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「やっぱりそうだよね」
「ええ、殿方はそこを解っていないわ」
梓と千代は怨霊退治の休憩時間にリアが働いているミルクホールに立ち寄ると、丁度リアも休憩時間だったようで三人でテーブルを囲んで話をしていた
千代とも何度も話をするようになり今ではたまに梓と千代と三人で話をする事も多くなって敬語はなしで話すようになったが、千代も梓と同じくリアの事はさん付けで呼んでいた
その理由は梓と同じなのだが・・・ι
そして今は所謂乙女だけで乙女の会話をしつつ愚痴を言っていた
「リアさんはそう言った事ないの?」
そして今議論になっているのは殿方の気遣いや駄目な所について、と言うものだった
リアも接客業をやっているし、色んな人と出会っているし、自分の住んでいる邸にいるのも異性ばかり
人間なのだから多少は不満などもあるだろうと言う事でそう振られたのだった
「うーん、ない事もない・・かな・・」
「・・え、何かあるの?」
リアの言い方に意外そうな顔をして梓が聞いてきた
梓は今の軍邸に住む前はダリウスの邸に暮らしていたし、そこに一緒に住んでいる人物達も知っている
不満があるとは思えないけど・・・と思いつつリアの言葉を待った
「・・・最近なんだけど、前より私をからかうようなそぶりがあったり・・は、する・・かな・・・」
それは誰の事を指しているのか何となくだが梓は察しが付いていた
「他には・・?」
「前より懐かれたのは良いけど、その後がちょっと大変だったりするし、言い合いが増えて止めに入る回数も増えた・・かな・・・」
そしてそれも誰を指しているのもまた察しが付いてしまい、複雑な顔をしていた
「なんだか好かれているようにも感じるけれど、姉を慕う感じにも聞こえるし、妹をからかっているようにも聞こえるわね・・・」
「うん・・・」
千代の解釈に梓も大いに頷いた
「不満って言うより、今大変なのがって言う方が正しいけどね・・・」
「リアさんも苦労しているのね」
苦笑して言うリアを見て千代はそう言い、梓も苦笑して冷やし紅茶を一口飲んだ
22.地下に蔓延る闇
「お疲れ様でした」
梓と千代が時間になり店を出た後リアも仕事に戻った
今日は仕事が夕方までだったので、着替えて挨拶をして裏口から出た
「それにしても、昼間はあんなを話する事になるなんて思わなかったな」
それは梓と千代と話した事だった
リアが言っていた事は梓は誰の事を言っているか察しが付いただろうが、それは嘘ではなかった
本当に最近、彼等のリアに対する接し方は前より変わった
コハクは記憶を取り戻したあの日以来前よりリアに懐き、“おれの聖母様”と強調して抱きつき、虎は隙を見つけたら獲物を狙う目になっているし、ダリウスも少しリアをからかう回数が増えているし、ルードも前より一緒に居る時間や一緒に家事をする時間を増やしていた
相変わらずルードと虎の言い合いを止めるのはリアだが、その後が大変だったりするのだ
前は止めたら二人とも大人しくなっていたが最近はどちらの味方かと聞かれる事も増え、最終的にコハクかダリウスが止めて助けるような形になっていた
「・・・実際大変なのは本当だしね・・・はあ・・・」
今疲れが溜まらない場所と言うと自分の部屋かミルクホールかハイカラヤかこうやって一人で街を歩いている時だけかもしれないな・・と思っていた
「でも、やっと梓ちゃんに渡せたから一安心もしてるかな」
リアが梓に渡したもの、それは梓が邸に居た時にみんなで買い出しに行った時に雑貨屋で買った硝子で作られた蝶の形をした置物だった
梓が気に入っていたからいつか店に来た時に渡そうと思っていた
その事に安堵して微笑んでいると、
「・・・?」
ふと、何かの気配を感じた
「・・・怨霊・・・? それとも、瘴気の吹き溜まり・・・?」
何処からか怨霊の気配と瘴気のような気配を感じた
梓のように正確には察知は出来ないが、もし怨霊が出たら騒ぎになりかねないと思いその気配を感じる方へ小走りで向かって行った
「・・・・。これで最後かしら」
あれからリアが向かった先は店のすぐ近くだった
そこに怨霊が1体居たので退治したが、まだ何処からか瘴気が漂ってきていた
それを追い数カ所で怨霊と戦った後、浅草の仲見世の裏通りまでやってくると瘴気の吹き溜まりがあるのを見つけ被害が出る前に潰したのだった
他にこの辺りに気配がないと思いナイフをナイフホルダーに入れた時だった
「っ!?」
一瞬だが背中に悪寒が走り周りの空気も変わった気がした
「・・・何・・?」
辺りを見渡すが特に変わった様子もない
「え・・?」
だが、急に足が沼に踏み込んで動けなくなった時のように重たく感じ、段々と体も重くなっていくのを感じた
更に寒気が増していき、足下から何かが立ち上ってくるのを感じた
「っ・・・!!」
途端足が勝手に動き出し、まるで何かに引っ張られているような感覚を感じていた
「・・・・!?」
そして声まで発せなくなっていた
(何なの、これ・・・。まるで喉に何かが詰まったみたい・・・それに体の自由が全然利かない!?)
リアがそう思っている間にも勝手に歩みは進んで行き、凌雲閣が見え始めた
(凌雲閣に近付いて行ってるの・・・?)
抗う事も出来ないまま、どんどん何かに引き寄せられる
まるで、磁石と磁石が引き寄せられているかのように歩みは続き、凌雲閣の裏通りへとやってきた
(何処まで行くの・・・? それに、・・寒気が止まらない・・・心臓も冷えていってる感じがする・・・)
周りには嫌な空気が漂っている上に足下に何かとてつもなく嫌なものがいる感じがずっとしていた
(・・・足下にいる何かが私を呼んでるの・・・? でも・・まだ私を見つけてない・・そんな気がする・・・)
徐々に空気は重たくなっていき寒気が止まらないのは変わらない
だが、まだ今感じている“とてつもなく嫌なもの”を自分の近くに感じない
おそらくソレはまだリアを探しているのだろう
なんとか今の状況から抜け出そうとするが体の自由が利かないし声も出ない状態でどうする事も出来ない
(っ・・・! 誰か、・・助けて ―― )
震える声を振り絞るようにそう願っていると、
(・・・っ!?)
「―― 行かせません」
急に腕を掴まれたと思っていると凄く聞き慣れた声が聞こえそのまま引き寄せられた
(・・・っ! ルードくん ――)
ルードの姿を見てリアは目を瞠った
「・・・声も出せませんか」
「・・・・・」
声も出せなければ頷く事すら出来ないが、意識は保てているので瞳 でそうだと伝えた
「・・・リアさん、屈みますよ」
言うとルードはゆっくりと体制を低くしていきリアを抱き寄せたまま自分達の周りに結界を張った
ルードの力を感じ、しがらみが溶け始め、体温も徐々に熱を取り戻し始めた
「・・・ルード・・・くん」
「・・・自由が利くようになったのは結構です。けれど、動かないで。即席で張った結界なので私の周りにしか効果がありません。奴が―― 貴女を引き寄せていた力が過ぎ去るまでは堪えて下さい」
「・・・あれは・・何・・・?」
「私にも解りません・・・けれど、闇のようなものが貴女の周りにまとわりつき連れ去ろうとしているように見えました。知っているとは思いますが、この結界は内部の気配を断ちます。やり過ごせれば良いのですが・・・」
途端、地面の下から先程の嫌な気配を感じた
「・・・まだ、私を探してる・・・・すぐ、そこまで迫って来てる・・・」
先程の気配を感じるとリアの体は少し震えだした
「・・・このままじゃ、ルードくんまで巻き込んじゃうよ・・」
「そう思うならじっとしていて下さい。・・・此処に着て貴女を置いていくと思うんですか」
「ルードくん・・・」
ルードの言葉に嬉しさを感じるも、奴が来るのを感じ息を詰めた
(来た・・・! もう、真下にいる。・・・・怖い――っ・・・!)
そう思った途端、リアは目を閉じギュッとルードの服を掴み胸に顔を埋めた
「リアさん・・・・っ」
ルードは震えているリアを見て
「渡すものか。絶対に ―――」
決意を固めた目をしてリアを更に自分に引き寄せ守るようにしていた
(ルードくんの手・・・力がこもって、少し痛いくらい。私を繋ぎ止めてくれようとしている必死な思いが伝わってくる・・・)
その思いが伝わりルードに身を委ねた時だった
「「・・・・・」」
真下に居た嫌なものが通り過ぎて行くのを感じた
「・・・去りましたね?」
「・・・うん。嫌な感じが、消えた・・・周りの空気も、戻ってる感じがする・・」
そこでようやくお互いに安堵の息を吐いた
「・・・助かったの、かな・・」
「今日のところは、おそらく」
「・・何だったの、あれ。今まであんな気配感じた事なかったのに・・・。あんなのが居たら危ないよね」
「ええ。ですがどのみち、私達二人で太刀打ち出来る相手とは思えません。下手に挑めば致命傷を負います」
「・・・うん。それくらい強大な気配と力だった。ルードくんが助けてくれなかったら、私・・・っ」
「・・リアさん」
本当に怖かったようで未だにリアの体は震えていた
そんなリアを見てルードは包み込むようにリアを抱きしめた
「・・大丈夫です。貴女が落ちつくまでこうしています。だから、安心して下さい」
「ルードくん・・・うん、ありがとう。それと、助けてくれて、本当にありがとう」
普段のリアとルードならこんな風に抱きしめると言う事になるとお互いに驚いてしまったり恥ずかしくて出来ないが今はそんな事を言っていられない
(貴女が連れ去られるのが嫌だった。貴女の優しい笑顔も優しさもとても温かく、いつも私を包み込んでくれていて安心します。だから、今度は私が貴女を包み込む番です。今、私の腕の中で小さく震えて怯えている貴女を落ちつくまでこうして抱きしめていたい。そう思うのに貴女を抱きしめている事に喜びを感じている・・・。
・・・やはり、私は ――)
*
「そう言えばルードくんはどうしてあそこにいたの?」
あれから暫くしてリアは落ち着きルードと共に裏通りを抜けて一緒に邸へ戻り始めた
「例の情報収集が終わって帰ろうとした時にリアさんを見かけたのですが、様子が可笑しかったので後を追ったっと言う事です」
「そうだったんだ。・・でも、さっきの気配の事はダリウスさんに報告した方が良いよね」
「そうですね。またリアさんが危険な目に遭いかねませんし・・」
「・・・私限定・・?」
「限定はしません。ただ、また怨霊退治をした時に奴が陰の気に反応する可能性もありますから」
「そうだね・・・。梓ちゃん達も危険な目に遭っちゃうかもしれないし・・・」
そこで直ぐに梓を心配する辺りがリアらしいな、とルードは思った
「でも、さっき私を助けてくれた時のルードくん、本当に頼もしかったよ」
「っ・・・。そうでしたか・・」
「うん。それに、・・今もね」
「っ・・・////」
そう、今リアとルードは手を繋いで歩いていた
リアが落ちつき裏通りから出ようとしたが、まだ少しだけ不安そうな顔をしていたのでルードが手を繋ぎ安心させるようにしていたのだった
「・・・リアさんが落ちついたのなら、・・放しますけど・・」
「蠱惑の森の途中まで・・お願いしたい・・・かな」
「・・・・っ。そういう風に言うのは、反則だと思いますが」
と言ったルードだったがリアの願い通り、蠱惑の森の途中まで手を繋いで帰ったのだった
続く
あとがき
はい、やっと此処書けた!
ルードくんのイベントでかなり好きな所なんです!ww
てかまたお当番になったような気もするけど気にしないでおこうw(前回のダリウスさんだってある意味お当番2回目だったしww)
最初は乙女三人による乙女だけの愚痴大会になってましたねww
周りが男だらけで女がいないから女だけで話す事ってなかなかなかったのでちょっとだけ三人の会話を入れてみましたが・・・リアちゃん、随分と苦労が増えたようで・・・ι
みんなお当番回から攻めてきてるからねww
それとやっぱりお気に入りだったあの置物はちゃんと梓に渡したいってリアちゃんずっと思っていたので此処で渡しておきました(今後絡みがあるか分かんないし←そこι)
そしてあの怖い出来事、これは前回のあとがきでも言ったけど、本編でかなり重要になってくるところだったので絶対に書いておきたかったんです
リアちゃんもいつも以上に乙女になってて、ルードくんもある事を確信したようですねw
最後の最後までいつも以上に頼もしいルードくんが書けたので満足しております
さて、次回は・・・いよいよ、あそこですよw
本編進むよ! お楽しみに!
2015.06.29
「ええ、殿方はそこを解っていないわ」
梓と千代は怨霊退治の休憩時間にリアが働いているミルクホールに立ち寄ると、丁度リアも休憩時間だったようで三人でテーブルを囲んで話をしていた
千代とも何度も話をするようになり今ではたまに梓と千代と三人で話をする事も多くなって敬語はなしで話すようになったが、千代も梓と同じくリアの事はさん付けで呼んでいた
その理由は梓と同じなのだが・・・ι
そして今は所謂乙女だけで乙女の会話をしつつ愚痴を言っていた
「リアさんはそう言った事ないの?」
そして今議論になっているのは殿方の気遣いや駄目な所について、と言うものだった
リアも接客業をやっているし、色んな人と出会っているし、自分の住んでいる邸にいるのも異性ばかり
人間なのだから多少は不満などもあるだろうと言う事でそう振られたのだった
「うーん、ない事もない・・かな・・」
「・・え、何かあるの?」
リアの言い方に意外そうな顔をして梓が聞いてきた
梓は今の軍邸に住む前はダリウスの邸に暮らしていたし、そこに一緒に住んでいる人物達も知っている
不満があるとは思えないけど・・・と思いつつリアの言葉を待った
「・・・最近なんだけど、前より私をからかうようなそぶりがあったり・・は、する・・かな・・・」
それは誰の事を指しているのか何となくだが梓は察しが付いていた
「他には・・?」
「前より懐かれたのは良いけど、その後がちょっと大変だったりするし、言い合いが増えて止めに入る回数も増えた・・かな・・・」
そしてそれも誰を指しているのもまた察しが付いてしまい、複雑な顔をしていた
「なんだか好かれているようにも感じるけれど、姉を慕う感じにも聞こえるし、妹をからかっているようにも聞こえるわね・・・」
「うん・・・」
千代の解釈に梓も大いに頷いた
「不満って言うより、今大変なのがって言う方が正しいけどね・・・」
「リアさんも苦労しているのね」
苦笑して言うリアを見て千代はそう言い、梓も苦笑して冷やし紅茶を一口飲んだ
22.地下に蔓延る闇
「お疲れ様でした」
梓と千代が時間になり店を出た後リアも仕事に戻った
今日は仕事が夕方までだったので、着替えて挨拶をして裏口から出た
「それにしても、昼間はあんなを話する事になるなんて思わなかったな」
それは梓と千代と話した事だった
リアが言っていた事は梓は誰の事を言っているか察しが付いただろうが、それは嘘ではなかった
本当に最近、彼等のリアに対する接し方は前より変わった
コハクは記憶を取り戻したあの日以来前よりリアに懐き、“おれの聖母様”と強調して抱きつき、虎は隙を見つけたら獲物を狙う目になっているし、ダリウスも少しリアをからかう回数が増えているし、ルードも前より一緒に居る時間や一緒に家事をする時間を増やしていた
相変わらずルードと虎の言い合いを止めるのはリアだが、その後が大変だったりするのだ
前は止めたら二人とも大人しくなっていたが最近はどちらの味方かと聞かれる事も増え、最終的にコハクかダリウスが止めて助けるような形になっていた
「・・・実際大変なのは本当だしね・・・はあ・・・」
今疲れが溜まらない場所と言うと自分の部屋かミルクホールかハイカラヤかこうやって一人で街を歩いている時だけかもしれないな・・と思っていた
「でも、やっと梓ちゃんに渡せたから一安心もしてるかな」
リアが梓に渡したもの、それは梓が邸に居た時にみんなで買い出しに行った時に雑貨屋で買った硝子で作られた蝶の形をした置物だった
梓が気に入っていたからいつか店に来た時に渡そうと思っていた
その事に安堵して微笑んでいると、
「・・・?」
ふと、何かの気配を感じた
「・・・怨霊・・・? それとも、瘴気の吹き溜まり・・・?」
何処からか怨霊の気配と瘴気のような気配を感じた
梓のように正確には察知は出来ないが、もし怨霊が出たら騒ぎになりかねないと思いその気配を感じる方へ小走りで向かって行った
「・・・・。これで最後かしら」
あれからリアが向かった先は店のすぐ近くだった
そこに怨霊が1体居たので退治したが、まだ何処からか瘴気が漂ってきていた
それを追い数カ所で怨霊と戦った後、浅草の仲見世の裏通りまでやってくると瘴気の吹き溜まりがあるのを見つけ被害が出る前に潰したのだった
他にこの辺りに気配がないと思いナイフをナイフホルダーに入れた時だった
「っ!?」
一瞬だが背中に悪寒が走り周りの空気も変わった気がした
「・・・何・・?」
辺りを見渡すが特に変わった様子もない
「え・・?」
だが、急に足が沼に踏み込んで動けなくなった時のように重たく感じ、段々と体も重くなっていくのを感じた
更に寒気が増していき、足下から何かが立ち上ってくるのを感じた
「っ・・・!!」
途端足が勝手に動き出し、まるで何かに引っ張られているような感覚を感じていた
「・・・・!?」
そして声まで発せなくなっていた
(何なの、これ・・・。まるで喉に何かが詰まったみたい・・・それに体の自由が全然利かない!?)
リアがそう思っている間にも勝手に歩みは進んで行き、凌雲閣が見え始めた
(凌雲閣に近付いて行ってるの・・・?)
抗う事も出来ないまま、どんどん何かに引き寄せられる
まるで、磁石と磁石が引き寄せられているかのように歩みは続き、凌雲閣の裏通りへとやってきた
(何処まで行くの・・・? それに、・・寒気が止まらない・・・心臓も冷えていってる感じがする・・・)
周りには嫌な空気が漂っている上に足下に何かとてつもなく嫌なものがいる感じがずっとしていた
(・・・足下にいる何かが私を呼んでるの・・・? でも・・まだ私を見つけてない・・そんな気がする・・・)
徐々に空気は重たくなっていき寒気が止まらないのは変わらない
だが、まだ今感じている“とてつもなく嫌なもの”を自分の近くに感じない
おそらくソレはまだリアを探しているのだろう
なんとか今の状況から抜け出そうとするが体の自由が利かないし声も出ない状態でどうする事も出来ない
(っ・・・! 誰か、・・助けて ―― )
震える声を振り絞るようにそう願っていると、
(・・・っ!?)
「―― 行かせません」
急に腕を掴まれたと思っていると凄く聞き慣れた声が聞こえそのまま引き寄せられた
(・・・っ! ルードくん ――)
ルードの姿を見てリアは目を瞠った
「・・・声も出せませんか」
「・・・・・」
声も出せなければ頷く事すら出来ないが、意識は保てているので
「・・・リアさん、屈みますよ」
言うとルードはゆっくりと体制を低くしていきリアを抱き寄せたまま自分達の周りに結界を張った
ルードの力を感じ、しがらみが溶け始め、体温も徐々に熱を取り戻し始めた
「・・・ルード・・・くん」
「・・・自由が利くようになったのは結構です。けれど、動かないで。即席で張った結界なので私の周りにしか効果がありません。奴が―― 貴女を引き寄せていた力が過ぎ去るまでは堪えて下さい」
「・・・あれは・・何・・・?」
「私にも解りません・・・けれど、闇のようなものが貴女の周りにまとわりつき連れ去ろうとしているように見えました。知っているとは思いますが、この結界は内部の気配を断ちます。やり過ごせれば良いのですが・・・」
途端、地面の下から先程の嫌な気配を感じた
「・・・まだ、私を探してる・・・・すぐ、そこまで迫って来てる・・・」
先程の気配を感じるとリアの体は少し震えだした
「・・・このままじゃ、ルードくんまで巻き込んじゃうよ・・」
「そう思うならじっとしていて下さい。・・・此処に着て貴女を置いていくと思うんですか」
「ルードくん・・・」
ルードの言葉に嬉しさを感じるも、奴が来るのを感じ息を詰めた
(来た・・・! もう、真下にいる。・・・・怖い――っ・・・!)
そう思った途端、リアは目を閉じギュッとルードの服を掴み胸に顔を埋めた
「リアさん・・・・っ」
ルードは震えているリアを見て
「渡すものか。絶対に ―――」
決意を固めた目をしてリアを更に自分に引き寄せ守るようにしていた
(ルードくんの手・・・力がこもって、少し痛いくらい。私を繋ぎ止めてくれようとしている必死な思いが伝わってくる・・・)
その思いが伝わりルードに身を委ねた時だった
「「・・・・・」」
真下に居た嫌なものが通り過ぎて行くのを感じた
「・・・去りましたね?」
「・・・うん。嫌な感じが、消えた・・・周りの空気も、戻ってる感じがする・・」
そこでようやくお互いに安堵の息を吐いた
「・・・助かったの、かな・・」
「今日のところは、おそらく」
「・・何だったの、あれ。今まであんな気配感じた事なかったのに・・・。あんなのが居たら危ないよね」
「ええ。ですがどのみち、私達二人で太刀打ち出来る相手とは思えません。下手に挑めば致命傷を負います」
「・・・うん。それくらい強大な気配と力だった。ルードくんが助けてくれなかったら、私・・・っ」
「・・リアさん」
本当に怖かったようで未だにリアの体は震えていた
そんなリアを見てルードは包み込むようにリアを抱きしめた
「・・大丈夫です。貴女が落ちつくまでこうしています。だから、安心して下さい」
「ルードくん・・・うん、ありがとう。それと、助けてくれて、本当にありがとう」
普段のリアとルードならこんな風に抱きしめると言う事になるとお互いに驚いてしまったり恥ずかしくて出来ないが今はそんな事を言っていられない
(貴女が連れ去られるのが嫌だった。貴女の優しい笑顔も優しさもとても温かく、いつも私を包み込んでくれていて安心します。だから、今度は私が貴女を包み込む番です。今、私の腕の中で小さく震えて怯えている貴女を落ちつくまでこうして抱きしめていたい。そう思うのに貴女を抱きしめている事に喜びを感じている・・・。
・・・やはり、私は ――)
*
「そう言えばルードくんはどうしてあそこにいたの?」
あれから暫くしてリアは落ち着きルードと共に裏通りを抜けて一緒に邸へ戻り始めた
「例の情報収集が終わって帰ろうとした時にリアさんを見かけたのですが、様子が可笑しかったので後を追ったっと言う事です」
「そうだったんだ。・・でも、さっきの気配の事はダリウスさんに報告した方が良いよね」
「そうですね。またリアさんが危険な目に遭いかねませんし・・」
「・・・私限定・・?」
「限定はしません。ただ、また怨霊退治をした時に奴が陰の気に反応する可能性もありますから」
「そうだね・・・。梓ちゃん達も危険な目に遭っちゃうかもしれないし・・・」
そこで直ぐに梓を心配する辺りがリアらしいな、とルードは思った
「でも、さっき私を助けてくれた時のルードくん、本当に頼もしかったよ」
「っ・・・。そうでしたか・・」
「うん。それに、・・今もね」
「っ・・・////」
そう、今リアとルードは手を繋いで歩いていた
リアが落ちつき裏通りから出ようとしたが、まだ少しだけ不安そうな顔をしていたのでルードが手を繋ぎ安心させるようにしていたのだった
「・・・リアさんが落ちついたのなら、・・放しますけど・・」
「蠱惑の森の途中まで・・お願いしたい・・・かな」
「・・・・っ。そういう風に言うのは、反則だと思いますが」
と言ったルードだったがリアの願い通り、蠱惑の森の途中まで手を繋いで帰ったのだった
続く
あとがき
はい、やっと此処書けた!
ルードくんのイベントでかなり好きな所なんです!ww
てかまたお当番になったような気もするけど気にしないでおこうw(前回のダリウスさんだってある意味お当番2回目だったしww)
最初は乙女三人による乙女だけの愚痴大会になってましたねww
周りが男だらけで女がいないから女だけで話す事ってなかなかなかったのでちょっとだけ三人の会話を入れてみましたが・・・リアちゃん、随分と苦労が増えたようで・・・ι
みんなお当番回から攻めてきてるからねww
それとやっぱりお気に入りだったあの置物はちゃんと梓に渡したいってリアちゃんずっと思っていたので此処で渡しておきました(今後絡みがあるか分かんないし←そこι)
そしてあの怖い出来事、これは前回のあとがきでも言ったけど、本編でかなり重要になってくるところだったので絶対に書いておきたかったんです
リアちゃんもいつも以上に乙女になってて、ルードくんもある事を確信したようですねw
最後の最後までいつも以上に頼もしいルードくんが書けたので満足しております
さて、次回は・・・いよいよ、あそこですよw
本編進むよ! お楽しみに!
2015.06.29