水道魔導器奪還編
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「で、執政官の屋敷の調査はどう?」
ユーリとフレンと話しを終え二人が部屋を出て気配がなくなった所でさっきまでのほのぼのとした空気とは違う空気が流れ出した
17.不意
「ああ、順調だ。けど、ちょっと厄介だな」
「厄介?」
「お前達もこの街に来た時に見ただろ、あの光景・・・」
あの光景とはあの夫婦の様な光景の事だろう
「うん・・・。噂では聞いてたけどあそこまで酷いとは思ってなかった」
「あれはまだ良い方だぜ」
「・・・え?」
「その言い草じゃ何か掴んだんだね」
アスラの言葉に兄さんは少し間を置き小さく息を吐いて話し出した
「・・・執政官に雇われてる役人だが、あいつ等ギルドの人間だ」
「「!」」
兄さんの言葉を聞いて私とアスラは驚いた
帝国とギルドは基本的に対立している・・・
確かに今の帝国ではギルド無しでは生活が成り立たない部分もあり、その存在をある程度は黙認しているとはいえ、何故このような事にギルドが・・・?
「そう言えば、魔刻泥棒を捕まえた時に『バルボス』って言ってたよね」
「『顔の右に傷のある、隻眼でバカに体格の良い大男』・・・って」
「・・・やっぱりそうか」
私とアスラの言葉を聞いて兄さんは何か確信したようだった
「そのギルドってのがあの傭兵ギルドの『紅の絆傭兵団 』なんだよ」
「「紅の絆傭兵団!?」」
紅の絆傭兵団と聞いてやっと線が繋がった気がした
あの時は色々あって気付かなかったけどバルボスは紅の絆傭兵団の首領だ
そして傭兵を雇っている執政官
ただ雇うだけなら5大ギルドの紅の絆傭兵団じゃなくても良いはず
「・・・何か裏がありそうね」
「流石、リアは気付くのが早くて助かるね」
「もしかして『リブガロ』?」
「ああ。リブガロの話しは有名だからはしょるが、問題は此処からだ。飼ってるのはそれだけじゃねえんだ」
「他にも何か飼ってるの?」
「ああ・・・。税金を払えない人の子供や人を屋敷の地下に連れて来て税金を払えなかったら連れて来られた人は飼っている魔物の餌にしてるんだ」
「「!」」
「・・・マジで虫唾が走るぜ」
兄さんはそう言って拳に力を入れて顔を顰め、その言葉にアスラも頷いた
多分この話を聞いたらユーリもフレンも同じ事を思うだろう
特にユーリは守るべきモノの為なら必死で頑張るとても真っ直ぐな人、それで自分が傷つく事を厭わないから無茶をする
それが私達を不安にさせる
だからこういう仕事の話しは極力ユーリやフレンがいない所でしている
私達も二人に心配させない為に・・・
「ラゴウとバルボスが何で手を組んでるかはまだ調べてる所だ」
「屋敷の方には行ったの?」
「ああ。だが取りつく島もないって感じだな、あれは」
「じゃあフレン達が行っても無駄って事?」
部屋から立ち去る時にフレンが屋敷に行ってみると言っていた事を思い出す
「ああ。どうせ変な言い分や挑発されたりするのがオチだろ」
「献上品が無いと無理って事だね」
「だろうな。献上品のリブガロの角でもあれば取り次いでくれるかもしれないが・・・」
「武醒魔導器持ってない人がそうそう相手に出来るものじゃないしね」
「魔導器・・か・・・」
「ん、どうした?」
魔導器という言葉を聞きぽつりと呟くと兄さんが聞き返した
「・・・ちょっと話しが変わっちゃうんだけど、エフミドの丘の結界魔導器が壊されたの知ってる?」
「結界魔導器が?」
「うん。現場を見た人の話しじゃ、竜に乗った人が結界魔導器を壊した、って・・・」
「・・・おい、それって」
その話しをすると兄さんは驚いていた
その言葉の先は多分、あの時私とアスラが思った事と同じだろう
「私もアスラもそれを聞いてまさかって思ったの」
「あの魔導器だったら絶対にあの感じがするのに、今までそんな気なかったからさ」
「・・・けど、他に考えられない・・よな?」
「「うん・・・」」
魔導器を壊す、
リタ達も言っていたけど、今の世の中、魔導器がないと生活が難しい
現に下町の水道魔導器の魔刻は盗まれ、下町は水浸し、更に生活に必要な水が無くなり、ハルルでは結界が消え、魔物が街に入り込み大勢の人が怪我をした
魔導器がないと大騒ぎになってしまう
けど、エフミドの丘で聞いた竜使いは魔導器を壊している
それが私達が思っている事なのかは今は解らないけど・・・
「・・・とりあえず、話しは一旦此処までにするか。後はユーリとフレン達が帰って着てからな」
「そうだね・・・」
これ以上話しを進めても考えても埒が明かないと判断した兄さんは小さく息を吐いてその場の雰囲気を変えた
「じゃあ私、情報貰いに行くついでに街の様子も見て来るね」
「ああ、ユーリ達が戻って来たらアスラに連絡する」
「解った」「了解」
私はアスラを連れてそのまま街へと繰り出した
未だに雨が降っているから傘を持って外に出てこの街の情報屋に情報を貰いに行った
そしてその帰り
「お役人様、それだけはっ!!」
「「!」」
街の小さな路地を歩いていると突然女性の悲痛な声が聞こえ振り向くと、一人の女性と女の子の親子とそしてこの街に来た時に見た役人が親子の前にいた
「期限は今日まで、と言っておいたよな?」
「金がないならリブガロの角、だったよなぁ?」
「「・・・・」」
その光景はまさにこの街に来た時に見たあの光景と同じもの
「どっちもないってんなら・・・」
剣を持った男はそう言って女の子の方を向くと女の子はビクリとして母親の腕に捕まった
「ガキを貰ってくまでだ」
「いやあっ!」
だが、直ぐに男が女の子の首根っこを掴み腕から引き剥がされた
「ママ~~っ!」
「やめてっ! 娘を返して下さいっ!」
女の子は泣き叫びながら必死に母親に助けを求め、母親の方も必死に女の子を取り返そうとする
「っ! 離しやがれっ! くそっ!」
「っ!」
途端、男は肩に担いでいた剣を振り下ろそうとした
ガキィィン
「なっ!」
「・・・丸腰の女性と女の子に剣を振るうのは関心しませんよ?」
それが見え、私は直ぐにその間に入り、男が振り下ろした剣を自身の剣で受け止め、鞘に収まったままの剣で押し退けると男と役人は驚いて私を見て声を荒わげた
「っ、なんだ、てめえ!」
「その子、返して貰いますよ」
「なん・・っ!?」
言うと私は瞬時に動き、男に抱えられていた女の子を奪い返し、アスラの力を借りて母親と一緒に男達の元から数メートル離れた
「もう大丈夫よ」
女の子を降ろしてやり、視線を合わせてニコリとして微笑むときょとんとしていた女の子もニコリと笑った
「ありがとう、おねえちゃん!」
「あ、有り難う御座います」
「此処は私に任せて、安全な所に行って下さい」
「で、でも・・・」
私は優しく微笑みかけると、ようやく親子は立ち上がって母親が私に頭を下げてその場を離れた
「・・・で、これ、どうするの?」
アスラは目の前にいる男達に目をやる
此処で下手に騒ぎを起こせば直ぐ近くにある執政官の屋敷から騒ぎを聞きつけて役人と紅の傭兵団がやって来る
かと言ってこのまま睨み合ったままの状態でいる訳にもいかない
「・・・アスラ、報告よろしくね」
「・・・はぁ、解ったよ」
私の意図が読めたアスラは溜息を吐いて呆れた顔をした
それを見て小さく笑って男達に目を向ける
「貴方達、ラゴウ執政官の所の役人と傭兵?」
「そうだが・・・」
「だったら色々と聞きたい事があるんだけど」
「なら、その話しとやらは屋敷 で聞こうか」
「っ!」
その言葉と同時に男が剣を振り下ろし、私は急いでそれを受け止めた
それを跳ね除け距離を取ると男はまた剣を振り下ろし、私はそれを綺麗に避け数歩下がり体勢と整えようとしていた時だった
「っ!」
背後から人の気配を感じた途端、思いっきり手首を掴まれ、口に布のようなものを当てられた
(っ! 薬・・・っ・・・)
気付いた頃にはもう既に薬が回っていて段々と意識が途絶え始めていた
続く
あとがき
ゲームやってる時に思いついたパターンです
補足ですが、アスラはそのままセイ兄ちゃんに報告に行ったのでもうこの場にはいないのでリアちゃんのみこの場にいました
さっさと片付けて帰るはずだったのに・・・
次回はどうなる事か!
箱版と違う展開になる予定なのでお楽しみにw
2009.10.14
ユーリとフレンと話しを終え二人が部屋を出て気配がなくなった所でさっきまでのほのぼのとした空気とは違う空気が流れ出した
17.不意
「ああ、順調だ。けど、ちょっと厄介だな」
「厄介?」
「お前達もこの街に来た時に見ただろ、あの光景・・・」
あの光景とはあの夫婦の様な光景の事だろう
「うん・・・。噂では聞いてたけどあそこまで酷いとは思ってなかった」
「あれはまだ良い方だぜ」
「・・・え?」
「その言い草じゃ何か掴んだんだね」
アスラの言葉に兄さんは少し間を置き小さく息を吐いて話し出した
「・・・執政官に雇われてる役人だが、あいつ等ギルドの人間だ」
「「!」」
兄さんの言葉を聞いて私とアスラは驚いた
帝国とギルドは基本的に対立している・・・
確かに今の帝国ではギルド無しでは生活が成り立たない部分もあり、その存在をある程度は黙認しているとはいえ、何故このような事にギルドが・・・?
「そう言えば、魔刻泥棒を捕まえた時に『バルボス』って言ってたよね」
「『顔の右に傷のある、隻眼でバカに体格の良い大男』・・・って」
「・・・やっぱりそうか」
私とアスラの言葉を聞いて兄さんは何か確信したようだった
「そのギルドってのがあの傭兵ギルドの『
「「紅の絆傭兵団!?」」
紅の絆傭兵団と聞いてやっと線が繋がった気がした
あの時は色々あって気付かなかったけどバルボスは紅の絆傭兵団の首領だ
そして傭兵を雇っている執政官
ただ雇うだけなら5大ギルドの紅の絆傭兵団じゃなくても良いはず
「・・・何か裏がありそうね」
「流石、リアは気付くのが早くて助かるね」
「もしかして『リブガロ』?」
「ああ。リブガロの話しは有名だからはしょるが、問題は此処からだ。飼ってるのはそれだけじゃねえんだ」
「他にも何か飼ってるの?」
「ああ・・・。税金を払えない人の子供や人を屋敷の地下に連れて来て税金を払えなかったら連れて来られた人は飼っている魔物の餌にしてるんだ」
「「!」」
「・・・マジで虫唾が走るぜ」
兄さんはそう言って拳に力を入れて顔を顰め、その言葉にアスラも頷いた
多分この話を聞いたらユーリもフレンも同じ事を思うだろう
特にユーリは守るべきモノの為なら必死で頑張るとても真っ直ぐな人、それで自分が傷つく事を厭わないから無茶をする
それが私達を不安にさせる
だからこういう仕事の話しは極力ユーリやフレンがいない所でしている
私達も二人に心配させない為に・・・
「ラゴウとバルボスが何で手を組んでるかはまだ調べてる所だ」
「屋敷の方には行ったの?」
「ああ。だが取りつく島もないって感じだな、あれは」
「じゃあフレン達が行っても無駄って事?」
部屋から立ち去る時にフレンが屋敷に行ってみると言っていた事を思い出す
「ああ。どうせ変な言い分や挑発されたりするのがオチだろ」
「献上品が無いと無理って事だね」
「だろうな。献上品のリブガロの角でもあれば取り次いでくれるかもしれないが・・・」
「武醒魔導器持ってない人がそうそう相手に出来るものじゃないしね」
「魔導器・・か・・・」
「ん、どうした?」
魔導器という言葉を聞きぽつりと呟くと兄さんが聞き返した
「・・・ちょっと話しが変わっちゃうんだけど、エフミドの丘の結界魔導器が壊されたの知ってる?」
「結界魔導器が?」
「うん。現場を見た人の話しじゃ、竜に乗った人が結界魔導器を壊した、って・・・」
「・・・おい、それって」
その話しをすると兄さんは驚いていた
その言葉の先は多分、あの時私とアスラが思った事と同じだろう
「私もアスラもそれを聞いてまさかって思ったの」
「あの魔導器だったら絶対にあの感じがするのに、今までそんな気なかったからさ」
「・・・けど、他に考えられない・・よな?」
「「うん・・・」」
魔導器を壊す、
リタ達も言っていたけど、今の世の中、魔導器がないと生活が難しい
現に下町の水道魔導器の魔刻は盗まれ、下町は水浸し、更に生活に必要な水が無くなり、ハルルでは結界が消え、魔物が街に入り込み大勢の人が怪我をした
魔導器がないと大騒ぎになってしまう
けど、エフミドの丘で聞いた竜使いは魔導器を壊している
それが私達が思っている事なのかは今は解らないけど・・・
「・・・とりあえず、話しは一旦此処までにするか。後はユーリとフレン達が帰って着てからな」
「そうだね・・・」
これ以上話しを進めても考えても埒が明かないと判断した兄さんは小さく息を吐いてその場の雰囲気を変えた
「じゃあ私、情報貰いに行くついでに街の様子も見て来るね」
「ああ、ユーリ達が戻って来たらアスラに連絡する」
「解った」「了解」
私はアスラを連れてそのまま街へと繰り出した
未だに雨が降っているから傘を持って外に出てこの街の情報屋に情報を貰いに行った
そしてその帰り
「お役人様、それだけはっ!!」
「「!」」
街の小さな路地を歩いていると突然女性の悲痛な声が聞こえ振り向くと、一人の女性と女の子の親子とそしてこの街に来た時に見た役人が親子の前にいた
「期限は今日まで、と言っておいたよな?」
「金がないならリブガロの角、だったよなぁ?」
「「・・・・」」
その光景はまさにこの街に来た時に見たあの光景と同じもの
「どっちもないってんなら・・・」
剣を持った男はそう言って女の子の方を向くと女の子はビクリとして母親の腕に捕まった
「ガキを貰ってくまでだ」
「いやあっ!」
だが、直ぐに男が女の子の首根っこを掴み腕から引き剥がされた
「ママ~~っ!」
「やめてっ! 娘を返して下さいっ!」
女の子は泣き叫びながら必死に母親に助けを求め、母親の方も必死に女の子を取り返そうとする
「っ! 離しやがれっ! くそっ!」
「っ!」
途端、男は肩に担いでいた剣を振り下ろそうとした
ガキィィン
「なっ!」
「・・・丸腰の女性と女の子に剣を振るうのは関心しませんよ?」
それが見え、私は直ぐにその間に入り、男が振り下ろした剣を自身の剣で受け止め、鞘に収まったままの剣で押し退けると男と役人は驚いて私を見て声を荒わげた
「っ、なんだ、てめえ!」
「その子、返して貰いますよ」
「なん・・っ!?」
言うと私は瞬時に動き、男に抱えられていた女の子を奪い返し、アスラの力を借りて母親と一緒に男達の元から数メートル離れた
「もう大丈夫よ」
女の子を降ろしてやり、視線を合わせてニコリとして微笑むときょとんとしていた女の子もニコリと笑った
「ありがとう、おねえちゃん!」
「あ、有り難う御座います」
「此処は私に任せて、安全な所に行って下さい」
「で、でも・・・」
私は優しく微笑みかけると、ようやく親子は立ち上がって母親が私に頭を下げてその場を離れた
「・・・で、これ、どうするの?」
アスラは目の前にいる男達に目をやる
此処で下手に騒ぎを起こせば直ぐ近くにある執政官の屋敷から騒ぎを聞きつけて役人と紅の傭兵団がやって来る
かと言ってこのまま睨み合ったままの状態でいる訳にもいかない
「・・・アスラ、報告よろしくね」
「・・・はぁ、解ったよ」
私の意図が読めたアスラは溜息を吐いて呆れた顔をした
それを見て小さく笑って男達に目を向ける
「貴方達、ラゴウ執政官の所の役人と傭兵?」
「そうだが・・・」
「だったら色々と聞きたい事があるんだけど」
「なら、その話しとやらは
「っ!」
その言葉と同時に男が剣を振り下ろし、私は急いでそれを受け止めた
それを跳ね除け距離を取ると男はまた剣を振り下ろし、私はそれを綺麗に避け数歩下がり体勢と整えようとしていた時だった
「っ!」
背後から人の気配を感じた途端、思いっきり手首を掴まれ、口に布のようなものを当てられた
(っ! 薬・・・っ・・・)
気付いた頃にはもう既に薬が回っていて段々と意識が途絶え始めていた
続く
あとがき
ゲームやってる時に思いついたパターンです
補足ですが、アスラはそのままセイ兄ちゃんに報告に行ったのでもうこの場にはいないのでリアちゃんのみこの場にいました
さっさと片付けて帰るはずだったのに・・・
次回はどうなる事か!
箱版と違う展開になる予定なのでお楽しみにw
2009.10.14