水道魔導器奪還編
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森を出るともう辺りが暗くなっていた
森の中は薄暗いから気付かなかったけど、いつの間にか日が落ちていた
ハルルに戻って来ると、私達は直ぐによろず屋に行ってパナシーアボトルを作ってもらった
そしてハルルの樹の所に行くと、樹が治ると聞きつけた街の人達が集まっていた
07.蘇る樹
「じゃあカロル、お願いね」
「うん!」
リアは持っていたパナシーアボトルをカロルに渡すとカロルは樹の根本まで走って行った
「カロル、誰かにハルルの花を見せたかったんですよね?」
「多分な。ま、手遅れでなきゃいいけど」
「きっと大丈夫よ」「きっと大丈夫だよ」
そう笑い合っていると、いくよー! とカロルの声が聞こえて、パナシーアボトルの中身を樹の根元に掛けた
その直後、薄紫色の光が発せられて、幻想的な雰囲気を作り出す
「樹が・・・」
「お願いします。結界よ、ハルルの樹よ、蘇ってくだされ」
村長が祈るように呟いたのを聞いて、この樹がハルルの街の人にとってどれだけ大切なものなのか伝わってきた
皆一様に不安げにハルルの樹を見上げ、その枝から花が咲く事を祈る
暫くパナシーアボトルを掛けた時に発した光が辺りを包んでいたが、不意にその光が消えた
どうなったんだろうか、と思っていると村長がそんな・・・と何とも言えない声で呟き、街の人達も肩を落とした
「うそ、量が足りなかったの? それともこの方法じゃ・・・」
「いや、そんなはずは・・・」
カロルもアスラも信じられない、と言うように樹を見上げる
「もう一度、パナシーアボトルを!」
「それは無理です。ルルリエの花弁はもう残っていません」
「そんな、そんなのって・・・」
エステルも酷くショックな様子で、ハルルの樹を見上げていた
かける言葉も見つからない
一同が皆同様に心配そうな顔をして静まり返ったままのハルルの樹を見つめていた
本当にこのまま枯れてしまうのだろうか
いや、それではあまりにも酷すぎる
そう思ったリアは樹に近付き手を伸ばした
(・・・最初に触れた時よりかは力は戻って来てる。後は守人にその力がいけば何とかなるはず・・・)
「・・・お願い」
すると、後ろにいたエステルから祈るようにしてそう呟き、リアももう一度樹を見上げて樹に触れながらエステルと同じように祈った
途端、足元から光の粒が現れリアとエステルの周りを取り囲んだ
それはふわふわと雪のように舞って、辺り一面に広がる
(何・・・?)
「咲いて」
リアはエステルの方を見ると突然今まで見た事もないような光が爆発した
それはハルルの樹に収束したかと思うと、ぱっと突然消え去った
夜の闇が戻ったハルルだったが、何か薄い光を放つものがひらりひらりと宙に舞っている
そして空には結界が見え、リアは小さく呟いた
「樹が・・・蘇った?」
そして其処にいた誰もがその美しい光景に息を呑み、一連の事を起したエステルに視線が集まる
「す、凄い・・・」
「こ、こんな事が・・・」
「今のは治癒術なのか・・・」
「これは夢だろ・・・」
「ありえない・・・でも・・・」
街の人が口々にそう言ったが、真相を語る前にエステルが呼吸を荒げながら地面に膝をついた
「お姉ちゃん! スゴい! 凄いよ!」
「ありがとね! ハルルの樹を元気にしてくれて!」
「有り難う御座います。これでまだこの街もやっていけます・・・」
次々にお礼を言う人がエステルの前に現れて、エステルは動揺気味だ
「わ、わたし、今何を・・・?」
「エステル、覚えてないの?」
「えっと・・・」
エステルに近付きながら尋ねたが、どうにも曖昧な言葉しか出てこない
「・・・すげえな、エステル。立てるか?」
「は、はい。大丈夫です」
エステルは何とか一人で立ち上がり自分がした事を確かめるように辺りを見回した
自分がやったなんて信じられない、そんな顔だった
「・・・・」
だが、アスラはエステルの様子を訝しげに見ていた
「アスラ?」
「・・・いや、何でもないよ」
「そう・・・」
アスラはリアを見ると曖昧な返事を返した
(あの力、まさか・・・)
アスラの疑問とは別にリアはリアでエステルの力に疑問を抱き始めていた
(・・・言霊使い・・)
ふと声が聞こえリアはハルルの樹へ視線を向けると、守人がニコリと微笑んでいた
『有り難う、樹を蘇らせてくれて』
(蘇らせたのは、エステルじゃない?)
『いいえ。貴女の力もあったお陰です。あの娘一人では無理だったでしょう』
(・・・私と、エステルの力・・で・・?)
リアの言葉に守人は頷いた
『貴女様の力は強い。そしてあの式神様の力も・・・貴女様は・・姫、なのですか?』
(・・・故郷では、そう呼ばれてるわ)
『やはり・・・』
守人はそれで何か確信したのか、じっとリアを見つめた後、ニコリと微笑んだ
『姫、本当に有り難う御座いました・・・』
守人はリアにお礼を言うと姿を消した
「リア・・・」
隣を見るといつの間にかアスラが移動して来ていた
「守人と話してたの?」
「うん。樹を蘇らせてくれて有り難うって」
「そっか・・・。それより・・・」
アスラは小さく笑った後、ある一点を見て急に少し重たい口調で言うとリアもその場を見る
ユーリ達もそれに気が付いたのか、その場を見ていた
「あの人達、お城で会った・・・」
「住民を巻き込むと面倒だ。見つかる前に一旦離れよう」
「え? なになに? どうしたの急に!」
「とりあえず街の入り口まで行こう」
「そうしましょ。カロル行くよ」
「え? う、うん」
それから直ぐにリア達はアスピオに向けて出発したのだった
続く
あとがき
箱版ではリアちゃんが力使ってた事後書きにしか書けなかったので今回はちょっと解りやすく書いてみました
後は“姫”と言う単語が早くも出て来ました
後々にキーワードになって来る言葉ですけどね(笑)
さて、次はいよいよリタっちの登場です
多分、同じ所で終わるかと思うけど・・・ι
2009.10.09
森の中は薄暗いから気付かなかったけど、いつの間にか日が落ちていた
ハルルに戻って来ると、私達は直ぐによろず屋に行ってパナシーアボトルを作ってもらった
そしてハルルの樹の所に行くと、樹が治ると聞きつけた街の人達が集まっていた
07.蘇る樹
「じゃあカロル、お願いね」
「うん!」
リアは持っていたパナシーアボトルをカロルに渡すとカロルは樹の根本まで走って行った
「カロル、誰かにハルルの花を見せたかったんですよね?」
「多分な。ま、手遅れでなきゃいいけど」
「きっと大丈夫よ」「きっと大丈夫だよ」
そう笑い合っていると、いくよー! とカロルの声が聞こえて、パナシーアボトルの中身を樹の根元に掛けた
その直後、薄紫色の光が発せられて、幻想的な雰囲気を作り出す
「樹が・・・」
「お願いします。結界よ、ハルルの樹よ、蘇ってくだされ」
村長が祈るように呟いたのを聞いて、この樹がハルルの街の人にとってどれだけ大切なものなのか伝わってきた
皆一様に不安げにハルルの樹を見上げ、その枝から花が咲く事を祈る
暫くパナシーアボトルを掛けた時に発した光が辺りを包んでいたが、不意にその光が消えた
どうなったんだろうか、と思っていると村長がそんな・・・と何とも言えない声で呟き、街の人達も肩を落とした
「うそ、量が足りなかったの? それともこの方法じゃ・・・」
「いや、そんなはずは・・・」
カロルもアスラも信じられない、と言うように樹を見上げる
「もう一度、パナシーアボトルを!」
「それは無理です。ルルリエの花弁はもう残っていません」
「そんな、そんなのって・・・」
エステルも酷くショックな様子で、ハルルの樹を見上げていた
かける言葉も見つからない
一同が皆同様に心配そうな顔をして静まり返ったままのハルルの樹を見つめていた
本当にこのまま枯れてしまうのだろうか
いや、それではあまりにも酷すぎる
そう思ったリアは樹に近付き手を伸ばした
(・・・最初に触れた時よりかは力は戻って来てる。後は守人にその力がいけば何とかなるはず・・・)
「・・・お願い」
すると、後ろにいたエステルから祈るようにしてそう呟き、リアももう一度樹を見上げて樹に触れながらエステルと同じように祈った
途端、足元から光の粒が現れリアとエステルの周りを取り囲んだ
それはふわふわと雪のように舞って、辺り一面に広がる
(何・・・?)
「咲いて」
リアはエステルの方を見ると突然今まで見た事もないような光が爆発した
それはハルルの樹に収束したかと思うと、ぱっと突然消え去った
夜の闇が戻ったハルルだったが、何か薄い光を放つものがひらりひらりと宙に舞っている
そして空には結界が見え、リアは小さく呟いた
「樹が・・・蘇った?」
そして其処にいた誰もがその美しい光景に息を呑み、一連の事を起したエステルに視線が集まる
「す、凄い・・・」
「こ、こんな事が・・・」
「今のは治癒術なのか・・・」
「これは夢だろ・・・」
「ありえない・・・でも・・・」
街の人が口々にそう言ったが、真相を語る前にエステルが呼吸を荒げながら地面に膝をついた
「お姉ちゃん! スゴい! 凄いよ!」
「ありがとね! ハルルの樹を元気にしてくれて!」
「有り難う御座います。これでまだこの街もやっていけます・・・」
次々にお礼を言う人がエステルの前に現れて、エステルは動揺気味だ
「わ、わたし、今何を・・・?」
「エステル、覚えてないの?」
「えっと・・・」
エステルに近付きながら尋ねたが、どうにも曖昧な言葉しか出てこない
「・・・すげえな、エステル。立てるか?」
「は、はい。大丈夫です」
エステルは何とか一人で立ち上がり自分がした事を確かめるように辺りを見回した
自分がやったなんて信じられない、そんな顔だった
「・・・・」
だが、アスラはエステルの様子を訝しげに見ていた
「アスラ?」
「・・・いや、何でもないよ」
「そう・・・」
アスラはリアを見ると曖昧な返事を返した
(あの力、まさか・・・)
アスラの疑問とは別にリアはリアでエステルの力に疑問を抱き始めていた
(・・・言霊使い・・)
ふと声が聞こえリアはハルルの樹へ視線を向けると、守人がニコリと微笑んでいた
『有り難う、樹を蘇らせてくれて』
(蘇らせたのは、エステルじゃない?)
『いいえ。貴女の力もあったお陰です。あの娘一人では無理だったでしょう』
(・・・私と、エステルの力・・で・・?)
リアの言葉に守人は頷いた
『貴女様の力は強い。そしてあの式神様の力も・・・貴女様は・・姫、なのですか?』
(・・・故郷では、そう呼ばれてるわ)
『やはり・・・』
守人はそれで何か確信したのか、じっとリアを見つめた後、ニコリと微笑んだ
『姫、本当に有り難う御座いました・・・』
守人はリアにお礼を言うと姿を消した
「リア・・・」
隣を見るといつの間にかアスラが移動して来ていた
「守人と話してたの?」
「うん。樹を蘇らせてくれて有り難うって」
「そっか・・・。それより・・・」
アスラは小さく笑った後、ある一点を見て急に少し重たい口調で言うとリアもその場を見る
ユーリ達もそれに気が付いたのか、その場を見ていた
「あの人達、お城で会った・・・」
「住民を巻き込むと面倒だ。見つかる前に一旦離れよう」
「え? なになに? どうしたの急に!」
「とりあえず街の入り口まで行こう」
「そうしましょ。カロル行くよ」
「え? う、うん」
それから直ぐにリア達はアスピオに向けて出発したのだった
続く
あとがき
箱版ではリアちゃんが力使ってた事後書きにしか書けなかったので今回はちょっと解りやすく書いてみました
後は“姫”と言う単語が早くも出て来ました
後々にキーワードになって来る言葉ですけどね(笑)
さて、次はいよいよリタっちの登場です
多分、同じ所で終わるかと思うけど・・・ι
2009.10.09