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梓とコハクがこの邸に来て暫く経った

梓には帝都の案内をしていたがコハクにはまだ案内していない所があり虎と共に帝都の案内をして昼食の時間に邸に戻ってきた

邸に入ると既に昼食の準備が出来ていて美味しそうな匂いが漂ってきた

「・・・わあ、良い匂い、どれもこれも美味しそう!」

「お・・・なんだよ。今日は品数も多いな。豪華じゃねえか」

「神子殿をねぎらう為の食事だからね」

そう、今日はいつも以上に品数も多く豪華な食事が並んでいた

「神子殿の為ねえ・・・毎度、毎度これぐらいの量用意してくれりゃ良いんだが」

「十分、配慮していますが」

「こちとら肉体労働者だぜ? お前等と一緒の量じゃ全然足りねえんだよ」

「はいはい、ルードくんも政虎さんもその辺にして下さい。コハクくん、私達は先に手を洗ってきましょうか」

「はーい!」

二人の言い合いはいつものようにリアが止めコハクと共に洗面所へと向かい、虎もその後に続き、全員が揃った所で豪華な昼食が始まった




07.蠱惑の森のある食卓風景




皆が席に着き豪華な昼食が始まった

梓をねぎらう為と言うのが第一だろうけど、コハクも最近この邸に来たばかりだから二人の歓迎会でもあるのか今日は二人の好物が沢山並んでいた

皆楽しく会話をしながら食事をしていたが、ふと梓が自分のスープに入っているキャベツに目を止める

「ん? このスープのキャベツ・・・随分形が不揃いだね」

「・・・ダリウス様が切り分けたものをそのまま使用させて頂きました。みじんにしてしまう手もありましたが、せっかくダリウス様が貴女の為に包丁を握られたのですから」

それを聞き、一瞬リアと虎の手が止まった

「あれ? どうしたの、二人とも」

「・・・もしかして、初めはダリウスさんが作ろうとしてたの・・?」

「・・・ええ」

それを聞きリアも虎も、そしてルードも少しだけ溜息に似た息を吐き出した

「参ったな。やはり俺の料理の腕はからきしだね」

三人の反応と自分のスープに入ってるキャベツを見てダリウスは苦笑しながらそう呟いた

「ま、お館様は召し上がるだけが一番平和だな。形どころか味付けもなかなかに独創的ときてる。今までも事あるに実験作とやらを毒味させられたが・・・ありゃ、凄かった」

虎の言葉には何処か重みがあり、リアも苦笑していた

「一体、どんな料理を作ったの?」

「鮑の酢漬けのサンドイッチなどは斬新かつ個性的な味わいで忘れがたいと言いますか・・・」

「食った途端にえずくシロモノだったなぁ、あれは」

「どうして、そんなものを・・・」

「ちょっとした出来心・・・としか答えようがないな」

「ダリウスさんがねえ・・・なんだか信じられない」

それには梓もコハクも意外そうな顔をしていた

確かにダリウスは何でも完璧に熟せる方であると思うのが当然と言えば当然だろう

「カリーに片栗粉を入れてルウが酷い事になった時もありましたよね」

「だって、ルウにはとろみがついてるじゃないか」

「馬鈴薯のおはぎは、まあ、食えた方・・かな」

「個人的な嗜好の問題でしょうが私は、あれはちょっと・・・おはぎと言われると認められません」

「・・・そこは、私もルードくんに賛成、かな・・ι」

ずっと黙っていたリアだったが遠慮がちではあるがそこばかりは答えずにはいられなかったようだ

「とにかく凄かったって事なんだね」

「ダリウスにも苦手な事があるんだね」

それぞれの反応を見てコハクも梓も頷いたり納得したりしていたのだった





別の日、昼食の時間なり皆それぞれ自分の席に着くとルードと梓が料理を運んで来た

今日の昼食はヒラメのムニエルに枝豆のポタージュ、人参のサラダだった

だが、何故か梓とルードの前にだけほうれん草と卵のソテーらしきものがあった

二人だけ料理が一品多い事に虎が気付き声を掛けるとルードは慌てて答える

「このソテーは、その―― 未完成の新作なんです。まだ人に出せるような出来栄えではなくて・・・」

「いや、未完成と言うか、私が焦がしてしまったと言うか・・・」

「へえ、君が作った料理か。興味があるな。良い香りもするし、良かったら味見させてくれるかい?」

「ええと・・・じゃあ・・・少しだけ、どうぞ」

「は? ちょっと、貴女――」

そう言うと梓はダリウスの方へ皿を渡し、ダリウスはルードの言葉を気にした様子もなく器用にソテーを切り分け一口口に入れる

「―― うーん、なるほど。芳ばしさが立っていて、良いね」

ダリウスの言葉に梓は驚きの表情をし、ルードは呆れたような顔をしていた

「ケチケチせずにオレにもよこしな」

「おれも、貰って良い? 梓さんの料理食べたいな」

「虎、コハク・・・膳ごしは行儀違反ですよ」

「梓ちゃん、私も貰って良いかな?」

「っ、リアさんまでですか!?」

虎、コハク、リアの言葉を聞き梓は三人が取りやすい位置に皿を移動し、三人は一口口に入れる

「なんだ、焦がしたっつっても食えるじゃねえか」

「ふんふん・・・うん、梓さんの真心が伝わってくるなあ」

「うん、ほうれん草と卵の味がしっかりしてて良いわね」

「貴方達って・・・」

三人の反応を見てルードは呆れているような顔をしていたが、梓は三人の反応を見てそこまで失敗していなかったのかもと思い皿を自分の前に戻し一口食べた

が、

「―― うっ」

「・・・・」

梓は小さな声を上げその様子を見てルードは更に呆れたように息を吐いていた

「(いや、むしろ見た目より味の方が悪いよ。苦いし、卵はパサついてるし。虎はどうだか知らないけど、ダリウスとコハクとリアさんは気遣ってくれてただけ。完全な失敗作だ・・・)・・・これ、ルードくんは食べてみた?」

「・・・ええ、予想に違わぬ味だとだけ言っておきましょう」

「うん、ごめんなさい・・・」

そして今度はルードの完璧な料理を食べ感想を言って手伝いが失敗した事を反省していた

「貴女は自分の失敗の責任を取ろうとしていました。それで十分です」

「・・・ルードくん」

「この経験を次に活かして下さい」

「・・・・はい、先生」

「ぶはっ」

「・・・梓さん、それ、やめて下さい。先生ではなくて、世話役です」

「ふふっ」

リアさん、笑いすぎです」

梓の“先生”と言う言葉に虎は思いっきり吹き出し、リアも梓の言葉が可笑しかったのか納得だったのか楽しそうに笑っていた





また別の日、この日ダリウスとルードは街に出ていて、リアも朝から仕事に出ていた

その為、今日の怨霊退治は梓とコハクと虎だった

「ただいま」

「はあ、お腹空いたぁ~」

「三人とも、お帰りなさい」

怨霊退治を済ませ邸に戻ってくると厨房からリアが顔を出した

「ダリウスとルードくんは?」

「二人とも今日は帰りが遅くなるから先に私達だけ夕食を済ませて良いって」

「さっさと食わせろ」

「駄目です。先に手洗いを済ませてきて下さい」

「へいへい」

「二人もいってらっしゃい。その間に準備しちゃうから」

「はーい」

「なら、私も手伝うよ」

「ありがとう」

素直に言う事を聞く虎に続きコハクと梓も続き、梓は急いでリアの手伝いをした

「はい、どうぞ」

「うわ~、美味しそう」

食卓には朝のうちにルードが仕込みをしておいた料理が並び食事が終わりに近付くとリアがもう一品運んで来た

「お、今日は一品多いじゃねえか」

「はい。帰りにお客さんから聞いたお店に寄ったら洋梨が安かったので買って来てタルトを作ってみたんです」

「え、これリアさんの手作り」

「怨霊退治で疲れてるだろうと思って。疲れてる時は甘いものが欲しくなるでしょ。紅茶か珈琲と一緒にどうぞ」

タルトを綺麗に切り分け一人一人の皿に盛りつけ渡していき、珈琲と紅茶を入れてあげる

「うん、美味しい!」

「本当、凄く美味しい!」

洋梨にしっかりと味がついていて、タルトも手作りなのか食感が良く、生地と洋梨とのバランスも絶妙だった

「喜んでもらえたなら良かった」

リアさんもルードくんと同じで料理上手いんだね」

「ルードくんには負けるけどね」

リア、まだあるか?」

「はい、ありますよ」

「あ、おれも欲しい」

「私も」

「じゃあもう一つずつ持ってくるね」

と、普段とはまた違った食卓の風景が広がっていた

その後、帰宅したダリウスとルードにもリアが作った洋梨のタルトは評判だったのは言うまでもない



続く



あとがき


今回はちょっと番外編みたいな感じで蠱惑の森の食卓風景を書いてみましたw

上二つは本編でもあった分ですが、それプラスオリジナルで書いてみました

この食卓のシーン結構好きだったので絶対使いたいなーって思ってたのでw

つーか、ダリウスさん、それ料理出来ない某人達と良い勝負だと思ってるのは俺だけですかね(^_^;)ww

今回はいつもと違ってほのぼのとしたものが書けたので楽しかったです

さて、次からは本編に戻る感じになるかな?

多分次、あの人出ると思うよ? ←でも疑問系ww

では、またー




2015.06.20
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