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コハクが完全に記憶を取り戻し、ダリウス達の計画を話した翌日の朝、リアは庭に出ていた
コハクが記憶を取り戻した事は良かったのだが、それはとても酷く辛いものだった
だが、そのお陰でこれから成すべき事は見えてきた
コハクにもダリウス達の計画をちゃんと話たが、コハクも色々とあり過ぎてまだ悩んでいる様子だった
直ぐに答えが出るとはダリウス達もリアも思っていなかったから時間を掛けても良いからコハクの気持ちが決まったら答えを聞かせて、と言って昨日は解散となった
そして、リアにはもう一つ心配している事と気になっている事があった
それは白龍の神子、千代の事だった
千代はあの暴動が遭ったあの日の夜、何者かに襲われ意識が戻らず麻布記念病院に入院している
だがそこには一般には秘密にされているが、あの暴動の時に怪我をした強兵達も収容されているようだった
今の所、彼等が暴走していると言う情報は入っていないが・・・注意しておく事には変わりは無い
「・・・・千代ちゃん」
未だに千代は意識を取り戻していないと聞き、リアも梓と同じように胸を痛めていた
千代の見舞いに行こうにも常に病室の前に帝国軍の一人が待機している上に、関係者以外立ち入り禁止となっていてリアは様子を見に行く事も出来ない
ダリウスに頼んで空間移動と言う手もあるが、誰かと鉢合わせてしまう可能性もあるのでそれは控えたかった
「・・・・。良し」
そこである事を思ったリアはそう言って邸の中へ入って行った
29.代償
「・・・着いた」
あの後リアは麻布記念病院に向かった
「此処で待っていれば誰かしら会えるはずだし・・・」
そう言ったリアの手にはダリアの花束があった
そのダリアはダリウスが邸の庭で育てているものだった
例え今自分が会えなくても此処に居れば、梓達に会って花を渡せるかもしれないと思い、事情を話したら良いよ、と言ってくれたので少しだけ摘んで持って来たのだった
「・・・」
「・・あの、どうかなさいましたか?」
「・・え?」
千代の心配をしていると急に声が聞こえ顔を上げると、帝国軍の軍服を着た男性がいた
「急に声を掛けてしまってすみません。少し辛そうな顔をしていたので・・・」
「大丈夫です・・・。えっと、」
「失礼しました。私は精鋭分隊隊員、友部 達夫と申します」
そう言われ、有馬と秋兵と一緒にいる所を見た事があるのを思い出した
「精鋭分隊・・・なら、この花束を白龍の神子様に渡して頂けませんか?」
「え・・?」
千代との面会は同じ神子である梓、そして星の一族の九段、精鋭分隊隊長の有馬と副隊長の秋兵と帝国軍人だけだった
勿論その中には連絡事項を伝えに行く精鋭分隊隊員も含まれていた
今この場に精鋭分隊隊員の友部がいると言う事は千代の元に訪れている誰かを呼びに来たのか連絡事項を伝えに来たと思ったリアは友部に花束を見せながらそう言った
「私、白龍の神子様と黒龍の神子様とは知り合いで・・・」
「神子様方のお知り合いの方だったんですね!」
「はい。でも、私はお見舞いに行く事が出来ないので私の代わりに渡して貰えませんか。お見舞いの花にしてはちょっと華やかすぎますけど」
最後の方は苦笑して言っていたが神子達と知り合いと聞き友部は嬉しそうな顔をしてリアから花束を受け取り任務を成し遂げますと言うような顔をして言う
「解りました。この見舞いの花は私が責任を持って白龍の神子様の元へお届けします」
「有り難う御座います。では、私はこれで失礼します」
言うとリアは会釈をしてその場を立ち去り、そのまま街の方へと向かって行った
そして、
「ところで友部、ぬしが手に持っているものは花束か?」
「ああ、そうでした。今し方、神子様方のお知り合いの方と下でお会いしまして、白龍の神子様の見舞いにと預かって参りました」
「神子達の知り合い?」
「・・・!」
梓は友部が見せたダリアの花束を見てそれが誰からの見舞いの花か解ったようだった
「友部さん、その人はまだ下にいるんですか?」
「いえ、私に預けた後そのまま街の方へ向かわれてしまいました」
「・・・そうですか」
梓も最近リアに会えていなかった
店に寄っても時間が合わないのか会えず終いだった
街の方に向かったと言う事は仕事なのだろうと思ったが梓もこれから参謀本部に用事がある為、日を改めてお礼を言おうと思った
「あれ、可笑しいな・・・この辺りだと思ったのに・・・」
「・・・・」
あれから梓と九段は参謀総長が二人を呼んでいると友部が知らせに来たので友部と共に参謀本部へとやって来たのだが・・・
「来賓室、出てこーい」
そう今梓達は参謀本部の中で迷子になっていたのだった
「・・・・。極度の方向音痴だ」
九段はそれを見て思わず溜息を吐いてしまった
「す、すみません・・・参謀本部なんて滅多に入らないものだから。大丈夫、予定より早く着いていますから。まだ時間はあります」
その根拠のない自信は一体何処から・・・と梓も九段も思ったが、確かに予定より早く着いていたのでこのまま上手く来賓室に辿り着けさえすれば遅れる心配もない
「ちょっと、あっちの方へ行ってみましょう」
だが、どうにもその言葉に不安しかないと思っていた梓と九段だった
暫く歩いていると微かにだが、何処からか話し声が聞こえてきた
「あっ・・・。ま、まずい・・・この向こうは会議室みたいです。そっと立ち去りましょ――」
先頭を歩いていた友部が会議室と書かれた部屋を見つけそう行って踵を返そうとしていた時だった
「では・・・栽培禁止の花を使っていると?」
「む、怪しげな話だな。なんだろう」
「・・・・」
「・・・(友部さんι)」
会議室らしき場所から聞こえて着た言葉に思わず足を止めた友部を見て九段も梓も呆れてしまった
だが、
「栽培禁止、とは大仰な」
次に聞こえた声の主、それは紛れもなく総長の声で九段も梓も足を止めてしまう
「古文書の警告を真に受けるなど時代錯誤も良いところだ。利用価値があるものは進んで改良し、活用すべきではないかね」
「もっともですな」
参謀総長の言葉に同意するように高官の一人がそう言う
「して・・・あちらにあるのがその『アダバナ』ですか?」
「―――・・・・」
『アダバナ』、その言葉に梓も九段も聞き覚えがあった
「特殊な火山灰の上でしか咲かないと聞き及びますが・・・」
それは結実なき花が参謀本部に送った怪文書について村雨に何か知らないか尋ねに行った時だった
その時に村雨が言っていた花、それが『アダバナ』だった
「確か、火山灰の方にも名前がありましたな。『カグツチ』とか言う・・・」
「―――・・・・? カグツチ・・・」
次に聞こえた言葉にも九段は疑問を持った
だが、梓達が聞いているとは知らず会議室からはまだ会話が聞こえてくる
「ああ、カグツチも、花と一緒にさる者に見本を運ばせた。あの鉢植えに入っている」
「どれ、もう少し近くで拝見を」
「件の火山は進入が困難な場所とか・・・よく・・・」
「その者は、アダバナの培養液が・・・・である事を・・・・」
「ああ・・・かくでの・・・増殖について・・・強兵を・・・」
彼等は場所を移動したのか段々と会話が聞こえなくなって着ていた
「んー・・・聞き取りづらくなってきたな」
梓は彼等の会話で聞こえて着た『強兵』と言う所に疑問を持っていると、バタンと音が聞こえ音の聞こえた方を見ると友部が足下近くにあった柱を蹴ってしまったようだった
「・・・! 誰かいるのか!」
その音で会議室の中にいる者達も気付く
「も、申し訳ありません! 私、精鋭分――」
「―― 真正面に名乗りを上げる者がおるか。逃げるぞ」
友部はいつものクセで名乗ってしまいそうになったが九段が友部の口を塞ぎ、そのまま友部を引き摺りながら梓と共に気配を消してその場を立ち去った
「・・・追っ手は来ないみたいですね。猫とでも思ってくれたかな」
「此処には猫はおるまいよ」
「―― 高塚?」
「有馬さん・・・」
あの場から逃げ切れた事に安堵していると聞き慣れた声が聞こえ前を見ると有馬が自分達の方へ向かって来ているのが見えた
「お前達、こんな所で何をしている。来賓室は一つ下だが?」
「えっ?」
有馬の言葉に友部は驚くも有馬はいつもの口調で変わらず友部に言う
「・・・友部、俺の帰隊後、隊長室へ。下がれ」
「・・・承知・・・。・・失礼致します」
有馬の言葉を聞くと友部は意気消沈した顔をしたが声だけははっきりとしていてそう言うと踵を返した
「・・・部下の非礼を詫びる」
「い・・・いえ」
「来賓室へ案内しよう。着いてこい」
言うと有馬は踵を返して歩き出し梓と九段もその後に続くが二人の面持ちは何かを考えているようだった
「はああ・・・また叱責かー・・・」
有馬達と別れた友部は人気がなくなった所に着くと、大きな溜息を吐いてがくりと肩を落とした
「不憫な事だ」
だが、突然聞こえた声に友部は驚いて顔を上げる
「っ! そ、総長閣下・・・!?」
「だが、有馬からの問責の前にこちらも尋ねたい事がある」
「は・・・はっ」
その言葉に姿勢を正すも、次の言葉で言葉に詰まってしまう
「先程、我々の会議に聞き耳を立てていたのは君か?」
「・・・っ」
「あの場に同席していた少将だが偶然にも、君が以前に在籍していた部隊の上官でね。「あの時の声は、君に違いない」と。そう言うのだが」
「・・・・・か、隠し立ては致しません。つい、興味が先に立ち・・・申し訳ありませんでした!」
これ以上隠し通すのは難しいと判断した友部は素直に白状し頭を下げた
「しかし、話の内容は殆ど聞いておらず――― アダバナとかカグツチとか強兵とか・・・それくらいで」
「フ・・・なるほど。―― 十分だ」
「・・・・・総長閣下・・・?」
その言葉に疑問を持ち友部はゆっくりと顔を上げる
「・・・最後に聞いておく。あの時、君と共にいた者は?」
「・・・・」
此処で梓や九段の名前を出す訳にはいかない
そう思った友部は
「おりません。私一人でした。また、私が耳にした事・・・誓って、誰にも話してはおりません」
そう答えた
だが、
「よろしい。では、その身一つに負ってもらおう ―――」
そう言い放った総長の目はいつも以上に恐ろしく感じた ――――
続く
あとがき
やっと友部さん登場したよ!!
かなり前に登場してたけどリアちゃんと絡むのは今回初だったし、最初の方以来全然出てなかったからさ(^_^;)w
でも、なにやら参謀本部の方では怪しげな会話が繰り広げられていましたね・・・
此処も今後ちょーーっと関わってくる所なので書きました
しかし、総長めっちゃ怪しいな、おい!!ww
つか、友部さんどうなったよ!?
そして、夢小説なのに全然恋愛進んでなーーーい!!!!ww← 一番重要ww
ま、でも、まだ続くから今後何とかなりますよ!ww
えーっと、次回はまたちょっとお当番回になると思います
そろそろあそこ書かないとだしね(^_^;)w
では、次回もお楽しみに~
2015.07.02
コハクが記憶を取り戻した事は良かったのだが、それはとても酷く辛いものだった
だが、そのお陰でこれから成すべき事は見えてきた
コハクにもダリウス達の計画をちゃんと話たが、コハクも色々とあり過ぎてまだ悩んでいる様子だった
直ぐに答えが出るとはダリウス達もリアも思っていなかったから時間を掛けても良いからコハクの気持ちが決まったら答えを聞かせて、と言って昨日は解散となった
そして、リアにはもう一つ心配している事と気になっている事があった
それは白龍の神子、千代の事だった
千代はあの暴動が遭ったあの日の夜、何者かに襲われ意識が戻らず麻布記念病院に入院している
だがそこには一般には秘密にされているが、あの暴動の時に怪我をした強兵達も収容されているようだった
今の所、彼等が暴走していると言う情報は入っていないが・・・注意しておく事には変わりは無い
「・・・・千代ちゃん」
未だに千代は意識を取り戻していないと聞き、リアも梓と同じように胸を痛めていた
千代の見舞いに行こうにも常に病室の前に帝国軍の一人が待機している上に、関係者以外立ち入り禁止となっていてリアは様子を見に行く事も出来ない
ダリウスに頼んで空間移動と言う手もあるが、誰かと鉢合わせてしまう可能性もあるのでそれは控えたかった
「・・・・。良し」
そこである事を思ったリアはそう言って邸の中へ入って行った
29.代償
「・・・着いた」
あの後リアは麻布記念病院に向かった
「此処で待っていれば誰かしら会えるはずだし・・・」
そう言ったリアの手にはダリアの花束があった
そのダリアはダリウスが邸の庭で育てているものだった
例え今自分が会えなくても此処に居れば、梓達に会って花を渡せるかもしれないと思い、事情を話したら良いよ、と言ってくれたので少しだけ摘んで持って来たのだった
「・・・」
「・・あの、どうかなさいましたか?」
「・・え?」
千代の心配をしていると急に声が聞こえ顔を上げると、帝国軍の軍服を着た男性がいた
「急に声を掛けてしまってすみません。少し辛そうな顔をしていたので・・・」
「大丈夫です・・・。えっと、」
「失礼しました。私は精鋭分隊隊員、友部 達夫と申します」
そう言われ、有馬と秋兵と一緒にいる所を見た事があるのを思い出した
「精鋭分隊・・・なら、この花束を白龍の神子様に渡して頂けませんか?」
「え・・?」
千代との面会は同じ神子である梓、そして星の一族の九段、精鋭分隊隊長の有馬と副隊長の秋兵と帝国軍人だけだった
勿論その中には連絡事項を伝えに行く精鋭分隊隊員も含まれていた
今この場に精鋭分隊隊員の友部がいると言う事は千代の元に訪れている誰かを呼びに来たのか連絡事項を伝えに来たと思ったリアは友部に花束を見せながらそう言った
「私、白龍の神子様と黒龍の神子様とは知り合いで・・・」
「神子様方のお知り合いの方だったんですね!」
「はい。でも、私はお見舞いに行く事が出来ないので私の代わりに渡して貰えませんか。お見舞いの花にしてはちょっと華やかすぎますけど」
最後の方は苦笑して言っていたが神子達と知り合いと聞き友部は嬉しそうな顔をしてリアから花束を受け取り任務を成し遂げますと言うような顔をして言う
「解りました。この見舞いの花は私が責任を持って白龍の神子様の元へお届けします」
「有り難う御座います。では、私はこれで失礼します」
言うとリアは会釈をしてその場を立ち去り、そのまま街の方へと向かって行った
そして、
「ところで友部、ぬしが手に持っているものは花束か?」
「ああ、そうでした。今し方、神子様方のお知り合いの方と下でお会いしまして、白龍の神子様の見舞いにと預かって参りました」
「神子達の知り合い?」
「・・・!」
梓は友部が見せたダリアの花束を見てそれが誰からの見舞いの花か解ったようだった
「友部さん、その人はまだ下にいるんですか?」
「いえ、私に預けた後そのまま街の方へ向かわれてしまいました」
「・・・そうですか」
梓も最近リアに会えていなかった
店に寄っても時間が合わないのか会えず終いだった
街の方に向かったと言う事は仕事なのだろうと思ったが梓もこれから参謀本部に用事がある為、日を改めてお礼を言おうと思った
「あれ、可笑しいな・・・この辺りだと思ったのに・・・」
「・・・・」
あれから梓と九段は参謀総長が二人を呼んでいると友部が知らせに来たので友部と共に参謀本部へとやって来たのだが・・・
「来賓室、出てこーい」
そう今梓達は参謀本部の中で迷子になっていたのだった
「・・・・。極度の方向音痴だ」
九段はそれを見て思わず溜息を吐いてしまった
「す、すみません・・・参謀本部なんて滅多に入らないものだから。大丈夫、予定より早く着いていますから。まだ時間はあります」
その根拠のない自信は一体何処から・・・と梓も九段も思ったが、確かに予定より早く着いていたのでこのまま上手く来賓室に辿り着けさえすれば遅れる心配もない
「ちょっと、あっちの方へ行ってみましょう」
だが、どうにもその言葉に不安しかないと思っていた梓と九段だった
暫く歩いていると微かにだが、何処からか話し声が聞こえてきた
「あっ・・・。ま、まずい・・・この向こうは会議室みたいです。そっと立ち去りましょ――」
先頭を歩いていた友部が会議室と書かれた部屋を見つけそう行って踵を返そうとしていた時だった
「では・・・栽培禁止の花を使っていると?」
「む、怪しげな話だな。なんだろう」
「・・・・」
「・・・(友部さんι)」
会議室らしき場所から聞こえて着た言葉に思わず足を止めた友部を見て九段も梓も呆れてしまった
だが、
「栽培禁止、とは大仰な」
次に聞こえた声の主、それは紛れもなく総長の声で九段も梓も足を止めてしまう
「古文書の警告を真に受けるなど時代錯誤も良いところだ。利用価値があるものは進んで改良し、活用すべきではないかね」
「もっともですな」
参謀総長の言葉に同意するように高官の一人がそう言う
「して・・・あちらにあるのがその『アダバナ』ですか?」
「―――・・・・」
『アダバナ』、その言葉に梓も九段も聞き覚えがあった
「特殊な火山灰の上でしか咲かないと聞き及びますが・・・」
それは結実なき花が参謀本部に送った怪文書について村雨に何か知らないか尋ねに行った時だった
その時に村雨が言っていた花、それが『アダバナ』だった
「確か、火山灰の方にも名前がありましたな。『カグツチ』とか言う・・・」
「―――・・・・? カグツチ・・・」
次に聞こえた言葉にも九段は疑問を持った
だが、梓達が聞いているとは知らず会議室からはまだ会話が聞こえてくる
「ああ、カグツチも、花と一緒にさる者に見本を運ばせた。あの鉢植えに入っている」
「どれ、もう少し近くで拝見を」
「件の火山は進入が困難な場所とか・・・よく・・・」
「その者は、アダバナの培養液が・・・・である事を・・・・」
「ああ・・・かくでの・・・増殖について・・・強兵を・・・」
彼等は場所を移動したのか段々と会話が聞こえなくなって着ていた
「んー・・・聞き取りづらくなってきたな」
梓は彼等の会話で聞こえて着た『強兵』と言う所に疑問を持っていると、バタンと音が聞こえ音の聞こえた方を見ると友部が足下近くにあった柱を蹴ってしまったようだった
「・・・! 誰かいるのか!」
その音で会議室の中にいる者達も気付く
「も、申し訳ありません! 私、精鋭分――」
「―― 真正面に名乗りを上げる者がおるか。逃げるぞ」
友部はいつものクセで名乗ってしまいそうになったが九段が友部の口を塞ぎ、そのまま友部を引き摺りながら梓と共に気配を消してその場を立ち去った
「・・・追っ手は来ないみたいですね。猫とでも思ってくれたかな」
「此処には猫はおるまいよ」
「―― 高塚?」
「有馬さん・・・」
あの場から逃げ切れた事に安堵していると聞き慣れた声が聞こえ前を見ると有馬が自分達の方へ向かって来ているのが見えた
「お前達、こんな所で何をしている。来賓室は一つ下だが?」
「えっ?」
有馬の言葉に友部は驚くも有馬はいつもの口調で変わらず友部に言う
「・・・友部、俺の帰隊後、隊長室へ。下がれ」
「・・・承知・・・。・・失礼致します」
有馬の言葉を聞くと友部は意気消沈した顔をしたが声だけははっきりとしていてそう言うと踵を返した
「・・・部下の非礼を詫びる」
「い・・・いえ」
「来賓室へ案内しよう。着いてこい」
言うと有馬は踵を返して歩き出し梓と九段もその後に続くが二人の面持ちは何かを考えているようだった
「はああ・・・また叱責かー・・・」
有馬達と別れた友部は人気がなくなった所に着くと、大きな溜息を吐いてがくりと肩を落とした
「不憫な事だ」
だが、突然聞こえた声に友部は驚いて顔を上げる
「っ! そ、総長閣下・・・!?」
「だが、有馬からの問責の前にこちらも尋ねたい事がある」
「は・・・はっ」
その言葉に姿勢を正すも、次の言葉で言葉に詰まってしまう
「先程、我々の会議に聞き耳を立てていたのは君か?」
「・・・っ」
「あの場に同席していた少将だが偶然にも、君が以前に在籍していた部隊の上官でね。「あの時の声は、君に違いない」と。そう言うのだが」
「・・・・・か、隠し立ては致しません。つい、興味が先に立ち・・・申し訳ありませんでした!」
これ以上隠し通すのは難しいと判断した友部は素直に白状し頭を下げた
「しかし、話の内容は殆ど聞いておらず――― アダバナとかカグツチとか強兵とか・・・それくらいで」
「フ・・・なるほど。―― 十分だ」
「・・・・・総長閣下・・・?」
その言葉に疑問を持ち友部はゆっくりと顔を上げる
「・・・最後に聞いておく。あの時、君と共にいた者は?」
「・・・・」
此処で梓や九段の名前を出す訳にはいかない
そう思った友部は
「おりません。私一人でした。また、私が耳にした事・・・誓って、誰にも話してはおりません」
そう答えた
だが、
「よろしい。では、その身一つに負ってもらおう ―――」
そう言い放った総長の目はいつも以上に恐ろしく感じた ――――
続く
あとがき
やっと友部さん登場したよ!!
かなり前に登場してたけどリアちゃんと絡むのは今回初だったし、最初の方以来全然出てなかったからさ(^_^;)w
でも、なにやら参謀本部の方では怪しげな会話が繰り広げられていましたね・・・
此処も今後ちょーーっと関わってくる所なので書きました
しかし、総長めっちゃ怪しいな、おい!!ww
つか、友部さんどうなったよ!?
そして、夢小説なのに全然恋愛進んでなーーーい!!!!ww← 一番重要ww
ま、でも、まだ続くから今後何とかなりますよ!ww
えーっと、次回はまたちょっとお当番回になると思います
そろそろあそこ書かないとだしね(^_^;)w
では、次回もお楽しみに~
2015.07.02