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友部に千代の見舞いの花であるダリアの花束を渡した後、リアは街の様子を見に来ていた
あの暴動が起きてから街の様子も少しだが変わっていた
「そっちは落ち着いたの?」
「ああ。ただ喧嘩した連中はお互いに会っても口を聞こうとしないけどな」
「強兵の力って凄かったんでしょ・・・」
「そうみたい・・・でも、あたしは正直怖いって思ったわ」
「軍が守ってくれるのは嬉しいが、このままで良いもんかねえ・・」
「しぃ! あんまり大きな声でそんな話するんじゃないよ」
街の彼方此方からはやはり帝国軍の力を不振がっていたり恐れている声が聞こえてくる
あの暴動の時に軍を味方した者、そして結実なき花の意見に味方した者同士も諍いになったようでそれが未だに解決していない所もあったようだ
街の修繕は有馬達精鋭分隊がいつものように見回りをした際に手伝っていたので問題はなさそうだったが、
「・・・・この状況が、一番厄介、ね・・・」
この人間の不安こそが、一番厄介なものであり驚異でもあった
30.優しき虎
暫く街を見て回った後、リアは気分転換をしようと思い御茶の水渓谷にやって来た
「んーっ・・、やっぱり此処は風が気持ちいいなあ」
「・・・おん」
「おん?」
リアが伸びをして歩いていると足下から犬のような鳴き声が聞こえた
「わっ!?」
途端、足に何かが引っかかり転びそうになるが、何かに受け止められたような気がして目を開ける
「・・・見事に引っかかりやがったな」
「政虎さん!?」
どうやらリアを転ばせたのは虎だった
「・・・えっと、何してるんですか?」
「見りゃ解るだろ。寝てんだよ」
「はい・・それは見れば解るんですけど・・・、なんで転ばせたんですか」
「面白そうだったから、つい、な」
悪戯を面白がる子供のように言う虎を見てリアは思わず脱力してしまう
ただ受け止めてくれた事には感謝しなきゃなと思っていると
「・・・その体制もなかなか良いな」
「え?」
「けど、女に襲われるより俺が襲う方が性に合ってるがな」
「っ!////」
そう言われ今の体制を見てリアは思い出す
虎が寝転がったまま受け止めてくれた
つまり、今リアは虎の上にいると言う事だった
それを思い出したのと虎の言葉で体を起こし少しだけ距離を取る
「ぷ・・っ、くくっ・・・」
だがリアの反応を見ると虎は吹き出して笑い出してしまう
「ま、政虎さん。そんなに笑わなくても///」
「お前ってほんと馬鹿正直だよな。くくっ」
未だに笑いが治まらない虎を見てリアは小さく息を吐いてある事を思い出して言う
「政虎さん、ダリウスさんから頼まれて村雨さんと四神について調べていたんじゃないんですか」
「やってるよ。今は休憩だ」
「はあ、そうですか・・・」
だらけてはいるが虎は仕事はきっちりと熟す事をリアも知っているのでそれ以上は何も言わなかった
「んで、リアは何してたんだ」
「私は街の様子を見て回ってました」
「見て来た所で何も変わってなかっただろ」
虎もこの数日街に出ていたのだから、街の状況は知っていた
「でも、思っていたより被害はなくて安心はしてます。・・・ただ、ずっとこの状況が続けば厄介になりかねないなとは思いました」
リアがずっと厄介と思っている事、それはコハクが記憶を取り戻した時に話してくれた事、そしてダリウス達と一緒に調べた事に対して関わってくる事だったからだ
「ま、それは一理あるかもな」
虎も何かを思ってそう言った
が、
「ふわあああ」
次に聞こえたのは虎の大きな欠伸だった
「・・・政虎さん、寝てないんですか?」
「寝付きが悪かったんだよ」
確かに虎がこうやって眠そうにしている姿を邸で何度も見ている
だが、何処かいつもと違う雰囲気を感じていた
「・・なんだよ」
リアの視線に気付いたのか虎はリアを見てそう言う
「いえ・・・何となくなんですけど、何処か遠くを見ているような目をしていたので・・」
「・・・・」
そう、その目は以前虎と一緒に調査に行った後に買い物をしようと思った先で転びそうになった子供を助けた時に見たあの時の目と同じだった
「・・・まあ、いい。リアには話してやるか」
「え?」
「ただし、これから話す事はダリウス達にも他の奴にも絶対に誰にも話すなよ」
「はい」
虎はリアを見て考えた後、体を起こしてリアを見て真剣な眼差しで良い、リアも同じように真剣な表情をして頷いた
「前にお前に話した例え話の事覚えてるか」
「はい・・・」
それは自分が子供の時に知らない間に親が殺され、それが事故と言う事になっていたら・・・と言うものだった
「オレの親父がそうだったんだよ」
「・・・え・・」
衝撃の言葉にリアは目を瞠ってしまう
「親父は、オレの誕生日の日に死にやがってな」
「!」
「「誕生日だから、たっぷり祝う」なんて薄ら寒い事言っといてその日は帰って来なかった。次の日、街に出て、親父を探したら火事現場に人集りが出来てて・・・「鬼が放火した」「あげく、自分一人で焼け死んだ」なんて話が聞こえてきた。新聞には、親父の死は放火した天罰だって書き立てられたらしい―― だがな、自分で放火しといて焼け死ぬとか、普通あえりえねえだろ。間違いねえ、親父は殺されたんだ。・・・「鬼」を隠れ蓑にしててめえだけ、のほほんと暮らしてるクソみてえな人間にな」
「っ・・・(だからあの時政虎さんは、私にあんな質問をしたんだ・・・)」
あの親子を見て子供だった頃の自分と自分を育ててくれた父親の姿が被ったのだ
そして虎がお金に拘っていた理由もこれで分かった
父親の死の真相を探る為、村雨ではなくもっと他の筋からの情報を手に入れる為の情報料を集める為だったのだ
その事を思っているから夢見が悪く寝付けないのだろうとも感じていた
「・・・だが、この間、親父の死因がはっきりした」
「え・・」
「火事場から子供を助けて死んだんだとさ」
「・・じゃあ、その火事は、その子供の不注意で、政虎さんのお父さんが助けに行ったって事ですか?」
「ま、強いて言えばそうだな。・・・最初から犯人なんていねえ。後先考えずに、火へ飛び込んだ親父自身の責任だな」
「・・・っ」
「確かに、親父はそう言う奴だった。目の前で火事が遭って、餓鬼の悲鳴が聞こえれば、すぐに助けに入る。オレとは似ても似つかねえお人好しで・・・残念な事に少々、抜けてやがったな。親父は、純血の鬼だ。空間移動を使って、うまくやってりゃ子供を救えただろうよ」
「・・・・」
それこそ子供を助けたと評されるべき事だ
だが、相手が「鬼」と解ればそれは別だ
それを解っていたからこそ、虎の父親も空間移動を使わなかったのでは、とリアは思った
「だが、結果はどうだ。餓鬼を助けたはいいが、自分は力尽きて、おっ死んで・・・。挙句に放火犯に仕立てられてりゃ世話はねえ・・・本当に、不幸なボンクラだ」
「政虎さん・・・」
「あんな阿呆でも、オレとしちゃ男手一つで養って貰った恩があったんでな。しょうがねえから生涯一度くらい親孝行してやろうとしたのに・・・これじゃ、どうしようもねえわ」
「・・・」
「親父が助けた餓鬼をオレが殺すってのは本末転倒だろ。かと言って親父を放火魔に仕立てた奴等を探し出して報復するか? 親父を身代わりにした軍の幹部に記事を手がけた新聞記者、鬼を憎む人間共・・・全員、ぶっ殺して回るのは流石に手に余る。・・結局、長年、金貯めたってのに仇討ちもできねえ・・・孝行は諦めるしかねえな」
「・・・そんな事、ないです」
「あ・・?」
ずっと話を聞いていたリアはそう言って顔を上げた
だが、その顔は今にも泣きそうな顔だった
「政虎さんは、お父さんの事が好きだったんですね」
「・・・そんなん、考えた事もねえ」
「好きじゃなかったら親孝行なんて出来ないし、お父さんの死因を必死で探そうなんて思いませんよ。それに、真実を見つけた事、それは十分親孝行になりますよ」
「・・・ハッ、今にも泣きそうな顔して頑張って笑顔作ってる奴に言われても説得力なんてねえよ。・・・だが、何でだろうな。今、親父の笑う顔が自然に想像出来たわ・・・確かに、親父だったらお前と同じような事言う気もするな」
「なら、きっと、政虎さんのお父さんは喜んでくれているって事ですよ」
「・・・かもな」
言うと虎はいつも以上に優しい笑みを浮かべリアも同じように笑っていた
「お前ってほんと変わった奴だな・・お人好しつーか」
そしてリアを自分の方に引き寄せ
「・・・だが、オレの行き場のねえ恨みつらみも簡単に溶かしやがった・・・ほんっと、すげー女だよ、お前は」
リアの頭に軽く手を置いてそう言った
そう言われるもいつも以上に優しい虎の表情を見てリアも少し驚きを隠せないでいたが、それでも虎がずっと抱えていたものを聞けてそれが解決した事にリアも喜びを覚えていた
「あー何かすっきりしたわ。つー事で、リア、膝貸せ」
「え? 何でですか?」
「何でって、お前の膝借りて寝るからに決まってるだろ」
「えっと、どうしてそこで膝枕・・なんですか・・って(既に膝の上に頭置いてるし・・)」
「1時間だけ寝る。後で起こせよ」
「え・・・って、・・もう寝ちゃった」
言うと虎は直ぐに寝てしまった
だが、その寝顔はいつも眠そうな時に見かける顔よりも穏やかなものだった
「・・・きっと、抱えていたものがなくなったからだよね」
言うとリアは優しく微笑んで自分の膝の上で寝ている虎の頭を撫でたのだった
おまけ
「・・・お宅等、こんなとこで何やってるんだ」
「っ、む、村雨さん!? いや、あの、これは・・・///」
「・・あんまり騒ぐと本条が起きるぞ」
「あ・・はい・・ι」
あれから暫くしてたまたま通り掛かった村雨に見られ慌てるリアだったが、村雨の言葉で静かになるのだった
続く
あとがき
はい、やっと虎の過去話が書けました!!
ね、前に言ってた伏線は此処に繋がるんですよ!ww
ただの体力馬鹿でも若干エロ・・担当でもないんだよ!ww←ヒドイww
ただ、梓がいないからヒーローって言葉が使えなかったからどう表現しようかかなり悩んで書きましたが、ちゃんと頼れる人であり、人情に熱い、そして親思いなんだ、ってのが伝わっていたら嬉しいです
そしておまけで誰か出したなーって思って村雨さんに出てもらいましたw
村雨さんなら一番安心だからねww←何がだww
さ、虎ともだいぶ距離が縮んだ事だし、次回はどうするかな・・・←だからいい加減決めろよww
2015.07.03
あの暴動が起きてから街の様子も少しだが変わっていた
「そっちは落ち着いたの?」
「ああ。ただ喧嘩した連中はお互いに会っても口を聞こうとしないけどな」
「強兵の力って凄かったんでしょ・・・」
「そうみたい・・・でも、あたしは正直怖いって思ったわ」
「軍が守ってくれるのは嬉しいが、このままで良いもんかねえ・・」
「しぃ! あんまり大きな声でそんな話するんじゃないよ」
街の彼方此方からはやはり帝国軍の力を不振がっていたり恐れている声が聞こえてくる
あの暴動の時に軍を味方した者、そして結実なき花の意見に味方した者同士も諍いになったようでそれが未だに解決していない所もあったようだ
街の修繕は有馬達精鋭分隊がいつものように見回りをした際に手伝っていたので問題はなさそうだったが、
「・・・・この状況が、一番厄介、ね・・・」
この人間の不安こそが、一番厄介なものであり驚異でもあった
30.優しき虎
暫く街を見て回った後、リアは気分転換をしようと思い御茶の水渓谷にやって来た
「んーっ・・、やっぱり此処は風が気持ちいいなあ」
「・・・おん」
「おん?」
リアが伸びをして歩いていると足下から犬のような鳴き声が聞こえた
「わっ!?」
途端、足に何かが引っかかり転びそうになるが、何かに受け止められたような気がして目を開ける
「・・・見事に引っかかりやがったな」
「政虎さん!?」
どうやらリアを転ばせたのは虎だった
「・・・えっと、何してるんですか?」
「見りゃ解るだろ。寝てんだよ」
「はい・・それは見れば解るんですけど・・・、なんで転ばせたんですか」
「面白そうだったから、つい、な」
悪戯を面白がる子供のように言う虎を見てリアは思わず脱力してしまう
ただ受け止めてくれた事には感謝しなきゃなと思っていると
「・・・その体制もなかなか良いな」
「え?」
「けど、女に襲われるより俺が襲う方が性に合ってるがな」
「っ!////」
そう言われ今の体制を見てリアは思い出す
虎が寝転がったまま受け止めてくれた
つまり、今リアは虎の上にいると言う事だった
それを思い出したのと虎の言葉で体を起こし少しだけ距離を取る
「ぷ・・っ、くくっ・・・」
だがリアの反応を見ると虎は吹き出して笑い出してしまう
「ま、政虎さん。そんなに笑わなくても///」
「お前ってほんと馬鹿正直だよな。くくっ」
未だに笑いが治まらない虎を見てリアは小さく息を吐いてある事を思い出して言う
「政虎さん、ダリウスさんから頼まれて村雨さんと四神について調べていたんじゃないんですか」
「やってるよ。今は休憩だ」
「はあ、そうですか・・・」
だらけてはいるが虎は仕事はきっちりと熟す事をリアも知っているのでそれ以上は何も言わなかった
「んで、リアは何してたんだ」
「私は街の様子を見て回ってました」
「見て来た所で何も変わってなかっただろ」
虎もこの数日街に出ていたのだから、街の状況は知っていた
「でも、思っていたより被害はなくて安心はしてます。・・・ただ、ずっとこの状況が続けば厄介になりかねないなとは思いました」
リアがずっと厄介と思っている事、それはコハクが記憶を取り戻した時に話してくれた事、そしてダリウス達と一緒に調べた事に対して関わってくる事だったからだ
「ま、それは一理あるかもな」
虎も何かを思ってそう言った
が、
「ふわあああ」
次に聞こえたのは虎の大きな欠伸だった
「・・・政虎さん、寝てないんですか?」
「寝付きが悪かったんだよ」
確かに虎がこうやって眠そうにしている姿を邸で何度も見ている
だが、何処かいつもと違う雰囲気を感じていた
「・・なんだよ」
リアの視線に気付いたのか虎はリアを見てそう言う
「いえ・・・何となくなんですけど、何処か遠くを見ているような目をしていたので・・」
「・・・・」
そう、その目は以前虎と一緒に調査に行った後に買い物をしようと思った先で転びそうになった子供を助けた時に見たあの時の目と同じだった
「・・・まあ、いい。リアには話してやるか」
「え?」
「ただし、これから話す事はダリウス達にも他の奴にも絶対に誰にも話すなよ」
「はい」
虎はリアを見て考えた後、体を起こしてリアを見て真剣な眼差しで良い、リアも同じように真剣な表情をして頷いた
「前にお前に話した例え話の事覚えてるか」
「はい・・・」
それは自分が子供の時に知らない間に親が殺され、それが事故と言う事になっていたら・・・と言うものだった
「オレの親父がそうだったんだよ」
「・・・え・・」
衝撃の言葉にリアは目を瞠ってしまう
「親父は、オレの誕生日の日に死にやがってな」
「!」
「「誕生日だから、たっぷり祝う」なんて薄ら寒い事言っといてその日は帰って来なかった。次の日、街に出て、親父を探したら火事現場に人集りが出来てて・・・「鬼が放火した」「あげく、自分一人で焼け死んだ」なんて話が聞こえてきた。新聞には、親父の死は放火した天罰だって書き立てられたらしい―― だがな、自分で放火しといて焼け死ぬとか、普通あえりえねえだろ。間違いねえ、親父は殺されたんだ。・・・「鬼」を隠れ蓑にしててめえだけ、のほほんと暮らしてるクソみてえな人間にな」
「っ・・・(だからあの時政虎さんは、私にあんな質問をしたんだ・・・)」
あの親子を見て子供だった頃の自分と自分を育ててくれた父親の姿が被ったのだ
そして虎がお金に拘っていた理由もこれで分かった
父親の死の真相を探る為、村雨ではなくもっと他の筋からの情報を手に入れる為の情報料を集める為だったのだ
その事を思っているから夢見が悪く寝付けないのだろうとも感じていた
「・・・だが、この間、親父の死因がはっきりした」
「え・・」
「火事場から子供を助けて死んだんだとさ」
「・・じゃあ、その火事は、その子供の不注意で、政虎さんのお父さんが助けに行ったって事ですか?」
「ま、強いて言えばそうだな。・・・最初から犯人なんていねえ。後先考えずに、火へ飛び込んだ親父自身の責任だな」
「・・・っ」
「確かに、親父はそう言う奴だった。目の前で火事が遭って、餓鬼の悲鳴が聞こえれば、すぐに助けに入る。オレとは似ても似つかねえお人好しで・・・残念な事に少々、抜けてやがったな。親父は、純血の鬼だ。空間移動を使って、うまくやってりゃ子供を救えただろうよ」
「・・・・」
それこそ子供を助けたと評されるべき事だ
だが、相手が「鬼」と解ればそれは別だ
それを解っていたからこそ、虎の父親も空間移動を使わなかったのでは、とリアは思った
「だが、結果はどうだ。餓鬼を助けたはいいが、自分は力尽きて、おっ死んで・・・。挙句に放火犯に仕立てられてりゃ世話はねえ・・・本当に、不幸なボンクラだ」
「政虎さん・・・」
「あんな阿呆でも、オレとしちゃ男手一つで養って貰った恩があったんでな。しょうがねえから生涯一度くらい親孝行してやろうとしたのに・・・これじゃ、どうしようもねえわ」
「・・・」
「親父が助けた餓鬼をオレが殺すってのは本末転倒だろ。かと言って親父を放火魔に仕立てた奴等を探し出して報復するか? 親父を身代わりにした軍の幹部に記事を手がけた新聞記者、鬼を憎む人間共・・・全員、ぶっ殺して回るのは流石に手に余る。・・結局、長年、金貯めたってのに仇討ちもできねえ・・・孝行は諦めるしかねえな」
「・・・そんな事、ないです」
「あ・・?」
ずっと話を聞いていたリアはそう言って顔を上げた
だが、その顔は今にも泣きそうな顔だった
「政虎さんは、お父さんの事が好きだったんですね」
「・・・そんなん、考えた事もねえ」
「好きじゃなかったら親孝行なんて出来ないし、お父さんの死因を必死で探そうなんて思いませんよ。それに、真実を見つけた事、それは十分親孝行になりますよ」
「・・・ハッ、今にも泣きそうな顔して頑張って笑顔作ってる奴に言われても説得力なんてねえよ。・・・だが、何でだろうな。今、親父の笑う顔が自然に想像出来たわ・・・確かに、親父だったらお前と同じような事言う気もするな」
「なら、きっと、政虎さんのお父さんは喜んでくれているって事ですよ」
「・・・かもな」
言うと虎はいつも以上に優しい笑みを浮かべリアも同じように笑っていた
「お前ってほんと変わった奴だな・・お人好しつーか」
そしてリアを自分の方に引き寄せ
「・・・だが、オレの行き場のねえ恨みつらみも簡単に溶かしやがった・・・ほんっと、すげー女だよ、お前は」
リアの頭に軽く手を置いてそう言った
そう言われるもいつも以上に優しい虎の表情を見てリアも少し驚きを隠せないでいたが、それでも虎がずっと抱えていたものを聞けてそれが解決した事にリアも喜びを覚えていた
「あー何かすっきりしたわ。つー事で、リア、膝貸せ」
「え? 何でですか?」
「何でって、お前の膝借りて寝るからに決まってるだろ」
「えっと、どうしてそこで膝枕・・なんですか・・って(既に膝の上に頭置いてるし・・)」
「1時間だけ寝る。後で起こせよ」
「え・・・って、・・もう寝ちゃった」
言うと虎は直ぐに寝てしまった
だが、その寝顔はいつも眠そうな時に見かける顔よりも穏やかなものだった
「・・・きっと、抱えていたものがなくなったからだよね」
言うとリアは優しく微笑んで自分の膝の上で寝ている虎の頭を撫でたのだった
おまけ
「・・・お宅等、こんなとこで何やってるんだ」
「っ、む、村雨さん!? いや、あの、これは・・・///」
「・・あんまり騒ぐと本条が起きるぞ」
「あ・・はい・・ι」
あれから暫くしてたまたま通り掛かった村雨に見られ慌てるリアだったが、村雨の言葉で静かになるのだった
続く
あとがき
はい、やっと虎の過去話が書けました!!
ね、前に言ってた伏線は此処に繋がるんですよ!ww
ただの体力馬鹿でも若干エロ・・担当でもないんだよ!ww←ヒドイww
ただ、梓がいないからヒーローって言葉が使えなかったからどう表現しようかかなり悩んで書きましたが、ちゃんと頼れる人であり、人情に熱い、そして親思いなんだ、ってのが伝わっていたら嬉しいです
そしておまけで誰か出したなーって思って村雨さんに出てもらいましたw
村雨さんなら一番安心だからねww←何がだww
さ、虎ともだいぶ距離が縮んだ事だし、次回はどうするかな・・・←だからいい加減決めろよww
2015.07.03