星喰み編
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クロームとの戦いも終わり、無事に精霊化を済ませ、彼女は『時に凪ぎ、時に荒ぶ風を統べる者』として転生した
今はまだ眠っている為、デュークの事など聞きたい事が聞けないのでとりあえず、頂上に向かう事にした
「ふぃ~、やっと半分ってとこ?」
「せめて気流が安定してればバウルに来て貰えるのだけど」
中腹まで戻って来ると私達は足を止めた
登りになるとやっぱり体力を使うから少し疲れてしまう
そう思っていると私達の前に風が吹いて精霊が現れた
108.記憶
「・・・知覚が・・・これが精霊になるという事・・・。これは、こんなにも多くの事が隠されていたとは・・・」
「おはようさんなのじゃ」
「目覚めたんだな。えっと・・・」
「貴女は・・・クロームと呼ばれた方が良いかしら?」
「いえ・・・私はもう始祖の隷長のクロームではありません。新たな名を受けるべきでしょう」
「なら・・・シルフって名前はどうです? 風を紡ぐ者、って意味です」
「シルフ・・・ではそれを我が名としましょう」
「それじゃ改めてよろしく、風の精霊シルフ」
「ええ」
「・・・シルフ、デュークが何故人間を嫌うのか教えてくんねえか」
「・・・解りました」
シルフはそう言って私達を見て話を始めた
「・・・人魔戦争は知っていますね。始祖の隷長には人間と共に生きる道を選ぶ者と、人間を拒む者がいました。人魔戦争は古代の禁を破った人間と人間を拒む始祖の隷長戦いでした」
「で、戦いはデュークと言う英雄の活躍により人間は勝利し納め、人魔戦争は終結した」
そう答えたのは兄さんの隣にいたレイヴンだった
「デュークが英雄?」
「そうだったんですか・・・」
「帝国が隠してた真相の一つってやつよ」
「だからレイヴンはデュークの事知ってたんだ」
「まあね」
「都合の良い噂を流して都合の悪い事を隠す。単純だけど効果的なのじゃ」
「・・・パティ・・・?」
「あの戦争は人間の力だけで勝利を掴んだのではないのです。共存を唱える始祖の隷長の長、エルシフルが人間と共に戦い人間に勝利をもたらしたのです」
エルシフル、その言葉に聞き覚えがあった
それは以前フェローが聖核になる前にぽつりと呟いた言葉だった
けど、その名前を聞くと何故か心臓が脈を打つ
「マジかよ・・・そんな話、俺も知らなかったぜ・・・けんども・・・この話がデュークの人間不信にどう繋がるってのよ?」
「エルシフルはデュークの友でした。デュークはエルシフルと共に人を拒むものの長と戦い倒したのです。しかし戦争が終結した時、エルシフルの力を恐れた帝国は傷ついたエルシフルを襲い、命を奪ったのです。静観するとデュークに約束したにもかからわず」
「そんな・・・」
(・・・・っ)
「・・?」
ふとシエラさんの気配を感じたが、気にしないでと言われたような気がしてシルフの話しを聞いていた
「成る程な・・・。人間を信じられなくなる訳だ」
「戦争の陰でそんな事が遭ったのね」
「デューク・・・哀れなのじゃ・・・」
「・・・あいつがどんなにキツい裏切りになってたとしても、全ての人間の命を犠牲にする権利なんてねえよ」
「デュークより先に星喰みを滅ぼさなければ、結局人間は滅びる事になるでしょう。急ぎなさい。気流を抑えました。これでバウルも此処まで来る事が出来るでしょう」
「ありがとう、シルフ」
「精霊化は順調だけど・・・」
「ああ、デュークも何かやばそげ」
「・・・そうだな」
その返事を聞くとシルフは姿を消し、ジュディスがバウルを呼んでくれて船に乗り込んだ
*
「ついに四属性の精霊が揃ったね」
「ああ、後は・・・」
「世界中の魔導器の魔刻を精霊に転生させる、ですね」
「・・・そうね。四精霊の力だけで星喰みを抑えられればその必要はないんだけど」
「中途半端で挑める相手じゃないでしょーよ。万全を期すべきよね。失敗できねぇもの」
「解ってるけど・・・」
「精霊を生み出すというだけでもテルカ・リュミレースのあり方を変えてしまっている、世界の為とはいえ、ね」
「確かにわたし達の判断だけで世界の人々の生活すら変えてしまうのは問題だと思います」
「そうかもだね・・・」
「オレ達がやろうとしてる事を理解して貰わなきゃやってる事はアレクセイと変わらねぇのかもしれねぇ。けど、理解を求めてる時間もねぇ」
「でも帝国騎士団やギルドのみんなにちゃんと話しておく事は出来るんじゃないかな」
「それで私達のやり方を否定されてしまったら、私達はホントに人々に仇なす大悪党よ?」
「・・・・」
その言葉に少しだけ沈黙が流れる
確かにそうだ
けど、世界が無くなる事や人々がいなくなるのはもっとイヤだ
「・・・オレはこのまま世界が破滅しちまうのは我慢出来ねぇ」
そう思っていると最初に口を開いたのはユーリだった
「デュークがやろうとしてる事で世界が救われても普通に暮らしてる奴等が消えちまっちゃ意味がねえ。だからオレは大悪党と言われても魔導器を捨てて星喰みを倒したい」
「じゃないと、リアも安心して暮らせねえからな」
「ぁ・・・」
そう言えばそうだった
此処の所、精霊化の事で頭が一杯だったし、力が抑えられているから忘れていたけど、私の稀な力はまだ星喰みに反応しているのだった
「・・・もしかして忘れてた?」
「・・・ちょっとだけι」
アスラは小声で私に聞き、その問いに苦笑して私も小声で返すとユーリと兄さんはみんなを見据えた
「みんな、どうする? 降りるなら今だぜ」
「俺様は着いてくぜ。なんせ、俺の命は凛々の明星のもんだしな」
「私も。フェローやベリウスが託してくれた気持ちがあるもの。それに・・・中途半端は好きじゃないわ」
「やらないと後悔するってのを知っちゃったし、此処でやめても後悔するし」
「うん。ボクも後悔したくない」
「はい。自分で選択した事ならどんな結界になっても受け入れられる・・・この旅で学んだ事です」
「それに・・・世界のみんなも分かってくれる。変わっていく世界を受け入れられない程弱くないよ!」
「みんなが笑って暮らす為の事だし、そう信じたい」
「俺達も星喰みとはケリつけなきゃなんねえしな」
「だから私達も着いて行くよ。みんなの気持ちを叶える為にも、世界を救う為にも、ね」
「ワンワン! ワォン!」
「・・・パティはどうする?」
「うちも・・・当然、着いて行くのじゃ!」
私の言葉にラピードも同意し、パティの意見も聞きユーリは笑って私達を見た
「解った。みんな、最後まで一緒に行こう」
「じゃあ準備が全部出来たら、ヨーデル殿下やユニオンの人達に話をしに行こう」
「んで、後準備しなきゃいけないものってなんなのよ?」
「あたしに任せて。ちょっと色々要るからどっか適当な街に寄りたいんだけど」
「じゃ、ノール港はどう? イリキアの端っこだし」
「それに港だから色々揃ってると思うしね」
「エフミドの丘が通れなくなってからどうなったか気にもなるしな。そうしよう」
「・・・・・」
そうしてノール港に着くまでの間、自由に過ごす事になったのだが、パティはずっと背中を向けたまま何処か遠くを見ていた
「「「「・・・・」」」」
*
「・・・シエラさん、どうしちゃったんだろう」
ノール港に着くまでの間、私は室内へと戻って来てベッドに腰掛けていた
デュークの話しを聞いて以来、シエラさんと話しをする事が出来なくなっていた
(あの時のシエラさん、ちょっと様子が可笑しかった。シエラさん、もしかして何か知ってたりするのかな?)
レレウィーゼでの出来事、デューク、クロームと転生したシルフ、そしてシエラさん
あの時のみんなの様子は何処か似ている気がして、ずっと何かが引っかかっている感じがした
そして一番気になっているのはエルシフルの事
その事を聞こうにもシエラさんとは連絡が取れず、多分デュークやシルフに聞いても同じように話してはくれないだろう
「けど、いずれ、その事に触れなくちゃいけない気がする・・・」
ベッドに身体を預け天上を見つめぽつりと呟き、次にある事が頭を過ぎった
「・・・パティ、大丈夫かな」
四精霊を揃え終わりフィエルティア号で話しをした時、パティの様子が少し可笑しかった
それは私だけじゃなくユーリも兄さんも、そしてアスラも気付いていた
「・・・・、!」
すると急に何かが見え始めた
『これからも、三人で一緒に ――』
『そうだな。では ――』
『・・・こればかりは許されない事だ』
『・・・そう、ね・・』
『・・・解りました。』
それは何処かにあった記憶の一部だったようだ
会話も映像も途切れ途切れだけど、この人達の声を私は知っているような気がした
「私の事は、あの人には内緒にしててね」
(え?)
そしてその記憶はそこで完全に途絶えた
「・・・今の、シエラ、さん?」
最後に見えた人物、それは私だったけど、あの声はシエラさんだった
「あの風景、ザーフィアス城? じゃああの後・・の事?」
ザーフィアス城でシエラさんに身体を貸している時の出来事だったのかもしれないと思っているとまた違う映像が流れてきた
「っ・・・!」
その光景は先程とは打って変わってあまりにも残虐的なものだった
何処かの船内、そこに多くの人々と魔物がいた
魔物はそこにいる人々を襲い、次々に殺害していった
そして隣の部屋へと通じる扉が開くと、魔物の咆吼が聞こえた
「やめるのじゃ、 !」
(!?)
一人の女性が魔物に向かってそう叫んでる声が聞こえ、魔物が剣を振り翳した所でその光景は消え、今度は荒れたような海と港が見えた
「逃げるんだ、 。そして、 ――」
映像はそこで終わった
「・・・・・」
映像が消えた後、私の頬に一筋の涙が流れていた
それは先程の映像全てに関してと、最後の男性の暖かい言葉が心に響いたからだった
どちらも違う光景だったのに、凄く温かさを感じた
そして途中で出て来た女性と最後に出て来た人物が言った言葉、
「・・・・・」
その言葉でずっと思っていた事が一致した
「・・・・」
そう思っているとバウルの鳴き声が聞こえ下降して行っているのが見えた
「・・・ノール港に、着いたみたいね」
上半身を起こし立ち上がって、鏡を見て何処も可笑しくない事を確認すると扉を開けて甲板へと向かった
続く
あとがき
最後の方、かなり変わりました
この辺りでそろそろこれ入れておかないと次回と今後の展開が厳しくなってくるのでねι
記憶の辺りは一部はこんな感じなのかな?と思って書いてみた(本編や本とかでもあんま書かれてないからι)
さ、次回はいよいよあの子のお話ですよ!!
此処は泣いた人多いんじゃないかな(俺もその一人です)
2011.06.27
今はまだ眠っている為、デュークの事など聞きたい事が聞けないのでとりあえず、頂上に向かう事にした
「ふぃ~、やっと半分ってとこ?」
「せめて気流が安定してればバウルに来て貰えるのだけど」
中腹まで戻って来ると私達は足を止めた
登りになるとやっぱり体力を使うから少し疲れてしまう
そう思っていると私達の前に風が吹いて精霊が現れた
108.記憶
「・・・知覚が・・・これが精霊になるという事・・・。これは、こんなにも多くの事が隠されていたとは・・・」
「おはようさんなのじゃ」
「目覚めたんだな。えっと・・・」
「貴女は・・・クロームと呼ばれた方が良いかしら?」
「いえ・・・私はもう始祖の隷長のクロームではありません。新たな名を受けるべきでしょう」
「なら・・・シルフって名前はどうです? 風を紡ぐ者、って意味です」
「シルフ・・・ではそれを我が名としましょう」
「それじゃ改めてよろしく、風の精霊シルフ」
「ええ」
「・・・シルフ、デュークが何故人間を嫌うのか教えてくんねえか」
「・・・解りました」
シルフはそう言って私達を見て話を始めた
「・・・人魔戦争は知っていますね。始祖の隷長には人間と共に生きる道を選ぶ者と、人間を拒む者がいました。人魔戦争は古代の禁を破った人間と人間を拒む始祖の隷長戦いでした」
「で、戦いはデュークと言う英雄の活躍により人間は勝利し納め、人魔戦争は終結した」
そう答えたのは兄さんの隣にいたレイヴンだった
「デュークが英雄?」
「そうだったんですか・・・」
「帝国が隠してた真相の一つってやつよ」
「だからレイヴンはデュークの事知ってたんだ」
「まあね」
「都合の良い噂を流して都合の悪い事を隠す。単純だけど効果的なのじゃ」
「・・・パティ・・・?」
「あの戦争は人間の力だけで勝利を掴んだのではないのです。共存を唱える始祖の隷長の長、エルシフルが人間と共に戦い人間に勝利をもたらしたのです」
エルシフル、その言葉に聞き覚えがあった
それは以前フェローが聖核になる前にぽつりと呟いた言葉だった
けど、その名前を聞くと何故か心臓が脈を打つ
「マジかよ・・・そんな話、俺も知らなかったぜ・・・けんども・・・この話がデュークの人間不信にどう繋がるってのよ?」
「エルシフルはデュークの友でした。デュークはエルシフルと共に人を拒むものの長と戦い倒したのです。しかし戦争が終結した時、エルシフルの力を恐れた帝国は傷ついたエルシフルを襲い、命を奪ったのです。静観するとデュークに約束したにもかからわず」
「そんな・・・」
(・・・・っ)
「・・?」
ふとシエラさんの気配を感じたが、気にしないでと言われたような気がしてシルフの話しを聞いていた
「成る程な・・・。人間を信じられなくなる訳だ」
「戦争の陰でそんな事が遭ったのね」
「デューク・・・哀れなのじゃ・・・」
「・・・あいつがどんなにキツい裏切りになってたとしても、全ての人間の命を犠牲にする権利なんてねえよ」
「デュークより先に星喰みを滅ぼさなければ、結局人間は滅びる事になるでしょう。急ぎなさい。気流を抑えました。これでバウルも此処まで来る事が出来るでしょう」
「ありがとう、シルフ」
「精霊化は順調だけど・・・」
「ああ、デュークも何かやばそげ」
「・・・そうだな」
その返事を聞くとシルフは姿を消し、ジュディスがバウルを呼んでくれて船に乗り込んだ
*
「ついに四属性の精霊が揃ったね」
「ああ、後は・・・」
「世界中の魔導器の魔刻を精霊に転生させる、ですね」
「・・・そうね。四精霊の力だけで星喰みを抑えられればその必要はないんだけど」
「中途半端で挑める相手じゃないでしょーよ。万全を期すべきよね。失敗できねぇもの」
「解ってるけど・・・」
「精霊を生み出すというだけでもテルカ・リュミレースのあり方を変えてしまっている、世界の為とはいえ、ね」
「確かにわたし達の判断だけで世界の人々の生活すら変えてしまうのは問題だと思います」
「そうかもだね・・・」
「オレ達がやろうとしてる事を理解して貰わなきゃやってる事はアレクセイと変わらねぇのかもしれねぇ。けど、理解を求めてる時間もねぇ」
「でも帝国騎士団やギルドのみんなにちゃんと話しておく事は出来るんじゃないかな」
「それで私達のやり方を否定されてしまったら、私達はホントに人々に仇なす大悪党よ?」
「・・・・」
その言葉に少しだけ沈黙が流れる
確かにそうだ
けど、世界が無くなる事や人々がいなくなるのはもっとイヤだ
「・・・オレはこのまま世界が破滅しちまうのは我慢出来ねぇ」
そう思っていると最初に口を開いたのはユーリだった
「デュークがやろうとしてる事で世界が救われても普通に暮らしてる奴等が消えちまっちゃ意味がねえ。だからオレは大悪党と言われても魔導器を捨てて星喰みを倒したい」
「じゃないと、リアも安心して暮らせねえからな」
「ぁ・・・」
そう言えばそうだった
此処の所、精霊化の事で頭が一杯だったし、力が抑えられているから忘れていたけど、私の稀な力はまだ星喰みに反応しているのだった
「・・・もしかして忘れてた?」
「・・・ちょっとだけι」
アスラは小声で私に聞き、その問いに苦笑して私も小声で返すとユーリと兄さんはみんなを見据えた
「みんな、どうする? 降りるなら今だぜ」
「俺様は着いてくぜ。なんせ、俺の命は凛々の明星のもんだしな」
「私も。フェローやベリウスが託してくれた気持ちがあるもの。それに・・・中途半端は好きじゃないわ」
「やらないと後悔するってのを知っちゃったし、此処でやめても後悔するし」
「うん。ボクも後悔したくない」
「はい。自分で選択した事ならどんな結界になっても受け入れられる・・・この旅で学んだ事です」
「それに・・・世界のみんなも分かってくれる。変わっていく世界を受け入れられない程弱くないよ!」
「みんなが笑って暮らす為の事だし、そう信じたい」
「俺達も星喰みとはケリつけなきゃなんねえしな」
「だから私達も着いて行くよ。みんなの気持ちを叶える為にも、世界を救う為にも、ね」
「ワンワン! ワォン!」
「・・・パティはどうする?」
「うちも・・・当然、着いて行くのじゃ!」
私の言葉にラピードも同意し、パティの意見も聞きユーリは笑って私達を見た
「解った。みんな、最後まで一緒に行こう」
「じゃあ準備が全部出来たら、ヨーデル殿下やユニオンの人達に話をしに行こう」
「んで、後準備しなきゃいけないものってなんなのよ?」
「あたしに任せて。ちょっと色々要るからどっか適当な街に寄りたいんだけど」
「じゃ、ノール港はどう? イリキアの端っこだし」
「それに港だから色々揃ってると思うしね」
「エフミドの丘が通れなくなってからどうなったか気にもなるしな。そうしよう」
「・・・・・」
そうしてノール港に着くまでの間、自由に過ごす事になったのだが、パティはずっと背中を向けたまま何処か遠くを見ていた
「「「「・・・・」」」」
*
「・・・シエラさん、どうしちゃったんだろう」
ノール港に着くまでの間、私は室内へと戻って来てベッドに腰掛けていた
デュークの話しを聞いて以来、シエラさんと話しをする事が出来なくなっていた
(あの時のシエラさん、ちょっと様子が可笑しかった。シエラさん、もしかして何か知ってたりするのかな?)
レレウィーゼでの出来事、デューク、クロームと転生したシルフ、そしてシエラさん
あの時のみんなの様子は何処か似ている気がして、ずっと何かが引っかかっている感じがした
そして一番気になっているのはエルシフルの事
その事を聞こうにもシエラさんとは連絡が取れず、多分デュークやシルフに聞いても同じように話してはくれないだろう
「けど、いずれ、その事に触れなくちゃいけない気がする・・・」
ベッドに身体を預け天上を見つめぽつりと呟き、次にある事が頭を過ぎった
「・・・パティ、大丈夫かな」
四精霊を揃え終わりフィエルティア号で話しをした時、パティの様子が少し可笑しかった
それは私だけじゃなくユーリも兄さんも、そしてアスラも気付いていた
「・・・・、!」
すると急に何かが見え始めた
『これからも、三人で一緒に ――』
『そうだな。では ――』
『・・・こればかりは許されない事だ』
『・・・そう、ね・・』
『・・・解りました。』
それは何処かにあった記憶の一部だったようだ
会話も映像も途切れ途切れだけど、この人達の声を私は知っているような気がした
「私の事は、あの人には内緒にしててね」
(え?)
そしてその記憶はそこで完全に途絶えた
「・・・今の、シエラ、さん?」
最後に見えた人物、それは私だったけど、あの声はシエラさんだった
「あの風景、ザーフィアス城? じゃああの後・・の事?」
ザーフィアス城でシエラさんに身体を貸している時の出来事だったのかもしれないと思っているとまた違う映像が流れてきた
「っ・・・!」
その光景は先程とは打って変わってあまりにも残虐的なものだった
何処かの船内、そこに多くの人々と魔物がいた
魔物はそこにいる人々を襲い、次々に殺害していった
そして隣の部屋へと通じる扉が開くと、魔物の咆吼が聞こえた
「やめるのじゃ、 !」
(!?)
一人の女性が魔物に向かってそう叫んでる声が聞こえ、魔物が剣を振り翳した所でその光景は消え、今度は荒れたような海と港が見えた
「逃げるんだ、 。そして、 ――」
映像はそこで終わった
「・・・・・」
映像が消えた後、私の頬に一筋の涙が流れていた
それは先程の映像全てに関してと、最後の男性の暖かい言葉が心に響いたからだった
どちらも違う光景だったのに、凄く温かさを感じた
そして途中で出て来た女性と最後に出て来た人物が言った言葉、
「・・・・・」
その言葉でずっと思っていた事が一致した
「・・・・」
そう思っているとバウルの鳴き声が聞こえ下降して行っているのが見えた
「・・・ノール港に、着いたみたいね」
上半身を起こし立ち上がって、鏡を見て何処も可笑しくない事を確認すると扉を開けて甲板へと向かった
続く
あとがき
最後の方、かなり変わりました
この辺りでそろそろこれ入れておかないと次回と今後の展開が厳しくなってくるのでねι
記憶の辺りは一部はこんな感じなのかな?と思って書いてみた(本編や本とかでもあんま書かれてないからι)
さ、次回はいよいよあの子のお話ですよ!!
此処は泣いた人多いんじゃないかな(俺もその一人です)
2011.06.27