ダリウスルート
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次の日の朝、リアはいつも通り起きて身支度を調え階下に降りた
庭先からはルードと虎が鍛錬をしている声とコハクの応援する声が聞こえる
それを聞きながらリアは食堂へ向かい、そのまま厨房へ向かおうとしていた
「おはよう、リア」
「っ! ダリウスさん」
もうすぐ厨房の入口に着くと言う所でダリウスの声が聞こえると同時に後ろから抱きしめられ歩みが止まる
「お、おはよう・・御座います・・・」
「うん、おはよう」
ダリウスの方を見て挨拶をするとダリウスは満足そうに笑っていた
「あの・・ダリウスさん、抱きつかれていると朝食が作れないんですけど・・・」
「俺はリアと離れていて淋しかったんだけどな」
「え、えっと・・・」
平常心を保ちながらそう答えるもダリウスは優しい笑みを向けてそう言い、リアは困った顔をした
「ふふっ、困った顔もやっぱり可愛いね」
言うとダリウスはリアの髪にキスを落とす
「ダ、ダリウスさん///」
「なあに?」
「あの・・・恥ずかしいです///」
「昨日は口付けもして抱擁もしてくれたよね」
「そ、それは・・・そう、ですけど・・・///」
そう言われ、昨日の事を思い出す
確かに昨日はキスをして抱擁もした
だがそれはダリウスの部屋で二人だけだったから今みたいに焦る事はなかった
「・・・誰かに見られちゃいますし・・・///」
「心配しなくてもルード達はまだ外だよ」
確かにまだルード達は外で鍛錬をしている
それでもいつ戻って来てこの光景を見られてしまうのではないかと言う焦りがリアにはあった
「俺としては見られても構わないけれど」
「っ///」
良い笑顔でそう言われリアは言葉に詰まっていた
「それに、俺達はもう恋人同士なんだ。思いっきり甘えても良いんだしね」
「///」
改めてそう言われ顔が赤くなると同時に胸が高鳴っていた
「リアのその可愛い反応を見るのも俺は飽きないけれど」
「・・・ダリウスさんって意地悪ですよね」
「リアが可愛いからつい、ね。それにリアに甘えたいのは本当だよ」
言うと先程より強く抱きしめられる
それは本当に淋しかったのか甘えたいのかいつもより近くに感じていて、リアもダリウスの温もりを感じ安心した表情を見せた
「・・・ダリウスさんって意外と淋しがりなんですか」
「そうだね。淋しいのは好きじゃないよ。だからリアに側にいて欲しいし甘えたいんだ」
ダリウスの意外な一面を知ると同時にこうやって自分に甘えてくれている事が嬉しくなりリアは優しく微笑んだ
「・・・その顔を見ているとキスしたくなってしまうな」
「え? ・・・っ!///」
言うとダリウスはリアの顎に手を持っていき少しだけ上に持ち上げ唇に軽いキスを落とした
「っ///」
急な事に驚いて目を瞠り更に顔も赤くなってしまうが、それでも胸が高鳴って幸せを感じている事に気が付く
そして
「・・・・・」
「っ!/// ル、ルードくん!?///」
気持ちを落ち着かせようと思い視線を外すと食堂のテーブルの近くでルードが顔を赤くして固まっているのが目に入った
「おや、ルード達も鍛錬が終わったようだね」
「・・・・・」
「あ、あの、ルードくん・・・これは・・その///」
「し、失礼しましたっ///」
「え、ル、ルードくん!」
ルードに見られた事に焦りと恥ずかしさを覚え何とか誤魔化そうとするもルードはそのまま急いで厨房へと向かった
「ふふっ、ルードにはまだ刺激が強かったかな」
「・・・・・///」
そうして今度はリアが固まってしまった
「リアにも刺激が強かったようだね」
ダリウスは楽しそうに笑ってようやくリアを放し、優しく頭を撫でた後テーブルの上に置かれた新聞を持って自分の席に座った
「っ~~~~~///」
そしてリアはそのまま踵を返して居間に向かった
「あれ、リアさん。・・・って、どうしたの?!」
「・・・・///」
ソファには鍛錬を終えた虎と同じく応援を終えたコハクが居てリアは空いている席に向かいそこに置いてあったクッションを持ってそのままクッションに顔を埋めソファに横になった
「・・・おい、どうした」
「・・・すみません・・今は、このままそっとしておいて下さい・・・///」
「あ?」「??」
流石に様子が可笑しいと思い虎も声を掛けるがリアから返ってきた返事を聞き二人は疑問符を浮かべていた
39.革命への序曲
「はあ・・・・まさかルードくんに見られちゃうなんて・・・」
あれから時は過ぎ、リアは仕事を終えて今は街の中を歩いていた
そしてリアが思っていた事は今朝の出来事だった
誰かに見られるのではないかとリアはずっと思っていたが、まさかキスしている所をルードに見られるとは思っていなかった
「他なら、まだ良かったのに・・・っ~~~///」
それを思い出すとまた顔が赤くなり、更にあの後、虎やコハクにも心配を掛けてしまった事を思い出す
「・・・心配掛けちゃった分、夕飯はみんなの好きな物にした方が良いよね・・・? っ、ごめんなさい」
そう思っているとすれ違いざまに人にぶつかってしまい謝ると、
「っと、すまぬ」
「あ、九段さん」
「おお、リアではないか」
そこに居たのは九段だった
「こんにちは。今日は梓ちゃんや有馬さん達と一緒じゃないんですか?」
普段のこの時間なら梓達と共に怨霊退治をやっていたりしているが今日は梓達の姿が見えなかった
「梓は千代の見舞いに行っている」
「・・・千代ちゃん、大丈夫なんですか・・・?」
千代の具合の事はリアも色々と聞いていて意識が戻った事は知っていた
だがはやり街の穢れがある所為か体調はあまり良くないと言う事も耳にしていた
「うむ。体調は万全とは言えぬが起き上がって話は出来るようになったぞ」
「良かった」
九段から改めてそう聞きリアは本当に安堵した顔を見せた
千代もリアが心配している事を知っていて何度も申し訳ない顔をしていた事も梓から聞いていた
「以前見舞いの花を贈ってくれたのはリアであったな」
「あ、はい」
それは友部に千代に届けてくれと頼んだあのダリアの花束の事だった
「梓も千代もあの花束がリアが見舞いにくれたものだと直ぐに気付いて礼を言っていたぞ」
その事も梓から聞いていたしお礼も言われたが改めて九段にもそう言われ持って行って良かったなと思っていた
「ところで、リア。少し尋ねたい事があるのだが」
「はい、何ですか?」
「最近、梓と会ったか?」
「え? はい、数日前に会いました」
「その時、梓の様子が可笑しい所はなかったか」
「え・・・? いえ・・・」
梓と会った時の事を思い出すが様子が可笑しい所はなかった
むしろあの時は自分の方が悩んでいて様子が可笑しいと梓や有馬、秋兵にも気付かれていたくらいだ
その後は梓に相談に乗って貰ったが、特に変わった様子はなかった
「梓ちゃんがどうかしたんですか?」
「いや、リアが見て特に変わった様子がないのなら良いのだ。引き留めてすまなかった。では、我はこれで・・」
「あ、九段さん。あの、梓ちゃんに伝言を頼んでも良いですか?」
「構わぬぞ」
「この前はありがとう。何とか上手くいったよ・・・って、伝えてもらえますか」
「承知した」
「じゃあ、私もこれで失礼します」
梓の話題が出た所でリアは先日の事を思い出し九段にそう伝言を頼むとそのまま踵を返して歩き出した
「・・・・」
そして先程の九段の言葉を思い出す
梓の様子が可笑しい
それはきっと梓が四神の結界を解いた事と数日後に控えている計画の事なのだろう
四神の結界を梓が解いた事は九段も勿論知っているだろうが、その事を口にしていないのは梓を信じているから目を瞑ってくれているのだろうと思った
だが、肝心の事にはまだ九段達も気付いていないのだろう
「・・・一応ダリウスさんに報告した方が良いよね」
今日はみんな、計画に向けて最終確認を行う日でありそれぞれ調査に行ったり村雨達結実なき花の残党と話し合いに行っていたりしていた
時間を確認するとダリウスも邸に戻って来る時間だと思いリアは急いで蠱惑の森を目指した
「ダリウスさん、只今戻りました」
「リア、お帰り」
邸に戻ると丁度ダリアの手入れをしていたのか庭先にダリウスがいた
「どうしたの、俺に会いたくて早く帰って来たの?」
「っ/// そう言う事、さらっと言わないで下さい///」
「ふふっ、ごめんね」
今までだったら戯れで言っていると思えたが今はそれが戯れとは思えなくなっていた
そしてダリウスはそのままリアを抱きしめた
「・・・リアと離れていて淋しかったよ」
「・・・本当に淋しがりなんですね、ダリウスさん」
「リアの温もりが恋しかったからね」
良い笑顔でそう言われるもそれが嬉しく感じていた
だが、リアは先程の事を思い出してダリウスに伝えた
「ふうん、その様子だと精鋭分隊隊長と副隊長も気付いていると思っても良いかもしれないね」
「はい・・・」
ダリウスはリアの話を聞きある事を想いながらそう言い、リアも同じように頷いた
「けれど、計画は進めるよ。帝都の為にね」
「はい、勿論です」
ダリウスの意志をくみ取りリアも強い眼差しをして頷いた
「村雨達とも話して来たけど、やっぱり凌雲閣の警備は容易ではないようだ。・・・最悪の場合はこの仮面を使うよ」
「・・・・っ」
言うとダリウスは懐から仮面を取り出し、その仮面を見た途端、一瞬だがリアの胸の鼓動が強まった
「・・・リア、どうかした」
「・・・ダリウスさん、やっぱりその仮面使うんですか・・?」
「最悪の場合は、だよ」
「・・・・」
だがリアは何かを思っている顔をしていた
「・・市民の為に革命を起こすなら、やっぱりその仮面は使っちゃ駄目です」
この仮面は攻撃力を増す事も出来るし人を操る事も出来る
だが、何より底知れない恐怖を感じていたし、あの暴動の時に強兵師団長を問い詰めた時に使った後のダリウスの疲労感を見てリアもそしてルードも何処か嫌な感じがずっとしていたのだった
「市民の為なら、私達の手で何とかするべきです・・・それに、その仮面を使った後のダリウスさんは凄く辛そうで、見ている私達まで辛くなってしまうんです・・・だから・・」
「・・・解った、この仮面は使わない」
「・・・本当ですか」
「ああ。リアを悲しませる事は俺もしたくないからね」
今にも泣きそうな顔をして言うリアを見てダリウスは優しい笑みを向けてリアの頭を撫でた
「それに、君が側にいてくれれば心強くあれる。強大な力など無くてもきっと、上手くやれる気がする」
「ダリウスさん・・・はい、私もそう思います」
ようやく笑顔を見せたリアを見てダリウスもやっと安堵した表情を見せた
そうしていると話し声と足音が聞こえその方向を見ると丁度虎とコハクも戻って来た所だった
「虎とコハクも帰って来たようだね」
「はい。じゃあ私は夕飯の準備に取りかかります。今日は皆さんの好きな物一杯作りますね」
「ふふっ、なら楽しみにしているよ」
「はい」
言うとリアもダリウスも嬉しそうに笑い、邸に入って行った
そしてその夜、
(まるで・・・底の知れない混沌を覗き込むかのようだな。長い時を重ね、代々の鬼の長の手に受け継がれていくうちに力だけでなく彼等の怨念までも染み付かせてきたか・・・)
ダリウスは自分が手にしている仮面を見てそう思っていた
(・・・最近、仮面を使った後は疲れが著しい。それに、仮面を付けている間は何処か残酷な気持ちにもなる。・・・まあ、健全な道具ではないな)
『市民の為に革命を起こすなら、やっぱりその仮面は使っちゃ駄目です』
そこで夕方リアが言っていた言葉とリアの表情を思い出す
(リアが警鐘を鳴らすのも当然かもしれない)
リアもこの仮面の力の事を知っているし、その力を使った後のダリウスを何度も見ていていつも辛そうな表情をしていた
「ダリウス様、ルードです」
「ああ、お入り」
そう思っていると扉をノックする音とルードの声が聞こえそう返事を返して仮面をチェストの上に置いた
「只今戻りました」
「お疲れ様、報告を聞かせてもらおうか」
「はい。警備態勢にこれといった変化はありませんでした」
「そう・・・なら、帝国軍内に我々の動きが気取られている心配はなさそうだ」
「黒龍の神子も、思ったより早く結界を破ってくれました。此処までは至極順調です」
だが此処で夕方リアが言っていた事を思い出す
有馬や秋兵、そして九段は梓が四神の結界を解いた事を知っている
そして梓の様子が何処か可笑しい事にも薄々気が付いているようだった
だが梓を信じ目を瞑ってくれているが、彼等が当日凌雲閣にも来る可能性も考えておいた方が良いだろうとダリウスは思った
「・・・膳立ては整っている。だが、問題は決行当日だ」
「正念場ですね」
「ああ、失敗は許されない」
途端、ルードはダリウスの背後に目を向ける
「・・・ダリウス様? 一族の仮面が――」
「? なんだい、ルード」
「・・・い、いえ。仮面が宙に浮かんでいたように見えまして」
「・・・・」
「失礼しました。単なる見間違いですよね」
仮面を見ると部屋に入って来た時と同じようにチェストの上にあり、見間違いだったのかと判断した
だが、仮面を見てルードも気になっている事がありダリウスに尋ねた
「・・・その仮面、やはり凌雲閣にもお持ちになるので?」
「・・・いや、引き出しの中にでも仕舞って、出掛けよう。仮面は使わない。彼女との約束は守るよ」
言うとダリウスは仮面を持ち、チェストの引き出しに仕舞った
続く
あとがき
はい、前回のあとがきに書いた通り、告白からの続きをちょこっと書いてみましたw
・・・うん、思ったよりも書けたよね(^_^;)ww
此処は何パターンか浮かんだんですけど、これが一番書いてて楽しかったですw
ルードくんとリアちゃんの反応が可愛いし、その後の虎とコハクも良いよねww
そして九段さんとの絡み、意外と本編で絡み書けてないなーって思って此処でちょこっと絡ませてみました
梓ちゃんの事を気に掛けてくれていますが、そこは上手い具合に誤魔化してますね
けどあの伝言はちゃんと梓ちゃんに伝えられていて、それを聞いて梓ちゃんが喜んでいたのは言うまでもないですよねw
そして最後は例の仮面・・・
此処も大事な所なのでリアちゃんとルードくんに登場してもらって仮面の事を話してもらいました
さ、次回はいよいよ凌雲閣に乗り込みます!
まだ語ってない所もあるので頑張って書きます!
ではまた次回
2015.08.15
庭先からはルードと虎が鍛錬をしている声とコハクの応援する声が聞こえる
それを聞きながらリアは食堂へ向かい、そのまま厨房へ向かおうとしていた
「おはよう、リア」
「っ! ダリウスさん」
もうすぐ厨房の入口に着くと言う所でダリウスの声が聞こえると同時に後ろから抱きしめられ歩みが止まる
「お、おはよう・・御座います・・・」
「うん、おはよう」
ダリウスの方を見て挨拶をするとダリウスは満足そうに笑っていた
「あの・・ダリウスさん、抱きつかれていると朝食が作れないんですけど・・・」
「俺はリアと離れていて淋しかったんだけどな」
「え、えっと・・・」
平常心を保ちながらそう答えるもダリウスは優しい笑みを向けてそう言い、リアは困った顔をした
「ふふっ、困った顔もやっぱり可愛いね」
言うとダリウスはリアの髪にキスを落とす
「ダ、ダリウスさん///」
「なあに?」
「あの・・・恥ずかしいです///」
「昨日は口付けもして抱擁もしてくれたよね」
「そ、それは・・・そう、ですけど・・・///」
そう言われ、昨日の事を思い出す
確かに昨日はキスをして抱擁もした
だがそれはダリウスの部屋で二人だけだったから今みたいに焦る事はなかった
「・・・誰かに見られちゃいますし・・・///」
「心配しなくてもルード達はまだ外だよ」
確かにまだルード達は外で鍛錬をしている
それでもいつ戻って来てこの光景を見られてしまうのではないかと言う焦りがリアにはあった
「俺としては見られても構わないけれど」
「っ///」
良い笑顔でそう言われリアは言葉に詰まっていた
「それに、俺達はもう恋人同士なんだ。思いっきり甘えても良いんだしね」
「///」
改めてそう言われ顔が赤くなると同時に胸が高鳴っていた
「リアのその可愛い反応を見るのも俺は飽きないけれど」
「・・・ダリウスさんって意地悪ですよね」
「リアが可愛いからつい、ね。それにリアに甘えたいのは本当だよ」
言うと先程より強く抱きしめられる
それは本当に淋しかったのか甘えたいのかいつもより近くに感じていて、リアもダリウスの温もりを感じ安心した表情を見せた
「・・・ダリウスさんって意外と淋しがりなんですか」
「そうだね。淋しいのは好きじゃないよ。だからリアに側にいて欲しいし甘えたいんだ」
ダリウスの意外な一面を知ると同時にこうやって自分に甘えてくれている事が嬉しくなりリアは優しく微笑んだ
「・・・その顔を見ているとキスしたくなってしまうな」
「え? ・・・っ!///」
言うとダリウスはリアの顎に手を持っていき少しだけ上に持ち上げ唇に軽いキスを落とした
「っ///」
急な事に驚いて目を瞠り更に顔も赤くなってしまうが、それでも胸が高鳴って幸せを感じている事に気が付く
そして
「・・・・・」
「っ!/// ル、ルードくん!?///」
気持ちを落ち着かせようと思い視線を外すと食堂のテーブルの近くでルードが顔を赤くして固まっているのが目に入った
「おや、ルード達も鍛錬が終わったようだね」
「・・・・・」
「あ、あの、ルードくん・・・これは・・その///」
「し、失礼しましたっ///」
「え、ル、ルードくん!」
ルードに見られた事に焦りと恥ずかしさを覚え何とか誤魔化そうとするもルードはそのまま急いで厨房へと向かった
「ふふっ、ルードにはまだ刺激が強かったかな」
「・・・・・///」
そうして今度はリアが固まってしまった
「リアにも刺激が強かったようだね」
ダリウスは楽しそうに笑ってようやくリアを放し、優しく頭を撫でた後テーブルの上に置かれた新聞を持って自分の席に座った
「っ~~~~~///」
そしてリアはそのまま踵を返して居間に向かった
「あれ、リアさん。・・・って、どうしたの?!」
「・・・・///」
ソファには鍛錬を終えた虎と同じく応援を終えたコハクが居てリアは空いている席に向かいそこに置いてあったクッションを持ってそのままクッションに顔を埋めソファに横になった
「・・・おい、どうした」
「・・・すみません・・今は、このままそっとしておいて下さい・・・///」
「あ?」「??」
流石に様子が可笑しいと思い虎も声を掛けるがリアから返ってきた返事を聞き二人は疑問符を浮かべていた
39.革命への序曲
「はあ・・・・まさかルードくんに見られちゃうなんて・・・」
あれから時は過ぎ、リアは仕事を終えて今は街の中を歩いていた
そしてリアが思っていた事は今朝の出来事だった
誰かに見られるのではないかとリアはずっと思っていたが、まさかキスしている所をルードに見られるとは思っていなかった
「他なら、まだ良かったのに・・・っ~~~///」
それを思い出すとまた顔が赤くなり、更にあの後、虎やコハクにも心配を掛けてしまった事を思い出す
「・・・心配掛けちゃった分、夕飯はみんなの好きな物にした方が良いよね・・・? っ、ごめんなさい」
そう思っているとすれ違いざまに人にぶつかってしまい謝ると、
「っと、すまぬ」
「あ、九段さん」
「おお、リアではないか」
そこに居たのは九段だった
「こんにちは。今日は梓ちゃんや有馬さん達と一緒じゃないんですか?」
普段のこの時間なら梓達と共に怨霊退治をやっていたりしているが今日は梓達の姿が見えなかった
「梓は千代の見舞いに行っている」
「・・・千代ちゃん、大丈夫なんですか・・・?」
千代の具合の事はリアも色々と聞いていて意識が戻った事は知っていた
だがはやり街の穢れがある所為か体調はあまり良くないと言う事も耳にしていた
「うむ。体調は万全とは言えぬが起き上がって話は出来るようになったぞ」
「良かった」
九段から改めてそう聞きリアは本当に安堵した顔を見せた
千代もリアが心配している事を知っていて何度も申し訳ない顔をしていた事も梓から聞いていた
「以前見舞いの花を贈ってくれたのはリアであったな」
「あ、はい」
それは友部に千代に届けてくれと頼んだあのダリアの花束の事だった
「梓も千代もあの花束がリアが見舞いにくれたものだと直ぐに気付いて礼を言っていたぞ」
その事も梓から聞いていたしお礼も言われたが改めて九段にもそう言われ持って行って良かったなと思っていた
「ところで、リア。少し尋ねたい事があるのだが」
「はい、何ですか?」
「最近、梓と会ったか?」
「え? はい、数日前に会いました」
「その時、梓の様子が可笑しい所はなかったか」
「え・・・? いえ・・・」
梓と会った時の事を思い出すが様子が可笑しい所はなかった
むしろあの時は自分の方が悩んでいて様子が可笑しいと梓や有馬、秋兵にも気付かれていたくらいだ
その後は梓に相談に乗って貰ったが、特に変わった様子はなかった
「梓ちゃんがどうかしたんですか?」
「いや、リアが見て特に変わった様子がないのなら良いのだ。引き留めてすまなかった。では、我はこれで・・」
「あ、九段さん。あの、梓ちゃんに伝言を頼んでも良いですか?」
「構わぬぞ」
「この前はありがとう。何とか上手くいったよ・・・って、伝えてもらえますか」
「承知した」
「じゃあ、私もこれで失礼します」
梓の話題が出た所でリアは先日の事を思い出し九段にそう伝言を頼むとそのまま踵を返して歩き出した
「・・・・」
そして先程の九段の言葉を思い出す
梓の様子が可笑しい
それはきっと梓が四神の結界を解いた事と数日後に控えている計画の事なのだろう
四神の結界を梓が解いた事は九段も勿論知っているだろうが、その事を口にしていないのは梓を信じているから目を瞑ってくれているのだろうと思った
だが、肝心の事にはまだ九段達も気付いていないのだろう
「・・・一応ダリウスさんに報告した方が良いよね」
今日はみんな、計画に向けて最終確認を行う日でありそれぞれ調査に行ったり村雨達結実なき花の残党と話し合いに行っていたりしていた
時間を確認するとダリウスも邸に戻って来る時間だと思いリアは急いで蠱惑の森を目指した
「ダリウスさん、只今戻りました」
「リア、お帰り」
邸に戻ると丁度ダリアの手入れをしていたのか庭先にダリウスがいた
「どうしたの、俺に会いたくて早く帰って来たの?」
「っ/// そう言う事、さらっと言わないで下さい///」
「ふふっ、ごめんね」
今までだったら戯れで言っていると思えたが今はそれが戯れとは思えなくなっていた
そしてダリウスはそのままリアを抱きしめた
「・・・リアと離れていて淋しかったよ」
「・・・本当に淋しがりなんですね、ダリウスさん」
「リアの温もりが恋しかったからね」
良い笑顔でそう言われるもそれが嬉しく感じていた
だが、リアは先程の事を思い出してダリウスに伝えた
「ふうん、その様子だと精鋭分隊隊長と副隊長も気付いていると思っても良いかもしれないね」
「はい・・・」
ダリウスはリアの話を聞きある事を想いながらそう言い、リアも同じように頷いた
「けれど、計画は進めるよ。帝都の為にね」
「はい、勿論です」
ダリウスの意志をくみ取りリアも強い眼差しをして頷いた
「村雨達とも話して来たけど、やっぱり凌雲閣の警備は容易ではないようだ。・・・最悪の場合はこの仮面を使うよ」
「・・・・っ」
言うとダリウスは懐から仮面を取り出し、その仮面を見た途端、一瞬だがリアの胸の鼓動が強まった
「・・・リア、どうかした」
「・・・ダリウスさん、やっぱりその仮面使うんですか・・?」
「最悪の場合は、だよ」
「・・・・」
だがリアは何かを思っている顔をしていた
「・・市民の為に革命を起こすなら、やっぱりその仮面は使っちゃ駄目です」
この仮面は攻撃力を増す事も出来るし人を操る事も出来る
だが、何より底知れない恐怖を感じていたし、あの暴動の時に強兵師団長を問い詰めた時に使った後のダリウスの疲労感を見てリアもそしてルードも何処か嫌な感じがずっとしていたのだった
「市民の為なら、私達の手で何とかするべきです・・・それに、その仮面を使った後のダリウスさんは凄く辛そうで、見ている私達まで辛くなってしまうんです・・・だから・・」
「・・・解った、この仮面は使わない」
「・・・本当ですか」
「ああ。リアを悲しませる事は俺もしたくないからね」
今にも泣きそうな顔をして言うリアを見てダリウスは優しい笑みを向けてリアの頭を撫でた
「それに、君が側にいてくれれば心強くあれる。強大な力など無くてもきっと、上手くやれる気がする」
「ダリウスさん・・・はい、私もそう思います」
ようやく笑顔を見せたリアを見てダリウスもやっと安堵した表情を見せた
そうしていると話し声と足音が聞こえその方向を見ると丁度虎とコハクも戻って来た所だった
「虎とコハクも帰って来たようだね」
「はい。じゃあ私は夕飯の準備に取りかかります。今日は皆さんの好きな物一杯作りますね」
「ふふっ、なら楽しみにしているよ」
「はい」
言うとリアもダリウスも嬉しそうに笑い、邸に入って行った
そしてその夜、
(まるで・・・底の知れない混沌を覗き込むかのようだな。長い時を重ね、代々の鬼の長の手に受け継がれていくうちに力だけでなく彼等の怨念までも染み付かせてきたか・・・)
ダリウスは自分が手にしている仮面を見てそう思っていた
(・・・最近、仮面を使った後は疲れが著しい。それに、仮面を付けている間は何処か残酷な気持ちにもなる。・・・まあ、健全な道具ではないな)
『市民の為に革命を起こすなら、やっぱりその仮面は使っちゃ駄目です』
そこで夕方リアが言っていた言葉とリアの表情を思い出す
(リアが警鐘を鳴らすのも当然かもしれない)
リアもこの仮面の力の事を知っているし、その力を使った後のダリウスを何度も見ていていつも辛そうな表情をしていた
「ダリウス様、ルードです」
「ああ、お入り」
そう思っていると扉をノックする音とルードの声が聞こえそう返事を返して仮面をチェストの上に置いた
「只今戻りました」
「お疲れ様、報告を聞かせてもらおうか」
「はい。警備態勢にこれといった変化はありませんでした」
「そう・・・なら、帝国軍内に我々の動きが気取られている心配はなさそうだ」
「黒龍の神子も、思ったより早く結界を破ってくれました。此処までは至極順調です」
だが此処で夕方リアが言っていた事を思い出す
有馬や秋兵、そして九段は梓が四神の結界を解いた事を知っている
そして梓の様子が何処か可笑しい事にも薄々気が付いているようだった
だが梓を信じ目を瞑ってくれているが、彼等が当日凌雲閣にも来る可能性も考えておいた方が良いだろうとダリウスは思った
「・・・膳立ては整っている。だが、問題は決行当日だ」
「正念場ですね」
「ああ、失敗は許されない」
途端、ルードはダリウスの背後に目を向ける
「・・・ダリウス様? 一族の仮面が――」
「? なんだい、ルード」
「・・・い、いえ。仮面が宙に浮かんでいたように見えまして」
「・・・・」
「失礼しました。単なる見間違いですよね」
仮面を見ると部屋に入って来た時と同じようにチェストの上にあり、見間違いだったのかと判断した
だが、仮面を見てルードも気になっている事がありダリウスに尋ねた
「・・・その仮面、やはり凌雲閣にもお持ちになるので?」
「・・・いや、引き出しの中にでも仕舞って、出掛けよう。仮面は使わない。彼女との約束は守るよ」
言うとダリウスは仮面を持ち、チェストの引き出しに仕舞った
続く
あとがき
はい、前回のあとがきに書いた通り、告白からの続きをちょこっと書いてみましたw
・・・うん、思ったよりも書けたよね(^_^;)ww
此処は何パターンか浮かんだんですけど、これが一番書いてて楽しかったですw
ルードくんとリアちゃんの反応が可愛いし、その後の虎とコハクも良いよねww
そして九段さんとの絡み、意外と本編で絡み書けてないなーって思って此処でちょこっと絡ませてみました
梓ちゃんの事を気に掛けてくれていますが、そこは上手い具合に誤魔化してますね
けどあの伝言はちゃんと梓ちゃんに伝えられていて、それを聞いて梓ちゃんが喜んでいたのは言うまでもないですよねw
そして最後は例の仮面・・・
此処も大事な所なのでリアちゃんとルードくんに登場してもらって仮面の事を話してもらいました
さ、次回はいよいよ凌雲閣に乗り込みます!
まだ語ってない所もあるので頑張って書きます!
ではまた次回
2015.08.15