サイト10周年記念小説
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「エアルクレーネも異常なさそうね」
「はい、各地の異常も見当たりません」
「他の街も異常なさそうよ」
ユーリ達はオルニオンを出た後、念の為に各地のエアルクレーネや各地の街や土地に異常がないか調べておく事にした
あのタルカロンの塔が出現して帝都があるイリキア大陸全土では身体に異変を感じている人が増えていた
それはタルカロンの側に現れたあの生命力を吸収する術式が発動しているからだった
異変や異常が無いと報告は受けてはいるが、それは一部だけの事ではあるので、念には念を、と言う事で一端各地の異常や異変がないかを調べていた
それぞれが調べていた所が異常が無いと解りフィエルティア号で報告を終え、異常が無い事に皆安堵していた
「んじゃ、一旦どっかの街で休憩にするか」
「なら、オルニオンはどう? 此処から一番近いし」
「そうだね。そうして貰えると助かるな。騎士団のみんなに報告もしておきたいし」
「なら念の為に食材も買い込んでおこう」
「そうだな。人数も人数だし、次の相手が相手だからな」
「じゃの。腹が減っては戦は出来ぬ、からの」
「それじゃあ一旦オルニオンに戻りましょう」
「うん」「ワン」
二人だけの内緒話
「・・・・・」
オルニオンに戻って来ると、宿で軽く休憩をした後、エステルとジュディスとパティは買い出しに行き、リアとセイとアスラは情報集めに行き、ユーリとラピードは街の様子を見に行き、カロルとレイヴンは資材運び等の手伝い、フレンは騎士団の様子と報告へと向かって行った
「・・・・」
そしてリタは宿屋の一室で明星二号のメンテナンスをしていた
「・・・良し、これで此処は大丈夫ね。後は・・・」
リタが研究やメンテナンスに没頭している間は、皆邪魔しないようにしていた
過去に何度かカロルやレイヴンが酷い目に遭っている事もあるし、集中しているのだからと皆邪魔しないように部屋を離れていた
「・・・良し、これで完璧ね」
メンテナンスは一時間くらいで終わった
外に出るとカロルとレイヴンとフレンはそれぞれ仕事をしていて買い出しに行ったエステル達も戻って来ていなかった
集合場所である街の入口の方にも誰かがいる気配はなく、まだ時間が掛かるだろうと思いリタはこの街のシンボルである結界魔導器の所に向かった
「・・・・・」
この結界魔導器はこの街を作る時に発掘されたものだった
魔刻がないので動いてはいないものの、街のシンボルになるだろう、と言う事でこのままこの場所に置いたそうだ
「マリア・・・」
「それ、その子の名前?」
「!」
ぽつりと呟いた言葉だったが、ふと別の声が聞こえ振り返るとリアがニコリと微笑みながら歩いて着て隣に並んだ
「可愛い名前ね」
「あ、ありがとう・・・///」
いつのも優しい笑顔を向けられ更に照れてその顔を見られないように視線を結界魔導器へと移す
「・・・あんた、こんな所で何してるのよ? セイとアスラと一緒じゃなかったの?」
「さっきまでは一緒だったよ。それでみんなの様子を見に来たの」
「まだ誰も戻ってきてないわよ。おっさんとがきんちょもフレンもまだ仕事してるみたいだし」
「エステル達ももう少し時間が掛かりそうだったよ」
「あんた、見てきたの?」
「少しだけね。買い物を楽しんでたから邪魔しちゃ悪いし」
「呑気なもんねー、これから決戦だってのに」
「少しくらい良いじゃない。気を張りすぎるより」
「まあ、ね」
そう言われ確かにいつも通りの事をしている方がみんならしいとリタも思ったのだった
「リタも明星二号のメンテナンスが終わったから此処・・・マリアの所に来たんでしょ」
「!/// あ、・・ぅ・・・/// そ、その名前は言わなくて良いから!///」
リアがマリアと言った事にリタは顔を赤くしてそう言うとリアは微笑みながら言葉を続ける
「せっかく可愛い名前なのに」
「///」
また可愛い名前と言われリタは照れてしまった
「でも、きっとマリアもリタに名前を付けて貰えて嬉しいと思うよ」
「そ、そう・・?///」
「ええ。魔導器を大事に思ってるリタが付けたんだから」
「あ、・・・ありが、と・・・///」
そう言われリタは嬉しさとテレが混ざったような顔をし、お礼を言った
「・・・こ、この事」
「?」
少し間が出来た後にぽつりと声が聞こえリアはリタを見た
「名前の事、・・エステル達には・・内緒にしてて///」
「うん、解った」
そう言われ安堵するも未だに顔が赤いリタはそれを誤魔化すかのように結界魔導器を見つめリアも同じように結界魔導器を見た
「・・・・・」
だが、リタは結界魔導器を見ながら何かを考えるような、何処か寂しそうな顔をしていた
「・・・ねえ、リタ、魔導器がなくなっちゃうのってやっぱり悲しい?」
唐突にそう言われリタは目を瞠ってしまう
「・・・正直に言えば、ね。あたしにとってこの子達は大事だし、魔導器の研究が生き甲斐だったんだから」
リアの言葉にどう答えるべきかと思っていたが、いつの間にかそう口にしていた
世界中の魔刻を精霊に変える、それはみんなで決断した答えだった
だが、魔導器は魔刻があって初めて起動するものであり魔導器の一部とも云っても良いもの
本体は残ると言っても、何処かで寂しさをリタ自身も感じていた
だからリアの言葉に驚いてしまったが、思っている事を素直に話した
「・・・そうだよね」
だが、質問をしたリアも何処か悲しそうに笑っていた
「・・・なんであんたまでそんな顔してるのよ」
「ううん・・・。ただね、私にとっても・・ううん、私だけじゃない。私やユーリ、それにフレンや兄さんやアスラやラピードにとっても大切な魔導器って言うのがあるから」
「・・・あんた達にとっての?」
「・・・ユーリの武醒魔導器よ」
「ユーリの?」
意外な言葉にリタは驚いてリアを見ると何処か遠くを見つめながら話し出した
「ユーリの武醒魔導器って、昔、ユーリが騎士団時代に貰ったものって言うのは聞いたでしょ?」
「ええ。辞めた時の餞別って言ってたわね」
カロルにもどうして武醒魔導器を持っているのかと聞かれた時にもユーリはそう答えていた
「・・・あの武醒魔導器はね、ユーリとフレンが騎士団に入って最初に配属された部隊の隊長さんが使ってたものなの」
「え?」
言うとリアは一旦目を閉じて視線を空へと移す
「もうだいぶ前の事だけどね、私も兄さんも仕事でその隊長さんにお世話になった事があったの。・・・・・だから、あの武醒魔導器は私達にとっても大切なものなの。だから、きっとユーリもあの決断に至るまで悩んだんだと思う・・・」
「・・・・」
多くは語らなかったが、リアの表情や途中の間を聞き、リアが言いたい事が解ったのか自然と口を挟まなかった
「あ、でも、今言った事はみんには内緒ね」
が、直ぐにそう言ってくすりと笑い、リタも表情を緩め「ええ」言って笑い返した
「さっきの続きだけど」
「?」
「魔刻がなくなっても魔導器は残るし、それにこの子みたいに側に居てくれる子もいるから全部が全部寂しいって訳じゃないわ」
そう言ったリタの顔は先程よりもすっきりとしていた
「そっか。やっぱりリタにそう思われてる魔導器達は幸せね」
「なっ!/// し、幸せって」
「大事に思ってくれる人がいるって、とても大事な事よ。愛情を注いでくれるリタの事、魔導器達も好きだと思うよ」
「・・・・そ、そう・・?///」
「うん。私がリタが大事にしている魔導器だったら絶対にそう思うよ」
「・・・・・///」
ニコリとして言うリアを見てリタはまた顔を赤く染め照れた顔をした
(・・・大事、か・・・)
「ん? 何?」
「あ、いや・・えっと・・・」
その言葉にふとある事を思い出し、ちらりとリアを見ると直ぐにリアはリタの視線に気付き、何とか誤魔化そうとしたが、直ぐにぽつりと呟いた
「・・・内緒ついでに言うけど・・」
「?」
「・・・今は魔導器以外にも信じられるものがあるって・・解ったから・・・」
リタはどことなく少しだけ頬を染め視線を逸らしながらそう言い、リアは少し驚いて目を瞠ったが直ぐにいつもの優しい笑みを浮かべた
「そっか。リタがそう思えるようになったなら、良かったな」
その言葉の意味を理解したリアはニコリと微笑み、リタは更に顔を赤くした
「/// ・・この事も、絶対にぜーーーーったいに内緒だからね!///」
「うん、勿論。約束する」
「あ、リタ、此処に居たんですね」
話し終えたと同時にエステルの声が聞こえ、宿屋やお店がある道の方から買い出しに行ってたエステル達がやって来ていた
「リタ姐、メンテナンスは終わったのか?」
「ええ」
「? リタ、少し顔が赤くありません?」
「き、気のせいよ。で、買い出しは終わったの?」
「はい。それで宿に戻ったらリタがいなかったので」
「もう待ち合わせ場所に行ったのかと思って此処に来てみたの。それで、貴女達は何を話していたの?」
「え! べ、別に///」
「あ、また顔が赤くなったのじゃ」
「なっ!/// き、気のせいだ、って言ってるでしょ///」
「リア、何を話していたんです?」
ずっとエステル達のやり取りを微笑ましそうに見ていたリアに尋ねるとリアはニコリと笑って答えた
「ふふっ、秘密」
「ええ!」「あら」
「お、何騒いでんだ」
「おお、ユーリ!」
そして仕事を終えた男性陣も丁度全員揃って戻って来た
「随分と賑やかだったね」
「何か楽しそうな話しでもしてたの?」
「それが何を話してたか教えてくれないんです」
「え、なんで?」
「秘密らしいのじゃ・・・」
「秘密って、誰が?」
「リアとリタよ」
「リタっちとリアちゃん!?」
「これはまた意外な二人だな・・・」
その言葉に皆驚きを隠せなかった
「意外って何よ」
「いや、エステルとなら解るが・・・」
「リアちゃんと、ってのが意外なのよ・・・」
「そんなに意外かな?」
「うん、ちょっとね・・・」
「ワフゥ・・・」
それにはラピードもリアの相棒であるアスラですらリタと、と言う事に驚いていた
「それで、何で二人が話してた事が秘密なの?」
「別に良いでしょ。ほら、もう用事は済んだんでしょ。さっさと行くわよ!」
言うとリタは踵を返して歩き出した
そんなリタを見てユーリ達はまた自然とリアを見てしまう
「ふふっ、二人だけの秘密」
言うとリアは何処か楽しそうにニコリと微笑んでリタと同じように踵を返してリタの後を追うように駆けて行った
「・・・あの様子のリアだと、絶対に口を割らないぞ」
「だね・・・」
暫くその様子を見ていたユーリ達だったが、リアの様子を見てセイは直ぐにそう気付き、アスラも同意し、ユーリもフレンもそう思い小さく笑った
「んじゃ、オレ達も行くか」
「そうだね」「ワン」
そう言ってユーリ達も二人の後を追い、先に駆けて行ったリアと更にその先を歩くリタの顔は二人だけの秘密が出来た事に嬉しさを感じ自然と頬が緩んでいたのだった
end.
あとがき
と事でサイト10周年記念小説、リタ編、やっと完成したよ!!
えー改めまして、リタ編如何だったでしょうか?
マリアの話をしてって所は最初から直ぐに浮かんでメモしてたんですけど、他と比べると何か進む展開早くない??ってなって、最初の方を足して書いていったら何とか無事に終わりました(^^;)w
この企画を考えた時に、そういやリタと二人っきりで話す事ってあんまなかったよな・・・箱版の方では本当にちょこーっとあっただけだったからこうやってリタと二人だけでがっつりと話すってのは今回が初めてだったり・・・って改めて思いました
だから考える&書き上げるまでちょっと時間は掛かってしまいましたが、無事に仕上がって良かったですw
でもこう見るとカロルとリタ編ではリアちゃん、かなりお姉さんな感じですよね
それにこの話しでのリタっち、かなりデレだし、リアちゃんかなりデレさせてるよねww(言い方ww)
エステル以外にデレる事ってあんまないだろうけど、まあリアちゃんならありだろうって事でかなりデレ入ってましたww(多分TOVの10thイベBlu-rayをかなり見た後に書いてるからリタの可愛い&デレをいっぱい書きたかったんだと思う←w)
けど、この話を書くって決めた時に絶対にお互いに大事に思っている魔導器があるんだよ、って事を言いたかったのでユーリが付けているあの武醒魔導器の話しもちょこっと入れてみました
最後にまたみんな戻って来てからのやり取りも書いてて楽しかったですw
因みに決戦前って言うのはゲームであの階段を見つけた後にサブイベを回収したりアイテム補充の為に戻るじゃないですかw
そん時だと思って下さいww(じゃないとリアちゃん、まだ二人を避けた状態のままなので・・・ι)
さて、リタ編は以上となりますが、まだまだ残りのパーティメンバーとの話が残っています
まだ読んでないキャラ達がいたら其方も是非とも読んで頂けたらと思います!
改めて、サイト10周年、本当に有り難う御座います!!
これからも地道にやっていきますので、今後とも宜しくお願いします!
それからよければ・サイト10周年記念小説アンケートのアンケートにもご協力をお願いします。
10周年:2019.07.18
完成:2019.03.13
「はい、各地の異常も見当たりません」
「他の街も異常なさそうよ」
ユーリ達はオルニオンを出た後、念の為に各地のエアルクレーネや各地の街や土地に異常がないか調べておく事にした
あのタルカロンの塔が出現して帝都があるイリキア大陸全土では身体に異変を感じている人が増えていた
それはタルカロンの側に現れたあの生命力を吸収する術式が発動しているからだった
異変や異常が無いと報告は受けてはいるが、それは一部だけの事ではあるので、念には念を、と言う事で一端各地の異常や異変がないかを調べていた
それぞれが調べていた所が異常が無いと解りフィエルティア号で報告を終え、異常が無い事に皆安堵していた
「んじゃ、一旦どっかの街で休憩にするか」
「なら、オルニオンはどう? 此処から一番近いし」
「そうだね。そうして貰えると助かるな。騎士団のみんなに報告もしておきたいし」
「なら念の為に食材も買い込んでおこう」
「そうだな。人数も人数だし、次の相手が相手だからな」
「じゃの。腹が減っては戦は出来ぬ、からの」
「それじゃあ一旦オルニオンに戻りましょう」
「うん」「ワン」
二人だけの内緒話
「・・・・・」
オルニオンに戻って来ると、宿で軽く休憩をした後、エステルとジュディスとパティは買い出しに行き、リアとセイとアスラは情報集めに行き、ユーリとラピードは街の様子を見に行き、カロルとレイヴンは資材運び等の手伝い、フレンは騎士団の様子と報告へと向かって行った
「・・・・」
そしてリタは宿屋の一室で明星二号のメンテナンスをしていた
「・・・良し、これで此処は大丈夫ね。後は・・・」
リタが研究やメンテナンスに没頭している間は、皆邪魔しないようにしていた
過去に何度かカロルやレイヴンが酷い目に遭っている事もあるし、集中しているのだからと皆邪魔しないように部屋を離れていた
「・・・良し、これで完璧ね」
メンテナンスは一時間くらいで終わった
外に出るとカロルとレイヴンとフレンはそれぞれ仕事をしていて買い出しに行ったエステル達も戻って来ていなかった
集合場所である街の入口の方にも誰かがいる気配はなく、まだ時間が掛かるだろうと思いリタはこの街のシンボルである結界魔導器の所に向かった
「・・・・・」
この結界魔導器はこの街を作る時に発掘されたものだった
魔刻がないので動いてはいないものの、街のシンボルになるだろう、と言う事でこのままこの場所に置いたそうだ
「マリア・・・」
「それ、その子の名前?」
「!」
ぽつりと呟いた言葉だったが、ふと別の声が聞こえ振り返るとリアがニコリと微笑みながら歩いて着て隣に並んだ
「可愛い名前ね」
「あ、ありがとう・・・///」
いつのも優しい笑顔を向けられ更に照れてその顔を見られないように視線を結界魔導器へと移す
「・・・あんた、こんな所で何してるのよ? セイとアスラと一緒じゃなかったの?」
「さっきまでは一緒だったよ。それでみんなの様子を見に来たの」
「まだ誰も戻ってきてないわよ。おっさんとがきんちょもフレンもまだ仕事してるみたいだし」
「エステル達ももう少し時間が掛かりそうだったよ」
「あんた、見てきたの?」
「少しだけね。買い物を楽しんでたから邪魔しちゃ悪いし」
「呑気なもんねー、これから決戦だってのに」
「少しくらい良いじゃない。気を張りすぎるより」
「まあ、ね」
そう言われ確かにいつも通りの事をしている方がみんならしいとリタも思ったのだった
「リタも明星二号のメンテナンスが終わったから此処・・・マリアの所に来たんでしょ」
「!/// あ、・・ぅ・・・/// そ、その名前は言わなくて良いから!///」
リアがマリアと言った事にリタは顔を赤くしてそう言うとリアは微笑みながら言葉を続ける
「せっかく可愛い名前なのに」
「///」
また可愛い名前と言われリタは照れてしまった
「でも、きっとマリアもリタに名前を付けて貰えて嬉しいと思うよ」
「そ、そう・・?///」
「ええ。魔導器を大事に思ってるリタが付けたんだから」
「あ、・・・ありが、と・・・///」
そう言われリタは嬉しさとテレが混ざったような顔をし、お礼を言った
「・・・こ、この事」
「?」
少し間が出来た後にぽつりと声が聞こえリアはリタを見た
「名前の事、・・エステル達には・・内緒にしてて///」
「うん、解った」
そう言われ安堵するも未だに顔が赤いリタはそれを誤魔化すかのように結界魔導器を見つめリアも同じように結界魔導器を見た
「・・・・・」
だが、リタは結界魔導器を見ながら何かを考えるような、何処か寂しそうな顔をしていた
「・・・ねえ、リタ、魔導器がなくなっちゃうのってやっぱり悲しい?」
唐突にそう言われリタは目を瞠ってしまう
「・・・正直に言えば、ね。あたしにとってこの子達は大事だし、魔導器の研究が生き甲斐だったんだから」
リアの言葉にどう答えるべきかと思っていたが、いつの間にかそう口にしていた
世界中の魔刻を精霊に変える、それはみんなで決断した答えだった
だが、魔導器は魔刻があって初めて起動するものであり魔導器の一部とも云っても良いもの
本体は残ると言っても、何処かで寂しさをリタ自身も感じていた
だからリアの言葉に驚いてしまったが、思っている事を素直に話した
「・・・そうだよね」
だが、質問をしたリアも何処か悲しそうに笑っていた
「・・・なんであんたまでそんな顔してるのよ」
「ううん・・・。ただね、私にとっても・・ううん、私だけじゃない。私やユーリ、それにフレンや兄さんやアスラやラピードにとっても大切な魔導器って言うのがあるから」
「・・・あんた達にとっての?」
「・・・ユーリの武醒魔導器よ」
「ユーリの?」
意外な言葉にリタは驚いてリアを見ると何処か遠くを見つめながら話し出した
「ユーリの武醒魔導器って、昔、ユーリが騎士団時代に貰ったものって言うのは聞いたでしょ?」
「ええ。辞めた時の餞別って言ってたわね」
カロルにもどうして武醒魔導器を持っているのかと聞かれた時にもユーリはそう答えていた
「・・・あの武醒魔導器はね、ユーリとフレンが騎士団に入って最初に配属された部隊の隊長さんが使ってたものなの」
「え?」
言うとリアは一旦目を閉じて視線を空へと移す
「もうだいぶ前の事だけどね、私も兄さんも仕事でその隊長さんにお世話になった事があったの。・・・・・だから、あの武醒魔導器は私達にとっても大切なものなの。だから、きっとユーリもあの決断に至るまで悩んだんだと思う・・・」
「・・・・」
多くは語らなかったが、リアの表情や途中の間を聞き、リアが言いたい事が解ったのか自然と口を挟まなかった
「あ、でも、今言った事はみんには内緒ね」
が、直ぐにそう言ってくすりと笑い、リタも表情を緩め「ええ」言って笑い返した
「さっきの続きだけど」
「?」
「魔刻がなくなっても魔導器は残るし、それにこの子みたいに側に居てくれる子もいるから全部が全部寂しいって訳じゃないわ」
そう言ったリタの顔は先程よりもすっきりとしていた
「そっか。やっぱりリタにそう思われてる魔導器達は幸せね」
「なっ!/// し、幸せって」
「大事に思ってくれる人がいるって、とても大事な事よ。愛情を注いでくれるリタの事、魔導器達も好きだと思うよ」
「・・・・そ、そう・・?///」
「うん。私がリタが大事にしている魔導器だったら絶対にそう思うよ」
「・・・・・///」
ニコリとして言うリアを見てリタはまた顔を赤く染め照れた顔をした
(・・・大事、か・・・)
「ん? 何?」
「あ、いや・・えっと・・・」
その言葉にふとある事を思い出し、ちらりとリアを見ると直ぐにリアはリタの視線に気付き、何とか誤魔化そうとしたが、直ぐにぽつりと呟いた
「・・・内緒ついでに言うけど・・」
「?」
「・・・今は魔導器以外にも信じられるものがあるって・・解ったから・・・」
リタはどことなく少しだけ頬を染め視線を逸らしながらそう言い、リアは少し驚いて目を瞠ったが直ぐにいつもの優しい笑みを浮かべた
「そっか。リタがそう思えるようになったなら、良かったな」
その言葉の意味を理解したリアはニコリと微笑み、リタは更に顔を赤くした
「/// ・・この事も、絶対にぜーーーーったいに内緒だからね!///」
「うん、勿論。約束する」
「あ、リタ、此処に居たんですね」
話し終えたと同時にエステルの声が聞こえ、宿屋やお店がある道の方から買い出しに行ってたエステル達がやって来ていた
「リタ姐、メンテナンスは終わったのか?」
「ええ」
「? リタ、少し顔が赤くありません?」
「き、気のせいよ。で、買い出しは終わったの?」
「はい。それで宿に戻ったらリタがいなかったので」
「もう待ち合わせ場所に行ったのかと思って此処に来てみたの。それで、貴女達は何を話していたの?」
「え! べ、別に///」
「あ、また顔が赤くなったのじゃ」
「なっ!/// き、気のせいだ、って言ってるでしょ///」
「リア、何を話していたんです?」
ずっとエステル達のやり取りを微笑ましそうに見ていたリアに尋ねるとリアはニコリと笑って答えた
「ふふっ、秘密」
「ええ!」「あら」
「お、何騒いでんだ」
「おお、ユーリ!」
そして仕事を終えた男性陣も丁度全員揃って戻って来た
「随分と賑やかだったね」
「何か楽しそうな話しでもしてたの?」
「それが何を話してたか教えてくれないんです」
「え、なんで?」
「秘密らしいのじゃ・・・」
「秘密って、誰が?」
「リアとリタよ」
「リタっちとリアちゃん!?」
「これはまた意外な二人だな・・・」
その言葉に皆驚きを隠せなかった
「意外って何よ」
「いや、エステルとなら解るが・・・」
「リアちゃんと、ってのが意外なのよ・・・」
「そんなに意外かな?」
「うん、ちょっとね・・・」
「ワフゥ・・・」
それにはラピードもリアの相棒であるアスラですらリタと、と言う事に驚いていた
「それで、何で二人が話してた事が秘密なの?」
「別に良いでしょ。ほら、もう用事は済んだんでしょ。さっさと行くわよ!」
言うとリタは踵を返して歩き出した
そんなリタを見てユーリ達はまた自然とリアを見てしまう
「ふふっ、二人だけの秘密」
言うとリアは何処か楽しそうにニコリと微笑んでリタと同じように踵を返してリタの後を追うように駆けて行った
「・・・あの様子のリアだと、絶対に口を割らないぞ」
「だね・・・」
暫くその様子を見ていたユーリ達だったが、リアの様子を見てセイは直ぐにそう気付き、アスラも同意し、ユーリもフレンもそう思い小さく笑った
「んじゃ、オレ達も行くか」
「そうだね」「ワン」
そう言ってユーリ達も二人の後を追い、先に駆けて行ったリアと更にその先を歩くリタの顔は二人だけの秘密が出来た事に嬉しさを感じ自然と頬が緩んでいたのだった
end.
あとがき
と事でサイト10周年記念小説、リタ編、やっと完成したよ!!
えー改めまして、リタ編如何だったでしょうか?
マリアの話をしてって所は最初から直ぐに浮かんでメモしてたんですけど、他と比べると何か進む展開早くない??ってなって、最初の方を足して書いていったら何とか無事に終わりました(^^;)w
この企画を考えた時に、そういやリタと二人っきりで話す事ってあんまなかったよな・・・箱版の方では本当にちょこーっとあっただけだったからこうやってリタと二人だけでがっつりと話すってのは今回が初めてだったり・・・って改めて思いました
だから考える&書き上げるまでちょっと時間は掛かってしまいましたが、無事に仕上がって良かったですw
でもこう見るとカロルとリタ編ではリアちゃん、かなりお姉さんな感じですよね
それにこの話しでのリタっち、かなりデレだし、リアちゃんかなりデレさせてるよねww(言い方ww)
エステル以外にデレる事ってあんまないだろうけど、まあリアちゃんならありだろうって事でかなりデレ入ってましたww(多分TOVの10thイベBlu-rayをかなり見た後に書いてるからリタの可愛い&デレをいっぱい書きたかったんだと思う←w)
けど、この話を書くって決めた時に絶対にお互いに大事に思っている魔導器があるんだよ、って事を言いたかったのでユーリが付けているあの武醒魔導器の話しもちょこっと入れてみました
最後にまたみんな戻って来てからのやり取りも書いてて楽しかったですw
因みに決戦前って言うのはゲームであの階段を見つけた後にサブイベを回収したりアイテム補充の為に戻るじゃないですかw
そん時だと思って下さいww(じゃないとリアちゃん、まだ二人を避けた状態のままなので・・・ι)
さて、リタ編は以上となりますが、まだまだ残りのパーティメンバーとの話が残っています
まだ読んでないキャラ達がいたら其方も是非とも読んで頂けたらと思います!
改めて、サイト10周年、本当に有り難う御座います!!
これからも地道にやっていきますので、今後とも宜しくお願いします!
それからよければ・サイト10周年記念小説アンケートのアンケートにもご協力をお願いします。
10周年:2019.07.18
完成:2019.03.13