満月の子編
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翌朝、各々旅支度を済ませ私達はロビーに集まったがリタだけはこの場にいなかったが、私達と一緒にいた方が色々と都合が良い、と言ってまた一緒に旅をする事になった
またリタと一緒に旅が出来る事にエステルは嬉しそうな顔をしてリタに近付くとリタは否定していたが照れて嬉しそうな顔をしていて、私達は微笑ましくその様子を見ていた
そしてデズエール大陸に渡る為に船の調達に行こうとしていると途中でヨーデル様と会った
ヨーデル様はドンと友好協定締結に関するやり取りを行う為にヘリオードに向かう途中だった
だけど、それは順調とは言えなかった
原因はヘラクレスだろう
ドンが友好協定に出した案は“対等”である事だった
ヘラクレスと言えば、フェローがダングレストを襲って、否、正確にはエステルを狙って来た時にアレクセイが止むを得ないと言って使用していた巨大兵器のようなものだ
その威力は予想以上のものだった
ユニオン側も存在を知らなかったとなれば、対等な立場の友好協定を結ぶなんて反対する声も上がるのも当然だろう
エステルもヨーデル様もヘラクレスが動いている事を知らなかった、そして止められなかった事を悔やんでいた
二人の立場と性格を考えればそれは当然と言えば当然だ
だけど、皇帝になろうにも宙の威典と言う帝国の至宝が必要らしい
けど、宙の威典は十年前の人魔戦争の頃から行方不明になったそうだ
だからずっと皇帝の椅子が空っぽだった、そしてあの時、式を通じて見たラゴウが宙の威典を欲しがっている理由がこれで解った
ヨーデル様と話しを終え、私達は港で船を調達しようとしていると反対側の港から男性の悲鳴のような怯えた声が聞こえた
44.船と魚人と少女
「あんなに沢山、勘弁してくれ~!」
「命がいくらあっても足りねえよ!」
「?」
「何が遭ったんだ?」
「待ちなさい! 金の分は仕事しろ! しないなら返せ~~~っ!!」
私達はその声の方に視線を向けると、見覚えのある女性が逃げている男二人に向かって叫んでいた
「あの人、確かデイドン砦で」
「ああ、あん時の・・・」
「し、知り合いなの?」
「いや、前に一度だけ。お前こそ知り合い?」
「知り合いって・・・5大ギルドの一つ、幸福の市場の社長だよ」
「つまり、ユニオンの重鎮よ」
「ふーん・・・」
「良い事思い付いた・・・!」
「どうした、カロル」
「あの人なら海渡る船出してくれるかもしれないよ」
「なら行ってみましょ」
皆カロルの提案に乗るが、どうにも先程の男達の事が気になった
「・・・一筋縄ではいかない気がするのは俺だけか?」
「いや、ボクもそう思う」
「さっきの男達が逃げて行ったくらいだからな」
「何かあるって思ってた方が良いわね、これは」
「そうだね」
上から兄さん、アスラ、ユーリ、レイヴン、私が各々思っている事を口にして、カロル達の後を追った
「あら、貴方はユーリ・ローウェル君。良い所で会ったわ」
「手配書の効果ってすげえんだな」
あの手配書で良くユーリだと解ったものだι と思っているとカウフマンさんはユーリを見た
「ねえ、貴方にピッタリの仕事があるんだけど」
「って事は荒仕事か」
「察しの良い子は好きよ。聞いてるかもしれないけど、この季節、魚人の群れが船の積荷を襲うんで大変なの」
「あれ? それっていつも他のギルドに護衛を頼んでるんじゃ・・・」
「それがいつもお願いしてる傭兵団の首領が亡くなったらしくて今使えないのよ。他の傭兵団は骨なしばかり。私としては頭の痛い話しね」
「その傭兵団はなんて所・・・ですか?」
カロルが恐る恐る聞くと、返ってきたのは「紅の絆傭兵団」と言う名前だった
予想通りの言葉にリタを先頭に皆、ユーリを見た
「誰かさんが潰しちゃったから」
「みんな、同罪だろ・・・」
小声で話すとユーリは踵を返して歩き出そうとしていた
「生憎と今、取り込み中でね。他を当たってくれ、じゃあな」
「え、ユーリ! 船の事お願いするんでしょ?」
「あら、船って?」
「オレ達もギルド作ったんだよ」
「凛々の明星って言うんです!」
その言葉を聞くとカウフマンさんはニッコリとしてユーリとカロルを見た
「素敵、それじゃ商売のお話しましょうか。相互利益は商売の基本、お互いの為になるわ」
「悪いが仕事の最中でな。他の仕事は請けられねえ」
「それなら商売じゃなくて、ギルド同士の協力って事でどう? それならギルドの信頼には反しなくってよ。うちと仲良くしておくと、色々お得よ~?」
他の依頼を受けている間は無理だと切り捨てようとするが、ギルド同士の協力はどうかと進められて思い止まる
5大ギルドである幸福の市場と仲良くなっていれば今後色々とプラスになるだろう
「あ・・・うー、えと」
その事を考えカロルは言い淀んでしまうが、直ぐにユーリが返事を返した
「分かったよ、けどオレ達はノードポリカに行きたいんだ。遠回りはごめんだぜ」
「構わないわ、魚人が出るのは此処の近海だもの。こちらとしては余所の港に行けさえすればそれで良いの。そしたらそこからいくらでも船を手配出来るから」
流石5大ギルド、ユニオンの運営に携わっている幸福の市場
そこまで手配出来るとは、相当顔も広い
「契約成立、かしら?」
「何か、良いように言いくるめられた気がする」
「流石天下の幸福の市場、商売上手ってとこだねえ」
「良いんじゃない? これでデズエール大陸に渡れる訳だし」
「もう一つ良い話しをつけてあげる」
「良い話し? 何それ?」
「もし無事にノードポリカに辿り着いたら、使った船を進呈するわ」
「ほ、ほんとにッ!?」
「ボロ船だけど、破格の条件には違いないわね」
「でしょ、でしょ?」
「どうだかな。魚人ってのがそれだけ厄介だって話だろ」
「そこはご想像にお任せするわ」
ユーリとカロルは顔を見合わせ、直ぐにカウフマンさんを見た
「しょうがねえな」
「素敵! 契約成立ね。さ、話は纏まったんだから、仕事してもらうわよ!」
言うや異な、カウフマンさんはニッコリとして船に乗り、私達もその後を追い船に乗り込むと碇を上げて出港した
そしてカウフマンさんは船頭の所に行くと直ぐに船頭の紹介をしてくれた
「この船が貴方達の船になるフィエルティア号。そして彼が『幸福の市場』傘下、海船ギルド『ウミネコの詩』のトクナガよ」
「トクナガです。よろしく、お願いします」
「彼はあくまでこの航海だけだから、次からは自前の操船士を雇ってね。急ぎじゃないけど重要な商談だったから本当助かったわ」
「積荷はなんなんです?」
「それは、秘密よ」
「やばいもんじゃねえだろうな?」
「安心して、その辺の線引きはしてるから。でも、良かったわ。これなら海凶の爪に遅れを取らなくて済みそう」
「海凶の爪? ・・・この前のイエガーって奴か・・・有名なのか?」
「兵器魔導器を専門に商売してるギルドよ。最近、うちと客の取り合いになってるのよね。もし海が渡れなかったらまた大口の取引先を奪われる所だったわ」
「兵器魔導器なんてそう簡単に手に入れられるものでも無いのに何処から仕入れるのか不思議ですよね」
「帝国か・・・それともまた別口でしてるのか・・・!」
「・・・お出ましみたいだな」
カウフマンさん達と話しをしていると突然船が揺れた
どうやら例の魚人の群れが襲って来たようで、魚人は船の上に上がり私達を取り囲むようにしていた
「ちょっと・・・波酔いしたのじゃ・・・」
が、突然魔物が言葉を発し私達は驚いた
「ま、魔物が喋った・・・!?」
「もしかしてあの魔物と同じ・・・」
「喋ってると舌噛むぜ!」
「来るよ!」
私のその合図と共に同時に動き、皆近い魚人へと向かって行った
数分後、私達は魚人を倒し終わり、武器を降ろすとその場に手を叩く音が聞こえてきた
「流石ね、私の目に間違いは無かったわ」
「とほほ・・・凛々の明星はおっさんもこき使うのね。聖核探したりと、色々やる事があるのに・・・」
「聖核って前にノール港で探してたアレか」
「そうそう」
「それってお伽話でしょ。あたしも前に研究したけど、理論では実証されないって解ったわ」
「ま、お伽話だって言われてるのはおっさん知ってるよ」
「どうしてそんな物を探すんです?」
「そりゃ・・・ドンに言われたからね」
ギュグググ・・・
「!」
「まだ生きてます・・・!」
突然何かの呻き声が聞こえ振り返ると、魚人の一匹が苦しそうに喉を鳴らしていた
そして、一気に口から“何か”を吐き出し、そのまま動かなくなった
が、私達はその吐き出されたモノを見て驚いてしまった
「「パティ・・・!」」
「快適な航海だったのじゃ・・・」
魔物の口から出て来たのはパティだった
パティは起き上がると何事も無かったかのように伸びをして私達の前に来て、軽い口調でそう言った
「魔物に飲まれてて、航海も何もないだろ」
「つか、良く無事だったよな」
「だよね・・・」
「こんな所で、何してたんです?」
「お宝探して歩いてたら、海に落っこちて、魔物と遊んでたのじゃ」
「良かったな、そのまま、栄養分にされなくて」
「・・・何でも良いけど、このまま船出して良いかしら」
「ああ、頼む」
「うわぁああっ!!」
「「!」」
反対側からそう悲鳴が聞こえ、私とユーリは急いでそこに向かうとトクナガさんの前に魚人がいた
「トクナガさん!」
「ちぃっ・・・! まだ一匹いやがったか・・・。リア、トクナガを頼む!」
「うん!」
言うとユーリは魚人の方へ向かって行き、私はトクナガさんの元に駆け寄り怪我をしているのを見つけ直ぐに治癒術を掛け始めた
「うっ・・・」
魚人の方も終わり、ユーリや反対側にいた兄さん達も私とトクナガさんの側に集まってきた
「・・・治癒術は掛けたから怪我の心配はないわ。けど・・・」
「当分は安静にしてた方が良いでしょうね」
「困ったわね・・・貴方達の中で誰か操船出来る人・・・いるワケないわよね」
「うちがやれるのじゃ」
エステルと一緒にそう言うとカウフマンさんが困った顔をしていたが、次に聞こえた言葉に皆一斉に声の主であるパティへと視線を向けた
「パティが?」
「世界を旅する者、船の操縦くらい出来ないと笑われるのじゃ」
「それじゃあ、船の操縦は貴方にお願いするわ」
「本当かよ・・・」
「ま、他に操船出来る人いないんだし・・任せても良いんじゃない?」
「じゃあパティ、任せても良い?」
「うむ、任せておくのじゃ!」
カウフマンさんは驚く様子もなくパティに操船を任せ、トクナガさん達と一緒に船内に戻って行き、パティは直ぐに操船を始めた
自信満々に答えただけあって、パティの操船は凄く安定していた
「これなら任せていても大丈夫そうね」
「ええ。じゃあ私達は中で休んでよ」
ジュディスと一緒にパティの操船を見て、私達は安堵し、エステルとリタも誘ってデズエール大陸に着くまで室内で休む事にした
それから暫く船に揺られていると急に辺りが暗くなった
「何か急に暗くなったわね」
「霧が出ているわね」
私達は窓から外の様子を伺うと、辺りは霧に包まれていた
「針路は大丈夫でしょうか・・?」
「・・・・」
けど、なんとなくだけど、この霧が妙だと感じ少しだけ眉を寄せた
「・・・リア?」
「どうかしたの?」
「あ、ううん、何でも「「きゃぁああっ!」」「いやぁあっ!」
私の様子に気が付いたエステル達が心配した顔をして見ている事に気が付き、何でもないと答えようとしていると突然船が何かにぶつかり、私達は悲鳴を上げて体勢を崩した
「・・っ、みんな、大丈夫?」
「は、はい。わたしは」
「あたしもよ」
「私も大丈夫よ」
振動がなくなり立ち上がりみんな怪我がないと解ると、顔を見合わせた
「一体何が遭ったんでしょう!?」
「解らないわ。何かとぶつかった感じがしたけど・・・」
「とにかく外に行ってみましょう」
「ええ!」
ジュディスの言葉に頷き私達は一斉に甲板へと向かいだした
続く
あとがき
かなりオリジナル入れて違う形にしちゃいましたw
結構後の方のスキットで女子は船内でお茶しよう、ってのがあったので先に使ってみました
てかパティの登場はホントに驚きましたよww
ホント、良く生きてたなこの子ww
さ、次はアーセルム号に乗り込む話しですね
この辺もかなり変えて書くつもりですのでお楽しみにw
2010.02.01
またリタと一緒に旅が出来る事にエステルは嬉しそうな顔をしてリタに近付くとリタは否定していたが照れて嬉しそうな顔をしていて、私達は微笑ましくその様子を見ていた
そしてデズエール大陸に渡る為に船の調達に行こうとしていると途中でヨーデル様と会った
ヨーデル様はドンと友好協定締結に関するやり取りを行う為にヘリオードに向かう途中だった
だけど、それは順調とは言えなかった
原因はヘラクレスだろう
ドンが友好協定に出した案は“対等”である事だった
ヘラクレスと言えば、フェローがダングレストを襲って、否、正確にはエステルを狙って来た時にアレクセイが止むを得ないと言って使用していた巨大兵器のようなものだ
その威力は予想以上のものだった
ユニオン側も存在を知らなかったとなれば、対等な立場の友好協定を結ぶなんて反対する声も上がるのも当然だろう
エステルもヨーデル様もヘラクレスが動いている事を知らなかった、そして止められなかった事を悔やんでいた
二人の立場と性格を考えればそれは当然と言えば当然だ
だけど、皇帝になろうにも宙の威典と言う帝国の至宝が必要らしい
けど、宙の威典は十年前の人魔戦争の頃から行方不明になったそうだ
だからずっと皇帝の椅子が空っぽだった、そしてあの時、式を通じて見たラゴウが宙の威典を欲しがっている理由がこれで解った
ヨーデル様と話しを終え、私達は港で船を調達しようとしていると反対側の港から男性の悲鳴のような怯えた声が聞こえた
44.船と魚人と少女
「あんなに沢山、勘弁してくれ~!」
「命がいくらあっても足りねえよ!」
「?」
「何が遭ったんだ?」
「待ちなさい! 金の分は仕事しろ! しないなら返せ~~~っ!!」
私達はその声の方に視線を向けると、見覚えのある女性が逃げている男二人に向かって叫んでいた
「あの人、確かデイドン砦で」
「ああ、あん時の・・・」
「し、知り合いなの?」
「いや、前に一度だけ。お前こそ知り合い?」
「知り合いって・・・5大ギルドの一つ、幸福の市場の社長だよ」
「つまり、ユニオンの重鎮よ」
「ふーん・・・」
「良い事思い付いた・・・!」
「どうした、カロル」
「あの人なら海渡る船出してくれるかもしれないよ」
「なら行ってみましょ」
皆カロルの提案に乗るが、どうにも先程の男達の事が気になった
「・・・一筋縄ではいかない気がするのは俺だけか?」
「いや、ボクもそう思う」
「さっきの男達が逃げて行ったくらいだからな」
「何かあるって思ってた方が良いわね、これは」
「そうだね」
上から兄さん、アスラ、ユーリ、レイヴン、私が各々思っている事を口にして、カロル達の後を追った
「あら、貴方はユーリ・ローウェル君。良い所で会ったわ」
「手配書の効果ってすげえんだな」
あの手配書で良くユーリだと解ったものだι と思っているとカウフマンさんはユーリを見た
「ねえ、貴方にピッタリの仕事があるんだけど」
「って事は荒仕事か」
「察しの良い子は好きよ。聞いてるかもしれないけど、この季節、魚人の群れが船の積荷を襲うんで大変なの」
「あれ? それっていつも他のギルドに護衛を頼んでるんじゃ・・・」
「それがいつもお願いしてる傭兵団の首領が亡くなったらしくて今使えないのよ。他の傭兵団は骨なしばかり。私としては頭の痛い話しね」
「その傭兵団はなんて所・・・ですか?」
カロルが恐る恐る聞くと、返ってきたのは「紅の絆傭兵団」と言う名前だった
予想通りの言葉にリタを先頭に皆、ユーリを見た
「誰かさんが潰しちゃったから」
「みんな、同罪だろ・・・」
小声で話すとユーリは踵を返して歩き出そうとしていた
「生憎と今、取り込み中でね。他を当たってくれ、じゃあな」
「え、ユーリ! 船の事お願いするんでしょ?」
「あら、船って?」
「オレ達もギルド作ったんだよ」
「凛々の明星って言うんです!」
その言葉を聞くとカウフマンさんはニッコリとしてユーリとカロルを見た
「素敵、それじゃ商売のお話しましょうか。相互利益は商売の基本、お互いの為になるわ」
「悪いが仕事の最中でな。他の仕事は請けられねえ」
「それなら商売じゃなくて、ギルド同士の協力って事でどう? それならギルドの信頼には反しなくってよ。うちと仲良くしておくと、色々お得よ~?」
他の依頼を受けている間は無理だと切り捨てようとするが、ギルド同士の協力はどうかと進められて思い止まる
5大ギルドである幸福の市場と仲良くなっていれば今後色々とプラスになるだろう
「あ・・・うー、えと」
その事を考えカロルは言い淀んでしまうが、直ぐにユーリが返事を返した
「分かったよ、けどオレ達はノードポリカに行きたいんだ。遠回りはごめんだぜ」
「構わないわ、魚人が出るのは此処の近海だもの。こちらとしては余所の港に行けさえすればそれで良いの。そしたらそこからいくらでも船を手配出来るから」
流石5大ギルド、ユニオンの運営に携わっている幸福の市場
そこまで手配出来るとは、相当顔も広い
「契約成立、かしら?」
「何か、良いように言いくるめられた気がする」
「流石天下の幸福の市場、商売上手ってとこだねえ」
「良いんじゃない? これでデズエール大陸に渡れる訳だし」
「もう一つ良い話しをつけてあげる」
「良い話し? 何それ?」
「もし無事にノードポリカに辿り着いたら、使った船を進呈するわ」
「ほ、ほんとにッ!?」
「ボロ船だけど、破格の条件には違いないわね」
「でしょ、でしょ?」
「どうだかな。魚人ってのがそれだけ厄介だって話だろ」
「そこはご想像にお任せするわ」
ユーリとカロルは顔を見合わせ、直ぐにカウフマンさんを見た
「しょうがねえな」
「素敵! 契約成立ね。さ、話は纏まったんだから、仕事してもらうわよ!」
言うや異な、カウフマンさんはニッコリとして船に乗り、私達もその後を追い船に乗り込むと碇を上げて出港した
そしてカウフマンさんは船頭の所に行くと直ぐに船頭の紹介をしてくれた
「この船が貴方達の船になるフィエルティア号。そして彼が『幸福の市場』傘下、海船ギルド『ウミネコの詩』のトクナガよ」
「トクナガです。よろしく、お願いします」
「彼はあくまでこの航海だけだから、次からは自前の操船士を雇ってね。急ぎじゃないけど重要な商談だったから本当助かったわ」
「積荷はなんなんです?」
「それは、秘密よ」
「やばいもんじゃねえだろうな?」
「安心して、その辺の線引きはしてるから。でも、良かったわ。これなら海凶の爪に遅れを取らなくて済みそう」
「海凶の爪? ・・・この前のイエガーって奴か・・・有名なのか?」
「兵器魔導器を専門に商売してるギルドよ。最近、うちと客の取り合いになってるのよね。もし海が渡れなかったらまた大口の取引先を奪われる所だったわ」
「兵器魔導器なんてそう簡単に手に入れられるものでも無いのに何処から仕入れるのか不思議ですよね」
「帝国か・・・それともまた別口でしてるのか・・・!」
「・・・お出ましみたいだな」
カウフマンさん達と話しをしていると突然船が揺れた
どうやら例の魚人の群れが襲って来たようで、魚人は船の上に上がり私達を取り囲むようにしていた
「ちょっと・・・波酔いしたのじゃ・・・」
が、突然魔物が言葉を発し私達は驚いた
「ま、魔物が喋った・・・!?」
「もしかしてあの魔物と同じ・・・」
「喋ってると舌噛むぜ!」
「来るよ!」
私のその合図と共に同時に動き、皆近い魚人へと向かって行った
数分後、私達は魚人を倒し終わり、武器を降ろすとその場に手を叩く音が聞こえてきた
「流石ね、私の目に間違いは無かったわ」
「とほほ・・・凛々の明星はおっさんもこき使うのね。聖核探したりと、色々やる事があるのに・・・」
「聖核って前にノール港で探してたアレか」
「そうそう」
「それってお伽話でしょ。あたしも前に研究したけど、理論では実証されないって解ったわ」
「ま、お伽話だって言われてるのはおっさん知ってるよ」
「どうしてそんな物を探すんです?」
「そりゃ・・・ドンに言われたからね」
ギュグググ・・・
「!」
「まだ生きてます・・・!」
突然何かの呻き声が聞こえ振り返ると、魚人の一匹が苦しそうに喉を鳴らしていた
そして、一気に口から“何か”を吐き出し、そのまま動かなくなった
が、私達はその吐き出されたモノを見て驚いてしまった
「「パティ・・・!」」
「快適な航海だったのじゃ・・・」
魔物の口から出て来たのはパティだった
パティは起き上がると何事も無かったかのように伸びをして私達の前に来て、軽い口調でそう言った
「魔物に飲まれてて、航海も何もないだろ」
「つか、良く無事だったよな」
「だよね・・・」
「こんな所で、何してたんです?」
「お宝探して歩いてたら、海に落っこちて、魔物と遊んでたのじゃ」
「良かったな、そのまま、栄養分にされなくて」
「・・・何でも良いけど、このまま船出して良いかしら」
「ああ、頼む」
「うわぁああっ!!」
「「!」」
反対側からそう悲鳴が聞こえ、私とユーリは急いでそこに向かうとトクナガさんの前に魚人がいた
「トクナガさん!」
「ちぃっ・・・! まだ一匹いやがったか・・・。リア、トクナガを頼む!」
「うん!」
言うとユーリは魚人の方へ向かって行き、私はトクナガさんの元に駆け寄り怪我をしているのを見つけ直ぐに治癒術を掛け始めた
「うっ・・・」
魚人の方も終わり、ユーリや反対側にいた兄さん達も私とトクナガさんの側に集まってきた
「・・・治癒術は掛けたから怪我の心配はないわ。けど・・・」
「当分は安静にしてた方が良いでしょうね」
「困ったわね・・・貴方達の中で誰か操船出来る人・・・いるワケないわよね」
「うちがやれるのじゃ」
エステルと一緒にそう言うとカウフマンさんが困った顔をしていたが、次に聞こえた言葉に皆一斉に声の主であるパティへと視線を向けた
「パティが?」
「世界を旅する者、船の操縦くらい出来ないと笑われるのじゃ」
「それじゃあ、船の操縦は貴方にお願いするわ」
「本当かよ・・・」
「ま、他に操船出来る人いないんだし・・任せても良いんじゃない?」
「じゃあパティ、任せても良い?」
「うむ、任せておくのじゃ!」
カウフマンさんは驚く様子もなくパティに操船を任せ、トクナガさん達と一緒に船内に戻って行き、パティは直ぐに操船を始めた
自信満々に答えただけあって、パティの操船は凄く安定していた
「これなら任せていても大丈夫そうね」
「ええ。じゃあ私達は中で休んでよ」
ジュディスと一緒にパティの操船を見て、私達は安堵し、エステルとリタも誘ってデズエール大陸に着くまで室内で休む事にした
それから暫く船に揺られていると急に辺りが暗くなった
「何か急に暗くなったわね」
「霧が出ているわね」
私達は窓から外の様子を伺うと、辺りは霧に包まれていた
「針路は大丈夫でしょうか・・?」
「・・・・」
けど、なんとなくだけど、この霧が妙だと感じ少しだけ眉を寄せた
「・・・リア?」
「どうかしたの?」
「あ、ううん、何でも「「きゃぁああっ!」」「いやぁあっ!」
私の様子に気が付いたエステル達が心配した顔をして見ている事に気が付き、何でもないと答えようとしていると突然船が何かにぶつかり、私達は悲鳴を上げて体勢を崩した
「・・っ、みんな、大丈夫?」
「は、はい。わたしは」
「あたしもよ」
「私も大丈夫よ」
振動がなくなり立ち上がりみんな怪我がないと解ると、顔を見合わせた
「一体何が遭ったんでしょう!?」
「解らないわ。何かとぶつかった感じがしたけど・・・」
「とにかく外に行ってみましょう」
「ええ!」
ジュディスの言葉に頷き私達は一斉に甲板へと向かいだした
続く
あとがき
かなりオリジナル入れて違う形にしちゃいましたw
結構後の方のスキットで女子は船内でお茶しよう、ってのがあったので先に使ってみました
てかパティの登場はホントに驚きましたよww
ホント、良く生きてたなこの子ww
さ、次はアーセルム号に乗り込む話しですね
この辺もかなり変えて書くつもりですのでお楽しみにw
2010.02.01