水道魔導器奪還編
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暫く歩いていると少し広くなっている所が見えた
ようやく出口かと思っているとそこから潮風が吹いてきているのが解った
この先に海があるのかもと思い進んでいるとエステルが急に走り出し、目の前の景色を見て感嘆の声を洩らした
14.海沿いにある墓
「うわあ・・・」
「これ・・・って・・・」
そこに広がっていたものは何処までも続き太陽の光を反射して時折キラキラと光る海だった
「ユーリ、海ですよ、海」
「解ってるって。 ・・・風が気持ち良いな」
皆、目の前の光景があまりにも綺麗な光景で言葉を無くし海を見つめていた
「本で読んだ事はありますけど、わたし、本物をこんな間近で見るのは初めてなんです!」
「普通、結界を越えて旅する事なんてないもんね」
嬉しそうにきゃいきゃいとはしゃぎ楽しそうな顔をしていた
「本物を見た感想は?」
「ハルルの樹もそうでしたけど海も凄く綺麗です」
「旅をしてたら色々な事に出会えるからね」
「うん。面白いものも見られるよ。ジャングルとか滝の街とか・・・」
旅を経験しているリアとカロルは自分達の知っている事を少し話すとエステルは海を見つめた
「旅が続けば・・・もっと色んな事を知る事が出来る・・・」
「そうだな・・・オレの世界も狭かったんだな」
「あんたにしては珍しく素直な感想ね」
リタが感心したように言うと、カロルがリタに駆け寄った
「リタも海、初めてなんでしょ?」
「まあ、そうだけど」
「そっかぁ・・・研究ばかりの寂しい人生送って来たんだね」
「あんたに同情されると死にたくなるんだけど」
なんともやるせない顔でリタが言った
「・・・この水は世界の海を回って、全てを見て来てるんですね。この海を通じて、世界中が繋がっている・・・」
「また大袈裟な。たかだか水溜りの一つで」
「リタも結構、感激してたくせに」
カロルがからかってそう言うと、ビンタの構えをされて慌てて目を閉じたが、なかなかビンタをされないと思いリタを見るとリタも海を見つめていた
リタ自身もこの海に感激していたのだろう
「これがあいつ等やリアの見てる世界か」
「ユーリ?」
「もっと前に、フレンはこの景色を見たんだろうな」
「・・・・」
ユーリは何ともいえない顔で海を見ながら、独り言のように呟くとリアはじっとユーリの顔を見ていた
「そうですね。任務で各地を旅してますから」
「追いついて来いなんて、簡単に言ってくれるぜ」
「エフミドの丘を抜ければ、ノール港はもうすぐだよ。追いつけるって」
「そういう意味じゃねえよ」
「え? どういう事?」
カロルはその言葉に首を傾げたが、ユーリ顔はいつも通り少し余裕ぶった大人の顔だったが何処か淋しげな顔をしていた
「・・・・」
そんなリアの視線に気付いたのかユーリは軽く笑いリアの肩にぽんと手を乗せると振り返りいつも通りの顔に戻った
「さあて、ルブランが出てこないうちに行くぞ」
はぁーい、と気の抜けた返事が返ってきて苦笑しているとふと惹かれるように在る場所に目が止まった
「リア?」
ふと立ち止まったリアにエステルは疑問を持ちリアを見るとある場所を見ていて、ユーリ達もその視線の先を見た
不意に目に止まったのは崖ぎりぎりに不自然に立ててある縦長の石
石の周りは倒れないように周りにいくつもの小石で囲んである
それは自然に出来たものではなく、明らかに人工物であった
「・・・何だろう、これ?」
「お墓・・・だね」
「墓? こんな所に?」
カロル達はこんな人も通らないような場所に墓が立ててあるなんてと言う顔をしていた
「こんな所だからこそ、お墓を建てたんでしょうね」
「どういう事?」
「帝国によからぬ事企んで追放された人の墓、とかね。公的に葬れないと、こんな人のいない所にしか墓を作ってもらえないんだよ」
アスラの言葉を聞くとエステル達は複雑な顔をしていた
「じゃ、オレも多分そうなるかな」
「冗談はやめて下さい!」
「あながち冗談でもないぜ。現に下町の連中の中には葬儀も出せない、ちゃんと葬ってもらえないのがいるんだ」
ユーリの言葉にリアもアスラも頷き、エステル達はまた複雑な顔をした
「じゃあ、どうしてるの?」
「そうね、燃やして灰を川や畑に蒔いたりかな」
「「「・・・・」」」
カロル達は何とも言えないような顔をした
更に重たい空気が流れようとしていた
「けど、その後にちゃんと弔ってくれる親切な奴がいるんだぜ」
「その後って、蒔いた後?」
「ああ」
「どうやって?」
「さてな」
そう言ってユーリはリアをちらりと見るとリタもちらりとリアを見ていた
エステルとカロルはユーリの言った意味が分からず疑問符を出していた
リアは近くに咲いていた花を一輪取り、お墓の前に行き花を添えると目を閉じて手を合わせた
その様子を見ていたユーリ達も自然と手を合わせていた
誰のお墓か解らないけど、惹かれるようにこのお墓が目に止まった
どうしてだか解らないけど、何処か切なさを感じた
普段ならユーリの言っていた通り弔ってやるのだけど、表だって出来る事ではないので今回は手を合わせて祈ってあげた
が、途端、頭の中に何か映像が映った
「!」
「・・・リア? もしかして見えたの?」
隣にいたアスラがリアの様子に気が付きユーリ達に聞こえない声で言うとリアは小さく頷いた
リア達言霊使いは時々、その人物が生きていた時の記憶を見る時がある
そして一瞬だが、この墓の主の記憶がリアの頭の中に流れ込んできたのだ
「一瞬だからはっきりとは見えなかったんだけど・・・」
(何も見えなかった。けど・・・何でこんなに胸が締め付けられるんだろう・・・)
リアは自然と胸の前に手を持っていきギュッと握っていた
「平気そう?」
「うん、」
アスラは心配そうな顔をしてリアを見たが、リアは異常がないと思い立ち上がるとアスラも表情を緩めた
「もう良いのか?」
「うん。みんながいるから大きな事は出来ないし」
ユーリはリアが立ち上がるとこちらも先程と同じくエステル達に聞こえない程の声で言うとリアは小さく苦笑していた
「そっか・・・。さて、じゃあそろそろ行くか」
「そうですね」
「ノール港は此処を越えたら直ぐだよ!」
ユーリの言葉を合図に皆立ち上がりカロルは走り出そうとしていた
ユーリが崖から転落しないよう注意したが、カロルは崖から落ちそうになったがギリギリの所で踏み止まった
「・・・バカっぽい」
そんなカロルの様子を見てリタは呆れて呟いた
数分前のしんみりとした空気から一気にいつもの賑やかさに戻った
此処を越えればノール港は直ぐそこ・・・
各々の目的はもうすぐ果たせる、と誰もが思った
だが、ユーリ達はまだ知らない
今、ノール港で何が起きているのかという事を・・・
続く
あとがき
前回の後書きにも書いたけど、PS3版もこのシーンは綺麗でしたね!
そして最後のお墓の所は、こちらもまた色々と付け足してみました
こういった流れは後々また使うので前振りで使ってみました(笑)
さ、次はいよいよノール港です!
やっとフレン出てきます!!
お楽しみに!!
2009.10.11
ようやく出口かと思っているとそこから潮風が吹いてきているのが解った
この先に海があるのかもと思い進んでいるとエステルが急に走り出し、目の前の景色を見て感嘆の声を洩らした
14.海沿いにある墓
「うわあ・・・」
「これ・・・って・・・」
そこに広がっていたものは何処までも続き太陽の光を反射して時折キラキラと光る海だった
「ユーリ、海ですよ、海」
「解ってるって。 ・・・風が気持ち良いな」
皆、目の前の光景があまりにも綺麗な光景で言葉を無くし海を見つめていた
「本で読んだ事はありますけど、わたし、本物をこんな間近で見るのは初めてなんです!」
「普通、結界を越えて旅する事なんてないもんね」
嬉しそうにきゃいきゃいとはしゃぎ楽しそうな顔をしていた
「本物を見た感想は?」
「ハルルの樹もそうでしたけど海も凄く綺麗です」
「旅をしてたら色々な事に出会えるからね」
「うん。面白いものも見られるよ。ジャングルとか滝の街とか・・・」
旅を経験しているリアとカロルは自分達の知っている事を少し話すとエステルは海を見つめた
「旅が続けば・・・もっと色んな事を知る事が出来る・・・」
「そうだな・・・オレの世界も狭かったんだな」
「あんたにしては珍しく素直な感想ね」
リタが感心したように言うと、カロルがリタに駆け寄った
「リタも海、初めてなんでしょ?」
「まあ、そうだけど」
「そっかぁ・・・研究ばかりの寂しい人生送って来たんだね」
「あんたに同情されると死にたくなるんだけど」
なんともやるせない顔でリタが言った
「・・・この水は世界の海を回って、全てを見て来てるんですね。この海を通じて、世界中が繋がっている・・・」
「また大袈裟な。たかだか水溜りの一つで」
「リタも結構、感激してたくせに」
カロルがからかってそう言うと、ビンタの構えをされて慌てて目を閉じたが、なかなかビンタをされないと思いリタを見るとリタも海を見つめていた
リタ自身もこの海に感激していたのだろう
「これがあいつ等やリアの見てる世界か」
「ユーリ?」
「もっと前に、フレンはこの景色を見たんだろうな」
「・・・・」
ユーリは何ともいえない顔で海を見ながら、独り言のように呟くとリアはじっとユーリの顔を見ていた
「そうですね。任務で各地を旅してますから」
「追いついて来いなんて、簡単に言ってくれるぜ」
「エフミドの丘を抜ければ、ノール港はもうすぐだよ。追いつけるって」
「そういう意味じゃねえよ」
「え? どういう事?」
カロルはその言葉に首を傾げたが、ユーリ顔はいつも通り少し余裕ぶった大人の顔だったが何処か淋しげな顔をしていた
「・・・・」
そんなリアの視線に気付いたのかユーリは軽く笑いリアの肩にぽんと手を乗せると振り返りいつも通りの顔に戻った
「さあて、ルブランが出てこないうちに行くぞ」
はぁーい、と気の抜けた返事が返ってきて苦笑しているとふと惹かれるように在る場所に目が止まった
「リア?」
ふと立ち止まったリアにエステルは疑問を持ちリアを見るとある場所を見ていて、ユーリ達もその視線の先を見た
不意に目に止まったのは崖ぎりぎりに不自然に立ててある縦長の石
石の周りは倒れないように周りにいくつもの小石で囲んである
それは自然に出来たものではなく、明らかに人工物であった
「・・・何だろう、これ?」
「お墓・・・だね」
「墓? こんな所に?」
カロル達はこんな人も通らないような場所に墓が立ててあるなんてと言う顔をしていた
「こんな所だからこそ、お墓を建てたんでしょうね」
「どういう事?」
「帝国によからぬ事企んで追放された人の墓、とかね。公的に葬れないと、こんな人のいない所にしか墓を作ってもらえないんだよ」
アスラの言葉を聞くとエステル達は複雑な顔をしていた
「じゃ、オレも多分そうなるかな」
「冗談はやめて下さい!」
「あながち冗談でもないぜ。現に下町の連中の中には葬儀も出せない、ちゃんと葬ってもらえないのがいるんだ」
ユーリの言葉にリアもアスラも頷き、エステル達はまた複雑な顔をした
「じゃあ、どうしてるの?」
「そうね、燃やして灰を川や畑に蒔いたりかな」
「「「・・・・」」」
カロル達は何とも言えないような顔をした
更に重たい空気が流れようとしていた
「けど、その後にちゃんと弔ってくれる親切な奴がいるんだぜ」
「その後って、蒔いた後?」
「ああ」
「どうやって?」
「さてな」
そう言ってユーリはリアをちらりと見るとリタもちらりとリアを見ていた
エステルとカロルはユーリの言った意味が分からず疑問符を出していた
リアは近くに咲いていた花を一輪取り、お墓の前に行き花を添えると目を閉じて手を合わせた
その様子を見ていたユーリ達も自然と手を合わせていた
誰のお墓か解らないけど、惹かれるようにこのお墓が目に止まった
どうしてだか解らないけど、何処か切なさを感じた
普段ならユーリの言っていた通り弔ってやるのだけど、表だって出来る事ではないので今回は手を合わせて祈ってあげた
が、途端、頭の中に何か映像が映った
「!」
「・・・リア? もしかして見えたの?」
隣にいたアスラがリアの様子に気が付きユーリ達に聞こえない声で言うとリアは小さく頷いた
リア達言霊使いは時々、その人物が生きていた時の記憶を見る時がある
そして一瞬だが、この墓の主の記憶がリアの頭の中に流れ込んできたのだ
「一瞬だからはっきりとは見えなかったんだけど・・・」
(何も見えなかった。けど・・・何でこんなに胸が締め付けられるんだろう・・・)
リアは自然と胸の前に手を持っていきギュッと握っていた
「平気そう?」
「うん、」
アスラは心配そうな顔をしてリアを見たが、リアは異常がないと思い立ち上がるとアスラも表情を緩めた
「もう良いのか?」
「うん。みんながいるから大きな事は出来ないし」
ユーリはリアが立ち上がるとこちらも先程と同じくエステル達に聞こえない程の声で言うとリアは小さく苦笑していた
「そっか・・・。さて、じゃあそろそろ行くか」
「そうですね」
「ノール港は此処を越えたら直ぐだよ!」
ユーリの言葉を合図に皆立ち上がりカロルは走り出そうとしていた
ユーリが崖から転落しないよう注意したが、カロルは崖から落ちそうになったがギリギリの所で踏み止まった
「・・・バカっぽい」
そんなカロルの様子を見てリタは呆れて呟いた
数分前のしんみりとした空気から一気にいつもの賑やかさに戻った
此処を越えればノール港は直ぐそこ・・・
各々の目的はもうすぐ果たせる、と誰もが思った
だが、ユーリ達はまだ知らない
今、ノール港で何が起きているのかという事を・・・
続く
あとがき
前回の後書きにも書いたけど、PS3版もこのシーンは綺麗でしたね!
そして最後のお墓の所は、こちらもまた色々と付け足してみました
こういった流れは後々また使うので前振りで使ってみました(笑)
さ、次はいよいよノール港です!
やっとフレン出てきます!!
お楽しみに!!
2009.10.11