救出編
夢主名変更
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「あ、ユーリ、リア~!」
ユーリと広場まで戻って来るとカロルが大きく手を振っているのが見えカロル達の所に向かって行く
「もうすぐ出発するけど休まなくても平気?」
「ミョルゾが何処にあるか解ったの?」
「あら、ユーリから聞いていなかったの?」
「え、うん・・・」
あれからユーリはずっと何かを考え込んでいるようで難しい顔をしたまま此処に戻って来たからこれからどうするのかと言う事は全然聞いていなかった
ちらりとユーリを見るとユーリも私と同じように私を見ていてお互いにそれに気付くとまた戻って来る時と同じように黙ったまま視線を外した
「「・・・・」」
「「「?」」」
そんな私とユーリを見てレイヴンがエステル達に小声で何か話しだした
「・・何かあの二人の空気が重いんだけど・・・」
「何か遭ったんでしょうか?」
「ケンカ・・・って言う訳でもなさそうだし」
「あ、パティ」
ひそひそと話しをしていると兄さんの隣にいたアスラがパティがこちらに歩いて来るのが見え声を掛け私達もパティの方を向いた
「もう出発するのか?」
「ああ」
「それでパティ、結局麗しの星の手がかりは何か見つかった?」
パティは私達の前で止まりカロルの質問にうーむ。と唸って腕を組んで答える
「本は多いが、アイフリードの話は何処にもないのじゃ」
「当たり前でしょ。この街は魔導器関連の類しか置いてないのよ」
「しょうがないのじゃ。もう少しユーリ達と旅をして手掛かりを探すのじゃ」
「・・・今、アイフリードって言ったか?」
「えっ・・・」
ふとどこからか声が聞こえ私達は声の聞こえた方を見ると、ギルド員らしき男性が怪訝そうな顔をしてパティへと視線を向けていた
「おい、そっちの。あんた最近、噂のアイフリードの孫なのか?」
「・・・・」
パティは少しだけ悲しい目をして顔を俯けてしまう
「否定も肯定もしないって事はそうなんだな。なるほどね、あんたがギルドの面汚しの孫か・・・。なんだ、普通のガキだな」
「・・・・」
「なんとか言ったらどうだ? じいさんを弁護する言葉とかはないのか? そうか、庇えるような事実でもないわな、あれだけの事やってればな」
「貴方、どうしてそんなヒドイ事が言えるんですか・・・!?」
誰もが彼の言葉に苛立ち少しだけ表情や空気が変わったと思っていると私の隣にいたエステルが声を発した
「どうしてって、事実だしな。で? あんた等が新しい海精の牙のギルド員なんだな?」
「ボ、ボク等は凛々の明星だっ!」
「凛々の明星? 胡散臭いな。何をするギルドなんだ?」
「え、えっと・・・それは・・・」
「言えば、何か良い仕事を紹介してくれるのか?」
カロルが彼の言葉に言い淀むと、ユーリが少しだけめんどくさそうな顔をして言うと今度は彼の方が少しだけどもり気味になりながら答える
「お、お前等みたいにアイフリードの関係者とつるむ怪しい連中にやる仕事はないよ。 ・・・凛々の明星ね。またギルドの品位を下げる碌でもないギルドが増えた訳だ」
「品位を下げてるのはどっちだか」
「お、お前・・・リタ・モルディオ!?」
「また、あたしがいない間にこの街も随分と下卑た連中が増えてんのね。あ~あ、同類と思われたらこっちはいい迷惑。さ、行きましょ」
彼はリタを見るなり驚いて一歩引いたがリタはそんな事は気にせず言いたい事だけ言って先に歩き出しユーリ達もその後に続いた
「・・あんた、遺跡の門のヤツか?」
「そ、それが、なんだよ」
「金輪際、遺跡の門には情報提供は無し、って事になりそうだな、これは」
「は・・・?」
「まだ下っ端っぽいから言っても無駄だと思よ。それにあんな事が遭ったんだし、もう無理だと思うけど」
「そうだったな」
「何を言っているんだ?」
兄さんの言葉に疑問を持ち、更にアスラの姿が見えていないから兄さんが何を納得しているのが分からないと言う顔をしていた
「兄さん、アスラ、ジュディス、私達も行こう」
「ちょっ、まっ・・・」
「まだ、何か言い足りないのかしら?」
「い、いえ・・・」
私も表情を変えずに兄さん達に声を掛けて歩き出し、慌てて私達に声を掛けたが直ぐにジュディスが問い返すと男はジュディスの気迫に負けその場を立ち去って行った
「・・・・」
少し離れた所まで行くと皆私達が来るのを待っていたがやっぱりパティは暗い顔をしていた
「でも、どうしよう・・・あの人、多分、言いふらすよ、きっと」
「構わねぇよ、そんな事で潰れるようだったら、とっくに潰れてるぜ、オレ達」
「そうね。言いたいヤツには言わせておけばいいわ」
「うち・・・」
「ピピオニア大陸の赤い花が咲き誇る岸辺、だっけか」
「あ、うん」
「じゃあ、行ってみるか」
「・・・・」
ユーリの言葉に同意して各々歩き出すがパティは暗い顔をしたままだった
73.Lovesick people
フィエルティア号に乗りカロル達からトートと言うクリティア族の人から聞いた話を聞かせてもらった
どうやらピピオニア大陸の赤い花が咲く岸辺にある鐘を見つけてクリティア族の聖地と言われているエゴソーの森でその鐘を鳴らせばミョルゾへの道が開かれるようだった
「じゃあこのままその赤い花が咲く岸辺って言うのを探せば良いのね」
「うん。もうパティが探し始めてるけどね」
カロル達から話しを聞いているその間、パティはずっと黙ったまま双眼鏡を除いていた
おそらくアスピオを出る時に言われた事を気にしているのだろう
「・・・パティ、大丈夫でしょうか」
心配そうなエステルの声が聞こえみんな自然とパティを見ていた
「こういう時はそっとしておく方が良いよ」
「ああ。それに俺達が行くよりラピードが付いてるから心配ねえよ」
確かにパティの隣にはずっとラピードがいた
話しを聞いている時にちらりとパティを見ていたけど、その時にラピードに話しをしていたから多少は不安も解消出来ているはずだ
「此処はラピードに任せて、私達もその赤い花が咲く岸辺を探しましょう」
「そうね。 ・・・ところでリア」
「?」
少しだけ気持ちを切り替えて立ち上がり、エステルとカロルとリタが離れたのを確認するとジュディスが声を掛けそのままジュディスへと視線を向けると、
「ユーリと何か遭ったのかしら?」
「え?」
小声でそう言われた
それはアスラも兄さんもレイヴンも気になっていたのか、一気に視線が集まる
「特に何か遭ったって訳じゃないけど」
「でもさっき何か空気が重たかったでしょ」
「あ、うん・・・。何かユーリ、ずっと考え込んでて・・・」
「それで声掛けづらくて空気が重たかった、と」
「うん・・・」
頷いて私達とは別の所にいるユーリへと視線を向ける
ユーリはずっと景色を眺めて、例の岸辺を探している
だけどまだ何か考えているようだった
「考え事しながらあの岸辺を探してるって感じよね、青年」
レイヴンの言葉に頷き、アスピオでの事を思い出す
あの時、私は前の依頼人さんと確かに話しをしてリタの家へと向かって歩いていた
けど、どうしてもその後が思い出せない
気付いたらユーリに支えて貰っていた状態だった
「・・・・」
「・・・って、リアちゃんまで何か考え出しちゃったわよ」
レイヴンの言葉でまたリアに視線が集まるがリアは気付いていない
「リア」
「え・・・、あ、何?」
アスラがリアの肩に乗り顔を覗くとようやく気付く
「中でちょっと休んだら?」
「でも・・・」
「そんなに考え込んでたら探すものも見つからないだろ」
少しだけ遠慮がちにジュディスとレイヴンの方も見ると二人とも兄さんとアスラと同じ事を言っている顔をしていた
「・・・じゃあ、お言葉に甘えてそうさせて貰おうかな」
「見つかったら知らせるからそれまでゆっくり休んどけ」
「うん。ありがとう」
兄さん達の言葉に甘えて私はアスラと一緒に船内へと向かって行った
*
「・・・・」
場所は変わって、ユーリはじっと景色を眺めていた
が、その顔は何かを考えている顔だった
「何考え込んでるんだ」
「・・・セイ」
ふと声が聞こえ隣を見るとセイが隣に移動して来ていた
「アスピオでリアと何か遭ったのか?」
そう言われユーリはアスピオでの事を思い出す
『この子の事が大事なら、どんな事が遭っても、何が遭っても手放さない事よ』
『ユーリ・・・? あれ? 私、なんで・・・?』
リアはユーリ達と別れた後の事を何も覚えていなかった
そして、数分だったが、リアとは違う人物のように思えた
「・・・ユーリ?」
「・・・いや。最近疲れてんじゃねえかと思ってな」
「ああ、だから今中で休んで貰ってる所だ。色々と無理するからな、リアは」
セイの言葉で現実に戻され、その言葉にお互いに小さく笑うが、その笑みは直ぐに消えユーリは思っている事をセイに聞いてみた
「・・・なあ、セイ。最近リアの様子が可笑しいって事ないか?」
「リアの? ・・・色々と気に掛けてる事はあるが特にはないと思うぞ」
「そうか・・・」
言うとユーリはまた何かを思っている顔をした
「ユーリ、お前も中で休め」
「?」
急にそう言われユーリはセイの方へと顔を向ける
「リアにも言ったけど、そんなに考え込んでると探すもんも見つからないだろ。むしろ考え事の方に集中してるしな」
「・・・・」
セイの言う通りずっとアスピオでの事を考えていて例の赤い花が咲く岸辺を探す事に気が回っていない
「赤い花が咲く岸辺は俺達が探すから、お前も少し休んどけ」
「・・・悪ぃな」
「気にすんな。見つけたら知らせる」
「ああ」
「・・・あんま考えすぎるなよ」
「・・・サンキュ」
セイの気遣いにユーリも素直に応じ、小さく聞こえた言葉に薄く笑って船内へと入って行った
「流石セイね」
そう声が聞こえ振り返るとジュディスがセイの方へと向かって着ていた
「私達が言っても素直に応じなかったでしょうね」
「あいつ等の面倒なら何年も見てるから、扱いが慣れてるだけだよ」
セイの言葉にジュディスはクスッと小さく笑う
「けど、あの二人が何を考え込んでいるのかは解らないまま」
「無理に聞くのも何だしな」
「ちょっと意外ね。セイは聞き出すのが上手いと思っていたし、セイになら話すと思っていたから」
「時と場合に寄るだろ。今はまだ聞き出す時じゃないって思っただけだよ。それより、俺達もそろそろ探さないとカロルやおっさんが五月蠅いぞ」
「そうね」
そこで話しを切り上げ、セイもジュディスも赤い花が咲く岸辺を探し出した
(・・・フキ)
ジュディスが立ち去ったのを見てセイは心の中でフキの名を呼ぶとセイの後ろに姿を消したままのフキが現れる
(どう思う?)
『ユーリの言ってた事、か?』
(ああ)
ユーリの言っていた事、それはリアの様子が可笑しい、と言う事だった
『俺やアスラから見ても特に変わった所はないけどな』
(ああ。だから俺達と別れてるあの時に何か遭ったしか考えられないな)
言霊使いの力が関わっている事なら同じ力を持つセイや、リアとセイに仕えていて相棒であるアスラやフキにも解るが、その感じは全くなかった
『リアとユーリの様子を見る限りじゃ、どっちも何が遭ったか解ってない感じだったな』
(ああ、特にリアは、な)
お互いに何か考え込んでるが、リアはユーリとは違い解らない事だらけで悩んでいる感じだった
『あの場に俺達もいた訳じゃねえから何が遭ったかは分かんねえけど』
(気に止めておくに超した事はない、な)
『ああ』
セイのその言葉には色々と深い意味が込められている事をフキは理解して深く頷いた
*
『この子、リア・ルーティアが大事?』
ふと、あの凜とした声が耳に響く
『この子の事が大事なら、どんな事が遭っても、何が遭っても手放さない事よ。
―― 絶対に 』
「っ!!」
またあの声が響き、勢い良く体を起こす
「・・・また、あの時の事か」
ユーリは辺りを見渡し小さく息を吐いた
船内へと戻って来たユーリだったが特にする事もなく軽く仮眠を取っていた
が、夢の中でリアに似た女性の凜とした声が響いてアスピオで言われた言葉が過ぎった
「・・・一体、何だってんだ」
一瞬でもその事を考えないようにするが、妙にその言葉が耳に残る
『あんま考えすぎるなよ』
「セイが言ってた通り、考えすぎてるから夢にまで見ちまったのかもな」
夢にまで見るくらいなのだから、そうなのだろう、と思っているとバウルの鳴き声が聞こえた
「? 何か遭ったのか?」
バウルの鳴き声で現実に引き戻され、ユーリはベッドから立ち上がって外へと向かい出した
が、ユーリはリアに似た女性が言った言葉に、
『絶対に ――』
と、増えていた事にまだ気付いていなかった
続く
あとがき
ほっ、何とか此処まで仕上がった
けど書き直しとかも含めてたら1ヶ月もかかってしまった・・・ι
とりあえず、重要な人達には色々と気に止めて貰っておきたかったので此処は書いてみました
後々に関わってくる事だからね!
でも未だにリアちゃんは解ってないけどねι
さ、次回はこれの後から始まって・・・あの切なぁ~い所に行きます
頑張って書こう!
Lovesick people:悩める者達
下書き:2010.07.08
完成:2010.08.31
ユーリと広場まで戻って来るとカロルが大きく手を振っているのが見えカロル達の所に向かって行く
「もうすぐ出発するけど休まなくても平気?」
「ミョルゾが何処にあるか解ったの?」
「あら、ユーリから聞いていなかったの?」
「え、うん・・・」
あれからユーリはずっと何かを考え込んでいるようで難しい顔をしたまま此処に戻って来たからこれからどうするのかと言う事は全然聞いていなかった
ちらりとユーリを見るとユーリも私と同じように私を見ていてお互いにそれに気付くとまた戻って来る時と同じように黙ったまま視線を外した
「「・・・・」」
「「「?」」」
そんな私とユーリを見てレイヴンがエステル達に小声で何か話しだした
「・・何かあの二人の空気が重いんだけど・・・」
「何か遭ったんでしょうか?」
「ケンカ・・・って言う訳でもなさそうだし」
「あ、パティ」
ひそひそと話しをしていると兄さんの隣にいたアスラがパティがこちらに歩いて来るのが見え声を掛け私達もパティの方を向いた
「もう出発するのか?」
「ああ」
「それでパティ、結局麗しの星の手がかりは何か見つかった?」
パティは私達の前で止まりカロルの質問にうーむ。と唸って腕を組んで答える
「本は多いが、アイフリードの話は何処にもないのじゃ」
「当たり前でしょ。この街は魔導器関連の類しか置いてないのよ」
「しょうがないのじゃ。もう少しユーリ達と旅をして手掛かりを探すのじゃ」
「・・・今、アイフリードって言ったか?」
「えっ・・・」
ふとどこからか声が聞こえ私達は声の聞こえた方を見ると、ギルド員らしき男性が怪訝そうな顔をしてパティへと視線を向けていた
「おい、そっちの。あんた最近、噂のアイフリードの孫なのか?」
「・・・・」
パティは少しだけ悲しい目をして顔を俯けてしまう
「否定も肯定もしないって事はそうなんだな。なるほどね、あんたがギルドの面汚しの孫か・・・。なんだ、普通のガキだな」
「・・・・」
「なんとか言ったらどうだ? じいさんを弁護する言葉とかはないのか? そうか、庇えるような事実でもないわな、あれだけの事やってればな」
「貴方、どうしてそんなヒドイ事が言えるんですか・・・!?」
誰もが彼の言葉に苛立ち少しだけ表情や空気が変わったと思っていると私の隣にいたエステルが声を発した
「どうしてって、事実だしな。で? あんた等が新しい海精の牙のギルド員なんだな?」
「ボ、ボク等は凛々の明星だっ!」
「凛々の明星? 胡散臭いな。何をするギルドなんだ?」
「え、えっと・・・それは・・・」
「言えば、何か良い仕事を紹介してくれるのか?」
カロルが彼の言葉に言い淀むと、ユーリが少しだけめんどくさそうな顔をして言うと今度は彼の方が少しだけどもり気味になりながら答える
「お、お前等みたいにアイフリードの関係者とつるむ怪しい連中にやる仕事はないよ。 ・・・凛々の明星ね。またギルドの品位を下げる碌でもないギルドが増えた訳だ」
「品位を下げてるのはどっちだか」
「お、お前・・・リタ・モルディオ!?」
「また、あたしがいない間にこの街も随分と下卑た連中が増えてんのね。あ~あ、同類と思われたらこっちはいい迷惑。さ、行きましょ」
彼はリタを見るなり驚いて一歩引いたがリタはそんな事は気にせず言いたい事だけ言って先に歩き出しユーリ達もその後に続いた
「・・あんた、遺跡の門のヤツか?」
「そ、それが、なんだよ」
「金輪際、遺跡の門には情報提供は無し、って事になりそうだな、これは」
「は・・・?」
「まだ下っ端っぽいから言っても無駄だと思よ。それにあんな事が遭ったんだし、もう無理だと思うけど」
「そうだったな」
「何を言っているんだ?」
兄さんの言葉に疑問を持ち、更にアスラの姿が見えていないから兄さんが何を納得しているのが分からないと言う顔をしていた
「兄さん、アスラ、ジュディス、私達も行こう」
「ちょっ、まっ・・・」
「まだ、何か言い足りないのかしら?」
「い、いえ・・・」
私も表情を変えずに兄さん達に声を掛けて歩き出し、慌てて私達に声を掛けたが直ぐにジュディスが問い返すと男はジュディスの気迫に負けその場を立ち去って行った
「・・・・」
少し離れた所まで行くと皆私達が来るのを待っていたがやっぱりパティは暗い顔をしていた
「でも、どうしよう・・・あの人、多分、言いふらすよ、きっと」
「構わねぇよ、そんな事で潰れるようだったら、とっくに潰れてるぜ、オレ達」
「そうね。言いたいヤツには言わせておけばいいわ」
「うち・・・」
「ピピオニア大陸の赤い花が咲き誇る岸辺、だっけか」
「あ、うん」
「じゃあ、行ってみるか」
「・・・・」
ユーリの言葉に同意して各々歩き出すがパティは暗い顔をしたままだった
73.Lovesick people
フィエルティア号に乗りカロル達からトートと言うクリティア族の人から聞いた話を聞かせてもらった
どうやらピピオニア大陸の赤い花が咲く岸辺にある鐘を見つけてクリティア族の聖地と言われているエゴソーの森でその鐘を鳴らせばミョルゾへの道が開かれるようだった
「じゃあこのままその赤い花が咲く岸辺って言うのを探せば良いのね」
「うん。もうパティが探し始めてるけどね」
カロル達から話しを聞いているその間、パティはずっと黙ったまま双眼鏡を除いていた
おそらくアスピオを出る時に言われた事を気にしているのだろう
「・・・パティ、大丈夫でしょうか」
心配そうなエステルの声が聞こえみんな自然とパティを見ていた
「こういう時はそっとしておく方が良いよ」
「ああ。それに俺達が行くよりラピードが付いてるから心配ねえよ」
確かにパティの隣にはずっとラピードがいた
話しを聞いている時にちらりとパティを見ていたけど、その時にラピードに話しをしていたから多少は不安も解消出来ているはずだ
「此処はラピードに任せて、私達もその赤い花が咲く岸辺を探しましょう」
「そうね。 ・・・ところでリア」
「?」
少しだけ気持ちを切り替えて立ち上がり、エステルとカロルとリタが離れたのを確認するとジュディスが声を掛けそのままジュディスへと視線を向けると、
「ユーリと何か遭ったのかしら?」
「え?」
小声でそう言われた
それはアスラも兄さんもレイヴンも気になっていたのか、一気に視線が集まる
「特に何か遭ったって訳じゃないけど」
「でもさっき何か空気が重たかったでしょ」
「あ、うん・・・。何かユーリ、ずっと考え込んでて・・・」
「それで声掛けづらくて空気が重たかった、と」
「うん・・・」
頷いて私達とは別の所にいるユーリへと視線を向ける
ユーリはずっと景色を眺めて、例の岸辺を探している
だけどまだ何か考えているようだった
「考え事しながらあの岸辺を探してるって感じよね、青年」
レイヴンの言葉に頷き、アスピオでの事を思い出す
あの時、私は前の依頼人さんと確かに話しをしてリタの家へと向かって歩いていた
けど、どうしてもその後が思い出せない
気付いたらユーリに支えて貰っていた状態だった
「・・・・」
「・・・って、リアちゃんまで何か考え出しちゃったわよ」
レイヴンの言葉でまたリアに視線が集まるがリアは気付いていない
「リア」
「え・・・、あ、何?」
アスラがリアの肩に乗り顔を覗くとようやく気付く
「中でちょっと休んだら?」
「でも・・・」
「そんなに考え込んでたら探すものも見つからないだろ」
少しだけ遠慮がちにジュディスとレイヴンの方も見ると二人とも兄さんとアスラと同じ事を言っている顔をしていた
「・・・じゃあ、お言葉に甘えてそうさせて貰おうかな」
「見つかったら知らせるからそれまでゆっくり休んどけ」
「うん。ありがとう」
兄さん達の言葉に甘えて私はアスラと一緒に船内へと向かって行った
*
「・・・・」
場所は変わって、ユーリはじっと景色を眺めていた
が、その顔は何かを考えている顔だった
「何考え込んでるんだ」
「・・・セイ」
ふと声が聞こえ隣を見るとセイが隣に移動して来ていた
「アスピオでリアと何か遭ったのか?」
そう言われユーリはアスピオでの事を思い出す
『この子の事が大事なら、どんな事が遭っても、何が遭っても手放さない事よ』
『ユーリ・・・? あれ? 私、なんで・・・?』
リアはユーリ達と別れた後の事を何も覚えていなかった
そして、数分だったが、リアとは違う人物のように思えた
「・・・ユーリ?」
「・・・いや。最近疲れてんじゃねえかと思ってな」
「ああ、だから今中で休んで貰ってる所だ。色々と無理するからな、リアは」
セイの言葉で現実に戻され、その言葉にお互いに小さく笑うが、その笑みは直ぐに消えユーリは思っている事をセイに聞いてみた
「・・・なあ、セイ。最近リアの様子が可笑しいって事ないか?」
「リアの? ・・・色々と気に掛けてる事はあるが特にはないと思うぞ」
「そうか・・・」
言うとユーリはまた何かを思っている顔をした
「ユーリ、お前も中で休め」
「?」
急にそう言われユーリはセイの方へと顔を向ける
「リアにも言ったけど、そんなに考え込んでると探すもんも見つからないだろ。むしろ考え事の方に集中してるしな」
「・・・・」
セイの言う通りずっとアスピオでの事を考えていて例の赤い花が咲く岸辺を探す事に気が回っていない
「赤い花が咲く岸辺は俺達が探すから、お前も少し休んどけ」
「・・・悪ぃな」
「気にすんな。見つけたら知らせる」
「ああ」
「・・・あんま考えすぎるなよ」
「・・・サンキュ」
セイの気遣いにユーリも素直に応じ、小さく聞こえた言葉に薄く笑って船内へと入って行った
「流石セイね」
そう声が聞こえ振り返るとジュディスがセイの方へと向かって着ていた
「私達が言っても素直に応じなかったでしょうね」
「あいつ等の面倒なら何年も見てるから、扱いが慣れてるだけだよ」
セイの言葉にジュディスはクスッと小さく笑う
「けど、あの二人が何を考え込んでいるのかは解らないまま」
「無理に聞くのも何だしな」
「ちょっと意外ね。セイは聞き出すのが上手いと思っていたし、セイになら話すと思っていたから」
「時と場合に寄るだろ。今はまだ聞き出す時じゃないって思っただけだよ。それより、俺達もそろそろ探さないとカロルやおっさんが五月蠅いぞ」
「そうね」
そこで話しを切り上げ、セイもジュディスも赤い花が咲く岸辺を探し出した
(・・・フキ)
ジュディスが立ち去ったのを見てセイは心の中でフキの名を呼ぶとセイの後ろに姿を消したままのフキが現れる
(どう思う?)
『ユーリの言ってた事、か?』
(ああ)
ユーリの言っていた事、それはリアの様子が可笑しい、と言う事だった
『俺やアスラから見ても特に変わった所はないけどな』
(ああ。だから俺達と別れてるあの時に何か遭ったしか考えられないな)
言霊使いの力が関わっている事なら同じ力を持つセイや、リアとセイに仕えていて相棒であるアスラやフキにも解るが、その感じは全くなかった
『リアとユーリの様子を見る限りじゃ、どっちも何が遭ったか解ってない感じだったな』
(ああ、特にリアは、な)
お互いに何か考え込んでるが、リアはユーリとは違い解らない事だらけで悩んでいる感じだった
『あの場に俺達もいた訳じゃねえから何が遭ったかは分かんねえけど』
(気に止めておくに超した事はない、な)
『ああ』
セイのその言葉には色々と深い意味が込められている事をフキは理解して深く頷いた
*
『この子、リア・ルーティアが大事?』
ふと、あの凜とした声が耳に響く
『この子の事が大事なら、どんな事が遭っても、何が遭っても手放さない事よ。
―― 絶対に 』
「っ!!」
またあの声が響き、勢い良く体を起こす
「・・・また、あの時の事か」
ユーリは辺りを見渡し小さく息を吐いた
船内へと戻って来たユーリだったが特にする事もなく軽く仮眠を取っていた
が、夢の中でリアに似た女性の凜とした声が響いてアスピオで言われた言葉が過ぎった
「・・・一体、何だってんだ」
一瞬でもその事を考えないようにするが、妙にその言葉が耳に残る
『あんま考えすぎるなよ』
「セイが言ってた通り、考えすぎてるから夢にまで見ちまったのかもな」
夢にまで見るくらいなのだから、そうなのだろう、と思っているとバウルの鳴き声が聞こえた
「? 何か遭ったのか?」
バウルの鳴き声で現実に引き戻され、ユーリはベッドから立ち上がって外へと向かい出した
が、ユーリはリアに似た女性が言った言葉に、
『絶対に ――』
と、増えていた事にまだ気付いていなかった
続く
あとがき
ほっ、何とか此処まで仕上がった
けど書き直しとかも含めてたら1ヶ月もかかってしまった・・・ι
とりあえず、重要な人達には色々と気に止めて貰っておきたかったので此処は書いてみました
後々に関わってくる事だからね!
でも未だにリアちゃんは解ってないけどねι
さ、次回はこれの後から始まって・・・あの切なぁ~い所に行きます
頑張って書こう!
Lovesick people:悩める者達
下書き:2010.07.08
完成:2010.08.31