蠱惑の森大団円ルート
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リアの合図と共に梓は引き金を引き、リアと千代は同時にナイフを投げ、その攻撃は見事禍津迦具土神の急所に当たり、神子達の力と思いが邪神の体と貫いた
そして禍津迦具土神は悲鳴に似た声を上げ禍津迦具土神の体は霧のように霞んでいき、帝都全体を覆うようにあった瘴気も消えていき、空は徐々にいつもの青さに戻った
「っ・・・」
「「! リアさん!」」
それを見るとリアは体の力が抜けそのまま倒れそうになったが直ぐに梓と千代が支えた
「ありがとう、梓ちゃん、千代ちゃん」
「ううん、私達の方こそありがとう。リアさんが居たお陰で禍津迦具土神と戦えたんだよ」
「私も今まではこんな風に戦う事は出来なかった。けど、最後はみんなと一緒に戦えたのもリアさんのお陰だもの。それに、白龍が力を取り戻していくのも感じてる」
そう言う千代の顔色は今まで以上に良いもので、それを見てリアも梓も安堵していた
きっとそれは気が清浄になったからなんだろうとリアは思っていた
「・・・なんだ? 空に、二つの光が―――」
皆、リアと神子達のやり取りを微笑ましく見ていたが空に昇っていく二つの光が目に入り空を見ると、
「あ―― 白龍と、黒龍・・・?」
そこには白龍と黒龍の姿があった
「二人の神子、そして名もなき8人の勇士と神子の力を受け継ぎし者よ」
「感謝する。汝等は禍つ神を倒し龍脈を正した」
「・・・なんと、まさか、龍脈を乱す元凶が消滅した事で―― 白龍と黒龍は一つの龍、応龍へと戻ろうとしているのか?」
白龍と黒龍の言葉を聞きその意味を九段は直ぐに理解した
「ああ。我等が完全に力を取り戻せた暁には必ず。帝都の行く末は応龍と成った後の我等が見守ろう」
「龍神の加護が世に降りた? では、予言書の「龍神の裁き」も覆ったと言う事でしょうか? 素晴らしいですね」
「これで、帝都の人達も分かってくれるよね。邪神を呼んだのは梓さんじゃないって」
「そうね。・・・白龍と黒龍、さっきは私達に力を貸してくれて本当に有り難う」
コハクの言葉に頷いた後、リアは白龍と黒龍を見てそう言った
「神子の祈りに答えるのも我等の務め。そしてそれは其方にも言える事だ、歴代の神子の血を引き継ぐ者よ」
「え? 歴代の神子の血を引き継ぐ者って・・・」
「それはまさか・・・」
「リアの事だろうね」
「!」
ダリウスの言葉に皆驚いてリアを見ると、リアは優しく微笑んでみんなの方を向く
「・・・色々と黙っていてごめんなさい。でも、私もこの事は里に戻って調べるまで知らなかったんです」
この数日、リアは急用が出来たと言って一族の隠れ里に戻っていた
勿論、作戦決行日の前日に戻って来る事を約束して里に帰っていた
そしてリアが里に戻って調べた事は自分達の力の事や一族の血筋だった
その量はとても数日だけで調べられるものではなかったが、身内の協力もありリアが知りたかった事を知る事が出来た
「私の一族は昔から人とは違った力を持っていたんです。勿論この事を里以外で知っているのは鬼の一族だけでした。お互い里同士の人が結婚したりしていたので、人とは違う変わった力があってもそれは遺伝だって私も思っていたし、里のみんなもそう思っています。・・・けど、今回の事で自分の力について疑問に思う事が沢山あって里に帰って調べてみたんです。そして、私の家系だけは他の人達とは違った。・・・私の家系は歴代の神子の血と力を引いていたんです」
つまりリアが使えている治癒の力も、そして梓が四神の結界を解いている時にその光景が見えた事なども全て神子の血と力を引き継いでいたからだったようだ
近年はそんなにその力を濃く引き継いだ者はいなかったそうだが、リアは霊力も高く術や戦闘にも優れていた
その事はルードもダリウスも出逢った時から思っていた事だったし、梓も虎もコハクも一緒に怨霊退治や強兵達と戦った時、そして先程までの戦いを通して感じていた事だったし、有馬達もリアの戦闘力の高さに驚いていたのは事実だった
「だが、高塚や駒野は楓月の事を理解して共に戦っていたように思えたが」
「おそらく龍神の力を共に使った事でリアの力を理解したのではないか?」
「はい」
九段が言っている事、それは凌雲閣の地下で梓と千代が浄化をした時、そしてその後にリアから発せられた治癒の力だった
あれはリアの力であったが違うものも感じていて、ダリウスとルードも普段のリアの治癒の力とは違うと感じ、その力の正体を梓も千代もあの時に分かったのだった
「あの時リアさんの力を感じて、私も千代もリアさんが白龍の神子の力と同じ力を持っているって分かったんです」
「だから駒野は楓月の側に居たと言う事か」
「ええ。浄化の力を宿しているリアさんの側に居れば弱っている体に負担はなくなる。白龍も黒龍も私達にリアさんの力の事を教えてくれたわ」
「では、最後のあの攻撃はリアくんが持っている白龍の神子の力を宿して駒野くんと梓くん共に攻撃して邪神を倒したと言う事ですか?」
その言葉にリアも梓も千代も頷き、皆驚きながらも納得していた
出逢った頃から他の人達とは何処か違う不思議と人を惹き付ける魅力的な人物だとは思っていたがそれは自分達が想像していたよりも遙かに違うものであり、特別な存在であると言う事を目の前にいる少女達を見て8人の男達はそう思っていた
「・・・神子、そして歴代の神子の血を引き継ぎし者と名もなき8人の勇士よ」
白龍に呼ばれ皆一斉に白龍と黒龍が居る空を再び見る
「終焉は免れた。ただ人の世は人が動かすもの。この平穏が恒久のものとなるかは人の手にかかっている」
「・・・当然の帰結だな。帝国軍は罪を犯した。課題はまだ山積みだ」
「まずはそこから世直しが必要だね」
「ああ、時間をかけてでも人の手で変えていくべきだ」
邪神との戦いは終わった、だが、本当の意味で平和で平穏な帝都を取り戻すのはこれからだ
「二人の神子よ。汝等神子の役目も終わった。汝等の存在を留め――」
「―― 汝等の未来を照らそう。いずれの世界であろうと汝等の思うように生きるが良い。汝等の選択により運命が上書きされたとしても・・・黒龍の神子の存在は確固として有り続け輝き続けるだろう」
「私の存在?」
「・・・? どう言う事かしら?」
「ええと、詳しい事は解らないけど・・・掻い摘まんで考えると・・・元の世界に帰るにしろこの世界に留まるにしろ自由って事?」
「翌々考えるが良い。決断は急がぬ」
「・・・おそらく、そう解釈して良さそうですね」
黒龍の言っている梓の存在と言う事に皆疑問を持つが、その意味を考えると先程梓が言った事で解釈しても良いと判断した後、虎は梓を見て言う
「で、此処に残るも帰るも自由ならお前はどうするんだ?」
「・・・うーん、急いで決断しなくて良いんだったらそれは勿論 ―― もう暫くみんなと一緒にいるよ。帝都が輝きを取り戻すまで見守っていたい ―― 私の大好きな人達の住む、大切な世界を」
梓は笑顔でそう言い、皆嬉しそうに微笑んでいた
42.大好きな人達と共に
それから時は過ぎ帝都は前より変わり始めていた
まず、強兵計画の実態が暴かれた事で帝国軍の上層部は責任追放され、国の組織を立て直しが行われ始めた
「おや、リアくん、こんにちは」
「あ、有馬さん、片霧さん、こんにちは。巡回中ですか」
「ああ」
街を歩いていると聞き慣れた声が聞こえ前を見ると有馬と秋兵がいてリアも歩みを止めた
有馬達は精鋭分隊を新たに自衛団と言う名の防衛組織に組み替えていた
帝都に怨霊や憑闇は消えたが、あの時の戦いでの街の被害や影響はあるので有馬達は今まで通り巡回をしては修繕をしたり人々の助けをやっていたのだった
「リアくんは買い物をしていたんですか」
「はい。店の買い出しです」
「そう言えば再開したと言っていたな」
リアも今までと変わらずミルクホールで働きながらダリウス達と共に邸に住んでいて、今日も店で働いていた
あの事件でミルクホールの近隣も大騒ぎになっていたので一時的に休みになっていたが数日前からまた店を開いていたのだった
「なら僕も今度有馬と共に伺いますよ」
「本当ですか」
「ええ。また優美で魅力的なリアくんに接客して貰えるんですから」
「・・・秋兵」
「有馬隊殿~」
その直後、彼等の後ろから走って来た人物は有馬と秋兵の部下である友部だった
「あ、楓月さん、こんにちは、お久し振りです」
「友部さん、こんにちは。お久し振りです」
お互い挨拶をしてリアは微笑んでいた
友部もあの事件の時に憑闇となっていたが、禍津迦具土神が消滅した事でその影響を受けなくなり友部や憑闇になっていた人達も皆元に戻っていたのだった
「それで友部、どうかしたのか」
「あ、はい。先程修繕を頼まれていた所が終わりましたので報告に参りました」
「そうか。では次の巡回地区に向かうとしよう」
「了解しました」
「では楓月、我々はこれで失礼する」
「はい、皆さんも頑張って下さい」
「ありがとう御座います!」
「今度はミルクホウルでゆっくりと話しましょう」
「はい」
言うと皆微笑み、有馬達は歩いて行き、リアもミルクホールへと向かって歩き出した
「こんにちは」
「あら、リアちゃんいらっしゃい」
仕事帰り、リアはハイカラヤに立ち寄っていた
「ん? ああ、楓月か」
「こんにちは、マスター、村雨さん」
「あら、リアさん」
「おお、リアではないか」
「こんにちは、リアさん」
ハイカラヤに入りマスターと珈琲を煎れている最中だった村雨に挨拶をしていると聞き慣れた声が聞こえカウンターの近くの席を見ると梓と千代と九段がいた
「千代ちゃん、九段さん、梓ちゃん、こんにちは。皆さんも着てたんですね」
「うん、村雨さんの珈琲が飲みたくて」
「私も」
「なら、一つ追加だな。少し待っていろ」
「はい」
村雨は梓達の珈琲を運んで来て今度はリアの珈琲を淹れる為に席を離れる
村雨達「結実なき花」はあの事件後、無罪放免となり今は自由の身になったが、国の立て直しを聞き、結実党と言う新たな政党を結成するつもりらしい
勿論その代表は村雨で、ダリウスもこの改革に一枚噛んでいてこれから黒幕として帝都の政治を動かしていくつもりらしいが村雨は今まで通り小説家や情報屋としての仕事も出来る限りは続けるそうだ
「そう言えば、今日は軍の夜会がある日でしたよね」
「ああ。陸軍会館で行う事になっている」
先日、このハイカラヤでコハクと秋兵の提案で祝勝会が行われ、その時に梓は元の世界に帰る事を決めているが、その日程はまだ未定と言っていて今まで通り、千代と九段と共に軍邸で生活をしていた
「私、そう言った事に慣れてないから少し緊張しちゃって・・・」
「私も。前に夜会に出たけどまた緊張しちゃうかも・・・」
軍もこの帝都を救った二人の神子に感謝するべく夜会を開く事になっていて梓と千代、そして有馬や秋兵、九段も参加する事になっていた
「そう固くならんで堂々としてりゃ良いんじゃないか。主役はお宅等なんだからな」
村雨はリアの珈琲と自分の珈琲を持って来て梓と千代にそう言って空いている席に座る
「そうよ、梓ちゃんも千代ちゃんも思いっきり楽しんで来なきゃ勿体ないわよ」
「村雨さんとマスターの言う通りよ。それに前の夜会とは雰囲気も全然違うだろうからね」
村雨とマスターの言葉にリアも同意し、以前軍で開かれた夜会の事を思い出しながら言う
あの時と今回の夜会は雰囲気が違う事はリアも感じていたのでそう言って二人にいつもの優しい笑みを向けた
「そうだぞ、軍の夜会と言っても今回は我や有馬や秋兵が主に働いたからな」
有馬や秋兵、九段のお陰で今回の夜会は今までとは少し違った夜会になるようでそれを聞き梓も千代も安心した表情を浮かべた
「なら、安心して参加出来そうね」
「うん」
「あ、そうだ。うちの店、再開したからまたいつでも来てね」
「え、本当」
「ええ。さっき有馬さんと片霧さんと会った時にも話してたのよ」
「おお、そうか。なら是非行かねばな」
「九段一人だけで行ったらずっと居座りそうね」
以前ミルクホールに来た時にお菓子と本に夢中でずっと目をキラキラさせてその場に居た事を思い出し千代が呆れたように言うと梓もリアもその時の事を思い出して笑っていた
「じゃあ私もそろそろ帰りますね」
「また来て頂戴ね」
「気を付けて帰れよ」
「はい」
「・・・ん?」
「どうかしましたか?」
あれから暫くして梓達は軍邸に戻りリアも邸に戻ろうとしお金を払って店を出ようとしていると見送りに来てくれた村雨が何かを思っている顔をしていた
「いや、軍の夜会が今日なら・・・あっちも今日だったな」
「・・・?」
「ま、頑張れよ」
「・・・? はい・・・」
村雨は何か納得した後、優しい笑みをリアに向けそう言いリアはそれに疑問を持ちながら返事を返し蠱惑の森へと向かって歩き出した
そして・・・、
「リア、おかえり」
「ダリウスさん、どうしたんですか?」
蠱惑の森の中を歩いていると少し先の所にダリウスがいた
「リアを迎えに着たんだよ」
言うとダリウスはリアの手を取り空間移動でリアの部屋の前に着いた
「ありがとう御座います」
迎えに着てくれた事と部屋の前まで送ってくれた事に感謝してお礼を言うとダリウスはいつもの優しい笑みを向けてくれた
「ああ、そうだ、以前夜会に参加した時のドレスは持っているかい?」
「はい、ありますよ」
「ならそのドレスに着替えて階下に降りて来てもらえるかな」
「え? あの、もしかして私も軍主催の夜会に参加するんですか・・?」
今の言葉を聞き先程まで梓達とハイカラヤで軍主催の夜会の話をしていた事を思い出しそう言うとダリウスは小さく笑った
「いや、違うよ。まあそこは後でのお楽しみ、かな。じゃあまた後でね」
「はい・・・」
いつもの優しい笑みでそう言われ疑問を持ちつつも部屋に入ってドレスに着替えた
「・・・これで大丈夫、かな? ・・・良し」
鏡の前でおかしな所がないか確認してリアは部屋を出た
「それにしてもどうしてドレスに着替えて階下に着て、って言ったんだろう・・?」
未だにその事は疑問に思っていただが、その疑問は直ぐに解決されると同時に驚きに変わってしまう
「ようそこ、祝勝会の会場へ!」
「え?」
階段を降り終えた所でそう声が聞こえ顔を上げるとダリウス、ルード、虎、コハクが居たが、いつもの彼等とは少し違っていた
「え? 祝勝会・・? それに、どうして皆さん給仕服を着ているんですか・・・?」
先程コハクが言った言葉は先日ハイカラヤで行われた祝勝会の時に言った言葉だった
そして、その時にダリウス達や有馬達もハイカラヤの給仕服を着ていたが今彼等が着ている給仕服はまた違ったものだったのだ
「ふふ、驚いたかな。実はリアに内緒で君の為に行う祝勝会を開こうと言う事になってね。それでさっき俺がリアを迎えに行ったんだよ」
確かに祝勝会をこの邸で開くとなれば準備している所を見られて台無しになってしまう
だから空間移動出来るダリウスがリアを迎えに行きリアを驚かせる事が出来たのだった
因みに、ダリウス達が着ている給仕服は今日の為にルードが仕立てたらしい
「うん、やっぱりそのドレスはリアに良く似合っているね」
「あ、ありがとう、御座います・・・」
祝勝会、そして彼等の格好を見て驚いているといつのも優しい笑みでそう言われダリウスはリアの手を取った
「姫のエスコートは俺が担当だよ。行こうか、リア」
「はい」
そう言われリアも微笑んで返事を返し、ダリウスにエスコートして貰いながら歩き、ソファに座った
「リアさん、グラスをどうぞ」
「ありがとう、ルードくん」
ソファに座るとルードがグラスを渡してくれてそのまま受け取ると皆グラスを持った
テーブルの上にはリアの好きなものが沢山並んでいた
「・・・これ、もしかしてルードくんが・・?」
「はーい、褒めて褒めて、おれもいつも以上にたっくさん手伝ったんだよ!」
「コハクのお陰で準備も早く済みました。ありがとう御座います」
「そっか。ありがとうルードくん、コハクくん」
「飲み物はオレが準備してやったんだぜ。酒でも何でも好きなだけ飲めや」
「ま、政虎さん、私、まだお酒飲めない歳ですから・・・ι」
「んな細けえ事気にすんな」
「ふふっ、では、そろそろ始めようか」
「はい。・・皆さん本当にお疲れ様でした! ・・乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
ダリウスの言葉に頷きリアは立ち上がってグラスを掲げて乾杯の音頭を取り乾杯をした
それから楽しい祝勝会が始まり、みんなと話していた
「にしても、お前本当にそのドレス似合ってるよな」
「そうですか? ありがとう御座います」
虎がリアのドレス姿を見てそう言い、リアもこのドレスは気に入っていたので虎にもそう言って貰えて素直に喜んでいた
「へっ、無邪気な顔しやがって。だがその格好だと、食ってくれって言ってるようなもんだよなぁ」
「え? 政虎さん!///」
言うと虎はそのままリアを自分の方に引き寄せ腰に腕を回し身動きが取れないようにした
「前から甘 そうだと思ってたが、また一段と甘そうになりがやったな」
「あ、あの・・・」
「リアがオレの女になるってんなら、毎日今以上に可愛がってやるよ」
「・・・っ、政虎さん―― ///」
あの優しい笑みでそう言われリアも顔が赤くなっていくのが分かった
「駄目です! 退きなさい、虎」
「そうだよ、はい、離れて!」
それを見てリアを引き寄せていた虎の腕をルードが剥がし、コハクは間に入って引き剥がした
「餓鬼共め、なんだこら」
「だって、おれの方がリアさんの事好きだもの」
「そうです、私だってリアさんを―― ・・・っ!」
邪魔された事に虎はコハクとルードを見てそう言うもコハクは当然と言うように言い放ち、それにつられてルードもそう言ったが、直ぐに修正する
「今のはコハクにつられただけで・・・ごほん、いえ・・・その、リアさんは昔からの知り合いで付き合いも長く、仲間としてもとても大切な人で、心を寄せていると言うのは、間違いがなく、ですから・・・」
「―― おれ達、リアさんが大好きだよ。リアさんはおれの大切な聖母様だしね」
「・・・私にとってもリアさんはとても、大切な人ですから・・・///」
「っ、ルードくん、コハクくん・・・///」
「ふふっ、そうやって照れている顔も本当に可愛いね。そんな君だから俺も君に惹かれているんだよ。それに、リアと出逢った頃から、――リアが俺の運命の人だって今でも思っているよ」
「ダリウス・・さん・・・///」
次々に言われる甘い言葉を聞きリアは顔が赤くなっていて、心臓の音も大きくなっていた
「あの・・、皆さん・・どうしちゃったんですか・・・?」
普段の彼等ならこんな事を言わない・・・
否、戯れで言う時もあるが今はその戯れすら感じなくてリアは戸惑っていた
「つまり、俺達みんな、リアの事が好きだと言う事だよ」
「っ///」
ダリウスの言葉に同意するようにコハクとルードと虎も笑い、そんな彼等を見てリアは顔が赤くなっていた
だが、それでも彼等の言葉と気持ちが嬉しく感じていてそれを噛みしめながらリアは微笑んだ
そして、
「私も、皆さんの事が大好きですよ ――」
と、いつも以上に嬉しそうな笑顔を見せてそう言った
帝都の問題はまだまだ山積み、それでも自分達に出来る事は梓ちゃんや有馬さんや村雨さん、そしてダリウスさん達と協力してもっと良い帝都にしていきたい
それでも今も、そして、これからも、この大切な場所で大好きな人達と共に過ごしていけたら良いな
これからも、ずっと ――――
完
あとがき
ついに蠱惑の森大団円ルート完結しました!
禍津迦具土神との対決も終わり白龍と黒龍が出てきて、ずっとみんなが気になっていたリアちゃんの力の秘密についてもやっと明かされましたね!
謎と言えば最後の黒龍の台詞もだけど、此処は流石に一番のネタバレになるから言わないよw
今回最後と言う事でゲーム本編の大団円ルートで出てきた皆様をちゃんと全員登場させ、あの戦いの後どう過ごしているかも書きたかったのでそこも書けたので満足していますし、何より蠱惑の森の皆さんの台詞が甘いww
此処はゲーム本編の台詞を入れつつ色々と加えたりしてああなりました
虎とのやり取りに割って入ってるルードくんとコハク、そしてその後の虎の台詞が好きすぎて何回も見て台詞聞いて笑ってます←w
でも蠱惑の森の皆さんといつまでもこのほのぼのとしたファミリー感を加えつつ甘い感じもあり今後も過ごして欲しいですね!w
と言う事で、蠱惑の森大団円ルートは今回で終了となります
最後まで読んでくれた皆様、本当にありがとう御座いました!
引き続き、ルート別であるダリウスルート、ルードルートと長短編も共に読んで頂ければ幸いです!
長くなりましたが、此処までお付き合いして頂き有り難う御座いました!
2015.08.12
そして禍津迦具土神は悲鳴に似た声を上げ禍津迦具土神の体は霧のように霞んでいき、帝都全体を覆うようにあった瘴気も消えていき、空は徐々にいつもの青さに戻った
「っ・・・」
「「! リアさん!」」
それを見るとリアは体の力が抜けそのまま倒れそうになったが直ぐに梓と千代が支えた
「ありがとう、梓ちゃん、千代ちゃん」
「ううん、私達の方こそありがとう。リアさんが居たお陰で禍津迦具土神と戦えたんだよ」
「私も今まではこんな風に戦う事は出来なかった。けど、最後はみんなと一緒に戦えたのもリアさんのお陰だもの。それに、白龍が力を取り戻していくのも感じてる」
そう言う千代の顔色は今まで以上に良いもので、それを見てリアも梓も安堵していた
きっとそれは気が清浄になったからなんだろうとリアは思っていた
「・・・なんだ? 空に、二つの光が―――」
皆、リアと神子達のやり取りを微笑ましく見ていたが空に昇っていく二つの光が目に入り空を見ると、
「あ―― 白龍と、黒龍・・・?」
そこには白龍と黒龍の姿があった
「二人の神子、そして名もなき8人の勇士と神子の力を受け継ぎし者よ」
「感謝する。汝等は禍つ神を倒し龍脈を正した」
「・・・なんと、まさか、龍脈を乱す元凶が消滅した事で―― 白龍と黒龍は一つの龍、応龍へと戻ろうとしているのか?」
白龍と黒龍の言葉を聞きその意味を九段は直ぐに理解した
「ああ。我等が完全に力を取り戻せた暁には必ず。帝都の行く末は応龍と成った後の我等が見守ろう」
「龍神の加護が世に降りた? では、予言書の「龍神の裁き」も覆ったと言う事でしょうか? 素晴らしいですね」
「これで、帝都の人達も分かってくれるよね。邪神を呼んだのは梓さんじゃないって」
「そうね。・・・白龍と黒龍、さっきは私達に力を貸してくれて本当に有り難う」
コハクの言葉に頷いた後、リアは白龍と黒龍を見てそう言った
「神子の祈りに答えるのも我等の務め。そしてそれは其方にも言える事だ、歴代の神子の血を引き継ぐ者よ」
「え? 歴代の神子の血を引き継ぐ者って・・・」
「それはまさか・・・」
「リアの事だろうね」
「!」
ダリウスの言葉に皆驚いてリアを見ると、リアは優しく微笑んでみんなの方を向く
「・・・色々と黙っていてごめんなさい。でも、私もこの事は里に戻って調べるまで知らなかったんです」
この数日、リアは急用が出来たと言って一族の隠れ里に戻っていた
勿論、作戦決行日の前日に戻って来る事を約束して里に帰っていた
そしてリアが里に戻って調べた事は自分達の力の事や一族の血筋だった
その量はとても数日だけで調べられるものではなかったが、身内の協力もありリアが知りたかった事を知る事が出来た
「私の一族は昔から人とは違った力を持っていたんです。勿論この事を里以外で知っているのは鬼の一族だけでした。お互い里同士の人が結婚したりしていたので、人とは違う変わった力があってもそれは遺伝だって私も思っていたし、里のみんなもそう思っています。・・・けど、今回の事で自分の力について疑問に思う事が沢山あって里に帰って調べてみたんです。そして、私の家系だけは他の人達とは違った。・・・私の家系は歴代の神子の血と力を引いていたんです」
つまりリアが使えている治癒の力も、そして梓が四神の結界を解いている時にその光景が見えた事なども全て神子の血と力を引き継いでいたからだったようだ
近年はそんなにその力を濃く引き継いだ者はいなかったそうだが、リアは霊力も高く術や戦闘にも優れていた
その事はルードもダリウスも出逢った時から思っていた事だったし、梓も虎もコハクも一緒に怨霊退治や強兵達と戦った時、そして先程までの戦いを通して感じていた事だったし、有馬達もリアの戦闘力の高さに驚いていたのは事実だった
「だが、高塚や駒野は楓月の事を理解して共に戦っていたように思えたが」
「おそらく龍神の力を共に使った事でリアの力を理解したのではないか?」
「はい」
九段が言っている事、それは凌雲閣の地下で梓と千代が浄化をした時、そしてその後にリアから発せられた治癒の力だった
あれはリアの力であったが違うものも感じていて、ダリウスとルードも普段のリアの治癒の力とは違うと感じ、その力の正体を梓も千代もあの時に分かったのだった
「あの時リアさんの力を感じて、私も千代もリアさんが白龍の神子の力と同じ力を持っているって分かったんです」
「だから駒野は楓月の側に居たと言う事か」
「ええ。浄化の力を宿しているリアさんの側に居れば弱っている体に負担はなくなる。白龍も黒龍も私達にリアさんの力の事を教えてくれたわ」
「では、最後のあの攻撃はリアくんが持っている白龍の神子の力を宿して駒野くんと梓くん共に攻撃して邪神を倒したと言う事ですか?」
その言葉にリアも梓も千代も頷き、皆驚きながらも納得していた
出逢った頃から他の人達とは何処か違う不思議と人を惹き付ける魅力的な人物だとは思っていたがそれは自分達が想像していたよりも遙かに違うものであり、特別な存在であると言う事を目の前にいる少女達を見て8人の男達はそう思っていた
「・・・神子、そして歴代の神子の血を引き継ぎし者と名もなき8人の勇士よ」
白龍に呼ばれ皆一斉に白龍と黒龍が居る空を再び見る
「終焉は免れた。ただ人の世は人が動かすもの。この平穏が恒久のものとなるかは人の手にかかっている」
「・・・当然の帰結だな。帝国軍は罪を犯した。課題はまだ山積みだ」
「まずはそこから世直しが必要だね」
「ああ、時間をかけてでも人の手で変えていくべきだ」
邪神との戦いは終わった、だが、本当の意味で平和で平穏な帝都を取り戻すのはこれからだ
「二人の神子よ。汝等神子の役目も終わった。汝等の存在を留め――」
「―― 汝等の未来を照らそう。いずれの世界であろうと汝等の思うように生きるが良い。汝等の選択により運命が上書きされたとしても・・・黒龍の神子の存在は確固として有り続け輝き続けるだろう」
「私の存在?」
「・・・? どう言う事かしら?」
「ええと、詳しい事は解らないけど・・・掻い摘まんで考えると・・・元の世界に帰るにしろこの世界に留まるにしろ自由って事?」
「翌々考えるが良い。決断は急がぬ」
「・・・おそらく、そう解釈して良さそうですね」
黒龍の言っている梓の存在と言う事に皆疑問を持つが、その意味を考えると先程梓が言った事で解釈しても良いと判断した後、虎は梓を見て言う
「で、此処に残るも帰るも自由ならお前はどうするんだ?」
「・・・うーん、急いで決断しなくて良いんだったらそれは勿論 ―― もう暫くみんなと一緒にいるよ。帝都が輝きを取り戻すまで見守っていたい ―― 私の大好きな人達の住む、大切な世界を」
梓は笑顔でそう言い、皆嬉しそうに微笑んでいた
42.大好きな人達と共に
それから時は過ぎ帝都は前より変わり始めていた
まず、強兵計画の実態が暴かれた事で帝国軍の上層部は責任追放され、国の組織を立て直しが行われ始めた
「おや、リアくん、こんにちは」
「あ、有馬さん、片霧さん、こんにちは。巡回中ですか」
「ああ」
街を歩いていると聞き慣れた声が聞こえ前を見ると有馬と秋兵がいてリアも歩みを止めた
有馬達は精鋭分隊を新たに自衛団と言う名の防衛組織に組み替えていた
帝都に怨霊や憑闇は消えたが、あの時の戦いでの街の被害や影響はあるので有馬達は今まで通り巡回をしては修繕をしたり人々の助けをやっていたのだった
「リアくんは買い物をしていたんですか」
「はい。店の買い出しです」
「そう言えば再開したと言っていたな」
リアも今までと変わらずミルクホールで働きながらダリウス達と共に邸に住んでいて、今日も店で働いていた
あの事件でミルクホールの近隣も大騒ぎになっていたので一時的に休みになっていたが数日前からまた店を開いていたのだった
「なら僕も今度有馬と共に伺いますよ」
「本当ですか」
「ええ。また優美で魅力的なリアくんに接客して貰えるんですから」
「・・・秋兵」
「有馬隊殿~」
その直後、彼等の後ろから走って来た人物は有馬と秋兵の部下である友部だった
「あ、楓月さん、こんにちは、お久し振りです」
「友部さん、こんにちは。お久し振りです」
お互い挨拶をしてリアは微笑んでいた
友部もあの事件の時に憑闇となっていたが、禍津迦具土神が消滅した事でその影響を受けなくなり友部や憑闇になっていた人達も皆元に戻っていたのだった
「それで友部、どうかしたのか」
「あ、はい。先程修繕を頼まれていた所が終わりましたので報告に参りました」
「そうか。では次の巡回地区に向かうとしよう」
「了解しました」
「では楓月、我々はこれで失礼する」
「はい、皆さんも頑張って下さい」
「ありがとう御座います!」
「今度はミルクホウルでゆっくりと話しましょう」
「はい」
言うと皆微笑み、有馬達は歩いて行き、リアもミルクホールへと向かって歩き出した
「こんにちは」
「あら、リアちゃんいらっしゃい」
仕事帰り、リアはハイカラヤに立ち寄っていた
「ん? ああ、楓月か」
「こんにちは、マスター、村雨さん」
「あら、リアさん」
「おお、リアではないか」
「こんにちは、リアさん」
ハイカラヤに入りマスターと珈琲を煎れている最中だった村雨に挨拶をしていると聞き慣れた声が聞こえカウンターの近くの席を見ると梓と千代と九段がいた
「千代ちゃん、九段さん、梓ちゃん、こんにちは。皆さんも着てたんですね」
「うん、村雨さんの珈琲が飲みたくて」
「私も」
「なら、一つ追加だな。少し待っていろ」
「はい」
村雨は梓達の珈琲を運んで来て今度はリアの珈琲を淹れる為に席を離れる
村雨達「結実なき花」はあの事件後、無罪放免となり今は自由の身になったが、国の立て直しを聞き、結実党と言う新たな政党を結成するつもりらしい
勿論その代表は村雨で、ダリウスもこの改革に一枚噛んでいてこれから黒幕として帝都の政治を動かしていくつもりらしいが村雨は今まで通り小説家や情報屋としての仕事も出来る限りは続けるそうだ
「そう言えば、今日は軍の夜会がある日でしたよね」
「ああ。陸軍会館で行う事になっている」
先日、このハイカラヤでコハクと秋兵の提案で祝勝会が行われ、その時に梓は元の世界に帰る事を決めているが、その日程はまだ未定と言っていて今まで通り、千代と九段と共に軍邸で生活をしていた
「私、そう言った事に慣れてないから少し緊張しちゃって・・・」
「私も。前に夜会に出たけどまた緊張しちゃうかも・・・」
軍もこの帝都を救った二人の神子に感謝するべく夜会を開く事になっていて梓と千代、そして有馬や秋兵、九段も参加する事になっていた
「そう固くならんで堂々としてりゃ良いんじゃないか。主役はお宅等なんだからな」
村雨はリアの珈琲と自分の珈琲を持って来て梓と千代にそう言って空いている席に座る
「そうよ、梓ちゃんも千代ちゃんも思いっきり楽しんで来なきゃ勿体ないわよ」
「村雨さんとマスターの言う通りよ。それに前の夜会とは雰囲気も全然違うだろうからね」
村雨とマスターの言葉にリアも同意し、以前軍で開かれた夜会の事を思い出しながら言う
あの時と今回の夜会は雰囲気が違う事はリアも感じていたのでそう言って二人にいつもの優しい笑みを向けた
「そうだぞ、軍の夜会と言っても今回は我や有馬や秋兵が主に働いたからな」
有馬や秋兵、九段のお陰で今回の夜会は今までとは少し違った夜会になるようでそれを聞き梓も千代も安心した表情を浮かべた
「なら、安心して参加出来そうね」
「うん」
「あ、そうだ。うちの店、再開したからまたいつでも来てね」
「え、本当」
「ええ。さっき有馬さんと片霧さんと会った時にも話してたのよ」
「おお、そうか。なら是非行かねばな」
「九段一人だけで行ったらずっと居座りそうね」
以前ミルクホールに来た時にお菓子と本に夢中でずっと目をキラキラさせてその場に居た事を思い出し千代が呆れたように言うと梓もリアもその時の事を思い出して笑っていた
「じゃあ私もそろそろ帰りますね」
「また来て頂戴ね」
「気を付けて帰れよ」
「はい」
「・・・ん?」
「どうかしましたか?」
あれから暫くして梓達は軍邸に戻りリアも邸に戻ろうとしお金を払って店を出ようとしていると見送りに来てくれた村雨が何かを思っている顔をしていた
「いや、軍の夜会が今日なら・・・あっちも今日だったな」
「・・・?」
「ま、頑張れよ」
「・・・? はい・・・」
村雨は何か納得した後、優しい笑みをリアに向けそう言いリアはそれに疑問を持ちながら返事を返し蠱惑の森へと向かって歩き出した
そして・・・、
「リア、おかえり」
「ダリウスさん、どうしたんですか?」
蠱惑の森の中を歩いていると少し先の所にダリウスがいた
「リアを迎えに着たんだよ」
言うとダリウスはリアの手を取り空間移動でリアの部屋の前に着いた
「ありがとう御座います」
迎えに着てくれた事と部屋の前まで送ってくれた事に感謝してお礼を言うとダリウスはいつもの優しい笑みを向けてくれた
「ああ、そうだ、以前夜会に参加した時のドレスは持っているかい?」
「はい、ありますよ」
「ならそのドレスに着替えて階下に降りて来てもらえるかな」
「え? あの、もしかして私も軍主催の夜会に参加するんですか・・?」
今の言葉を聞き先程まで梓達とハイカラヤで軍主催の夜会の話をしていた事を思い出しそう言うとダリウスは小さく笑った
「いや、違うよ。まあそこは後でのお楽しみ、かな。じゃあまた後でね」
「はい・・・」
いつもの優しい笑みでそう言われ疑問を持ちつつも部屋に入ってドレスに着替えた
「・・・これで大丈夫、かな? ・・・良し」
鏡の前でおかしな所がないか確認してリアは部屋を出た
「それにしてもどうしてドレスに着替えて階下に着て、って言ったんだろう・・?」
未だにその事は疑問に思っていただが、その疑問は直ぐに解決されると同時に驚きに変わってしまう
「ようそこ、祝勝会の会場へ!」
「え?」
階段を降り終えた所でそう声が聞こえ顔を上げるとダリウス、ルード、虎、コハクが居たが、いつもの彼等とは少し違っていた
「え? 祝勝会・・? それに、どうして皆さん給仕服を着ているんですか・・・?」
先程コハクが言った言葉は先日ハイカラヤで行われた祝勝会の時に言った言葉だった
そして、その時にダリウス達や有馬達もハイカラヤの給仕服を着ていたが今彼等が着ている給仕服はまた違ったものだったのだ
「ふふ、驚いたかな。実はリアに内緒で君の為に行う祝勝会を開こうと言う事になってね。それでさっき俺がリアを迎えに行ったんだよ」
確かに祝勝会をこの邸で開くとなれば準備している所を見られて台無しになってしまう
だから空間移動出来るダリウスがリアを迎えに行きリアを驚かせる事が出来たのだった
因みに、ダリウス達が着ている給仕服は今日の為にルードが仕立てたらしい
「うん、やっぱりそのドレスはリアに良く似合っているね」
「あ、ありがとう、御座います・・・」
祝勝会、そして彼等の格好を見て驚いているといつのも優しい笑みでそう言われダリウスはリアの手を取った
「姫のエスコートは俺が担当だよ。行こうか、リア」
「はい」
そう言われリアも微笑んで返事を返し、ダリウスにエスコートして貰いながら歩き、ソファに座った
「リアさん、グラスをどうぞ」
「ありがとう、ルードくん」
ソファに座るとルードがグラスを渡してくれてそのまま受け取ると皆グラスを持った
テーブルの上にはリアの好きなものが沢山並んでいた
「・・・これ、もしかしてルードくんが・・?」
「はーい、褒めて褒めて、おれもいつも以上にたっくさん手伝ったんだよ!」
「コハクのお陰で準備も早く済みました。ありがとう御座います」
「そっか。ありがとうルードくん、コハクくん」
「飲み物はオレが準備してやったんだぜ。酒でも何でも好きなだけ飲めや」
「ま、政虎さん、私、まだお酒飲めない歳ですから・・・ι」
「んな細けえ事気にすんな」
「ふふっ、では、そろそろ始めようか」
「はい。・・皆さん本当にお疲れ様でした! ・・乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
ダリウスの言葉に頷きリアは立ち上がってグラスを掲げて乾杯の音頭を取り乾杯をした
それから楽しい祝勝会が始まり、みんなと話していた
「にしても、お前本当にそのドレス似合ってるよな」
「そうですか? ありがとう御座います」
虎がリアのドレス姿を見てそう言い、リアもこのドレスは気に入っていたので虎にもそう言って貰えて素直に喜んでいた
「へっ、無邪気な顔しやがって。だがその格好だと、食ってくれって言ってるようなもんだよなぁ」
「え? 政虎さん!///」
言うと虎はそのままリアを自分の方に引き寄せ腰に腕を回し身動きが取れないようにした
「前から
「あ、あの・・・」
「リアがオレの女になるってんなら、毎日今以上に可愛がってやるよ」
「・・・っ、政虎さん―― ///」
あの優しい笑みでそう言われリアも顔が赤くなっていくのが分かった
「駄目です! 退きなさい、虎」
「そうだよ、はい、離れて!」
それを見てリアを引き寄せていた虎の腕をルードが剥がし、コハクは間に入って引き剥がした
「餓鬼共め、なんだこら」
「だって、おれの方がリアさんの事好きだもの」
「そうです、私だってリアさんを―― ・・・っ!」
邪魔された事に虎はコハクとルードを見てそう言うもコハクは当然と言うように言い放ち、それにつられてルードもそう言ったが、直ぐに修正する
「今のはコハクにつられただけで・・・ごほん、いえ・・・その、リアさんは昔からの知り合いで付き合いも長く、仲間としてもとても大切な人で、心を寄せていると言うのは、間違いがなく、ですから・・・」
「―― おれ達、リアさんが大好きだよ。リアさんはおれの大切な聖母様だしね」
「・・・私にとってもリアさんはとても、大切な人ですから・・・///」
「っ、ルードくん、コハクくん・・・///」
「ふふっ、そうやって照れている顔も本当に可愛いね。そんな君だから俺も君に惹かれているんだよ。それに、リアと出逢った頃から、――リアが俺の運命の人だって今でも思っているよ」
「ダリウス・・さん・・・///」
次々に言われる甘い言葉を聞きリアは顔が赤くなっていて、心臓の音も大きくなっていた
「あの・・、皆さん・・どうしちゃったんですか・・・?」
普段の彼等ならこんな事を言わない・・・
否、戯れで言う時もあるが今はその戯れすら感じなくてリアは戸惑っていた
「つまり、俺達みんな、リアの事が好きだと言う事だよ」
「っ///」
ダリウスの言葉に同意するようにコハクとルードと虎も笑い、そんな彼等を見てリアは顔が赤くなっていた
だが、それでも彼等の言葉と気持ちが嬉しく感じていてそれを噛みしめながらリアは微笑んだ
そして、
「私も、皆さんの事が大好きですよ ――」
と、いつも以上に嬉しそうな笑顔を見せてそう言った
帝都の問題はまだまだ山積み、それでも自分達に出来る事は梓ちゃんや有馬さんや村雨さん、そしてダリウスさん達と協力してもっと良い帝都にしていきたい
それでも今も、そして、これからも、この大切な場所で大好きな人達と共に過ごしていけたら良いな
これからも、ずっと ――――
完
あとがき
ついに蠱惑の森大団円ルート完結しました!
禍津迦具土神との対決も終わり白龍と黒龍が出てきて、ずっとみんなが気になっていたリアちゃんの力の秘密についてもやっと明かされましたね!
謎と言えば最後の黒龍の台詞もだけど、此処は流石に一番のネタバレになるから言わないよw
今回最後と言う事でゲーム本編の大団円ルートで出てきた皆様をちゃんと全員登場させ、あの戦いの後どう過ごしているかも書きたかったのでそこも書けたので満足していますし、何より蠱惑の森の皆さんの台詞が甘いww
此処はゲーム本編の台詞を入れつつ色々と加えたりしてああなりました
虎とのやり取りに割って入ってるルードくんとコハク、そしてその後の虎の台詞が好きすぎて何回も見て台詞聞いて笑ってます←w
でも蠱惑の森の皆さんといつまでもこのほのぼのとしたファミリー感を加えつつ甘い感じもあり今後も過ごして欲しいですね!w
と言う事で、蠱惑の森大団円ルートは今回で終了となります
最後まで読んでくれた皆様、本当にありがとう御座いました!
引き続き、ルート別であるダリウスルート、ルードルートと長短編も共に読んで頂ければ幸いです!
長くなりましたが、此処までお付き合いして頂き有り難う御座いました!
2015.08.12
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