救出編
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「本当に行くの?」
「ええ・・・」
昨日はあのまま気を失ってしまったから身体を休めると言う事も含めこの部屋で休む事になった
勿論ユーリ達、そして無事に助け出す事が出来たエステル、食堂に隠れていた下町のみんなやずっと外で戦っていたフレンと隊員の人達、協力した騎士の人達も戻って来て城で身体を休めていた
翌朝、目が覚めた私は兄さんとアスラとフキと話しをしていた
それはユーリ達がこれから向かうあのザウデ不落宮に行くか否かと言う事についてだった
「まだ万全じゃない。無理はやめておけ」
「解ってる。だけど、ケリを付けなきゃいけないのは私も兄さんもアスラもフキもみんなもでしょ?」
「・・まあ、な」
アレクセイにケリを付けにユーリ達はザウデへと向かう
でも、私も私自身、そして今までの事を含めてアレクセイにケリを付けにいかなきゃいけない
それは兄さん達も同じはず
けどこれ以上私に無理をさせないようにしたいと言う兄さん達の気持ちも解る
エステルもまだ万全な状態じゃないし、遠出する事が出来なくなったとアスラから聞いた
それでもエステルはユーリ達と一緒に行くだろう
エステルも私と同じ思いを抱いてるはずだから・・・
「解った。その代わり、俺達やユーリの側から離れるなよ」
「兄さん」
私の真剣な目を見て兄さんは暫く考えた後、息を吐いてそう言ってくれた
「じゃ、そろそろ行こう。みんな待ってるよ」
「うん」
優しく微笑んでいる兄さん、アスラ、フキを見て私もニコリと微笑み返し、準備をしてユーリ達が待っている街の出口へと向かった
(帝都も元通りになったんだね)
街の出口へと向かう途中、周りを見て安堵して胸を撫で下ろした
あの時見た景色ではどうなっていたかまったく解らなかったけど、兄さんやアスラから帝都の街の中がどうなっていたか、そして帝都を包んでいたエアルがなくなった後どうなったかも聞いた
だけどやっぱり自分の目で見るまでは安心出来なかったって言うのが正直な所だったから見慣れた景色になって安堵していると街の出口が見えた
そこには既にユーリ達が揃っていて、エステルもいた
「やっぱりエステルも来てたね」
「うん。みんな!」
アスラの言葉に頷いて私はみんなに声を掛けると驚いた顔をして私を見た
「リア! どうして此処に?」
「どうしてって、ザウデに向かうんでしょ」
「向かうんでしょって、まさかリアも来る・・とか言い出さないわよね」
「そのまさか、だ」
リタが少しだけ言葉を濁しながら聞くとさらりと答えたのは隣にいる兄さんだった
「え、だって、まだ体調悪いんでしょ」
「無理はいかんのじゃ」
「さっきユーリが言ってなかった。無理無茶禁止は意味ないって」
「・・・・」
それを聞きユーリ達は言葉を失ってしまう
「私もエステルと同じよ。自分自身や色々な事を含めてアレクセイとはケリを付けなきゃいけない。だから一緒に行く」
「リア・・・」
真剣な目をして言う私を見てエステルが私を見た
そしてそのまま微笑み返しユーリを見るとユーリは兄さんとアスラを見た
「大丈夫だよ。ちゃん条件付きでボク達は了承したから」
「条件、です?」
「俺達の側から離れるな。無茶がどうこう言うのは今更だからな」
「・・・ははっ、成る程な」
兄さんの言葉にユーリはやっと表情を緩めて笑い私を見た
「そういう事ならオレは良いぜ。な、」
「ワン!」
隣にいるラピードに言うとラピードも返事を返し、エステルも微笑み、みんなも表情を緩めて笑っていた
「良かった、間に合ったようですね」
話しが纏まった所で、背後からヨーデル様の声が聞こえ振り返るとフレンと一緒に私達の所へやって来た
「あれ、ヨーデル殿下、フレンも?」
「殿下御自らに見送って貰えるとは恐縮だね」
「また君はそんな事を・・・」
「聞いているかもしれませんが、騎士団は船の調達が遅れていて、まだ出撃出来ません。本来、騎士団が率先してすべき事を民間人である皆さんが担っている。帝国の指導者として申し訳ないと思っています」
「気にすんな。別に騎士団や帝国の為にやってんじゃねえんだ」
「代わりと言ってはなんですが、こちらのフレンを連れて行って下さい」
「「え?」」
「殿下!?」
ヨーデル様はニコリとして私達にそう告げ、その言葉に私達、そして当人であるフレンも驚いてヨーデル様を見た
「今やフレンは名実共に最高の騎士です。必ずお役に立つはず、そうですね?」
「ぼ・・・私は騎士団を指揮しなければなりません」
「騎士団には準備が整い次第、後を追わせます。その位、部下に任せても大丈夫ですよ。それに、誰よりも貴方自身がアレクセイと直に決着を着けたいとそう願っているのではないですか?」
「殿下・・・」
「帝権を代行する者としてヨーデル・アルギロス・ヒュラッッセインが命じます。帝国騎士フレン・シーフォ、ギルド凛々の明星と力を合わせアレクセイを止めなさい」
「・・・はい!」
ヨーデル様の言葉を聞き、フレンは感謝の気持ちを込めて気を引き締め返事を返し私達の前へやって来た
「そう言う訳だ。よろしく頼むよ、ユーリ」
「どうせ断ったって勝手に着いてくんだろ?」
その言葉にフレンは頷き、みんなニコリと笑った
「さて、問題は海の彼方のザウデにどーやって行くか、かねぇ」
「そこはぬかりないのじゃ。のう、ジュディ姐」
「ええ、まだ大事な仲間が残っているわ」
途端空からバウルの鳴き声が聞こえた
「バウル? もう良いのか?」
「言ったでしょ、強い子だって」
「見ろ、ちゃんとフィエルティア号もあるぞ!」
「なにもかも準備万端って訳だ。行こうぜ、決戦だ!」
「「「ええ」」」「「ああ!」」「うん」「はい!」「おー!」「あいよ!」「なのじゃ!」「ワン!」
ユーリの言葉に私達は一斉に返事を返し、街の外に降りて来たバウルに挨拶をしてフィエルティア号に乗ってザウデへと向かった
95.ザウデ潜入
「あれがザウデか。でかいな」
「なんか指輪みたいな形だね」
「あれ指にはめられる奴なら確かに世界を支配出来るかもねえ」
「アレクセイの指には絶対、はめさせないのじゃ」
「見つからずに済むかな」
「・・・・」
フィエルティア号に乗り込みバウルでザウデの上空までやって来てみんなの言葉を聞きながらじっとザウデを見つめた
「リア?」
「あ、ううん、何でも」
「ちょっと、あれ! あそこ!」
じっと見ていると肩に乗っていたアスラが私の様子に気が付き覗き込んだけど、直ぐにそう返事を返すとリタが何かを見つけそう言った
「フェロー・・・」
そこにフェローがいた
フェローはザウデの方へ飛んで行き、頂上にある大きな魔刻に近付こうとしていたが、ザウデの魔刻から発射される光線を避けつつ、何とか魔刻に近付きエアルを吸収し始める
だが上空の魔刻に光が投射され巨大な魔方陣が展開され、フェローは吹き飛ばされてしまい、そのまま退散してしまった
「フェローが・・・」
「フェローほどの力を持った始祖の隷長は殆どいないのに」
「それが手も足も出ないたあ、どんだけヤバイのよ、あれ」
「エアルレベルで干渉して再構成したのよ・・・なんて処理能力」
「あれがアレクセイの求めた力なのか・・・?」
「「「・・・・」」」
私と兄さんとアスラはそのままザウデへと視線を移した
ザウデ不落宮、あれを見ているとずっと警鐘が鳴り響いている
隣にいる兄さんを見ると兄さんも何かを感じているのか少しだけ険しい表情を浮かべていた
私は胸の前に手を持って行きギュッと握った
「低空で侵入しよう。フェローにゃ悪いが、今ならアレクセイの目は上向いてる」
「フェロー・・・ありがとう」
ユーリの判断に私達は頷き、低空でザウデへ進入した
ザウデに着くと入り口を親衛隊が固めていて突破する事が難しく、少し離れた所にある通風孔から中に潜入した
「・・・綺麗」
中はとても神秘的で水の流れる音が響いていてとても綺麗な所だった
けど作りを見る限りシャイコス遺跡と同じくらいの技術で出来た建物だと思った
(・・・こんなものが海の底にあったなんて・・・)
色々と古い文献を読んだ事はあったけど、どの文献にもザウデの事は書かれていなかったと思う
そして何より、こんなに綺麗で神秘的なものが本当に魔導器なのか、少し疑問に思った
「リア、どうしたの。さっきから難しい顔して」
ザウデの中を歩いて暫くするとアスラが私の様子に気が付き顔を覗き込み、隣にいた兄さんも私を見た
「うん・・。此処ってこんなに綺麗な所だけど兵装魔導器、なんだよね」
「・・・うん。多分、ゲライオス文明の末期に出来たものだと思う」
「アレクセイはこの魔導器を使って世界を支配しようとしてる。この大きさで何かやろうとしてるなら・・・」
「エアルはもっと乱れ、世界は確実に崩壊するだろうな」
兄さんの言葉に小さく頷いた
本当にこのザウデが兵装魔導器だというならザウデの本当の威力がどれほどのものなのかが気になる
多分さっきフェローに向けて放っていた威力の数倍の威力があるのだろう
今、これだけエアルが乱れているのだから、もし、ザウデの力を使ったら本当に世界は壊れてしまうかもしれない・・・
そう思っていると、目の前に一際大きな扉が目に入った
先頭を歩いていたユーリとフレンがその扉を開け中に入り私達もその後に続いた
此処はザウデの中央なのかかなり広くなっていて、窓の外には綺麗な海の色と魚や珊瑚礁などが見え、更に神秘的なものを感じた
「綺麗・・・」
「ほんと、武器の中とは思えないよね」
エステルとカロルの言葉に私達は自然と頷いていた
(・・・この神秘的な風景、そして海・・・此処って)
パチパチパチ
「!?」
この景色の事を考えていると急に拍手する音が聞こえその方向を見ると
「ブラボー、ブラーボー」
聞き覚えのある声が聞こえ、柱の陰から見覚えのある人物が出て来た
「エクセレント! 研ぎ澄まされた勘と野生の嗅覚、実にエクセレント」
「イエガー・・・」「イエガー!!」
柱の陰から出て来たのはあの海凶の爪の首領、イエガーだった
(何でイエガーがこんな所に? それに、いつも一緒にいるあの子達がいない・・・?)
イエガーの側には必ずと言って良いほど、ゴーシュとドロワットがいる
だけど、何故か此処にはいなかった
「今度は何? アレクセイの居場所でも教えてくれるの?」
「イエース、教えて差し上げます。地獄 への行き方をね!」
そう思っているとリタが怪訝そうな顔をしてイエガーにそう尋ねたがイエガーはニヤリと笑い武器を構え、それを見て私達は一斉に警戒を強めた
「・・・此処に来てどういう風の吹き回しよ?」
「フォーゴットン? もとよりミーとユー達は敵同士。いつかはこうなるデスティニー」
「また罠なんじゃ・・・?」
「てめえの言う通りだ。オレ達は敵同士。良いぜ。決着 付けてやる」
「グッドアンサー! カモン!」
「上等!!」
私達が武器を構えたのを見るとイエガーは来いと言うように合図を出し、ユーリ達は一斉に駆け出した
続く
あとがき
ヨーデルのお陰でフレンもユーリ達と一緒にアレクセイにケリを付けに行けるようになった所は見ててホント嬉しかったですね!
さて、救出編もそろそろ架橋です!
次回の話しのラストの方からもまたもや展開があると思いますのでお楽しみに!!
2011.05.18
「ええ・・・」
昨日はあのまま気を失ってしまったから身体を休めると言う事も含めこの部屋で休む事になった
勿論ユーリ達、そして無事に助け出す事が出来たエステル、食堂に隠れていた下町のみんなやずっと外で戦っていたフレンと隊員の人達、協力した騎士の人達も戻って来て城で身体を休めていた
翌朝、目が覚めた私は兄さんとアスラとフキと話しをしていた
それはユーリ達がこれから向かうあのザウデ不落宮に行くか否かと言う事についてだった
「まだ万全じゃない。無理はやめておけ」
「解ってる。だけど、ケリを付けなきゃいけないのは私も兄さんもアスラもフキもみんなもでしょ?」
「・・まあ、な」
アレクセイにケリを付けにユーリ達はザウデへと向かう
でも、私も私自身、そして今までの事を含めてアレクセイにケリを付けにいかなきゃいけない
それは兄さん達も同じはず
けどこれ以上私に無理をさせないようにしたいと言う兄さん達の気持ちも解る
エステルもまだ万全な状態じゃないし、遠出する事が出来なくなったとアスラから聞いた
それでもエステルはユーリ達と一緒に行くだろう
エステルも私と同じ思いを抱いてるはずだから・・・
「解った。その代わり、俺達やユーリの側から離れるなよ」
「兄さん」
私の真剣な目を見て兄さんは暫く考えた後、息を吐いてそう言ってくれた
「じゃ、そろそろ行こう。みんな待ってるよ」
「うん」
優しく微笑んでいる兄さん、アスラ、フキを見て私もニコリと微笑み返し、準備をしてユーリ達が待っている街の出口へと向かった
(帝都も元通りになったんだね)
街の出口へと向かう途中、周りを見て安堵して胸を撫で下ろした
あの時見た景色ではどうなっていたかまったく解らなかったけど、兄さんやアスラから帝都の街の中がどうなっていたか、そして帝都を包んでいたエアルがなくなった後どうなったかも聞いた
だけどやっぱり自分の目で見るまでは安心出来なかったって言うのが正直な所だったから見慣れた景色になって安堵していると街の出口が見えた
そこには既にユーリ達が揃っていて、エステルもいた
「やっぱりエステルも来てたね」
「うん。みんな!」
アスラの言葉に頷いて私はみんなに声を掛けると驚いた顔をして私を見た
「リア! どうして此処に?」
「どうしてって、ザウデに向かうんでしょ」
「向かうんでしょって、まさかリアも来る・・とか言い出さないわよね」
「そのまさか、だ」
リタが少しだけ言葉を濁しながら聞くとさらりと答えたのは隣にいる兄さんだった
「え、だって、まだ体調悪いんでしょ」
「無理はいかんのじゃ」
「さっきユーリが言ってなかった。無理無茶禁止は意味ないって」
「・・・・」
それを聞きユーリ達は言葉を失ってしまう
「私もエステルと同じよ。自分自身や色々な事を含めてアレクセイとはケリを付けなきゃいけない。だから一緒に行く」
「リア・・・」
真剣な目をして言う私を見てエステルが私を見た
そしてそのまま微笑み返しユーリを見るとユーリは兄さんとアスラを見た
「大丈夫だよ。ちゃん条件付きでボク達は了承したから」
「条件、です?」
「俺達の側から離れるな。無茶がどうこう言うのは今更だからな」
「・・・ははっ、成る程な」
兄さんの言葉にユーリはやっと表情を緩めて笑い私を見た
「そういう事ならオレは良いぜ。な、」
「ワン!」
隣にいるラピードに言うとラピードも返事を返し、エステルも微笑み、みんなも表情を緩めて笑っていた
「良かった、間に合ったようですね」
話しが纏まった所で、背後からヨーデル様の声が聞こえ振り返るとフレンと一緒に私達の所へやって来た
「あれ、ヨーデル殿下、フレンも?」
「殿下御自らに見送って貰えるとは恐縮だね」
「また君はそんな事を・・・」
「聞いているかもしれませんが、騎士団は船の調達が遅れていて、まだ出撃出来ません。本来、騎士団が率先してすべき事を民間人である皆さんが担っている。帝国の指導者として申し訳ないと思っています」
「気にすんな。別に騎士団や帝国の為にやってんじゃねえんだ」
「代わりと言ってはなんですが、こちらのフレンを連れて行って下さい」
「「え?」」
「殿下!?」
ヨーデル様はニコリとして私達にそう告げ、その言葉に私達、そして当人であるフレンも驚いてヨーデル様を見た
「今やフレンは名実共に最高の騎士です。必ずお役に立つはず、そうですね?」
「ぼ・・・私は騎士団を指揮しなければなりません」
「騎士団には準備が整い次第、後を追わせます。その位、部下に任せても大丈夫ですよ。それに、誰よりも貴方自身がアレクセイと直に決着を着けたいとそう願っているのではないですか?」
「殿下・・・」
「帝権を代行する者としてヨーデル・アルギロス・ヒュラッッセインが命じます。帝国騎士フレン・シーフォ、ギルド凛々の明星と力を合わせアレクセイを止めなさい」
「・・・はい!」
ヨーデル様の言葉を聞き、フレンは感謝の気持ちを込めて気を引き締め返事を返し私達の前へやって来た
「そう言う訳だ。よろしく頼むよ、ユーリ」
「どうせ断ったって勝手に着いてくんだろ?」
その言葉にフレンは頷き、みんなニコリと笑った
「さて、問題は海の彼方のザウデにどーやって行くか、かねぇ」
「そこはぬかりないのじゃ。のう、ジュディ姐」
「ええ、まだ大事な仲間が残っているわ」
途端空からバウルの鳴き声が聞こえた
「バウル? もう良いのか?」
「言ったでしょ、強い子だって」
「見ろ、ちゃんとフィエルティア号もあるぞ!」
「なにもかも準備万端って訳だ。行こうぜ、決戦だ!」
「「「ええ」」」「「ああ!」」「うん」「はい!」「おー!」「あいよ!」「なのじゃ!」「ワン!」
ユーリの言葉に私達は一斉に返事を返し、街の外に降りて来たバウルに挨拶をしてフィエルティア号に乗ってザウデへと向かった
95.ザウデ潜入
「あれがザウデか。でかいな」
「なんか指輪みたいな形だね」
「あれ指にはめられる奴なら確かに世界を支配出来るかもねえ」
「アレクセイの指には絶対、はめさせないのじゃ」
「見つからずに済むかな」
「・・・・」
フィエルティア号に乗り込みバウルでザウデの上空までやって来てみんなの言葉を聞きながらじっとザウデを見つめた
「リア?」
「あ、ううん、何でも」
「ちょっと、あれ! あそこ!」
じっと見ていると肩に乗っていたアスラが私の様子に気が付き覗き込んだけど、直ぐにそう返事を返すとリタが何かを見つけそう言った
「フェロー・・・」
そこにフェローがいた
フェローはザウデの方へ飛んで行き、頂上にある大きな魔刻に近付こうとしていたが、ザウデの魔刻から発射される光線を避けつつ、何とか魔刻に近付きエアルを吸収し始める
だが上空の魔刻に光が投射され巨大な魔方陣が展開され、フェローは吹き飛ばされてしまい、そのまま退散してしまった
「フェローが・・・」
「フェローほどの力を持った始祖の隷長は殆どいないのに」
「それが手も足も出ないたあ、どんだけヤバイのよ、あれ」
「エアルレベルで干渉して再構成したのよ・・・なんて処理能力」
「あれがアレクセイの求めた力なのか・・・?」
「「「・・・・」」」
私と兄さんとアスラはそのままザウデへと視線を移した
ザウデ不落宮、あれを見ているとずっと警鐘が鳴り響いている
隣にいる兄さんを見ると兄さんも何かを感じているのか少しだけ険しい表情を浮かべていた
私は胸の前に手を持って行きギュッと握った
「低空で侵入しよう。フェローにゃ悪いが、今ならアレクセイの目は上向いてる」
「フェロー・・・ありがとう」
ユーリの判断に私達は頷き、低空でザウデへ進入した
ザウデに着くと入り口を親衛隊が固めていて突破する事が難しく、少し離れた所にある通風孔から中に潜入した
「・・・綺麗」
中はとても神秘的で水の流れる音が響いていてとても綺麗な所だった
けど作りを見る限りシャイコス遺跡と同じくらいの技術で出来た建物だと思った
(・・・こんなものが海の底にあったなんて・・・)
色々と古い文献を読んだ事はあったけど、どの文献にもザウデの事は書かれていなかったと思う
そして何より、こんなに綺麗で神秘的なものが本当に魔導器なのか、少し疑問に思った
「リア、どうしたの。さっきから難しい顔して」
ザウデの中を歩いて暫くするとアスラが私の様子に気が付き顔を覗き込み、隣にいた兄さんも私を見た
「うん・・。此処ってこんなに綺麗な所だけど兵装魔導器、なんだよね」
「・・・うん。多分、ゲライオス文明の末期に出来たものだと思う」
「アレクセイはこの魔導器を使って世界を支配しようとしてる。この大きさで何かやろうとしてるなら・・・」
「エアルはもっと乱れ、世界は確実に崩壊するだろうな」
兄さんの言葉に小さく頷いた
本当にこのザウデが兵装魔導器だというならザウデの本当の威力がどれほどのものなのかが気になる
多分さっきフェローに向けて放っていた威力の数倍の威力があるのだろう
今、これだけエアルが乱れているのだから、もし、ザウデの力を使ったら本当に世界は壊れてしまうかもしれない・・・
そう思っていると、目の前に一際大きな扉が目に入った
先頭を歩いていたユーリとフレンがその扉を開け中に入り私達もその後に続いた
此処はザウデの中央なのかかなり広くなっていて、窓の外には綺麗な海の色と魚や珊瑚礁などが見え、更に神秘的なものを感じた
「綺麗・・・」
「ほんと、武器の中とは思えないよね」
エステルとカロルの言葉に私達は自然と頷いていた
(・・・この神秘的な風景、そして海・・・此処って)
パチパチパチ
「!?」
この景色の事を考えていると急に拍手する音が聞こえその方向を見ると
「ブラボー、ブラーボー」
聞き覚えのある声が聞こえ、柱の陰から見覚えのある人物が出て来た
「エクセレント! 研ぎ澄まされた勘と野生の嗅覚、実にエクセレント」
「イエガー・・・」「イエガー!!」
柱の陰から出て来たのはあの海凶の爪の首領、イエガーだった
(何でイエガーがこんな所に? それに、いつも一緒にいるあの子達がいない・・・?)
イエガーの側には必ずと言って良いほど、ゴーシュとドロワットがいる
だけど、何故か此処にはいなかった
「今度は何? アレクセイの居場所でも教えてくれるの?」
「イエース、教えて差し上げます。
そう思っているとリタが怪訝そうな顔をしてイエガーにそう尋ねたがイエガーはニヤリと笑い武器を構え、それを見て私達は一斉に警戒を強めた
「・・・此処に来てどういう風の吹き回しよ?」
「フォーゴットン? もとよりミーとユー達は敵同士。いつかはこうなるデスティニー」
「また罠なんじゃ・・・?」
「てめえの言う通りだ。オレ達は敵同士。良いぜ。
「グッドアンサー! カモン!」
「上等!!」
私達が武器を構えたのを見るとイエガーは来いと言うように合図を出し、ユーリ達は一斉に駆け出した
続く
あとがき
ヨーデルのお陰でフレンもユーリ達と一緒にアレクセイにケリを付けに行けるようになった所は見ててホント嬉しかったですね!
さて、救出編もそろそろ架橋です!
次回の話しのラストの方からもまたもや展開があると思いますのでお楽しみに!!
2011.05.18