サイト10周年記念小説
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「あれ? あそこにいるのヨーデル殿下達じゃない?」
「ソディアとウィチルも一緒だな」
旅の途中、休憩と街の様子を伺う為にオルニオンに立ち寄ったリア達だったが、街に入って少しするとヨーデルとソディアとウィチルがいた
「何か遭ったのかしら?」
「少し行って来ます」
「あ、わたし達も行きます」
「ヨーデル殿下、どうかなさいましたか?」
「フレン隊長! 丁度良い所に!」
が、どことなくいつもと違う雰囲気がしフレンとエステルは直ぐにヨーデル達の所に向かうと、フレンを見たウィチルは救いの手が来た、と言う様な声を上げた
「どうかしましたか?」
「実はこの街に避難してきている子供達の事で・・・」
「何か問題が遭ったのか?」
「慣れない場所の所為か、少し元気がなく・・・」
「それで我々でどうにか出来ないかと話をしていた所だったんです」
「相変わらず殿下はお優しい事で」
「ユーリ・・。でも、確かに少しだけ元気がないように思うわね」
「え? そう?」
「リアも下町の子供達の面倒を見てたから解るんだよ」
街にいる子供達を見ても元気にはしゃいでる子供は多い為、それに気付けるのは小さな子供の面倒を見た事がある人物だけか元気がない所を見た者だけかもしれない
「あ、それならわたしに良い考えがあります」
「何かお考えがあるのですか?」
「はい。以前わたし達がやった劇をアレンジして子供達に見せれば良いんですよ!」
「劇ってもしかしてナム孤島でやったアレかの?」
「はい!」
エステルのその言葉を聞いた途端、その劇に出ていたユーリとカロルとリタは嫌そうな顔をした
「あたし絶対やらないわよ!!」
「ボクだって! またリタが散々やるから嫌だよ!」
「オレだってもう勘弁だぞ」
「なーに言ってんのよ。青年もリタっちもカロルくんも似合ってたじゃない」
「・・・見事に意見が分かれてるな」
「だね・・・」
「なら、凛々の明星にはうちからの依頼を受けてもらえないかしら?」
途端、聞き覚えのある女性の声が聞こえ振り返ると幸福の市場の社長であるカウフマンがニコリと笑ってこちらへ向かって来ていた
「・・・オレ達にって事はまた荒事か?」
「察しの良い子は好きよ。物資の輸送と護衛を任せたいのだけれど」
どうやらその物資と言うのはこの街に運んで来るものらしく、少し男手がいるのと念の為に護衛も任せたい、と言うものだった
「どちらもこの街にとって重要な事なので、皆さん協力をお願い出来ないでしょうか?」
ヨーデルにそう言われカロルは少し考えるような顔をしたが、
「なら、みんなは物資の輸送と護衛に行って」
「え?」
そう言ったのはリアだった
「此処には私とエステルとフレンが残るから残りのみんなはギルドの仕事をしてきて」
「リア、良いのか?」
「私もエステルもあの劇の内容を覚えてるから大丈夫よ。男手が必要なら兄さんもユーリ達と一緒の方が良いだろうし」
「なら、有り難くそうさせてもらうよ」
セイも劇はやりたくないだろうとリアも思っていたからそう言ったのもあるだろうが、実際男手が必要ならセイも行った方が良いと判断もしたようだ
「話は纏まったみたいね。それじゃあ行きましょう」
カウフマンの声に凛々の明星のメンバー達は続いて行き、見送った後、ヨーデルはエステルを見た
「それでエステリーゼ、その劇の内容と言うのは」
「はい。それはですね・・・」
そしてエステルはナム孤島でやった劇の内容を話し始めた
「・・・と言うお話です」
「成る程・・・確かに子供達が好きなお話ですね」
エステルから劇の内容を聞き終わるフレンもヨーデルもソディアもウィチルも同じように納得した
「それにこの劇の配役はあまり人数がいないですから今居るメンバーでも大丈夫だと思います」
「え? あの、リア殿、今居るメンバー・・・とは?」
「? 私とエステルとフレン、それにソディアさんとウィチルくんですよ」
「「ええ!?」」
リアの言葉にソディアとウィチルは驚いて声を上げた
「わ、私達もその劇をやるのですか!?」
「はい、配役にも丁度良いと思いますし・・ねえ、エステル」
「はい。お二人とフレンなら問題ありません」
良い笑顔で言う二人にフレン達は押し黙ってしまう
「どうやらエステリーゼとリアさんの勝ちのようですね」
そんな面々を見てヨーデルもそう言ってニコリと笑った
そして・・・
「騎士の人がげきやるんだって」
「どんなお話なのかな!」
「楽しみだよね~!」
「うう・・何故僕まで・・・」
「言うな・・私だってそうだ・・・」
「・・・ソディアとウィチル、まだ納得してないみたいだよ」
劇が行われると聞き、街の子供達はワクワクしながら広場に集まっていた
そして舞台裏では未だに納得していないウィチルとソディアがそう言っていてアスラは何処かで見た事がある光景だな・・と思っていた
「・・・僕もこう言うのには慣れていないんだが・・」
「それを言ったら私だってそうだよ。それにエステル達もあの時は急遽やる事になったからね」
「はい。でも、フレンもリアもその格好凄く似合ってますよ!」
そう、今フレンは勇者の格好でリアはお姫様の格好をしていた
あの時と衣装は違うがそれぞれの役に似合う衣装を見つけて今着ていた
「でもエステルは語りで良かったの?」
「はい、アレンジしたのはわたしですし。それに・・・フレンの相手はリアでなくちゃいけませんよ」
「エ、エステリーゼ様!///」
ニコリとして、そして何処か楽しそうに言うエステルにフレンは顔を赤らめていて、リアもどことなくだが顔が赤く視線が合わないように目を逸らしていた
「みんなそろそろ劇始める時間だよ」
そんな面々を見てアスラは時間だと知らせ、皆もう覚悟を決めて劇を始める事にした
エステルの語りから始まり、劇は順調に進んでいき、いよいよ見せ場である勇者が姫を助けに大魔王の所へ行く所だった
「勇者は姫が大魔王に攫われた事を知り、姫を助ける為に幾多の困難を乗り越え、ついに大魔王がいる城へと乗り込んだのでした」
「大魔王! お前を倒し、姫を返して貰うぞ!」
(・・・フレン、様になってるなぁ)
エステルの語りの後に登場したフレンを見て舞台袖に居るアスラはそう思っていた
「勇者様!」
「姫、今すぐお助けしますので暫しお待ちを!」
「ふ、人間毎に何が出来る! 行け、我がしもべよ!」
「お前如き、大魔王が相手をしてやるまでもない! 僕が相手だ!」
(・・・二人とも何だかんだでちゃんとやってるじゃん。ユーリ達もそうだったけど)
アスラは嫌がっていた割にちゃんと大魔王を演じているソディアとしもべを演じているウィチルを見てそう思っていた
「これでもくらえ!」
言うと小規模の魔術を発動させる
「!」
フレンはそれを見事に避けると劇を見ていた子供達から歓声が上がった
「ウィチル、魔術を使うなんて聞いていないぞ」
「すみません隊長、エステリーゼ様からのご指示で・・・」
二人は周りに聞こえない声でそう話しフレンはちらりとエステルを見るとニコリとし、
「フレンも怪我をさせない程度に戦って下さい」
と小声で言っているのが聞こえた
「・・・それなら、少しだけ相手になってもらうよ。はあっ!」
「う、うわあ!」
「すごーい!」
「ゆうしゃさま、がんばってー!」
「ちいさいのもまけるなー!」
二人が戦い出したのを見て子供達は更に歓声を上げる
「・・・リア殿、エステリーゼ様が出ていた劇もこのように戦うシーンがあったのか?」
ソディアはフレンとウィチルを見て同じく周りに聞こえない声でリアにそう尋ねるとリアは苦笑しながら答えた
「はい・・・あ、でも、今回はユーリとリタがいないからちゃんと台本通りになると思いますけど・・・」
ソディアは一体何が遭ったのだろう? と思いつつ気になっている事を聞いた
「・・・台本にも書いてあったが、この後、私も隊長と戦う事になるのだろう?」
「はい・・・。でも劇ですから本当に戦う訳じゃないので・・・」
そう話しているうちに戦いは終わり、フレンの台詞が聞こえた
「大魔王、後はお前だけだ!」
「くっ、ならば・・行くぞっ!(隊長、お手合わせをお願いします)」
「(こちらこそ)はあっ!」
「ゆうしゃさまがんばってー!」
「ゆうしゃさまもだいまおうもつよーい!!」
「まけるなー!」
二人が戦い始めると子供達は白熱する殺陣に更に盛り上がっていた
そして、
「勇者様!」
「姫っ!」
大魔王を倒すと勇者と姫は駆け寄った
「姫、本当にご無事で良かった」
「勇者様が助けに来てくれたからです・・・本当にありがとう」
「姫・・・」
「っ! ゆ、勇者様!?」
途端、フレンはリアを抱き寄せ台本になかった展開にリアは驚いていた
「こうして姫は勇者に助けられ、大魔王を倒した事で世界に平和をもたらしたのです。そして勇者と姫も末永く幸せに暮らしました。・・・おしまい」
「「「わああああ!!」」」
エステルの語りで幕は閉じたが、まだリアとフレンはその状態のままだった
「・・・あの、・・フレン。劇、終わった・・よ・・・?」
「ああ、そうだね・・」
「・・えっと、そろそろ、離れない・・・?」
「・・・リアは僕にこうされているのは嫌・・?」
「え!? いや、そう言う訳じゃなくて・・その・・・」
フレンにそう言われリアは更に恥ずかしさが増し、言葉に詰まってしまう
「・・・ふふ、ごめん。さっきのリアが可愛くてついこうしてしまった」
「っ///」
そしてそこでようやく離れフレンはいつもの優しい笑みをリアに向けるとリアはまた顔を赤くした
「さ、僕達もヨーデル殿下やエステリーゼ様の所に行こうか」
「うん・・・」
その後、客席で劇を見ていたヨーデルが子供達が元気になった、大成功だとエステルと一緒に言っていてリア達もやって良かったと思っていた
そして夜、ユーリ達もカウフマンから受けていた仕事を無事に終わらせ戻って来たが既に日が沈んでいたので今日はこのままオルニオンに泊まる事にした
「・・・・」
「リア、こんな所に居たのか」
「フレン」
リアはある場所に来ていてそこを見ていると聞き覚えのある声が聞こえ振り返ると見回りをしていたフレンがいた
「フレンは見回り?」
「ああ。それと、宿から出て来るリアを見てね。・・・此処を見ていると昼間の劇を思い出すね」
「うん・・・」
リアが居た場所、そこは昼間に劇をした場所だった
「まさか僕やソディア、それにウィチルまでやるとは思ってなかったよ」
「でもフレン達なら心配なくやってくれたし、子供達も元気になってくれたし、終わった後も子供達から人気だったじゃない」
劇が終わって着替え終わった後、広場に戻ってくると劇を見ていた子供があっという間に劇に出ていたリア、フレン、ソディア、ウィチルの周りに集まったのだった
「子供達もアスラも言ってたけど、フレン、本当に勇者役が様になってたよね」
「リアまでからかわないでくれ・・・」
その時に子供達がフレンに言った事、舞台袖で見ていたアスラが言った言葉を言うとフレンは少しだけ顔を赤くしていた
どうやら仕事を終えて戻って来たユーリ達にも劇の事を話すと同じ事を言われたようだった
「けど、リアも本当にお姫様が様になっていたよ」
「そう?」
「ああ、・・だから思わず抱きしめてしまったんだけどね」
「え?」
最後の方は聞こえなかったのかリアは疑問符を出していて、そんなリアを見てフレンはまた優しい笑みを向けた
「・・・リア」
「ん?」
「・・・劇の最後のシーン、やってみないかい?」
「最後って、大魔王を倒した後?」
「ああ」
そう言われ疑問に持ちつつリアはそのシーンで立っていた場所に移動する
そして、
「勇者様」
「姫・・っ・・・」
「えっ! フ、フレン・・・!?」
お互いに台詞を言って駆け寄るシーンをやるはずだったが、フレンは台詞を言った後、そのままリアを抱きしめた
「・・・やっぱりダメだ」
「え?」
「・・・劇の最中もずっとリアのお姫様役と姿に見惚れていて抱きしめたかった。・・けど、やっぱりそれ以上にリアは僕の中で大きな存在になっているんだな」
「・・・フレン・・?」
その言葉に驚きリアはフレンの顔を見るといつも以上に優しい笑みを向け、その笑顔にリアはドキッとしてしまう
「・・・・///」
何か口にしなくてはと思いつつも上手く言葉が出てこない
そんなリアを見てフレンは小さく笑った
「リア」
「え? あ、な、何?」
「もしまだ寝付けないなら、このまま一緒に見回りでもする?」
「え?」
「いや、・・・僕がそうしたいんだ」
また優しい笑みを向けられ、リアも微笑み返した
「うん。そうだね」
「じゃあ、・・・お手をどうぞ、お姫様」
「ふふっ、それ、劇の続き?」
「どうだろうね」
言うとフレンは手を出し、リアは笑いながら手を載せ、その返事に二人してまた笑い出した
「じゃあ行こうか」
「うん」
言うと二人は手を繋いだまま歩き出した
今日は本当に驚いてしまったな
まさか僕達が劇をやるなんて・・・
それも僕が勇者でリアが姫・・・
エステリーゼ様も僕の気持ちが分かっているからこの配役にして下さったのだろうけど・・・
けど、あの時リアを抱きしめてしまったのは本当にリアがお姫様に見えたし、何より僕の気持ちが自然と出てしまったんだ
さっき言った事は僕が思っている事だし、今こうやって二人で手を繋いで歩いている事も凄く幸せなんだ、と改めて実感するよ
この幸せな時間を僕に
くれた事を感謝するよ、リア ――
フレンは自分の隣を歩いてるリアを見て優しく微笑みながらそう思っていた
その姿はまるで、劇で演じた勇者と姫が幸せな時間を過ごしているかのようにも見えていた
end.
あとがき
て事でサイト10周年記念小説、フレン編如何だったでしょうか?
考えた時に意外とフレンとの話って書いてなかったしどうしてもちょっと切ない系が混ざっちゃうよなぁ~(^^;)wって思って今回は頑張って甘い方向を目指して書いてみましたが、だ、大丈夫・・だった、よね?(^^;)w(聞くなww)
劇云々って所はイベント後(TOV 10周年イベの事ね)だったので、あの劇をアレンジして~って所をお借りしましたwww
設定としては、ラスダン入ってデューク戦前でみんなと話した後、外に戻ってサブイベ回収してる辺りって思って貰えたら解りやすいと思います(本編だとリアちゃん気持ちの整理がってなるからね(^^;)w)
久々にフレンとの話を書けたので満足しております!
さて、フレン編は以上となりますが、まだまだ残りのパーティメンバーとの話が残っています
まだ読んでないキャラ達がいたら其方も是非とも読んで頂けたらと思います!
改めて、サイト10周年、本当に有り難う御座います!!
これからも地道にやっていきますので、今後とも宜しくお願いします!
それからよければ・サイト10周年記念小説アンケートのアンケートにもご協力をお願いします。
10周年:2019.07.18
完成:2018.12.23
「ソディアとウィチルも一緒だな」
旅の途中、休憩と街の様子を伺う為にオルニオンに立ち寄ったリア達だったが、街に入って少しするとヨーデルとソディアとウィチルがいた
「何か遭ったのかしら?」
「少し行って来ます」
「あ、わたし達も行きます」
「ヨーデル殿下、どうかなさいましたか?」
「フレン隊長! 丁度良い所に!」
が、どことなくいつもと違う雰囲気がしフレンとエステルは直ぐにヨーデル達の所に向かうと、フレンを見たウィチルは救いの手が来た、と言う様な声を上げた
「どうかしましたか?」
「実はこの街に避難してきている子供達の事で・・・」
「何か問題が遭ったのか?」
「慣れない場所の所為か、少し元気がなく・・・」
「それで我々でどうにか出来ないかと話をしていた所だったんです」
「相変わらず殿下はお優しい事で」
「ユーリ・・。でも、確かに少しだけ元気がないように思うわね」
「え? そう?」
「リアも下町の子供達の面倒を見てたから解るんだよ」
街にいる子供達を見ても元気にはしゃいでる子供は多い為、それに気付けるのは小さな子供の面倒を見た事がある人物だけか元気がない所を見た者だけかもしれない
「あ、それならわたしに良い考えがあります」
「何かお考えがあるのですか?」
「はい。以前わたし達がやった劇をアレンジして子供達に見せれば良いんですよ!」
「劇ってもしかしてナム孤島でやったアレかの?」
「はい!」
エステルのその言葉を聞いた途端、その劇に出ていたユーリとカロルとリタは嫌そうな顔をした
「あたし絶対やらないわよ!!」
「ボクだって! またリタが散々やるから嫌だよ!」
「オレだってもう勘弁だぞ」
「なーに言ってんのよ。青年もリタっちもカロルくんも似合ってたじゃない」
「・・・見事に意見が分かれてるな」
「だね・・・」
「なら、凛々の明星にはうちからの依頼を受けてもらえないかしら?」
途端、聞き覚えのある女性の声が聞こえ振り返ると幸福の市場の社長であるカウフマンがニコリと笑ってこちらへ向かって来ていた
「・・・オレ達にって事はまた荒事か?」
「察しの良い子は好きよ。物資の輸送と護衛を任せたいのだけれど」
どうやらその物資と言うのはこの街に運んで来るものらしく、少し男手がいるのと念の為に護衛も任せたい、と言うものだった
「どちらもこの街にとって重要な事なので、皆さん協力をお願い出来ないでしょうか?」
ヨーデルにそう言われカロルは少し考えるような顔をしたが、
「なら、みんなは物資の輸送と護衛に行って」
「え?」
そう言ったのはリアだった
「此処には私とエステルとフレンが残るから残りのみんなはギルドの仕事をしてきて」
「リア、良いのか?」
「私もエステルもあの劇の内容を覚えてるから大丈夫よ。男手が必要なら兄さんもユーリ達と一緒の方が良いだろうし」
「なら、有り難くそうさせてもらうよ」
セイも劇はやりたくないだろうとリアも思っていたからそう言ったのもあるだろうが、実際男手が必要ならセイも行った方が良いと判断もしたようだ
「話は纏まったみたいね。それじゃあ行きましょう」
カウフマンの声に凛々の明星のメンバー達は続いて行き、見送った後、ヨーデルはエステルを見た
「それでエステリーゼ、その劇の内容と言うのは」
「はい。それはですね・・・」
そしてエステルはナム孤島でやった劇の内容を話し始めた
「・・・と言うお話です」
「成る程・・・確かに子供達が好きなお話ですね」
エステルから劇の内容を聞き終わるフレンもヨーデルもソディアもウィチルも同じように納得した
「それにこの劇の配役はあまり人数がいないですから今居るメンバーでも大丈夫だと思います」
「え? あの、リア殿、今居るメンバー・・・とは?」
「? 私とエステルとフレン、それにソディアさんとウィチルくんですよ」
「「ええ!?」」
リアの言葉にソディアとウィチルは驚いて声を上げた
「わ、私達もその劇をやるのですか!?」
「はい、配役にも丁度良いと思いますし・・ねえ、エステル」
「はい。お二人とフレンなら問題ありません」
良い笑顔で言う二人にフレン達は押し黙ってしまう
「どうやらエステリーゼとリアさんの勝ちのようですね」
そんな面々を見てヨーデルもそう言ってニコリと笑った
そして・・・
「騎士の人がげきやるんだって」
「どんなお話なのかな!」
「楽しみだよね~!」
「うう・・何故僕まで・・・」
「言うな・・私だってそうだ・・・」
「・・・ソディアとウィチル、まだ納得してないみたいだよ」
劇が行われると聞き、街の子供達はワクワクしながら広場に集まっていた
そして舞台裏では未だに納得していないウィチルとソディアがそう言っていてアスラは何処かで見た事がある光景だな・・と思っていた
「・・・僕もこう言うのには慣れていないんだが・・」
「それを言ったら私だってそうだよ。それにエステル達もあの時は急遽やる事になったからね」
「はい。でも、フレンもリアもその格好凄く似合ってますよ!」
そう、今フレンは勇者の格好でリアはお姫様の格好をしていた
あの時と衣装は違うがそれぞれの役に似合う衣装を見つけて今着ていた
「でもエステルは語りで良かったの?」
「はい、アレンジしたのはわたしですし。それに・・・フレンの相手はリアでなくちゃいけませんよ」
「エ、エステリーゼ様!///」
ニコリとして、そして何処か楽しそうに言うエステルにフレンは顔を赤らめていて、リアもどことなくだが顔が赤く視線が合わないように目を逸らしていた
「みんなそろそろ劇始める時間だよ」
そんな面々を見てアスラは時間だと知らせ、皆もう覚悟を決めて劇を始める事にした
エステルの語りから始まり、劇は順調に進んでいき、いよいよ見せ場である勇者が姫を助けに大魔王の所へ行く所だった
「勇者は姫が大魔王に攫われた事を知り、姫を助ける為に幾多の困難を乗り越え、ついに大魔王がいる城へと乗り込んだのでした」
「大魔王! お前を倒し、姫を返して貰うぞ!」
(・・・フレン、様になってるなぁ)
エステルの語りの後に登場したフレンを見て舞台袖に居るアスラはそう思っていた
「勇者様!」
「姫、今すぐお助けしますので暫しお待ちを!」
「ふ、人間毎に何が出来る! 行け、我がしもべよ!」
「お前如き、大魔王が相手をしてやるまでもない! 僕が相手だ!」
(・・・二人とも何だかんだでちゃんとやってるじゃん。ユーリ達もそうだったけど)
アスラは嫌がっていた割にちゃんと大魔王を演じているソディアとしもべを演じているウィチルを見てそう思っていた
「これでもくらえ!」
言うと小規模の魔術を発動させる
「!」
フレンはそれを見事に避けると劇を見ていた子供達から歓声が上がった
「ウィチル、魔術を使うなんて聞いていないぞ」
「すみません隊長、エステリーゼ様からのご指示で・・・」
二人は周りに聞こえない声でそう話しフレンはちらりとエステルを見るとニコリとし、
「フレンも怪我をさせない程度に戦って下さい」
と小声で言っているのが聞こえた
「・・・それなら、少しだけ相手になってもらうよ。はあっ!」
「う、うわあ!」
「すごーい!」
「ゆうしゃさま、がんばってー!」
「ちいさいのもまけるなー!」
二人が戦い出したのを見て子供達は更に歓声を上げる
「・・・リア殿、エステリーゼ様が出ていた劇もこのように戦うシーンがあったのか?」
ソディアはフレンとウィチルを見て同じく周りに聞こえない声でリアにそう尋ねるとリアは苦笑しながら答えた
「はい・・・あ、でも、今回はユーリとリタがいないからちゃんと台本通りになると思いますけど・・・」
ソディアは一体何が遭ったのだろう? と思いつつ気になっている事を聞いた
「・・・台本にも書いてあったが、この後、私も隊長と戦う事になるのだろう?」
「はい・・・。でも劇ですから本当に戦う訳じゃないので・・・」
そう話しているうちに戦いは終わり、フレンの台詞が聞こえた
「大魔王、後はお前だけだ!」
「くっ、ならば・・行くぞっ!(隊長、お手合わせをお願いします)」
「(こちらこそ)はあっ!」
「ゆうしゃさまがんばってー!」
「ゆうしゃさまもだいまおうもつよーい!!」
「まけるなー!」
二人が戦い始めると子供達は白熱する殺陣に更に盛り上がっていた
そして、
「勇者様!」
「姫っ!」
大魔王を倒すと勇者と姫は駆け寄った
「姫、本当にご無事で良かった」
「勇者様が助けに来てくれたからです・・・本当にありがとう」
「姫・・・」
「っ! ゆ、勇者様!?」
途端、フレンはリアを抱き寄せ台本になかった展開にリアは驚いていた
「こうして姫は勇者に助けられ、大魔王を倒した事で世界に平和をもたらしたのです。そして勇者と姫も末永く幸せに暮らしました。・・・おしまい」
「「「わああああ!!」」」
エステルの語りで幕は閉じたが、まだリアとフレンはその状態のままだった
「・・・あの、・・フレン。劇、終わった・・よ・・・?」
「ああ、そうだね・・」
「・・えっと、そろそろ、離れない・・・?」
「・・・リアは僕にこうされているのは嫌・・?」
「え!? いや、そう言う訳じゃなくて・・その・・・」
フレンにそう言われリアは更に恥ずかしさが増し、言葉に詰まってしまう
「・・・ふふ、ごめん。さっきのリアが可愛くてついこうしてしまった」
「っ///」
そしてそこでようやく離れフレンはいつもの優しい笑みをリアに向けるとリアはまた顔を赤くした
「さ、僕達もヨーデル殿下やエステリーゼ様の所に行こうか」
「うん・・・」
その後、客席で劇を見ていたヨーデルが子供達が元気になった、大成功だとエステルと一緒に言っていてリア達もやって良かったと思っていた
そして夜、ユーリ達もカウフマンから受けていた仕事を無事に終わらせ戻って来たが既に日が沈んでいたので今日はこのままオルニオンに泊まる事にした
「・・・・」
「リア、こんな所に居たのか」
「フレン」
リアはある場所に来ていてそこを見ていると聞き覚えのある声が聞こえ振り返ると見回りをしていたフレンがいた
「フレンは見回り?」
「ああ。それと、宿から出て来るリアを見てね。・・・此処を見ていると昼間の劇を思い出すね」
「うん・・・」
リアが居た場所、そこは昼間に劇をした場所だった
「まさか僕やソディア、それにウィチルまでやるとは思ってなかったよ」
「でもフレン達なら心配なくやってくれたし、子供達も元気になってくれたし、終わった後も子供達から人気だったじゃない」
劇が終わって着替え終わった後、広場に戻ってくると劇を見ていた子供があっという間に劇に出ていたリア、フレン、ソディア、ウィチルの周りに集まったのだった
「子供達もアスラも言ってたけど、フレン、本当に勇者役が様になってたよね」
「リアまでからかわないでくれ・・・」
その時に子供達がフレンに言った事、舞台袖で見ていたアスラが言った言葉を言うとフレンは少しだけ顔を赤くしていた
どうやら仕事を終えて戻って来たユーリ達にも劇の事を話すと同じ事を言われたようだった
「けど、リアも本当にお姫様が様になっていたよ」
「そう?」
「ああ、・・だから思わず抱きしめてしまったんだけどね」
「え?」
最後の方は聞こえなかったのかリアは疑問符を出していて、そんなリアを見てフレンはまた優しい笑みを向けた
「・・・リア」
「ん?」
「・・・劇の最後のシーン、やってみないかい?」
「最後って、大魔王を倒した後?」
「ああ」
そう言われ疑問に持ちつつリアはそのシーンで立っていた場所に移動する
そして、
「勇者様」
「姫・・っ・・・」
「えっ! フ、フレン・・・!?」
お互いに台詞を言って駆け寄るシーンをやるはずだったが、フレンは台詞を言った後、そのままリアを抱きしめた
「・・・やっぱりダメだ」
「え?」
「・・・劇の最中もずっとリアのお姫様役と姿に見惚れていて抱きしめたかった。・・けど、やっぱりそれ以上にリアは僕の中で大きな存在になっているんだな」
「・・・フレン・・?」
その言葉に驚きリアはフレンの顔を見るといつも以上に優しい笑みを向け、その笑顔にリアはドキッとしてしまう
「・・・・///」
何か口にしなくてはと思いつつも上手く言葉が出てこない
そんなリアを見てフレンは小さく笑った
「リア」
「え? あ、な、何?」
「もしまだ寝付けないなら、このまま一緒に見回りでもする?」
「え?」
「いや、・・・僕がそうしたいんだ」
また優しい笑みを向けられ、リアも微笑み返した
「うん。そうだね」
「じゃあ、・・・お手をどうぞ、お姫様」
「ふふっ、それ、劇の続き?」
「どうだろうね」
言うとフレンは手を出し、リアは笑いながら手を載せ、その返事に二人してまた笑い出した
「じゃあ行こうか」
「うん」
言うと二人は手を繋いだまま歩き出した
今日は本当に驚いてしまったな
まさか僕達が劇をやるなんて・・・
それも僕が勇者でリアが姫・・・
エステリーゼ様も僕の気持ちが分かっているからこの配役にして下さったのだろうけど・・・
けど、あの時リアを抱きしめてしまったのは本当にリアがお姫様に見えたし、何より僕の気持ちが自然と出てしまったんだ
さっき言った事は僕が思っている事だし、今こうやって二人で手を繋いで歩いている事も凄く幸せなんだ、と改めて実感するよ
この幸せな時間を僕に
くれた事を感謝するよ、リア ――
フレンは自分の隣を歩いてるリアを見て優しく微笑みながらそう思っていた
その姿はまるで、劇で演じた勇者と姫が幸せな時間を過ごしているかのようにも見えていた
end.
あとがき
て事でサイト10周年記念小説、フレン編如何だったでしょうか?
考えた時に意外とフレンとの話って書いてなかったしどうしてもちょっと切ない系が混ざっちゃうよなぁ~(^^;)wって思って今回は頑張って甘い方向を目指して書いてみましたが、だ、大丈夫・・だった、よね?(^^;)w(聞くなww)
劇云々って所はイベント後(TOV 10周年イベの事ね)だったので、あの劇をアレンジして~って所をお借りしましたwww
設定としては、ラスダン入ってデューク戦前でみんなと話した後、外に戻ってサブイベ回収してる辺りって思って貰えたら解りやすいと思います(本編だとリアちゃん気持ちの整理がってなるからね(^^;)w)
久々にフレンとの話を書けたので満足しております!
さて、フレン編は以上となりますが、まだまだ残りのパーティメンバーとの話が残っています
まだ読んでないキャラ達がいたら其方も是非とも読んで頂けたらと思います!
改めて、サイト10周年、本当に有り難う御座います!!
これからも地道にやっていきますので、今後とも宜しくお願いします!
それからよければ・サイト10周年記念小説アンケートのアンケートにもご協力をお願いします。
10周年:2019.07.18
完成:2018.12.23
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