満月の子編
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オアシスを見つけた私達は、そこに向かって行き暫く水浴びをして休憩を取り、水筒に水を汲んでからまた出発した
「おっ・・・?」
暫く進んでいるとレイヴンが何かを見つけた
「何やってんだ、おっさん」
「いやほら、そこなんか変な生き物がいるなーって」
「ん・・・?」
そこに目を向けると確かに何かが埋まったまま動いていた
「なんだ?」
そしてそれを見ていると、それは急に動き出し私達の方へと向かって来た
「うわあああっ!!」
カロルは驚いて尻餅を付き、そしてそれはユーリの足をガシッと掴んで止まった
58.蒼天に消ゆ
「ユーリなのじゃ!」
それは嬉しそうに声を出して顔を上げた
「パティ!?」
そこから出て来たのはパティだった
「び、吃驚した・・・」
「そりゃオレの台詞だ。まさか砂ん中で宝探しか?」
「ご名答なのじゃ」
パティはまだ身体を砂の中に埋めながら答える
そして何かを抱えて砂の中から出て来た
「これ何だ?」
「アイフリードが隠した宝なのじゃ」
「これが・・・?」
「でも、よく砂の中の宝物なんか見つける事出来たね」
「冒険家の勘はイルカの右脳よりも鋭いのじゃ」
「勘? 非科学的~」
「あら、侮れないわよ、勘って」
「確かにね・・・」
ジュディスとアスラの言葉に私と兄さんは大いに頷いた
私達が良く気に掛かる勘というものはイヤでも当たってしまうものだから・・・
「まさかそれか? 探してたお宝ってのは」
それを察してか、ユーリは呆れたようにパティに聞いた
「違うのじゃ。これはガラクタなのじゃ。それにうちはお宝を見つけるのが、目的ではないのじゃ」
「記憶を取り戻す、ですよね?」
「そうなのじゃ、その為には祖父ちゃんのお宝の麗しの星を見つけるのじゃ」
「んで? まだその記憶とやらは戻って来ないのか?」
「うむ。そのようなのじゃ。でも、うちの旅はまだまだこれからなのじゃ」
「立ち直りの早い子だねえ」
「あら? 私はそういう子の方が好きよ?」
「お? 俺様もそうだけど?」
レイヴンは嬉しそうに言うとジュディスはニコリとした笑顔を返した
「アレは聞き流したな・・・」
「うん・・・」
「ねぇ、こんな所でお喋りしてたら、行き倒れになるわよ」
「・・・だな」
「パティも一緒に行きましょう」
「む? 宝探しの続きがあるんじゃがの」
「ごちゃごちゃ言わないで着いてくる」
リタの言葉に私達は苦笑し、パティも一緒に歩き出した
*
「ユーリ! 見て、あそこ!」
カロルが言った方に顔を向けると、そこは砂で埋め尽くされた大地の一角に人が倒れていた
「だ、大丈夫!?」
私達は直ぐに駆け寄りエステルが手前の男性に、私は隣の女性に治癒術を掛けてあげた
「うぅっ・・・」
「あ、気が付いたみたい」
「あ、貴方方・・は・・・」
男性の方が先に気が付き、よろよろと頭を左右に動かし私達を見た
「楽になりましたか?」
「ああ・・・妻は、妻は・・・」
「こちらの方ですか?」
私は治癒術を掛けている女性に目を向けると男性は少し安心したようだった
「あ、ああ・・・」
「うぅっ・・・」
女性の方もようやく気が付き、私は治癒術を掛けるのをやめた
「大丈夫ですか?」
「え、ええ・・・」
女性は起き上がろうとするが、エステルに止められる
「まだじっとしていて下さい」
「み、水を・・・」
私とユーリが水筒を手渡すと二人は一気に水を飲み干した
「ぷは~、生き返るな~」
「ええ、潤ってきたわ~」
「有り難う御座います!」
「貴方方のお陰で、命拾いしました・・・貴方方は私達の救いの主です」
二人はなんとか立ち上がるくらい回復し、私達に頭を下げた
「安心するのは生きて帰れてからだ」
「なに、なんとかなるのじゃ」
「この状況でその台詞言えるなんてあんた上等だわ」
「ああ・・・」
パティの言葉に兄さんとリタは呆れたような感心したような声を出していた
「お礼を・・・と言っても、今は何も持ち合わせがなくて・・・」
「ああ、良いって良いってそんなの」
「いえ、そう言う訳には行きません。是非、お礼にマンタイクまで取りに来て下さい」
「マンタイク・・・?」
「貴方達、もしかしてアルフとライラの両親かしら?」
「え、ええ、そうです!」
「もしかして、マンタイクであの子達に・・・?」
「ええ、会いました」
「お父さんとお母さんの事、心配してたよ」
「探しに行こうとまでしてたわ」
「ああ・・・こうしちゃいられない。早く戻らないと・・・」
「焦らないで。二人だけで帰れると思う?」
「そ、それは・・・無理です・・・ね」
「ちょっと落ち着いて、ね」
「そうなのじゃ、少しこの辺りで横になるのじゃ」
「ちょっとパティ、それは落ち着きすぎ・・・」
キュオォォォォォォォォォッ!
パティの言葉にエステルが苦笑していると、突然鳥の鳴き声が聞こえた
「こんな砂漠に・・・鳥?」
途端、私達の前に巨大なゼリー状のエイのような形をした水色の魔物が現れた
「何!? 気持ちワルッ!」
「おとりを使っての不意打ちとは卑怯な魔物なのじゃ」
「あんな魔物・・・ボク知らない・・・」
「魔物じゃないわね、あれは」
「魔物じゃなかったら、何よ!?」
「ワン! ワン! ワン!」
「ラピードがびびるなんて・・・やばそうだな・・・」
「・・・これって・・・」
「アスラ・・・?」
アスラは目の前に現れたあの魔物のような物を見て眉を寄せた
「こっちに来ます!」
「!」
その事に疑問を持っているとエステルがそう叫び、私達は一斉に武器を構えた
「アスラ、二人の護衛をお願い!」
「了解!」
アスラに夫婦の護衛を任せ、二人の姿が見えなくなるのを確認すると私は少し遅れて戦闘を始めた
*
キュオォォォォォォォォォッ!
暫くして、魔物は声を荒げながらその場から消えていった
「消えた・・・?」
ハァ、ハァ・・と荒い息を整えていると空からオレンジ色の羽根のようなものが落ちて来た
「これは・・・?」
「はあ・・・ボク、もうだめ・・・」
エステルはそれを拾って地面に座るとカロルが倒れてしまう
さっきの戦闘でみんな体力を使い果たしたのか、つられてリタもエステルもジュディスもパティもラピードも倒れる
「サザエのつぼ焼き・・・よりも・・・グツグツグラグラ熱・・・」
「ジュディス、パティ、・・ラピード・・・しっかり・・・」
「さすがの俺様も、もう限界・・・」
そして、兄さんもレイヴンも倒れてしまう
アスラと夫婦を見てみるとこちらも同じように倒れていた
「・・・こりゃ、やべえ・・・」
そう言ってユーリは座り込みユーリも倒れてしまった
「・・・ユー・・リ・・・、・・み・・んな・・・」
私ももう立っているのが限界で座り込んでしまい、そのまま倒れてしまった
・・・・・・・・
その場に倒れてしまった私達の間に静かに風が吹く
このままこの状態なのだろうか・・・
そう思っていると不意にユーリの声が聞こえた
「・・・なんだ」
ゆっくりと目を開けると蜃気楼かもしれないが遠くに砂漠とは別の緑豊かな街みたいなものが見えた
「・・・街?」
段々と意識が遠のいて行く中、次に目に入ったものはカドスの喉笛の時に見たあの鳥の魔物だった
「・・・始祖の・・・隷長・・・」
私はそこで完全に意識が途絶えた
続く
あとがき
何とか此処まで辿り着けましたぁ~!
でもって、パティ、今回もまたスゴい所から登場したなww
今回もパティ加入の所とちょっとだけ台詞を変えて終わりましたが・・・何やらアスラが気になっている事言ってましたねぇ・・・
そこは次回辺りにでもちょっと触れてみるかな・・・
2010.02.23
「おっ・・・?」
暫く進んでいるとレイヴンが何かを見つけた
「何やってんだ、おっさん」
「いやほら、そこなんか変な生き物がいるなーって」
「ん・・・?」
そこに目を向けると確かに何かが埋まったまま動いていた
「なんだ?」
そしてそれを見ていると、それは急に動き出し私達の方へと向かって来た
「うわあああっ!!」
カロルは驚いて尻餅を付き、そしてそれはユーリの足をガシッと掴んで止まった
58.蒼天に消ゆ
「ユーリなのじゃ!」
それは嬉しそうに声を出して顔を上げた
「パティ!?」
そこから出て来たのはパティだった
「び、吃驚した・・・」
「そりゃオレの台詞だ。まさか砂ん中で宝探しか?」
「ご名答なのじゃ」
パティはまだ身体を砂の中に埋めながら答える
そして何かを抱えて砂の中から出て来た
「これ何だ?」
「アイフリードが隠した宝なのじゃ」
「これが・・・?」
「でも、よく砂の中の宝物なんか見つける事出来たね」
「冒険家の勘はイルカの右脳よりも鋭いのじゃ」
「勘? 非科学的~」
「あら、侮れないわよ、勘って」
「確かにね・・・」
ジュディスとアスラの言葉に私と兄さんは大いに頷いた
私達が良く気に掛かる勘というものはイヤでも当たってしまうものだから・・・
「まさかそれか? 探してたお宝ってのは」
それを察してか、ユーリは呆れたようにパティに聞いた
「違うのじゃ。これはガラクタなのじゃ。それにうちはお宝を見つけるのが、目的ではないのじゃ」
「記憶を取り戻す、ですよね?」
「そうなのじゃ、その為には祖父ちゃんのお宝の麗しの星を見つけるのじゃ」
「んで? まだその記憶とやらは戻って来ないのか?」
「うむ。そのようなのじゃ。でも、うちの旅はまだまだこれからなのじゃ」
「立ち直りの早い子だねえ」
「あら? 私はそういう子の方が好きよ?」
「お? 俺様もそうだけど?」
レイヴンは嬉しそうに言うとジュディスはニコリとした笑顔を返した
「アレは聞き流したな・・・」
「うん・・・」
「ねぇ、こんな所でお喋りしてたら、行き倒れになるわよ」
「・・・だな」
「パティも一緒に行きましょう」
「む? 宝探しの続きがあるんじゃがの」
「ごちゃごちゃ言わないで着いてくる」
リタの言葉に私達は苦笑し、パティも一緒に歩き出した
*
「ユーリ! 見て、あそこ!」
カロルが言った方に顔を向けると、そこは砂で埋め尽くされた大地の一角に人が倒れていた
「だ、大丈夫!?」
私達は直ぐに駆け寄りエステルが手前の男性に、私は隣の女性に治癒術を掛けてあげた
「うぅっ・・・」
「あ、気が付いたみたい」
「あ、貴方方・・は・・・」
男性の方が先に気が付き、よろよろと頭を左右に動かし私達を見た
「楽になりましたか?」
「ああ・・・妻は、妻は・・・」
「こちらの方ですか?」
私は治癒術を掛けている女性に目を向けると男性は少し安心したようだった
「あ、ああ・・・」
「うぅっ・・・」
女性の方もようやく気が付き、私は治癒術を掛けるのをやめた
「大丈夫ですか?」
「え、ええ・・・」
女性は起き上がろうとするが、エステルに止められる
「まだじっとしていて下さい」
「み、水を・・・」
私とユーリが水筒を手渡すと二人は一気に水を飲み干した
「ぷは~、生き返るな~」
「ええ、潤ってきたわ~」
「有り難う御座います!」
「貴方方のお陰で、命拾いしました・・・貴方方は私達の救いの主です」
二人はなんとか立ち上がるくらい回復し、私達に頭を下げた
「安心するのは生きて帰れてからだ」
「なに、なんとかなるのじゃ」
「この状況でその台詞言えるなんてあんた上等だわ」
「ああ・・・」
パティの言葉に兄さんとリタは呆れたような感心したような声を出していた
「お礼を・・・と言っても、今は何も持ち合わせがなくて・・・」
「ああ、良いって良いってそんなの」
「いえ、そう言う訳には行きません。是非、お礼にマンタイクまで取りに来て下さい」
「マンタイク・・・?」
「貴方達、もしかしてアルフとライラの両親かしら?」
「え、ええ、そうです!」
「もしかして、マンタイクであの子達に・・・?」
「ええ、会いました」
「お父さんとお母さんの事、心配してたよ」
「探しに行こうとまでしてたわ」
「ああ・・・こうしちゃいられない。早く戻らないと・・・」
「焦らないで。二人だけで帰れると思う?」
「そ、それは・・・無理です・・・ね」
「ちょっと落ち着いて、ね」
「そうなのじゃ、少しこの辺りで横になるのじゃ」
「ちょっとパティ、それは落ち着きすぎ・・・」
キュオォォォォォォォォォッ!
パティの言葉にエステルが苦笑していると、突然鳥の鳴き声が聞こえた
「こんな砂漠に・・・鳥?」
途端、私達の前に巨大なゼリー状のエイのような形をした水色の魔物が現れた
「何!? 気持ちワルッ!」
「おとりを使っての不意打ちとは卑怯な魔物なのじゃ」
「あんな魔物・・・ボク知らない・・・」
「魔物じゃないわね、あれは」
「魔物じゃなかったら、何よ!?」
「ワン! ワン! ワン!」
「ラピードがびびるなんて・・・やばそうだな・・・」
「・・・これって・・・」
「アスラ・・・?」
アスラは目の前に現れたあの魔物のような物を見て眉を寄せた
「こっちに来ます!」
「!」
その事に疑問を持っているとエステルがそう叫び、私達は一斉に武器を構えた
「アスラ、二人の護衛をお願い!」
「了解!」
アスラに夫婦の護衛を任せ、二人の姿が見えなくなるのを確認すると私は少し遅れて戦闘を始めた
*
キュオォォォォォォォォォッ!
暫くして、魔物は声を荒げながらその場から消えていった
「消えた・・・?」
ハァ、ハァ・・と荒い息を整えていると空からオレンジ色の羽根のようなものが落ちて来た
「これは・・・?」
「はあ・・・ボク、もうだめ・・・」
エステルはそれを拾って地面に座るとカロルが倒れてしまう
さっきの戦闘でみんな体力を使い果たしたのか、つられてリタもエステルもジュディスもパティもラピードも倒れる
「サザエのつぼ焼き・・・よりも・・・グツグツグラグラ熱・・・」
「ジュディス、パティ、・・ラピード・・・しっかり・・・」
「さすがの俺様も、もう限界・・・」
そして、兄さんもレイヴンも倒れてしまう
アスラと夫婦を見てみるとこちらも同じように倒れていた
「・・・こりゃ、やべえ・・・」
そう言ってユーリは座り込みユーリも倒れてしまった
「・・・ユー・・リ・・・、・・み・・んな・・・」
私ももう立っているのが限界で座り込んでしまい、そのまま倒れてしまった
・・・・・・・・
その場に倒れてしまった私達の間に静かに風が吹く
このままこの状態なのだろうか・・・
そう思っていると不意にユーリの声が聞こえた
「・・・なんだ」
ゆっくりと目を開けると蜃気楼かもしれないが遠くに砂漠とは別の緑豊かな街みたいなものが見えた
「・・・街?」
段々と意識が遠のいて行く中、次に目に入ったものはカドスの喉笛の時に見たあの鳥の魔物だった
「・・・始祖の・・・隷長・・・」
私はそこで完全に意識が途絶えた
続く
あとがき
何とか此処まで辿り着けましたぁ~!
でもって、パティ、今回もまたスゴい所から登場したなww
今回もパティ加入の所とちょっとだけ台詞を変えて終わりましたが・・・何やらアスラが気になっている事言ってましたねぇ・・・
そこは次回辺りにでもちょっと触れてみるかな・・・
2010.02.23