満月の子編
夢主名変更
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「・・・」
白い世界、そこから段々と鳥の囀りが聞こえ、その声につられるように現実に引き戻されていく
「・・・・」
違う世界の色が見え、ゆっくりと瞼を開いていくと徐々に周りの景色も目に映る
だが、起きるといつもと違う事に気が付く
部屋で寝ていたがそれはいつも使っている下町の部屋でも街の宿屋とは違う、もっと懐かしい所・・・
「・・・そっか。私、故郷に戻って来てたんだよね・・」
リアは布団から出て窓際に移動し窓を開ける
外を見れば大きな庭が広がっていて、向かいの建物が見える
更に遠くを見ると緑豊かな景色とずらりと並ぶ民家が見える
そのまま窓際に座り息を吸うと、空気はとても澄んでいて緑豊かな新鮮な空気で、風もとても心地良いものだった
「・・・・」
そして目を瞑った
『私は、リア』
『オレはユーリだ』
『僕はフレン。よろしくね』
「・・・随分と懐かしい夢見ちゃったな」
それはリアが初めて故郷の外に行き、帝都の下町でユーリとフレンと出逢った時の事だった
「この夢を見ちゃうって事は、やっぱり気にしてるから、なんだろうな・・・」
昨日、リアはセイ達と一緒に故郷に戻って来た
その理由は今のリアには解らないが、セイやアスラ達の反応を見て、戻らなきゃ行けない、と言うのはリア自身でも感じていた事だった
『詳しくは明日にでも話すから、今は休め』
セイやアスラ達神将に同じ事を言われ、リアは大人しく休む事にした
「リア、起きてる?」
少しだけ考えていると襖の向こうから女性の優しい声が聞こえた
「起きてるよ」
リアが返事を返すとリアと同じ年くらいのピンクの髪をした女性が入って来た
「おはよう、イサキ」
「おはよう。って、窓際に座ってどうしたの?」
「風に当たりながら色々と懐かしんでたの」
リアは薄く笑って答えるとイサキはそっか、と言って同じように微笑んだ
イサキはリアの親友で故郷での幼馴染み、そして故郷での護衛役でもある
けど、お互いにそんな事は気にせず親友として接しているからか、イサキはリアが思っている事が解ったようだった
「朝食もう出来てるよ。着替えたら行こう」
「うん。あ、兄さんは?」
「セイならフキと一緒に広間にいると思うよ」
「そっか」
故郷に戻って来た時はリアの事で気が回っていたが、セイもリアと同じように何処か顔色が悪かった事を思い出し、イサキの言葉を聞きもう平気なのだと思った
(色々と考えなきゃいけない事はあるけど、それは後ね)
「お待たせ。じゃあ行こう」
リアは着替えながら気持ちを切り替え、一呼吸置いてイサキに向き合い、そのまま部屋を後にした
65.Each uneasiness
天気の良い昼下がり、リアはある一室にいた
そこにはセイ、アスラ、フキ、そしてリンコウと他の神将達が集まっていた
「兄さん、昨日言ってた事だけど」
昨日の事、それはベリウスの事、そしてリアやセイ達の体調が急に悪くなった事だった
「本当はリアには言わないつもりだったんだけどね」
「こうなっちまった以上はちゃんと話さないとな」
「「「「・・・・」」」」
アスラもフキも、そして他の神将達も複雑な表情を浮かべている
「正直な所、この話しをした後、ユーリ達・・いや、エステルと今まで通り一緒にいれるかどうか分かんねえ」
「! どう言う、事・・?」
セイの言葉を聞きリアは驚いて目を瞠る
「順に話していく。が、リア、本当に聞く覚悟は出来ているか?」
「・・・・」
リンコウの鋭い視線と言葉にリアは一瞬だけ押し黙る
(これを聞いたら全てが変わってしまうような気がする。でも、聞かないといけない。こんな何も解らないままなのは・・・みんなの側にいられないのはイヤだ・・・)
「大丈夫。兄さん、神将達 、お願い、今私達の周りで何が起こっているのか、どうなってるのか、私が知らなくちゃいけない事を教えて」
「リア・・・」
「解った。なら、順に話していく」
リアの覚悟を決めた目を見て、一人の神将タイリンがぽつりと呟いた後セイは一息吐き話し出した
*
場所は変わってこちらはフィエルティア号
リア達が立ち去った後、騒動は収まったが駆動魔導器が壊れてしまい今フィエルティア号は海を漂流していた
駆動魔導器はリタが何とか動けるように頑張っていて、パティは舵の近く、レイヴンはハリーの側にいて、カロルとエステルは別々の場所にいた
「・・・ガラにもなくちょい混乱気味だな」
「クウゥゥン・・・」
ユーリはラピードの隣に座りぽつりと呟くとラピードが心配そうな顔をしてユーリを見る
ラゴウやキュモールを手に懸けた事はカロルやエステルには話し、リアもその事を知っているのは話した
だが今気に掛けている事はその事ではない
ジュディスや今後の凛々の明星の行く末、そして
「リアとセイ兄達は、何処に行ってしまったのじゃ?」
「さあね・・・」
いつの間にかパティとレイヴンもエステル達の所に来て会話に参加していた
「・・・・」
今気にしている事はリアの事だった
ジュディスが去った後、セイとアスラとフキ、そして突然ユーリの前に現れた女性と一緒に“故郷”と言う所に戻って行った
「一つ、気になっている事があるんです」
「気になってる事?」
「ベリウスと戦っている時にリアが使った術の事です」
そう言われ、ユーリ達はあの時リアが使っていた術の事を思い出す
「あの歌みたいな術の事?」
「あれは今は使われていない術なのよ」
いつの間にかリタもユーリ達の所に来て会話に加わっていた
「今は使われていない?」
「あれはずっと昔に使われていた古代の術。あたしも本で見た事があるけど、解析は出来なかった」
「わたしもお城の本で見た事がありますけど、リタと同じで全然読めませんでした」
「嬢ちゃんもリタっちも解らなかった術をリアちゃんが使ったって事?」
「どう言う事なのじゃ?」
「多分、リアが・・・言霊使いだから使えたんじゃないかってあたしは思ってる」
「言霊使いだから・・・?」
言霊使いの事は物語の人物、そして古い文献にも載っているが、彼等の事については詳しく記されていない
実在する事自体、今の人々は知らない
「そう言った事を考えれば、納得がいく。でも・・・、」
色々と聞きたい事はある、だが当の本人もセイも式神であるアスラ達もジュディスが去った後に何処かへ消えてしまった
「「「「「・・・・・」」」」」
その後は誰も言葉が出てこず、ただ沈黙が流れるだけだった
「リア達、戻って来ますよね・・・?」
「・・・・」
その沈黙を破ったのはエステルだったが、その質問はユーリに向けられていた
リア達が消えた事は話したが、リアがセイに支えられ顔色が悪かった事は話さなかった
否、正確には言えなかったの方が正しいのかもしれない
実際にこれ以上心配事を増やしたくないものあったが、口にしてはいけないと何処かで思っていたからかも知れない
「・・・多分、な」
ユーリは背を向けてそう告げると、ラピードと共に船内へと戻って行った
「・・・ユーリ」
が、その言葉には何処か不安が交ざっているのをエステル達は自然と感じていた
続く
あとがき
此処は前回と同じくオリジナルで考えたが、ホントかなーり悩んでしまうι
何故か悩んでしまう所なんだよなぁ~此処もι
さて、次は故郷でセイ兄ちゃんやアスラ達神将から詳しい事を聞きます
次は神将達の出番も増えると良いなι
Each uneasiness:各々の不安
2010.04.05
白い世界、そこから段々と鳥の囀りが聞こえ、その声につられるように現実に引き戻されていく
「・・・・」
違う世界の色が見え、ゆっくりと瞼を開いていくと徐々に周りの景色も目に映る
だが、起きるといつもと違う事に気が付く
部屋で寝ていたがそれはいつも使っている下町の部屋でも街の宿屋とは違う、もっと懐かしい所・・・
「・・・そっか。私、故郷に戻って来てたんだよね・・」
リアは布団から出て窓際に移動し窓を開ける
外を見れば大きな庭が広がっていて、向かいの建物が見える
更に遠くを見ると緑豊かな景色とずらりと並ぶ民家が見える
そのまま窓際に座り息を吸うと、空気はとても澄んでいて緑豊かな新鮮な空気で、風もとても心地良いものだった
「・・・・」
そして目を瞑った
『私は、リア』
『オレはユーリだ』
『僕はフレン。よろしくね』
「・・・随分と懐かしい夢見ちゃったな」
それはリアが初めて故郷の外に行き、帝都の下町でユーリとフレンと出逢った時の事だった
「この夢を見ちゃうって事は、やっぱり気にしてるから、なんだろうな・・・」
昨日、リアはセイ達と一緒に故郷に戻って来た
その理由は今のリアには解らないが、セイやアスラ達の反応を見て、戻らなきゃ行けない、と言うのはリア自身でも感じていた事だった
『詳しくは明日にでも話すから、今は休め』
セイやアスラ達神将に同じ事を言われ、リアは大人しく休む事にした
「リア、起きてる?」
少しだけ考えていると襖の向こうから女性の優しい声が聞こえた
「起きてるよ」
リアが返事を返すとリアと同じ年くらいのピンクの髪をした女性が入って来た
「おはよう、イサキ」
「おはよう。って、窓際に座ってどうしたの?」
「風に当たりながら色々と懐かしんでたの」
リアは薄く笑って答えるとイサキはそっか、と言って同じように微笑んだ
イサキはリアの親友で故郷での幼馴染み、そして故郷での護衛役でもある
けど、お互いにそんな事は気にせず親友として接しているからか、イサキはリアが思っている事が解ったようだった
「朝食もう出来てるよ。着替えたら行こう」
「うん。あ、兄さんは?」
「セイならフキと一緒に広間にいると思うよ」
「そっか」
故郷に戻って来た時はリアの事で気が回っていたが、セイもリアと同じように何処か顔色が悪かった事を思い出し、イサキの言葉を聞きもう平気なのだと思った
(色々と考えなきゃいけない事はあるけど、それは後ね)
「お待たせ。じゃあ行こう」
リアは着替えながら気持ちを切り替え、一呼吸置いてイサキに向き合い、そのまま部屋を後にした
65.Each uneasiness
天気の良い昼下がり、リアはある一室にいた
そこにはセイ、アスラ、フキ、そしてリンコウと他の神将達が集まっていた
「兄さん、昨日言ってた事だけど」
昨日の事、それはベリウスの事、そしてリアやセイ達の体調が急に悪くなった事だった
「本当はリアには言わないつもりだったんだけどね」
「こうなっちまった以上はちゃんと話さないとな」
「「「「・・・・」」」」
アスラもフキも、そして他の神将達も複雑な表情を浮かべている
「正直な所、この話しをした後、ユーリ達・・いや、エステルと今まで通り一緒にいれるかどうか分かんねえ」
「! どう言う、事・・?」
セイの言葉を聞きリアは驚いて目を瞠る
「順に話していく。が、リア、本当に聞く覚悟は出来ているか?」
「・・・・」
リンコウの鋭い視線と言葉にリアは一瞬だけ押し黙る
(これを聞いたら全てが変わってしまうような気がする。でも、聞かないといけない。こんな何も解らないままなのは・・・みんなの側にいられないのはイヤだ・・・)
「大丈夫。兄さん、
「リア・・・」
「解った。なら、順に話していく」
リアの覚悟を決めた目を見て、一人の神将タイリンがぽつりと呟いた後セイは一息吐き話し出した
*
場所は変わってこちらはフィエルティア号
リア達が立ち去った後、騒動は収まったが駆動魔導器が壊れてしまい今フィエルティア号は海を漂流していた
駆動魔導器はリタが何とか動けるように頑張っていて、パティは舵の近く、レイヴンはハリーの側にいて、カロルとエステルは別々の場所にいた
「・・・ガラにもなくちょい混乱気味だな」
「クウゥゥン・・・」
ユーリはラピードの隣に座りぽつりと呟くとラピードが心配そうな顔をしてユーリを見る
ラゴウやキュモールを手に懸けた事はカロルやエステルには話し、リアもその事を知っているのは話した
だが今気に掛けている事はその事ではない
ジュディスや今後の凛々の明星の行く末、そして
「リアとセイ兄達は、何処に行ってしまったのじゃ?」
「さあね・・・」
いつの間にかパティとレイヴンもエステル達の所に来て会話に参加していた
「・・・・」
今気にしている事はリアの事だった
ジュディスが去った後、セイとアスラとフキ、そして突然ユーリの前に現れた女性と一緒に“故郷”と言う所に戻って行った
「一つ、気になっている事があるんです」
「気になってる事?」
「ベリウスと戦っている時にリアが使った術の事です」
そう言われ、ユーリ達はあの時リアが使っていた術の事を思い出す
「あの歌みたいな術の事?」
「あれは今は使われていない術なのよ」
いつの間にかリタもユーリ達の所に来て会話に加わっていた
「今は使われていない?」
「あれはずっと昔に使われていた古代の術。あたしも本で見た事があるけど、解析は出来なかった」
「わたしもお城の本で見た事がありますけど、リタと同じで全然読めませんでした」
「嬢ちゃんもリタっちも解らなかった術をリアちゃんが使ったって事?」
「どう言う事なのじゃ?」
「多分、リアが・・・言霊使いだから使えたんじゃないかってあたしは思ってる」
「言霊使いだから・・・?」
言霊使いの事は物語の人物、そして古い文献にも載っているが、彼等の事については詳しく記されていない
実在する事自体、今の人々は知らない
「そう言った事を考えれば、納得がいく。でも・・・、」
色々と聞きたい事はある、だが当の本人もセイも式神であるアスラ達もジュディスが去った後に何処かへ消えてしまった
「「「「「・・・・・」」」」」
その後は誰も言葉が出てこず、ただ沈黙が流れるだけだった
「リア達、戻って来ますよね・・・?」
「・・・・」
その沈黙を破ったのはエステルだったが、その質問はユーリに向けられていた
リア達が消えた事は話したが、リアがセイに支えられ顔色が悪かった事は話さなかった
否、正確には言えなかったの方が正しいのかもしれない
実際にこれ以上心配事を増やしたくないものあったが、口にしてはいけないと何処かで思っていたからかも知れない
「・・・多分、な」
ユーリは背を向けてそう告げると、ラピードと共に船内へと戻って行った
「・・・ユーリ」
が、その言葉には何処か不安が交ざっているのをエステル達は自然と感じていた
続く
あとがき
此処は前回と同じくオリジナルで考えたが、ホントかなーり悩んでしまうι
何故か悩んでしまう所なんだよなぁ~此処もι
さて、次は故郷でセイ兄ちゃんやアスラ達神将から詳しい事を聞きます
次は神将達の出番も増えると良いなι
Each uneasiness:各々の不安
2010.04.05