ルードルート
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ダリウス達が凌雲閣の地下で梓に帝都の闇の真実とその諸悪の根源について話し終えた時だった
「わわっ・・・!」「っ・・・!」
急に扉が開き銃声が響き渡り、その音にコハクは驚きリア達は一斉にその音が聞こえた方を見た
「―― 此処で何をしているのかな」
「っ・・・!」
そこに居たのは帝国軍の頭である参謀総長片霧 清四郎と彼が引き連れてきた親衛隊とその部下達だった
「事前調査と違いますね。こちらの動きは読まれていなかったはず・・・手違いでしょうか。ダリウス様、申し訳ありません」
事前調査では総長はこの日のこの時間は会議が参謀本部にいるはずだった
それが予定が変わったのか、それともこちらの動きに気付いていたのか、部下達を連れてこの場に来ていた
「大人しくしていろ! 次は外さん!」
「鬼共め、覚悟しろ!」
言うと高官達は銃を構えた
だが、
「―― 撃ってみろってんだよ」
そう言って自身のかぎ爪を見せてにやりと笑いながら虎は前に出る
「なっ・・・貴様、銃が怖くないのか!?」
「怖くねえよ。撃てば危ないのはお前等だからな」
「な、な、なんだと・・・!?」
「敵が怯んだ。―― ルード、コハク」
「心得ています」
「はーい!」
虎の迫力に圧倒され高官達は怯みその隙を見てダリウスはルードとコハクに合図を出すと二人は一斉に駆け出し銃を構えている高官の腕を叩き銃を叩き落とした
「っ・・・! 銃を叩き落とすとは・・・」
「なめるな! こちらにはまだ手勢が・・・」
「―― 甘えのはどっちだよ!」
「うわああっ!?」
直ぐに虎はその男に攻撃を仕掛け、男は怯んでその場に座り込んでしまう
「へっ、学習しねえなあ。オレ相手に兵が少なすぎだぜ」
「チッ、なら・・・っ!」
「・・・動くと、今度は本当に当てますよ?」
新たに手勢を呼び動き出した兵達を見てリアは即座にナイフを彼等の足下に数本投げ、鋭い目つきでそう言い放つ
先程までのリアとは違う目を見て梓は一瞬驚きもしたが、これで彼等が自分達に危害を加える事は無いと思い少しだけ息を吐き出した
「・・・っ!」
その隙にダリウスは空間移動で参謀総長の下へ移動する
「片霧、此処を破壊した後で参謀本部にて、君の命をもらい受けるつもりだったけど―― 予定が早まったかな。覚悟するといい――」
「ふざけるな。たかが化物くずれの首領如きが・・・!」
「状況が分かっていないようだね」
言うとダリウスは自身の仕込み杖を構えた
「―――!」
言うとダリウスは参謀総長の喉元に仕込み杖の刃を当てた
「ダリウス、やめて!」
「・・・・っ!」
その様子を見て梓が叫ぶと、また扉が開く音と複数の足音が聞こえてきた
41.本当の闇の名はカグツチ
「これは・・・何事か!」
「父さん!?」
「・・・っ、梓。邸にいないので、まさかと思ったがやはり此処に居たのか」
「間に合って、良かった・・・」
駆け付けて来た人物は、有馬を始とする精鋭分隊、そして九段と千代だった
「お前達・・・。それに、楓月、お前も何故鬼と共に・・・」
「・・・・」
皆今の状況が理解出来ていない事と、リアがダリウス達と一緒にいる事に驚いているのが見て取れる
だが、今はその質問に答えている時ではなかった
「残念だ。邪魔が入ったか」
「グッ・・・ゴホ、ゴホッ・・・!」
ダリウスの残念そうな声と共にダリウスから解放された参謀総長が咽せ返っている声が聞こえる
「精鋭分隊・・・、来てくれたか。お前達、賊徒共を討て!」
だが、直ぐに態勢を立て直し精鋭分隊に指示を出す
「は、はっ・・・」
「鬼共、一体此処で何をしている? そして、リアさん、貴女も何故此処に?」
「ぬしも鬼だったのか・・・」
「・・・・」
「・・・答える気はないようだな」
黙っているリアを見て答える気はないと有馬は判断し、剣を構える
それを見るとルードはリアを守るようにリアの前に出て有馬と同じように睨んでいた
その様子に梓も千代も何か言おうとしたがそれはダリウスの言葉で掻き消される
「片霧の息子か。父親の犯した罪も知らず哀れな事だ」
「なに?」
「周りを良く見ろ」
「――!?」
「・・・なんだ、あの見慣れぬ機械は。花が浮いている様に見えるが・・・」
「押し込められているのは憑闇・・・? でも、普通の人も・・・」
ダリウスの言葉に皆、奥の機械へと目を向けその中に入っているものを見て驚いて言葉を無くしている者も居た
「父さん、これはどう言う事です?」
「・・・っ、どうも・・・こうも、黒龍の神子の手引きで賊が潜入した。目下の問題はそれだけの事だ。直ちに捕縛を」
「・・・・」
「・・・・」
だが、精鋭分隊の者達は動揺しているのが見ていてもはっきりと分かった
「何をしている!!」
「少しでも自分の頭でものを考える事が出来るなら当然の態度でしょうね」
「・・・役立たず共めが。ならばまとめて処分してくれるわ」
「っ!」
「――強兵師団、注目!!」
その声と共に強兵達が培養液の中から出てきた
「目標ッ! 反逆者共! 迅速に制圧せよ! 突撃!!」
「制圧する」
「地に伏せろ」
「ダリウス様! リアさん!」
「強兵が・・・!?」
「リアさん、貴女は梓さんと共に此処にいて下さい。強兵の相手は私達が」
「大丈夫、私も梓ちゃんも戦えるよ」
そう言ってリアは梓を見ると梓もダリウスにルードと同じような事を言われたのか同じようにリアを見てお互い頷き武器を構えた
「リアと梓の準備も良いみたいだね。では、みんな行こうか」
「「「はい!」」」「うん!」「おうよ!」
ダリウスの言葉にリア達は一斉に頷いて返事を返し、それぞれ目の前の強兵に向かって行く
そしてそれは有馬達精鋭分隊達も同じで襲い掛かってくる強兵達の相手をしていた
皆それぞれ連携を取り上手く強兵の数を減らしていき、リアも梓とルードと連携を取って強兵を倒し、後ろから強兵の気配を感じ即座にナイフを後ろに投げると強兵に当たり、ぐっと小さな声を上げてそのまま倒れた
これで自分達の近くの強兵達は倒せた
だが、倒しても倒しても切りが無く、精鋭分隊も押され始めていた
「・・・っ、これじゃ駄目。倒しても、倒しても切りが無い」
「強兵の数が多すぎるよ・・・! 防戦一方だ」
「・・・ざけんなよ。こいつ等の相手なんかしてられるか」
リアの大技を使えば強兵の動きを封じる事は出来るし倒す事も出来る
だがこれだけ狭い場所でこれだけの大人数がいるのだ
ダリウス達はともかく、リアの大技を知らない者も多いので使う事が出来なかった
「ダリウス、頭を抑えりゃ良い。総長狙いだ。それが一番早いだろ」
「そうしたいのは山々なんだけど・・・どうも嫌な音がする」
途端、警報のような嫌な音が響き渡った
「なんですか、この不協和音は・・・」
「総長閣下、これは一体・・・!?」
「・・・・」
総長と共に居た高官達もこの音に不信を抱き、総長に尋ねたが総長は小さく笑っていたが、何処か様子が可笑しかった
「戦え・・・もっと殺シアエ・・・。陰ノ気ヲ此処へ・・・黒龍ノ神子、オ前モ食イ尽クス・・・!」
そう総長から発せられた言葉と同時に辺りに瘴気が溢れ、それは総長の周りに集まった
「「――!!」」
「な、何!?」
「フハハハハハ、今コソ我ガ、目覚メノ時ダ・・・!!」
(・・・! 総長の顔が・・・それに、あの禍々しい赤い瞳は、何・・・?!)
「総長閣下!? ご乱心なされたか!」
「・・・ソノヨウナ名デ呼ブノハ、許サヌ。我ハ、禍津迦具土神」
「カグツチ?」
「それって、確か、アダバナを育てるのに必要な土壌の名前・・・」
その名前にリア達もそして梓と九段も聞き覚えがあった
「・・・まさか。そうか、今、分かった。古文書の解読を誤ったのか。カグツチは土の名ではない。本来は、禍津迦具土神・・・火の邪神を指すのだろう」
「邪神・・・ですって?」
「どう言う事です? 栽培禁止の花で父は邪神を呼び寄せていたと?」
「総長自身、知らぬうちにな。本来のアダバナは邪神の力を養分として咲く花。だが、アダバナを増やし人の闘争心を増幅する事で逆に・・・今度は、この凌雲閣の地下自体が邪神の力を増す養分に変わってしまった。普段は火山の下に眠る禍津迦具土神が帝都の真ん中に這って来るまで」
「・・・なるほど。では、総長閣下はもはや――」
言うと有馬は剣を構えた
「有馬、何を・・・!」
「秋兵、怯むな! 総長閣下の体に禍津迦具土神が居るんだ。今、止めなければ・・・」
「・・・今更、遅イ」
(・・・! 総長の体から禍津迦具土神が離れて・・・、人の憎しみや悪意を呑み込んでいく――!?)
総長の体から禍津迦具土神が離れ、ガラスの上へ移動すると、瘴気などを吸い込んでいった
「「きゃあっ!」」
その吸い込みで辺りに風が舞い、その風に吹かれリアも千代も小さく悲鳴を上げた
「っ、リアさん!」
それを見たルードはリアの腕を引き自分の後ろへ移動させる
「ありがとう、ルードくん」
お礼を言うとリアもルードも再び前を見る
*
「さっきの轟音は一体・・・?」
同時刻、地上を歩いていた村野さんは揺れに気付き凌雲閣の前で止まると複数の軍人が走って着た
「ああ、じいさん、それ以上近付いちゃいかん。今、此処は立ち入り禁止だ」
「あれ・・・村野さんじゃないですか?」
軍人のうちの一人が村野さんに気付くと村野さんもその若い軍人を見て思い出す
「おお、あんたは息子と同じ部隊にいた・・・」
「和田です。こんな夜中に、どうして凌雲閣なんかに?」
「今日は息子の命日ですから日付が変わる瞬間に墓参りをと思ったんですが。そうしたら、凌雲閣の方から不気味な音が聞こえて・・・」
「ああ、息子さんの墓はこの近くでしたね。お孫さんはどうしました? 村野には、小さい娘さんがいたでしょう」
「今夜は、隣のお宅に預かってもらって――」
途端、地面が揺れ始め、村野さんも軍人達もその揺れに疑問を持った
続く
あとがき
さてさて、いよいよ佳境に入ってきました!
そして精鋭分隊達の皆さんと千代ちゃんも登場していざっ・・と思いきやまた新たなものが出て来ましたね
そして次回は以前リアちゃんが感じていたものの正体も分かっちゃうかもです
次回はほんと凄い事になりますので、お楽しみに!w
2015.08.13
「わわっ・・・!」「っ・・・!」
急に扉が開き銃声が響き渡り、その音にコハクは驚きリア達は一斉にその音が聞こえた方を見た
「―― 此処で何をしているのかな」
「っ・・・!」
そこに居たのは帝国軍の頭である参謀総長片霧 清四郎と彼が引き連れてきた親衛隊とその部下達だった
「事前調査と違いますね。こちらの動きは読まれていなかったはず・・・手違いでしょうか。ダリウス様、申し訳ありません」
事前調査では総長はこの日のこの時間は会議が参謀本部にいるはずだった
それが予定が変わったのか、それともこちらの動きに気付いていたのか、部下達を連れてこの場に来ていた
「大人しくしていろ! 次は外さん!」
「鬼共め、覚悟しろ!」
言うと高官達は銃を構えた
だが、
「―― 撃ってみろってんだよ」
そう言って自身のかぎ爪を見せてにやりと笑いながら虎は前に出る
「なっ・・・貴様、銃が怖くないのか!?」
「怖くねえよ。撃てば危ないのはお前等だからな」
「な、な、なんだと・・・!?」
「敵が怯んだ。―― ルード、コハク」
「心得ています」
「はーい!」
虎の迫力に圧倒され高官達は怯みその隙を見てダリウスはルードとコハクに合図を出すと二人は一斉に駆け出し銃を構えている高官の腕を叩き銃を叩き落とした
「っ・・・! 銃を叩き落とすとは・・・」
「なめるな! こちらにはまだ手勢が・・・」
「―― 甘えのはどっちだよ!」
「うわああっ!?」
直ぐに虎はその男に攻撃を仕掛け、男は怯んでその場に座り込んでしまう
「へっ、学習しねえなあ。オレ相手に兵が少なすぎだぜ」
「チッ、なら・・・っ!」
「・・・動くと、今度は本当に当てますよ?」
新たに手勢を呼び動き出した兵達を見てリアは即座にナイフを彼等の足下に数本投げ、鋭い目つきでそう言い放つ
先程までのリアとは違う目を見て梓は一瞬驚きもしたが、これで彼等が自分達に危害を加える事は無いと思い少しだけ息を吐き出した
「・・・っ!」
その隙にダリウスは空間移動で参謀総長の下へ移動する
「片霧、此処を破壊した後で参謀本部にて、君の命をもらい受けるつもりだったけど―― 予定が早まったかな。覚悟するといい――」
「ふざけるな。たかが化物くずれの首領如きが・・・!」
「状況が分かっていないようだね」
言うとダリウスは自身の仕込み杖を構えた
「―――!」
言うとダリウスは参謀総長の喉元に仕込み杖の刃を当てた
「ダリウス、やめて!」
「・・・・っ!」
その様子を見て梓が叫ぶと、また扉が開く音と複数の足音が聞こえてきた
41.本当の闇の名はカグツチ
「これは・・・何事か!」
「父さん!?」
「・・・っ、梓。邸にいないので、まさかと思ったがやはり此処に居たのか」
「間に合って、良かった・・・」
駆け付けて来た人物は、有馬を始とする精鋭分隊、そして九段と千代だった
「お前達・・・。それに、楓月、お前も何故鬼と共に・・・」
「・・・・」
皆今の状況が理解出来ていない事と、リアがダリウス達と一緒にいる事に驚いているのが見て取れる
だが、今はその質問に答えている時ではなかった
「残念だ。邪魔が入ったか」
「グッ・・・ゴホ、ゴホッ・・・!」
ダリウスの残念そうな声と共にダリウスから解放された参謀総長が咽せ返っている声が聞こえる
「精鋭分隊・・・、来てくれたか。お前達、賊徒共を討て!」
だが、直ぐに態勢を立て直し精鋭分隊に指示を出す
「は、はっ・・・」
「鬼共、一体此処で何をしている? そして、リアさん、貴女も何故此処に?」
「ぬしも鬼だったのか・・・」
「・・・・」
「・・・答える気はないようだな」
黙っているリアを見て答える気はないと有馬は判断し、剣を構える
それを見るとルードはリアを守るようにリアの前に出て有馬と同じように睨んでいた
その様子に梓も千代も何か言おうとしたがそれはダリウスの言葉で掻き消される
「片霧の息子か。父親の犯した罪も知らず哀れな事だ」
「なに?」
「周りを良く見ろ」
「――!?」
「・・・なんだ、あの見慣れぬ機械は。花が浮いている様に見えるが・・・」
「押し込められているのは憑闇・・・? でも、普通の人も・・・」
ダリウスの言葉に皆、奥の機械へと目を向けその中に入っているものを見て驚いて言葉を無くしている者も居た
「父さん、これはどう言う事です?」
「・・・っ、どうも・・・こうも、黒龍の神子の手引きで賊が潜入した。目下の問題はそれだけの事だ。直ちに捕縛を」
「・・・・」
「・・・・」
だが、精鋭分隊の者達は動揺しているのが見ていてもはっきりと分かった
「何をしている!!」
「少しでも自分の頭でものを考える事が出来るなら当然の態度でしょうね」
「・・・役立たず共めが。ならばまとめて処分してくれるわ」
「っ!」
「――強兵師団、注目!!」
その声と共に強兵達が培養液の中から出てきた
「目標ッ! 反逆者共! 迅速に制圧せよ! 突撃!!」
「制圧する」
「地に伏せろ」
「ダリウス様! リアさん!」
「強兵が・・・!?」
「リアさん、貴女は梓さんと共に此処にいて下さい。強兵の相手は私達が」
「大丈夫、私も梓ちゃんも戦えるよ」
そう言ってリアは梓を見ると梓もダリウスにルードと同じような事を言われたのか同じようにリアを見てお互い頷き武器を構えた
「リアと梓の準備も良いみたいだね。では、みんな行こうか」
「「「はい!」」」「うん!」「おうよ!」
ダリウスの言葉にリア達は一斉に頷いて返事を返し、それぞれ目の前の強兵に向かって行く
そしてそれは有馬達精鋭分隊達も同じで襲い掛かってくる強兵達の相手をしていた
皆それぞれ連携を取り上手く強兵の数を減らしていき、リアも梓とルードと連携を取って強兵を倒し、後ろから強兵の気配を感じ即座にナイフを後ろに投げると強兵に当たり、ぐっと小さな声を上げてそのまま倒れた
これで自分達の近くの強兵達は倒せた
だが、倒しても倒しても切りが無く、精鋭分隊も押され始めていた
「・・・っ、これじゃ駄目。倒しても、倒しても切りが無い」
「強兵の数が多すぎるよ・・・! 防戦一方だ」
「・・・ざけんなよ。こいつ等の相手なんかしてられるか」
リアの大技を使えば強兵の動きを封じる事は出来るし倒す事も出来る
だがこれだけ狭い場所でこれだけの大人数がいるのだ
ダリウス達はともかく、リアの大技を知らない者も多いので使う事が出来なかった
「ダリウス、頭を抑えりゃ良い。総長狙いだ。それが一番早いだろ」
「そうしたいのは山々なんだけど・・・どうも嫌な音がする」
途端、警報のような嫌な音が響き渡った
「なんですか、この不協和音は・・・」
「総長閣下、これは一体・・・!?」
「・・・・」
総長と共に居た高官達もこの音に不信を抱き、総長に尋ねたが総長は小さく笑っていたが、何処か様子が可笑しかった
「戦え・・・もっと殺シアエ・・・。陰ノ気ヲ此処へ・・・黒龍ノ神子、オ前モ食イ尽クス・・・!」
そう総長から発せられた言葉と同時に辺りに瘴気が溢れ、それは総長の周りに集まった
「「――!!」」
「な、何!?」
「フハハハハハ、今コソ我ガ、目覚メノ時ダ・・・!!」
(・・・! 総長の顔が・・・それに、あの禍々しい赤い瞳は、何・・・?!)
「総長閣下!? ご乱心なされたか!」
「・・・ソノヨウナ名デ呼ブノハ、許サヌ。我ハ、禍津迦具土神」
「カグツチ?」
「それって、確か、アダバナを育てるのに必要な土壌の名前・・・」
その名前にリア達もそして梓と九段も聞き覚えがあった
「・・・まさか。そうか、今、分かった。古文書の解読を誤ったのか。カグツチは土の名ではない。本来は、禍津迦具土神・・・火の邪神を指すのだろう」
「邪神・・・ですって?」
「どう言う事です? 栽培禁止の花で父は邪神を呼び寄せていたと?」
「総長自身、知らぬうちにな。本来のアダバナは邪神の力を養分として咲く花。だが、アダバナを増やし人の闘争心を増幅する事で逆に・・・今度は、この凌雲閣の地下自体が邪神の力を増す養分に変わってしまった。普段は火山の下に眠る禍津迦具土神が帝都の真ん中に這って来るまで」
「・・・なるほど。では、総長閣下はもはや――」
言うと有馬は剣を構えた
「有馬、何を・・・!」
「秋兵、怯むな! 総長閣下の体に禍津迦具土神が居るんだ。今、止めなければ・・・」
「・・・今更、遅イ」
(・・・! 総長の体から禍津迦具土神が離れて・・・、人の憎しみや悪意を呑み込んでいく――!?)
総長の体から禍津迦具土神が離れ、ガラスの上へ移動すると、瘴気などを吸い込んでいった
「「きゃあっ!」」
その吸い込みで辺りに風が舞い、その風に吹かれリアも千代も小さく悲鳴を上げた
「っ、リアさん!」
それを見たルードはリアの腕を引き自分の後ろへ移動させる
「ありがとう、ルードくん」
お礼を言うとリアもルードも再び前を見る
*
「さっきの轟音は一体・・・?」
同時刻、地上を歩いていた村野さんは揺れに気付き凌雲閣の前で止まると複数の軍人が走って着た
「ああ、じいさん、それ以上近付いちゃいかん。今、此処は立ち入り禁止だ」
「あれ・・・村野さんじゃないですか?」
軍人のうちの一人が村野さんに気付くと村野さんもその若い軍人を見て思い出す
「おお、あんたは息子と同じ部隊にいた・・・」
「和田です。こんな夜中に、どうして凌雲閣なんかに?」
「今日は息子の命日ですから日付が変わる瞬間に墓参りをと思ったんですが。そうしたら、凌雲閣の方から不気味な音が聞こえて・・・」
「ああ、息子さんの墓はこの近くでしたね。お孫さんはどうしました? 村野には、小さい娘さんがいたでしょう」
「今夜は、隣のお宅に預かってもらって――」
途端、地面が揺れ始め、村野さんも軍人達もその揺れに疑問を持った
続く
あとがき
さてさて、いよいよ佳境に入ってきました!
そして精鋭分隊達の皆さんと千代ちゃんも登場していざっ・・と思いきやまた新たなものが出て来ましたね
そして次回は以前リアちゃんが感じていたものの正体も分かっちゃうかもです
次回はほんと凄い事になりますので、お楽しみに!w
2015.08.13