星喰み編
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翌朝、私達は魔導器のオブジェが飾ってある前に集まった
この街は最初に来た頃と比べると立派な街になったから名前を付ける事になり、雪解けの光、という意味の『オルニオン』となった
街の名前が決まると同時にフレンとヨーデル様達が私達の所やって来た
「オルニオン・・・言い名前ですね」
「殿下のお墨付きだ。決まりだな」
「そうそう、こっちも出来てるわよ」
言うとリタは明星一号を取り出した
「明星一号じゃな?」
「・・・これ、ヨーデルの剣、ですね」
エステルはユーリの持っている剣を見てそう呟き、私達は少しだけ目を瞠って剣とヨーデル様を見て、カロルは驚いて声を上げた
「ええ!? そんなの使っちゃっていいの?」
「構造といい、大きさといい、丁度良かったのよ。これレアメタル製だしね」
「レアメタル・・・確か、非常に高い硬度が特徴の希少金属、ですね」
「皆さんが議論してるのを聞いて、この剣の事を思い出したんです。どうせ私は剣はからきしですし、お役に立つなら本望ですよ」
「でもなんかも別物って感じよ」
「剣としても悪くないな」
「それじゃ、一号改め、明星二号だね♪」
「もう、何でも良いわよ・・・」
リタから渡された明星二号を軽く振り、ユーリは自分の手に合ったのかそう言い、カロルの言葉にリタは呆れたような諦めたように言い、その様子を見て私は小さく笑った
「いよいよだね」
「ああ、今度こそ本当の本当に最後の決戦だ」
「魔導器ネットワークの構築は我々に任せてくれ」
「・・・いえ、隊長も彼等と共に行って下さい」
「ソディア!?」
ソディアさんの言葉に驚いたのはフレンだけじゃなく私達もだった
「何があるか解りません。彼等には隊長の助けがいるはずです」
「騎士団は魔導器の事で人々を説得する任務もあるんだぞ」
「分っています。人々の協力なくして成功しない。肝に銘じています」
「大丈夫です。僕だっているんですから」
フレンはヨーデル様に視線を向けるとヨーデル様もソディアさんとウィチル君の言葉に同意するように頷いた
「・・・分った。ただしソディア、ウィチル、例え別々に行動していても僕達は仲間だ。それだけは忘れないでくれ」
「・・・はい!」「はい!」
フレンはユーリへ視線を向け頷き、ユーリも同じように頷き私も兄さんも微笑んで頷いた
「魔導器と精霊の件は、私達指導者は納得し、その後の方策を話し合いましたが全ての人々がこの変化を受け入れるのには時間が掛かると思います」
「そうですね・・・。戸惑う人は大勢いるでしょう」
「ですが、受け入れなければ新しい世界を生きていく事は出来ません」
「ああ。その通りだ」
「まずは此処にいる人達から話してみます。ただの野原から、このオルニオンという素晴らしい街を生み出した彼等なら・・・」
「ええ。きっと受け入れてくれるでしょう」
「頼むぜ、オレが言ったって誰も聞きゃしないからな」
「そんなことないです」
「エステリーゼ、それに皆さんも気を付けて」
エステルも私も兄さんもそしてフレンも頷き、ユーリはそれを見て歩き出し私達もその後に続いた
「みんな、忙しい所すまない! ほんの一時、手を止め、ヨーデル殿下の話を聞いて欲しい」
「皆さん、今から大事な話をさせてもらいます。これは帝国にもギルドにも、この世界で生きる全ての人に関係ある事なんです・・・」
街の入り口まで来て少しだけヨーデル様達の様子を伺っていると、ヨーデル様とソディアさんの周りに街にいた人達が集まり、全員揃ったのを確認するとヨーデル様は話を始めた
「大丈夫かしら」
「あいつ等はオレ達を信じて送り出した。オレ達も信じようぜ」
「うん、そうだね」
「さぁ、オレ達はオレ達の仕事をこなさなきゃな。カロル、締めろ」
「うん」
ユーリの言葉にカロルは頷き、私達は全員カロルに向き合った
「みんな! 絶対成功させるよ! 凛々の明星、出発!」
「おう」「「ええ」」「「ああ」」「はい!」「ほいさ」「「了解」」「のじゃ」「ワン!」
カロルの言葉に私達は一斉に頷いて返事を返し、タルカロンを目指す為にフィエルティア号へ向かった
115.古代の塔へ
タルカロンに向けてフィエルティア号に乗り込み、みんな色々と話しをしていた
これからの戦いの事、今後の事、
確かに相手は一筋縄でいく相手じゃないデューク、そしてタルカロンの中もどうなっているかまだ解らない状態だから気を引き締めると言う意味でも話し合っているのだろう
各言う私はみんなから離れた所でじっと空を見つめていた
それはやっぱり昨日の事が遭ったからかユーリとフレンの近くにいる事が出来なかったからだった
今の所みんなに変に思われないように接してはいるけど、それも何処まで持つのか正直解らない・・・
「・・・はぁ」
(リア様、大丈夫ですか?)
「・・・シエラさん」
思わず出てしまった溜息、そしてその直後シエラさんの声が聞こえ私は小声でシエラさんの名前を呼んだ
(随分と重い溜息でしたけど、何か遭ったんですか?)
(・・・シエラさん、見てたんじゃないんですか?)
シエラさんの言葉に少し疑問を持ってそう尋ねると微笑して答えた
(私もずっと貴女にリンクしてる訳じゃないから。けど、・・凄く心が震えています)
精神世界と心にリンクしているのだから、シエラさんにはその事が伝わったのだろう
私が悩んでいる事に関してはまだ知らないみたいだけど、それでも凄く心配してくれているのが解った
(・・・シエラさん、シエラさんにとって凄く大切な人っていますか?)
(え?)
私の言葉を聞きシエラさんは驚いた顔をした後少し考えて話した
(・・・そうですね。リア様やセイ様、ユーリさんとフレンさんみたいに凄く親しみがあった人達はいました)
(いました・・・? 過去形?)
何処か遠くを見つめて言うシエラさんとその言葉に疑問を持っているとシエラさんは小さく微笑んだ
(・・・リア様が悩んでいる事、それはユーリさんとフレンさんの事ですか?)
(っ!!)
そう言われた途端また昨日の事を思い出してしまい顔が熱くなった
(その反応だと当りみたいですね)
(・・・私、どうしたら良いか解らないんです。二人の事はずっと大事に思ってたし、大切な親友で幼馴染み、それを踏まえた上で異性として見てる所もあった・・・。だけど、)
(リア様・・・)
その先の言葉が解ったのかシエラさんは少しだけ表情を曇らせた
(・・・これからの事を考えると、その事は考えちゃダメだって解ってるんです。ユーリとフレンも一緒に戦ってくれるのも凄く心強い。だけど、・・近くにいると思い出しちゃって余計近くにいる事が出来なくなって来てるんです・・・)
ユーリとフレンの事は確かに好き
だけどそれは親友として幼馴染みとしての好きという形
二人が私に寄せている好きという感情とは違う
極力兄さんとアスラ、エステル達の近くにいるようにしているけど、そのうち二人を避けてると言う事にみんなも気付いてしまうだろう
ずっと旅をして来た仲間だからそういう行動が変だと言う事に気付くのも時間の問題
(だから今皆さんと離れて一人で考えていたんですね)
シエラさんの言葉に頷くとまた胸が苦しくなった
「見えてきた!」
カロルの声が聞こえ顔を上げ前を見ると、タルカロンの塔がかなり上空に浮上しているのが見えた
「・・・近くで見ると凄く大きい」
「こんなにデカい所ならお宝も沢山ありそうなのじゃ」
「お宝って、あんた・・・ι」
(デューク・・・)
(・・・・)
カロルの達の声を耳にしていると何処か切なげなシエラさんの声が聞こえ、私は思っていた事を聞いてみた
(シエラさん、シエラさんはもしかして・・・)
(・・・青い砂 暁の星に眠る)
(え?)
(この言葉をタルカロンの塔のある場所で唱えて下さい。・・その時には、必ず・・・)
突然呪文のような言葉を言われ首を傾げるとシエラさんは真剣な表情をして告げ気配を消した
「・・・・」
シエラさんから告げられた言葉を気にしながら、目の前に見えるタルカロンを見ていた
「はえ~」
タルカロンに到着した私達は足場のある所に船をつけ、そして少し広くなっている所に降りて辺りを見渡した
「すげぇ、でかさだな」
「まさに天まで届けって感じだね」
「こんなのがアスピオの側に眠ってたなんて、色んな意味でショックだわ」
「あの周りに展開してるのが、生命力を吸収する術式だろうか」
フレンの言う方を見ればこのタルカロンを覆っているように描かれた術式があった
「・・・そうみたいね。まずいわ、結構早く組み上がってきてる」
「あまり時間は残されてないってか」
「良い事なのじゃ。時間が差し迫った方が人はやる気になるものじゃ」
「それはそうかもしれないけど、ボク等もやばいんじゃないの?」
「確かに全ての人間という事なら影響があっても可笑しくないけれど」
「それは心配ないよ」
「精霊の力が・・・わたし達を包んでくれています」
エステルが私達の前に出るとエステルの身体から青い光が放たれた
けどそれはアスラやエステルの言う通り精霊達の力が私達に影響を受けないように包んでくれていた
「あの術式の力より精霊の力が勝っている間は大丈夫なようね」
「その間に、てっぺんまで走って昇るのじゃ」
「星喰み倒す前に、体力使い切ってどうするんだよ」
「バウルに乗ってビューって天辺に行く訳にいかないの?」
「バウルに影響がないとしても私達が耐えられ無いと思うわ」
「あんた、塔登るのが嫌なんでしょ」
「あったりめえよ、俺様を誰だと思ってんの」
「おっさんには悪いが歩きで登るしかねぇな」
「とほほ・・・」
「気を引き締めていこう」
「ああ、何が待ってるかわからねぇ。油断するなよ」
「うん」
私達は唯一の入り口と思われる目の前にある入り口へと向かった
中に入るとかなりの広さがあり、何処までも続く階段が幾つもあり、辺りには幾つもの魔刻が術式に覆われていて、更に中央にはザウデで見たものより遥かに巨大な魔刻があった
「うわぁ・・・」
「すげえな、これが全部、今まで土の下に埋まってたってのかよ」
「アスピオ周辺で多くの魔導器が発掘されたのも、此処があったからなのかもしれないな」
「古代ゲライオス文明・・・本に書いてあったものよりずっと凄いです」
「なんだか変な感じね。星喰みに使うってくらいだから、これは兵器なんだろうけど、外からの眺めは都市みたいだった。都市を改造して兵器にしたのかな」
「星喰みと対等に戦うには、こんな大きな街を犠牲にしなくてはならなかったのかの」
「これだけの規模ならさぞ大勢の人が暮らしていた事でしょうね」
「それが今じゃ、たった一人の男が全人類滅ぼす為に立て籠もってるだけってか」
「デュークか・・・出来ればやり合いたくないねえ。やっこさん、人魔戦争の時、既に大した英雄だった。今となっちゃどれほどの力を身に付けてる事やら」
「なぁに。デュークとケンカする前に星喰みを倒しちまえば良いんだよ」
「そうすればデュークだって人間を犠牲にする理由はなくなるもんね」
「そうだと良いけどねえ・・・」
そう言うものの、やっぱりレイヴンは浮かない顔をしている
確かにデュークとは戦った事がないし、そんな話を聞けば戦いたくないというのは解る
でもデュークの纏っているあの不思議な空気からして、彼が強いというのも解る
私も出来れば戦いたくはないけど、戦う事になるんだろうな・・・
「リア、大丈夫?」
「え?」
「ずっと浮かない顔してるぞ」
此処に来てから殆ど会話に参加していない私を見てアスラと兄さんが声を掛けた
「大丈夫。私も気を引き締めなくちゃって思ってただけだから」
「なら良いけど、あんま無理すんなよ。お前の事になると気にする奴が二人いるんだからな」
「ぁ、・・うん」
言うと兄さんは軽く私の頭を撫でてユーリ達の後を追うように歩き出し、私も一呼吸置いて後を追った
続く
あとがき
タルカロン突入~
けどまだ色々と謎になってる事が多い
またタルカロンの所長くなる・・かな?(疑問系ww)
2011.07.20
この街は最初に来た頃と比べると立派な街になったから名前を付ける事になり、雪解けの光、という意味の『オルニオン』となった
街の名前が決まると同時にフレンとヨーデル様達が私達の所やって来た
「オルニオン・・・言い名前ですね」
「殿下のお墨付きだ。決まりだな」
「そうそう、こっちも出来てるわよ」
言うとリタは明星一号を取り出した
「明星一号じゃな?」
「・・・これ、ヨーデルの剣、ですね」
エステルはユーリの持っている剣を見てそう呟き、私達は少しだけ目を瞠って剣とヨーデル様を見て、カロルは驚いて声を上げた
「ええ!? そんなの使っちゃっていいの?」
「構造といい、大きさといい、丁度良かったのよ。これレアメタル製だしね」
「レアメタル・・・確か、非常に高い硬度が特徴の希少金属、ですね」
「皆さんが議論してるのを聞いて、この剣の事を思い出したんです。どうせ私は剣はからきしですし、お役に立つなら本望ですよ」
「でもなんかも別物って感じよ」
「剣としても悪くないな」
「それじゃ、一号改め、明星二号だね♪」
「もう、何でも良いわよ・・・」
リタから渡された明星二号を軽く振り、ユーリは自分の手に合ったのかそう言い、カロルの言葉にリタは呆れたような諦めたように言い、その様子を見て私は小さく笑った
「いよいよだね」
「ああ、今度こそ本当の本当に最後の決戦だ」
「魔導器ネットワークの構築は我々に任せてくれ」
「・・・いえ、隊長も彼等と共に行って下さい」
「ソディア!?」
ソディアさんの言葉に驚いたのはフレンだけじゃなく私達もだった
「何があるか解りません。彼等には隊長の助けがいるはずです」
「騎士団は魔導器の事で人々を説得する任務もあるんだぞ」
「分っています。人々の協力なくして成功しない。肝に銘じています」
「大丈夫です。僕だっているんですから」
フレンはヨーデル様に視線を向けるとヨーデル様もソディアさんとウィチル君の言葉に同意するように頷いた
「・・・分った。ただしソディア、ウィチル、例え別々に行動していても僕達は仲間だ。それだけは忘れないでくれ」
「・・・はい!」「はい!」
フレンはユーリへ視線を向け頷き、ユーリも同じように頷き私も兄さんも微笑んで頷いた
「魔導器と精霊の件は、私達指導者は納得し、その後の方策を話し合いましたが全ての人々がこの変化を受け入れるのには時間が掛かると思います」
「そうですね・・・。戸惑う人は大勢いるでしょう」
「ですが、受け入れなければ新しい世界を生きていく事は出来ません」
「ああ。その通りだ」
「まずは此処にいる人達から話してみます。ただの野原から、このオルニオンという素晴らしい街を生み出した彼等なら・・・」
「ええ。きっと受け入れてくれるでしょう」
「頼むぜ、オレが言ったって誰も聞きゃしないからな」
「そんなことないです」
「エステリーゼ、それに皆さんも気を付けて」
エステルも私も兄さんもそしてフレンも頷き、ユーリはそれを見て歩き出し私達もその後に続いた
「みんな、忙しい所すまない! ほんの一時、手を止め、ヨーデル殿下の話を聞いて欲しい」
「皆さん、今から大事な話をさせてもらいます。これは帝国にもギルドにも、この世界で生きる全ての人に関係ある事なんです・・・」
街の入り口まで来て少しだけヨーデル様達の様子を伺っていると、ヨーデル様とソディアさんの周りに街にいた人達が集まり、全員揃ったのを確認するとヨーデル様は話を始めた
「大丈夫かしら」
「あいつ等はオレ達を信じて送り出した。オレ達も信じようぜ」
「うん、そうだね」
「さぁ、オレ達はオレ達の仕事をこなさなきゃな。カロル、締めろ」
「うん」
ユーリの言葉にカロルは頷き、私達は全員カロルに向き合った
「みんな! 絶対成功させるよ! 凛々の明星、出発!」
「おう」「「ええ」」「「ああ」」「はい!」「ほいさ」「「了解」」「のじゃ」「ワン!」
カロルの言葉に私達は一斉に頷いて返事を返し、タルカロンを目指す為にフィエルティア号へ向かった
115.古代の塔へ
タルカロンに向けてフィエルティア号に乗り込み、みんな色々と話しをしていた
これからの戦いの事、今後の事、
確かに相手は一筋縄でいく相手じゃないデューク、そしてタルカロンの中もどうなっているかまだ解らない状態だから気を引き締めると言う意味でも話し合っているのだろう
各言う私はみんなから離れた所でじっと空を見つめていた
それはやっぱり昨日の事が遭ったからかユーリとフレンの近くにいる事が出来なかったからだった
今の所みんなに変に思われないように接してはいるけど、それも何処まで持つのか正直解らない・・・
「・・・はぁ」
(リア様、大丈夫ですか?)
「・・・シエラさん」
思わず出てしまった溜息、そしてその直後シエラさんの声が聞こえ私は小声でシエラさんの名前を呼んだ
(随分と重い溜息でしたけど、何か遭ったんですか?)
(・・・シエラさん、見てたんじゃないんですか?)
シエラさんの言葉に少し疑問を持ってそう尋ねると微笑して答えた
(私もずっと貴女にリンクしてる訳じゃないから。けど、・・凄く心が震えています)
精神世界と心にリンクしているのだから、シエラさんにはその事が伝わったのだろう
私が悩んでいる事に関してはまだ知らないみたいだけど、それでも凄く心配してくれているのが解った
(・・・シエラさん、シエラさんにとって凄く大切な人っていますか?)
(え?)
私の言葉を聞きシエラさんは驚いた顔をした後少し考えて話した
(・・・そうですね。リア様やセイ様、ユーリさんとフレンさんみたいに凄く親しみがあった人達はいました)
(いました・・・? 過去形?)
何処か遠くを見つめて言うシエラさんとその言葉に疑問を持っているとシエラさんは小さく微笑んだ
(・・・リア様が悩んでいる事、それはユーリさんとフレンさんの事ですか?)
(っ!!)
そう言われた途端また昨日の事を思い出してしまい顔が熱くなった
(その反応だと当りみたいですね)
(・・・私、どうしたら良いか解らないんです。二人の事はずっと大事に思ってたし、大切な親友で幼馴染み、それを踏まえた上で異性として見てる所もあった・・・。だけど、)
(リア様・・・)
その先の言葉が解ったのかシエラさんは少しだけ表情を曇らせた
(・・・これからの事を考えると、その事は考えちゃダメだって解ってるんです。ユーリとフレンも一緒に戦ってくれるのも凄く心強い。だけど、・・近くにいると思い出しちゃって余計近くにいる事が出来なくなって来てるんです・・・)
ユーリとフレンの事は確かに好き
だけどそれは親友として幼馴染みとしての好きという形
二人が私に寄せている好きという感情とは違う
極力兄さんとアスラ、エステル達の近くにいるようにしているけど、そのうち二人を避けてると言う事にみんなも気付いてしまうだろう
ずっと旅をして来た仲間だからそういう行動が変だと言う事に気付くのも時間の問題
(だから今皆さんと離れて一人で考えていたんですね)
シエラさんの言葉に頷くとまた胸が苦しくなった
「見えてきた!」
カロルの声が聞こえ顔を上げ前を見ると、タルカロンの塔がかなり上空に浮上しているのが見えた
「・・・近くで見ると凄く大きい」
「こんなにデカい所ならお宝も沢山ありそうなのじゃ」
「お宝って、あんた・・・ι」
(デューク・・・)
(・・・・)
カロルの達の声を耳にしていると何処か切なげなシエラさんの声が聞こえ、私は思っていた事を聞いてみた
(シエラさん、シエラさんはもしかして・・・)
(・・・青い砂 暁の星に眠る)
(え?)
(この言葉をタルカロンの塔のある場所で唱えて下さい。・・その時には、必ず・・・)
突然呪文のような言葉を言われ首を傾げるとシエラさんは真剣な表情をして告げ気配を消した
「・・・・」
シエラさんから告げられた言葉を気にしながら、目の前に見えるタルカロンを見ていた
「はえ~」
タルカロンに到着した私達は足場のある所に船をつけ、そして少し広くなっている所に降りて辺りを見渡した
「すげぇ、でかさだな」
「まさに天まで届けって感じだね」
「こんなのがアスピオの側に眠ってたなんて、色んな意味でショックだわ」
「あの周りに展開してるのが、生命力を吸収する術式だろうか」
フレンの言う方を見ればこのタルカロンを覆っているように描かれた術式があった
「・・・そうみたいね。まずいわ、結構早く組み上がってきてる」
「あまり時間は残されてないってか」
「良い事なのじゃ。時間が差し迫った方が人はやる気になるものじゃ」
「それはそうかもしれないけど、ボク等もやばいんじゃないの?」
「確かに全ての人間という事なら影響があっても可笑しくないけれど」
「それは心配ないよ」
「精霊の力が・・・わたし達を包んでくれています」
エステルが私達の前に出るとエステルの身体から青い光が放たれた
けどそれはアスラやエステルの言う通り精霊達の力が私達に影響を受けないように包んでくれていた
「あの術式の力より精霊の力が勝っている間は大丈夫なようね」
「その間に、てっぺんまで走って昇るのじゃ」
「星喰み倒す前に、体力使い切ってどうするんだよ」
「バウルに乗ってビューって天辺に行く訳にいかないの?」
「バウルに影響がないとしても私達が耐えられ無いと思うわ」
「あんた、塔登るのが嫌なんでしょ」
「あったりめえよ、俺様を誰だと思ってんの」
「おっさんには悪いが歩きで登るしかねぇな」
「とほほ・・・」
「気を引き締めていこう」
「ああ、何が待ってるかわからねぇ。油断するなよ」
「うん」
私達は唯一の入り口と思われる目の前にある入り口へと向かった
中に入るとかなりの広さがあり、何処までも続く階段が幾つもあり、辺りには幾つもの魔刻が術式に覆われていて、更に中央にはザウデで見たものより遥かに巨大な魔刻があった
「うわぁ・・・」
「すげえな、これが全部、今まで土の下に埋まってたってのかよ」
「アスピオ周辺で多くの魔導器が発掘されたのも、此処があったからなのかもしれないな」
「古代ゲライオス文明・・・本に書いてあったものよりずっと凄いです」
「なんだか変な感じね。星喰みに使うってくらいだから、これは兵器なんだろうけど、外からの眺めは都市みたいだった。都市を改造して兵器にしたのかな」
「星喰みと対等に戦うには、こんな大きな街を犠牲にしなくてはならなかったのかの」
「これだけの規模ならさぞ大勢の人が暮らしていた事でしょうね」
「それが今じゃ、たった一人の男が全人類滅ぼす為に立て籠もってるだけってか」
「デュークか・・・出来ればやり合いたくないねえ。やっこさん、人魔戦争の時、既に大した英雄だった。今となっちゃどれほどの力を身に付けてる事やら」
「なぁに。デュークとケンカする前に星喰みを倒しちまえば良いんだよ」
「そうすればデュークだって人間を犠牲にする理由はなくなるもんね」
「そうだと良いけどねえ・・・」
そう言うものの、やっぱりレイヴンは浮かない顔をしている
確かにデュークとは戦った事がないし、そんな話を聞けば戦いたくないというのは解る
でもデュークの纏っているあの不思議な空気からして、彼が強いというのも解る
私も出来れば戦いたくはないけど、戦う事になるんだろうな・・・
「リア、大丈夫?」
「え?」
「ずっと浮かない顔してるぞ」
此処に来てから殆ど会話に参加していない私を見てアスラと兄さんが声を掛けた
「大丈夫。私も気を引き締めなくちゃって思ってただけだから」
「なら良いけど、あんま無理すんなよ。お前の事になると気にする奴が二人いるんだからな」
「ぁ、・・うん」
言うと兄さんは軽く私の頭を撫でてユーリ達の後を追うように歩き出し、私も一呼吸置いて後を追った
続く
あとがき
タルカロン突入~
けどまだ色々と謎になってる事が多い
またタルカロンの所長くなる・・かな?(疑問系ww)
2011.07.20