星喰み編
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セイがユーリとフレンを連れて言霊使いの故郷と呼ばれる場所に向かって数時間が経った
此処に来た時にも言った通り、何故か此処では魔物を見ていない
どことなく此処だけ他の場所と違う空気が漂っている気がした
それもあってなのかセイ達を待っている間も魔物に襲われる事はなかった
皆一時の休息という感じで各々好きな事をやっているが、不安な気持ちがあるのか落ち着かないのが空気でも感じられた
「パティ、大根おかわり!」
「ボクはたまご!」
「ワン」
「お、ラピード、はんぺん食うか?」
パティはおでんを作って待っていると言っていた通りおでんを作り、みんな気持ちを紛らわすようにそのおでんを食べていた
「・・・」
「心配かしら」
「え?」
エステルが少し浮かない顔をしているとジュディスがエステルの様子を見て声を掛けた
「少しだけ・・・」
「心配しなくても大丈夫よ。青年達が一緒なんだからさ」
「そうですね」
レイヴンの言葉に同意するようにジュディスもニコリと笑うとエステルも少しだけ気が楽になったのか返事を返した
「ほら、嬢ちゃんも早く食べないとなくなるわよ」
「はい。パティ、わたしにも・・・、?」
レイヴンの言葉を聞き空になっている皿を見てパティにおでんのおかわりを頼もうとしていると、辺りの空気が変わった
それに気付いたのか皆セイ達が言霊使いの故郷に向かった所に自然と視線を向けていた
そして、
「・・・ぁ、」「「「「「「・・・!」」」」」」
エステル達はそこに現れた人物を見て思わず息を詰め目を瞠った
そこにいるのは、セイ、ユーリ、フレン、アスラとフキ
そして、ユーリとフレンの間に、リアがいた
「ただいま、みんな」
リアはエステル達の姿を見ると優しく微笑みそう告げた
「っ、リア!!」「リアぁ!」
エステルとカロルは目に涙を浮かべリアの名前を呼び、そのままリアの元に行きそのまま抱きついた
104.新たなるものと危機
無事にエステル達と合流した私はフィエルティア号に乗って帝都までフレンを送った後、更に今までの出来事を詳しく聞いていた
ゾフェル氷刃海でリタはジュディスと一緒にザウデを調べて解った事を話してくれた
その内容はあの記憶の欠片で見たものとシエラさんから聞いた内容、そして兄さんやアスラ達から聞いた内容そのものだった
満月の子、そして言霊使いの子孫であり稀な力を持ち合わせている私とエステルは同じ境遇にあったからなのかその話を聞いた時に同じ事を思っていた
勿論言霊使いである兄さんも何処か気にしたような顔をしていた事に気付いたのは私とアスラだけだろう
「?」
すると急に空気が変わり、私達はそこに目を向けると空中に水の塊が現れそして一人の女性が姿を現した
「ウンディーネ!」
「ウンディーネ?」
「水の精霊、ウンディーネだよ」
目の前に現れた水の精霊ウンディーネへ視線を戻す
が、この気配に覚えがあった
「・・・この気配、ベリウス?」
「お久しゅうございます、姫、若、神将殿」
彼女は私達を見てそう言った
姿も声も違うけど、彼女はまさしくベリウスだった
けど、始祖の隷長 とはまた違う雰囲気があった
「これ、どういう事だ?」
「聖核に宿っていたベリウスの意思がエステルの満月の子の力とエアルが集まって精霊を生み出したの」
「凄い・・・」
その言葉を聞き思わずそう言ってしまった
始祖の隷長も言霊使いと式神と一緒で満月の子の力は影響を受けてしまうが、今度はそれとは別に新たなものを生み出していた
「世の中、まだ解らない事が起きるものだね」
アスラの苦笑まりじの言葉に私も兄さんもそしてウンディーネも微笑した
「それでこれから他の始祖の隷長を精霊に替えて、協力して貰おうと思ってるのよ」
「他の始祖の隷長って事はフェロー、グシオス・・か」
「成る程ね、物質の基本元素、地水火風が揃ってないと星喰みに対抗は出来ないだろうからね」
みんなから話しを聞くと、ゾフェル氷刃海のエアルクレーネでエステルの力を抑制してた術式を解除し術式を組み替えようとしていた時に精霊が誕生したそうだ
そしてこの原理を使って他の始祖の隷長を精霊へと転生させ、星喰みを倒すと言う事だった
ウンディーネもユーリ達への協力は惜しまないようで直ぐに了承してくれ、他の始祖の隷長がいる場所を教えて貰っていた
「それじゃあウンディーネ、これからよろしくね」
「はい」
一通り話しを聞き終わりウンディーネに声を掛けると、ウンディーネは姿を消した
エステルの力を制御してると言っていた通り、ウンディーネは私達の側にいる
その感覚はアスラ達式神が姿を消して側にいる時と同じ感覚だった
「さて、じゃあこの後はどうする?」
「そうだな。リアも戻って来たしこのまま始祖の隷長の所に行くか」
「うん。此処からだと・・・」
ドオオオン
すると急に地響きが聞こえ大地が揺れ、その振動は私達が乗っているフィエルティア号にも響いてきた
「な、なに、今の!?」
「あの方角は確か・・・」
「ザウデの方角ね」
するとザウデの方角から大量にエアルが放たれ、エアルが空を貫き世界を守っていた結界に当たった
「っ・・・!」
「リア!?」
その途端、身体に痛みが走り私は膝を着きそうになったが隣にいた兄さんが支えてくれた
「結界に当たったから、リアの稀な力が反応してるんだ」
ザウデは満月の子と言霊使いの稀な力を持った人達が制御していた
そして私の血と力はあの時、ザウデのシステムと共鳴したからなのかまだ少しだけ反応してしまう
「大丈夫か?」
「う・・・うん・・・」
少しだけ息苦しさを感じながら空を見ると、空は紫の闇のようなものに覆われその間からドス黒く、気持ちの悪い“モノ”星喰みが異常な程溢れ出て来た
「星喰みが・・・まさかザウデが停止した・・・?」
「あちゃー、どっか下手なとこいじりでもしたのかね」
「あれが本当の災厄・・・」
「成る程世界を喰いかねねえな」
「あんなの、どうしたら良いんだろう」
「・・・ちょいと包丁で三枚におろすには大きすぎるようじゃの」
「それもだけど、こんなんじゃいつか本当にリアが持たなくなるぜ」
その言葉に皆口を紡んでしまう
確かに傷が癒え、力が戻ったとは言え、こんな事が続けばいつか本当に壊れてしまうかもしれない
「・・・・」
ユーリは私をじっと見て何か思い出した顔をしてリタを見た
「なあリタ、あの星喰みってのはエアルから生まれたってデュークが言ってたんだが」
「え?」
「精霊はエアルを物質に換えるってんならもし十分な精霊がいたら、星喰みもどうにか出来ないか?」
「分からない。そんなの分からない。でも・・・やってみる価値はあると思う」
「それでリアの力を使わなくて済むならやってみようよ!」
「やりましょう、ユーリ!」
「決まりだな」
「バウル!?」「フキ?」
ユーリ達の返事を聞いているとジュディスとアスラが同時に言った
どうやらお互いに何か連絡が来たようだ
「・・・そう、分かったわ。ありがとう。星喰みの眷属が街を襲っているらしいわ」
「やっぱりそっちも同じ連絡なんだね」
「そうみたいね」
「それでその襲われてる街ってのは」
「ノードポリカだよ」「ノードポリカよ」
「!」
「やれやれ聞いちまったら、放っとく訳にいかねえな。リア、動けるか?」
「うん、平気」
「そっか。でも無理すんなよ」
「うん、ありがとう」
「良し、急ぐぞ!」
ユーリの掛け声と共に私達は急いでノードポリカに向かった
「見て! 街に取り付いてる!」
「あの黒いの・・・前にコゴール砂漠で見たやつか!」
ノードポリカの近くに来るとコゴール砂漠で見たあの水色のエイのような生き物がノードポリカの結界の近くにいた
「前のはフェローの幻だったけど今度のは本物よ、気を付けて」
「結界のエアルを食べようとしてるみたいです!」
「星喰みはエアルに引き寄せられる・・・?」
「こいつはなかなかやばそうねえ」
「やばくてもやるしかない。一本釣りにしてくれるのじゃ」
「ちっと面倒だが二手に別れた方が早そうだな」
「うん、もう街の中に何匹か入ってるみたいだし」
「そうだな。じゃあ二手に別れるぞ」
「うん」
「行くぞ!」
その言葉と同時に私達は一斉に別れ、あのエイのような生き物に向かって行った
数分後、無事に外にいたのを倒し終え私達は急いで街の中に入ると、街と闘技場を繋ぐ道の所に数人の戦士の殿堂がいるのを見つける
だが、その前にはあの生き物がいた
「退くな! 此処で食い止めるんだ!」
後退る男にナッツさんがそう叫び、今にも攻撃を仕掛けそうだった生き物にリタと兄さんがファイアーボール当てるとその生き物は姿を消した
「おーお、物々しいねえ」
「あ、あんた達は・・・!」
ナッツさんは私達の姿を確認するととても驚いた顔をしていた
「どうやら今の奴で最後みたいだったな」
「うん。もう他の気配はしないよ」
「皆さん、ご無事ですか?」
「ああ」
ナッツさんを含む戦士の殿堂はほっと安堵の息を吐いた
街を見る限り、前に闘技場で魔物が逃げた時みたいに街に被害はなかったが、やっぱり怪我人は出たようで私とエステルは傷を治す事にし、ナッツさんが闘技場へと案内してくれた
怪我人の手当を終えた後、私とエステルは先にベリウスの私室に案内されたユーリ達の所へ向かった
扉を開けると丁度リタも戻って着たようで、何処に行っていたのかと思っていると結界魔導器を見てきたそうだ
結界魔導器が出力が上げられていたようであのエイのような生き物はそれに引き寄せられたようだった
出力を通常に戻して、ナッツさんと少しだけ話しをした後、私達は闘技場を後にした
「ナッツさん、頑張ってたね」
闘技場を出るとカロルが嬉しそうな顔して、ユーリに話しを振った
「ああ、ベリウス亡き後、上手く纏めてるみたいだな」
「ウンディーネと会わせてあげたいです。きっと喜びます」
「今は止めとけ。けど、全部ケリが付いた時には驚かせてやろうぜ」
「はい」
「にしても、あの化け物・・・戦士の殿堂の手練れが太刀打ち出来てなかったな。どうも解せないねぇ」
「ボク等は倒せたのにね」
「何か違いがあるとしたら・・・」
「精霊、かしらね?」
「星喰みはエアルに近いってんなら精霊の力が影響した可能性はあるわね」
「それじゃ後三体揃えばもっと対抗出来るって事か?」
「どうだろう・・・エアルを抑えるだけなら、属性揃えば十分だろうけど相手はあの星喰みだから、何とも言えないわ」
「うーむ、聖核だってそこら辺に転がってるもんじゃないしなあ」
「始祖の隷長も、もう数少ないみたいですし・・・」
確かに属性が揃えば何とかなるかもしれない
けど、それで数が足りないとなると・・・
「・・・なあ、世界に存在する魔導器って相当な数だよな」
思いに耽っていると、何か考えていたユーリが急に口を開いた
「そうだな。魔導器は俺達の生活に欠かせないものだからな」
「魔刻って聖核のカケラで出来てるって事だよな」
「うん、そうだよ」
「だったら、もし精霊四体で足りないんなら、世界中の魔刻を精霊に変えたら良いんじゃないか?」
「ううむ、そうなったら海辺の砂粒みたく精霊だらけになるかもしれんの」
「無茶な事言うわね。大体どうやってやるのよ」
「仮に方法が分かっても、魔導器の一つ一つを回るのかしら? 星喰みは待ってくれないと思うけれど」
「どうにかしてくれるよな? 専門家さん」
「・・・簡単に言わないでよね」
「・・・もしユーリの言った方法が実現したとして・・・そしたら魔導器は全部使えなくなっちゃわない?」
「魔刻が無くなる訳だからそうなるわな」
「どんな世の中になってしまうんでしょう?」
「結界によって約束されていた安全は無くなり・・・」
「魔導器に賄われてた生活に必要な機能が失われて、相当不便な生活になるでしょうね」
「武醒魔導器も駄目になるんだよね、うーん・・・」
「なに、魔導器が無くなっても、うちはオール一本で大海原を渡ってみせるのじゃ」
「その気概、素敵だわ、パティ」
「あんた達がそれで良くても・・・」
「嫌がる人は大勢いるでしょうね・・・」
「ああ。それでもやらなきゃ・・・世界は星喰みのもんだ。オレはやるべきだと思う。たとえ仲間以外の誰にも理解されなかったとしても」
ユーリは途中で言葉を切って空を、空にいる星喰みを見てそう言い、その言葉の後少しだけ沈黙が流れた
みんな、迷っているのだろう
実際に魔導器が無くなると生活が厳しくなるし、安全性も無くなり、更に今みたいに戦う事も難しくなる
生活の一部と化した物が無くなると言うのはやっぱり不便ではあるから余計に考えてしまう
私達の故郷もミョルゾの人達と同じで魔導器は使用していないから、そこまで不便を感じた事はない
けど、ユーリ達は魔導器がある生活が普通だった
それが無くなってしまうのだから考え込んでしまうのも無理はない
「ま、とにかくまずは四属性の精霊を生み出そうぜ」
「じゃの。先の事はそれからでも考えられるのじゃ」
「だな」
少しだけ重くなった沈黙をレイヴンが破り、ユーリは苦笑して答え、私達もその考えはひとまず置いておく事にした
「バウルが始祖の隷長のいる場所を知ってるんだよね?」
「ああ。船に戻って聞いてみよう」
続く
あとがき
やっとみんなと合流!
そしてやっと本編に戻れたww
とりえあずウンディーネと会わせておかないと今後話しが繋げにくいだろうと思って此処で会わせました(生み出す所カットになっちゃったからねι)
次回からは精霊に転生化が始まります
これからちょくちょくあの人も出てくると思いますww
2011.06.27
此処に来た時にも言った通り、何故か此処では魔物を見ていない
どことなく此処だけ他の場所と違う空気が漂っている気がした
それもあってなのかセイ達を待っている間も魔物に襲われる事はなかった
皆一時の休息という感じで各々好きな事をやっているが、不安な気持ちがあるのか落ち着かないのが空気でも感じられた
「パティ、大根おかわり!」
「ボクはたまご!」
「ワン」
「お、ラピード、はんぺん食うか?」
パティはおでんを作って待っていると言っていた通りおでんを作り、みんな気持ちを紛らわすようにそのおでんを食べていた
「・・・」
「心配かしら」
「え?」
エステルが少し浮かない顔をしているとジュディスがエステルの様子を見て声を掛けた
「少しだけ・・・」
「心配しなくても大丈夫よ。青年達が一緒なんだからさ」
「そうですね」
レイヴンの言葉に同意するようにジュディスもニコリと笑うとエステルも少しだけ気が楽になったのか返事を返した
「ほら、嬢ちゃんも早く食べないとなくなるわよ」
「はい。パティ、わたしにも・・・、?」
レイヴンの言葉を聞き空になっている皿を見てパティにおでんのおかわりを頼もうとしていると、辺りの空気が変わった
それに気付いたのか皆セイ達が言霊使いの故郷に向かった所に自然と視線を向けていた
そして、
「・・・ぁ、」「「「「「「・・・!」」」」」」
エステル達はそこに現れた人物を見て思わず息を詰め目を瞠った
そこにいるのは、セイ、ユーリ、フレン、アスラとフキ
そして、ユーリとフレンの間に、リアがいた
「ただいま、みんな」
リアはエステル達の姿を見ると優しく微笑みそう告げた
「っ、リア!!」「リアぁ!」
エステルとカロルは目に涙を浮かべリアの名前を呼び、そのままリアの元に行きそのまま抱きついた
104.新たなるものと危機
無事にエステル達と合流した私はフィエルティア号に乗って帝都までフレンを送った後、更に今までの出来事を詳しく聞いていた
ゾフェル氷刃海でリタはジュディスと一緒にザウデを調べて解った事を話してくれた
その内容はあの記憶の欠片で見たものとシエラさんから聞いた内容、そして兄さんやアスラ達から聞いた内容そのものだった
満月の子、そして言霊使いの子孫であり稀な力を持ち合わせている私とエステルは同じ境遇にあったからなのかその話を聞いた時に同じ事を思っていた
勿論言霊使いである兄さんも何処か気にしたような顔をしていた事に気付いたのは私とアスラだけだろう
「?」
すると急に空気が変わり、私達はそこに目を向けると空中に水の塊が現れそして一人の女性が姿を現した
「ウンディーネ!」
「ウンディーネ?」
「水の精霊、ウンディーネだよ」
目の前に現れた水の精霊ウンディーネへ視線を戻す
が、この気配に覚えがあった
「・・・この気配、ベリウス?」
「お久しゅうございます、姫、若、神将殿」
彼女は私達を見てそう言った
姿も声も違うけど、彼女はまさしくベリウスだった
けど、
「これ、どういう事だ?」
「聖核に宿っていたベリウスの意思がエステルの満月の子の力とエアルが集まって精霊を生み出したの」
「凄い・・・」
その言葉を聞き思わずそう言ってしまった
始祖の隷長も言霊使いと式神と一緒で満月の子の力は影響を受けてしまうが、今度はそれとは別に新たなものを生み出していた
「世の中、まだ解らない事が起きるものだね」
アスラの苦笑まりじの言葉に私も兄さんもそしてウンディーネも微笑した
「それでこれから他の始祖の隷長を精霊に替えて、協力して貰おうと思ってるのよ」
「他の始祖の隷長って事はフェロー、グシオス・・か」
「成る程ね、物質の基本元素、地水火風が揃ってないと星喰みに対抗は出来ないだろうからね」
みんなから話しを聞くと、ゾフェル氷刃海のエアルクレーネでエステルの力を抑制してた術式を解除し術式を組み替えようとしていた時に精霊が誕生したそうだ
そしてこの原理を使って他の始祖の隷長を精霊へと転生させ、星喰みを倒すと言う事だった
ウンディーネもユーリ達への協力は惜しまないようで直ぐに了承してくれ、他の始祖の隷長がいる場所を教えて貰っていた
「それじゃあウンディーネ、これからよろしくね」
「はい」
一通り話しを聞き終わりウンディーネに声を掛けると、ウンディーネは姿を消した
エステルの力を制御してると言っていた通り、ウンディーネは私達の側にいる
その感覚はアスラ達式神が姿を消して側にいる時と同じ感覚だった
「さて、じゃあこの後はどうする?」
「そうだな。リアも戻って来たしこのまま始祖の隷長の所に行くか」
「うん。此処からだと・・・」
ドオオオン
すると急に地響きが聞こえ大地が揺れ、その振動は私達が乗っているフィエルティア号にも響いてきた
「な、なに、今の!?」
「あの方角は確か・・・」
「ザウデの方角ね」
するとザウデの方角から大量にエアルが放たれ、エアルが空を貫き世界を守っていた結界に当たった
「っ・・・!」
「リア!?」
その途端、身体に痛みが走り私は膝を着きそうになったが隣にいた兄さんが支えてくれた
「結界に当たったから、リアの稀な力が反応してるんだ」
ザウデは満月の子と言霊使いの稀な力を持った人達が制御していた
そして私の血と力はあの時、ザウデのシステムと共鳴したからなのかまだ少しだけ反応してしまう
「大丈夫か?」
「う・・・うん・・・」
少しだけ息苦しさを感じながら空を見ると、空は紫の闇のようなものに覆われその間からドス黒く、気持ちの悪い“モノ”星喰みが異常な程溢れ出て来た
「星喰みが・・・まさかザウデが停止した・・・?」
「あちゃー、どっか下手なとこいじりでもしたのかね」
「あれが本当の災厄・・・」
「成る程世界を喰いかねねえな」
「あんなの、どうしたら良いんだろう」
「・・・ちょいと包丁で三枚におろすには大きすぎるようじゃの」
「それもだけど、こんなんじゃいつか本当にリアが持たなくなるぜ」
その言葉に皆口を紡んでしまう
確かに傷が癒え、力が戻ったとは言え、こんな事が続けばいつか本当に壊れてしまうかもしれない
「・・・・」
ユーリは私をじっと見て何か思い出した顔をしてリタを見た
「なあリタ、あの星喰みってのはエアルから生まれたってデュークが言ってたんだが」
「え?」
「精霊はエアルを物質に換えるってんならもし十分な精霊がいたら、星喰みもどうにか出来ないか?」
「分からない。そんなの分からない。でも・・・やってみる価値はあると思う」
「それでリアの力を使わなくて済むならやってみようよ!」
「やりましょう、ユーリ!」
「決まりだな」
「バウル!?」「フキ?」
ユーリ達の返事を聞いているとジュディスとアスラが同時に言った
どうやらお互いに何か連絡が来たようだ
「・・・そう、分かったわ。ありがとう。星喰みの眷属が街を襲っているらしいわ」
「やっぱりそっちも同じ連絡なんだね」
「そうみたいね」
「それでその襲われてる街ってのは」
「ノードポリカだよ」「ノードポリカよ」
「!」
「やれやれ聞いちまったら、放っとく訳にいかねえな。リア、動けるか?」
「うん、平気」
「そっか。でも無理すんなよ」
「うん、ありがとう」
「良し、急ぐぞ!」
ユーリの掛け声と共に私達は急いでノードポリカに向かった
「見て! 街に取り付いてる!」
「あの黒いの・・・前にコゴール砂漠で見たやつか!」
ノードポリカの近くに来るとコゴール砂漠で見たあの水色のエイのような生き物がノードポリカの結界の近くにいた
「前のはフェローの幻だったけど今度のは本物よ、気を付けて」
「結界のエアルを食べようとしてるみたいです!」
「星喰みはエアルに引き寄せられる・・・?」
「こいつはなかなかやばそうねえ」
「やばくてもやるしかない。一本釣りにしてくれるのじゃ」
「ちっと面倒だが二手に別れた方が早そうだな」
「うん、もう街の中に何匹か入ってるみたいだし」
「そうだな。じゃあ二手に別れるぞ」
「うん」
「行くぞ!」
その言葉と同時に私達は一斉に別れ、あのエイのような生き物に向かって行った
数分後、無事に外にいたのを倒し終え私達は急いで街の中に入ると、街と闘技場を繋ぐ道の所に数人の戦士の殿堂がいるのを見つける
だが、その前にはあの生き物がいた
「退くな! 此処で食い止めるんだ!」
後退る男にナッツさんがそう叫び、今にも攻撃を仕掛けそうだった生き物にリタと兄さんがファイアーボール当てるとその生き物は姿を消した
「おーお、物々しいねえ」
「あ、あんた達は・・・!」
ナッツさんは私達の姿を確認するととても驚いた顔をしていた
「どうやら今の奴で最後みたいだったな」
「うん。もう他の気配はしないよ」
「皆さん、ご無事ですか?」
「ああ」
ナッツさんを含む戦士の殿堂はほっと安堵の息を吐いた
街を見る限り、前に闘技場で魔物が逃げた時みたいに街に被害はなかったが、やっぱり怪我人は出たようで私とエステルは傷を治す事にし、ナッツさんが闘技場へと案内してくれた
怪我人の手当を終えた後、私とエステルは先にベリウスの私室に案内されたユーリ達の所へ向かった
扉を開けると丁度リタも戻って着たようで、何処に行っていたのかと思っていると結界魔導器を見てきたそうだ
結界魔導器が出力が上げられていたようであのエイのような生き物はそれに引き寄せられたようだった
出力を通常に戻して、ナッツさんと少しだけ話しをした後、私達は闘技場を後にした
「ナッツさん、頑張ってたね」
闘技場を出るとカロルが嬉しそうな顔して、ユーリに話しを振った
「ああ、ベリウス亡き後、上手く纏めてるみたいだな」
「ウンディーネと会わせてあげたいです。きっと喜びます」
「今は止めとけ。けど、全部ケリが付いた時には驚かせてやろうぜ」
「はい」
「にしても、あの化け物・・・戦士の殿堂の手練れが太刀打ち出来てなかったな。どうも解せないねぇ」
「ボク等は倒せたのにね」
「何か違いがあるとしたら・・・」
「精霊、かしらね?」
「星喰みはエアルに近いってんなら精霊の力が影響した可能性はあるわね」
「それじゃ後三体揃えばもっと対抗出来るって事か?」
「どうだろう・・・エアルを抑えるだけなら、属性揃えば十分だろうけど相手はあの星喰みだから、何とも言えないわ」
「うーむ、聖核だってそこら辺に転がってるもんじゃないしなあ」
「始祖の隷長も、もう数少ないみたいですし・・・」
確かに属性が揃えば何とかなるかもしれない
けど、それで数が足りないとなると・・・
「・・・なあ、世界に存在する魔導器って相当な数だよな」
思いに耽っていると、何か考えていたユーリが急に口を開いた
「そうだな。魔導器は俺達の生活に欠かせないものだからな」
「魔刻って聖核のカケラで出来てるって事だよな」
「うん、そうだよ」
「だったら、もし精霊四体で足りないんなら、世界中の魔刻を精霊に変えたら良いんじゃないか?」
「ううむ、そうなったら海辺の砂粒みたく精霊だらけになるかもしれんの」
「無茶な事言うわね。大体どうやってやるのよ」
「仮に方法が分かっても、魔導器の一つ一つを回るのかしら? 星喰みは待ってくれないと思うけれど」
「どうにかしてくれるよな? 専門家さん」
「・・・簡単に言わないでよね」
「・・・もしユーリの言った方法が実現したとして・・・そしたら魔導器は全部使えなくなっちゃわない?」
「魔刻が無くなる訳だからそうなるわな」
「どんな世の中になってしまうんでしょう?」
「結界によって約束されていた安全は無くなり・・・」
「魔導器に賄われてた生活に必要な機能が失われて、相当不便な生活になるでしょうね」
「武醒魔導器も駄目になるんだよね、うーん・・・」
「なに、魔導器が無くなっても、うちはオール一本で大海原を渡ってみせるのじゃ」
「その気概、素敵だわ、パティ」
「あんた達がそれで良くても・・・」
「嫌がる人は大勢いるでしょうね・・・」
「ああ。それでもやらなきゃ・・・世界は星喰みのもんだ。オレはやるべきだと思う。たとえ仲間以外の誰にも理解されなかったとしても」
ユーリは途中で言葉を切って空を、空にいる星喰みを見てそう言い、その言葉の後少しだけ沈黙が流れた
みんな、迷っているのだろう
実際に魔導器が無くなると生活が厳しくなるし、安全性も無くなり、更に今みたいに戦う事も難しくなる
生活の一部と化した物が無くなると言うのはやっぱり不便ではあるから余計に考えてしまう
私達の故郷もミョルゾの人達と同じで魔導器は使用していないから、そこまで不便を感じた事はない
けど、ユーリ達は魔導器がある生活が普通だった
それが無くなってしまうのだから考え込んでしまうのも無理はない
「ま、とにかくまずは四属性の精霊を生み出そうぜ」
「じゃの。先の事はそれからでも考えられるのじゃ」
「だな」
少しだけ重くなった沈黙をレイヴンが破り、ユーリは苦笑して答え、私達もその考えはひとまず置いておく事にした
「バウルが始祖の隷長のいる場所を知ってるんだよね?」
「ああ。船に戻って聞いてみよう」
続く
あとがき
やっとみんなと合流!
そしてやっと本編に戻れたww
とりえあずウンディーネと会わせておかないと今後話しが繋げにくいだろうと思って此処で会わせました(生み出す所カットになっちゃったからねι)
次回からは精霊に転生化が始まります
これからちょくちょくあの人も出てくると思いますww
2011.06.27