ダリウスルート
夢主名変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それからまた数ヶ月の時が流れる ―――
「ダリウスさん、ダリアを摘んできましたよ」
リアは湖の畔で着きにこりと微笑んで腰を下ろした
「今年も綺麗に咲いたんですよ」
そしてそのまま沢山の花が置いてある所に今持って来たダリアを置いた
リアが見ている先に居たのは、沢山の花に囲まれて眠っているダリウスだった
あの時、リアが言っていた通り、仮面は外れたがダリウスは今も目覚めていない
それは同じく禍津迦具土神に長年住み着かれていた片霧 清四郎もだった
やはり精神を邪神に融合させた代償が大きすぎたのだろう
そして彼等が眠りについてもう1年が経っていた
この1年、リアは毎日欠かさずダリウスの所に来ていて、あの日リアが出掛けると言って来た場所も此処だったのだ
リアはそのままダリウスの頬に触れる
(触れれば、温かくて耳を当てれば心臓の音がはっきりと聞こえてくるのに・・・どうして意識が戻らないんだろう・・・)
リアも治癒や浄化の力を使ったり九段も星の一族の術や力を使ったりと皆とあらゆる事をしたが、未だに意識が戻らなかった
みんながリアを心配している事は一番この事があるからであり、皆も態度には出していないがダリウスが目を覚まさない事を気に掛けていた
(・・・あの澄んだ声も聞けない。群青色の瞳も綺麗な笑顔もいつもみんなを優しく見守ってくれていた笑顔も、見られない―― ・・・それが、こんなに寂しいなんて・・・)
そう思い目を瞑るが直ぐにある事を思い出す
「あ、そうだ。ダリウスさん、以前言ってた例の本、やっと発売される事になったんですよ。政虎さんやルードくんや里のみんなからも色々情報を貰って、コハクくんや梓ちゃんにも手伝って貰って、私もずっと思っていた事や私達の一族の事も書いたんです。執筆って凄く大変で作家をしてる村雨さんって凄いなって改めて思いました。大変だったけど、仕上げた時は凄く達成感もあって、・・発売されるのが待ち遠しくて――」
リアは今までの事を思い出しながら微笑んでそう言う
「あの本を読んで、帝都もいつか国外に行っている鬼の人達やみんなが戻って来られて、私達の一族も隠れ住まなくて良い場所になりますよ。私達の目指している世の中に――。だから・・・っ」
そこで言葉が途絶えてしまった
(お互い、思いが通じ合って一緒に帝都の未来を見ながら暮らしていくつもりだったのに・・・。運命ってこんなにも残酷なものなんだね・・・。世界を救った鬼の首領なのに、こんな静かな森の中で眠ったままなんて――)
そこで一度目を閉じてまたダリウスを見る
(ダリウスさん、私はずっと此処に居ますよ。大好きな貴方が目を覚ますのをずっと待っているんです。・・・このまま何年も眠り続けるんですか・・・? ずっと・・・貴方の声が聞きたい、貴方の優しさに包まれて居たいって思っているのに・・・私を、一人にするんですか・・・? そんなの、嫌です・・・! ダリウスさんの淋しがりが移ったって思われても良い。だから――)
結んでいた口をゆっくりと開き抑えていた気持ちが込み上げてきてその気持ちを伝える
「私はずっと貴方の側にいたいんです。この先もずっと貴方と一緒に歩んで行きたいんです。・・もう、淋しいのは嫌です・・・だから、目を覚まして下さい、ダリウスさん――」
言うとリアはダリウスの唇にキスを落とし、優しい風が頬を撫でリアは体勢を戻した
「・・・やっぱり、目を覚ませてくれない・・か・・・」
体勢を戻して落ちてきそうになっていた髪を耳に掛けながらダリウスを見る
(昔読んだ『眠りの森の姫』だったら、キスをして目覚めてくれるのに・・・やっぱり、現実は、そうはいかない・・よね・・・っ、)
だがそこで抑えていた糸が途絶えてしまった
「っ、・・うぅ・・・っ」
この一年、みんなに無理をしていると気付かれても本当の笑顔を見せていないと気付かれていてもその弱さを見せず、どんなに辛くても寂しくても泣かなかったが、気持ちや思いが堪えきれなくなって涙を流してしまった
「・・・・」
「・・・うぅっ、・・ダリウス・・さんっ・・・っ」
それを抑えようと両手を顔に当てて何とか涙や気持ちを抑えようとするがそれは溢れる一方だった
「・・・泣いている・・の、リア?」
「・・・・っ!?」
途端、懐かしくて温かく澄んだ声が聞こえリアは目を瞠り、声の聞こえた方を見る
「・・・ダリウス・・さん・・・?」
「・・・おはよう、リア。・・・会いたかったよ、―― 世界で一番愛しい人」
「っ・・・、ダリウスさん!!」
言うとリアは目に涙を一杯溜め、そのままダリウスに抱きつき、ダリウスもリアを優しく抱き留めた
「ねえ、ルードくん。そんなに急ぐ必要あるかな」
「ありますよ。せっかく記念すべき本の1冊目が出版されたんです。リアさんに届けなくては」
場所は変わり、ルード達は蠱惑の森の中を走っていた
「・・・てか、なんでお前までいんだよ」
「なんでって、私だってリアさんに早くこの事を知らせたいからに決まってるでしょ」
「あーそうかよ」
そしてその中には梓の姿もあった
「・・・そもそも、なんでリアは本なんて出したんだか」
「決まっています。リアさんが本を出したのはダリウス様がお目覚めになるまでに鬼の理解を少しでも・・・」
「んな事は聞いてねえよ。ダリウスはもう目覚めねえよ。ダリウスだって覚悟の上で仮面を付けたんだろうが」
「リアさんだってあの時覚悟を決めたよ。だから、私もリアさんに力を貸した」
「それでお前は元の世界に戻れなくなっただろうが」
「私だってそれくらい覚悟はしてた。けど、大切な人が大切な人を救おうとしてたんだよ。私にとってもリアさんは友達であって、姉のような存在で大切な人だし、ダリウスにもお世話になってたのは事実だし、リアさんとダリウスの強い思いを知ってたから私は力を貸した。だから後悔してないよ」
「梓さん・・・。そうだね。リアさんももう心は決まっているよね。凄く辛い道だと思うけど・・・」
「・・・・」
「・・・あ、れ・・?」
梓やコハクの言葉を聞き、ルードも何かを思っている顔をしたがコハクが何かに気付き皆足が止まる
「おい・・・急に止まるなや、コハク」
「ごめん。でも・・・」
「コハク、どうかしたの・・・?」
「・・・だって、あれ・・・見間違いじゃないよね。あそこで抱き合ってるの・・・」
「え・・・? ・・・!」
それを見て梓もルードもそして虎も目を瞠る
「・・・予定変更です! 邸に戻ります」
ルードはそう言って踵を返した
「はあ? なんだ、急に?」
「私がこの1年掛けて作った大作があるんです。今すぐ見直さなくては。コハクと虎と梓さんは関係各所に連絡を!」
「えええ?」
「ルードくん? えっと・・・」
「何を始める気だ」
「ああ、もう。勘が悪いですね。そんなの、当然――」
事態を把握しきれていないコハク、虎、梓を見てじれたルードはそう言って叫んだ
「お二人の結婚式に決まっているじゃないですか!!」
47.ふたりの結末
それからの一週間、ルードの仕事裁きは神がかっていたと言う――
「・・・ルードくん、いつの間にこんなドレスを用意してたんだろう・・・」
そう、今リアが着ているドレスはあの時ルードが言っていた大作のドレスだった
そしてリアとダリウスは綺麗な花が沢山ある場所にいて、少し先には花のアーチが見える
「ふうん。流石ルードだね。あしらいも上品だし細かい縫製が丁寧だ。何より、趣味が良い。俺の好みを良く解っている」
「そ、そうですね。それに、私の好きな色も使ってくれて・・・」
そしてそのドレスはリアの好きな色やレースを使い更にはダリウスの好みのドレスとなっていた
「そうだね。本当にリアに良く似合っているよ。それに、やっぱり幸せ者だな。こんな綺麗な君を花嫁に貰えるなんて」
「ダリウスさん・・・その、・・目覚めたばかりなのに、口振りが変わらないですよね・・・」
「そりゃあね。夢の中でも、ずっと君を想っていたから。体が重くて、ずっと意識だけが夢に漂っていた。視界がぼやけていて声も出せなくて・・・けれど、心は満たされていたよ。君が花を届けて言葉を語りかけてくれていたから。毎日、毎日、足を運んでくれてありがとう」
「ダリウスさんは淋しがりですから、会いに行かなかったら目覚めた時に怒られちゃいそうでしたし」
「ふふっ・・・――でも、眠っている間俺よりもずっと君の方が淋しそうな顔をしていた。・・・必死に笑顔を作ってくれていたけれど何処か痛々しくて・・・君は気丈だったよ。・・・だけど、一度だけ、泣いたね。俺の名前を呼んでた。愛おしくて申し訳なくて・・・だから俺は目を覚ます事が出来たのかもしれない。早く、夢の膜を破って君を抱き寄せて・・・キスのお返しをしなくちゃって。それに、リアからキスをしたのはあれが初めてだったよね」
「っ・・///」
「ふふっ・・そうやって照れる所も相変わらずだね。でも、そんな君だから俺は好きになったんだよ。それに、恋しい君を泣かせたままでいられるほど、俺はひどい男じゃないからね」
「ダリウスさん・・・」
「・・・本当に目覚める事が出来て、良かったよ」
「・・・ダリウスさんが目を覚ましてくれて、本当に良かったです。こうやって直ぐ近くにダリウスさんがいる事を実感出来るから――」
リアの言葉を聞くとダリウスは先程よりもリアを引き寄せ、リアはダリウスを見てずっと気になっていた事を聞いた
「でも、1つだけ、気になってる事があるんです」
「何?」
「ダリウスさんはいつ、私が歴代の神子の末裔だって知ったんですか? やっぱり・・・あの時、ですか」
「ああ、禍津迦具土神の意識と融合している時に奴が君の力を見てそれが歴代の神子の力だと言っていたよ。そしてそれを聞いて君の力を感じて歴代の神子の末裔だったんだと解ったよ」
「そうだったんですか・・・」
「だからと言って君を特別な子だとは思っていないよ。特別でもそれは俺にとってとても大切な女性であると言う事だからね」
「ダリウスさん・・・」
いつもの優しい笑みを向けられその優しい声と言葉を聞きその言葉が嬉しくてリアは微笑んだ
「ただ、もう一つ欲を言えば目覚めのキスは受けたけれど・・・契りを授かる前にリアからの愛の言葉を改めて聞きたいな。リアは―― 俺をどう想っているの?」
「っ・・・そう言う風に聞くのは、本当にずるいですよ・・・///」
ダリウスの言葉と表情にリアは顔を赤く染め言葉に詰まりながらそう言うも、直ぐに幸せそうな顔をして答える
「でも、私の答えは一つですよ。私はダリウスさんの事が好きです、誰よりも、愛してます。もう、淋しいのは嫌です・・・私を、一人にしないで下さい」
「・・・分かったよ。目を閉じて・・・リア」
「――・・・」
目を閉じるとお互いの距離がなくなり、唇が重なる
「リア、俺も君を―― 愛しているよ。永遠の眠りよりも、深く。君が俺を受け止め、愛してくれた事を何より宝に思っている。約束する。もう二度と、君を離さない。俺の命は、いつも君と共にあると誓うよ。二人で歩む道はきっとこれから豊かな彩りを与えてくれる。この世界の未来はずっとずっと――明るい」
言うとダリウスは優しい笑みを向けリアの手を取る
「さあ、行こうか。花のアーチをくぐった先でみんなが俺達を待っている。―― そして君と紡ぐ新しい朝が始まるんだ」
完
あとがき
と言う事で! 遂にダリウスさんルートも無事に完結致しましたっっ!!!
ほんとに最後の最後まで切なかった!!
でも最後はダリウスさんも目を覚ましてくれて良かった!!
そしてまさかな結婚シーンでラストとはっww
むしろルードくんの神がかった仕事ぶりを見てみたかったわ←そこww
ほんとに、ルードくんは良く出来た従者だよね、最年少だけどww
まあ驚きと切なさの連続ではありましたが、1年間と言う長い間一緒にいられなかった分、これから沢山の幸せを掴み取って欲しいですね!(何気に時空を旅する君への歌詞入ってるしww)
と言う事で、ダリウスさんルートは今回で終了となります
最後まで読んでくれた皆様、本当にありがとう御座いました!
引き続き、ルート別であるルードルート、大団円ルートと長短編も共に読んで頂ければ幸いです!
長くなりましたが、此処までお付き合いして頂き有り難う御座いました!
2015.08.16
「ダリウスさん、ダリアを摘んできましたよ」
リアは湖の畔で着きにこりと微笑んで腰を下ろした
「今年も綺麗に咲いたんですよ」
そしてそのまま沢山の花が置いてある所に今持って来たダリアを置いた
リアが見ている先に居たのは、沢山の花に囲まれて眠っているダリウスだった
あの時、リアが言っていた通り、仮面は外れたがダリウスは今も目覚めていない
それは同じく禍津迦具土神に長年住み着かれていた片霧 清四郎もだった
やはり精神を邪神に融合させた代償が大きすぎたのだろう
そして彼等が眠りについてもう1年が経っていた
この1年、リアは毎日欠かさずダリウスの所に来ていて、あの日リアが出掛けると言って来た場所も此処だったのだ
リアはそのままダリウスの頬に触れる
(触れれば、温かくて耳を当てれば心臓の音がはっきりと聞こえてくるのに・・・どうして意識が戻らないんだろう・・・)
リアも治癒や浄化の力を使ったり九段も星の一族の術や力を使ったりと皆とあらゆる事をしたが、未だに意識が戻らなかった
みんながリアを心配している事は一番この事があるからであり、皆も態度には出していないがダリウスが目を覚まさない事を気に掛けていた
(・・・あの澄んだ声も聞けない。群青色の瞳も綺麗な笑顔もいつもみんなを優しく見守ってくれていた笑顔も、見られない―― ・・・それが、こんなに寂しいなんて・・・)
そう思い目を瞑るが直ぐにある事を思い出す
「あ、そうだ。ダリウスさん、以前言ってた例の本、やっと発売される事になったんですよ。政虎さんやルードくんや里のみんなからも色々情報を貰って、コハクくんや梓ちゃんにも手伝って貰って、私もずっと思っていた事や私達の一族の事も書いたんです。執筆って凄く大変で作家をしてる村雨さんって凄いなって改めて思いました。大変だったけど、仕上げた時は凄く達成感もあって、・・発売されるのが待ち遠しくて――」
リアは今までの事を思い出しながら微笑んでそう言う
「あの本を読んで、帝都もいつか国外に行っている鬼の人達やみんなが戻って来られて、私達の一族も隠れ住まなくて良い場所になりますよ。私達の目指している世の中に――。だから・・・っ」
そこで言葉が途絶えてしまった
(お互い、思いが通じ合って一緒に帝都の未来を見ながら暮らしていくつもりだったのに・・・。運命ってこんなにも残酷なものなんだね・・・。世界を救った鬼の首領なのに、こんな静かな森の中で眠ったままなんて――)
そこで一度目を閉じてまたダリウスを見る
(ダリウスさん、私はずっと此処に居ますよ。大好きな貴方が目を覚ますのをずっと待っているんです。・・・このまま何年も眠り続けるんですか・・・? ずっと・・・貴方の声が聞きたい、貴方の優しさに包まれて居たいって思っているのに・・・私を、一人にするんですか・・・? そんなの、嫌です・・・! ダリウスさんの淋しがりが移ったって思われても良い。だから――)
結んでいた口をゆっくりと開き抑えていた気持ちが込み上げてきてその気持ちを伝える
「私はずっと貴方の側にいたいんです。この先もずっと貴方と一緒に歩んで行きたいんです。・・もう、淋しいのは嫌です・・・だから、目を覚まして下さい、ダリウスさん――」
言うとリアはダリウスの唇にキスを落とし、優しい風が頬を撫でリアは体勢を戻した
「・・・やっぱり、目を覚ませてくれない・・か・・・」
体勢を戻して落ちてきそうになっていた髪を耳に掛けながらダリウスを見る
(昔読んだ『眠りの森の姫』だったら、キスをして目覚めてくれるのに・・・やっぱり、現実は、そうはいかない・・よね・・・っ、)
だがそこで抑えていた糸が途絶えてしまった
「っ、・・うぅ・・・っ」
この一年、みんなに無理をしていると気付かれても本当の笑顔を見せていないと気付かれていてもその弱さを見せず、どんなに辛くても寂しくても泣かなかったが、気持ちや思いが堪えきれなくなって涙を流してしまった
「・・・・」
「・・・うぅっ、・・ダリウス・・さんっ・・・っ」
それを抑えようと両手を顔に当てて何とか涙や気持ちを抑えようとするがそれは溢れる一方だった
「・・・泣いている・・の、リア?」
「・・・・っ!?」
途端、懐かしくて温かく澄んだ声が聞こえリアは目を瞠り、声の聞こえた方を見る
「・・・ダリウス・・さん・・・?」
「・・・おはよう、リア。・・・会いたかったよ、―― 世界で一番愛しい人」
「っ・・・、ダリウスさん!!」
言うとリアは目に涙を一杯溜め、そのままダリウスに抱きつき、ダリウスもリアを優しく抱き留めた
「ねえ、ルードくん。そんなに急ぐ必要あるかな」
「ありますよ。せっかく記念すべき本の1冊目が出版されたんです。リアさんに届けなくては」
場所は変わり、ルード達は蠱惑の森の中を走っていた
「・・・てか、なんでお前までいんだよ」
「なんでって、私だってリアさんに早くこの事を知らせたいからに決まってるでしょ」
「あーそうかよ」
そしてその中には梓の姿もあった
「・・・そもそも、なんでリアは本なんて出したんだか」
「決まっています。リアさんが本を出したのはダリウス様がお目覚めになるまでに鬼の理解を少しでも・・・」
「んな事は聞いてねえよ。ダリウスはもう目覚めねえよ。ダリウスだって覚悟の上で仮面を付けたんだろうが」
「リアさんだってあの時覚悟を決めたよ。だから、私もリアさんに力を貸した」
「それでお前は元の世界に戻れなくなっただろうが」
「私だってそれくらい覚悟はしてた。けど、大切な人が大切な人を救おうとしてたんだよ。私にとってもリアさんは友達であって、姉のような存在で大切な人だし、ダリウスにもお世話になってたのは事実だし、リアさんとダリウスの強い思いを知ってたから私は力を貸した。だから後悔してないよ」
「梓さん・・・。そうだね。リアさんももう心は決まっているよね。凄く辛い道だと思うけど・・・」
「・・・・」
「・・・あ、れ・・?」
梓やコハクの言葉を聞き、ルードも何かを思っている顔をしたがコハクが何かに気付き皆足が止まる
「おい・・・急に止まるなや、コハク」
「ごめん。でも・・・」
「コハク、どうかしたの・・・?」
「・・・だって、あれ・・・見間違いじゃないよね。あそこで抱き合ってるの・・・」
「え・・・? ・・・!」
それを見て梓もルードもそして虎も目を瞠る
「・・・予定変更です! 邸に戻ります」
ルードはそう言って踵を返した
「はあ? なんだ、急に?」
「私がこの1年掛けて作った大作があるんです。今すぐ見直さなくては。コハクと虎と梓さんは関係各所に連絡を!」
「えええ?」
「ルードくん? えっと・・・」
「何を始める気だ」
「ああ、もう。勘が悪いですね。そんなの、当然――」
事態を把握しきれていないコハク、虎、梓を見てじれたルードはそう言って叫んだ
「お二人の結婚式に決まっているじゃないですか!!」
47.ふたりの結末
それからの一週間、ルードの仕事裁きは神がかっていたと言う――
「・・・ルードくん、いつの間にこんなドレスを用意してたんだろう・・・」
そう、今リアが着ているドレスはあの時ルードが言っていた大作のドレスだった
そしてリアとダリウスは綺麗な花が沢山ある場所にいて、少し先には花のアーチが見える
「ふうん。流石ルードだね。あしらいも上品だし細かい縫製が丁寧だ。何より、趣味が良い。俺の好みを良く解っている」
「そ、そうですね。それに、私の好きな色も使ってくれて・・・」
そしてそのドレスはリアの好きな色やレースを使い更にはダリウスの好みのドレスとなっていた
「そうだね。本当にリアに良く似合っているよ。それに、やっぱり幸せ者だな。こんな綺麗な君を花嫁に貰えるなんて」
「ダリウスさん・・・その、・・目覚めたばかりなのに、口振りが変わらないですよね・・・」
「そりゃあね。夢の中でも、ずっと君を想っていたから。体が重くて、ずっと意識だけが夢に漂っていた。視界がぼやけていて声も出せなくて・・・けれど、心は満たされていたよ。君が花を届けて言葉を語りかけてくれていたから。毎日、毎日、足を運んでくれてありがとう」
「ダリウスさんは淋しがりですから、会いに行かなかったら目覚めた時に怒られちゃいそうでしたし」
「ふふっ・・・――でも、眠っている間俺よりもずっと君の方が淋しそうな顔をしていた。・・・必死に笑顔を作ってくれていたけれど何処か痛々しくて・・・君は気丈だったよ。・・・だけど、一度だけ、泣いたね。俺の名前を呼んでた。愛おしくて申し訳なくて・・・だから俺は目を覚ます事が出来たのかもしれない。早く、夢の膜を破って君を抱き寄せて・・・キスのお返しをしなくちゃって。それに、リアからキスをしたのはあれが初めてだったよね」
「っ・・///」
「ふふっ・・そうやって照れる所も相変わらずだね。でも、そんな君だから俺は好きになったんだよ。それに、恋しい君を泣かせたままでいられるほど、俺はひどい男じゃないからね」
「ダリウスさん・・・」
「・・・本当に目覚める事が出来て、良かったよ」
「・・・ダリウスさんが目を覚ましてくれて、本当に良かったです。こうやって直ぐ近くにダリウスさんがいる事を実感出来るから――」
リアの言葉を聞くとダリウスは先程よりもリアを引き寄せ、リアはダリウスを見てずっと気になっていた事を聞いた
「でも、1つだけ、気になってる事があるんです」
「何?」
「ダリウスさんはいつ、私が歴代の神子の末裔だって知ったんですか? やっぱり・・・あの時、ですか」
「ああ、禍津迦具土神の意識と融合している時に奴が君の力を見てそれが歴代の神子の力だと言っていたよ。そしてそれを聞いて君の力を感じて歴代の神子の末裔だったんだと解ったよ」
「そうだったんですか・・・」
「だからと言って君を特別な子だとは思っていないよ。特別でもそれは俺にとってとても大切な女性であると言う事だからね」
「ダリウスさん・・・」
いつもの優しい笑みを向けられその優しい声と言葉を聞きその言葉が嬉しくてリアは微笑んだ
「ただ、もう一つ欲を言えば目覚めのキスは受けたけれど・・・契りを授かる前にリアからの愛の言葉を改めて聞きたいな。リアは―― 俺をどう想っているの?」
「っ・・・そう言う風に聞くのは、本当にずるいですよ・・・///」
ダリウスの言葉と表情にリアは顔を赤く染め言葉に詰まりながらそう言うも、直ぐに幸せそうな顔をして答える
「でも、私の答えは一つですよ。私はダリウスさんの事が好きです、誰よりも、愛してます。もう、淋しいのは嫌です・・・私を、一人にしないで下さい」
「・・・分かったよ。目を閉じて・・・リア」
「――・・・」
目を閉じるとお互いの距離がなくなり、唇が重なる
「リア、俺も君を―― 愛しているよ。永遠の眠りよりも、深く。君が俺を受け止め、愛してくれた事を何より宝に思っている。約束する。もう二度と、君を離さない。俺の命は、いつも君と共にあると誓うよ。二人で歩む道はきっとこれから豊かな彩りを与えてくれる。この世界の未来はずっとずっと――明るい」
言うとダリウスは優しい笑みを向けリアの手を取る
「さあ、行こうか。花のアーチをくぐった先でみんなが俺達を待っている。―― そして君と紡ぐ新しい朝が始まるんだ」
完
あとがき
と言う事で! 遂にダリウスさんルートも無事に完結致しましたっっ!!!
ほんとに最後の最後まで切なかった!!
でも最後はダリウスさんも目を覚ましてくれて良かった!!
そしてまさかな結婚シーンでラストとはっww
むしろルードくんの神がかった仕事ぶりを見てみたかったわ←そこww
ほんとに、ルードくんは良く出来た従者だよね、最年少だけどww
まあ驚きと切なさの連続ではありましたが、1年間と言う長い間一緒にいられなかった分、これから沢山の幸せを掴み取って欲しいですね!(何気に時空を旅する君への歌詞入ってるしww)
と言う事で、ダリウスさんルートは今回で終了となります
最後まで読んでくれた皆様、本当にありがとう御座いました!
引き続き、ルート別であるルードルート、大団円ルートと長短編も共に読んで頂ければ幸いです!
長くなりましたが、此処までお付き合いして頂き有り難う御座いました!
2015.08.16