水道魔導器奪還編
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「有り難う御座います。お陰で助かりました」
「ね、こいつ、誰?」
トリム港に着き船から降りると、そう言って礼儀正しく頭を下げるヨーデル様を見てリタは隣にいるエステルに尋ねるがエステルは答えづらそうに言う
「え、えっと、ですね・・・」
「今、宿を用意している。詳しい話しはそちらで。それで良いね?」
ユーリが頷くとフレンはヨーデル様に向き合い小さく合図するとヨーデル様を連れて宿へと歩いて行った
23.Between light and a shadow
「で、久々のフレンの説教はどうだったんだ?」
「兄さん、楽しそうな顔して聞かないでよ・・・」
宿に向かう途中、私は兄さんとアスラと並んでユーリ達の後ろを歩いていた
「相当怒られたんじゃないの?」
「・・・ま、まあ・・・ι でもその後、帝国の事聞かれちゃった」
フレンがすっごく怒ってた事は事実だからアスラの言葉に頷き、そしてその後に聞かれた事を話した
「・・・何て?」
さっきとは打って変わって小声で話を始める
「詳しくは話してないけど、エステルとヨーデル様が皇族で遠縁だって事と皇族争いになってる事は話したよ」
「そっか・・・」
「セイはフレンの手伝いしてる時に聞かれなかったの?」
「ああ、あん時はラゴウの方聞かれたからな」
ノール港でラゴウのやっていた事を知っていれば、自然とそっちに気が行ってしまうものだ
「でも、結局ヨーデル様を拉致してたのがラゴウだった」
「だからラゴウの事調べたのかもね」
「かもな・・・」
実際に皇族争いの事は知ってたけど、私達もまさかヨーデル様が拉致されているとは思っていなかった
「ま、後の事は宿でフレンから聞くとして・・・」
そう言って兄さんはそのまま前を歩くユーリ達の話しに耳を傾けた
どうやらラゴウの屋敷で会った竜使いの事を話しているようだった
リタはやはり魔導器を壊された事に腹を立てており、竜使いの事をバカドラと呼んでいた
「・・・バカドラね。ヒドイ言われようだな」
リタのバカドラ発言を聞いて私達は苦笑した
「本人が聞いたら何て言うだろうね」
「軽く受け流すと思うけど」
「あーそれあり得るわ」
「何があり得るの?」
カロルが不思議そうに私達を見たけど、何でもないと言って誤魔化していると宿に着いた
「こいつ・・・っ!」
フレンが用意してくれた部屋に入ると、そこにはフレンとヨーデル様の他にラゴウの姿もあった
リタを初め私達は顔を強張らせて目を見開く
けど、ラゴウは私達の事を初めて見るような感じで接して来て、リタは一歩だけ前に足を出すがユーリに止められ仕方なくその場に留まる
「船での事件がショックで都合の良い記憶喪失か? 良い治癒術師紹介するぜ」
「はて? 記憶喪失も何も、貴方と会うのはこれが初めてですよ?」
「何言ってんだよ!」
「執政官、貴方の罪は明白です。彼等がその一部始終を見ているのですから」
フレンが言うと、ラゴウはいつまでシラを切るつもりなのか「名前を語った誰かが仕組み自分を陥れようとした」と言い、それを聞いたリタはいても経ってもいられなかったのか口を尖らせてラゴウに怒鳴る
が、ラゴウは聞く耳を持たず、それどころかフレンに「どちらを信じるか」と問い質した
「・・・・」
その言葉にフレンは何も答えられずに顔を俯かせて小さく握り拳を作っていた
「フレン・・・」「「「・・・・」」」
「決まりましたな。では、失礼しますぞ」
フレンの表情を見てラゴウは勝ち誇ったような笑みを浮かべそう言ってヨーデル様に会釈をして早々とこの部屋を出て行った
「「「・・・・」」」
私達はそれを眉をしかめて睨むようにラゴウが出て行った扉を見ていた
「なんなのよ、あいつは! それに、こいつは何者よ!!」
リタはヨーデル様の方を指差して問い質す
「ちっとは落ち着け」
「この方は・・・・」
ヨーデル様の紹介をしようとフレンは口を開くが、どう言って良いのか思いつかないのか直ぐに口を閉じて顎に手を添える
それを見かねたエステルはフレンの所まで歩いて行き、代わりに答えた
「この方は、時期皇帝候補のヨーデル殿下です」
「へ? またまたエステルは・・・」
言いながらカロルはエステルのいた場所まで移動しラピードもユーリとフレンの間に移動して座ると、部屋はシンっと静まり、カロルもそれが冗談ではないと分かり、少しばかり慌てる
「・・・って、あれ?」
それを見て兄さんはカロルの頭をポンポンと叩きまたヨーデル様の顔を見た
「あくまで候補の一人ですよ」
「本当なんだ。先代皇帝の甥御にあたられるヨーデル殿下だ」
「ほ・・ほんとに!?」
「はい」
「殿下ともあろうお方が、執政官ごときに捕まる事情をオレは聞いてみたいね」
ユーリが言った後、暫くその場は重い空気に包まれる
そしてそれを破ったのはエステルの一言で、彼女はこの一件について何か知っているようだった
「市民には聞かせられない事情って訳か」
「あ・・それは・・・」
「エステルが此処まで来たのも関係してんだな」
「・・・・」
「・・・ま、良いさ。都合の悪い事を隠すのが帝国のやり方だったな。そんなごたごたに付き合う程オレはヒマじゃない。じゃな」
「待て、ユーリ」「あ、ユーリ!」
そう言ってユーリは扉を開けて出て行き、その後をフレンと一緒に追い駆けた
「あっ、」
「ほっとけ」
「でも」
「リア達に任せときなって」
「「「・・・・」」」
出て行った三人を見てエステル達も追い駆けようとしたが、セイとアスラに止められじっと待つ事にした
ユーリを追い駆けて行くと宿から少し離れた所を歩いていた
「ユーリ、待って!」
私はユーリの側まで走って行くとユーリは立ち止まって私と後ろから歩いてくるフレンを見た
「ラゴウの屋敷にあった天候操作の魔導器。あれは複数の魔導器を組み合わせて作ってあったそうだぜ。じゃあ、その魔導器の出所は何処だ?」
「・・・恐らく、盗まれたものだろう。シャイコス遺跡や下町だけじゃない。各地で魔導器の魔刻が盗まれていると報告が来ている」
フレンの言葉にユーリは私を見た
それは情報屋である私に聞いている目で、私はフレンの言葉に同意して頷いた
その事はこの旅に出て、兄さんと会った後から式神達 に調べて貰っていたから耳に届いていた
「あの沈んだ船は?」
「現在調査中だ。だが、時間の問題だろう。一連の魔導器の盗難事件にラゴウが関与していると言う事は」
「それでも帝国の定めた法はあいつを裁く事は出来ない、違うか?」
「・・・・そうだ」
フレンは少し間を置いて、話しを続ける
「評議会の人間であり、貴族であるラゴウを今の法は裁けない。ラゴウは罪に問われる事無く、無罪放免になるだろう」
「法なんて力のある人間が自分達の都合の良いように世界をねじ曲げてるにすぎねえ・・・。もううんざりだ」
「ユーリ・・・」
ユーリは悔しさを堪えるように握り拳を作る
「それを変える為に僕達は騎士になった。下から吼えてるだけでは何も変えられない・・・。手柄を立て、信頼を勝ち取り、帝国を内部から是正する。・・・そうだったろ」
「だから出世の為に貴族様に頭を下げろって。ガキが目の前で魔物のエサにされんのを黙って見てろってか!? 下町の連中が厳しい取り立てに遭ってんの見過ごして、生きる為に必要な水道魔導器が盗まれても無視しろってのかよ! ・・・それが出来ねえからオレは騎士団を辞めたんだ」
「辞めて何か変わったか? 騎士団に入る前と、何か変わったか? より多くの人を助ける事が出来るようになったのか?」
「・・・・・・・」
フレンの強い言葉にユーリは背を向けたまま押し黙る
「・・・・」
私はそんなユーリを見つめながら眉を八の字にして目を伏せる
昔からこうなった時にどう声を掛けて良いものか、そう思っていた
変に声を掛けても気まずくなるし、お互いに変に気を遣ってしまう
こういう時は何も言わず、何もせず、ただじっと二人を見守る事だけしか出来なかった・・・
「「「・・・・」」」
私達の間に重たい空気が流れ出す
(・・・とりあえず、宿に戻る・・。ううん、此処は・・・、!)
考えを纏めていると急にフレンに肩を抱かれそのままフレンの腕の中にすっぽりと埋まった
「ユーリ、暫くリアは僕の側に置かせて貰うよ」
「「!」」
その言葉にユーリも当の本人である私も驚き目を見開く
「じゃ、行こう、リア」
「え・・? フレン?」
フレンは私を連れたまま踵を返し歩き出そうとしていた
「おい、それどういう意味だよ!」
が、直ぐにユーリがフレンの肩を掴み歩みが止まる
「「・・・・」」
二人は何処か睨み合ったような目をしてお互いを見ていた
「・・・リアだけじゃない、セイもアスラも暫く僕の側に置かせて貰う」
「兄さんとアスラも・・?」
そう言われ、船の中での話しを思い出す
私達は今の帝国での事を知っている
だからその情報を持っていて、今エステルやヨーデル様と面識がある私と兄さんを側に置いておきたいのかもしれない
「・・・それはリア達の仕事に関してか? それとも、お前の個人的な意見か?」
「そこは君の想像に任せるよ」
フレンの言葉を聞き、ユーリは更に睨むようにしてフレンを見ていた
「あ、あの、二人共・・・」
段々と空気が張り詰めて来ているような気がして、ユーリとフレンを交互に見て声を掛けるとユーリはフレンの肩から手を離し、私を見た
「兄さんも一緒って事は、仕事の事についてだから、心配しないで?」
私はそう言って安心させるようにユーリに微笑みかけると、ユーリは渋々頷いたようだった
「解ったよ・・・」
「あ、ユーリ、」
「散歩だよ」
ユーリはそのまま踵を返して宿とは違う方へ歩き出し、ひらひらと手を振ってそう答えた
「じゃあ、僕達も行こうか」
「うん・・・」
ユーリの後ろ姿を見送っているとフレンがそう声を掛け、私はフレンと一緒に宿へと向かい出した
続く
あとがき
今回はドラマCD版の台詞を持って来てみました
箱版と違う形にしたいと思ったらこっちの方がしっくりと来たのでドラマCDの台詞を採用で(笑)
ちょっとだけ、ゲームの台詞入れてますけどね
そして段々とこの二人の間に火花が・・・(この二人のVSものだしw)
リアちゃんも何となく気付いてるけど、その理由はまだ解っていませんι
まあこの場はリアちゃんのお陰で何とか治まったけど・・・どうなる事やら
次回はユーリ達と別行動する事になった所からになる・・予定です(笑)
ちょっとだけ、ユーリ視点で書くかもです
Between light and a shadow:光と影の間で
2009.11.16
「ね、こいつ、誰?」
トリム港に着き船から降りると、そう言って礼儀正しく頭を下げるヨーデル様を見てリタは隣にいるエステルに尋ねるがエステルは答えづらそうに言う
「え、えっと、ですね・・・」
「今、宿を用意している。詳しい話しはそちらで。それで良いね?」
ユーリが頷くとフレンはヨーデル様に向き合い小さく合図するとヨーデル様を連れて宿へと歩いて行った
23.Between light and a shadow
「で、久々のフレンの説教はどうだったんだ?」
「兄さん、楽しそうな顔して聞かないでよ・・・」
宿に向かう途中、私は兄さんとアスラと並んでユーリ達の後ろを歩いていた
「相当怒られたんじゃないの?」
「・・・ま、まあ・・・ι でもその後、帝国の事聞かれちゃった」
フレンがすっごく怒ってた事は事実だからアスラの言葉に頷き、そしてその後に聞かれた事を話した
「・・・何て?」
さっきとは打って変わって小声で話を始める
「詳しくは話してないけど、エステルとヨーデル様が皇族で遠縁だって事と皇族争いになってる事は話したよ」
「そっか・・・」
「セイはフレンの手伝いしてる時に聞かれなかったの?」
「ああ、あん時はラゴウの方聞かれたからな」
ノール港でラゴウのやっていた事を知っていれば、自然とそっちに気が行ってしまうものだ
「でも、結局ヨーデル様を拉致してたのがラゴウだった」
「だからラゴウの事調べたのかもね」
「かもな・・・」
実際に皇族争いの事は知ってたけど、私達もまさかヨーデル様が拉致されているとは思っていなかった
「ま、後の事は宿でフレンから聞くとして・・・」
そう言って兄さんはそのまま前を歩くユーリ達の話しに耳を傾けた
どうやらラゴウの屋敷で会った竜使いの事を話しているようだった
リタはやはり魔導器を壊された事に腹を立てており、竜使いの事をバカドラと呼んでいた
「・・・バカドラね。ヒドイ言われようだな」
リタのバカドラ発言を聞いて私達は苦笑した
「本人が聞いたら何て言うだろうね」
「軽く受け流すと思うけど」
「あーそれあり得るわ」
「何があり得るの?」
カロルが不思議そうに私達を見たけど、何でもないと言って誤魔化していると宿に着いた
「こいつ・・・っ!」
フレンが用意してくれた部屋に入ると、そこにはフレンとヨーデル様の他にラゴウの姿もあった
リタを初め私達は顔を強張らせて目を見開く
けど、ラゴウは私達の事を初めて見るような感じで接して来て、リタは一歩だけ前に足を出すがユーリに止められ仕方なくその場に留まる
「船での事件がショックで都合の良い記憶喪失か? 良い治癒術師紹介するぜ」
「はて? 記憶喪失も何も、貴方と会うのはこれが初めてですよ?」
「何言ってんだよ!」
「執政官、貴方の罪は明白です。彼等がその一部始終を見ているのですから」
フレンが言うと、ラゴウはいつまでシラを切るつもりなのか「名前を語った誰かが仕組み自分を陥れようとした」と言い、それを聞いたリタはいても経ってもいられなかったのか口を尖らせてラゴウに怒鳴る
が、ラゴウは聞く耳を持たず、それどころかフレンに「どちらを信じるか」と問い質した
「・・・・」
その言葉にフレンは何も答えられずに顔を俯かせて小さく握り拳を作っていた
「フレン・・・」「「「・・・・」」」
「決まりましたな。では、失礼しますぞ」
フレンの表情を見てラゴウは勝ち誇ったような笑みを浮かべそう言ってヨーデル様に会釈をして早々とこの部屋を出て行った
「「「・・・・」」」
私達はそれを眉をしかめて睨むようにラゴウが出て行った扉を見ていた
「なんなのよ、あいつは! それに、こいつは何者よ!!」
リタはヨーデル様の方を指差して問い質す
「ちっとは落ち着け」
「この方は・・・・」
ヨーデル様の紹介をしようとフレンは口を開くが、どう言って良いのか思いつかないのか直ぐに口を閉じて顎に手を添える
それを見かねたエステルはフレンの所まで歩いて行き、代わりに答えた
「この方は、時期皇帝候補のヨーデル殿下です」
「へ? またまたエステルは・・・」
言いながらカロルはエステルのいた場所まで移動しラピードもユーリとフレンの間に移動して座ると、部屋はシンっと静まり、カロルもそれが冗談ではないと分かり、少しばかり慌てる
「・・・って、あれ?」
それを見て兄さんはカロルの頭をポンポンと叩きまたヨーデル様の顔を見た
「あくまで候補の一人ですよ」
「本当なんだ。先代皇帝の甥御にあたられるヨーデル殿下だ」
「ほ・・ほんとに!?」
「はい」
「殿下ともあろうお方が、執政官ごときに捕まる事情をオレは聞いてみたいね」
ユーリが言った後、暫くその場は重い空気に包まれる
そしてそれを破ったのはエステルの一言で、彼女はこの一件について何か知っているようだった
「市民には聞かせられない事情って訳か」
「あ・・それは・・・」
「エステルが此処まで来たのも関係してんだな」
「・・・・」
「・・・ま、良いさ。都合の悪い事を隠すのが帝国のやり方だったな。そんなごたごたに付き合う程オレはヒマじゃない。じゃな」
「待て、ユーリ」「あ、ユーリ!」
そう言ってユーリは扉を開けて出て行き、その後をフレンと一緒に追い駆けた
「あっ、」
「ほっとけ」
「でも」
「リア達に任せときなって」
「「「・・・・」」」
出て行った三人を見てエステル達も追い駆けようとしたが、セイとアスラに止められじっと待つ事にした
ユーリを追い駆けて行くと宿から少し離れた所を歩いていた
「ユーリ、待って!」
私はユーリの側まで走って行くとユーリは立ち止まって私と後ろから歩いてくるフレンを見た
「ラゴウの屋敷にあった天候操作の魔導器。あれは複数の魔導器を組み合わせて作ってあったそうだぜ。じゃあ、その魔導器の出所は何処だ?」
「・・・恐らく、盗まれたものだろう。シャイコス遺跡や下町だけじゃない。各地で魔導器の魔刻が盗まれていると報告が来ている」
フレンの言葉にユーリは私を見た
それは情報屋である私に聞いている目で、私はフレンの言葉に同意して頷いた
その事はこの旅に出て、兄さんと会った後から
「あの沈んだ船は?」
「現在調査中だ。だが、時間の問題だろう。一連の魔導器の盗難事件にラゴウが関与していると言う事は」
「それでも帝国の定めた法はあいつを裁く事は出来ない、違うか?」
「・・・・そうだ」
フレンは少し間を置いて、話しを続ける
「評議会の人間であり、貴族であるラゴウを今の法は裁けない。ラゴウは罪に問われる事無く、無罪放免になるだろう」
「法なんて力のある人間が自分達の都合の良いように世界をねじ曲げてるにすぎねえ・・・。もううんざりだ」
「ユーリ・・・」
ユーリは悔しさを堪えるように握り拳を作る
「それを変える為に僕達は騎士になった。下から吼えてるだけでは何も変えられない・・・。手柄を立て、信頼を勝ち取り、帝国を内部から是正する。・・・そうだったろ」
「だから出世の為に貴族様に頭を下げろって。ガキが目の前で魔物のエサにされんのを黙って見てろってか!? 下町の連中が厳しい取り立てに遭ってんの見過ごして、生きる為に必要な水道魔導器が盗まれても無視しろってのかよ! ・・・それが出来ねえからオレは騎士団を辞めたんだ」
「辞めて何か変わったか? 騎士団に入る前と、何か変わったか? より多くの人を助ける事が出来るようになったのか?」
「・・・・・・・」
フレンの強い言葉にユーリは背を向けたまま押し黙る
「・・・・」
私はそんなユーリを見つめながら眉を八の字にして目を伏せる
昔からこうなった時にどう声を掛けて良いものか、そう思っていた
変に声を掛けても気まずくなるし、お互いに変に気を遣ってしまう
こういう時は何も言わず、何もせず、ただじっと二人を見守る事だけしか出来なかった・・・
「「「・・・・」」」
私達の間に重たい空気が流れ出す
(・・・とりあえず、宿に戻る・・。ううん、此処は・・・、!)
考えを纏めていると急にフレンに肩を抱かれそのままフレンの腕の中にすっぽりと埋まった
「ユーリ、暫くリアは僕の側に置かせて貰うよ」
「「!」」
その言葉にユーリも当の本人である私も驚き目を見開く
「じゃ、行こう、リア」
「え・・? フレン?」
フレンは私を連れたまま踵を返し歩き出そうとしていた
「おい、それどういう意味だよ!」
が、直ぐにユーリがフレンの肩を掴み歩みが止まる
「「・・・・」」
二人は何処か睨み合ったような目をしてお互いを見ていた
「・・・リアだけじゃない、セイもアスラも暫く僕の側に置かせて貰う」
「兄さんとアスラも・・?」
そう言われ、船の中での話しを思い出す
私達は今の帝国での事を知っている
だからその情報を持っていて、今エステルやヨーデル様と面識がある私と兄さんを側に置いておきたいのかもしれない
「・・・それはリア達の仕事に関してか? それとも、お前の個人的な意見か?」
「そこは君の想像に任せるよ」
フレンの言葉を聞き、ユーリは更に睨むようにしてフレンを見ていた
「あ、あの、二人共・・・」
段々と空気が張り詰めて来ているような気がして、ユーリとフレンを交互に見て声を掛けるとユーリはフレンの肩から手を離し、私を見た
「兄さんも一緒って事は、仕事の事についてだから、心配しないで?」
私はそう言って安心させるようにユーリに微笑みかけると、ユーリは渋々頷いたようだった
「解ったよ・・・」
「あ、ユーリ、」
「散歩だよ」
ユーリはそのまま踵を返して宿とは違う方へ歩き出し、ひらひらと手を振ってそう答えた
「じゃあ、僕達も行こうか」
「うん・・・」
ユーリの後ろ姿を見送っているとフレンがそう声を掛け、私はフレンと一緒に宿へと向かい出した
続く
あとがき
今回はドラマCD版の台詞を持って来てみました
箱版と違う形にしたいと思ったらこっちの方がしっくりと来たのでドラマCDの台詞を採用で(笑)
ちょっとだけ、ゲームの台詞入れてますけどね
そして段々とこの二人の間に火花が・・・(この二人のVSものだしw)
リアちゃんも何となく気付いてるけど、その理由はまだ解っていませんι
まあこの場はリアちゃんのお陰で何とか治まったけど・・・どうなる事やら
次回はユーリ達と別行動する事になった所からになる・・予定です(笑)
ちょっとだけ、ユーリ視点で書くかもです
Between light and a shadow:光と影の間で
2009.11.16