満月の子編
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「ツッ・・・何が遭ったの? 突然マストが倒れるなんて・・・」
振動が収まり、体制を崩して倒れていたカロル達はゆっくりと起き上がった
「ボク達は大丈夫だけど、ユーリ達は・・・」
「今の衝撃で無事とは言い切れないわね」
「いや、何とか無事らしいぜ」
俺の言った事に驚いてみんな俺を見た
「どうして解るんです?」
「前に言ったろ、アスラと連絡取れるって」
「あ、そっか。ダングレストの時もそうだったね」
カロルはダングレストの時の様子を思い出すと、エステルとリタもその時の事を思い出したようだった
「ただ、来た道が塞がれたみたいで今出口を探してるらしい。おまけにリアともはぐれたらしい」
「ちょっと、それかなりマズいんじゃないの?」
俺の言葉にリタは驚きの声を上げエステルとカロルも心配そうな顔をした
「ああ、だから俺達が別の道を見つけてリアも探した方が良いだろうな」
「ちょっと、船の護衛はどうするの」
「その点なら問題ない、フキ!」
俺がそう言うと俺の前にエルフやクリティア族のような耳をした黒髪の男が現れた
「うわぁ! こ、この人、誰?」
「俺の式神 だ」
「つ、ツレ、ですか?」「ツレ?」
「・・・成る程ね。これがセイの式神、ね」
この中で唯一式神の事を知っているリタはじっとフキを見ていた
「俺が船の護衛に着く。だから安心してくれ」
「まあ、セイのツレなら安心だわな」
「・・・そうね。腕も立ちそうだし、これなら安心出来るわ」
「じゃあ俺達はリア達を助けに行って「うちも行くのじゃ」
俺の言葉を遮って聞こえた言葉に俺達は一斉に腰に手を当てニッコリと笑っているパティへと視線を向ける
「・・・あんた、大人しくしてろって言われなかった?」
「それしきの言葉では、激しく燃える冒険心の炎を消す事は出来ぬのじゃ!」
「つまり、船の中を探検したいと、そーいう事?」
「船からお宝の匂いがするのじゃ」
「匂い・・・? しないけど・・・」
「冒険家の嗅覚は人食いザメの牙よりも鋭いのじゃ」
「・・・こういう奴は何言っても聞かねえタイプだと思うぞ、セイ」
「・・・だな。解った、じゃあ着いて来い」
「おぉ、流石セイ兄、話しが解るのじゃ」
「え、ちょっと、セイ!?」
フキの言葉に俺も同意して苦笑し、パティに向き合うとリタが驚いて声を上げた
「その代り、俺達の側から離れるなよ」
「つまり勝手な事したら、置いていくって事だ」
「解ったのじゃ」
俺とフキはそれを気にする様子もなく言葉を続けるとリタ達も渋々納得したようだった
「じゃ、改めて行くか。ほら、行くぞ」
「ちょ、ちょっと、離しなさいよ!」
「ボクまで引っ張らないでよぉ~!」
「あ、待って下さい!」
「いってらっしゃ~い」
「おっさんも来る!」
「・・・やっぱ俺様も行くのね」
「いざ、しゅっぱーつ! なのじゃ!」
それを見て俺はアーセルム号の方へ視線を向けリタとカロルの服を引っ張りながらアーセルム号に向かいだし、その後にエステルが続き、一人涼しげな顔をしていたレイヴンにも声を掛け、パティは楽しそうに歩き出した
47.彷徨う御霊 に導きを
ユーリ達と別々になってしまった私はあの感覚の流れを追いながら船内を歩いていた
アスラの話しによればどうやらマストが折れてあの鉄格子が降りてしまったようだった
でも、それだけじゃないのははっきりと解る
「・・・こっちから聞こえる」
私は声が聞こえてくる方へ歩みを進めていく
この幽霊船と言っていいほどの外見と内装のアーセルム号には人影は全く見当たらない
だけど“声”が聞こえる
それは言霊使いの仕事をしている時に聞こえる声と感覚と気配だった
「・・・この上みたいね」
今までとは違い途切れてなく上の階へと続く階段が見え、私はその階段を登りだした
リアと合流、そしてアスラからの連絡でセイ達もオレ達とリアの事を心配して別の道から船内に入ったそうだ
船の護衛はセイのツレがやってるらしいから安心だろうな
「何とか合流出来れば良いけどな」
「それはリアに、かしら。それともセイ達?」
「どっちもだよ。アスラ、リアは大丈夫なのか?」
「うん。順調に進んでるみたいだよ」
アスラはオレ達を安心させるように頷いた
けどアスラが言っている順調ってのが、少しばかり気になった
「あ、ユーリ!」
そう思っているとカロル先生の声が聞こえ前を見ると正面の扉が開きカロル達が入って来た
「やっと見つけた」
「良かった、無事だったんですね!」
「みんなも無事で良かったわ・・・あら?」
「って、何でパティまでいるの?」
「ユーリに会いに来たのじゃ」
「度胸あるお嬢さんだな。ってまあ、今更か・・・それよりリアとは合流出来てないのか?」
その言葉にエステル達は押し黙ってしまう
「やっぱ会ってねえんだな」
「ええ・・・」
「リア、何処行っちゃったんだろう・・・」
キイィィ
バタン
「え?」
が、急にセイ達が入って来た扉が閉じた
「幽霊の仕業じゃな」
「ウ、ウソでしょ・・・!?」
「きっとこの船の悪霊達が、私達を仲間入りさせようと船底で相談してるんです・・・」
「へ、変な想像しないでよ・・・!」
「あ、ありえねぇって」
「とにかくユーリ達とは合流出来たんだ。後はリアを・・・「「!?」」
「な、何っ!?」
「っ、行くぞ!」
「え、セ、セイ? アスラ?」
その途端、セイとアスラが何かを感じ上の階へと視線を向け、上の階に向かって走り出した
「オレ達も行くぞ」
「ワンっ」
その様子を見て何か遭ったと気付きオレ達も急いでセイの後を追った
上ったその部屋は一室だけ造りの違う場所で、鏡の縁も今までで一番豪華で広い空間だった
「・・・船長室? っ!」
私は部屋の内装を見てそして正面に目を向けると、部屋の中央にある机に覆い被さるようにして骸骨が横たわっていた
そしてずっと感じていた感覚がこの骸骨から来ている事に気が付いた
私はゆっくりとその骸骨に近付きながら、ゆっくりと呪文を唱えた
その途端、辺りは不思議な空間に包まれ一人の男性が現れた
「・・・あ、なた・・は?」
「私を呼んでいたのは、貴方?」
「私の声が聞こえるんですか?」
「ええ。貴方の姿も見えてます」
私は優しく微笑むと男性はゆっくりと表情を緩めていく
「貴方はこのアーセルム号の船長さんですか?」
「ええ・・・ですが、どうしてお嬢さんは私の姿が・・・私は・・・」
「貴方は私に聞いて欲しい事があるからずっと私の事を呼んでいたんですよね?」
そう言うと彼は驚いた顔をした
そして隣に置いてある本を手に取り私に渡した
「これを・・・」
「・・・アスール歴232年、ブルエールの月13?」
私はその日誌を読んで眉を寄せた
アスール歴もブルエールの月も帝国が出来る前の暦、つまりもう千年以上も昔だった
そしてその続きを読み始めた
「船が漂流して40と5日、水も食料も等に尽きた。船員も次々と飢えに倒れる。しかし私は逝けない。ヨームゲンの街に、橙明の核晶 を届けなくては・・・魔物を退ける力を持つ橙明の核晶があれば、街は助かる。橙明の核晶を例の紅の小箱に収めた。ユイファンに貰った大切な箱だ。彼女にももう少しで会える。みんなも救える・・・」
そして私は彼へと視線を戻す
「結局、私はその後に力尽きてしまいました・・・。そしてヨームゲンに橙明の核晶も届けられず、ユイファンにも・・・」
どうやらそのユイファンと言う人はこの人の恋人の名前だったらしい
そして彼はもう千年以上も経っているという事に気が付いていない
ずっとそれが心残りでこの船と一緒に彷徨っていたのだろう
「貴方が私を呼んだ理由、それはそのヨームゲンと言う街に橙明の核晶を届けて欲しい・・そういう事ですね」
「・・・はい。こうして私の話を聞いてくれた方はいなかった。だから、貴方にこの橙明の核晶が入った紅の箱を預けます」
彼は机の上に置いてあった紅の箱を取り、私に渡してくれた
「貴方の願い、言霊使いの名の下に必ず果たします」
私は頷き、真剣な表情をして返事を返した
「言霊使い!? ・・そうか、それで」
彼は“言霊使い”という言葉を聞き一瞬驚いた顔をしたが直ぐに何かを察し、小さく笑った
「・・・ありがとう。言霊使いのお嬢さん」
彼はそう言って小さく微笑み、私も微笑み返すと、今いる空間がゆっくりと消え始めた
続く
あとがき
遂にリアちゃんが言霊使いの仕事っぽい事をやりましたね!
今回もかんなり悩みましたけどねι
そして箱版同様フキも此処でも登場・・だけど前回も出てたりするんですよ?(笑)
でも本格的に登場は今回だけどw
そしてユーリとセイ兄ちゃん達は無事に合流出来たものの、何やらセイ兄ちゃんとアスラが焦ってる感じでしたが・・・?
考えてはいるけど・・・どう繋げよう・・・ι
かなり長くなりましたが、多分次でアーセルム号の話しは終わると思います
さ、頑張って続き書こう・・・
2010.02.02
振動が収まり、体制を崩して倒れていたカロル達はゆっくりと起き上がった
「ボク達は大丈夫だけど、ユーリ達は・・・」
「今の衝撃で無事とは言い切れないわね」
「いや、何とか無事らしいぜ」
俺の言った事に驚いてみんな俺を見た
「どうして解るんです?」
「前に言ったろ、アスラと連絡取れるって」
「あ、そっか。ダングレストの時もそうだったね」
カロルはダングレストの時の様子を思い出すと、エステルとリタもその時の事を思い出したようだった
「ただ、来た道が塞がれたみたいで今出口を探してるらしい。おまけにリアともはぐれたらしい」
「ちょっと、それかなりマズいんじゃないの?」
俺の言葉にリタは驚きの声を上げエステルとカロルも心配そうな顔をした
「ああ、だから俺達が別の道を見つけてリアも探した方が良いだろうな」
「ちょっと、船の護衛はどうするの」
「その点なら問題ない、フキ!」
俺がそう言うと俺の前にエルフやクリティア族のような耳をした黒髪の男が現れた
「うわぁ! こ、この人、誰?」
「俺の
「つ、ツレ、ですか?」「ツレ?」
「・・・成る程ね。これがセイの式神、ね」
この中で唯一式神の事を知っているリタはじっとフキを見ていた
「俺が船の護衛に着く。だから安心してくれ」
「まあ、セイのツレなら安心だわな」
「・・・そうね。腕も立ちそうだし、これなら安心出来るわ」
「じゃあ俺達はリア達を助けに行って「うちも行くのじゃ」
俺の言葉を遮って聞こえた言葉に俺達は一斉に腰に手を当てニッコリと笑っているパティへと視線を向ける
「・・・あんた、大人しくしてろって言われなかった?」
「それしきの言葉では、激しく燃える冒険心の炎を消す事は出来ぬのじゃ!」
「つまり、船の中を探検したいと、そーいう事?」
「船からお宝の匂いがするのじゃ」
「匂い・・・? しないけど・・・」
「冒険家の嗅覚は人食いザメの牙よりも鋭いのじゃ」
「・・・こういう奴は何言っても聞かねえタイプだと思うぞ、セイ」
「・・・だな。解った、じゃあ着いて来い」
「おぉ、流石セイ兄、話しが解るのじゃ」
「え、ちょっと、セイ!?」
フキの言葉に俺も同意して苦笑し、パティに向き合うとリタが驚いて声を上げた
「その代り、俺達の側から離れるなよ」
「つまり勝手な事したら、置いていくって事だ」
「解ったのじゃ」
俺とフキはそれを気にする様子もなく言葉を続けるとリタ達も渋々納得したようだった
「じゃ、改めて行くか。ほら、行くぞ」
「ちょ、ちょっと、離しなさいよ!」
「ボクまで引っ張らないでよぉ~!」
「あ、待って下さい!」
「いってらっしゃ~い」
「おっさんも来る!」
「・・・やっぱ俺様も行くのね」
「いざ、しゅっぱーつ! なのじゃ!」
それを見て俺はアーセルム号の方へ視線を向けリタとカロルの服を引っ張りながらアーセルム号に向かいだし、その後にエステルが続き、一人涼しげな顔をしていたレイヴンにも声を掛け、パティは楽しそうに歩き出した
47.彷徨う
ユーリ達と別々になってしまった私はあの感覚の流れを追いながら船内を歩いていた
アスラの話しによればどうやらマストが折れてあの鉄格子が降りてしまったようだった
でも、それだけじゃないのははっきりと解る
「・・・こっちから聞こえる」
私は声が聞こえてくる方へ歩みを進めていく
この幽霊船と言っていいほどの外見と内装のアーセルム号には人影は全く見当たらない
だけど“声”が聞こえる
それは言霊使いの仕事をしている時に聞こえる声と感覚と気配だった
「・・・この上みたいね」
今までとは違い途切れてなく上の階へと続く階段が見え、私はその階段を登りだした
リアと合流、そしてアスラからの連絡でセイ達もオレ達とリアの事を心配して別の道から船内に入ったそうだ
船の護衛はセイのツレがやってるらしいから安心だろうな
「何とか合流出来れば良いけどな」
「それはリアに、かしら。それともセイ達?」
「どっちもだよ。アスラ、リアは大丈夫なのか?」
「うん。順調に進んでるみたいだよ」
アスラはオレ達を安心させるように頷いた
けどアスラが言っている順調ってのが、少しばかり気になった
「あ、ユーリ!」
そう思っているとカロル先生の声が聞こえ前を見ると正面の扉が開きカロル達が入って来た
「やっと見つけた」
「良かった、無事だったんですね!」
「みんなも無事で良かったわ・・・あら?」
「って、何でパティまでいるの?」
「ユーリに会いに来たのじゃ」
「度胸あるお嬢さんだな。ってまあ、今更か・・・それよりリアとは合流出来てないのか?」
その言葉にエステル達は押し黙ってしまう
「やっぱ会ってねえんだな」
「ええ・・・」
「リア、何処行っちゃったんだろう・・・」
キイィィ
バタン
「え?」
が、急にセイ達が入って来た扉が閉じた
「幽霊の仕業じゃな」
「ウ、ウソでしょ・・・!?」
「きっとこの船の悪霊達が、私達を仲間入りさせようと船底で相談してるんです・・・」
「へ、変な想像しないでよ・・・!」
「あ、ありえねぇって」
「とにかくユーリ達とは合流出来たんだ。後はリアを・・・「「!?」」
「な、何っ!?」
「っ、行くぞ!」
「え、セ、セイ? アスラ?」
その途端、セイとアスラが何かを感じ上の階へと視線を向け、上の階に向かって走り出した
「オレ達も行くぞ」
「ワンっ」
その様子を見て何か遭ったと気付きオレ達も急いでセイの後を追った
上ったその部屋は一室だけ造りの違う場所で、鏡の縁も今までで一番豪華で広い空間だった
「・・・船長室? っ!」
私は部屋の内装を見てそして正面に目を向けると、部屋の中央にある机に覆い被さるようにして骸骨が横たわっていた
そしてずっと感じていた感覚がこの骸骨から来ている事に気が付いた
私はゆっくりとその骸骨に近付きながら、ゆっくりと呪文を唱えた
その途端、辺りは不思議な空間に包まれ一人の男性が現れた
「・・・あ、なた・・は?」
「私を呼んでいたのは、貴方?」
「私の声が聞こえるんですか?」
「ええ。貴方の姿も見えてます」
私は優しく微笑むと男性はゆっくりと表情を緩めていく
「貴方はこのアーセルム号の船長さんですか?」
「ええ・・・ですが、どうしてお嬢さんは私の姿が・・・私は・・・」
「貴方は私に聞いて欲しい事があるからずっと私の事を呼んでいたんですよね?」
そう言うと彼は驚いた顔をした
そして隣に置いてある本を手に取り私に渡した
「これを・・・」
「・・・アスール歴232年、ブルエールの月13?」
私はその日誌を読んで眉を寄せた
アスール歴もブルエールの月も帝国が出来る前の暦、つまりもう千年以上も昔だった
そしてその続きを読み始めた
「船が漂流して40と5日、水も食料も等に尽きた。船員も次々と飢えに倒れる。しかし私は逝けない。ヨームゲンの街に、
そして私は彼へと視線を戻す
「結局、私はその後に力尽きてしまいました・・・。そしてヨームゲンに橙明の核晶も届けられず、ユイファンにも・・・」
どうやらそのユイファンと言う人はこの人の恋人の名前だったらしい
そして彼はもう千年以上も経っているという事に気が付いていない
ずっとそれが心残りでこの船と一緒に彷徨っていたのだろう
「貴方が私を呼んだ理由、それはそのヨームゲンと言う街に橙明の核晶を届けて欲しい・・そういう事ですね」
「・・・はい。こうして私の話を聞いてくれた方はいなかった。だから、貴方にこの橙明の核晶が入った紅の箱を預けます」
彼は机の上に置いてあった紅の箱を取り、私に渡してくれた
「貴方の願い、言霊使いの名の下に必ず果たします」
私は頷き、真剣な表情をして返事を返した
「言霊使い!? ・・そうか、それで」
彼は“言霊使い”という言葉を聞き一瞬驚いた顔をしたが直ぐに何かを察し、小さく笑った
「・・・ありがとう。言霊使いのお嬢さん」
彼はそう言って小さく微笑み、私も微笑み返すと、今いる空間がゆっくりと消え始めた
続く
あとがき
遂にリアちゃんが言霊使いの仕事っぽい事をやりましたね!
今回もかんなり悩みましたけどねι
そして箱版同様フキも此処でも登場・・だけど前回も出てたりするんですよ?(笑)
でも本格的に登場は今回だけどw
そしてユーリとセイ兄ちゃん達は無事に合流出来たものの、何やらセイ兄ちゃんとアスラが焦ってる感じでしたが・・・?
考えてはいるけど・・・どう繋げよう・・・ι
かなり長くなりましたが、多分次でアーセルム号の話しは終わると思います
さ、頑張って続き書こう・・・
2010.02.02