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皆さん、こんにちは
黒龍の神子の高塚 梓です
えっと、今回は冒頭だけを私が担当します
今回のお話は本編なんですけど、ちょっと毛色が違うと言うか・・・ι
そう言う事なので、まずは先に注意事項を伝えておきます
このお話は遙かなる時空の中で6 トレジャーBOXに入っているドラマCD 「華麗ナル献立 」の蠱惑の森テイストを元にリアさんをプラスしたお話となっています
本編のストーリー状ではシリアスがメインになっていますが、このお話はか・な・り・ギャグなお話なので予めご了承下さい・・・
・・・因みに、管理人から「長くなったので、久々の前後編でーす!」ってメッセージが着てます・・・
ふう、私の担当は此処までかな・・・
でも、私がいない間にこんな大変な事が起きてたんだ・・・ι
リアさん・・、本当に色々と大変なんだね・・・ι
・・じゃ、じゃあ、みんなは楽しんで読んでいってね!
私は有馬さん達と怨霊退治に行かなきゃいけないから
それじゃあ!
言うと梓はそのまま何処かへ行ってしまいましたw
*
「ルードくん、おはよう」
「おはよう御座います、リアさん。今朝も早いですね」
朝、いつも通り起きて身支度を済ませ階下に下りるとルードと会い挨拶をする
「今日の朝食はどうする?」
「先程庭で良い野菜が採れましたので、新鮮さを活かそうと思っています」
食事は殆どルードとリアが作っているので二人のこの会話は日課だった
「そっか。じゃあ・・」
だが、会話はそこで途絶えてしまった
そしてルードとリアの歩みも厨房の入り口で止まってしまう
「~~~♪」
そこにいたのは、上機嫌のダリウスだった
そこまでは良かった
だが・・・
(・・・な、なんで、ダリウスさんが料理してるのーー!?!?!?)
それは隣に居たルードも同じ事を思っていたのか、リアと同様その姿を見た途端言葉を無くし目の前の光景に目を疑っていた
31.蠱惑の森の華麗ナル献立 (前編)
「ふああああ~っ」
「あれ、政虎さんが時間通り起きて来るなんて珍しいね」
大きな欠伸をしながら居間へとやってきた虎を見て既に居間に居たコハクが声を掛ける
「今朝は食欲が眠気に勝ったんだよ。起きたら、布団食ってた」
「あはははっ。でも、おれもお腹空いちゃった。朝ご飯まだかなあ。ちょっと覗いてみようよ」
言うとコハクと虎は食堂に入り厨房の方へ向かって行く
「ん? 厨房の入り口に居るのって・・・おはよ、ルードくん、リアさん」
「何んなとこで突っ立ってんだ。とっとと飯作れ・・・っ!!」
「うわっ!?」
だが、虎とコハクも厨房を見て驚いてしまう
「やあ、みんな。良い朝だねえ」
リア達がいる事に気が付いたダリウスはいつもの優しい笑みを向けてくれる
否、それ以上に今日は爽やかな笑顔を向けていた
だが、ダリウスの前には得体の知れないものが沢山あり、鍋からは物凄い音が聞こえていた
「・・・・・・。おい、こら、ルード、リア、なんで、ダリウスが、料理してんだ」
「私が聞きたいです・・・」
「・・・同じく・・」
「たまには良いだろう。・・おっと、吹き溢れてしまう」
言うとダリウスは鍋の方を向き、つられてリア達も目を向け、鍋から吹き溢れそうになっている何かを見てしまう
「・・・あ、あぁ・・、鍋から・・何か、・・生まれてる・・あんな泡立ち方可笑しいです・・・」
「・・・・ι あれ、・・食材・・だよ、ねι」
「元は、・・だろ・・・」
流石のルードもリアもその光景を見て顔を引き攣らせながらそう言ってしまう
「それにあんなんまだマシだろう・・・。見ろ・・・そこ大鉢の中・・・」
「ひいっ! 土留め色の、粘土みたいなのが入ってる・・・」
コハクもそれを見て思わず悲鳴を上げてしまった
「もう少ししたら、誰かに味見してもらおうかな」
「「「「え!?」」」」
そのダリウスの一言に皆一斉驚いてしまう
「うーん・・・・ルード、それにコハク」
「「は、はい!」」
「よっしっ! 免れたかっ!!」
ダリウスの言葉にルードとコハクはビクリと肩を振るわせ姿勢を正し、虎はガッツポーズをしていて、リアも少しだけほっと胸を撫で下ろしていた
「料理の完成までには暫く掛かる。ルードとコハクはその間に買い物を頼まれてくれないか。洋梨が欲しくてね。確か砂糖漬けを売っている店があったはずだ」
「洋梨・・・? ・・・! まさか・・・ダリウス様・・・」
「ルードくん・・・?」
その言葉に何かを思った顔をするルードを見てリアは少しだけ疑問に思った
「デザートにするとか?」
「いや、すり潰して・・・ご飯に塗そうと思って」
「・・・・独創的すぎだよ・・・。おい、ダリウス、買い物ならオレが行ってやる!」
「え! 政虎さん!?」
「政虎さん、逃げる気だ!」
虎の申し出にすぐにツッコミを入れるコハク、だが、虎の申し出はすぐになくなってしまう
「いや、虎は、味見役として残ってくれないかな。君はいつでもお腹を空かせているから、食べさせ害がある」
「・・・・・・・・」
「あ、唸ってる」
「・・・・では、ダリウス様、行って参ります」
「ああ、よろしく頼むよ」
「・・お情けに感謝致します。っ・・・!」
「え、ル、ルードくん!?」
「情け?」
「え、ルードくん、ちょっと待って・・・」
普段とは違う様子のルードを見てリアは慌ててしまい、ダリウスはルードの言葉に疑問を抱き、コハクもルードの後を追おうとしたが、
「ん? 床に何か落ちてる・・・これって・・・」
メモのようなものが落ちているのを拾いコハクはそれを見る
「ああ、そうだ。リア」
「は、はい」
コハクの拾ったメモを見ていると急にダリウスに呼ばれリアも自然と姿勢を正した
「君もルードとコハクと一緒に行ってもらえないかな。確か以前あの店で洋梨を買っていたよね」
「はい・・・」
以前洋梨のタルトを作った時、その店で洋梨を買った事があった
「なら、一緒に行ってあげて。その方が効率も良いだろうしね」
「・・・・」
虎から凄く睨まれている
だが、此処に味見役として残るより買い物に行った方がまだマシだと思いリアはコハクと共にルードの後を追った(政虎さん、ごめんなさい!)
「街は朝から賑わってるなあ」
「ええ。本当に・・・」
「あの、ルードくん。凄く神妙な顔をしてるけど、大丈夫?」
あれから街に出て来たリアとルードとコハク
今はお使いに頼まれた洋梨を買う為に人並みの中を歩いてるのだが、ルードだけ元気がなく、そして神妙な面持ちだった
「ダリウス様のご慈悲に甘えて、つい邸を出て来てしまいましたが・・これで良かったんでしょうか・・」
「ダリウスさんの慈悲?」
「・・ルードくん、もしかして・・・洋梨の事気にしてるんじゃ・・?」
そこでルードの言っている意味が解ったのか、リアはそう言ってルードを見る
「え? どう言う事?」
「・・・洋梨、・・用がなし。用事はないけれど、外に出す・・と言うのが言外の意味です。ダリウス様は私達を味見役から解放して下さったんですよ」
「んーー? うーーん・・・深読みしすぎじゃないかな。だっておれ、見ちゃったし」
「何をです?」
「ダリウスさんが書いたメモ。厨房に落ちてたんだ。おれ達一人一人の名前と、好きな食べ物が書いてあって、そこから献立の案を考えてたみたいだよ。何度も試行錯誤した跡が残ってた」
「っ! ・・・では、ダリウス様は、私達を喜ばせようとして・・」
「そうだと思うよ。だってダリウスさん、いつも以上に嬉しそうな顔してたもの」
リアもそのメモを先程コハクと見ていたし、ダリウスが料理していた姿はいつもより楽しそうで嬉しそうな顔をしていたからだ
「・・・なんて事だ・・。私はなんて不実な心の持ち主でしょう。主の真心も汲まず、あろう事か逃げだそうだなんて! 自分が恥ずかしい!!」
「いや、あの料理なら無理もないって言うか・・」
「危うくダリウス様への恩を仇で返す所でした。感謝します、コハク、リアさん。―― 覚悟が決まりました。私は忠義の心を持ってあの方の手料理を食べきってみせましょう! 例え、この身がどうなろうともっ!」
「ル、ルードくん・・・。でも、そうだよね、ダリウスさんへの恩なら、おれにだってあるよ。ちゃんと洋梨買ってお邸に帰ろう!」
「はい!」
意気込む二人を見てリアは安堵した顔をして微笑んでいた
「・・・時にルードくん、リアさん、お邸に胃薬ってある・・・?」
「え・・・?」
コハクのその質問にリアは薬箱の中身を思い出す
「・・・確か、残り少なくなってた気がする・・・」
以前薬箱の中身を見た時は半分くらいだったが、いつの間にか減っていた事を思い出す
「リアさん、やっぱり胃薬買って帰ろう!!」
「ええ! それも、大量に!! 後は・・・」
そこからお使いの洋梨に加えて胃薬と必要な物を買って帰る事にした
その頃、邸では・・・
「良し、良い調子だ」
「・・・着々とゲテモノが増えてやがる・・・」
未だにダリウスの調理は進んでいて、得体の知れないもの増え、鍋からは相変わらず不思議な泡立ちと音がしていた
「・・・おい、ダリウス。こんなに色々作る必要あんのか」
虎は意を決してダリウスに聞いてみるといつもの優しい笑顔で答える
「出来るだけ豪華にしたいんだ。この料理は君達へのねぎらいだからね」
「ねぎらい?」
「みんなは、いつも良く働いてくれてる。だから、たまには俺がみんなの為に力を尽くそうと思って」
「ありがた迷惑だよっ!」
すかさず小声でツッコむ虎だが、ダリウスは聞こえていない様子で言葉を続ける
「料理の腕が今一つだって事は自覚しててね。だから、客観的な意見を取り入れたいんだ。虎、協力してくれるね。まずはこの揚げ物の味見を」
「あー、それより先にだな、まな板の上に南瓜があるじゃねえか。あれ、切り分けるんだろ? オレがやってやるよ!」
「珍しいね。君が自発的に働くなんて」
「命の危険に比べりゃあマシだよぉ!」
「?」
「いや、別に。何でも」
ダリウスの言葉を遮り虎はそう申し出て調理台の方へ移動し、南瓜を手に取る
「んー。にしても、・・・・こいつ、美味そうじゃねえか。せっかく綺麗に育ったのに、これから汚されて・・ズタズタになる訳だ。へっ・・・可哀想になあ」
「南瓜の話をしてるんだよね? 食べ物を汚したりしてはいけないよ、虎」
「お前だよ! お前が汚すんだよっ!! ったく」
相変わらず良いツッコみをする虎、それに対して自覚のないダリウス
だが、虎はそこで溜息を吐いて包丁を持ち南瓜をまな板の上に置いた
「包丁なんざ握った事ねえが、まあ、切りゃ良いわけだろ! ・・・、くたばりなっ!! ふんっ! 砕け散れ!」
「お見事、掛け声はどうかと思うけれど」
虎の勢いの良い包丁さばきを見てダリウスは褒めるが、その肝心の虎からは荒っぽい言葉しか出てきていなかった
「それくらいで良いよ、ご苦労様。じゃあ手が空いた所で、この酢の物の味見を・・」
「あーー、卵の箱も出してあるな。オレが割ってやるか! よっとっ!」
「ありがとう。さて、満を持して味見を」
だが、虎は一向に卵を割り続けている
「虎、卵ばかりそんなに使わないよ」
「ならっ、残った分は、オレが、卵焼きにするっ! むしろ、それだけを、食いたいっ!!」
卵を割りながら必死に言っている虎、未だに味見から逃れたい一心だった
「味見してくれたら、特別報酬を出すと言ってもかい?」
「あ・・?」
「味見した品数分、報酬を弾むよ?」
その言葉でつい、手が止まってしまう
「チッ・・・金と引き替えに・・胃を壊せってか・・?」
父親の件は解決したとは言え、守銭奴の虎がその話を断るはずがない
「望むところだ!」
「その潔さ、とても買ってるよ。じゃあ、これ、味見よろしく」
コトンと音を立てて調理台の上に皿が乗るが、やはり得体の知れないもので、次から次に皿が置かれていくのだった・・・
続く
あとがき
はい、今回は冒頭で梓ちゃんも言ってましたが、トレボに入っているドラマCDを某所で入手して聞きながら参照して書きましたw
ほんとこのドラマCDは蠱惑の森チーム爆笑でしかなかったわww
・・っと、ちょっと話が脱線したがw、ほんと今本編はシリアスーで物語も結構佳境に入ってるのにまさかな此処でギャグ着ちゃったよww
ほんと言うとドラマCD聞いてどうしても取り入れたかったんです・・・
だって、ゲーム本編ではこの辺りも蠱惑の森の皆さんとは恋愛面進めてる時以外絡まないからさ(^_^;)w
で、・・・ダリウスさん、貴方一体何を作ってらっしゃったんですか!?Σ(゜д゜
前に料理の話書いたけど、あっちの方がまだ可愛く感じるのは俺だけか・・?(^_^;)w
もう色々と吃驚だよねw
つか、と、虎は・・・ぶ、無事・・なの・・か・・・?(^_^;)
そして・・・みんな、りょ、料理・・た、食べる・・の、か・・・ι
その辺も含め次回に繋がります!
では、お楽しみに!ww
2015.07.04
黒龍の神子の高塚 梓です
えっと、今回は冒頭だけを私が担当します
今回のお話は本編なんですけど、ちょっと毛色が違うと言うか・・・ι
そう言う事なので、まずは先に注意事項を伝えておきます
このお話は遙かなる時空の中で6 トレジャーBOXに入っているドラマCD 「華麗ナル
本編のストーリー状ではシリアスがメインになっていますが、このお話はか・な・り・ギャグなお話なので予めご了承下さい・・・
・・・因みに、管理人から「長くなったので、久々の前後編でーす!」ってメッセージが着てます・・・
ふう、私の担当は此処までかな・・・
でも、私がいない間にこんな大変な事が起きてたんだ・・・ι
リアさん・・、本当に色々と大変なんだね・・・ι
・・じゃ、じゃあ、みんなは楽しんで読んでいってね!
私は有馬さん達と怨霊退治に行かなきゃいけないから
それじゃあ!
言うと梓はそのまま何処かへ行ってしまいましたw
*
「ルードくん、おはよう」
「おはよう御座います、リアさん。今朝も早いですね」
朝、いつも通り起きて身支度を済ませ階下に下りるとルードと会い挨拶をする
「今日の朝食はどうする?」
「先程庭で良い野菜が採れましたので、新鮮さを活かそうと思っています」
食事は殆どルードとリアが作っているので二人のこの会話は日課だった
「そっか。じゃあ・・」
だが、会話はそこで途絶えてしまった
そしてルードとリアの歩みも厨房の入り口で止まってしまう
「~~~♪」
そこにいたのは、上機嫌のダリウスだった
そこまでは良かった
だが・・・
(・・・な、なんで、ダリウスさんが料理してるのーー!?!?!?)
それは隣に居たルードも同じ事を思っていたのか、リアと同様その姿を見た途端言葉を無くし目の前の光景に目を疑っていた
31.蠱惑の森の華麗ナル
「ふああああ~っ」
「あれ、政虎さんが時間通り起きて来るなんて珍しいね」
大きな欠伸をしながら居間へとやってきた虎を見て既に居間に居たコハクが声を掛ける
「今朝は食欲が眠気に勝ったんだよ。起きたら、布団食ってた」
「あはははっ。でも、おれもお腹空いちゃった。朝ご飯まだかなあ。ちょっと覗いてみようよ」
言うとコハクと虎は食堂に入り厨房の方へ向かって行く
「ん? 厨房の入り口に居るのって・・・おはよ、ルードくん、リアさん」
「何んなとこで突っ立ってんだ。とっとと飯作れ・・・っ!!」
「うわっ!?」
だが、虎とコハクも厨房を見て驚いてしまう
「やあ、みんな。良い朝だねえ」
リア達がいる事に気が付いたダリウスはいつもの優しい笑みを向けてくれる
否、それ以上に今日は爽やかな笑顔を向けていた
だが、ダリウスの前には得体の知れないものが沢山あり、鍋からは物凄い音が聞こえていた
「・・・・・・。おい、こら、ルード、リア、なんで、ダリウスが、料理してんだ」
「私が聞きたいです・・・」
「・・・同じく・・」
「たまには良いだろう。・・おっと、吹き溢れてしまう」
言うとダリウスは鍋の方を向き、つられてリア達も目を向け、鍋から吹き溢れそうになっている何かを見てしまう
「・・・あ、あぁ・・、鍋から・・何か、・・生まれてる・・あんな泡立ち方可笑しいです・・・」
「・・・・ι あれ、・・食材・・だよ、ねι」
「元は、・・だろ・・・」
流石のルードもリアもその光景を見て顔を引き攣らせながらそう言ってしまう
「それにあんなんまだマシだろう・・・。見ろ・・・そこ大鉢の中・・・」
「ひいっ! 土留め色の、粘土みたいなのが入ってる・・・」
コハクもそれを見て思わず悲鳴を上げてしまった
「もう少ししたら、誰かに味見してもらおうかな」
「「「「え!?」」」」
そのダリウスの一言に皆一斉驚いてしまう
「うーん・・・・ルード、それにコハク」
「「は、はい!」」
「よっしっ! 免れたかっ!!」
ダリウスの言葉にルードとコハクはビクリと肩を振るわせ姿勢を正し、虎はガッツポーズをしていて、リアも少しだけほっと胸を撫で下ろしていた
「料理の完成までには暫く掛かる。ルードとコハクはその間に買い物を頼まれてくれないか。洋梨が欲しくてね。確か砂糖漬けを売っている店があったはずだ」
「洋梨・・・? ・・・! まさか・・・ダリウス様・・・」
「ルードくん・・・?」
その言葉に何かを思った顔をするルードを見てリアは少しだけ疑問に思った
「デザートにするとか?」
「いや、すり潰して・・・ご飯に塗そうと思って」
「・・・・独創的すぎだよ・・・。おい、ダリウス、買い物ならオレが行ってやる!」
「え! 政虎さん!?」
「政虎さん、逃げる気だ!」
虎の申し出にすぐにツッコミを入れるコハク、だが、虎の申し出はすぐになくなってしまう
「いや、虎は、味見役として残ってくれないかな。君はいつでもお腹を空かせているから、食べさせ害がある」
「・・・・・・・・」
「あ、唸ってる」
「・・・・では、ダリウス様、行って参ります」
「ああ、よろしく頼むよ」
「・・お情けに感謝致します。っ・・・!」
「え、ル、ルードくん!?」
「情け?」
「え、ルードくん、ちょっと待って・・・」
普段とは違う様子のルードを見てリアは慌ててしまい、ダリウスはルードの言葉に疑問を抱き、コハクもルードの後を追おうとしたが、
「ん? 床に何か落ちてる・・・これって・・・」
メモのようなものが落ちているのを拾いコハクはそれを見る
「ああ、そうだ。リア」
「は、はい」
コハクの拾ったメモを見ていると急にダリウスに呼ばれリアも自然と姿勢を正した
「君もルードとコハクと一緒に行ってもらえないかな。確か以前あの店で洋梨を買っていたよね」
「はい・・・」
以前洋梨のタルトを作った時、その店で洋梨を買った事があった
「なら、一緒に行ってあげて。その方が効率も良いだろうしね」
「・・・・」
虎から凄く睨まれている
だが、此処に味見役として残るより買い物に行った方がまだマシだと思いリアはコハクと共にルードの後を追った(政虎さん、ごめんなさい!)
「街は朝から賑わってるなあ」
「ええ。本当に・・・」
「あの、ルードくん。凄く神妙な顔をしてるけど、大丈夫?」
あれから街に出て来たリアとルードとコハク
今はお使いに頼まれた洋梨を買う為に人並みの中を歩いてるのだが、ルードだけ元気がなく、そして神妙な面持ちだった
「ダリウス様のご慈悲に甘えて、つい邸を出て来てしまいましたが・・これで良かったんでしょうか・・」
「ダリウスさんの慈悲?」
「・・ルードくん、もしかして・・・洋梨の事気にしてるんじゃ・・?」
そこでルードの言っている意味が解ったのか、リアはそう言ってルードを見る
「え? どう言う事?」
「・・・洋梨、・・用がなし。用事はないけれど、外に出す・・と言うのが言外の意味です。ダリウス様は私達を味見役から解放して下さったんですよ」
「んーー? うーーん・・・深読みしすぎじゃないかな。だっておれ、見ちゃったし」
「何をです?」
「ダリウスさんが書いたメモ。厨房に落ちてたんだ。おれ達一人一人の名前と、好きな食べ物が書いてあって、そこから献立の案を考えてたみたいだよ。何度も試行錯誤した跡が残ってた」
「っ! ・・・では、ダリウス様は、私達を喜ばせようとして・・」
「そうだと思うよ。だってダリウスさん、いつも以上に嬉しそうな顔してたもの」
リアもそのメモを先程コハクと見ていたし、ダリウスが料理していた姿はいつもより楽しそうで嬉しそうな顔をしていたからだ
「・・・なんて事だ・・。私はなんて不実な心の持ち主でしょう。主の真心も汲まず、あろう事か逃げだそうだなんて! 自分が恥ずかしい!!」
「いや、あの料理なら無理もないって言うか・・」
「危うくダリウス様への恩を仇で返す所でした。感謝します、コハク、リアさん。―― 覚悟が決まりました。私は忠義の心を持ってあの方の手料理を食べきってみせましょう! 例え、この身がどうなろうともっ!」
「ル、ルードくん・・・。でも、そうだよね、ダリウスさんへの恩なら、おれにだってあるよ。ちゃんと洋梨買ってお邸に帰ろう!」
「はい!」
意気込む二人を見てリアは安堵した顔をして微笑んでいた
「・・・時にルードくん、リアさん、お邸に胃薬ってある・・・?」
「え・・・?」
コハクのその質問にリアは薬箱の中身を思い出す
「・・・確か、残り少なくなってた気がする・・・」
以前薬箱の中身を見た時は半分くらいだったが、いつの間にか減っていた事を思い出す
「リアさん、やっぱり胃薬買って帰ろう!!」
「ええ! それも、大量に!! 後は・・・」
そこからお使いの洋梨に加えて胃薬と必要な物を買って帰る事にした
その頃、邸では・・・
「良し、良い調子だ」
「・・・着々とゲテモノが増えてやがる・・・」
未だにダリウスの調理は進んでいて、得体の知れないもの増え、鍋からは相変わらず不思議な泡立ちと音がしていた
「・・・おい、ダリウス。こんなに色々作る必要あんのか」
虎は意を決してダリウスに聞いてみるといつもの優しい笑顔で答える
「出来るだけ豪華にしたいんだ。この料理は君達へのねぎらいだからね」
「ねぎらい?」
「みんなは、いつも良く働いてくれてる。だから、たまには俺がみんなの為に力を尽くそうと思って」
「ありがた迷惑だよっ!」
すかさず小声でツッコむ虎だが、ダリウスは聞こえていない様子で言葉を続ける
「料理の腕が今一つだって事は自覚しててね。だから、客観的な意見を取り入れたいんだ。虎、協力してくれるね。まずはこの揚げ物の味見を」
「あー、それより先にだな、まな板の上に南瓜があるじゃねえか。あれ、切り分けるんだろ? オレがやってやるよ!」
「珍しいね。君が自発的に働くなんて」
「命の危険に比べりゃあマシだよぉ!」
「?」
「いや、別に。何でも」
ダリウスの言葉を遮り虎はそう申し出て調理台の方へ移動し、南瓜を手に取る
「んー。にしても、・・・・こいつ、美味そうじゃねえか。せっかく綺麗に育ったのに、これから汚されて・・ズタズタになる訳だ。へっ・・・可哀想になあ」
「南瓜の話をしてるんだよね? 食べ物を汚したりしてはいけないよ、虎」
「お前だよ! お前が汚すんだよっ!! ったく」
相変わらず良いツッコみをする虎、それに対して自覚のないダリウス
だが、虎はそこで溜息を吐いて包丁を持ち南瓜をまな板の上に置いた
「包丁なんざ握った事ねえが、まあ、切りゃ良いわけだろ! ・・・、くたばりなっ!! ふんっ! 砕け散れ!」
「お見事、掛け声はどうかと思うけれど」
虎の勢いの良い包丁さばきを見てダリウスは褒めるが、その肝心の虎からは荒っぽい言葉しか出てきていなかった
「それくらいで良いよ、ご苦労様。じゃあ手が空いた所で、この酢の物の味見を・・」
「あーー、卵の箱も出してあるな。オレが割ってやるか! よっとっ!」
「ありがとう。さて、満を持して味見を」
だが、虎は一向に卵を割り続けている
「虎、卵ばかりそんなに使わないよ」
「ならっ、残った分は、オレが、卵焼きにするっ! むしろ、それだけを、食いたいっ!!」
卵を割りながら必死に言っている虎、未だに味見から逃れたい一心だった
「味見してくれたら、特別報酬を出すと言ってもかい?」
「あ・・?」
「味見した品数分、報酬を弾むよ?」
その言葉でつい、手が止まってしまう
「チッ・・・金と引き替えに・・胃を壊せってか・・?」
父親の件は解決したとは言え、守銭奴の虎がその話を断るはずがない
「望むところだ!」
「その潔さ、とても買ってるよ。じゃあ、これ、味見よろしく」
コトンと音を立てて調理台の上に皿が乗るが、やはり得体の知れないもので、次から次に皿が置かれていくのだった・・・
続く
あとがき
はい、今回は冒頭で梓ちゃんも言ってましたが、トレボに入っているドラマCDを某所で入手して聞きながら参照して書きましたw
ほんとこのドラマCDは蠱惑の森チーム爆笑でしかなかったわww
・・っと、ちょっと話が脱線したがw、ほんと今本編はシリアスーで物語も結構佳境に入ってるのにまさかな此処でギャグ着ちゃったよww
ほんと言うとドラマCD聞いてどうしても取り入れたかったんです・・・
だって、ゲーム本編ではこの辺りも蠱惑の森の皆さんとは恋愛面進めてる時以外絡まないからさ(^_^;)w
で、・・・ダリウスさん、貴方一体何を作ってらっしゃったんですか!?Σ(゜д゜
前に料理の話書いたけど、あっちの方がまだ可愛く感じるのは俺だけか・・?(^_^;)w
もう色々と吃驚だよねw
つか、と、虎は・・・ぶ、無事・・なの・・か・・・?(^_^;)
そして・・・みんな、りょ、料理・・た、食べる・・の、か・・・ι
その辺も含め次回に繋がります!
では、お楽しみに!ww
2015.07.04