星喰み編
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「ほら、セイ、もっと飲めよ!」
「久しぶりに帰って来たんだから、しっかり食べてね」
「解ったから、とりあえずその腕放せって」
「ほら、貴方達も遠慮しないで」
「有り難う御座います」
「良いんだよ、あんた達は大仕事を成功させたんだから」
「んじゃ、遠慮なく頂きますか!」
「おお、イイ飲みっぷりだね、あんた」
世界を救う大仕事を終え、私達は最初にオルニオンにいるヨーデル様達に報告に行った後、下町に戻って来た
思っていた通り、下町のみんなは私達の祝勝会と言うようにお祝いを噴水広場でやってくれた
最初は私達も呆気に取られてしまったけど、何だか荷が取れた気になり下町のみんなの心遣いに感謝して祝勝会に参加した
「相変わらずだな、みんな」
「新しい世界が来ても此処の連中は変わらずにやっていけるだろうな」
ユーリとフレンは下町のみんなとみんなに囲まれて騒いでいる仲間達を見て苦笑していた
「・・ユーリ」
が、ふと名前を呼ばれ振り返ると少しだけ浮かない顔をしているリアが立っていた
「どうした、そんな浮かない顔して」
「・・・ちょっと、話しがあるんだけど・・・今、良い?」
ユーリはいつものように軽い口調で言ってくれたけど私は表情を変えずそのままユーリを見た
「フレン、ちょっと席外すわ」
「ああ」
「ごめんね。話しが終わったら直ぐに戻って来るから」
「良いよ。足下気を付けてね」
言うとユーリは立ち上がってフレンにそう言い私もフレンに声を掛け歩き出したユーリの後を追った
124.本当に大切な存在
「さてと、此処なら邪魔されないな」
ユーリと一緒にやって来たのはユーリの部屋だった
話しにくい事だと思ったのかユーリは気を遣って此処まで連れて来てくれた
「立ち話もなんだし、座れよ」
「うん・・・」
そのままユーリとベッドに腰掛けた
「あーパティ、それボクのだよ!」
「早い者勝ちなのじゃ。のう、ラピード」
「ワン!」
「はぁ、バカっぽい・・・」
「ふふっ、賑やかで良いわね」
外からはみんなの賑やかな声が聞こえてくる
「「・・・・」」
けど私達はお互いに黙ったままで、外から聞こえてくるみんなの声が部屋に響きその声を聞いていた
暫く黙ったままだったが、意を決して顔を上げユーリに話し掛けた
「ユーリ、あのね」
「星喰みの中にいた時の事か」
「・・うん。あの時は色々とごめんね。迷惑掛けちゃって」
「あれはリアの所為じゃねえだろ」
「けど、自分でも覚えてる。ユーリに・・剣を向けちゃった事・・・拒絶して魔術放っちゃった事も・・・」
その事を思い出し少しだけ視線を落とす
「あの時の事、全部が全部ウソだった訳じゃない。私の本音も混ざってた・・・。ユーリやフレンの事避けてた事や、それから・・・!」
あの時の事を思い出して言葉を続けていると急にユーリが私を抱き締めた
「もう良いって言っただろ、その事は」
「でも・・」
「でもじゃねえ。リアがツラかったのはあん時に聞いたし、オレもあん時に言ったはずだぜ」
「・・・ユーリは優しすぎるよ」
「リアもだと思うけどな」
「・・・優しすぎるから・・だから・・・」
だから、好きになっちゃったんじゃない・・・
その言葉を聞いた途端、ユーリは少し目を瞠った
この答えに辿り着くのはまだ先だと思ってた
けどあの時、星喰みに心の一部に入られ内部で私も心を完全に奪われないように戦っていた
あの時、ユーリとフレンに告白された記憶に触れられその痛みと弱さにつけ込まれああなってしまっていた
アノ者ヲ避ケテイル
「っ・・・!」
アノ者ガ嫌イナノカ
「違う、嫌いじゃない」
デハ何故避ケテイル
「っ、それは・・・」
オ前ノ弱サガソウサセテイル
「・・・・」
人ノ感情トハ脆イモノダ
ソノママ苦シミ壊レ、オ前ノ力ヲ我等ニ寄コセ!
「ああっ・・・!!」
そのまま意識は遠い所に行ったような気がした
違う、嫌いな訳ない
ユーリもフレンも私にとって凄く大切な人
ツライ事も沢山あったけど、それでも二人といると楽しかったし幸せだった
『ずっと、好きだった ――』
『お前の事が好きだ ――』
二人の気持ちは凄く嬉しかった
だけど、今までの関係が崩れてしまいそうで怖かったし、自分でもこんなに混乱して二人の事を避けてしまうとは思ってもみなかった
「・・・私は・・っ・・・」
苦シイカ? 痛イカ?
オ前ノソノ弱サニ押シ潰サレ、消エテシマエ
ソシテソノ力ヲ我等ニ寄コセ!
「っ・・・!!」
『本当に彼の事が大事なのね。・・まるで私と彼のように・・・』
ふとシエラさんと精神世界で話していた時の言葉が蘇った
それはユーリがザウデから落ちて無事に助かったと知らされた時にシエラさんが言った言葉だった
そして、
「リア様!」
「! ・・・この、声・・・シエラさん?」
息苦しくなっていると急に頭の中にシエラさんの声が響いてきた
「リア様、闇に飲まれないで! 貴女を待っている人は沢山います。彼等の言葉と弱さに負けないで!」
「姫、お前はこんな所で負けるような人間じゃないはずだ」
(・・っ、だ・・れ?)
途端、別の声が頭に響いてきた
「貴女の近くには大切な人がいるでしょう」
「お前の大切な者は直ぐ傍にいる。見失うな」
「!」
シエラさんともう一人、男性の声が聞こえた途端、暗闇の中からユーリが私の名前を呼ぶ声が聞こえた
「ユー・・リ・・・っ」
そして何かに包まれた気がしていると更にユーリの声が聞こえた
「・・・そんなに拒絶するまで傷ついてたのか」
「え・・・?」
「リアからすれば確かにオレ達の言葉はちとキツかったかもな。オレ達もリアが悩んでるのは知ってた。けど、オレ達が声掛けたら余計近寄り難くなっただろ」
「・・・・」
「だからオレ達も極力近くにいなかったんだよ」
「・・・ユーリ・・・」
解ってた、ユーリもフレンも私の事を考えてそうしてくれていた事も
けどどうしていいのか解らなかったから、ずっと避けて兄さん達の近くにいて、気持ちの整理をしていた
「・・・このまま、此処にいてはダメです。貴女の事をこんなに想ってくれている人がいるんですから」
「・・・シエラさん」
「その者の言う通りだ。お前は現世へ戻るべきだ」
「・・・そうですね」
シエラさんと男性の言葉に目を閉じて笑って頷き、ユーリの声が聞こえる方に手を伸ばすと抱き締められた気がした
そして辺りから眩い光が放たれだした
「リア様」
「?」
ふいにシエラさんに呼ばれ振り返るとニコリとしてこう言った
「一つだけ、私から伝言です。貴女はまだ気付いていないかもしれないけれど、貴女の答えはもう心の中で出ているはずですよ」
「・・・答え?」
何の答えだろう? と思い首を傾げてシエラさんを見るとシエラさんはニコリと微笑んでくれ、
「答えは、直ぐ其処にある ――」
光が更に眩しくなると先程の男性の優しい声が聞こえ、次に気付いた時にはユーリに抱き留められていた
それからタルカロンを出て下町に戻って来る間、色々と考えている内に時が過ぎ祝勝会が開かれ、少しだけ祝勝会を抜けて静かな所に来て、タルカロンでの出来事を思い返しているとある事を思い出した
それは星喰みに捕まって精神を乗っ取られてしまった時の事だった
「・・・今思うと、あの時の声ってハガスミだったんだね」
シエラさんの声と一緒に聞こえた男性の声、あの時は誰だか解らなかったけど、星喰みの中から出た後、彼の声を聞き、思い返して彼の声だったのだと確信した
「・・・私、凄い人に助けられちゃったんだね」
ハガスミ、彼はアスラ達神将や式神を束ねている全式神の長だった
名前は聞いた事があったけど、実際に会うのはあの時が初めてだった
それは多分兄さんもシエラさんもだったのだろう
「今度、故郷に戻った時に会ってちゃんとお礼言わなくちゃね」
タルカロンで別れ際に笑顔を送って有り難うとは言ったけど、あの時力を分けてくれた事、そして今後の事も考えるとちゃんとお礼を言っておくべきだろうと思った
そして、シエラさんとハガスミに言われた事を思い出す
「・・・私の本当の答え、か」
それが何の事に対してなのかまだ解らない
けど、星喰みの中にいる時の事を思い出しユーリに謝らないといけないと思い、じっとユーリとフレンを見ていた
「・・・えっ?」
すると急にトクンっと心臓が脈打った
「・・今の、・・?」
が、それきり何もないと感じ、そのままユーリとフレンの所に行き、ユーリと一緒にユーリの部屋に来て話しをしていた
そしてユーリの優しさに触れ、今までの事を思い出し、ユーリに抱き締められた時、
『貴方の答えはもう心の中で出ているはずですよ』
『答えは、直ぐ其処にある ――』
シエラさんとハガスミに言われた言葉が頭を過ぎり、気付いてしまった
私が本当に好きになった人は、ユーリなんだって・・・
その途端、涙が溢れ出し頬を伝った
「なんで泣いてんだよ」
「だって、・・色々な事思い出して、・・ユーリに抱き締められてるから・・・」
「意味解んねえぞ」
「っ、ユーリ、ごめんね。ずっと助けてくれて護ってくれたのに、星喰みの中にいた時も助けに来てくれたのに、剣を向けて魔術放って怪我させちゃって・・ちゃんとお礼もごめんって言えなくて・・・。ユーリの気持ちに答えるのも・・遅くなっちゃって・・・」
言うとユーリは優しく微笑んで私を抱き締め頭を撫でてくれた
「リアが鈍感でもっと鈍い事なんてみんな知ってるぜ」
「鈍感でもっと鈍いって・・・」
「事実だろ」
「ぅ・・・」
「けど、リアにはその方が合ってるから良いんだけどな」
意地悪な顔をして言ったかと思うと今度は真剣な表情に変わった
「さっきの言葉、本気にしていいんだな」
「うん。・・・私が好きになったのは、自分の信じる正義 を貫ける、目の前にいるユーリだよ」
ニコリと微笑んで言うとユーリは優しく微笑んでくれまた優しく抱き締めてくれた
「・・・ユーリにこうされてると凄く落ち着く」
「前に言ってた意味、今なら解るんじゃないか」
「うん・・・」
今なら、解る
この安心感は大切な人に抱き締められているからだと言う事が
「リア」
「ん? っ・・!」
名前を呼ばれ顔を上げるとユーリと目が合いドキッとしてしまう
そしてユーリの手が私の頬に触れ徐々に距離が縮まっていき、ゆっくりと眼を閉じた
「んっ・・・」
眼を閉じると同時にお互いの距離が無くなり唇が重なった
「好きだ、リア。愛してる」
「私も、ユーリの事が好き。 ・・大好きだよ」
言うとお互いに微笑み合いまた口付けた
「ふ・・ぅんっ・・・」
角度を変え何度もキスを交わし最後は深いものに代わり、そのままベッドの上に倒れ、また深いキスをした
*
「戻るの面倒だな・・・」
「だーめ、せっかくみんなが祝勝会開いてくれてるんだから。それに、フレンにちょっと抜けるって言ったのユーリでしょ」
「はいはい、解りましたよ」
何度かキスを交わした後、私達は祝勝会に戻る準備を始めた
「これで大丈夫かな?」
少しだけ乱れていた髪を鏡の前で綺麗にし、出入り口の方へ向かい出す
「リア」
「? っ・・!」
ドアノブに手を掛けようとしていると急にユーリに呼ばれ振り返ったと同時にユーリの顔が目の前にあり、唇が重なっていた
「ゆ、ユーリ!///」
「なんだよ」
「なんだじゃないわよ/// ・・ほら、みんなの所に戻るんでしょ。 ・・・とりあえず、放して?」
「イヤだ」
「・・・イヤって・・ι」
身動きが取れないのはユーリがしっかりと私の腰に手を回していたからだった
「リアがもう一回キスさせてくれたら放してやるよ」
「・・・本当に・・?」
「本当だから、そう睨むなって」
「・・・一回だけだよ?///」
ユーリの返答を聞き私は呆れたように小さく息を吐き、軽いキスを交わした
「ほら、いい加減戻らないとみんなが心配するよ!///」
「だな。じゃ、行くか」
軽いキスでも恥ずかしさを感じ、赤くなった顔を見られないようにそう言ってくるりと向きを変えると、ユーリは私の反応を見て小さく笑いそのまま私の手を取り扉を開いた
扉を閉めても手を繋いだままだったのが気になってじっと見ていると、
「行くぞ」
「・・うん」
ユーリの優しい声が聞こえ顔を上げると優しく微笑んでいて、それに応えるように私もユーリの手を握り替えし、途中まで手を繋いでみんなの所へ戻って行った
続く
あとがき
いやっほーーい!O(≧▽≦)O(パスカル!?ww)
やっと、やぁーとリアちゃんがユーリに本当の気持ちを伝えられたーー!!
いつ気持ち伝えるんだよ!! と思っていた人は多いと思います
俺もいつ書こうとずっと思ってたけど、シエラちゃんとハガスミの言葉でようやくリアちゃんが自分の気持ちに気付き気持ちの整理がついてやっと本当の気持ちが言えました
良かったね! 二人共!(親バカww)
けど、リアちゃんの中ではずっとユーリは大事で大きな存在になってたんですよね、知らないうちにww
だからシエラちゃんとハガスミがああ言ったんですけどね!
でもまだ続きます(えっ)
次回が本当に最終話です!
最後の最後まで応援よろしくお願いします
2011.08.04
「久しぶりに帰って来たんだから、しっかり食べてね」
「解ったから、とりあえずその腕放せって」
「ほら、貴方達も遠慮しないで」
「有り難う御座います」
「良いんだよ、あんた達は大仕事を成功させたんだから」
「んじゃ、遠慮なく頂きますか!」
「おお、イイ飲みっぷりだね、あんた」
世界を救う大仕事を終え、私達は最初にオルニオンにいるヨーデル様達に報告に行った後、下町に戻って来た
思っていた通り、下町のみんなは私達の祝勝会と言うようにお祝いを噴水広場でやってくれた
最初は私達も呆気に取られてしまったけど、何だか荷が取れた気になり下町のみんなの心遣いに感謝して祝勝会に参加した
「相変わらずだな、みんな」
「新しい世界が来ても此処の連中は変わらずにやっていけるだろうな」
ユーリとフレンは下町のみんなとみんなに囲まれて騒いでいる仲間達を見て苦笑していた
「・・ユーリ」
が、ふと名前を呼ばれ振り返ると少しだけ浮かない顔をしているリアが立っていた
「どうした、そんな浮かない顔して」
「・・・ちょっと、話しがあるんだけど・・・今、良い?」
ユーリはいつものように軽い口調で言ってくれたけど私は表情を変えずそのままユーリを見た
「フレン、ちょっと席外すわ」
「ああ」
「ごめんね。話しが終わったら直ぐに戻って来るから」
「良いよ。足下気を付けてね」
言うとユーリは立ち上がってフレンにそう言い私もフレンに声を掛け歩き出したユーリの後を追った
124.本当に大切な
「さてと、此処なら邪魔されないな」
ユーリと一緒にやって来たのはユーリの部屋だった
話しにくい事だと思ったのかユーリは気を遣って此処まで連れて来てくれた
「立ち話もなんだし、座れよ」
「うん・・・」
そのままユーリとベッドに腰掛けた
「あーパティ、それボクのだよ!」
「早い者勝ちなのじゃ。のう、ラピード」
「ワン!」
「はぁ、バカっぽい・・・」
「ふふっ、賑やかで良いわね」
外からはみんなの賑やかな声が聞こえてくる
「「・・・・」」
けど私達はお互いに黙ったままで、外から聞こえてくるみんなの声が部屋に響きその声を聞いていた
暫く黙ったままだったが、意を決して顔を上げユーリに話し掛けた
「ユーリ、あのね」
「星喰みの中にいた時の事か」
「・・うん。あの時は色々とごめんね。迷惑掛けちゃって」
「あれはリアの所為じゃねえだろ」
「けど、自分でも覚えてる。ユーリに・・剣を向けちゃった事・・・拒絶して魔術放っちゃった事も・・・」
その事を思い出し少しだけ視線を落とす
「あの時の事、全部が全部ウソだった訳じゃない。私の本音も混ざってた・・・。ユーリやフレンの事避けてた事や、それから・・・!」
あの時の事を思い出して言葉を続けていると急にユーリが私を抱き締めた
「もう良いって言っただろ、その事は」
「でも・・」
「でもじゃねえ。リアがツラかったのはあん時に聞いたし、オレもあん時に言ったはずだぜ」
「・・・ユーリは優しすぎるよ」
「リアもだと思うけどな」
「・・・優しすぎるから・・だから・・・」
だから、好きになっちゃったんじゃない・・・
その言葉を聞いた途端、ユーリは少し目を瞠った
この答えに辿り着くのはまだ先だと思ってた
けどあの時、星喰みに心の一部に入られ内部で私も心を完全に奪われないように戦っていた
あの時、ユーリとフレンに告白された記憶に触れられその痛みと弱さにつけ込まれああなってしまっていた
アノ者ヲ避ケテイル
「っ・・・!」
アノ者ガ嫌イナノカ
「違う、嫌いじゃない」
デハ何故避ケテイル
「っ、それは・・・」
オ前ノ弱サガソウサセテイル
「・・・・」
人ノ感情トハ脆イモノダ
ソノママ苦シミ壊レ、オ前ノ力ヲ我等ニ寄コセ!
「ああっ・・・!!」
そのまま意識は遠い所に行ったような気がした
違う、嫌いな訳ない
ユーリもフレンも私にとって凄く大切な人
ツライ事も沢山あったけど、それでも二人といると楽しかったし幸せだった
『ずっと、好きだった ――』
『お前の事が好きだ ――』
二人の気持ちは凄く嬉しかった
だけど、今までの関係が崩れてしまいそうで怖かったし、自分でもこんなに混乱して二人の事を避けてしまうとは思ってもみなかった
「・・・私は・・っ・・・」
苦シイカ? 痛イカ?
オ前ノソノ弱サニ押シ潰サレ、消エテシマエ
ソシテソノ力ヲ我等ニ寄コセ!
「っ・・・!!」
『本当に彼の事が大事なのね。・・まるで私と彼のように・・・』
ふとシエラさんと精神世界で話していた時の言葉が蘇った
それはユーリがザウデから落ちて無事に助かったと知らされた時にシエラさんが言った言葉だった
そして、
「リア様!」
「! ・・・この、声・・・シエラさん?」
息苦しくなっていると急に頭の中にシエラさんの声が響いてきた
「リア様、闇に飲まれないで! 貴女を待っている人は沢山います。彼等の言葉と弱さに負けないで!」
「姫、お前はこんな所で負けるような人間じゃないはずだ」
(・・っ、だ・・れ?)
途端、別の声が頭に響いてきた
「貴女の近くには大切な人がいるでしょう」
「お前の大切な者は直ぐ傍にいる。見失うな」
「!」
シエラさんともう一人、男性の声が聞こえた途端、暗闇の中からユーリが私の名前を呼ぶ声が聞こえた
「ユー・・リ・・・っ」
そして何かに包まれた気がしていると更にユーリの声が聞こえた
「・・・そんなに拒絶するまで傷ついてたのか」
「え・・・?」
「リアからすれば確かにオレ達の言葉はちとキツかったかもな。オレ達もリアが悩んでるのは知ってた。けど、オレ達が声掛けたら余計近寄り難くなっただろ」
「・・・・」
「だからオレ達も極力近くにいなかったんだよ」
「・・・ユーリ・・・」
解ってた、ユーリもフレンも私の事を考えてそうしてくれていた事も
けどどうしていいのか解らなかったから、ずっと避けて兄さん達の近くにいて、気持ちの整理をしていた
「・・・このまま、此処にいてはダメです。貴女の事をこんなに想ってくれている人がいるんですから」
「・・・シエラさん」
「その者の言う通りだ。お前は現世へ戻るべきだ」
「・・・そうですね」
シエラさんと男性の言葉に目を閉じて笑って頷き、ユーリの声が聞こえる方に手を伸ばすと抱き締められた気がした
そして辺りから眩い光が放たれだした
「リア様」
「?」
ふいにシエラさんに呼ばれ振り返るとニコリとしてこう言った
「一つだけ、私から伝言です。貴女はまだ気付いていないかもしれないけれど、貴女の答えはもう心の中で出ているはずですよ」
「・・・答え?」
何の答えだろう? と思い首を傾げてシエラさんを見るとシエラさんはニコリと微笑んでくれ、
「答えは、直ぐ其処にある ――」
光が更に眩しくなると先程の男性の優しい声が聞こえ、次に気付いた時にはユーリに抱き留められていた
それからタルカロンを出て下町に戻って来る間、色々と考えている内に時が過ぎ祝勝会が開かれ、少しだけ祝勝会を抜けて静かな所に来て、タルカロンでの出来事を思い返しているとある事を思い出した
それは星喰みに捕まって精神を乗っ取られてしまった時の事だった
「・・・今思うと、あの時の声ってハガスミだったんだね」
シエラさんの声と一緒に聞こえた男性の声、あの時は誰だか解らなかったけど、星喰みの中から出た後、彼の声を聞き、思い返して彼の声だったのだと確信した
「・・・私、凄い人に助けられちゃったんだね」
ハガスミ、彼はアスラ達神将や式神を束ねている全式神の長だった
名前は聞いた事があったけど、実際に会うのはあの時が初めてだった
それは多分兄さんもシエラさんもだったのだろう
「今度、故郷に戻った時に会ってちゃんとお礼言わなくちゃね」
タルカロンで別れ際に笑顔を送って有り難うとは言ったけど、あの時力を分けてくれた事、そして今後の事も考えるとちゃんとお礼を言っておくべきだろうと思った
そして、シエラさんとハガスミに言われた事を思い出す
「・・・私の本当の答え、か」
それが何の事に対してなのかまだ解らない
けど、星喰みの中にいる時の事を思い出しユーリに謝らないといけないと思い、じっとユーリとフレンを見ていた
「・・・えっ?」
すると急にトクンっと心臓が脈打った
「・・今の、・・?」
が、それきり何もないと感じ、そのままユーリとフレンの所に行き、ユーリと一緒にユーリの部屋に来て話しをしていた
そしてユーリの優しさに触れ、今までの事を思い出し、ユーリに抱き締められた時、
『貴方の答えはもう心の中で出ているはずですよ』
『答えは、直ぐ其処にある ――』
シエラさんとハガスミに言われた言葉が頭を過ぎり、気付いてしまった
私が本当に好きになった人は、ユーリなんだって・・・
その途端、涙が溢れ出し頬を伝った
「なんで泣いてんだよ」
「だって、・・色々な事思い出して、・・ユーリに抱き締められてるから・・・」
「意味解んねえぞ」
「っ、ユーリ、ごめんね。ずっと助けてくれて護ってくれたのに、星喰みの中にいた時も助けに来てくれたのに、剣を向けて魔術放って怪我させちゃって・・ちゃんとお礼もごめんって言えなくて・・・。ユーリの気持ちに答えるのも・・遅くなっちゃって・・・」
言うとユーリは優しく微笑んで私を抱き締め頭を撫でてくれた
「リアが鈍感でもっと鈍い事なんてみんな知ってるぜ」
「鈍感でもっと鈍いって・・・」
「事実だろ」
「ぅ・・・」
「けど、リアにはその方が合ってるから良いんだけどな」
意地悪な顔をして言ったかと思うと今度は真剣な表情に変わった
「さっきの言葉、本気にしていいんだな」
「うん。・・・私が好きになったのは、自分の信じる
ニコリと微笑んで言うとユーリは優しく微笑んでくれまた優しく抱き締めてくれた
「・・・ユーリにこうされてると凄く落ち着く」
「前に言ってた意味、今なら解るんじゃないか」
「うん・・・」
今なら、解る
この安心感は大切な人に抱き締められているからだと言う事が
「リア」
「ん? っ・・!」
名前を呼ばれ顔を上げるとユーリと目が合いドキッとしてしまう
そしてユーリの手が私の頬に触れ徐々に距離が縮まっていき、ゆっくりと眼を閉じた
「んっ・・・」
眼を閉じると同時にお互いの距離が無くなり唇が重なった
「好きだ、リア。愛してる」
「私も、ユーリの事が好き。 ・・大好きだよ」
言うとお互いに微笑み合いまた口付けた
「ふ・・ぅんっ・・・」
角度を変え何度もキスを交わし最後は深いものに代わり、そのままベッドの上に倒れ、また深いキスをした
*
「戻るの面倒だな・・・」
「だーめ、せっかくみんなが祝勝会開いてくれてるんだから。それに、フレンにちょっと抜けるって言ったのユーリでしょ」
「はいはい、解りましたよ」
何度かキスを交わした後、私達は祝勝会に戻る準備を始めた
「これで大丈夫かな?」
少しだけ乱れていた髪を鏡の前で綺麗にし、出入り口の方へ向かい出す
「リア」
「? っ・・!」
ドアノブに手を掛けようとしていると急にユーリに呼ばれ振り返ったと同時にユーリの顔が目の前にあり、唇が重なっていた
「ゆ、ユーリ!///」
「なんだよ」
「なんだじゃないわよ/// ・・ほら、みんなの所に戻るんでしょ。 ・・・とりあえず、放して?」
「イヤだ」
「・・・イヤって・・ι」
身動きが取れないのはユーリがしっかりと私の腰に手を回していたからだった
「リアがもう一回キスさせてくれたら放してやるよ」
「・・・本当に・・?」
「本当だから、そう睨むなって」
「・・・一回だけだよ?///」
ユーリの返答を聞き私は呆れたように小さく息を吐き、軽いキスを交わした
「ほら、いい加減戻らないとみんなが心配するよ!///」
「だな。じゃ、行くか」
軽いキスでも恥ずかしさを感じ、赤くなった顔を見られないようにそう言ってくるりと向きを変えると、ユーリは私の反応を見て小さく笑いそのまま私の手を取り扉を開いた
扉を閉めても手を繋いだままだったのが気になってじっと見ていると、
「行くぞ」
「・・うん」
ユーリの優しい声が聞こえ顔を上げると優しく微笑んでいて、それに応えるように私もユーリの手を握り替えし、途中まで手を繋いでみんなの所へ戻って行った
続く
あとがき
いやっほーーい!O(≧▽≦)O(パスカル!?ww)
やっと、やぁーとリアちゃんがユーリに本当の気持ちを伝えられたーー!!
いつ気持ち伝えるんだよ!! と思っていた人は多いと思います
俺もいつ書こうとずっと思ってたけど、シエラちゃんとハガスミの言葉でようやくリアちゃんが自分の気持ちに気付き気持ちの整理がついてやっと本当の気持ちが言えました
良かったね! 二人共!(親バカww)
けど、リアちゃんの中ではずっとユーリは大事で大きな存在になってたんですよね、知らないうちにww
だからシエラちゃんとハガスミがああ言ったんですけどね!
でもまだ続きます(えっ)
次回が本当に最終話です!
最後の最後まで応援よろしくお願いします
2011.08.04