器・・・
それをどうにかしない事には、エステルも世界の事も・・・
そして、私達言霊使いもみんなと一緒に居られなくなるかもしれない・・・
「!」
そう思っていると頭の上に何かが乗り顔上げると兄さんの手が乗っていた
「あんま深く考え込むなよ」
「でも・・」
「魔導器に関してなら詳しい奴がユーリ達の所にいるだろ」
「魔導器に関して・・・・、!」
「リタならきっと何か良い方法を思い付いてるよ」
「何せ、天才魔導師、だからな」
「うん、そうだね」
兄さんとアスラは私を安心させるように優しく微笑んだ
確かにリタなら何か良い方法を思い付いてるかもしれない
誰よりも魔導器に愛情を注ぎ、エステルを大事に思っているのだから、きっと
「じゃ、そろそろユーリ達の所に戻ろうか」
「うん、そうだね・・・?」
アスラの言葉に頷いて兄さんと立ち上がった途端、足下に何かが転がってきた
「おねえーちゃーん。そのボール取ってーーー!」
5、6歳くらいの男の子と女の子がボール遊びをしていたのか、そのボールは私の所まで転がって来たようだった
「今持って行くねーー! 兄さん、アスラ、これ渡してから戻るから先に行ってて」
「解った。なるべく早く戻って来いよ」
「うん」
足下に転がっていたボールを拾って男の子と女の子がいる所へ向かって行き、二人に視線を合わせるようにしてボールを渡した
「はい」
「ありがとう、おねーちゃん!」
言うと二人は楽しそうに何処かへ走って言った
「あの子達、兄妹かな?」
走り去っていく二人を見て、子供の頃の私と兄さんみたいだなと思って微笑んだ
「じゃあ、そろそろ・・・っ!!」
踵を返してユーリ達がいる所に戻ろうとしていると急に頭に痛みが走り歩みを止める
『・・・・め』
(・・・何・・・?)
『その・・・、・・・・・て』
何か聞こえたと思ったらまた頭が痛くなり更に何かが聞こえる
(・・・言・・葉・・・?)
まるで誰かが何かを言っているようだが辺りを見ても誰もいない
それにその言葉はまるで私だけにしか聞こえないような声だった
『・・・じゃ、・・・がい・・・・て。・・・・の、・・・て』
(・・・何・・・? ・・・誰・・・、なの・・・?)
「・・・っ、・・・」
その言葉が聞こえた後また心臓が脈打ち、頭の痛みも増して立っているのがツラくなり近くの壁に寄り掛かったが、まだその言葉は聞こえる
途切れ途切れで何を言っているのかは解らない
けど、何となくだけど、・・・何かに対してずっと警鐘が鳴っていた
「・・・ちゃん。 ・・・リアちゃん!!」
「っ、・・・。レイ・・ヴン・・・?」
急に名前を呼ばれうっすらと目を開けるとレイヴンが心配そうな顔をして私を見ていた
「・・・レイヴン・・。どうしたの・・・?」
「ちょっと散歩にね。それにどうしたのってこっちのセリフよ?」
「・・・え? ・・あ、ちょっと頭が痛くて・・・」
私の様子を見てレイヴンはちょっとごめんねと言って額に手を当てて熱を測る
「うーん・・・、ちょっと熱いみたいね。このままじゃ悪化しちゃうよね・・・。リアちゃん、立てる?」
「・・・う、うん・・・「おっと!」
頑張って立ち上がろうとしたけど、上手く力が入らず倒れそうになったが直ぐにレイヴンが支えてくれた
「・・・足下ふらついてる。しょうがない、おっさんが運んであげる」
「え、でも・・・」
「こんな状態じゃまともに歩けないでしょ?」
「・・・じゃあ、お願いしても良い?」
「もっちろん!」
レイヴンの言葉を聞くと私は薄く笑って目を閉じた
「・・・・」
レイヴンはそのままじっとリアを見つめた
「・・・素直すぎるのも、損・・よね・・・」
「・・・・」
レイヴンに寄り掛かったままリアは小さく寝息のようなものを立てている
「っ、・・・ごめんな、リアちゃん」
レイヴンはリアを見つめた後、顔を歪めてリアの額に軽いキスを落としリアを抱えて歩き出した
完全に意識が遠のく前に、何か暖かいものが額に当たった
そしてその後に
「っ、・・・ごめんな、リアちゃん」
『・・・・姫様っ、逃げてっっ!!』
と、二つの声が聞こえたような気がした・・・
続く
あとがき
此処まで何とか仕上がりました~~!
この辺りから箱版とは違う形に仕上げてたかったからホントに悩みましたι
さて、満月の子に関してはたいぶ解った事はありますが、またしてもリアちゃんに異変が・・・
一体あれはなんなんでしょうねぇ~
今後に関わってくるのか?(ニヤニヤww)
そして最後はレイヴンが・・・??
次回は急展開から始まると思います・・・
箱版と違う形になるように頑張って書こう!!
2010.09.05
「ホントに勝手に入って良いんでしょうか?」
「本人が入って待ってろって言ったんだから良いでしょ」
「やっぱりクリティアの人ってなんか変わってるよね」
「のほほんとしてると言うかマイペースと言うか」
「おかしな人達でしょう?」
「ジュディスも何となく似てるけどね」
「おかしいわね。随分と違うと思うのだけれど」
「パティもノリが合いそうだね」
「それじゃあ、此処に住むのも良いかもの・・・」
違うとは言うけど確かにマイペースな所は一緒だと思っていると、ガチャリと扉が開く音が聞こえ、長老さんが中に入って来た
「ただいま」
「あ、お帰りなさい」
「待たせたの。それじゃ、その奥に行くと良い」
長老に言われ、私達は部屋の奥にやって来た
そこには横長い壁があった
「・・・・?」
「これこそがミョルゾに伝わる伝承を表すものなのじゃよ」
「でも、ただの壁だぜ?」
「ジュディスよ、ナギーグで壁に触れながら、こう唱えるのじゃ。『・・・霧のまにまに浮かぶ夢の都、それが現実の続き』」
「・・・霧のまにまに浮かぶ夢の都、それが現実の続き・・・?」
「これは・・・」
ジュディスがそう唱えると目の前の壁に絵が映し出された
77.揺れる鬼灯
「ほー、ナギーグってのはこんな事もできんのね」
「ナギーグを知ってなさるか。この力と口伝の秘文により、この壁画は真の姿を表すのじゃ」
ユーリ達はあの岸辺でナギーグの力を見た事あるらしくあまり驚かなかった
「な、なんか不気味な絵だね・・・」
「うん・・・」
目の前の壁に映し出された絵は、何かドス黒いものが絵の中に書かれている世界を覆っていた
まるで、この世界を食べようとしているかのように・・・
ジュディスはその壁画に描かれている文字を読み始める
「クリティアこそ知恵の民なり。大いなるゲライオスの礎、古の世の賢人なり。されど賢明ならざる知恵は禍なるかな。我等が手になる魔導器、天地に恵みをもたらすも星の血なりしエアルを穢したり」
「やっぱりリタの言った通り、エアルの乱れは過去にも起きていたんですね」
「・・・」
「こいつがエアルの乱れを表してるのか」
「世界を食べようとしてるみたい・・・」
「んむ。大量のエアルが世界全体を飲み込むかのようだったという」
「エアルの穢れ、嵩じて大いなる災いを招き。我等怖れもてこれを
「「星喰み・・・」」
その言葉にまた心臓が脈打った
「此処に世のことごとく一丸となりて星喰みに挑み、忌まわしき力を消さんとす」
「ねえひょっとしてこれ、始祖の隷長を表してるのかな?」
「魔物みたいなのが人と一緒に化け物に挑んでるように見えるねぇ」
「結果、古代ゲライオス文明は滅んでしまったが、星喰みは鎮められたようじゃの。その点はワシ等がこうして生きている事からも明らかじゃな」
「ようするにこの絵はその星喰みを鎮めてる図って事?」
「これは、何じゃ?」
「大きな輪っかみたいね。何、これ?」
「さあの。何じゃろうの」
「「「・・・・」」」
パティの言う輪っかみたいなものを見ると、何故だか胸が締め付けられるような感覚がした
隣にいた兄さんもアスラも何かを感じたのか少しだけ顔を歪めていた
「最後、なんて書いてあるの?」
「・・・・」
「ジュディ?」「ジュディス?」
カロルの問いにジュディスは少し黙ってしまい、私とユーリはジュディスを見ると、少し顔を歪めて続きを読んだ
「・・・世の祈りを受け満月の子等は命燃え果つ。星喰み虚空へと消え去れり」
「!」「なんだと?」
「世の祈りを受け・・・満月の子等は命燃え果つ・・・」
「かくて世は永らえたり。されど我等は罪を忘れず、此処に世々語り継がん・・・アスール、240」
最後まで読み終えると私達は表情を変え、リタは勢い良く長老さんを見た
「どういう事!」
「個々の言葉の全部が全部、何を意味しているのかまでは伝わっておらんのじゃ」
「・・・・」
「とにかく魔導器を生み出し、ひとつの文明の滅びを導く事となった我等の祖先は魔導器を捨て、外界と関わりを断つ道を選んだとされておる」
「エステル!」
その言葉を聞いた途端、エステルは走って外に行ってしまった
「ほっといてやれ」
「今は一人で考えさせてやれ」
「ミョルゾに伝わる伝承はこれで全てじゃ」
「ありがとな、じいさん。参考になった」
「有り難う御座います」
「ふむ。もっと参考になるどんな料理も美味しくなる幻のキュウリの話があるのじゃが・・・」
「結構よ。それより何処か休める所を借りても良いかしら? 仲間が落ち着くまで暫くお世話になりたいのだけれど」
「む。ならば隣の家を使うと良い。今は誰も使っておらんでの」
「助かるわ。行きましょ」
そう言い、ジュディス達は歩いて行き出し私は長老に一礼してその後に続いた
「・・・故郷で話してくれた事、本当だったんだね」
「・・・ああ」
長老の家から出た後、私と兄さんとアスラもみんなと別れて別の場所に来た
「言霊使いに関しては書かれてないけど、クリティア族にはちゃんとこの伝承が伝わってるんだね」
故郷に戻っている時に兄さんやアスラ達式神から満月の子と言霊使いの事、そして始祖の隷長達の事を詳しく聞いた
あの時も色々とショックを受けたり驚いたりしていたけど、長老の家であの壁画を見て、私だけじゃなく事実を知っている兄さんも思う事が出来たのか、みんなと別れて私達だけで話しをしていたのだった
「・・・私達、本当に何も出来ないのかな」
「実際問題、エアルの乱れは満月の子だけじゃない。ヘルメス式魔導器にも原因がある」
「その原因を除くだけじゃ、駄目だと思う」
「どういう事?」
アスラの言葉に疑問を持ってアスラを見る
「過去に遭ったのは確かにエアルの乱れが原因。だけど、あの伝承の頃にはまだヘルメス式はないんだ」
「つまり、過去のエアルの乱れは満月の子だけじゃなく、魔導器のエアルの量、って事か」
「そう。それによって星喰みが起こった・・・。 ・・・後はさっきの伝承や故郷で話した通りだよ」
「「・・・・」」
アスラの言葉を聞いて兄さんは途中からこれがどういう事を意味するかを理解した
「魔導器が原因って事は、武醒魔導器や他の魔導器も駄目、って事よね?」
「そうだね。・・・そうなると、生活面や戦闘面でも厳しくなってくるよね」
「戦闘面に関しては俺達にはあんま影響はないけどな」
普段からあまり武醒魔導器を使わない私と兄さんは良いとしても、ユーリ達は武醒魔導器がないと今みたいに戦う事は難しくなる
それに魔導器が無くなれば安全な生活を送る事が難しくなる
でも、原因は魔導器・・・
それをどうにかしない事には、エステルも世界の事も・・・
そして、私達言霊使いもみんなと一緒に居られなくなるかもしれない・・・
「!」
そう思っていると頭の上に何かが乗り顔上げると兄さんの手が乗っていた
「あんま深く考え込むなよ」
「でも・・」
「魔導器に関してなら詳しい奴がユーリ達の所にいるだろ」
「魔導器に関して・・・・、!」
「リタならきっと何か良い方法を思い付いてるよ」
「何せ、天才魔導師、だからな」
「うん、そうだね」
兄さんとアスラは私を安心させるように優しく微笑んだ
確かにリタなら何か良い方法を思い付いてるかもしれない
誰よりも魔導器に愛情を注ぎ、エステルを大事に思っているのだから、きっと
「じゃ、そろそろユーリ達の所に戻ろうか」
「うん、そうだね・・・?」
アスラの言葉に頷いて兄さんと立ち上がった途端、足下に何かが転がってきた
「おねえーちゃーん。そのボール取ってーーー!」
5、6歳くらいの男の子と女の子がボール遊びをしていたのか、そのボールは私の所まで転がって来たようだった
「今持って行くねーー! 兄さん、アスラ、これ渡してから戻るから先に行ってて」
「解った。なるべく早く戻って来いよ」
「うん」
足下に転がっていたボールを拾って男の子と女の子がいる所へ向かって行き、二人に視線を合わせるようにしてボールを渡した
「はい」
「ありがとう、おねーちゃん!」
言うと二人は楽しそうに何処かへ走って言った
「あの子達、兄妹かな?」
走り去っていく二人を見て、子供の頃の私と兄さんみたいだなと思って微笑んだ
「じゃあ、そろそろ・・・っ!!」
踵を返してユーリ達がいる所に戻ろうとしていると急に頭に痛みが走り歩みを止める
『・・・・め』
(・・・何・・・?)
『その・・・、・・・・・て』
何か聞こえたと思ったらまた頭が痛くなり更に何かが聞こえる
(・・・言・・葉・・・?)
まるで誰かが何かを言っているようだが辺りを見ても誰もいない
それにその言葉はまるで私だけにしか聞こえないような声だった
『・・・じゃ、・・・がい・・・・て。・・・・の、・・・て』
(・・・何・・・? ・・・誰・・・、なの・・・?)
「・・・っ、・・・」
その言葉が聞こえた後また心臓が脈打ち、頭の痛みも増して立っているのがツラくなり近くの壁に寄り掛かったが、まだその言葉は聞こえる
途切れ途切れで何を言っているのかは解らない
けど、何となくだけど、・・・何かに対してずっと警鐘が鳴っていた
「・・・ちゃん。 ・・・リアちゃん!!」
「っ、・・・。レイ・・ヴン・・・?」
急に名前を呼ばれうっすらと目を開けるとレイヴンが心配そうな顔をして私を見ていた
「・・・レイヴン・・。どうしたの・・・?」
「ちょっと散歩にね。それにどうしたのってこっちのセリフよ?」
「・・・え? ・・あ、ちょっと頭が痛くて・・・」
私の様子を見てレイヴンはちょっとごめんねと言って額に手を当てて熱を測る
「うーん・・・、ちょっと熱いみたいね。このままじゃ悪化しちゃうよね・・・。リアちゃん、立てる?」
「・・・う、うん・・・「おっと!」
頑張って立ち上がろうとしたけど、上手く力が入らず倒れそうになったが直ぐにレイヴンが支えてくれた
「・・・足下ふらついてる。しょうがない、おっさんが運んであげる」
「え、でも・・・」
「こんな状態じゃまともに歩けないでしょ?」
「・・・じゃあ、お願いしても良い?」
「もっちろん!」
レイヴンの言葉を聞くと私は薄く笑って目を閉じた
「・・・・」
レイヴンはそのままじっとリアを見つめた
「・・・素直すぎるのも、損・・よね・・・」
「・・・・」
レイヴンに寄り掛かったままリアは小さく寝息のようなものを立てている
「っ、・・・ごめんな、リアちゃん」
レイヴンはリアを見つめた後、顔を歪めてリアの額に軽いキスを落としリアを抱えて歩き出した
完全に意識が遠のく前に、何か暖かいものが額に当たった
そしてその後に
「っ、・・・ごめんな、リアちゃん」
『・・・・姫様っ、逃げてっっ!!』
と、二つの声が聞こえたような気がした・・・
続く
あとがき
此処まで何とか仕上がりました~~!
この辺りから箱版とは違う形に仕上げてたかったからホントに悩みましたι
さて、満月の子に関してはたいぶ解った事はありますが、またしてもリアちゃんに異変が・・・
一体あれはなんなんでしょうねぇ~
今後に関わってくるのか?(ニヤニヤww)
そして最後はレイヴンが・・・??
次回は急展開から始まると思います・・・
箱版と違う形になるように頑張って書こう!!
2010.09.05