星喰み編
夢主名変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
リアの無事が確認出来て数日、リアももう動けるようになったと連絡が来た
ゾフェル氷刃海に向かったオレ達はそこで精霊という存在を生み出した
精霊に関してはリタがまだ色々と模索してるみたいだからその辺はとりあえず置いとくとして・・・
ゾフェル氷刃海のエアルクレーネに向かっている途中でカロルが
「これが終わったら、リア達を迎えに行こうよ」
と言った
それには此処に居た誰もが同意した
実際に無事とは連絡が来ていてもみんなリアの姿を見るまでは安心出来ねえだろうしな
その事をレイヴンがセイ達と連絡を取り合う時に使う方法で連絡を取り、精霊化を終わらせゾフェルを抜けようとしている時にセイから連絡が来てオレ達はリア達に会う事になった
が、セイからはある条件付きで、と言われ、その条件を満たす為、オレ達はある森の中にいた
103.Place to come back through -帰る場所-
「本当に此処であってるの?」
森の中を歩いているとカロルが先頭を歩いていたレイヴンにそう振った
「セイからの指示じゃ此処で間違いないんだけどねえ」
「でもどう見たってただの森よ?」
「なーんの変哲もないただの森、じゃな」
「強いて言えば魔物がいない事、かしらね」
「そう言やあんま見かけねえな」
ジュディスの言う通り、此処に来る時に魔物とあまり会っていなかった
「だから此処で待ち合わせたんじゃない?」
「ワン!」
「ユーリ、みんな、こっちです」
ラピードの声が聞こえた後にエステルの声が聞こえ見ると、少しだけ広くなった所にエステルとラピード、そしてフレンがいた
「エステルの方が早く着いたみたいだね」
「はい。ラピードが此処まで案内してくれたんです」
「ワフっ」
「ユーリもみんなも元気そうだな」
「お前も相変わらずだな」
ユーリが無事だった事はフレンもエステルから聞かされていて、彼等といつも通り接しているユーリを見てフレンも安堵した
「それで、セイからの条件って何だったの?」
「ああ、それは」
レイヴンが話しをしようとしているとガサッと音が聞こえ振り向くと
「揃ってるな」
「みんな久しぶりだな」
「セイ、フキ!」
セイとフキがユーリ達の方へ歩いて来ていた
「久しぶりじゃの、セイ兄、フキ」
「ああ。お前達も相変わらず元気そうだな」
再会の挨拶を済ますと直ぐにフレンが話しを戻した
「セイ、リアに会うにはある条件が必要だと言っていたな」
「ああ」
「その条件がユーリとフレンを連れて来る事、よね」
「え、そうだったの?」
「だからエステルがフレンを迎えに行っていたのね」
この森に来る前にエステルは帝都の近くでフィエルティア号から降り、ラピードも一緒にフレンを迎えに行った
「じゃあこれからリアに会えるって事だよね」
「・・・ああ。俺達、言霊使いの故郷で、な」
「じゃあさっさと」
「だが、故郷に入れるのはユーリとフレンだけだ」
「「え?」」
フキの言葉を聞き、その場にいた誰もが驚いてしまう
「え、ど、どう言う事?」
「私達は行けないっと言う事かしら」
「ああ」
「うちらが信用出来んのか?」
「そうじゃない。本来故郷は言霊使い以外の人間が立ち入る事は禁止されている」
「だから、条件付きって訳」
「ああ」
言ってセイはユーリとフレンを見てレイヴンはセイとフキの言う意味が解った
「成る程ねぇ。リアちゃんやセイ達が最も信頼している相手、ね」
「「・・・・」」
「そう言う理由で了承を得たのがお前達だけだ」
「それに故郷に入るにはこの人数は色々とキツイからな」
多くは語れないのか、それ以上は何も言わなかったが、それでもリア達の絆を知っているエステル達も納得した
「解りました。わたし達は此処で待っています」
「エステリーゼ様?」
「きっとリアもユーリとフレンが来るのを待っていると思うんです」
「私もそう思うわ。早く行ってあげて」
「あたし達は適当に時間潰してるからさっさと行って来なさい」
「うちは此処で美味いおでんを作って待っておるぞ」
「ワン!」
「魔物もいないから、ボク達なら大丈夫だよ」
「いざとなったらおっさんを囮にして逃げるから」
「リタっちぃ!? そりゃないでしょぉ!!」
「ははっ、解ったよ」
仲間達のやり取りを見てユーリとフレンは同時に笑い、セイとフキの所まで行った
ユーリとフレンが来たのを確認するとフキは言霊使いの故郷へと続く扉を開いた
「ラピード、俺達が戻って来るまで此処の事頼んだぞ」
「ワン!!」
ラピードにそう告げ返事を聞くと、セイ達は扉を越えて故郷へと入った
「着いたぞ」
フキの言葉でユーリとフレンは目を開けた
「此処が、リアとセイの故郷、なのか?」
「ああ」
目の前に広がっている光景は先程の森と、そしてユーリ達が普段暮らしている所とはまた違う古風な民家や建物が見えた
「此処は、街外れかい?」
「ああ。流石に言霊使いが出入りしてる出口と同じ所に繋ぐ訳にはいかなかったからな」
「リアとセイの他にもいるのか?」
「そりゃな。けど流石に人目に付くと色々とマズイから本家の近く繋いでるから安心しろ」
言ってセイとフキは歩き出し、ユーリとフレンもその後に続いた
移動中ユーリもフレンも今までに見た事のない建物や物をとても珍しそうに見ていた
そうしているうちに、街の中でも一番大きな建物に着いた
「・・・デカいとこだな」
「ああ・・・」
ユーリもフレンも想像以上の広さと大きさがあるこの建物を見て呆然としていた
「お帰りなさい。二人共」
突然女性の声が聞こえ視線を戻すとセイとフキの前にリアと同じ年くらいのピンクの髪をした女性がいた
セイとフキはその女性と数言話すとユーリとフレンに向き合った
「リアの部屋まではイサキに案内して貰ってくれ」
「「イサキ?」」
ふとその名前に聞き覚えがあり二人はイサキと呼ばれた女性に目を移すとにこりと笑った
「久しぶりね、二人共」
「お前、もしかして・・・」
「あのイサキ、かい?」
「ええ」
イサキはまたにこりと微笑み返した
ユーリとフレンは彼女の事を知っていた
子供の頃にリアを尋ねて下町にやって来た事がありリアの友達だと聞いてその後も何度か会った事があったが、こうして会うのは数年振りだった
「イサキも言霊使いだったのか」
「まだ見習いだけどね」
「見習いってレベルじゃないと思うぞ」
「リアやセイと比べたら私なんてまだ見習いレベルでしょ」
「それでもリアの護衛役だろ」
ユーリは以前リアからイサキも言霊使いだという事は聞いていたが、リアの護衛役と聞いて少しだけ目を瞠ってしまい、フレンはイサキがリアの友達だと言う事は知っていても言霊使いだと言う事を知らなかった、そしてユーリと一緒でリアの護衛役と言うのを聞いて驚いていた
「そういう事だから此処からは護衛役のイサキにリアんとこまで連れてって貰ってくれ」
「俺達は少しやる事があるからな」
「じゃあイサキ、頼んだぜ」
「ええ。じゃあ私達も行きましょうか」
言うとセイとフキは先に家の中へと入って行き、イサキの言葉を聞きユーリとフレンもイサキの後に続いた
中は外から見た時よりかなりの広さがあった
どうやらリアがいる場所は今居る建物の隣の建物の一室にいるようで渡り廊下を通って更に奥へと進み、ある一室の前で止まった
「此処がリアが休んでる部屋よ」
その言葉を聞き自然と歩みが止まり、イサキはそんな二人をちらりと見て部屋の中にいるリアに呼び掛けた
「リア、今大丈夫?」
「イサキ? うん、大丈夫よ」
リアの返事が返って来るとユーリとフレンは一瞬だけ息を詰めた
「ほら、二人とも」
イサキはそれを見て小さく笑うと二人に声を掛け襖を開ける事を目で訴え、ユーリとフレンはゆっくりと襖を開ける
襖を開けると上着を軽く羽織って布団の上に座って本を読んでいるリアの姿があった
「「・・・リア」」
「・・・え?」
ユーリとフレンはぽつりとリアの名を呼ぶとリアはその声に驚いて目を瞠りゆっくりと入り口の方に視線を向ける
「・・・ユーリ・・? ・・フレン・・・?」
「久しぶりだな」「久しぶりだね」
「どうして、此処に・・・?」
優しく微笑んで言うとリアは驚いた顔のまま質問を振り、それを見てイサキは小さく微笑んで襖を閉めて部屋を離れて行く
「セイに連れて来て貰ったんだよ」
「兄さんに?」
「ああ。部屋までの案内はイサキにだけどね」
リアがいる所までやって来て座って話しをするとリアはまだ二人が此処にいる事に驚いたままの顔をしていた
此処にユーリとフレンが来る事はセイとフキ、そしてイサキもアスラもリアには黙っていた
言うとリアも変に気を遣うと言う事も解っていたからセイ達はリアに言っていなかった
「もう大丈夫なのか」
「うん。傷もなくなったし、体力もだいぶ戻ってきたし」
「そっか。良かった」
リアの言葉を聞きユーリもフレンも、そしてリア自身も安堵していた
皆からユーリもリアも無事だと聞いていたが、こうしてお互いに無事を確認出来て更に安堵出来た
が、ユーリとフレンは直ぐに表情を曇らせた
「「リア、ごめん」」
「え?」
急に謝られた事に疑問を持って首を傾げて二人を見るととてもツラそうな顔をしていた
「守ってやれなくてごめんな」
「ううん。ユーリもフレンも私を助けてくれたよ」
「けど」
リアは静かに首を横に振り二人を見て静かに告げた
「ユーリとフレンはずっと私の事護っててくれたよ。私が気を失ってる時も、みんなが必死に私の事呼び続けてた。けど、その中でも一番ユーリとフレンがずっと私の事呼び続けてくれてたの、ちゃんと聞こえたよ。だから私は此処に帰って来る事が出来たの」
「「リア・・・、!」」
リアの言葉に驚いたままでいるとリアが二人の胸に顔を埋めた
(ユーリとフレンが呼び続けてくれてる声が聞こえてなかったら、シエラさんが言ってた通り私は此処に戻って来る事が出来なかった。だから、)
「ありがとう。ユーリ、フレン」
リアの言葉を聞き、ユーリとフレンも微笑んでリアを抱きしめた
そして、
「「おかえり」」
「・・・ただいま」
そう言うとリアは二人の背中に腕を回し、ユーリもフレンもリアを抱き締め、互いに存在を確かめ微笑み返した
*
「・・・そっか。そう言う事だったのね」
暫くしてリアはユーリとフレンが此処に来た事を聞いた
そして今外がどういう状況になっているのかも
「なら、私も兄さんも一緒に行くよ」
「あ、リア」
「?」
「これ」
「!」
準備をしようと思い立ち上がろうとしているとフレンがリアを呼び止めユーリが手にしている物を見て思わず目を瞠った
ユーリが持っていたものは、リアがいつも身に付けているあのリボンだった
「これ、何処にあったの?」
「ヘラクレスだよ」
そう言われリアは記憶を辿ったがいつ落としたのか解らなかったが、ユーリからそのリボンを受け取り大事そうに胸の前で握った
「良かった、見つかって・・・」
それを見てユーリもフレンも自然と微笑んでいた
「リア、入るよ」
すると襖の向こうからアスラの声が聞こえ、返事を返すとアスラ、セイ、フキ、イサキが入って来た
「話しは終わったか」
「ああ。丁度な」
「こっちも話し付けて着たぞ」
ユーリの言葉を聞くとセイはリアの方を向きそう言うとこれからの事を先に話して来てくれたのだと理解し頷いた
「詳しい事は準備しながら話すよ」
「じゃあ行こう、リア」
「うん。じゃあユーリ、フレン、後でね」
言うとリアは立ち上がってアスラとイサキと共に部屋を後にした
そして準備を終えたリア達はエステル達がいる所に向かって行った
「?」
セイがユーリとフレンを連れて言霊使いの故郷に向かった時と同じような感じがして、エステル達はそこを見た
「・・・ぁ、」「「「「「「・・・!」」」」」」
そこを見るとユーリとフレン、セイとフキとアスラ、そして、ユーリとフレンの間にいる人物を見てエステル達は驚いた顔をしていた
「ただいま、みんな」
「っ、リア!!」「リアぁ!」
そしてリアはそんなエステル達を見て優しく微笑み、エステルとカロルは目に涙を浮かべリアの名前を呼び、リアの元に行きそのまま抱きついた
続く
あとがき
書き終わったぁ・・・
何故かすっっっっごい悩んでしまって、下書きで考えてたやつとめっちゃ違う仕上がりになりましたι
とりあえず、リアちゃん、無事にユーリとフレンに会えて良かった!
エステル達とも会えて良かった!
エステルとカロルは絶対にああいう反応をしてくれるだろうと思ってww
この辺りは次回の頭でちょっと書こうかと思ってます
2011.06.15
ゾフェル氷刃海に向かったオレ達はそこで精霊という存在を生み出した
精霊に関してはリタがまだ色々と模索してるみたいだからその辺はとりあえず置いとくとして・・・
ゾフェル氷刃海のエアルクレーネに向かっている途中でカロルが
「これが終わったら、リア達を迎えに行こうよ」
と言った
それには此処に居た誰もが同意した
実際に無事とは連絡が来ていてもみんなリアの姿を見るまでは安心出来ねえだろうしな
その事をレイヴンがセイ達と連絡を取り合う時に使う方法で連絡を取り、精霊化を終わらせゾフェルを抜けようとしている時にセイから連絡が来てオレ達はリア達に会う事になった
が、セイからはある条件付きで、と言われ、その条件を満たす為、オレ達はある森の中にいた
103.Place to come back through -帰る場所-
「本当に此処であってるの?」
森の中を歩いているとカロルが先頭を歩いていたレイヴンにそう振った
「セイからの指示じゃ此処で間違いないんだけどねえ」
「でもどう見たってただの森よ?」
「なーんの変哲もないただの森、じゃな」
「強いて言えば魔物がいない事、かしらね」
「そう言やあんま見かけねえな」
ジュディスの言う通り、此処に来る時に魔物とあまり会っていなかった
「だから此処で待ち合わせたんじゃない?」
「ワン!」
「ユーリ、みんな、こっちです」
ラピードの声が聞こえた後にエステルの声が聞こえ見ると、少しだけ広くなった所にエステルとラピード、そしてフレンがいた
「エステルの方が早く着いたみたいだね」
「はい。ラピードが此処まで案内してくれたんです」
「ワフっ」
「ユーリもみんなも元気そうだな」
「お前も相変わらずだな」
ユーリが無事だった事はフレンもエステルから聞かされていて、彼等といつも通り接しているユーリを見てフレンも安堵した
「それで、セイからの条件って何だったの?」
「ああ、それは」
レイヴンが話しをしようとしているとガサッと音が聞こえ振り向くと
「揃ってるな」
「みんな久しぶりだな」
「セイ、フキ!」
セイとフキがユーリ達の方へ歩いて来ていた
「久しぶりじゃの、セイ兄、フキ」
「ああ。お前達も相変わらず元気そうだな」
再会の挨拶を済ますと直ぐにフレンが話しを戻した
「セイ、リアに会うにはある条件が必要だと言っていたな」
「ああ」
「その条件がユーリとフレンを連れて来る事、よね」
「え、そうだったの?」
「だからエステルがフレンを迎えに行っていたのね」
この森に来る前にエステルは帝都の近くでフィエルティア号から降り、ラピードも一緒にフレンを迎えに行った
「じゃあこれからリアに会えるって事だよね」
「・・・ああ。俺達、言霊使いの故郷で、な」
「じゃあさっさと」
「だが、故郷に入れるのはユーリとフレンだけだ」
「「え?」」
フキの言葉を聞き、その場にいた誰もが驚いてしまう
「え、ど、どう言う事?」
「私達は行けないっと言う事かしら」
「ああ」
「うちらが信用出来んのか?」
「そうじゃない。本来故郷は言霊使い以外の人間が立ち入る事は禁止されている」
「だから、条件付きって訳」
「ああ」
言ってセイはユーリとフレンを見てレイヴンはセイとフキの言う意味が解った
「成る程ねぇ。リアちゃんやセイ達が最も信頼している相手、ね」
「「・・・・」」
「そう言う理由で了承を得たのがお前達だけだ」
「それに故郷に入るにはこの人数は色々とキツイからな」
多くは語れないのか、それ以上は何も言わなかったが、それでもリア達の絆を知っているエステル達も納得した
「解りました。わたし達は此処で待っています」
「エステリーゼ様?」
「きっとリアもユーリとフレンが来るのを待っていると思うんです」
「私もそう思うわ。早く行ってあげて」
「あたし達は適当に時間潰してるからさっさと行って来なさい」
「うちは此処で美味いおでんを作って待っておるぞ」
「ワン!」
「魔物もいないから、ボク達なら大丈夫だよ」
「いざとなったらおっさんを囮にして逃げるから」
「リタっちぃ!? そりゃないでしょぉ!!」
「ははっ、解ったよ」
仲間達のやり取りを見てユーリとフレンは同時に笑い、セイとフキの所まで行った
ユーリとフレンが来たのを確認するとフキは言霊使いの故郷へと続く扉を開いた
「ラピード、俺達が戻って来るまで此処の事頼んだぞ」
「ワン!!」
ラピードにそう告げ返事を聞くと、セイ達は扉を越えて故郷へと入った
「着いたぞ」
フキの言葉でユーリとフレンは目を開けた
「此処が、リアとセイの故郷、なのか?」
「ああ」
目の前に広がっている光景は先程の森と、そしてユーリ達が普段暮らしている所とはまた違う古風な民家や建物が見えた
「此処は、街外れかい?」
「ああ。流石に言霊使いが出入りしてる出口と同じ所に繋ぐ訳にはいかなかったからな」
「リアとセイの他にもいるのか?」
「そりゃな。けど流石に人目に付くと色々とマズイから本家の近く繋いでるから安心しろ」
言ってセイとフキは歩き出し、ユーリとフレンもその後に続いた
移動中ユーリもフレンも今までに見た事のない建物や物をとても珍しそうに見ていた
そうしているうちに、街の中でも一番大きな建物に着いた
「・・・デカいとこだな」
「ああ・・・」
ユーリもフレンも想像以上の広さと大きさがあるこの建物を見て呆然としていた
「お帰りなさい。二人共」
突然女性の声が聞こえ視線を戻すとセイとフキの前にリアと同じ年くらいのピンクの髪をした女性がいた
セイとフキはその女性と数言話すとユーリとフレンに向き合った
「リアの部屋まではイサキに案内して貰ってくれ」
「「イサキ?」」
ふとその名前に聞き覚えがあり二人はイサキと呼ばれた女性に目を移すとにこりと笑った
「久しぶりね、二人共」
「お前、もしかして・・・」
「あのイサキ、かい?」
「ええ」
イサキはまたにこりと微笑み返した
ユーリとフレンは彼女の事を知っていた
子供の頃にリアを尋ねて下町にやって来た事がありリアの友達だと聞いてその後も何度か会った事があったが、こうして会うのは数年振りだった
「イサキも言霊使いだったのか」
「まだ見習いだけどね」
「見習いってレベルじゃないと思うぞ」
「リアやセイと比べたら私なんてまだ見習いレベルでしょ」
「それでもリアの護衛役だろ」
ユーリは以前リアからイサキも言霊使いだという事は聞いていたが、リアの護衛役と聞いて少しだけ目を瞠ってしまい、フレンはイサキがリアの友達だと言う事は知っていても言霊使いだと言う事を知らなかった、そしてユーリと一緒でリアの護衛役と言うのを聞いて驚いていた
「そういう事だから此処からは護衛役のイサキにリアんとこまで連れてって貰ってくれ」
「俺達は少しやる事があるからな」
「じゃあイサキ、頼んだぜ」
「ええ。じゃあ私達も行きましょうか」
言うとセイとフキは先に家の中へと入って行き、イサキの言葉を聞きユーリとフレンもイサキの後に続いた
中は外から見た時よりかなりの広さがあった
どうやらリアがいる場所は今居る建物の隣の建物の一室にいるようで渡り廊下を通って更に奥へと進み、ある一室の前で止まった
「此処がリアが休んでる部屋よ」
その言葉を聞き自然と歩みが止まり、イサキはそんな二人をちらりと見て部屋の中にいるリアに呼び掛けた
「リア、今大丈夫?」
「イサキ? うん、大丈夫よ」
リアの返事が返って来るとユーリとフレンは一瞬だけ息を詰めた
「ほら、二人とも」
イサキはそれを見て小さく笑うと二人に声を掛け襖を開ける事を目で訴え、ユーリとフレンはゆっくりと襖を開ける
襖を開けると上着を軽く羽織って布団の上に座って本を読んでいるリアの姿があった
「「・・・リア」」
「・・・え?」
ユーリとフレンはぽつりとリアの名を呼ぶとリアはその声に驚いて目を瞠りゆっくりと入り口の方に視線を向ける
「・・・ユーリ・・? ・・フレン・・・?」
「久しぶりだな」「久しぶりだね」
「どうして、此処に・・・?」
優しく微笑んで言うとリアは驚いた顔のまま質問を振り、それを見てイサキは小さく微笑んで襖を閉めて部屋を離れて行く
「セイに連れて来て貰ったんだよ」
「兄さんに?」
「ああ。部屋までの案内はイサキにだけどね」
リアがいる所までやって来て座って話しをするとリアはまだ二人が此処にいる事に驚いたままの顔をしていた
此処にユーリとフレンが来る事はセイとフキ、そしてイサキもアスラもリアには黙っていた
言うとリアも変に気を遣うと言う事も解っていたからセイ達はリアに言っていなかった
「もう大丈夫なのか」
「うん。傷もなくなったし、体力もだいぶ戻ってきたし」
「そっか。良かった」
リアの言葉を聞きユーリもフレンも、そしてリア自身も安堵していた
皆からユーリもリアも無事だと聞いていたが、こうしてお互いに無事を確認出来て更に安堵出来た
が、ユーリとフレンは直ぐに表情を曇らせた
「「リア、ごめん」」
「え?」
急に謝られた事に疑問を持って首を傾げて二人を見るととてもツラそうな顔をしていた
「守ってやれなくてごめんな」
「ううん。ユーリもフレンも私を助けてくれたよ」
「けど」
リアは静かに首を横に振り二人を見て静かに告げた
「ユーリとフレンはずっと私の事護っててくれたよ。私が気を失ってる時も、みんなが必死に私の事呼び続けてた。けど、その中でも一番ユーリとフレンがずっと私の事呼び続けてくれてたの、ちゃんと聞こえたよ。だから私は此処に帰って来る事が出来たの」
「「リア・・・、!」」
リアの言葉に驚いたままでいるとリアが二人の胸に顔を埋めた
(ユーリとフレンが呼び続けてくれてる声が聞こえてなかったら、シエラさんが言ってた通り私は此処に戻って来る事が出来なかった。だから、)
「ありがとう。ユーリ、フレン」
リアの言葉を聞き、ユーリとフレンも微笑んでリアを抱きしめた
そして、
「「おかえり」」
「・・・ただいま」
そう言うとリアは二人の背中に腕を回し、ユーリもフレンもリアを抱き締め、互いに存在を確かめ微笑み返した
*
「・・・そっか。そう言う事だったのね」
暫くしてリアはユーリとフレンが此処に来た事を聞いた
そして今外がどういう状況になっているのかも
「なら、私も兄さんも一緒に行くよ」
「あ、リア」
「?」
「これ」
「!」
準備をしようと思い立ち上がろうとしているとフレンがリアを呼び止めユーリが手にしている物を見て思わず目を瞠った
ユーリが持っていたものは、リアがいつも身に付けているあのリボンだった
「これ、何処にあったの?」
「ヘラクレスだよ」
そう言われリアは記憶を辿ったがいつ落としたのか解らなかったが、ユーリからそのリボンを受け取り大事そうに胸の前で握った
「良かった、見つかって・・・」
それを見てユーリもフレンも自然と微笑んでいた
「リア、入るよ」
すると襖の向こうからアスラの声が聞こえ、返事を返すとアスラ、セイ、フキ、イサキが入って来た
「話しは終わったか」
「ああ。丁度な」
「こっちも話し付けて着たぞ」
ユーリの言葉を聞くとセイはリアの方を向きそう言うとこれからの事を先に話して来てくれたのだと理解し頷いた
「詳しい事は準備しながら話すよ」
「じゃあ行こう、リア」
「うん。じゃあユーリ、フレン、後でね」
言うとリアは立ち上がってアスラとイサキと共に部屋を後にした
そして準備を終えたリア達はエステル達がいる所に向かって行った
「?」
セイがユーリとフレンを連れて言霊使いの故郷に向かった時と同じような感じがして、エステル達はそこを見た
「・・・ぁ、」「「「「「「・・・!」」」」」」
そこを見るとユーリとフレン、セイとフキとアスラ、そして、ユーリとフレンの間にいる人物を見てエステル達は驚いた顔をしていた
「ただいま、みんな」
「っ、リア!!」「リアぁ!」
そしてリアはそんなエステル達を見て優しく微笑み、エステルとカロルは目に涙を浮かべリアの名前を呼び、リアの元に行きそのまま抱きついた
続く
あとがき
書き終わったぁ・・・
何故かすっっっっごい悩んでしまって、下書きで考えてたやつとめっちゃ違う仕上がりになりましたι
とりあえず、リアちゃん、無事にユーリとフレンに会えて良かった!
エステル達とも会えて良かった!
エステルとカロルは絶対にああいう反応をしてくれるだろうと思ってww
この辺りは次回の頭でちょっと書こうかと思ってます
2011.06.15