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参謀本部の前でデモンストレイションが行われ、梓達も駆け付けた
だが、そこで予想もしていなかった人物が現れる
このデモを起こした結実なき花を率いていたのは村雨だった
その群衆の中にはハイカラヤのマスターや店員や常連客の姿もあった
そして周りを囲む軍の動きを見た村雨は頃合いを見て武器を構えた ――
「村雨さん!?」
「合図だ! 皆、武器を!」
村雨の合図を見て群衆達はおお!!と声を上げ武器を掲げ、梓達も驚いて目を瞠ってしまう
「・・・っ」
「・・・なんて事だ。これはもうデモンストレイションなんかじゃない」
「―― 暴動だな」
その光景は参謀総長である片霧 清四郎も参謀本部の部屋から見ていた
「そ・・・総長閣下」
その間も群衆達からは強兵計画の反対や説明を求める事を叫んでいた
「暴徒に説明など通じまいに・・・実際に味わわせた方が早かろう」
そしてある指示を出した――
「村雨・・・己が何をしているのか解っているのか?」
有馬は自分達の前にいる村雨に向かってそう問うた
「人事不省に陥った覚えはないね。ちと、お相手願うよ・・・それこそデモンストレイションとしてな」
「・・・っ、村雨さん」
「梓、下がれ!」
村雨の言葉に動揺を隠しきれていない梓を庇うようにして九段も有馬と秋兵と同じように前に出る
27.暴動と強兵師団
「・・・ふう。流石に強いな、お宅等」
あれから暫く村雨は有馬達と剣を交え頃合いを見て村雨は距離を取った
それでも“お互い血を流す事なく”無事に済んでいた
どちらもお互いの信念を掲げてはいるが、両者からも傷つける為にやっているのではないと言うのが見て取れていた
キリの良い所で一度体制を立て直そうとした時だった
「―― 配置につけ!」
途端、そう声が聞こえたと思ったら辺りに見知らぬ黒の軍服を着た兵士達が一斉に並ぶ
「!? ・・・なんだ、あの大隊は」
「どの顔にも、見覚えがない・・・」
「強兵師団、注目!!」
「っ!」
「強兵・・・!?」
そう、そこにいた大隊こそ、帝国軍の新たな組織で作られたあの強兵師団だった
「目標ッ! 武装せし反逆者ども! 手加減無用、迅速に制圧せよ! 突撃!!」
「待て―――」
強兵師団の団長と思われる男からそう命令が下ると強兵師団達は有馬の制止の言葉など聞こえてないようにデモを起こしている群衆へと襲い掛かっていく
「うわああ!」
「ぐあっ! なんて力だ・・・!」
「制圧する」
「地に伏せろ」
「ああっ!」
「・・・っ。いくら民衆が武器を持っているからって・・・こんなの、手荒すぎる!」
強兵師団達は次々に民衆を制圧していくが、その様はとても尋常ではなかった
「くっ、やめろ!」
「反抗は許さない・・・大いなる力でねじ伏せる」
「うわ・・・っ!」
「危ない!」
「ふっ!」
一番近くにいた男が襲われそうになり梓が思わず声を上げると村雨がその男を助けた
「村雨先生・・・! 有り難う御座います!」
「―― 村雨! 手はずの通り頼むぞ!」
「おのれ・・・お前が主犯格だな!」
「くっ!」
騒ぎが起こる中、ハイカラヤのマスターは村雨にそう伝えたが直ぐに強兵団長がマスターが主犯格だと解り取り押さえられ捕縛されてしまう
「村雨――、正義の為に!」
だが、それでも自分や他に捕縛されてしまった仲間達の思いを村雨に託した
「・・・・正義の為に。動ける者は俺に続け! 退路を確保する!」
そう言って身を翻した村雨は仲間にそう伝え仲間達は立ち上がって退路を開きながらこの場を立ち去って行く
「逃げる気か」
「阻むかい?」
それを見た有馬は直ぐに村雨に声を掛けるも、未だにどちらも退く気は様子だった
「今は、この人達を逃がさないと・・・! 強兵のやり方は乱暴すぎる」
そう言ったものの強兵師団が辺りを囲み、なかなか動く事が出来ない
「・・・どうすれば、この争いを止められるの?」
千代も今の現状に悲しみを覚え、この争いを止めたいと思っていた
だが、梓同様その方法が思い付かない
途端、梓の耳に鈴の音が響く
(―― 鈴の音。黒龍、貴方なの?)
黒龍は梓に何かを伝えた
そして、
「・・・千代、手を貸して!」
「梓!? ・・・ええ!」
千代も梓と同じく白龍から何かを聞いたのか頷いた後梓の手を取った
すると、辺りに眩い光が辺りを照らし始めた
「・・・っ?」
「この光は・・・?」
二人の神子はお互いにこの争いを止めたいと願う
それに応えるように更に光が増していき
「なんだ・・・意識が・・・鈍く・・・」
そう呟いた強兵師団はまるで金縛りにあったかのように動けなくなり、周りにいる強兵達も同じように動けなくなったり頭を押さえたりしていた
「―― 皆、この機を逃すな! 退くぞ!」
その隙を見て村雨は残っていた仲間に声を掛け身を翻してその場を離れていった
「な、何をしている! 逃がすな!」
「・・・いいじゃないか。組織の半分近くは、こうして・・・縄に付いてるんだから。まあ、軍からすれば、大失態だろうがね・・・」
「黙れ! くそっ―――」
動けなくなってしまった強兵達を見て強兵団長は慌てるもマスターの言葉を聞くと苛立ちを感じ、まだ動ける強兵を複数連れて村雨達の後を追った
「赤坂の方角に逃げるか・・・!」
村雨達の後を追って来た強兵団長は彼等が逃げて行った方角を見てそう判断した
「他部隊に連絡して退路を塞げば――」
「残念だね」
「!?」
「退路を失ったのは君だ」
「き、貴様は・・・!?」
突然現れたダリウスを見て強兵団長は恐れをなしていた
だが、今はその恐れよりも自分の失態の方に気が回っていた
「ええい、邪魔だ! 貴様の相手をしている暇などない! 強兵達、前へ! 邪魔者を排除しろ! 私は、反逆者どもを追う!」
言うと強兵団長はさっさと逃げるようにしてその場を離れ後ろに控えていた強兵達が前に来る
「排除する」
強兵団長の言葉に従うように控えていた強兵達がダリウス達の前に出てくる
「へえ、これが噂の強兵どもね」
物珍しげに虎はそう言うも何処か楽しそうな顔をしていた
「虎、コハク、二人は此処で強兵を止めて。俺とルードは、彼を追う。リアも後の事を頼んだよ」
「はい、解りました」
「では三人とも、後は任せました!」
言うとダリウスとルードは先に逃げた強兵団長の後を追う
「よし、きっちり止めりゃ臨時報酬もんだな。オレ向きの仕事だ」
「政虎さん、こんな時でも楽しそうなんですねι」
自身の武器を構えてにやりと笑う虎を見てリアが苦笑して言うもコハクと共に戦闘態勢へと入り、強兵達を見る
(虚ろな瞳 ・・・それに、表情が乏しくて自分の意志なんて無いみたい・・・)
そう思っていると強兵が動くのが見えた
だが、コハクも強兵達を見て何かを考える顔をしていてその事に気が付いていない
「! コハクくん、危ない!」
「!」
急に攻撃を仕掛けて来た強兵を見てリアが声を上げ、コハクもやっと気付くも強兵の攻撃は虎によって防がれその隙にリアが素早くナイフを投げ強兵の動きを封じた
「っ・・・! おい、小僧、ぼけっとすんな!」
「ごめん、政虎さん! リアさんもありがとう。・・はあっ・・・!」
礼を言うとコハクは襲って来た強兵に攻撃を仕掛ける
「ぐあっ・・・!」
「制圧する・・・」
倒したかと思うと更に次の強兵が現れ虎に襲い掛かり、寸での所でその攻撃を避ける
「へえ、結構やるじゃねえかよ。幽霊みたいな瞳してるくせによ!」
(本当に幽霊みたいに暗くて冷たい瞳・・・それに・・、この人達から微かに感じるもの・・・この感じ、前に何処かで・・・)
「迅速に排除する・・・」
「消え失せろ・・・!」
「チッ・・・いい加減しつけえなあ」
「なら、一気に片付けますか」
「だな。リア、援護頼むぜ」
「はい!」
「はあああっ!」
虎の言葉に頷きリアは持っていたナイフを宙に投げその間に虎が近くにいる強兵達を薙ぎ倒していき、コハクも自分の近くに来た強兵を倒す
そしてリアの指を鳴らす音が聞こえ虎は地を蹴って避けると一気にナイフが降り注いできた
「良し、これで大体片付いたか?」
「・・そう・・だね」
「・・・おい? どうした?」
「いや・・・なんでもない」
弱々しく答えたコハクを見て虎が声を掛け答えるも何処か弱々しかった
「・・・・。・・!」
その様子をリアも見ているとまた足音が近付いて来て前を見ると強兵達が居た
「んー? 新手か?」
「っ・・・なん、で・・!」
「・・・コハクくん・・?」
目の前に居る強兵を見るとコハクは目を疑うような顔をしていた
「・・・おれ、・・この人知ってる・・・」
「え?」
「いつもおれの独楽を観に来てくれてた人だよ・・・」
「!」「なんだと・・」
コハクの言葉にリアも虎も疑うような目をして彼を見る
「我々は選ばれた人間・・・」
「帝国軍最強の部隊・・・」
「え・・・? ・・うっ・・・・!」
強兵達の言葉を聞いた途端コハクは苦しそうな痛みを覚えたような顔をして小さな呻き声を上げた
「あっ・・・・。・・・・・・っ!!!!!」
そして頭や胸を押さえて苦しそうに息を吐き、リアが心配そうに駆け寄る
「コハクくん、大丈夫?」
「思い出した・・・」
「え?」
「あの、暗くて・・・・汚れた、世界・・・・!」
「おい!?」
虎もコハクの様子が可笑しい事に気が付き一瞥する
「ググ・・・ウアアアアア!」
途端強兵達も雄叫びに似たような声を上げる
「チッ・・・今度は、何なんだよ?」
「―― やっぱり、そうだ・・・! 強兵は―――」
そう確信をするように呟いた途端コハクは意識を失い倒れてしまった
「・・・っ!? 小僧!?」
「コハクくん!?」
一番近くにいたリアはコハクに駆け寄り、身体を起こす
「・・気を失ってるだけです(・・・やっぱり、これって・・)」
リアもコハクの様子と強兵達を見て何かを確信した後、急いで邸に戻った方が良いと判断する
「政虎さん、そろそろ退き上げた方が良いと思います。コハクくんもこの状態ですし、ダリウスさんとルードくんの方ももう終わってる頃でしょうし」
「解ってら。さっさとこいつら倒しゃあいいんだろっ!」
「がっ」
言うと虎は今までの鬱憤晴らしと言う様に強兵を倒し辺りに強兵の気配がない事を確認するとリアの所へやって来てコハクを担ぎ上げた
「行くぞ。もし強兵が居たらお前がやれよ」
コハクを担いでいる虎も戦えない訳ではないが、今の状況では飛び道具であるナイフを頼る方が一番良いと思いそう言った
「解ってます。まだ力も残ってますから」
「使いすぎてバテんじゃねえぞ。後でダリウスやルードに文句言われんのはオレだからな」
虎の言葉に頷くとリアは辺りに気を配りながら蠱惑の森を目指して走り始めた
続く
あとがき
ほう、やっと此処まで辿り着きました
最後の方は前に下書きしてたので直ぐに書き上がりましたが、なにやら大変な事になってきてますよ!?
みんなそれぞれの場所で奮闘していますが、謎も増える一方
でも次回その謎の一つが解るかもしれません!
つか、すげー今更だが前回からやっと全キャラ勢揃いしたなw
そして今回でやっと総長閣下出てきたなww
では、次回もお楽しみに!(最近あとがき短くなったなw)
2015.07.01
だが、そこで予想もしていなかった人物が現れる
このデモを起こした結実なき花を率いていたのは村雨だった
その群衆の中にはハイカラヤのマスターや店員や常連客の姿もあった
そして周りを囲む軍の動きを見た村雨は頃合いを見て武器を構えた ――
「村雨さん!?」
「合図だ! 皆、武器を!」
村雨の合図を見て群衆達はおお!!と声を上げ武器を掲げ、梓達も驚いて目を瞠ってしまう
「・・・っ」
「・・・なんて事だ。これはもうデモンストレイションなんかじゃない」
「―― 暴動だな」
その光景は参謀総長である片霧 清四郎も参謀本部の部屋から見ていた
「そ・・・総長閣下」
その間も群衆達からは強兵計画の反対や説明を求める事を叫んでいた
「暴徒に説明など通じまいに・・・実際に味わわせた方が早かろう」
そしてある指示を出した――
「村雨・・・己が何をしているのか解っているのか?」
有馬は自分達の前にいる村雨に向かってそう問うた
「人事不省に陥った覚えはないね。ちと、お相手願うよ・・・それこそデモンストレイションとしてな」
「・・・っ、村雨さん」
「梓、下がれ!」
村雨の言葉に動揺を隠しきれていない梓を庇うようにして九段も有馬と秋兵と同じように前に出る
27.暴動と強兵師団
「・・・ふう。流石に強いな、お宅等」
あれから暫く村雨は有馬達と剣を交え頃合いを見て村雨は距離を取った
それでも“お互い血を流す事なく”無事に済んでいた
どちらもお互いの信念を掲げてはいるが、両者からも傷つける為にやっているのではないと言うのが見て取れていた
キリの良い所で一度体制を立て直そうとした時だった
「―― 配置につけ!」
途端、そう声が聞こえたと思ったら辺りに見知らぬ黒の軍服を着た兵士達が一斉に並ぶ
「!? ・・・なんだ、あの大隊は」
「どの顔にも、見覚えがない・・・」
「強兵師団、注目!!」
「っ!」
「強兵・・・!?」
そう、そこにいた大隊こそ、帝国軍の新たな組織で作られたあの強兵師団だった
「目標ッ! 武装せし反逆者ども! 手加減無用、迅速に制圧せよ! 突撃!!」
「待て―――」
強兵師団の団長と思われる男からそう命令が下ると強兵師団達は有馬の制止の言葉など聞こえてないようにデモを起こしている群衆へと襲い掛かっていく
「うわああ!」
「ぐあっ! なんて力だ・・・!」
「制圧する」
「地に伏せろ」
「ああっ!」
「・・・っ。いくら民衆が武器を持っているからって・・・こんなの、手荒すぎる!」
強兵師団達は次々に民衆を制圧していくが、その様はとても尋常ではなかった
「くっ、やめろ!」
「反抗は許さない・・・大いなる力でねじ伏せる」
「うわ・・・っ!」
「危ない!」
「ふっ!」
一番近くにいた男が襲われそうになり梓が思わず声を上げると村雨がその男を助けた
「村雨先生・・・! 有り難う御座います!」
「―― 村雨! 手はずの通り頼むぞ!」
「おのれ・・・お前が主犯格だな!」
「くっ!」
騒ぎが起こる中、ハイカラヤのマスターは村雨にそう伝えたが直ぐに強兵団長がマスターが主犯格だと解り取り押さえられ捕縛されてしまう
「村雨――、正義の為に!」
だが、それでも自分や他に捕縛されてしまった仲間達の思いを村雨に託した
「・・・・正義の為に。動ける者は俺に続け! 退路を確保する!」
そう言って身を翻した村雨は仲間にそう伝え仲間達は立ち上がって退路を開きながらこの場を立ち去って行く
「逃げる気か」
「阻むかい?」
それを見た有馬は直ぐに村雨に声を掛けるも、未だにどちらも退く気は様子だった
「今は、この人達を逃がさないと・・・! 強兵のやり方は乱暴すぎる」
そう言ったものの強兵師団が辺りを囲み、なかなか動く事が出来ない
「・・・どうすれば、この争いを止められるの?」
千代も今の現状に悲しみを覚え、この争いを止めたいと思っていた
だが、梓同様その方法が思い付かない
途端、梓の耳に鈴の音が響く
(―― 鈴の音。黒龍、貴方なの?)
黒龍は梓に何かを伝えた
そして、
「・・・千代、手を貸して!」
「梓!? ・・・ええ!」
千代も梓と同じく白龍から何かを聞いたのか頷いた後梓の手を取った
すると、辺りに眩い光が辺りを照らし始めた
「・・・っ?」
「この光は・・・?」
二人の神子はお互いにこの争いを止めたいと願う
それに応えるように更に光が増していき
「なんだ・・・意識が・・・鈍く・・・」
そう呟いた強兵師団はまるで金縛りにあったかのように動けなくなり、周りにいる強兵達も同じように動けなくなったり頭を押さえたりしていた
「―― 皆、この機を逃すな! 退くぞ!」
その隙を見て村雨は残っていた仲間に声を掛け身を翻してその場を離れていった
「な、何をしている! 逃がすな!」
「・・・いいじゃないか。組織の半分近くは、こうして・・・縄に付いてるんだから。まあ、軍からすれば、大失態だろうがね・・・」
「黙れ! くそっ―――」
動けなくなってしまった強兵達を見て強兵団長は慌てるもマスターの言葉を聞くと苛立ちを感じ、まだ動ける強兵を複数連れて村雨達の後を追った
「赤坂の方角に逃げるか・・・!」
村雨達の後を追って来た強兵団長は彼等が逃げて行った方角を見てそう判断した
「他部隊に連絡して退路を塞げば――」
「残念だね」
「!?」
「退路を失ったのは君だ」
「き、貴様は・・・!?」
突然現れたダリウスを見て強兵団長は恐れをなしていた
だが、今はその恐れよりも自分の失態の方に気が回っていた
「ええい、邪魔だ! 貴様の相手をしている暇などない! 強兵達、前へ! 邪魔者を排除しろ! 私は、反逆者どもを追う!」
言うと強兵団長はさっさと逃げるようにしてその場を離れ後ろに控えていた強兵達が前に来る
「排除する」
強兵団長の言葉に従うように控えていた強兵達がダリウス達の前に出てくる
「へえ、これが噂の強兵どもね」
物珍しげに虎はそう言うも何処か楽しそうな顔をしていた
「虎、コハク、二人は此処で強兵を止めて。俺とルードは、彼を追う。リアも後の事を頼んだよ」
「はい、解りました」
「では三人とも、後は任せました!」
言うとダリウスとルードは先に逃げた強兵団長の後を追う
「よし、きっちり止めりゃ臨時報酬もんだな。オレ向きの仕事だ」
「政虎さん、こんな時でも楽しそうなんですねι」
自身の武器を構えてにやりと笑う虎を見てリアが苦笑して言うもコハクと共に戦闘態勢へと入り、強兵達を見る
(虚ろな
そう思っていると強兵が動くのが見えた
だが、コハクも強兵達を見て何かを考える顔をしていてその事に気が付いていない
「! コハクくん、危ない!」
「!」
急に攻撃を仕掛けて来た強兵を見てリアが声を上げ、コハクもやっと気付くも強兵の攻撃は虎によって防がれその隙にリアが素早くナイフを投げ強兵の動きを封じた
「っ・・・! おい、小僧、ぼけっとすんな!」
「ごめん、政虎さん! リアさんもありがとう。・・はあっ・・・!」
礼を言うとコハクは襲って来た強兵に攻撃を仕掛ける
「ぐあっ・・・!」
「制圧する・・・」
倒したかと思うと更に次の強兵が現れ虎に襲い掛かり、寸での所でその攻撃を避ける
「へえ、結構やるじゃねえかよ。幽霊みたいな瞳してるくせによ!」
(本当に幽霊みたいに暗くて冷たい瞳・・・それに・・、この人達から微かに感じるもの・・・この感じ、前に何処かで・・・)
「迅速に排除する・・・」
「消え失せろ・・・!」
「チッ・・・いい加減しつけえなあ」
「なら、一気に片付けますか」
「だな。リア、援護頼むぜ」
「はい!」
「はあああっ!」
虎の言葉に頷きリアは持っていたナイフを宙に投げその間に虎が近くにいる強兵達を薙ぎ倒していき、コハクも自分の近くに来た強兵を倒す
そしてリアの指を鳴らす音が聞こえ虎は地を蹴って避けると一気にナイフが降り注いできた
「良し、これで大体片付いたか?」
「・・そう・・だね」
「・・・おい? どうした?」
「いや・・・なんでもない」
弱々しく答えたコハクを見て虎が声を掛け答えるも何処か弱々しかった
「・・・・。・・!」
その様子をリアも見ているとまた足音が近付いて来て前を見ると強兵達が居た
「んー? 新手か?」
「っ・・・なん、で・・!」
「・・・コハクくん・・?」
目の前に居る強兵を見るとコハクは目を疑うような顔をしていた
「・・・おれ、・・この人知ってる・・・」
「え?」
「いつもおれの独楽を観に来てくれてた人だよ・・・」
「!」「なんだと・・」
コハクの言葉にリアも虎も疑うような目をして彼を見る
「我々は選ばれた人間・・・」
「帝国軍最強の部隊・・・」
「え・・・? ・・うっ・・・・!」
強兵達の言葉を聞いた途端コハクは苦しそうな痛みを覚えたような顔をして小さな呻き声を上げた
「あっ・・・・。・・・・・・っ!!!!!」
そして頭や胸を押さえて苦しそうに息を吐き、リアが心配そうに駆け寄る
「コハクくん、大丈夫?」
「思い出した・・・」
「え?」
「あの、暗くて・・・・汚れた、世界・・・・!」
「おい!?」
虎もコハクの様子が可笑しい事に気が付き一瞥する
「ググ・・・ウアアアアア!」
途端強兵達も雄叫びに似たような声を上げる
「チッ・・・今度は、何なんだよ?」
「―― やっぱり、そうだ・・・! 強兵は―――」
そう確信をするように呟いた途端コハクは意識を失い倒れてしまった
「・・・っ!? 小僧!?」
「コハクくん!?」
一番近くにいたリアはコハクに駆け寄り、身体を起こす
「・・気を失ってるだけです(・・・やっぱり、これって・・)」
リアもコハクの様子と強兵達を見て何かを確信した後、急いで邸に戻った方が良いと判断する
「政虎さん、そろそろ退き上げた方が良いと思います。コハクくんもこの状態ですし、ダリウスさんとルードくんの方ももう終わってる頃でしょうし」
「解ってら。さっさとこいつら倒しゃあいいんだろっ!」
「がっ」
言うと虎は今までの鬱憤晴らしと言う様に強兵を倒し辺りに強兵の気配がない事を確認するとリアの所へやって来てコハクを担ぎ上げた
「行くぞ。もし強兵が居たらお前がやれよ」
コハクを担いでいる虎も戦えない訳ではないが、今の状況では飛び道具であるナイフを頼る方が一番良いと思いそう言った
「解ってます。まだ力も残ってますから」
「使いすぎてバテんじゃねえぞ。後でダリウスやルードに文句言われんのはオレだからな」
虎の言葉に頷くとリアは辺りに気を配りながら蠱惑の森を目指して走り始めた
続く
あとがき
ほう、やっと此処まで辿り着きました
最後の方は前に下書きしてたので直ぐに書き上がりましたが、なにやら大変な事になってきてますよ!?
みんなそれぞれの場所で奮闘していますが、謎も増える一方
でも次回その謎の一つが解るかもしれません!
つか、すげー今更だが前回からやっと全キャラ勢揃いしたなw
そして今回でやっと総長閣下出てきたなww
では、次回もお楽しみに!(最近あとがき短くなったなw)
2015.07.01