水道魔導器奪還編
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―― この世界、テルカリュミレース
大地と海が何処まで続くのか、知る人はいない
何故なら・・・
世界に蠢く魔物達に比べ、人はあまりにも弱い
我々の住む街を守る結界、
我々は己を守る為にその中で生きながらえている
それを成す、核となる魔導器
世界に満ちた根源たる力、エアルを使い、魔導器は、
火、水、光、繁栄に必要な、ありとあらゆるものを、今日 まで我々に与え続けてきた
やがて、いつの日か、結界の向こうに、凶暴な魔物が生息する事も我々は忘れてしまうのだろう
繁栄と成長を続ける世界・・・
全ての人々の為の平和、魔導器の恩恵により更なる発展を遂げていくだろう
平和の礎である帝都ザーフィアスより願う
『世界が穏やかであるように』――
01.出発は突然に・・・
「・・・なに、これ・・?」
此処は帝都ザーフィアスの下町
この下町は私が育った街でとても思い出のある場所だ
生まれ育った場所は他にあるけれど、育った環境としてはこの下町の方が長いと思う
私は仕事で世界中を旅をしているから今は下町を離れているけど、昔からお世話になっている宿屋の女将さんが、いつでも帰ってこられるようにと言って2階の空き部屋を貸してくれている
そして仕事も一段落して、久しぶりにアスラと帰って着たのだけど・・・
「・・・なんだか、水浸し、だね・・」
下町の広場に出て目に入った光景は、広場の中央にある噴水から溢れ出ている水と水浸しになった建物だった
「あ! リアだ!」
その光景をアスラと一緒に唖然として見ていると、男の子の元気な声が聞こえた
「テッド!」
テッドは私の姿を見つけると嬉しそうな顔をして私の所に走って来て足に抱きついた
「リア、おかえり!」
「ただいま、テッド」
「リアじゃない、お帰り」
「お、元気そうだな」
「お帰り、リア」
テッドの声と私の声を聞きつけたのか周りにいたみんなも私の姿を見つけ次々に声を掛けてくる
「みんな、久しぶり。ただいま」
私はみんなに笑顔で挨拶をした
こういう風にお帰りと言ってくれると、帰って着たなって改めて実感する
「ところで、この状況は・・・?」
その喜びを感じた後、街の様子を伺いながらみんなに尋ねると少しだけ表情が曇った
「ちょっと前に水道魔導器 が壊れて、ハンクスさんが先頭立って修理代を集めたんだ」
「それで昨日水道魔導器の修理をして貰ったんだけど、直ぐに壊れちゃって・・・」
「修理して直ぐに・・・? そんなに簡単に壊れるものじゃないでしょ?」
「そうなんだけどねぇ・・・」
「けど、直ぐにドカンだったからなぁ・・・」
「素人ならまだしも、魔導士がそんな手抜き修理するなんて思えないけどねぇ・・・」
「うん・・・」
アスラが小さな声で言い、私もそれに同意して小さく返事を返した
「けど、昨日に比べたらだいぶマシになったんだぜ」
「昨日なんてもっと水浸しだったんだからな」
昨日の事を思い出したのか少しだけ苦笑して話していた
「・・・ハンクスさんは?」
この場にハンクスさんがいない事に気が付き尋ねてみた
「じいさんなら、多分家にいるはずだぜ」
「ずっと仕切ってたから今休んで貰ってるとこだ」
「そっか・・・」
ハンクスさんの立場を考えれば責任を感じているのも無理はない
けど、此処でふとある人物達の事を思い出す
「・・・ユーリとフレンは?」
ユーリとフレン、彼等は私の幼馴染みで、フレンは騎士団に所属していて今は小隊長を勤めている
ユーリも昔は騎士団にいたけど、ある事情で辞めてしまった
今は下町で用心棒のような仕事をしながら暮らしている
二人共、下町で厄介事があれば直ぐにでも飛んで来るのに、その二人の姿が見えない
「フレン、今いないみたいなんだ」
「いない?」
「帝都離れてるみたいだったよ」
「そういえば、騎士の巡礼に行くって手紙に書いてあったっけ・・・」
みんなそれぞれ仕事で会う機会も減ったけど、お互いの状況を知っていたいという事でずっと手紙のやり取りをしている
だからフレンが帝都にいない事を思い出したのだった
「ユーリは?」
「ユーリなら昨日、モルディオさんを尋ねて貴族街に行ったぞ」
「ワン!」
「ハンクスさん、ラピード!」
別の声が聞こえたと思っているとハンクスさんとラピードが私達の所に歩いて来た
「ん? セイは一緒じゃないのか?」
「兄さんはまだ仕事で別の所にいます」
「そうか。たまには帰って来いっと言っておいてくれ」
「じゃあ今度会ったら伝えておきますね。それで・・・」
「ワン!」
ハンクスさんに事情を聞こうとしているとラピードが咥えていた袋を私に差し出した
「?」
それを受け取り袋の中を見てみると、お金や小物が沢山入っていた
「・・・これ」
「・・・みんなで集めた資金、でしょうね」
私とアスラは袋の中身を見て小声で話し、袋を持ってきたラピードを撫でてあげた
「ご苦労様、ラピード」
「ワン!」
今ので大体の状況を掴め、私は立ち上がってハンクスさんにその袋を渡した
「ハンクスさん、これ」
「ん? これは・・・」
「リア」
ハンクスさんに袋を渡し終えると噴水の前にいたアスラが私を呼んだ
そして噴水の前まで移動してアスラが見ている所をじっと見た
そこは水道魔導器の動力源と言っても良い場所だった
普段は此処に魔刻 が填め込まれていて初めて魔導器は機動するものだが、今此処にはその魔刻が無かった
「・・・成る程。魔刻がないから水道魔導器が壊れた訳か」
アスラの言葉に頷くと隣にいたラピードも小さく頷いた
「・・・ユーリはその魔刻を取り戻しに行ったのね」
「ワン」
私の言葉にラピードはそうだと返事を返してくれた
やっぱり下町の事になるとじっとしておけない幼馴染みの事を思って苦笑していると突然市民街へと続く坂道から大きな声が聞こえた
「ユーリ・ローウェ~ル!! 何処に行きおった~~!!」
「素直に出て来るのであ~る!!」
「今ならまだ痛い目に遭わせないのだ!!」
「「「「・・・・・」」」」
「・・・この声」
アスラは呆れ声で言い、声の聞こえた方に視線を向ける
そこにいたのは帝国騎士団のシュバーン隊に所属しているルブランとアデコールとボッコスの三人だった
三人は辺りを見渡し、ユーリがいない事を確認すると急いで市民街の方へと駆けて行った
「・・・相変わらず忙しい連中だね」
「ユーリめ、まーたやらかしおったな」
「いつもの事じゃないですか」
下町のみんなもこの光景が当たり前になっているから呆れと苦笑混じりだった
あの感じからして、また捕まってお城の牢屋にでも入れられて、脱獄した感じだった
そう思い私も苦笑しているとハンクスさんを始め、下町の男性陣はまた広場に溜っている水掃きを始め、私はアスラとラピードと一緒に家へと向かった
*
「こんにちは」
「いらっしゃい・・あら、リアちゃん!」
あの後、私はお世話になっている女将さんの所に顔を出した
店に入ると女将さんとおじさんが直ぐに私に気が付き、この店の常連さん達も私を見ていた
「おぉ、リアちゃん、お帰り!」
「みんな、ただいま」
「いつ帰って着たんだい?」
「ついさっきですよ」
私はカウンターに行き、いつも座っていた所に座ると女将さんが水を出してくれた
「セイは一緒じゃないのかい?」
「兄さんはまだ仕事してます」
「相変わらず忙しいんだな」
「たまには帰っておいでって伝えておいてね」
「ふふ、解りました」
少し前にも同じ事を言われたけど、やっぱりこう言ってもらえるのは凄く嬉しい
それから暫くご飯を食べながら旅先での話しをしていると、足下で丸くなっていたラピードがぴくりと耳を動かして顔を上げた
すると急に扉が勢い良く開いてテッドが入って来た
「リア! ユーリ戻って着たよ!」
「こら、テッド。店の中では静かにって言ってるでしょ!」
そしてラピードはそのまま立ち上がって外へと歩いて行った
「・・・気のせいか、また面倒な事に巻き込まれそうな気がする」
「・・・ユーリが絡んでるからね」
アスラのぼやきに苦笑して答え、私は椅子から降りた
「おや、リアちゃんもう行くのかい?」
「ええ、ユーリも戻って着たしラピードももう行っちゃいましたし」
「じゃあユーリの面倒頼んだよ」
「はい。ご飯ご馳走様でした」
おじさんの言葉に苦笑してお礼を言って私はアスラと一緒に外へと向かって行った
店を出た後、私とアスラは広場に向かうとルブランの周りに下町のみんなが集まっているのが見えた
「・・・えーと・・・」
「・・・どうなってるの?」
「おお、リア、やっと着たか」
その様子をアスラと呆然として見ているとハンクスさんが私を見つけ歩いて来た
「・・・あの、これは?」
「まあいつもの事じゃ。それよりユーリじゃ」
「ユーリ、戻って着たんですよね?」
「ああ。じゃが、あやつの面倒はお前さんの方が見れるじゃろ」
「え? ええ・・・って、きゃっ!」
話しが全然見えないでいると急に数人に背中を押され歩き出した
「ユーリの事、頼んだよ」
「え? ちょ、何?」
「ユーリなら外に向かったから近道しなよ」
「外って、結界の外?」
「じゃ、頼んだぜ」
「わっ、っと・・・」
みんなに押され、小さな小道に入った
そこから外への出口は近道になっている為、此処に私を入れたのだけど・・・
「・・・全然話しが見えなかったんだけどι」
とりあえず、今の状況を理解すると、ユーリが結界の外に向かうみたいだから早く追いついて面倒を見ろ、と言う事らしい
「・・・とりあえず、行こうか」
「うん・・・」
此処でじっとしていても埒が飽かないので私とアスラは急いで出口へと向かった
一方ユーリはピンクの髪をした品の良さそうな女の子と一緒に街の出口辺りまで着ていた
が、後ろからルブランの声が聞こえ、走ろうとしていると、後ろでガシャンと音が聞こえ横目で見るとルブランが転んでいた
「な、何事だ!」
ルブランが事態を把握しようとしていると目の前をいつもユーリが連れている相犬、ラピードが平然とした顔をしてスタスタとユーリの元へと歩いて行った
「ラピード・・・狙ってたろ。おいしいやつだな」
「犬?」
「追い着いた・・・」
「「!」」
突然先程のルブランとは違う声が聞こえ、二人は勢い良く振り返った
「なっ!」
そしてユーリはその人物を見て驚いていた
「久しぶり、ユーリ」
「相変わらず無茶してるねえ・・・」
私は少しだけ乱れていた息を整えてユーリを見て言い、続けてアスラが呆れた口調で言った
「リア! アスラ! お前等、いつ帰ってきたんだ?」
「ちょっと前よ」
「それより、移動した方が良いんじゃない?」
「ん、ああ、そうだな」
「貴女もそれで良い?」
「あ、はい」
「じゃあ行きましょう」
「ワン!」
そして、そのまま私達は結界の外へと向かって行った
続く
あとがき
始まりました、PS3版 テイルズ オブ ヴェスペリアの夢小説!!
が、思ったよりも下町のみんなとの会話が膨らんでユーリ達最後の方しか出てない(笑)
本当は箱版同様、自己紹介終わる所まで書こうと思ったんですけどねι
とりあえず、キリが良いので、此処で終わらせました
次回は自己紹介する所からになります
デイドン砦・・・行くのかな?
それではPS3版お楽しみ下さい!
2009.10.07
大地と海が何処まで続くのか、知る人はいない
何故なら・・・
世界に蠢く魔物達に比べ、人はあまりにも弱い
我々の住む街を守る結界、
我々は己を守る為にその中で生きながらえている
それを成す、核となる
世界に満ちた根源たる力、エアルを使い、魔導器は、
火、水、光、繁栄に必要な、ありとあらゆるものを、
やがて、いつの日か、結界の向こうに、凶暴な魔物が生息する事も我々は忘れてしまうのだろう
繁栄と成長を続ける世界・・・
全ての人々の為の平和、魔導器の恩恵により更なる発展を遂げていくだろう
平和の礎である帝都ザーフィアスより願う
『世界が穏やかであるように』――
01.出発は突然に・・・
「・・・なに、これ・・?」
此処は帝都ザーフィアスの下町
この下町は私が育った街でとても思い出のある場所だ
生まれ育った場所は他にあるけれど、育った環境としてはこの下町の方が長いと思う
私は仕事で世界中を旅をしているから今は下町を離れているけど、昔からお世話になっている宿屋の女将さんが、いつでも帰ってこられるようにと言って2階の空き部屋を貸してくれている
そして仕事も一段落して、久しぶりにアスラと帰って着たのだけど・・・
「・・・なんだか、水浸し、だね・・」
下町の広場に出て目に入った光景は、広場の中央にある噴水から溢れ出ている水と水浸しになった建物だった
「あ! リアだ!」
その光景をアスラと一緒に唖然として見ていると、男の子の元気な声が聞こえた
「テッド!」
テッドは私の姿を見つけると嬉しそうな顔をして私の所に走って来て足に抱きついた
「リア、おかえり!」
「ただいま、テッド」
「リアじゃない、お帰り」
「お、元気そうだな」
「お帰り、リア」
テッドの声と私の声を聞きつけたのか周りにいたみんなも私の姿を見つけ次々に声を掛けてくる
「みんな、久しぶり。ただいま」
私はみんなに笑顔で挨拶をした
こういう風にお帰りと言ってくれると、帰って着たなって改めて実感する
「ところで、この状況は・・・?」
その喜びを感じた後、街の様子を伺いながらみんなに尋ねると少しだけ表情が曇った
「ちょっと前に
「それで昨日水道魔導器の修理をして貰ったんだけど、直ぐに壊れちゃって・・・」
「修理して直ぐに・・・? そんなに簡単に壊れるものじゃないでしょ?」
「そうなんだけどねぇ・・・」
「けど、直ぐにドカンだったからなぁ・・・」
「素人ならまだしも、魔導士がそんな手抜き修理するなんて思えないけどねぇ・・・」
「うん・・・」
アスラが小さな声で言い、私もそれに同意して小さく返事を返した
「けど、昨日に比べたらだいぶマシになったんだぜ」
「昨日なんてもっと水浸しだったんだからな」
昨日の事を思い出したのか少しだけ苦笑して話していた
「・・・ハンクスさんは?」
この場にハンクスさんがいない事に気が付き尋ねてみた
「じいさんなら、多分家にいるはずだぜ」
「ずっと仕切ってたから今休んで貰ってるとこだ」
「そっか・・・」
ハンクスさんの立場を考えれば責任を感じているのも無理はない
けど、此処でふとある人物達の事を思い出す
「・・・ユーリとフレンは?」
ユーリとフレン、彼等は私の幼馴染みで、フレンは騎士団に所属していて今は小隊長を勤めている
ユーリも昔は騎士団にいたけど、ある事情で辞めてしまった
今は下町で用心棒のような仕事をしながら暮らしている
二人共、下町で厄介事があれば直ぐにでも飛んで来るのに、その二人の姿が見えない
「フレン、今いないみたいなんだ」
「いない?」
「帝都離れてるみたいだったよ」
「そういえば、騎士の巡礼に行くって手紙に書いてあったっけ・・・」
みんなそれぞれ仕事で会う機会も減ったけど、お互いの状況を知っていたいという事でずっと手紙のやり取りをしている
だからフレンが帝都にいない事を思い出したのだった
「ユーリは?」
「ユーリなら昨日、モルディオさんを尋ねて貴族街に行ったぞ」
「ワン!」
「ハンクスさん、ラピード!」
別の声が聞こえたと思っているとハンクスさんとラピードが私達の所に歩いて来た
「ん? セイは一緒じゃないのか?」
「兄さんはまだ仕事で別の所にいます」
「そうか。たまには帰って来いっと言っておいてくれ」
「じゃあ今度会ったら伝えておきますね。それで・・・」
「ワン!」
ハンクスさんに事情を聞こうとしているとラピードが咥えていた袋を私に差し出した
「?」
それを受け取り袋の中を見てみると、お金や小物が沢山入っていた
「・・・これ」
「・・・みんなで集めた資金、でしょうね」
私とアスラは袋の中身を見て小声で話し、袋を持ってきたラピードを撫でてあげた
「ご苦労様、ラピード」
「ワン!」
今ので大体の状況を掴め、私は立ち上がってハンクスさんにその袋を渡した
「ハンクスさん、これ」
「ん? これは・・・」
「リア」
ハンクスさんに袋を渡し終えると噴水の前にいたアスラが私を呼んだ
そして噴水の前まで移動してアスラが見ている所をじっと見た
そこは水道魔導器の動力源と言っても良い場所だった
普段は此処に
「・・・成る程。魔刻がないから水道魔導器が壊れた訳か」
アスラの言葉に頷くと隣にいたラピードも小さく頷いた
「・・・ユーリはその魔刻を取り戻しに行ったのね」
「ワン」
私の言葉にラピードはそうだと返事を返してくれた
やっぱり下町の事になるとじっとしておけない幼馴染みの事を思って苦笑していると突然市民街へと続く坂道から大きな声が聞こえた
「ユーリ・ローウェ~ル!! 何処に行きおった~~!!」
「素直に出て来るのであ~る!!」
「今ならまだ痛い目に遭わせないのだ!!」
「「「「・・・・・」」」」
「・・・この声」
アスラは呆れ声で言い、声の聞こえた方に視線を向ける
そこにいたのは帝国騎士団のシュバーン隊に所属しているルブランとアデコールとボッコスの三人だった
三人は辺りを見渡し、ユーリがいない事を確認すると急いで市民街の方へと駆けて行った
「・・・相変わらず忙しい連中だね」
「ユーリめ、まーたやらかしおったな」
「いつもの事じゃないですか」
下町のみんなもこの光景が当たり前になっているから呆れと苦笑混じりだった
あの感じからして、また捕まってお城の牢屋にでも入れられて、脱獄した感じだった
そう思い私も苦笑しているとハンクスさんを始め、下町の男性陣はまた広場に溜っている水掃きを始め、私はアスラとラピードと一緒に家へと向かった
*
「こんにちは」
「いらっしゃい・・あら、リアちゃん!」
あの後、私はお世話になっている女将さんの所に顔を出した
店に入ると女将さんとおじさんが直ぐに私に気が付き、この店の常連さん達も私を見ていた
「おぉ、リアちゃん、お帰り!」
「みんな、ただいま」
「いつ帰って着たんだい?」
「ついさっきですよ」
私はカウンターに行き、いつも座っていた所に座ると女将さんが水を出してくれた
「セイは一緒じゃないのかい?」
「兄さんはまだ仕事してます」
「相変わらず忙しいんだな」
「たまには帰っておいでって伝えておいてね」
「ふふ、解りました」
少し前にも同じ事を言われたけど、やっぱりこう言ってもらえるのは凄く嬉しい
それから暫くご飯を食べながら旅先での話しをしていると、足下で丸くなっていたラピードがぴくりと耳を動かして顔を上げた
すると急に扉が勢い良く開いてテッドが入って来た
「リア! ユーリ戻って着たよ!」
「こら、テッド。店の中では静かにって言ってるでしょ!」
そしてラピードはそのまま立ち上がって外へと歩いて行った
「・・・気のせいか、また面倒な事に巻き込まれそうな気がする」
「・・・ユーリが絡んでるからね」
アスラのぼやきに苦笑して答え、私は椅子から降りた
「おや、リアちゃんもう行くのかい?」
「ええ、ユーリも戻って着たしラピードももう行っちゃいましたし」
「じゃあユーリの面倒頼んだよ」
「はい。ご飯ご馳走様でした」
おじさんの言葉に苦笑してお礼を言って私はアスラと一緒に外へと向かって行った
店を出た後、私とアスラは広場に向かうとルブランの周りに下町のみんなが集まっているのが見えた
「・・・えーと・・・」
「・・・どうなってるの?」
「おお、リア、やっと着たか」
その様子をアスラと呆然として見ているとハンクスさんが私を見つけ歩いて来た
「・・・あの、これは?」
「まあいつもの事じゃ。それよりユーリじゃ」
「ユーリ、戻って着たんですよね?」
「ああ。じゃが、あやつの面倒はお前さんの方が見れるじゃろ」
「え? ええ・・・って、きゃっ!」
話しが全然見えないでいると急に数人に背中を押され歩き出した
「ユーリの事、頼んだよ」
「え? ちょ、何?」
「ユーリなら外に向かったから近道しなよ」
「外って、結界の外?」
「じゃ、頼んだぜ」
「わっ、っと・・・」
みんなに押され、小さな小道に入った
そこから外への出口は近道になっている為、此処に私を入れたのだけど・・・
「・・・全然話しが見えなかったんだけどι」
とりあえず、今の状況を理解すると、ユーリが結界の外に向かうみたいだから早く追いついて面倒を見ろ、と言う事らしい
「・・・とりあえず、行こうか」
「うん・・・」
此処でじっとしていても埒が飽かないので私とアスラは急いで出口へと向かった
一方ユーリはピンクの髪をした品の良さそうな女の子と一緒に街の出口辺りまで着ていた
が、後ろからルブランの声が聞こえ、走ろうとしていると、後ろでガシャンと音が聞こえ横目で見るとルブランが転んでいた
「な、何事だ!」
ルブランが事態を把握しようとしていると目の前をいつもユーリが連れている相犬、ラピードが平然とした顔をしてスタスタとユーリの元へと歩いて行った
「ラピード・・・狙ってたろ。おいしいやつだな」
「犬?」
「追い着いた・・・」
「「!」」
突然先程のルブランとは違う声が聞こえ、二人は勢い良く振り返った
「なっ!」
そしてユーリはその人物を見て驚いていた
「久しぶり、ユーリ」
「相変わらず無茶してるねえ・・・」
私は少しだけ乱れていた息を整えてユーリを見て言い、続けてアスラが呆れた口調で言った
「リア! アスラ! お前等、いつ帰ってきたんだ?」
「ちょっと前よ」
「それより、移動した方が良いんじゃない?」
「ん、ああ、そうだな」
「貴女もそれで良い?」
「あ、はい」
「じゃあ行きましょう」
「ワン!」
そして、そのまま私達は結界の外へと向かって行った
続く
あとがき
始まりました、PS3版 テイルズ オブ ヴェスペリアの夢小説!!
が、思ったよりも下町のみんなとの会話が膨らんでユーリ達最後の方しか出てない(笑)
本当は箱版同様、自己紹介終わる所まで書こうと思ったんですけどねι
とりあえず、キリが良いので、此処で終わらせました
次回は自己紹介する所からになります
デイドン砦・・・行くのかな?
それではPS3版お楽しみ下さい!
2009.10.07