ダリウスルート

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革命決行当日の夜、リアはダリウス達と共に空間移動で凌雲閣側に来ていた

先程まで邸の中に居たから気付かなかったが、頬に触れる夜の風は心なしか涼しく感じられていた

凌雲閣の前を見ると、厳重な警備がされていて複数の軍人が入り口を守っていた

だが、リア達は凌雲閣の正面に向かわず近くの茂みの方へ歩いて行く

そして一角にある葉っぱを退かすとそこには扉の取っ手があった

此処から地下へ入れるようだった

「足下が心配だね。リア、手を貸して」

「あ、はい」

事前に調査をしていたのでこれで無事に地下へ降りる事が出来るが、この先に入るのは初めてで、足元も暗くダリウスがそう言って手を出しその手を取り階段を降り始める

ダリウスを先頭にリア、コハク、ルード、虎と続く

長い廊下を歩く中、リア達の足音が辺りに響き渡る

その廊下にはいくつもの隠し部屋がある

だがリア達が目指している場所はもっと先だ

それでも徐々に空気が淀んでいっているのが解り、気を引き締め直す

そして最深部と言ってもいい場所に着き、ダリウスは扉を開け中に入る

部屋の中は無機質だったが、強い瘴気を感じた

「・・・・」

「っ・・・!」

そして部屋の奥を見るとガラスの中に沢山の禍々しい花弁があり培養液が入っていた

いや、それだけではなかった

その中には、人間も入っていた

「っ・・・」

その光景にリアだけでなくダリウスもルードも虎もコハクも目を瞠って息を詰めていた

「想像していたより酷い光景だね・・・」

「・・・・っ」

「大丈夫かい」

「はい・・・」

何とか動揺を露わにしないようにしているも、やはり顔色が悪くなっていてダリウスはリアを引き寄せ安心させるようにしていた

「・・・ありがとう御座います」

ダリウスの温もりを感じ少し落ち着いたのかリアはお礼を言う

そしてコハクを見るとコハク自身もこの場に居た事があり、あの残酷な出来事が遭った場所だったからか、辛そうな表情を浮かべていた

「では、ダリウス様、私は梓さんを迎えに行って参ります」

「ああ。頼んだよ」

言うとルードは来た道を戻って行き凌雲閣を目指している梓を地上へと迎えに行った

「・・・・・」

この計画には梓の力も必要になってくる

梓自身も帝都の闇の事知りたいと思っていた

だが、この真実を知って梓がどう受け止めるか

自分達のように衝撃を受けてしまうのは当然だ

否、梓だけではない、この真実は他の人が知っても衝撃を受けてしまう

コハクが記憶を取り戻し話してくれた内容を聞いただけでも残酷過ぎる出来事だと思っていたが、その原因であり帝都の闇の正体の一つを目の当たりにして言葉を無くしてしまう

そう思っていると遠くから足音が響いてくるのが分かった

どうやらルードが無事に梓と合流してこちらに向かって来ているようだった




40.帝都の闇




「梓、無事に辿り着けたようだね」

「ルードくんが誘導してくれたから」

「「・・・・・」」

足音が完全に近付いた所でリア達は一斉に梓とルードの方を向き、梓は目の前にいるダリウス、リア、虎、コハクを見る

だが、リアとコハクの顔色は優れなかった

「君が、見事四神の協力を得てくれたお陰で此処まで容易に入れたよ」

「うん・・・驚いたよ。凌雲閣の中にこんな大きな隠し部屋があったなんて。ところで、この瘴気って一体何処から・・・?」

「奥をご覧。あれが、我々が探してきた帝都を蝕む諸悪の根源だ」

「諸悪の根源・・・?」

言うとダリウス達はそこから少し離れ、梓に奥にあるものを見やすくしてあげた

「あれ、何・・・?」

「「っ・・・」」

梓は奥にあるものをじっと見る

そして、ある事に気が付く

「・・・! ・・・もしかして、これ・・・人間が、入れられてるの?」

梓もリア達同様、この光景を見て驚きを隠せないでいた

「この機械は何?」

「アダバナの溶液で満たされているんだ。人を狂わせる魔性の花・・・」

「コハク・・・」

「思い出したんだよ、その機械の中におれが押し込められてた事」

「・・・!」

「その機械は、人の体を兵器として強化する為のものだ。アダバナの蜜が体に入ると闘争能力を掻き立てられ人にあらざる力を得る。記憶や心を失うのと引き換えに」

「そんな・・・それじゃあ「強兵計画」って・・・」

「八百万の神の力なんて嘘だったって事よ」

「ま、待って。コハクがこの中に入っていたって事はまさか、憑闇の正体も・・・」

「要は、憑闇こそ強兵計画の失敗作・・・と言う事です。散々憑闇を生んだ原因を鬼の所為と謳っておいて、胸糞悪い事実ですが」

「本当にな。なーにが「強兵計画」だ。神々の力を借りる所か人の体を好きにいじってたなんざ正気の沙汰じゃねえよ」

「・・・・」

リアもこの事はコハクが記憶を取り戻した時に聞いていたが、梓同様、この光景を見て、夜会での友部の事や花火大会での新兵も此処で無理に力を増幅させられ、憑闇になってしまったのだと思い驚きや悲しみ、そして怒りを隠せないでいた

「・・・帝国軍は、兵士達が憑闇になる危険を分かった上で強兵計画を進めていたの・・・?」

「・・・っ」

「信じ・・・られない」

「俺も信じられなかったよ。だけど、実際に俺は話を聞いていたし―― このおぞましい計画に加担させられた・・・全て現実なんだ」

「ダリウス・・・、どう言う事・・?」

ダリウスの言葉に疑問を持ち梓はそう尋ねダリウスはゆっくりと過去の事を話し出す

「かつての俺は鬼の隠れ里で人の世に蔓延る闇を感じながらはがゆく思っていた。俺達には特別な力があるのにそれを役立てる機会が与えられていなかったからだ。そんな折、片霧が現れて取引を持ち掛けてきた。ただの脅しなら素直に従う気はなかったけれどその時、奴はこう言い添えたんだ。「鬼の一族は優れた知性と力を持っている。この国の為に是非、帝国軍に力を貸してくれ」と」

その時のダリウスは鬼の力を役立てられると思っていた

だがその後、強兵計画の事を知り、帝国軍こそが腐敗を生む元凶でこの国の問題は思ったよりも根深いと知り、ダリウスは自分の手で決着を付けると決意をし、鬼の一族には海の向こうに避難してもらう事を決め、リア達の一族にもその意志を伝えそれを聞きリアもルードと共にダリウスの革命に参加した

「予言書が終焉を謳うのは修復が利かない程に人間の業が根深いからだ。与えられた小さな巣で十分に平穏な幸せが叶うのにどうして、弱者を虐げ偽りの繁栄を追い求めるのか。諸悪の根源・・・帝国軍の頭は、もはや、粛清をしなければいけない」

「粛清・・・何をするつもりなの?」

「まずは、この機械を爆破し帝国軍への宣戦布告とします。これで帝国軍の企み、強兵達は封じられますしね」

「その後は、即刻参謀本部に奇襲を掛け占拠するって手はずだったな。既に村雨達「結実なき花」の残党も待機済みだろう」

「・・・っ」

「君にしてほしい事はもう理解出来たかな・・・強兵計画とは神の加護などを得るものではない。アダバナを介して人の邪気を引き出すもの。そして、この機械こそ帝都に怨霊を呼び込んだ・・・穢れの源だ。破壊するには、少々纏っている瘴気が厄介だけど・・・我々鬼の力に、四神に認められた今の君の力が加われば不可能じゃないよ」

「・・・・」

「怪我をしたとしても私が直ぐに治すから」

リアさん・・・でも、あの機械を壊したりしたら、中に入ってる人達は――」

「・・・出来る事なら、私も助けたいよ。・・でも・・」

「おれだってリアさんと同じで本当は助けたい。でも・・・時間がないのなら犠牲は必要なんだと思う。このまま放っておいて憑闇となってより多くの人を傷つける」

「・・・!」

確かにコハクやリアの言う通りだ

だが、梓は奥にある機械を見て言う

「・・・ねえあの機械を壊すのは危ないんじゃ・・・ただでさえあんなに瘴気が溢れてるんだもの。無理に破壊したりしたらダリウス達の身だってただじゃ済まないんじゃ・・・」

「私が結界を張ります。その間に空間移動で避難すれば良い」

「でも、私達が逃げた後は? この近くに住んでいる人もいっぱいいるのに・・・」

「事前に勧告はした。出来うる限りの手は尽くしているよ」

「!」

そう言われ、あの東京駅の垂れ幕がダリウス達がやったのだと梓も気付く

「・・・・」

覚悟は決まっている、だけど梓の迷いはリアも思っていた事だった

事前に勧告はし、この辺りの住民が避難した事はリアも店で聞いていたし、一緒に働いてる人達も一時的に実家や他の場所に避難している事を知っていた

そう思っていた時だった

途端、扉が開き銃声の音が部屋に響き渡った

「わわっ・・・!」「っ・・・!」

「―― 此処で何をしているのかな」

「っ・・・!」

そこに居たのは帝国軍の頭である参謀総長片霧 清四郎と彼が引き連れてきた親衛隊とその部下達だった

「事前調査と違いますね。こちらの動きは読まれていなかったはず・・・手違いでしょうか。ダリウス様、申し訳ありません」

事前に総長の動きを調べていたが、それが急に予定を変えたのか総長は親衛隊と部下達と共にこの場に居た

「大人しくしていろ! 次は外さん!」

「鬼共め、覚悟しろ!」

言うと高官達は銃を構えた

だが、

「―― 撃ってみろってんだよ」

そう言って自身のかぎ爪を見せてにやりと笑いながら虎は前に出る

「なっ・・・貴様、銃が怖くないのか!?」

「怖くねえよ。撃てば危ないのはお前等だからな」

「な、な、なんだと・・・!?」

「敵が怯んだ。―― ルード、コハク」

「心得ています」

「はーい!」

虎の迫力に圧倒され高官達は怯みその隙を見てダリウスはルードとコハクに合図を出すと二人は一斉に駆け出し銃を構えている高官の腕を叩き銃を叩き落とした

「っ・・・! 銃を叩き落とすとは・・・」

「なめるな! こちらにはまだ手勢が・・・」

「―― 甘えのはどっちだよ!」

「うわああっ!?」

直ぐに虎はその男に攻撃を仕掛け、男は怯んでその場に座り込んでしまう

「へっ、学習しねえなあ。オレ相手に兵が少なすぎだぜ」

「チッ、なら・・・っ!」

「・・・動くと、今度は本当に当てますよ?」

新たに手勢を呼び動き出した兵達を見てリアは即座にナイフを彼等の足下に数本投げ、鋭い目つきでそう言い放つ

先程までのリアとは違う目を見て梓は一瞬驚きもしたが、これで彼等が自分達に危害を加える事は無いと思い少しだけ息を吐き出した

「・・・っ!」

その隙にダリウスは空間移動で参謀総長の下へ移動する

「どうやら、少し予定が早まったらしい――」

「ダリウス・・・!」

「「結実なき花」の残党とお前を参謀本部で始末するつもりだったけれど・・・構わない、今、此処で決着を付けよう」

言うとダリウスは自身の仕込み杖を構えた

「片霧清四郎、お前が腐らせた世を立て直す為に討たせてもらう」

「鬼・・・か。計画の邪魔をするな。お前とて、この計画に関与していただろうに・・・!」

「だからこそ、この手で過ちを正すんだ。此処まで来るのにだいぶ掛かったよ」

「フン、化物くずれの首領如きが・・・! くらえ・・・!」

参謀総長は言うと銃を懐から出し、ダリウス目掛けて撃つ

だがダリウスは瞬時に空間移動を使いそれを避け、その銃を払い落とした

「―― たわいもない。身の程を知るべきだったね。犠牲にした者達の魂にあの世で詫びると良い」

「―――!」

言うとダリウスは参謀総長の喉元に仕込み杖の刃を当てた

「ダリウス、やめて!」

「・・・・っ!」

その様子を見て梓が叫ぶと、また扉が開く音と複数の足音が聞こえてきた



続く



あとがき


さてさて、やっと凌雲閣の地下に潜入しましたね

そしてダリウスが以前語っていなかった所も今回色々と解りましたね

で、良い所で続きましたよ

次回は色々な事が解ったり意外な展開になるかもですよw

ではまた




2015.08.15
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