ダリウスルート
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厨房からはいつものように包丁の刻みの良い音と食材を焼いている音が聞こえてきて、更に隣の鍋からも美味しそうな匂いも漂ってきて食欲を沸かせていた
が・・、
「・・・・」
「さん・・・、リアさん」
「え? あ、ルードくん、何?」
「・・・鍋からスープが吹き溢れそうになっているんですが・・」
「え? あっ、」
リアは何か考えていたのかいつもよりぼうっとしていてルードに呼ばれるまで気付かなかった
「っ!」
急いで火を弱めたが、鍋から吹き溢れたスープに手が触れてしまい、火傷をしてしまった
「大丈夫ですか!」
それを見るとルードはリアの手を引いてそのまま蛇口の下に手を持っていき水で冷やしてあげた
「ありがとう、ルードくん」
「いえ・・。しかし、リアさんが朝からぼんやりとしているなんて珍しいですね。少し顔も赤いようですし、風邪でも引きましたか?」
「え・・、うーん・・そうなのかな・・・?」
確かに朝からぼうっとしていたのは事実だ
けど、それが風邪かと言われれば違う・・気もする
「後は私がやりますのでリアさんは休んでいて下さい」
「・・・うん、ごめんね。ありがとう」
これ以上心配も迷惑も掛ける訳にはいかないと思い、ルードの気遣いに感謝してリアは食堂へ向かう
「あれ、リアさんどうしたの?」
「飯はどうした」
普段なら食事を運んで来るのだがリアが何も持っていない事に気付き、コハクも虎も声を掛けた
「ちょっと火傷しちゃって・・」
「え、大丈夫なの?」
「うん、冷やしたから後は治癒の力を使えば大丈夫だから」
言うとリアは自分の席に座って火傷した手に治癒の力を使った
「お前が火傷するなんざ珍しいじゃねえか」
「少し顔が赤いようだけど、風邪でも引いた?」
「少しぼうっとはしますけど、大丈夫です」
「・・・・。リア、少し失礼するよ」
「え? っ、ダリウスさん///」
ダリウスはリアの様子を見て席を立ちリアの前に移動して来てそのままリアの額に手を当てた
「少し熱いね・・・。引き始めかもしれないね」
「・・・えっと・・」
「今日は午後から仕事だったよね?」
「はい・・・」
「なら、出掛けるまではゆっくり休んでいなさい。虎、コハク、午前中は静かにしているんだよ」
「はーい」
ダリウスの気遣いと言葉にリアは何か言おうとしたが、そのまま優しく頭を撫でられた後、優しい笑顔を向けられ、ダリウスは自分の席に戻ったが、リアは自分の顔が先程より少し赤くなっていている事と心臓の音が少し大きくなっている事に気が付きそれを誤魔化すかのように先程まで火傷していた手を見てもう痕が残ってない事と痛みがない事を確認していた
37.初めての恋心
「はあ・・・。結局午前中は部屋で休む事になっちゃったな・・・」
あれから朝食を済ませ後片付けをしたり洗濯物を干したりといつも通りの事をやろうとしたが、みんなに大人しく部屋で寝てろ、風邪だからゆっくり休んでいて、部屋で休んでいて下さい・・・と立て続けに言われてしまい、どうしようかと思っていた時にダリウスが
「そんなに部屋に戻るのが恋しいのなら、俺が運んであげようか?」
と、良い笑顔で言われ、リアはまた顔が赤くなり
「だ、大丈夫です!///」
と言ってそのまま部屋に戻ってきてベッドに潜り込み今に至るのだった
「・・・///」
だが、先程のダリウスの笑顔と言葉、そして先日ダリウスに告白された事が頭を過ぎり顔が赤くなっていた
「・・・私、・・どうしちゃったんだろう・・・」
顔が赤い理由は分かっている
だが、これが風邪が原因とは言い切れなかった
確かに疲れは多少あるとは言え、皆に心配される程ぼうっとしていたのか
「・・・・。あ、はい」
そう思っていると扉をノックする音が聞こえ、ルードの声が聞こえた
「失礼します」
「ルードくん、どうしたの?」
「蜂蜜林檎汁を持って来ました」
「ありがとう」
そう言えば後で部屋に持って行くと言っていたなと思いルードから蜂蜜林檎汁が入ったグラスを受け取りゆっくりと飲み始めた
「具合は大丈夫ですか?」
「うん。少し休んだから大丈夫」
「顔色も今朝より良いみたいですね」
朝見た時は少し赤かったが今はそれも見られないのでルードも安堵していた
「仕事に行くまではゆっくり休んでるから心配しないで」
「分かりました。ですが、無理はしないで下さいね」
「うん。蜂蜜林檎汁ご馳走様でした」
言うとリアは空になったグラスをルードに渡し、ルードもそれを受け取りリアの返事を聞くと部屋を出てリアはまたベッドに横になった
「・・・今は何も考えないで休んでいよう。仕事もあるしね」
自分に言い聞かせるようにそう言って仕事に行くまで休んでいた
そして、
「あれ、リアさん?」
「・・? あ、梓ちゃん、それに有馬さんと片霧さんも。こんにちは」
仕事先に向かう途中、日比谷公園を歩いていると前方から梓の声が聞こえ見ると丁度巡回中だったのか有馬と秋兵と一緒にいた
「こんにちは、リアくん。今日はこれから仕事ですか」
「はい。今日は午後からなのでこれから向かう所です」
「だが、少し足取りが重いように感じるが」
「・・・やっぱり分かっちゃいますか?」
「見知っている者だったらそう感じるだろうな」
「・・・・」
有馬の言葉にリアは少しだけ苦笑した
「何処か具合でも悪いんですか?」
「いえ・・・ただ、」
「ただ・・・?」
「・・・・」
そこでリアはまた言葉に詰まってしまうが、梓を見て何かを思っている顔をした
「・・ねえ、梓ちゃん、少しだけ時間貰っても良いかな・・・?」
「え? ・・・えっと、良いですか?」
梓は一緒にいる有馬と秋兵の方を見て確認を取り、リアも二人を見ていた
「ええ、勿論ですよ。では有馬、僕達は彼方へ」
「は?」
「女性同士の会話に男が居てはいけませんからね。では梓くん、一時間後にまた此処で」
「お、おい、秋兵、背中を押すな!」
秋兵はそう言って有馬の背中を押してこの場を離れた
リアが何か悩んでいると思ったのか秋兵は気を遣ってこの場を離れ、その気遣いにリアは感謝していた
「じゃあ私達も何処か移動しようか」
「うん、そうだね」
そう言ってリアと梓は涼しい水辺の近くに移動し、空いているベンチに座った
「やっぱり水辺の近くだと涼しくて良いわね」
「うん、風が気持ちいいよね」
「そう言えば梓ちゃん、四神の結界を全部解いたんだよね」
「うん。・・・リアさんも、当日は参加するんだよね?」
「ええ。それがダリウスさんとルードくんとの約束だからね」
リアのその言葉を聞き梓は以前リアが話していた事を思い出す
リアはダリウスの革命の計画に参加するのは最後、つまり秋の朔日には必ず参加すると言う事だった
「そこにあるものって、リアさんは何かって知ってるの?」
「ええ・・・でも、私もまだこの目で見た訳じゃないから何も言えないわ」
やはり凌雲閣に何があるかと言う事は教えてくれないようだ
知っていてもリアもそれを自分の目で確認するまでは言いたくないと言う事も見て取れていた
だが、それでも今日のリアはいつものリアとは何処か違って何かを悩んでいる顔をしていた
「・・・リアさん、何か悩んでるの?」
「・・・・」
梓の言葉にリアは無言で頷いた
その顔は何処か切なそうで梓は心配そうな顔をして声を掛けようとした
「・・ねえ、梓ちゃん、梓ちゃんは好きな人っている?」
「え?」
だが、リアからは予想もしていなかった言葉が出てきて梓は驚いて目を瞠ってしまった
「えっと・・・今は、いない・・かな・・・憧れの人なら、いるけど・・・」
それを聞きリアはそっかっと言って前を見た
「リアさん、好きな人が出来たの?」
「・・・・分からない。ただ、凄く親しい人から・・告白されたの」
「もしかして、ダリウス?」
「え?/// な、なんで、分かったの!?」
梓のその言葉にリアは思わず反応してしまい、そんなリアを見て梓は小さく笑った
「だってダリウス、リアさんと居る時は全然違った雰囲気だし、リアさんの事凄く大事に思っているのが分かるんだよ。私達と接してる時と違う雰囲気になったり違う接し方してたから。邸に居た時ずっとそう思ってたよ」
ニコリとして言う梓を見てリアは梓はそう思っていたのかと初めて知り、ダリウスと接している時の事を思い出していた
確かにみんなにも優しいし保護者のような感じでみんなを見守ってくれている
それでも自分と接している時は確かに他の人とは違った感じになった事が何度かあった
「・・・私ね、交際を申し込まれた事は何度かあったの。でもそれは知らない人だったり、お客さんだったりって言うのもあったし、相手の人をそういう風に思った事がなかったから今までは断ってきてたし、自分が恋愛するって言うのも想像付かなかったの・・・」
リアの言葉を聞き梓は自分自身もリアと同じような事を思っていると思い頷いた
「だけど、ダリウスさんにそう言われた時、凄く嬉しかったの・・・でも、凄く驚いちゃって・・・まだ、自分の気持ちがはっきりとしてないの・・・」
「じゃあまだダリウスに返事を返してないんだ」
「うん・・・それに、この後に大仕事が控えてるから、返事はその後で良いって言ってくれて・・・」
確かに数日後の秋の朔日、9月1日にはダリウス達やリア、そして梓にとっても大きな出来事が控えていた
それを考えるとダリウスの言う通り返事はその後の方が良いのかもしれない
それでも梓は何かを確信しているようにリアを見て言う
「でも、私はリアさんの答えはもう出てると思うよ」
「え?」
「さっき言い忘れちゃったけど、リアさんもね、たまにだけどダリウスと居る時凄く幸せそうな顔してる時があったんだよ」
それは梓がまだ邸に居た頃、昼食を食べ終え怨霊退治に戻ろうとして外に出た時、庭にダリウスとリアが居た
何か話しながらダリアの手入れをしていたようだったが、その時の二人がいつも以上に幸せそうな顔をして微笑んでいたのを梓は今でも覚えていた
「あの時のリアさんとダリウス、凄く幸せそうだったし、凄く絵になっててずっと見ていたくなるくらい惹かれてたんだ。だから、私はリアさんとダリウスの事、応援してるよ」
「・・・・」
嬉しそうに言う梓を見てリアは言葉を無くしていた
「・・って、私だけいっぱい喋っちゃったね・・・」
「ううん、梓ちゃんのお陰で少し落ち着いて気持ちの整理が出来そう。・・ありがとう」
梓は黙ってしまったリアを見てそう言ったが、リアは先程よりもすっきりとした顔をしてそう言った後いつもの優しい笑みを向けて梓にお礼を言った
その笑顔を見て梓も安堵し微笑んでいた
「それじゃあ私、そろそろ店に向かうね」
「うん。リアさん、頑張ってね!」
「ふふ、ありがとう。今度梓ちゃんに会えるのは秋の朔日だろうけど、その日はお互いに頑張りましょうね」
「うん。じゃあまたね」
「ええ」
お互いいつもミルクホールで話し終えた後に見せる笑顔でそう言って別れ、リアはミルクホールに向かいながら先程梓と話していた事を思い返していた
それから2日後、
「ただいま、ルードくん」
「お帰りなさい、リアさん」
「ダリウスさんは帰って来てる?」
「ええ、部屋にいらっしゃいます」
今日はダリウスもルードも古美術商の商談があった日だったのでそう確認した後、リアはダリウスの部屋を尋ねた
「ダリウスさん、リアです」
「ああ、入って良いよ」
「失礼します」
部屋の前に着き扉をノックするとダリウスから返事が返ってきて一度深呼吸をして扉を開けて中に入った
続く
あとがき
え、此処で続くの!?∑( ̄□ ̄;)!!
すげーいいとこで続いちゃったよww
まあ今回はあの告白の後を書いて梓ちゃんに相談に乗って貰う所を書きたかったのでねww
梓ちゃんとの会話は最初考えてなかったんですけど、5話で女同士でしか出来ない事とか・・・って言ってた事を思い出し、これ使うなら今しかない!!!と思ってこちらでは相談に乗って貰う形にしました
こう言った事、女同士でしか出来ないし、梓ちゃんなら他の人達が知らない所も見てそうだしねと思ってねw
何気に女同士の会話がどうこうってのは秋兵も察してたのか、ああ言って有馬と去った所は書いてて楽しかったですw
さて、次回はいよいよ、リアちゃんが返事を返すのかどうなのか!?
色々とお楽しみに!(が、頑張って書きまーす(ノД`)←ほんとに未だに甘いの書くの苦手な遥嘩さんιww)
2015.08.12
が・・、
「・・・・」
「さん・・・、リアさん」
「え? あ、ルードくん、何?」
「・・・鍋からスープが吹き溢れそうになっているんですが・・」
「え? あっ、」
リアは何か考えていたのかいつもよりぼうっとしていてルードに呼ばれるまで気付かなかった
「っ!」
急いで火を弱めたが、鍋から吹き溢れたスープに手が触れてしまい、火傷をしてしまった
「大丈夫ですか!」
それを見るとルードはリアの手を引いてそのまま蛇口の下に手を持っていき水で冷やしてあげた
「ありがとう、ルードくん」
「いえ・・。しかし、リアさんが朝からぼんやりとしているなんて珍しいですね。少し顔も赤いようですし、風邪でも引きましたか?」
「え・・、うーん・・そうなのかな・・・?」
確かに朝からぼうっとしていたのは事実だ
けど、それが風邪かと言われれば違う・・気もする
「後は私がやりますのでリアさんは休んでいて下さい」
「・・・うん、ごめんね。ありがとう」
これ以上心配も迷惑も掛ける訳にはいかないと思い、ルードの気遣いに感謝してリアは食堂へ向かう
「あれ、リアさんどうしたの?」
「飯はどうした」
普段なら食事を運んで来るのだがリアが何も持っていない事に気付き、コハクも虎も声を掛けた
「ちょっと火傷しちゃって・・」
「え、大丈夫なの?」
「うん、冷やしたから後は治癒の力を使えば大丈夫だから」
言うとリアは自分の席に座って火傷した手に治癒の力を使った
「お前が火傷するなんざ珍しいじゃねえか」
「少し顔が赤いようだけど、風邪でも引いた?」
「少しぼうっとはしますけど、大丈夫です」
「・・・・。リア、少し失礼するよ」
「え? っ、ダリウスさん///」
ダリウスはリアの様子を見て席を立ちリアの前に移動して来てそのままリアの額に手を当てた
「少し熱いね・・・。引き始めかもしれないね」
「・・・えっと・・」
「今日は午後から仕事だったよね?」
「はい・・・」
「なら、出掛けるまではゆっくり休んでいなさい。虎、コハク、午前中は静かにしているんだよ」
「はーい」
ダリウスの気遣いと言葉にリアは何か言おうとしたが、そのまま優しく頭を撫でられた後、優しい笑顔を向けられ、ダリウスは自分の席に戻ったが、リアは自分の顔が先程より少し赤くなっていている事と心臓の音が少し大きくなっている事に気が付きそれを誤魔化すかのように先程まで火傷していた手を見てもう痕が残ってない事と痛みがない事を確認していた
37.初めての恋心
「はあ・・・。結局午前中は部屋で休む事になっちゃったな・・・」
あれから朝食を済ませ後片付けをしたり洗濯物を干したりといつも通りの事をやろうとしたが、みんなに大人しく部屋で寝てろ、風邪だからゆっくり休んでいて、部屋で休んでいて下さい・・・と立て続けに言われてしまい、どうしようかと思っていた時にダリウスが
「そんなに部屋に戻るのが恋しいのなら、俺が運んであげようか?」
と、良い笑顔で言われ、リアはまた顔が赤くなり
「だ、大丈夫です!///」
と言ってそのまま部屋に戻ってきてベッドに潜り込み今に至るのだった
「・・・///」
だが、先程のダリウスの笑顔と言葉、そして先日ダリウスに告白された事が頭を過ぎり顔が赤くなっていた
「・・・私、・・どうしちゃったんだろう・・・」
顔が赤い理由は分かっている
だが、これが風邪が原因とは言い切れなかった
確かに疲れは多少あるとは言え、皆に心配される程ぼうっとしていたのか
「・・・・。あ、はい」
そう思っていると扉をノックする音が聞こえ、ルードの声が聞こえた
「失礼します」
「ルードくん、どうしたの?」
「蜂蜜林檎汁を持って来ました」
「ありがとう」
そう言えば後で部屋に持って行くと言っていたなと思いルードから蜂蜜林檎汁が入ったグラスを受け取りゆっくりと飲み始めた
「具合は大丈夫ですか?」
「うん。少し休んだから大丈夫」
「顔色も今朝より良いみたいですね」
朝見た時は少し赤かったが今はそれも見られないのでルードも安堵していた
「仕事に行くまではゆっくり休んでるから心配しないで」
「分かりました。ですが、無理はしないで下さいね」
「うん。蜂蜜林檎汁ご馳走様でした」
言うとリアは空になったグラスをルードに渡し、ルードもそれを受け取りリアの返事を聞くと部屋を出てリアはまたベッドに横になった
「・・・今は何も考えないで休んでいよう。仕事もあるしね」
自分に言い聞かせるようにそう言って仕事に行くまで休んでいた
そして、
「あれ、リアさん?」
「・・? あ、梓ちゃん、それに有馬さんと片霧さんも。こんにちは」
仕事先に向かう途中、日比谷公園を歩いていると前方から梓の声が聞こえ見ると丁度巡回中だったのか有馬と秋兵と一緒にいた
「こんにちは、リアくん。今日はこれから仕事ですか」
「はい。今日は午後からなのでこれから向かう所です」
「だが、少し足取りが重いように感じるが」
「・・・やっぱり分かっちゃいますか?」
「見知っている者だったらそう感じるだろうな」
「・・・・」
有馬の言葉にリアは少しだけ苦笑した
「何処か具合でも悪いんですか?」
「いえ・・・ただ、」
「ただ・・・?」
「・・・・」
そこでリアはまた言葉に詰まってしまうが、梓を見て何かを思っている顔をした
「・・ねえ、梓ちゃん、少しだけ時間貰っても良いかな・・・?」
「え? ・・・えっと、良いですか?」
梓は一緒にいる有馬と秋兵の方を見て確認を取り、リアも二人を見ていた
「ええ、勿論ですよ。では有馬、僕達は彼方へ」
「は?」
「女性同士の会話に男が居てはいけませんからね。では梓くん、一時間後にまた此処で」
「お、おい、秋兵、背中を押すな!」
秋兵はそう言って有馬の背中を押してこの場を離れた
リアが何か悩んでいると思ったのか秋兵は気を遣ってこの場を離れ、その気遣いにリアは感謝していた
「じゃあ私達も何処か移動しようか」
「うん、そうだね」
そう言ってリアと梓は涼しい水辺の近くに移動し、空いているベンチに座った
「やっぱり水辺の近くだと涼しくて良いわね」
「うん、風が気持ちいいよね」
「そう言えば梓ちゃん、四神の結界を全部解いたんだよね」
「うん。・・・リアさんも、当日は参加するんだよね?」
「ええ。それがダリウスさんとルードくんとの約束だからね」
リアのその言葉を聞き梓は以前リアが話していた事を思い出す
リアはダリウスの革命の計画に参加するのは最後、つまり秋の朔日には必ず参加すると言う事だった
「そこにあるものって、リアさんは何かって知ってるの?」
「ええ・・・でも、私もまだこの目で見た訳じゃないから何も言えないわ」
やはり凌雲閣に何があるかと言う事は教えてくれないようだ
知っていてもリアもそれを自分の目で確認するまでは言いたくないと言う事も見て取れていた
だが、それでも今日のリアはいつものリアとは何処か違って何かを悩んでいる顔をしていた
「・・・リアさん、何か悩んでるの?」
「・・・・」
梓の言葉にリアは無言で頷いた
その顔は何処か切なそうで梓は心配そうな顔をして声を掛けようとした
「・・ねえ、梓ちゃん、梓ちゃんは好きな人っている?」
「え?」
だが、リアからは予想もしていなかった言葉が出てきて梓は驚いて目を瞠ってしまった
「えっと・・・今は、いない・・かな・・・憧れの人なら、いるけど・・・」
それを聞きリアはそっかっと言って前を見た
「リアさん、好きな人が出来たの?」
「・・・・分からない。ただ、凄く親しい人から・・告白されたの」
「もしかして、ダリウス?」
「え?/// な、なんで、分かったの!?」
梓のその言葉にリアは思わず反応してしまい、そんなリアを見て梓は小さく笑った
「だってダリウス、リアさんと居る時は全然違った雰囲気だし、リアさんの事凄く大事に思っているのが分かるんだよ。私達と接してる時と違う雰囲気になったり違う接し方してたから。邸に居た時ずっとそう思ってたよ」
ニコリとして言う梓を見てリアは梓はそう思っていたのかと初めて知り、ダリウスと接している時の事を思い出していた
確かにみんなにも優しいし保護者のような感じでみんなを見守ってくれている
それでも自分と接している時は確かに他の人とは違った感じになった事が何度かあった
「・・・私ね、交際を申し込まれた事は何度かあったの。でもそれは知らない人だったり、お客さんだったりって言うのもあったし、相手の人をそういう風に思った事がなかったから今までは断ってきてたし、自分が恋愛するって言うのも想像付かなかったの・・・」
リアの言葉を聞き梓は自分自身もリアと同じような事を思っていると思い頷いた
「だけど、ダリウスさんにそう言われた時、凄く嬉しかったの・・・でも、凄く驚いちゃって・・・まだ、自分の気持ちがはっきりとしてないの・・・」
「じゃあまだダリウスに返事を返してないんだ」
「うん・・・それに、この後に大仕事が控えてるから、返事はその後で良いって言ってくれて・・・」
確かに数日後の秋の朔日、9月1日にはダリウス達やリア、そして梓にとっても大きな出来事が控えていた
それを考えるとダリウスの言う通り返事はその後の方が良いのかもしれない
それでも梓は何かを確信しているようにリアを見て言う
「でも、私はリアさんの答えはもう出てると思うよ」
「え?」
「さっき言い忘れちゃったけど、リアさんもね、たまにだけどダリウスと居る時凄く幸せそうな顔してる時があったんだよ」
それは梓がまだ邸に居た頃、昼食を食べ終え怨霊退治に戻ろうとして外に出た時、庭にダリウスとリアが居た
何か話しながらダリアの手入れをしていたようだったが、その時の二人がいつも以上に幸せそうな顔をして微笑んでいたのを梓は今でも覚えていた
「あの時のリアさんとダリウス、凄く幸せそうだったし、凄く絵になっててずっと見ていたくなるくらい惹かれてたんだ。だから、私はリアさんとダリウスの事、応援してるよ」
「・・・・」
嬉しそうに言う梓を見てリアは言葉を無くしていた
「・・って、私だけいっぱい喋っちゃったね・・・」
「ううん、梓ちゃんのお陰で少し落ち着いて気持ちの整理が出来そう。・・ありがとう」
梓は黙ってしまったリアを見てそう言ったが、リアは先程よりもすっきりとした顔をしてそう言った後いつもの優しい笑みを向けて梓にお礼を言った
その笑顔を見て梓も安堵し微笑んでいた
「それじゃあ私、そろそろ店に向かうね」
「うん。リアさん、頑張ってね!」
「ふふ、ありがとう。今度梓ちゃんに会えるのは秋の朔日だろうけど、その日はお互いに頑張りましょうね」
「うん。じゃあまたね」
「ええ」
お互いいつもミルクホールで話し終えた後に見せる笑顔でそう言って別れ、リアはミルクホールに向かいながら先程梓と話していた事を思い返していた
それから2日後、
「ただいま、ルードくん」
「お帰りなさい、リアさん」
「ダリウスさんは帰って来てる?」
「ええ、部屋にいらっしゃいます」
今日はダリウスもルードも古美術商の商談があった日だったのでそう確認した後、リアはダリウスの部屋を尋ねた
「ダリウスさん、リアです」
「ああ、入って良いよ」
「失礼します」
部屋の前に着き扉をノックするとダリウスから返事が返ってきて一度深呼吸をして扉を開けて中に入った
続く
あとがき
え、此処で続くの!?∑( ̄□ ̄;)!!
すげーいいとこで続いちゃったよww
まあ今回はあの告白の後を書いて梓ちゃんに相談に乗って貰う所を書きたかったのでねww
梓ちゃんとの会話は最初考えてなかったんですけど、5話で女同士でしか出来ない事とか・・・って言ってた事を思い出し、これ使うなら今しかない!!!と思ってこちらでは相談に乗って貰う形にしました
こう言った事、女同士でしか出来ないし、梓ちゃんなら他の人達が知らない所も見てそうだしねと思ってねw
何気に女同士の会話がどうこうってのは秋兵も察してたのか、ああ言って有馬と去った所は書いてて楽しかったですw
さて、次回はいよいよ、リアちゃんが返事を返すのかどうなのか!?
色々とお楽しみに!(が、頑張って書きまーす(ノД`)←ほんとに未だに甘いの書くの苦手な遥嘩さんιww)
2015.08.12