水道魔導器奪還編
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リタを新しく同行に加え、私達はアスピオからハルルに向けて歩き出した
「帝都を出た時はオレとエステルとラピード、リアとアスラだけだったのにな」
「今はカロルとリタも一緒だしね」
「はい、旅の仲間が増えるとなんだか嬉しいです」
「ボクはなんだか、このメンバーに不安を感じるけど」
「あたしはあんたに不安を感じるけど」
「あんまカロル先生をいじめんなよ」
「それ、ユーリが言う?」
「まあまあ、旅は道連れって言うでしょ」
「です。仲良く旅をしましょうね、リタ」
「え、ああ・・・そ、そうね」
言うとエステルはリタの隣に並んで嬉しそうな顔をして歩いて行った
「エステル、楽しそうだね」
「同年代で同姓の友達、だからね」
「リアも嬉しそうな顔してるよ?」
「同姓の子が増えたしね。それにまた妹が増えたみたいで嬉しいの」
「妹って・・・リタとエステルの事?」
「ま、オレとリアからしてみれば妹みたいなもんだよな」
「じゃ、カロルは弟だね」
「え! ボクも入るの?」
「不満か?」
「あ、いや、そう言う訳じゃないけど・・・そうなると色々と大変だなって思って」
「あー成る程ね」
「「?」」
カロルの言葉の意味を理解したアスラは同意するように言うが、ユーリとリアは解らず疑問符を出していた
11.存在しないモノ
ハルルに戻って来た私達は美しく咲き誇るハルルの樹を見た
やっぱり綺麗だ、と思っているとリタが思わずげ、と声を洩らした
「・・・何これ、もう満開の季節だっけ?」
「へへ~ん、だから言ったじゃん。ボク等で蘇らせたって」
カロルが得意げに言うとリタはカロルに近付きチョップを一発入れるとリタはそのままハルルの樹の元へ走って行った
「おお、皆さんお戻りですか。騎士様の仰った通りだ」
その様子を見ていると何処からか聞き覚えのあるような声が聞こえ声の主を探すと、ハルルの街の村長さんだった
「あの・・・フレンは?」
「残念でしたな、入れ違いでして・・・」
「また・・か」
その言葉にエステルは溜め息を吐かざるを得ない
もうこれで何回目の空振りなのだろうか
流石のユーリも溜息を漏らした
「結界が直っている事には大変驚かれていましたよ」
「あの・・・何処に向かったか解りませんか」
「いえ・・・ただ、もしもの時はと手紙をお預かりしています」
村長さんはユーリに一通の白い封筒を差し出し少し乱暴に封を開け、二枚入っている紙のうち一枚を取り出し広げてみる
だが、それには此処にいた誰もが驚くモノが入っていた
「え? こ、これ手配書!? な、なんで?」
「・・・ていうか、これ、ユーリ?」
「うっわ、似てな~いι」
その手配書はどう見ても幼い子供が描いたと思われる程の・・・もしくはそれ以上に酷い絵でユーリの似顔絵らしきものが描かれていた
ついでに言うと、『五千ガルド』という数字もいい加減さだった
ていうか、これ、ホントに手配書ですかι
私が知ってる手配書ってもうちょっと、いや、かなり解りやすいものだった気がするんだけど・・・ι
と思っているとユーリは悪気のなさで言った
「ちょっと悪さが過ぎたかな」
いや、少し呆れてる?
「い、一体どんな悪行重ねて来たんだよ!」
「これって・・・わたしの所為・・・」
エステルが少し暗い顔をするがユーリは小さく溜息を吐き、手配書に書かれているガルドを見た
「こりゃないだろ。たった五千ガルドって」
「ユーリ、そういう問題じゃないと思うんだけど・・・ι」
「脱獄にしては高すぎだよ! 他にもなんかしたんじゃない?」
「まあ、オレ色々やってるからな」
「確かに色々とやってるね、ユーリは」
「え? マジι」
「うん・・・ι」
ユーリと一番付き合いが長い私とアスラは思い当たる節が多いからそれは一番実感している
だから余計フレンが苦労するのも解る気がした・・・
そんな事を思っているとユーリはもう一枚の手紙をエステルに渡し私もその手紙を見た
そこにはフレンらしい字でこう書いてあった
『僕はノール港に行く。早く追いついて来い。暗殺者には気を付けろ』
どう見てもこれはユーリ宛だと一目で分かった
その懐かしい文字と文章につい微笑んでしまった
「ったく、余裕だな」
「フレンらしいじゃない」
「やっぱり狙われてるの知ってたんだね」
「なんか、しっかりした人だね」
「身の危険ってやつには気付いてるみたいだけど、この先どうする?」
「そうですね・・・」
フレンがこの事を知っているのなら、エステルの旅の目的はなくなる
だが、せっかく手に入れた自由を此処で捨てても良いのかと思うが、ユーリやフレンを狙っているあの男達はかなりの手練れ、このまま着いてくれば身の危険は更に増すだろう
それでも決めるのはエステル自身
他人が口出しをする事ではない
少し考える時間を与えるべきだろうと思っているとユーリも同じ事を思ったらしく、エステルに声を掛けるとそのままリタが向かって行ったハルルの樹の方へ向かい出した
「あ、ユーリ待って。私も行く」
私はカロルとエステルに声を掛けるとユーリの後を追った
相変わらずハルルの樹は綺麗に咲き誇り、街の象徴となっていた
歩く度に花びらが舞い上がり幻想感を漂わせ、自然と笑みが零れてしまう
そして一番花びらの量が凄い場所にリタはボーっと立ち尽くしていた
「・・・何よ、これ。こんなのあり得ない・・・。満開の季節でもないのに花がこんなに咲いて・・・。結界もずっと安定してる。ホントに、エステリーゼがやったの?」
リタは私達が来た事を察し、振り返らずに聞いた
「なんで、エステルなんだよ」
「アスピオを出る前にカロルが口滑らしたでしょ? あんたがはぐらかしたけど」
「ばれてりゃ世話無いな」
ユーリは小さく溜息を吐き、その場に座ったので私もユーリの隣に座った
「こんな真似されたら、あたしら魔導士は形無しよ」
「商売敵はさっさと消すんだな。その為に着いて来てるんだろ?」
そう言うとリタは急に語気を荒げ反論した
「そんな訳ないでしょ!? あたしには解かなきゃならない公式が・・・!」
「公式がどうしたって?」
「・・・なんでもない、忘れて」
「・・・」
ユーリがそう言うとリタは意気消沈し俯いた
リタがいう公式とはおそらくリタの小屋に行った時に見たあの公式だろう
私も専門じゃないけど、あの公式は何処かで見覚えがあった
何処かははっきりと覚えてはいないけど・・・
でも、エステルが治癒術を使う時に出る円陣、そしてリタの小屋であの公式を見た時、何かが繋がったような気がした
それを思ったのは多分私だけじゃないはず
多分アスラもユーリも何かに気が付いているだろう
だからリタは一緒に着いて来たんじゃないかと私は思った
「で、あんた達の用件は何? その為に来たんでしょ?」
「ま、半分くらいは今ので済んだ」
「なら、もう半分は?」
「前にお前言ったよな、魔導器は自分を裏切らないから楽だって」
「言ったわね、それが?」
ユーリは隣にいた私を見ると急に肩を抱き自分の方に引き寄せた
「ぇ、えっと/// ・・・ユーリ?」
「リアもエステルもお前も人間だ。魔導器じゃない」
突然の事に少し動揺しているとリタもユーリの行動に驚いていたが何か納得したように頷いた
「・・・ああ、そういう事。その子やあの子が心配なんだ。あたしが傷付けるんじゃないかって」
「リアもエステルもオレやお前と違って正直者みたいだからな。無茶だけはしないでくれって話だ。オレが聞きたかったのはこれで終わりだ」
ユーリの言葉を聞きリタは小声で何か言っていたがユーリは気にした様子もなく、立ち上がって私を立たせてくれた
「で、次はあんた?」
「うん。私とアスラの事だけど・・・」
それを聞くと隣にいたユーリの表情が少し硬くなった気がした
「リタ、初めて会った時アスラの事『式神』って言おうとしたよね」
「・・・ええ。あんたに遮られたけどね」
「じゃあ私の事も知ってるんでしょ」
そう言うとこの華やかな場所に少し重い空気が流れた
「・・・あの時も言ったけど、まだ実在してるなんて思ってもみなかったけどね」
そう、あの時からリタは私が『言霊使い』でアスラが『式神』だと言う事に気が付いていた
今は存在するはずのない『言霊使い』
特殊な力を操り使う事が出来、『式神』を使う事が出来る存在
それが私達『言霊使い』
本などにも載っているがそれは本の中の人物としか思われないが、一部の者達は実在している事を知っている
学者や魔導士、王族や帝国軍上層部など一部の人間は存在は知ってはいるものの実在している事までは知らない
存在を知っていてもその名を口にするのは禁忌だと言われている
あまりにも強大な力を持っている為そう言われている
・・・まぁ、他にも色々と云われはあるけれど
「それだけ解ってたら良いかな」
「何よ、聞きたかったのってそれだけ?」
「今は、ね・・・」
私はそう言って空を見つめた
ユーリとリタはその言葉の先を待ったが私がそのまま空を眺めていると今まで黙って異を見ていたアスラが口を開いた
「解ってると思うけど、ボク等の存在って表に出しちゃいけないから黙っておいてね」
「・・・解ってるわよ」
リタはそう言って先に歩いて行くとその後にアスラも続いた
「良かったのか、話して」
リタが立ち去ったのを見るとユーリは座りながら心配そうな顔をして私を見た
「うん。変に聞かれるより自分で言った方が良いと思ってね」
私ももう一度ユーリの隣に座った
「それに、ユーリも気付いてたからさっきリタにああ言ってくれたんでしょ?」
「ん? あー、まぁな」
私はユーリの反応が可愛くてくすくすと笑っていると、ユーリは拗ねた顔をしていた
「何で笑ってんだよ」
「ユーリの反応が可愛くて」
「男に可愛いって言うか」
「だって・・・、きゃっ!」
ユーリの表情と言葉を思い出して笑っていると、ユーリは私の腕を引いて肩を抱いた
「・・・普通は男が女に言うセリフ、だろ?」
「ユ、ユーリ・・・あ、あの、顔近・・・っ///」
顔を上げると後数センチでお互いの距離が縮まる程、ユーリの顔が近くにあった
それに顔を赤くしていると、ユーリの手が私の頬に触れた
「・・・可愛いぞ、リア」
「っ~~~~/////」
ユーリは口角を上げて笑い、私は更に顔を赤くした
「ぷっ、はははっ」
ユーリは私の反応を見ると急に笑い出した
「顔、真っ赤だぞ」
「ゆ、ユーリの所為でしょ///」
私の反応を見てユーリは更に笑う
おまけに目に涙まで溜ってるし・・・
「・・・もう///」
一瞬でもドキッとしてしまった自分に更に恥ずかしさを感じて私は歩き出した
「・・・ああいうとこは昔から変わんねえな」
ユーリは小さく笑って先に歩いて行ったリアの背中を見つめた
「・・・これでちっとは気付いてくれるとありがたいんだけどな」
「? ユーリ、何か言った?」
「いーや、なんにも」
「そう?」
ふと言葉が聞こえたのかリアは立ち止まって首を傾げユーリを見たが、ユーリの言葉を聞き踵を返してまた歩き出した
「はぁ・・、こりゃまだまだ時間かかりそうだな・・・」
ユーリはリアの反応を見て大きな溜息を吐き、ゆっくりと歩き出した
続く
あとがき
最後が甘くなった!?
箱版とは違う形にしようとしたら何故かこうなってしまった!?
あれか、さっき休憩中(昼飯食ってる時)に某乙女ゲーのアニメの再放送録画してたやつ見たからか!?(TOVメンバーの中の人、出てないけどι)
この辺からリアちゃんがときめき始めかな? と思ってます(笑)
そして冒頭はまたスキットから話しを持って来ました
ユーリとリアちゃんからしたら本当にエステル達は妹弟ですよね
さ、次は何処まで進むかな?
書けるとこまで頑張ります
では!
2009.10.10
「帝都を出た時はオレとエステルとラピード、リアとアスラだけだったのにな」
「今はカロルとリタも一緒だしね」
「はい、旅の仲間が増えるとなんだか嬉しいです」
「ボクはなんだか、このメンバーに不安を感じるけど」
「あたしはあんたに不安を感じるけど」
「あんまカロル先生をいじめんなよ」
「それ、ユーリが言う?」
「まあまあ、旅は道連れって言うでしょ」
「です。仲良く旅をしましょうね、リタ」
「え、ああ・・・そ、そうね」
言うとエステルはリタの隣に並んで嬉しそうな顔をして歩いて行った
「エステル、楽しそうだね」
「同年代で同姓の友達、だからね」
「リアも嬉しそうな顔してるよ?」
「同姓の子が増えたしね。それにまた妹が増えたみたいで嬉しいの」
「妹って・・・リタとエステルの事?」
「ま、オレとリアからしてみれば妹みたいなもんだよな」
「じゃ、カロルは弟だね」
「え! ボクも入るの?」
「不満か?」
「あ、いや、そう言う訳じゃないけど・・・そうなると色々と大変だなって思って」
「あー成る程ね」
「「?」」
カロルの言葉の意味を理解したアスラは同意するように言うが、ユーリとリアは解らず疑問符を出していた
11.存在しないモノ
ハルルに戻って来た私達は美しく咲き誇るハルルの樹を見た
やっぱり綺麗だ、と思っているとリタが思わずげ、と声を洩らした
「・・・何これ、もう満開の季節だっけ?」
「へへ~ん、だから言ったじゃん。ボク等で蘇らせたって」
カロルが得意げに言うとリタはカロルに近付きチョップを一発入れるとリタはそのままハルルの樹の元へ走って行った
「おお、皆さんお戻りですか。騎士様の仰った通りだ」
その様子を見ていると何処からか聞き覚えのあるような声が聞こえ声の主を探すと、ハルルの街の村長さんだった
「あの・・・フレンは?」
「残念でしたな、入れ違いでして・・・」
「また・・か」
その言葉にエステルは溜め息を吐かざるを得ない
もうこれで何回目の空振りなのだろうか
流石のユーリも溜息を漏らした
「結界が直っている事には大変驚かれていましたよ」
「あの・・・何処に向かったか解りませんか」
「いえ・・・ただ、もしもの時はと手紙をお預かりしています」
村長さんはユーリに一通の白い封筒を差し出し少し乱暴に封を開け、二枚入っている紙のうち一枚を取り出し広げてみる
だが、それには此処にいた誰もが驚くモノが入っていた
「え? こ、これ手配書!? な、なんで?」
「・・・ていうか、これ、ユーリ?」
「うっわ、似てな~いι」
その手配書はどう見ても幼い子供が描いたと思われる程の・・・もしくはそれ以上に酷い絵でユーリの似顔絵らしきものが描かれていた
ついでに言うと、『五千ガルド』という数字もいい加減さだった
ていうか、これ、ホントに手配書ですかι
私が知ってる手配書ってもうちょっと、いや、かなり解りやすいものだった気がするんだけど・・・ι
と思っているとユーリは悪気のなさで言った
「ちょっと悪さが過ぎたかな」
いや、少し呆れてる?
「い、一体どんな悪行重ねて来たんだよ!」
「これって・・・わたしの所為・・・」
エステルが少し暗い顔をするがユーリは小さく溜息を吐き、手配書に書かれているガルドを見た
「こりゃないだろ。たった五千ガルドって」
「ユーリ、そういう問題じゃないと思うんだけど・・・ι」
「脱獄にしては高すぎだよ! 他にもなんかしたんじゃない?」
「まあ、オレ色々やってるからな」
「確かに色々とやってるね、ユーリは」
「え? マジι」
「うん・・・ι」
ユーリと一番付き合いが長い私とアスラは思い当たる節が多いからそれは一番実感している
だから余計フレンが苦労するのも解る気がした・・・
そんな事を思っているとユーリはもう一枚の手紙をエステルに渡し私もその手紙を見た
そこにはフレンらしい字でこう書いてあった
『僕はノール港に行く。早く追いついて来い。暗殺者には気を付けろ』
どう見てもこれはユーリ宛だと一目で分かった
その懐かしい文字と文章につい微笑んでしまった
「ったく、余裕だな」
「フレンらしいじゃない」
「やっぱり狙われてるの知ってたんだね」
「なんか、しっかりした人だね」
「身の危険ってやつには気付いてるみたいだけど、この先どうする?」
「そうですね・・・」
フレンがこの事を知っているのなら、エステルの旅の目的はなくなる
だが、せっかく手に入れた自由を此処で捨てても良いのかと思うが、ユーリやフレンを狙っているあの男達はかなりの手練れ、このまま着いてくれば身の危険は更に増すだろう
それでも決めるのはエステル自身
他人が口出しをする事ではない
少し考える時間を与えるべきだろうと思っているとユーリも同じ事を思ったらしく、エステルに声を掛けるとそのままリタが向かって行ったハルルの樹の方へ向かい出した
「あ、ユーリ待って。私も行く」
私はカロルとエステルに声を掛けるとユーリの後を追った
相変わらずハルルの樹は綺麗に咲き誇り、街の象徴となっていた
歩く度に花びらが舞い上がり幻想感を漂わせ、自然と笑みが零れてしまう
そして一番花びらの量が凄い場所にリタはボーっと立ち尽くしていた
「・・・何よ、これ。こんなのあり得ない・・・。満開の季節でもないのに花がこんなに咲いて・・・。結界もずっと安定してる。ホントに、エステリーゼがやったの?」
リタは私達が来た事を察し、振り返らずに聞いた
「なんで、エステルなんだよ」
「アスピオを出る前にカロルが口滑らしたでしょ? あんたがはぐらかしたけど」
「ばれてりゃ世話無いな」
ユーリは小さく溜息を吐き、その場に座ったので私もユーリの隣に座った
「こんな真似されたら、あたしら魔導士は形無しよ」
「商売敵はさっさと消すんだな。その為に着いて来てるんだろ?」
そう言うとリタは急に語気を荒げ反論した
「そんな訳ないでしょ!? あたしには解かなきゃならない公式が・・・!」
「公式がどうしたって?」
「・・・なんでもない、忘れて」
「・・・」
ユーリがそう言うとリタは意気消沈し俯いた
リタがいう公式とはおそらくリタの小屋に行った時に見たあの公式だろう
私も専門じゃないけど、あの公式は何処かで見覚えがあった
何処かははっきりと覚えてはいないけど・・・
でも、エステルが治癒術を使う時に出る円陣、そしてリタの小屋であの公式を見た時、何かが繋がったような気がした
それを思ったのは多分私だけじゃないはず
多分アスラもユーリも何かに気が付いているだろう
だからリタは一緒に着いて来たんじゃないかと私は思った
「で、あんた達の用件は何? その為に来たんでしょ?」
「ま、半分くらいは今ので済んだ」
「なら、もう半分は?」
「前にお前言ったよな、魔導器は自分を裏切らないから楽だって」
「言ったわね、それが?」
ユーリは隣にいた私を見ると急に肩を抱き自分の方に引き寄せた
「ぇ、えっと/// ・・・ユーリ?」
「リアもエステルもお前も人間だ。魔導器じゃない」
突然の事に少し動揺しているとリタもユーリの行動に驚いていたが何か納得したように頷いた
「・・・ああ、そういう事。その子やあの子が心配なんだ。あたしが傷付けるんじゃないかって」
「リアもエステルもオレやお前と違って正直者みたいだからな。無茶だけはしないでくれって話だ。オレが聞きたかったのはこれで終わりだ」
ユーリの言葉を聞きリタは小声で何か言っていたがユーリは気にした様子もなく、立ち上がって私を立たせてくれた
「で、次はあんた?」
「うん。私とアスラの事だけど・・・」
それを聞くと隣にいたユーリの表情が少し硬くなった気がした
「リタ、初めて会った時アスラの事『式神』って言おうとしたよね」
「・・・ええ。あんたに遮られたけどね」
「じゃあ私の事も知ってるんでしょ」
そう言うとこの華やかな場所に少し重い空気が流れた
「・・・あの時も言ったけど、まだ実在してるなんて思ってもみなかったけどね」
そう、あの時からリタは私が『言霊使い』でアスラが『式神』だと言う事に気が付いていた
今は存在するはずのない『言霊使い』
特殊な力を操り使う事が出来、『式神』を使う事が出来る存在
それが私達『言霊使い』
本などにも載っているがそれは本の中の人物としか思われないが、一部の者達は実在している事を知っている
学者や魔導士、王族や帝国軍上層部など一部の人間は存在は知ってはいるものの実在している事までは知らない
存在を知っていてもその名を口にするのは禁忌だと言われている
あまりにも強大な力を持っている為そう言われている
・・・まぁ、他にも色々と云われはあるけれど
「それだけ解ってたら良いかな」
「何よ、聞きたかったのってそれだけ?」
「今は、ね・・・」
私はそう言って空を見つめた
ユーリとリタはその言葉の先を待ったが私がそのまま空を眺めていると今まで黙って異を見ていたアスラが口を開いた
「解ってると思うけど、ボク等の存在って表に出しちゃいけないから黙っておいてね」
「・・・解ってるわよ」
リタはそう言って先に歩いて行くとその後にアスラも続いた
「良かったのか、話して」
リタが立ち去ったのを見るとユーリは座りながら心配そうな顔をして私を見た
「うん。変に聞かれるより自分で言った方が良いと思ってね」
私ももう一度ユーリの隣に座った
「それに、ユーリも気付いてたからさっきリタにああ言ってくれたんでしょ?」
「ん? あー、まぁな」
私はユーリの反応が可愛くてくすくすと笑っていると、ユーリは拗ねた顔をしていた
「何で笑ってんだよ」
「ユーリの反応が可愛くて」
「男に可愛いって言うか」
「だって・・・、きゃっ!」
ユーリの表情と言葉を思い出して笑っていると、ユーリは私の腕を引いて肩を抱いた
「・・・普通は男が女に言うセリフ、だろ?」
「ユ、ユーリ・・・あ、あの、顔近・・・っ///」
顔を上げると後数センチでお互いの距離が縮まる程、ユーリの顔が近くにあった
それに顔を赤くしていると、ユーリの手が私の頬に触れた
「・・・可愛いぞ、リア」
「っ~~~~/////」
ユーリは口角を上げて笑い、私は更に顔を赤くした
「ぷっ、はははっ」
ユーリは私の反応を見ると急に笑い出した
「顔、真っ赤だぞ」
「ゆ、ユーリの所為でしょ///」
私の反応を見てユーリは更に笑う
おまけに目に涙まで溜ってるし・・・
「・・・もう///」
一瞬でもドキッとしてしまった自分に更に恥ずかしさを感じて私は歩き出した
「・・・ああいうとこは昔から変わんねえな」
ユーリは小さく笑って先に歩いて行ったリアの背中を見つめた
「・・・これでちっとは気付いてくれるとありがたいんだけどな」
「? ユーリ、何か言った?」
「いーや、なんにも」
「そう?」
ふと言葉が聞こえたのかリアは立ち止まって首を傾げユーリを見たが、ユーリの言葉を聞き踵を返してまた歩き出した
「はぁ・・、こりゃまだまだ時間かかりそうだな・・・」
ユーリはリアの反応を見て大きな溜息を吐き、ゆっくりと歩き出した
続く
あとがき
最後が甘くなった!?
箱版とは違う形にしようとしたら何故かこうなってしまった!?
あれか、さっき休憩中(昼飯食ってる時)に某乙女ゲーのアニメの再放送録画してたやつ見たからか!?(TOVメンバーの中の人、出てないけどι)
この辺からリアちゃんがときめき始めかな? と思ってます(笑)
そして冒頭はまたスキットから話しを持って来ました
ユーリとリアちゃんからしたら本当にエステル達は妹弟ですよね
さ、次は何処まで進むかな?
書けるとこまで頑張ります
では!
2009.10.10