ルードルート
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禍津迦具土神を倒すと邪気が祓われ、空が晴れていき元の青い空へと戻った
「・・・私達、勝てたんだ・・・」
「ええ・・、梓ちゃんやみんなのお陰よ」
言うとリアは目を瞑り、そこから温かい光が発せられる
それは先程皆が感じていた浄化の力と治癒の力だった
「・・・これで、この辺りは綺麗に浄化出来たと思うし、みんなの傷も癒えたと思うけど・・・」
「・・・そろそろ、話してくれるかな。リアの、その力について」
リアがみんなの方を振り返るとダリウスがそう切り出し、皆を見ると同じ事を思っている顔をしていた
「・・・九段さんが言ってた通り、私は、龍神の力を持っていたんです」
「どう言う事・・?」
「私の一族は変わった力があったんです。鬼の一族の人達が使えるような術を使えたり、治癒の力が使えたり・・・でもそれはずっと鬼の一族と結婚したり混血の人達がいたからって思ってた。けど、あの時、宝珠に触れて、それはそれだけの力じゃなかったって分かったんです。その力は私の一族・・・ううん、私の家系が歴代の神子の血を引き継いでいるからだって」
「! では、リアさんは、歴代の神子の末裔・・と言う事ですか」
「そうなるみたい。きっと、千代ちゃんがあの時言ってた事は白龍から聞いていたから知っていたんだろうなって思う。だからその力を引き出す為に、千代ちゃんは八葉を選らんだだけじゃなく、自分の代わりに梓ちゃんを支えて欲しい、って願いもあったから宝珠に力を宿して私の中に眠っていた力を解放してくれたんだと思う」
「そうだったんだ」
リアはあの時感じた事と知った事をみんなに話した
リアも未だに力の事などに驚きもしているが、今事実を知った梓達の方が驚きは大きかっただろう
「けど、これで梓ちゃんは元の世界に戻れるよ」
「え? あ、そっか・・・」
それを感じつつリアは小さく笑った後、いつもの優しい笑みを梓に向けて言うと梓はその事を思い出したようだった
「戻る戻らないは梓ちゃんが決める事よ」
「私は・・・、!」
悩んでいる梓を見てリアは優しい笑みを向けてそのまま優しく梓の頭を撫でそのまま踵を返してルードの元へ行く
「リアさん・・・」
「終わったね・・」
「ええ。・・リアさんも無事で本当に良かった」
言うとルードはリアを抱きしめた
「ル、ルードくん」
「・・・やはりこうしてリアさんを抱きしめていると安心します」
「・・・うん、私もだよ」
リアの返事を聞くとルードは少しだけ抱きしめていた手を緩めリアと向き合う
「・・・私はこれからも貴女と共に生きて行きたい。今はまだ頼りないと、分かってます。でも、私を選んで下さい。自分で言うのもなんですが、将来は有望です。今より男らしくなりますし、背だって伸びます。鍛錬だって怠りません。学問も修めます。知識を深めて、やりたい事があるんです。何より私は貴女の事が大好きです。それに、それに――」
「ル、ルードくん・・・あ、あの、もう良いよ」
「・・・っ!」
そこでようやく熱くなっていた事にルードは気付き、そんなルードを見てリアは微笑んだ
「ルードくん、ありがとう」
「・・・っ!」
言うとリアはルードの頬にキスをした
「リアさん・・・これは・・・?」
「私の答え。前にも言ったけど、私もルードくんの事が大好きだよ」
「リア・・さん・・・」
「・・・うわ、見せつけてくれるなあ」
「ふっ、若いねえ」
「あのリアが結構大胆な事やったじゃねえか」
「ふふっ、確かにね。けど、それだけリアも本気と言う事だろう」
ルードとリアの様子を見ていたコハク、村雨、虎、ダリウスは次々にそう言っていて梓達も少し離れた所でその様子を見ていた
「ルードもリアも、出逢った頃から沢山光るものを持っていたけれど・・・また、新たな可能性を纏ったんだね。眩しくて、叶わない」
「ええと、その・・・///」
やっとダリウス達に見られていた事に気が付きリアもルードも頬を赤くして照れていたが、お互い顔を見合わせ微笑み合った
「私、これからもずっとルードくんと一緒に居るよ。ルードくんが好きだから」
「リアさん・・・。貴女となら、この先何処までも行ける気がします。もっと、変われると思うし変えていきたいと思う。良い方向へ、明るい方へと。私達も、この世界も―― 数多くの可能性に満ちているんでしょうから。けれど、一つだけ・・・私の心の中には限られたものもあります。恋です。貴女への想いが最初で最後です」
46.ドラマチックな未来
・・・それから ――
帝都は刻々と変わっていった
まず、強兵計画の実態が暴かれた事で、帝国軍の上層部は責任追放された
今後は、国の組織を立て直す所から再出発だろうと聞いた
有馬は精鋭分隊を新たに自衛団と言う名の防衛組織に組み替えるつもりらしく、秋兵や九段、そして梓もその一員として帝都の復興に携わっていた
梓はあの後、元の世界に戻る事も出来たが、自分にもやるべき事が此処に沢山あるし、リアさんや大切な人達と一緒にいたいからと言ってくれて今までみたいに有馬達の所にいつつ、蠱惑の森やリアが働くミルクホールにも訪れていた
村雨達「結実なき花」は無罪放免となり今は自由の身だったが、結実党と言う新たな政党を結成するつもりらしい
勿論その代表は村雨で、ダリウスもこの改革に一枚噛んでいてこれから、黒幕として帝都の政治を動かしていくつもりらしい
「虎、コハク―― いよいよ、君達ともお別れか」
そして邸の前にはダリウスと虎、コハクが居た
「長い事世話になったな。此処ほど割の良い仕事もなかったぜ。だが、どう考えたって政治なんぞに、オレの出る幕はねえ。また力仕事が必要になったら契約してくれや。西の方ぶらぶらしてっから」
「政治における力仕事・・・? それって荒事じゃ――」
「コハク、野暮言うんじゃねえ」
「ははっ、ごめんなさい」
「コハクも暫くは旅をするんだったね?」
「うん。ダリウスさんには感謝してるし名残惜しいけど・・・色んなものを見て色んな人と接してこれからの生き方を考えていくよ。ゆっくりのんびりとさ」
禍津迦具土神が消滅した事で憑闇となっていた人達も心を取り戻し普通に生活出来るようになっていた
それはコハクにも言える事で、憑闇の力がなくなり普通の青年に戻っていた
「良いね。そう言う時間は尊いよ。別れの淋しさは否めないけれどそれぞれが、己の道を行くのはとても自然な事だ。俺も村雨達と公平と和を尊ぶ未来を実現してみせる。いつかまた、互いの軌道が交わる事もあるだろう」
ダリウスもやっと自分の目指している世へと続く道に乗り始めていて新たに決意を示していた
「に、したって、ルードは予想外だったけどな。絶対、親離れしねえと踏んでた奴が真っ先に出て行きやがった。それも、女連れで」
「お、「親離れ」に「女連れ」って・・・政虎さんこそ、野暮言い過ぎでしょ」
「ふふ・・・ルードが聞いたら、角が生えるね。もしかしたら、リアもかな?」
そう、この数ヶ月の間にルードとリアはダリウスの邸から離れて帝都で暮らしていたのだった
「週末、会った時にでも伝えておくよ」
「毎週末の、料理の差し入れは一生続きそうだよね」
「ダリウスが拒否した所で、もう言う事聞かねえだろうなあ」
「拒否なんてするはずないさ。料理の素晴らしさは言わずもがな。定期的に顔が見られるのが嬉しい」
邸を離れたとは言え、料理が苦手なダリウスを心配してリアもルードも必ず毎週末にダリウスと会い料理の差し入れをしていた
ダリウスも言っていたが、定期的に顔が見られる事はリアにとってもルードにとっても嬉しい事ではあった
「でもね、ルードが新たな選択をした事は俺にとっての喜びなんだ。あの子が、俺から学ぶものはもう何もない。これからは、自分の手で可能性を開拓していくんだろう。大切な女性と共にね。兄貴分としては、応援するばかりだよ」
「兄貴ねえ・・・親父じゃなくて?」
「まだ言ってる」
そして、肝心のリアはと言うと ―――
「お疲れ様でした! お先に失礼します!」
「あ、リアお疲れ~! ねえ、この後さ」
「ごめん、この後行く所があるの。また今度ね」
言うとリアは急いで制服から私服に着替え店の裏口から出て行った
「最近リア帰るの早いよね。どうしたんだろう?」
「知らないの? リア、彼氏出来たんだよ」
「え、嘘! あのリアに!?」
「何でも西洋人みたいなんだよね」
「あーでもリアに似合いそう。リアも西洋人みたいな容姿してるしね」
と、リアが立ち去った後、ミルクホールの更衣室で同期の子達が話していた事は勿論リアは知らない
「ルードくん、お待たせ」
「リアさん、お疲れ様です。もしかして走って来たんですか?」
「うん。待たせちゃ悪いし」
飲食街を抜けた先にある公園でリアとルードは待ち合わせていた
リアが急いで此処に来たのはルードとこの後行く場所があったからだった
そこは ――
「こんにちは、村野先生。打ち水ですか」
「やあ。もうルードさん達が来てくれる時間でしたか」
リアとルードがやって来た場所は村野さんの家であり、村野さんが開いている私塾だった
「毎回、私までお邪魔してしまってすみません」
「とんでもない。生徒達も喜んでいます」
そして此処に来る時はリアもルードと一緒に来ていたのだった
「・・・あのね、ルードさん、実は今日の年少組の授業について相談したい事がありまして」
「はい?」
村野さんは何かを思っている顔をしてそう言うとニコリと微笑んで続きを言う
「そろそろ教壇に立ってみませんか? 私はリアさんと一緒に後ろで見ていますから」
「えっ・・・」
「ルードさんが助手をしてくれるようになってもう暫くになります。貴方の指導力は予想以上に生徒の得手不得手を、良く見極め個性に応じた助言をしています」
「・・・身に過ぎた評価です。村野先生に代わって教鞭を執るにはまだ、実力も経験も不十分かと・・・」
「経験は実地で積むものです。他に足りない部分があっても生徒達が補ってくれる。教師も、生徒に育てられて段々と一人前になるんですよ。だから、教育と言うのは面白い」
「・・・・」
ダリウスの邸を出て帝都で暮らし始めてからルードは教師の道を目指す事を決め多くの事を学び、村野さんの助手として共に子供達に勉強を教えていた
ルードの教え方はやはり解りやすく子供達にも評価が高いし、夜に開いている大人向けの授業の時も村野さんの助手をやっていて大人達からも信頼と評価は高かった
「ルードくん、やってみたらどうかな。ルードくんの授業、見てみたい。ルードくんなら出来るよ」
「リアさん・・・。分かりました、村野先生。頂いた機会を存分に活かせるよう頑張ります」
今までの事やみんなからの評価の事を思い、そして純粋にルードの授業を見てみたいと思いリアはいつもの優しい笑みをルードに向けて言うとルードも決意が固まり村野さんに返事を返した
「カナ文字の書き取りは学問の基本です。何度も書いてしっかりと覚えましょう」
「「「はーい!」」」
あれから暫くして年少組の授業が始まった
ルードは教壇に立ち子供達に説明をした後、カナ文字の書き取りが始まりルードは一人一人の帳簿を見て回る
「ああ、美智子さん。そこの棒をはみ出して書くと「ス」ではなくて「ヌ」になるんです」
「あ・・・ごめんなさい。ルード先生」
「誤らなくて良いんですよ。これで、二つの文字を一度に習う事が出来ました。やりましたね」
「・・・うん、やった!」
「清茂くんは、前の授業で出来なかった「シ」と「ツ」の書き分けが出来るようになってますし――」
美智子はルードに褒められて嬉しそうな顔をし、ルードも他の生徒達の帳簿を見て褒めていた
「ねえ、新米せんせ~! オレの帳面も見て!」
「哲太くん・・・「新米」なんて、難しい言葉を知ってますね」
「へへっ」
「どれどれ・・・。・・・こら、なんですか、これは。早く帳面を埋めれば良いと言うものではありません。丁寧に書かないと読めませんよ」
「だって、早く終わらせて鬼の術、習いたいんだ! せっかくルード先生の授業だしさ。うちの父ちゃんも凄い技、教わっちまえ~って言ってたよ」
「ええ・・・そればかりは難しいな・・・」
あの事件後、鬼に対する世間の見方も変わり今では普通に受け入れて貰えている
それはあの事件の影響が大きいもの一つではあるが、あの時凌雲閣で言った村野さんやリアや梓の言葉が皆にも響き、そして何よりルードとリアの仲の良さがこの私塾に通っている人達やその身内にも伝わっていて前のように偏見を持たれる事もなくなっていた
「ふふっ・・・」
そして子供達の言葉に困っている顔を見せているルードを見てリアは小さく笑った
「あっ! リア先生が笑ってる」
「うん? 私は先生じゃないよ、花ちゃん」
リアと村野さんの近くに座っていた子がリアを見てそう言い、先生と言われた事にリアは疑問を持ちそう答えた
「先生だもん。この前、お団子の作り方教えてくれたもん!」
「あたしもこの前、リア先生にお花の冠の作り方教えてもらったよ」
「それにリア先生、お歌が上手なんだよ! この前あたしの弟の子守をしてくれて子守唄歌ってくれたんだよ」
「え、そうなの! 聞きたい!」
「リア先生、今日のおやつはなに?」
「はははは・・・すっかり生徒達の楽しみになってますし、人気者になっていますね、リアさん」
「なんだかくすぐったいです」
普段は店で大人と接しているが、こんなに素直な子供達と接する事は殆どなかったのでそれが新鮮にも感じくすぐったくも感じていた
「―― 皆さん、気が早いですよ。おやつの時間まではまだ、20分もある」
「あーっ、ルード先生、やきもちだ」
「リア先生のおやつ、独り占めにしたいんだ!」
「なっ・・・何を言うんですか」
「おれたち、知ってんだぞ。ルード先生とリア先生は恋人なんだぞ。ね、村野先生?」
「う・・・む・・・どうかな?」
(こ、こっちを見られても何て返せば・・・///)
子供達の言葉にリアもルードも言葉に詰まり、村野さんや子供達の視線にリアもどう言葉を返せば良いのか・・・と思っていた
「・・・・っ・・・。分かりました。皆さんとは真っ直ぐ向き合いたいのでちゃんと本当の事を言いましょう」
「えっ・・・ルードくん?」
ルードはそこで一旦言葉を切り優しい笑みを向けて言う
「リアさんは、私が・・・世界で一番、大好きな人です」
「うん、うん・・・」
ルードのその言葉に子供達は嬉しそうにはしゃぎ、村野さんも嬉しそうな顔をして頷いていた
「な―― ル、ルードくん、小さな子達の前でそんな事・・・私、店の人にもまだそんなに話してないのに///」
リアは顔を赤くしてルードの所に行ってそう言うもルードは優しく微笑んでいた
「小さいからと言ってむやみに隠したり、誤魔化したりする気はありません・・・私が貴女を想う気持ちは何ら恥じる所のないものですし」
「・・・う、うん・・そうか・・・そうだよね・・・」
翌々考えれば、あの日、ルードに瓦礫の中から助けて貰った時に周りには梓やダリウス達、そして救助に参加していた精鋭分隊や他の隊の軍人や街の人達、そして此処に居る村野先生もいたのだ
彼等にもルードに抱きしめられている所は見られていたし、店に来るお客さんやリアの知り合いの何人かにもあの時見られていたのだった
「ねえ! リア先生もルード先生の事好きでしょ?」
そう思っていると一人の男の子がそう聞いてきた
「――・・・・、うん、そうだね。世界で一番、大好き」
「リアさん――」
リアもいつもの優しい笑み、そして幸せそうな顔をしてそう言い、その言葉を聞くと子供達はまたはしゃぎ出し、ルードは優しい瞳をして微笑んでいた
「・・・・これは、流石に、見せるべきじゃないものですよね」
「え?」
「・・・・」
言うとルードはリアを自分の方に引き寄せ、
リアの唇に自分の唇を重ねキスをした
勿論、子供達に見えないように、帳面で隠して
・・・ああ、まただ。
貴女に触れる度、新しい宝物を見つけたような気持ちになります。
こんな未来を迎えるなんて、出逢った頃は想像も付かなかった。
こんな―― 輝かしい可能性を手にするだなんて・・・
貴女はいつも眩しくて、温かくて、ずっと、手の届かない人だと思っていました。
けれど、貴女と共に過ごし、貴女の微笑みに、胸を高鳴らせ貴女の瞳を通して己の視野の狭さを知り―― 心と心が近付く毎に世界が広がっていくのを感じました。
・・・けれど、不思議ですね。
柔らかくなる心と裏腹に貴女だけは、誰にも渡したくないと思うようになって。
そうして、気付いたんです。
貴女に恋をしている事。
今の私にとっては貴女と共に居る未来こそ一番、温かな可能性――
いわば、幸せの種です。
貴女となら、きっとこの種を大きく育てていける。
沢山の夢が花咲く為の大樹へと ――
「――・・・っ、リアさん、大好きです」
言うとルードはまたキスをした
「きらきらしい未来に向けて・・・いつまでも、二人寄り添って歩きましょう」
完
あとがき
と言う事で! 遂にルードくんルートも無事に完結致しましたっっ!!!
や~ほんとにこのエンディングは反則だよね! ズルイよね!!!!
もう見た時きゃーきゃーのニヤニヤでしたよw(スチルがヤバかったのもあるがw)
個人的な事を言うとエンディングはきゃーきゃーなんですけど、唯一此処だけ蠱惑の森の皆さんがバラバラになっちゃうのが淋しいなぁ・・・と蠱惑の森好きは思うんですけどねιw
でもやっぱり虎も兄貴分と言うより親父って思ってたんだなww
みんなが思ってる事代弁してくれたなww←ww
後、私塾でのやり取りは好きだし、村野さんのあの誤魔化し方も良いよねww
確かに大勢に抱きしめられているとこ見られてるし、リアちゃんもきっと店で色々と追求されたんだろうなぁww
でも本当にこの二人には幸せになって欲しいですね!w(微笑ましいもんww)
と言う事で、ルードくんルートは今回で終了となります
最後まで読んでくれた皆様、本当にありがとう御座いました!
引き続き、ルート別であるダリウスルート、大団円ルートと長短編も共に読んで頂ければ幸いです!
長くなりましたが、此処までお付き合いして頂き有り難う御座いました!
2015.08.14
「・・・私達、勝てたんだ・・・」
「ええ・・、梓ちゃんやみんなのお陰よ」
言うとリアは目を瞑り、そこから温かい光が発せられる
それは先程皆が感じていた浄化の力と治癒の力だった
「・・・これで、この辺りは綺麗に浄化出来たと思うし、みんなの傷も癒えたと思うけど・・・」
「・・・そろそろ、話してくれるかな。リアの、その力について」
リアがみんなの方を振り返るとダリウスがそう切り出し、皆を見ると同じ事を思っている顔をしていた
「・・・九段さんが言ってた通り、私は、龍神の力を持っていたんです」
「どう言う事・・?」
「私の一族は変わった力があったんです。鬼の一族の人達が使えるような術を使えたり、治癒の力が使えたり・・・でもそれはずっと鬼の一族と結婚したり混血の人達がいたからって思ってた。けど、あの時、宝珠に触れて、それはそれだけの力じゃなかったって分かったんです。その力は私の一族・・・ううん、私の家系が歴代の神子の血を引き継いでいるからだって」
「! では、リアさんは、歴代の神子の末裔・・と言う事ですか」
「そうなるみたい。きっと、千代ちゃんがあの時言ってた事は白龍から聞いていたから知っていたんだろうなって思う。だからその力を引き出す為に、千代ちゃんは八葉を選らんだだけじゃなく、自分の代わりに梓ちゃんを支えて欲しい、って願いもあったから宝珠に力を宿して私の中に眠っていた力を解放してくれたんだと思う」
「そうだったんだ」
リアはあの時感じた事と知った事をみんなに話した
リアも未だに力の事などに驚きもしているが、今事実を知った梓達の方が驚きは大きかっただろう
「けど、これで梓ちゃんは元の世界に戻れるよ」
「え? あ、そっか・・・」
それを感じつつリアは小さく笑った後、いつもの優しい笑みを梓に向けて言うと梓はその事を思い出したようだった
「戻る戻らないは梓ちゃんが決める事よ」
「私は・・・、!」
悩んでいる梓を見てリアは優しい笑みを向けてそのまま優しく梓の頭を撫でそのまま踵を返してルードの元へ行く
「リアさん・・・」
「終わったね・・」
「ええ。・・リアさんも無事で本当に良かった」
言うとルードはリアを抱きしめた
「ル、ルードくん」
「・・・やはりこうしてリアさんを抱きしめていると安心します」
「・・・うん、私もだよ」
リアの返事を聞くとルードは少しだけ抱きしめていた手を緩めリアと向き合う
「・・・私はこれからも貴女と共に生きて行きたい。今はまだ頼りないと、分かってます。でも、私を選んで下さい。自分で言うのもなんですが、将来は有望です。今より男らしくなりますし、背だって伸びます。鍛錬だって怠りません。学問も修めます。知識を深めて、やりたい事があるんです。何より私は貴女の事が大好きです。それに、それに――」
「ル、ルードくん・・・あ、あの、もう良いよ」
「・・・っ!」
そこでようやく熱くなっていた事にルードは気付き、そんなルードを見てリアは微笑んだ
「ルードくん、ありがとう」
「・・・っ!」
言うとリアはルードの頬にキスをした
「リアさん・・・これは・・・?」
「私の答え。前にも言ったけど、私もルードくんの事が大好きだよ」
「リア・・さん・・・」
「・・・うわ、見せつけてくれるなあ」
「ふっ、若いねえ」
「あのリアが結構大胆な事やったじゃねえか」
「ふふっ、確かにね。けど、それだけリアも本気と言う事だろう」
ルードとリアの様子を見ていたコハク、村雨、虎、ダリウスは次々にそう言っていて梓達も少し離れた所でその様子を見ていた
「ルードもリアも、出逢った頃から沢山光るものを持っていたけれど・・・また、新たな可能性を纏ったんだね。眩しくて、叶わない」
「ええと、その・・・///」
やっとダリウス達に見られていた事に気が付きリアもルードも頬を赤くして照れていたが、お互い顔を見合わせ微笑み合った
「私、これからもずっとルードくんと一緒に居るよ。ルードくんが好きだから」
「リアさん・・・。貴女となら、この先何処までも行ける気がします。もっと、変われると思うし変えていきたいと思う。良い方向へ、明るい方へと。私達も、この世界も―― 数多くの可能性に満ちているんでしょうから。けれど、一つだけ・・・私の心の中には限られたものもあります。恋です。貴女への想いが最初で最後です」
46.ドラマチックな未来
・・・それから ――
帝都は刻々と変わっていった
まず、強兵計画の実態が暴かれた事で、帝国軍の上層部は責任追放された
今後は、国の組織を立て直す所から再出発だろうと聞いた
有馬は精鋭分隊を新たに自衛団と言う名の防衛組織に組み替えるつもりらしく、秋兵や九段、そして梓もその一員として帝都の復興に携わっていた
梓はあの後、元の世界に戻る事も出来たが、自分にもやるべき事が此処に沢山あるし、リアさんや大切な人達と一緒にいたいからと言ってくれて今までみたいに有馬達の所にいつつ、蠱惑の森やリアが働くミルクホールにも訪れていた
村雨達「結実なき花」は無罪放免となり今は自由の身だったが、結実党と言う新たな政党を結成するつもりらしい
勿論その代表は村雨で、ダリウスもこの改革に一枚噛んでいてこれから、黒幕として帝都の政治を動かしていくつもりらしい
「虎、コハク―― いよいよ、君達ともお別れか」
そして邸の前にはダリウスと虎、コハクが居た
「長い事世話になったな。此処ほど割の良い仕事もなかったぜ。だが、どう考えたって政治なんぞに、オレの出る幕はねえ。また力仕事が必要になったら契約してくれや。西の方ぶらぶらしてっから」
「政治における力仕事・・・? それって荒事じゃ――」
「コハク、野暮言うんじゃねえ」
「ははっ、ごめんなさい」
「コハクも暫くは旅をするんだったね?」
「うん。ダリウスさんには感謝してるし名残惜しいけど・・・色んなものを見て色んな人と接してこれからの生き方を考えていくよ。ゆっくりのんびりとさ」
禍津迦具土神が消滅した事で憑闇となっていた人達も心を取り戻し普通に生活出来るようになっていた
それはコハクにも言える事で、憑闇の力がなくなり普通の青年に戻っていた
「良いね。そう言う時間は尊いよ。別れの淋しさは否めないけれどそれぞれが、己の道を行くのはとても自然な事だ。俺も村雨達と公平と和を尊ぶ未来を実現してみせる。いつかまた、互いの軌道が交わる事もあるだろう」
ダリウスもやっと自分の目指している世へと続く道に乗り始めていて新たに決意を示していた
「に、したって、ルードは予想外だったけどな。絶対、親離れしねえと踏んでた奴が真っ先に出て行きやがった。それも、女連れで」
「お、「親離れ」に「女連れ」って・・・政虎さんこそ、野暮言い過ぎでしょ」
「ふふ・・・ルードが聞いたら、角が生えるね。もしかしたら、リアもかな?」
そう、この数ヶ月の間にルードとリアはダリウスの邸から離れて帝都で暮らしていたのだった
「週末、会った時にでも伝えておくよ」
「毎週末の、料理の差し入れは一生続きそうだよね」
「ダリウスが拒否した所で、もう言う事聞かねえだろうなあ」
「拒否なんてするはずないさ。料理の素晴らしさは言わずもがな。定期的に顔が見られるのが嬉しい」
邸を離れたとは言え、料理が苦手なダリウスを心配してリアもルードも必ず毎週末にダリウスと会い料理の差し入れをしていた
ダリウスも言っていたが、定期的に顔が見られる事はリアにとってもルードにとっても嬉しい事ではあった
「でもね、ルードが新たな選択をした事は俺にとっての喜びなんだ。あの子が、俺から学ぶものはもう何もない。これからは、自分の手で可能性を開拓していくんだろう。大切な女性と共にね。兄貴分としては、応援するばかりだよ」
「兄貴ねえ・・・親父じゃなくて?」
「まだ言ってる」
そして、肝心のリアはと言うと ―――
「お疲れ様でした! お先に失礼します!」
「あ、リアお疲れ~! ねえ、この後さ」
「ごめん、この後行く所があるの。また今度ね」
言うとリアは急いで制服から私服に着替え店の裏口から出て行った
「最近リア帰るの早いよね。どうしたんだろう?」
「知らないの? リア、彼氏出来たんだよ」
「え、嘘! あのリアに!?」
「何でも西洋人みたいなんだよね」
「あーでもリアに似合いそう。リアも西洋人みたいな容姿してるしね」
と、リアが立ち去った後、ミルクホールの更衣室で同期の子達が話していた事は勿論リアは知らない
「ルードくん、お待たせ」
「リアさん、お疲れ様です。もしかして走って来たんですか?」
「うん。待たせちゃ悪いし」
飲食街を抜けた先にある公園でリアとルードは待ち合わせていた
リアが急いで此処に来たのはルードとこの後行く場所があったからだった
そこは ――
「こんにちは、村野先生。打ち水ですか」
「やあ。もうルードさん達が来てくれる時間でしたか」
リアとルードがやって来た場所は村野さんの家であり、村野さんが開いている私塾だった
「毎回、私までお邪魔してしまってすみません」
「とんでもない。生徒達も喜んでいます」
そして此処に来る時はリアもルードと一緒に来ていたのだった
「・・・あのね、ルードさん、実は今日の年少組の授業について相談したい事がありまして」
「はい?」
村野さんは何かを思っている顔をしてそう言うとニコリと微笑んで続きを言う
「そろそろ教壇に立ってみませんか? 私はリアさんと一緒に後ろで見ていますから」
「えっ・・・」
「ルードさんが助手をしてくれるようになってもう暫くになります。貴方の指導力は予想以上に生徒の得手不得手を、良く見極め個性に応じた助言をしています」
「・・・身に過ぎた評価です。村野先生に代わって教鞭を執るにはまだ、実力も経験も不十分かと・・・」
「経験は実地で積むものです。他に足りない部分があっても生徒達が補ってくれる。教師も、生徒に育てられて段々と一人前になるんですよ。だから、教育と言うのは面白い」
「・・・・」
ダリウスの邸を出て帝都で暮らし始めてからルードは教師の道を目指す事を決め多くの事を学び、村野さんの助手として共に子供達に勉強を教えていた
ルードの教え方はやはり解りやすく子供達にも評価が高いし、夜に開いている大人向けの授業の時も村野さんの助手をやっていて大人達からも信頼と評価は高かった
「ルードくん、やってみたらどうかな。ルードくんの授業、見てみたい。ルードくんなら出来るよ」
「リアさん・・・。分かりました、村野先生。頂いた機会を存分に活かせるよう頑張ります」
今までの事やみんなからの評価の事を思い、そして純粋にルードの授業を見てみたいと思いリアはいつもの優しい笑みをルードに向けて言うとルードも決意が固まり村野さんに返事を返した
「カナ文字の書き取りは学問の基本です。何度も書いてしっかりと覚えましょう」
「「「はーい!」」」
あれから暫くして年少組の授業が始まった
ルードは教壇に立ち子供達に説明をした後、カナ文字の書き取りが始まりルードは一人一人の帳簿を見て回る
「ああ、美智子さん。そこの棒をはみ出して書くと「ス」ではなくて「ヌ」になるんです」
「あ・・・ごめんなさい。ルード先生」
「誤らなくて良いんですよ。これで、二つの文字を一度に習う事が出来ました。やりましたね」
「・・・うん、やった!」
「清茂くんは、前の授業で出来なかった「シ」と「ツ」の書き分けが出来るようになってますし――」
美智子はルードに褒められて嬉しそうな顔をし、ルードも他の生徒達の帳簿を見て褒めていた
「ねえ、新米せんせ~! オレの帳面も見て!」
「哲太くん・・・「新米」なんて、難しい言葉を知ってますね」
「へへっ」
「どれどれ・・・。・・・こら、なんですか、これは。早く帳面を埋めれば良いと言うものではありません。丁寧に書かないと読めませんよ」
「だって、早く終わらせて鬼の術、習いたいんだ! せっかくルード先生の授業だしさ。うちの父ちゃんも凄い技、教わっちまえ~って言ってたよ」
「ええ・・・そればかりは難しいな・・・」
あの事件後、鬼に対する世間の見方も変わり今では普通に受け入れて貰えている
それはあの事件の影響が大きいもの一つではあるが、あの時凌雲閣で言った村野さんやリアや梓の言葉が皆にも響き、そして何よりルードとリアの仲の良さがこの私塾に通っている人達やその身内にも伝わっていて前のように偏見を持たれる事もなくなっていた
「ふふっ・・・」
そして子供達の言葉に困っている顔を見せているルードを見てリアは小さく笑った
「あっ! リア先生が笑ってる」
「うん? 私は先生じゃないよ、花ちゃん」
リアと村野さんの近くに座っていた子がリアを見てそう言い、先生と言われた事にリアは疑問を持ちそう答えた
「先生だもん。この前、お団子の作り方教えてくれたもん!」
「あたしもこの前、リア先生にお花の冠の作り方教えてもらったよ」
「それにリア先生、お歌が上手なんだよ! この前あたしの弟の子守をしてくれて子守唄歌ってくれたんだよ」
「え、そうなの! 聞きたい!」
「リア先生、今日のおやつはなに?」
「はははは・・・すっかり生徒達の楽しみになってますし、人気者になっていますね、リアさん」
「なんだかくすぐったいです」
普段は店で大人と接しているが、こんなに素直な子供達と接する事は殆どなかったのでそれが新鮮にも感じくすぐったくも感じていた
「―― 皆さん、気が早いですよ。おやつの時間まではまだ、20分もある」
「あーっ、ルード先生、やきもちだ」
「リア先生のおやつ、独り占めにしたいんだ!」
「なっ・・・何を言うんですか」
「おれたち、知ってんだぞ。ルード先生とリア先生は恋人なんだぞ。ね、村野先生?」
「う・・・む・・・どうかな?」
(こ、こっちを見られても何て返せば・・・///)
子供達の言葉にリアもルードも言葉に詰まり、村野さんや子供達の視線にリアもどう言葉を返せば良いのか・・・と思っていた
「・・・・っ・・・。分かりました。皆さんとは真っ直ぐ向き合いたいのでちゃんと本当の事を言いましょう」
「えっ・・・ルードくん?」
ルードはそこで一旦言葉を切り優しい笑みを向けて言う
「リアさんは、私が・・・世界で一番、大好きな人です」
「うん、うん・・・」
ルードのその言葉に子供達は嬉しそうにはしゃぎ、村野さんも嬉しそうな顔をして頷いていた
「な―― ル、ルードくん、小さな子達の前でそんな事・・・私、店の人にもまだそんなに話してないのに///」
リアは顔を赤くしてルードの所に行ってそう言うもルードは優しく微笑んでいた
「小さいからと言ってむやみに隠したり、誤魔化したりする気はありません・・・私が貴女を想う気持ちは何ら恥じる所のないものですし」
「・・・う、うん・・そうか・・・そうだよね・・・」
翌々考えれば、あの日、ルードに瓦礫の中から助けて貰った時に周りには梓やダリウス達、そして救助に参加していた精鋭分隊や他の隊の軍人や街の人達、そして此処に居る村野先生もいたのだ
彼等にもルードに抱きしめられている所は見られていたし、店に来るお客さんやリアの知り合いの何人かにもあの時見られていたのだった
「ねえ! リア先生もルード先生の事好きでしょ?」
そう思っていると一人の男の子がそう聞いてきた
「――・・・・、うん、そうだね。世界で一番、大好き」
「リアさん――」
リアもいつもの優しい笑み、そして幸せそうな顔をしてそう言い、その言葉を聞くと子供達はまたはしゃぎ出し、ルードは優しい瞳をして微笑んでいた
「・・・・これは、流石に、見せるべきじゃないものですよね」
「え?」
「・・・・」
言うとルードはリアを自分の方に引き寄せ、
リアの唇に自分の唇を重ねキスをした
勿論、子供達に見えないように、帳面で隠して
・・・ああ、まただ。
貴女に触れる度、新しい宝物を見つけたような気持ちになります。
こんな未来を迎えるなんて、出逢った頃は想像も付かなかった。
こんな―― 輝かしい可能性を手にするだなんて・・・
貴女はいつも眩しくて、温かくて、ずっと、手の届かない人だと思っていました。
けれど、貴女と共に過ごし、貴女の微笑みに、胸を高鳴らせ貴女の瞳を通して己の視野の狭さを知り―― 心と心が近付く毎に世界が広がっていくのを感じました。
・・・けれど、不思議ですね。
柔らかくなる心と裏腹に貴女だけは、誰にも渡したくないと思うようになって。
そうして、気付いたんです。
貴女に恋をしている事。
今の私にとっては貴女と共に居る未来こそ一番、温かな可能性――
いわば、幸せの種です。
貴女となら、きっとこの種を大きく育てていける。
沢山の夢が花咲く為の大樹へと ――
「――・・・っ、リアさん、大好きです」
言うとルードはまたキスをした
「きらきらしい未来に向けて・・・いつまでも、二人寄り添って歩きましょう」
完
あとがき
と言う事で! 遂にルードくんルートも無事に完結致しましたっっ!!!
や~ほんとにこのエンディングは反則だよね! ズルイよね!!!!
もう見た時きゃーきゃーのニヤニヤでしたよw(スチルがヤバかったのもあるがw)
個人的な事を言うとエンディングはきゃーきゃーなんですけど、唯一此処だけ蠱惑の森の皆さんがバラバラになっちゃうのが淋しいなぁ・・・と蠱惑の森好きは思うんですけどねιw
でもやっぱり虎も兄貴分と言うより親父って思ってたんだなww
みんなが思ってる事代弁してくれたなww←ww
後、私塾でのやり取りは好きだし、村野さんのあの誤魔化し方も良いよねww
確かに大勢に抱きしめられているとこ見られてるし、リアちゃんもきっと店で色々と追求されたんだろうなぁww
でも本当にこの二人には幸せになって欲しいですね!w(微笑ましいもんww)
と言う事で、ルードくんルートは今回で終了となります
最後まで読んでくれた皆様、本当にありがとう御座いました!
引き続き、ルート別であるダリウスルート、大団円ルートと長短編も共に読んで頂ければ幸いです!
長くなりましたが、此処までお付き合いして頂き有り難う御座いました!
2015.08.14