共通ルート
夢主名変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ダリウス様、如何でしょうか」
「うん、流石ルードだね、これも良いね。じゃあ次はこの色を試してみようか」
「畏まりました。ではリアさんお願いしますね」
「う、うん・・・」
言うとリアはルードから渡されたドレスを持って近くの部屋へ入って行った
「あいつらまだやってんのか?」
「うん。もう30分くらい経ったかなー」
ダリウスとルードと少し離れた所で彼等のやり取りをソファに寝そべって見ている虎と興味心身で見ているコハク
「飽きずに良くやるよな」
「けど、綺麗で素敵なリアさんの姿が見られて良いじゃん」
嬉しそうに言うコハクを見て虎もそれは満更ではないと思っていた
それはきっとダリウスとルードも同じであろう
先程から彼等が何をやっているかと言うと、事の始まりは40分前だった
「さて、どうしたものかな」
「あ、ダリウスさん、ルードくん、お帰りなさい」
「ああ、ただいま、リア」
「ただいま戻りました」
玄関の扉が開く音と共にダリウスとルードが邸の中へ入って来るのが見えリアは二人に声を掛けた
だが、二人とも何か考えているような顔をしていた
「・・どうかしたんですか?」
「・・・ダリウス様、此処はやはりリアさんに行って頂くのが一番良いと思います」
「・・・うーん、やはりそうかな」
ルードは出迎えてくれてたリアを見てそう言いダリウスもルードの言葉に納得していたようだったが、肝心のリアは疑問符を出していた
「え? 何の事ですか・・・・?」
「ああ、実はね・・・」
今日ダリウスとルードは古美術商の仕事で街に行っていた
買い付けに行った先で顧客から今度夜会を開くのでお二人にも是非参加してほしいと言われ招待状を貰ったのだった
大事な顧客からの招待だから断る訳にもいかない
だが、夜会となると変装しているルードにとっては不利な事があった
普段ダリウスの秘書として女性に変装している分には構わないが、夜会での女性の服装はドレスだ
そればかりはルードも遠慮せざるを得なかった
ダリウスもそれを解っているからどうするかと考え邸に帰って来て出迎えたリアを見て、ルードもダリウスもリアに一緒に夜会へ行ってもらうのが一番良いのでは、と思ったのだった
「・・・と言う事なので、私の代わりにリアさんが参加して頂けないでしょうか」
「リアならワルツも踊れるし、俺としても綺麗で素敵な姿の君を連れて行けるのは嬉しいけれどね」
「・・そこまで言われると気恥ずかしいですけど、ルードくんの代わりに参加するのは構いません。でも、私、ダリウスさんやルードくんみたいに古美術商に詳しくないですよ・・?」
「そこは心配しなくても大丈夫だよ。俺と一緒に居てくれるだけで良いから」
・・・と言う事でリアがルードの代わりに夜会に参加する事になり、早速ドレスや装飾品の見立てが始まり今に至るのだった
「お待たせしました」
リアの声が聞こえ皆先程リアが入って行った部屋の方を見た
「「「「・・・・・」」」」
そして出て来たリアの姿を見て皆目を瞠った
「うわあ! リアさんすっごく綺麗!!」
「へえ、なかなか良いじゃねえか」
「本当ですか・・?」
「ええ、とても良く似合っていますよ」
「今までの中で一番良いね。これなら文句なしだよ」
予想以上に皆から反応が返ってきてリアも嬉しくなっていた
「良かったぁ。私もこのドレス気に入っていたので嬉しいです」
リアもルードからこのドレスを受け取り着てみた時に綺麗なドレスで色も淡く少しレースも入っていて分相応に合っていたので直ぐに気に入ったのだった
「では当日はこのドレスで参加と言う事で宜しいですね」
「うん」
「少し手直しもしておきますので後で私の所に持って来て下さい」
解った、と返事を返しリアは先程の部屋へと入って行った
「ふふっ、当日は楽しみだね」
ダリウスは先程のリアの姿を見てそう思っていたのだった
21.月光ソワレ
「着いたよ、リア」
ダリウスは横抱きにしていたリアをゆっくりと降ろしてあげた
「ありがとう御座います。ダリウスさん」
「どういたしまして。それにしてもルードの一手間は大したものだね」
「はい、お陰で歩きやすくなりました」
夜会当日、ダリウスはドレスに着替えたリアを横抱きにして会場の近くまで空間移動した
そして今リアが着ているドレスはあの時選んだドレスだったが少し変わった所があった
ドレスの丈が前より上がっていて少しだけついていたレースの後ろに少し大きめのレースを付け、前より足下が動きやすくなっていた
(流石ルードくん。本当に良く出来た従者だよね・・・)
自分より年下なのだが、器用で気が利いて多くの事を知っていて何でも熟してしまう
リアも同じように器用だったり何でも熟す事が出来るが多種多様に対応出来るルードを尊敬していた
「では、優美な姫君、俺達もそろそろ行こうか」
「はい」
言うとダリウスは優しく微笑みながら手を出しリアもその手を取り会場へと向かって行き、中に入ると華やかに着飾った人達が大勢居た
その中をダリウスと歩いていると
「まあ、素敵な方々ね」
「ええ、とても絵になるわ」
「何処の何方かしら」
「お二方とも目を惹かれますね」
と次々とざわめきが聞こえる
ダリウスもリアも端から見れば西洋人と言う容姿に服装やドレスも華やかに映り、自分達とはかけ離れた雰囲気を醸し出していて周りの目を惹いていた
「ふふっ、注目されているようだね、リア」
「わ、私だけですか・・。ダリウスさんもだと思いますけど・・・」
周りに聞こえない声でお互いにそう言い、飲み物を取って自分達の席へ向かい席に座る
暫くして夜会は始まり先程よりも華やかになりワルツを踊る人達も増えてきた
リアは言われていた通り、ダリウスが顧客達と話をしている間は隣にいて軽く微笑んだり挨拶していたりした
「そこの優美な姫君、一曲踊って頂けませんか?」
「え?」
その時、一人の男性からそう声を掛けられた
「踊っておいで、リア」
「ダリウスさん、でも・・」
「せっかくの夜会なんだ。堅苦しい話ばかり聞いても楽しくないだろう。後で迎えに行くから踊っておいで」
「・・・はい」
確かに夜会にワルツはつきもの
ダリウスは馴染みの人達が多いから挨拶をするだけでも時間が掛かってしまうし、何よりこの会場に入ってから人一倍注目を集めてしまっていた
皆、リアと踊りたいと思いタイミングを見計らっていたのだろう
それに此処で断ってはダリウスに迷惑も掛けてしまうと思い男の申し出を受け男と共に中央に行きワルツを踊り始めた
「へえ、じゃあ君は秘書の代わりに来たんだ」
あれから次々にワルツを申し込まれ、踊り終えた後、グラスを持ってテラスに出て風に当たろうと思っていたら最後に踊った男が涼みに行くなら一緒に行くと言い、グラスを空にしてからテラスを出て中庭で話をしていたのだった
「じゃあこの夜会に来るのは今日が初めてなんだ」
「はい。予想以上に声を掛けられて吃驚してますけど・・・」
「そりゃ君達はかなり人目を惹いてたからね」
それは自分達も良く解っています・・・ιと思っていると、男はある事を聞いた
「ところでさ、君と一緒に居た人って君の恋人?」
「え?/// ど、どうしてですか・・?」
男の言葉に驚いてしまったが、何とか平常心を保ちながら男を見ると少し楽しそうにしてリアを見て言う
「あー、いや、違うなら良いんだ。こっちが有利だしね」
「え・・?」
「俺、君に惚れたんだ。だから俺と付き合わない?」
「・・・えっ・・・」
男はリアをじっと見つめてそう言った
(・・・これって、交際を申し込まれてるって・・事・・・!?)
今までそう言った事を何度か言われた事があったが、こんな間近で、しかも出会ってまだ間もない人から言われた事がなかったので驚いてしまった
「ああ、此処に居たんだね」
途端聞き覚えのある声が聞こえリアが振り向くとダリウスがリアの方へ向かって来ているのが見えた
「随分と探してしまったよ」
「・・・すみません」
「良いよ。それで、どうしてそこの彼はじっとこの子の事を見ているのかな」
男の視線に気付いていたのかダリウスはそう言って男を見てリアも男の方を見た
「彼女の答えを待っているからですよ」
「答え?」
「彼女に交際を申し込んだんです。だからその答えを待っているんですよ」
「・・・・」
その言葉を聞きダリウスは自分の前に居るリアを見るとリアは複雑な表情を浮かべていた
「ふうん。でも、それは了承出来かねてしまうね」
「何故です?」
「彼女をそう簡単に他の男に渡す事が出来ないからだよ」
「まるで彼女の恋人のような言い方ですね」
男の言葉を聞くとダリウスは得意げな顔をして言う
「残念だけど、そうだから、だよ」
「!?」「なっ!?」
その言葉に男だけでなくリアも驚いてしまい目を瞠る
「そ、そんな事、簡単に信じると思っているんですか」
だが男は諦めきれないのか未だに食って掛かってくる
「・・・仕方ない、か。リア、こっちへおいで」
「え、・・あ、はい」
ダリウスに呼ばれリアは素直にダリウスの所へ行くと、良い子だね、と言って軽く頭を撫でられた
そして、
「え、ダリウスさ・・・っ!?////」
「!?」
そのままリアの腰に手を回し距離が近くなったと思っているとダリウスの顔が近付き、そして二人の距離が完全になくなった
「・・・これで、解ってもらえたかな」
「っ、・・・!」
少ししてダリウスは体を離し男を見てそう言い、リアは恥ずかしさで顔を俯けていたがしっかりとダリウスの腕を掴んで離れようとしないのを見て男はそのまま何処かへ走り去って行った
「・・・やれやれ。やっと終わったようだね。リア、もう平気だよ」
「・・・・・」
それを見送りダリウスはリアに声を掛けたが、リアは未だに顔を真っ赤にして固まったままだった
「そんなに無防備にしていると、・・・本当に唇にキスするよ」
「えっ・・・!///」
その言葉でやっと我に返りあたふたとし始めダリウスは思わず笑ってしまった
「そんなに慌てなくて平気だよ。だた、ああでもしないとあの手の男は引かないからね」
先程の男を諦めさせる為、ダリウスはリアとキスをしているように見せかけていただけだで、本当は唇に近い場所に顔を近付けていただけだった
助けてくれた事に感謝をしているが、それでもリアにとっては異性があんなに近くに顔を近付けるのも初めてだったし、何よりダリウスが相手だったから余計に恥ずかしさが増していた
「・・・けど、俺としては本当にあのままキスしても良かったけど」
「・・・えっ・・。!」
その言葉にリアは驚いて顔を上げると群青色の瞳がじっと見つめそれから先程の様に距離が縮まっていき、ダリウスはそのままリアの頬に軽くキスを落とした
「っ~~・・! ダ、ダ、ダリウス・・さん!?////」
「ふふっ。これくらいはしても罰は当たらないだろう」
未だにダリウスに抱きしめられている為、身動きが取れないリアは先程よりも顔を真っ赤にしてダリウスを見ながら言うとダリウスは満足げに笑っていた
「それに、さっき言った事は冗談でもないから」
「・・・え?」
言うとダリウスはリアから少しだけ距離を取り、
「それじゃあリア、ワルツを踊ったら俺達も帰ろうか」
いつも以上に優しい目と声をして言うダリウスにリアも頷き、ワルツを踊り始めた
ワルツの音楽が聞こえてくる中、二人は中庭で優雅にワルツを踊った
その光景は会場の中の華やかさよりもっと優雅で、そして何処か甘い雰囲気が漂っていた
おまけ
「リアさん、昨日から少しボーっとしてるけど具合でも悪いの?」
「ううん・・。大丈夫」
「の割にはいつのも覇気がねえよな」
翌日、食堂でいつも通り朝食を取ろうとしたが、リアの様子が可笑しい事に気が付きコハクも虎も、そしてルードも声を掛けた
「夜会で何か遭ったんですか?」
「え・・///」
ルードのその言葉に思わず反応し少しだけ顔が赤くなった
「え、何で顔赤くなってるの!?」
「なっ、何でもないの///」
「何でもねえって顔してねえぞ。ダリウス何が遭った」
「優美な姫君に惹かれて交際を申し込んだ男が居たから追い払っただけだよ。 ―― リアにキスしてね」
「そうでしたか・・・、」
優雅に紅茶の入ったティーカップを片手に持ちダリウスはさも当然と言う様に言い放ち、ルードも状況を理解したが、
「―― っ!、キ、「「キス!?!?///」」
「っ・・・///」
直ぐにダリウスの言葉に反応し、ルードは驚いて手に持っていたお盆を落とし、コハクも身を乗り出してリアを見て当人であるリアは更に顔を赤く染め俯いてしまった
「・・・ダリウス、お前、オレ達の知らねえとこで手出してたのか」
「虎には言われたくないかな」
と、会話が繰り広げられていて、リアは恥ずかしさのあまり今直ぐにでも穴があったら入りたいと思っていたのだった
続く
あとがき
はい、やっとダリウスさんお当番回きましたっ!
ダリウスさんは比較的書きやすい方なのでそんなに時間掛からずに思い付いたし書き上がりましたねw
保護者でありお父さんな面も入れつつやっぱり甘いのは入ってるし、ゲームでも結構絡んでたのでそれを踏まえつつ書いたらすんなり書けたので、ほんと書きやすかったです
頬にキス・・の所、髪や額でも良いかなーって思ったけど意味調べたら頬の方が良かったので頬にしましたw
後はやっぱりルードくんは本当に良く出来た従者ですよねw
ドレスを手直しする辺りも実はダリウスルートのあそこから取ってるんですけどねw(解った人はプレイ済みの人だなw)
そして蠱惑の森の皆さん、何か梓ちゃんがいなくなってからリア姫に攻めてきてんなwww
前からこのツッコミを思っていただろうし、俺も書きたかったけど此処までとっておきましたww←
ルードくんとコハクのあのキス!?!?って反応が好きすぎるww
それと何気に虎の事を解ってるダリウスさんが流石だと思いますwww(多分前回のアレとかだと思うけどww)
あ、あの後ちゃんとリアちゃんから「頬に、ですからっ!///」って言われましたのでww 言うのも恥ずかしかっただろうがww
さて、とりあえず一人一人お当番は回って着たので次回はちょっと本編入れつつとある人のルートも入れます
あそこってルートじゃなくても本編にかなり繋がる所だからさ
それでは、また次回!
ソワレ:夜会
2015.06.28
「うん、流石ルードだね、これも良いね。じゃあ次はこの色を試してみようか」
「畏まりました。ではリアさんお願いしますね」
「う、うん・・・」
言うとリアはルードから渡されたドレスを持って近くの部屋へ入って行った
「あいつらまだやってんのか?」
「うん。もう30分くらい経ったかなー」
ダリウスとルードと少し離れた所で彼等のやり取りをソファに寝そべって見ている虎と興味心身で見ているコハク
「飽きずに良くやるよな」
「けど、綺麗で素敵なリアさんの姿が見られて良いじゃん」
嬉しそうに言うコハクを見て虎もそれは満更ではないと思っていた
それはきっとダリウスとルードも同じであろう
先程から彼等が何をやっているかと言うと、事の始まりは40分前だった
「さて、どうしたものかな」
「あ、ダリウスさん、ルードくん、お帰りなさい」
「ああ、ただいま、リア」
「ただいま戻りました」
玄関の扉が開く音と共にダリウスとルードが邸の中へ入って来るのが見えリアは二人に声を掛けた
だが、二人とも何か考えているような顔をしていた
「・・どうかしたんですか?」
「・・・ダリウス様、此処はやはりリアさんに行って頂くのが一番良いと思います」
「・・・うーん、やはりそうかな」
ルードは出迎えてくれてたリアを見てそう言いダリウスもルードの言葉に納得していたようだったが、肝心のリアは疑問符を出していた
「え? 何の事ですか・・・・?」
「ああ、実はね・・・」
今日ダリウスとルードは古美術商の仕事で街に行っていた
買い付けに行った先で顧客から今度夜会を開くのでお二人にも是非参加してほしいと言われ招待状を貰ったのだった
大事な顧客からの招待だから断る訳にもいかない
だが、夜会となると変装しているルードにとっては不利な事があった
普段ダリウスの秘書として女性に変装している分には構わないが、夜会での女性の服装はドレスだ
そればかりはルードも遠慮せざるを得なかった
ダリウスもそれを解っているからどうするかと考え邸に帰って来て出迎えたリアを見て、ルードもダリウスもリアに一緒に夜会へ行ってもらうのが一番良いのでは、と思ったのだった
「・・・と言う事なので、私の代わりにリアさんが参加して頂けないでしょうか」
「リアならワルツも踊れるし、俺としても綺麗で素敵な姿の君を連れて行けるのは嬉しいけれどね」
「・・そこまで言われると気恥ずかしいですけど、ルードくんの代わりに参加するのは構いません。でも、私、ダリウスさんやルードくんみたいに古美術商に詳しくないですよ・・?」
「そこは心配しなくても大丈夫だよ。俺と一緒に居てくれるだけで良いから」
・・・と言う事でリアがルードの代わりに夜会に参加する事になり、早速ドレスや装飾品の見立てが始まり今に至るのだった
「お待たせしました」
リアの声が聞こえ皆先程リアが入って行った部屋の方を見た
「「「「・・・・・」」」」
そして出て来たリアの姿を見て皆目を瞠った
「うわあ! リアさんすっごく綺麗!!」
「へえ、なかなか良いじゃねえか」
「本当ですか・・?」
「ええ、とても良く似合っていますよ」
「今までの中で一番良いね。これなら文句なしだよ」
予想以上に皆から反応が返ってきてリアも嬉しくなっていた
「良かったぁ。私もこのドレス気に入っていたので嬉しいです」
リアもルードからこのドレスを受け取り着てみた時に綺麗なドレスで色も淡く少しレースも入っていて分相応に合っていたので直ぐに気に入ったのだった
「では当日はこのドレスで参加と言う事で宜しいですね」
「うん」
「少し手直しもしておきますので後で私の所に持って来て下さい」
解った、と返事を返しリアは先程の部屋へと入って行った
「ふふっ、当日は楽しみだね」
ダリウスは先程のリアの姿を見てそう思っていたのだった
21.月光ソワレ
「着いたよ、リア」
ダリウスは横抱きにしていたリアをゆっくりと降ろしてあげた
「ありがとう御座います。ダリウスさん」
「どういたしまして。それにしてもルードの一手間は大したものだね」
「はい、お陰で歩きやすくなりました」
夜会当日、ダリウスはドレスに着替えたリアを横抱きにして会場の近くまで空間移動した
そして今リアが着ているドレスはあの時選んだドレスだったが少し変わった所があった
ドレスの丈が前より上がっていて少しだけついていたレースの後ろに少し大きめのレースを付け、前より足下が動きやすくなっていた
(流石ルードくん。本当に良く出来た従者だよね・・・)
自分より年下なのだが、器用で気が利いて多くの事を知っていて何でも熟してしまう
リアも同じように器用だったり何でも熟す事が出来るが多種多様に対応出来るルードを尊敬していた
「では、優美な姫君、俺達もそろそろ行こうか」
「はい」
言うとダリウスは優しく微笑みながら手を出しリアもその手を取り会場へと向かって行き、中に入ると華やかに着飾った人達が大勢居た
その中をダリウスと歩いていると
「まあ、素敵な方々ね」
「ええ、とても絵になるわ」
「何処の何方かしら」
「お二方とも目を惹かれますね」
と次々とざわめきが聞こえる
ダリウスもリアも端から見れば西洋人と言う容姿に服装やドレスも華やかに映り、自分達とはかけ離れた雰囲気を醸し出していて周りの目を惹いていた
「ふふっ、注目されているようだね、リア」
「わ、私だけですか・・。ダリウスさんもだと思いますけど・・・」
周りに聞こえない声でお互いにそう言い、飲み物を取って自分達の席へ向かい席に座る
暫くして夜会は始まり先程よりも華やかになりワルツを踊る人達も増えてきた
リアは言われていた通り、ダリウスが顧客達と話をしている間は隣にいて軽く微笑んだり挨拶していたりした
「そこの優美な姫君、一曲踊って頂けませんか?」
「え?」
その時、一人の男性からそう声を掛けられた
「踊っておいで、リア」
「ダリウスさん、でも・・」
「せっかくの夜会なんだ。堅苦しい話ばかり聞いても楽しくないだろう。後で迎えに行くから踊っておいで」
「・・・はい」
確かに夜会にワルツはつきもの
ダリウスは馴染みの人達が多いから挨拶をするだけでも時間が掛かってしまうし、何よりこの会場に入ってから人一倍注目を集めてしまっていた
皆、リアと踊りたいと思いタイミングを見計らっていたのだろう
それに此処で断ってはダリウスに迷惑も掛けてしまうと思い男の申し出を受け男と共に中央に行きワルツを踊り始めた
「へえ、じゃあ君は秘書の代わりに来たんだ」
あれから次々にワルツを申し込まれ、踊り終えた後、グラスを持ってテラスに出て風に当たろうと思っていたら最後に踊った男が涼みに行くなら一緒に行くと言い、グラスを空にしてからテラスを出て中庭で話をしていたのだった
「じゃあこの夜会に来るのは今日が初めてなんだ」
「はい。予想以上に声を掛けられて吃驚してますけど・・・」
「そりゃ君達はかなり人目を惹いてたからね」
それは自分達も良く解っています・・・ιと思っていると、男はある事を聞いた
「ところでさ、君と一緒に居た人って君の恋人?」
「え?/// ど、どうしてですか・・?」
男の言葉に驚いてしまったが、何とか平常心を保ちながら男を見ると少し楽しそうにしてリアを見て言う
「あー、いや、違うなら良いんだ。こっちが有利だしね」
「え・・?」
「俺、君に惚れたんだ。だから俺と付き合わない?」
「・・・えっ・・・」
男はリアをじっと見つめてそう言った
(・・・これって、交際を申し込まれてるって・・事・・・!?)
今までそう言った事を何度か言われた事があったが、こんな間近で、しかも出会ってまだ間もない人から言われた事がなかったので驚いてしまった
「ああ、此処に居たんだね」
途端聞き覚えのある声が聞こえリアが振り向くとダリウスがリアの方へ向かって来ているのが見えた
「随分と探してしまったよ」
「・・・すみません」
「良いよ。それで、どうしてそこの彼はじっとこの子の事を見ているのかな」
男の視線に気付いていたのかダリウスはそう言って男を見てリアも男の方を見た
「彼女の答えを待っているからですよ」
「答え?」
「彼女に交際を申し込んだんです。だからその答えを待っているんですよ」
「・・・・」
その言葉を聞きダリウスは自分の前に居るリアを見るとリアは複雑な表情を浮かべていた
「ふうん。でも、それは了承出来かねてしまうね」
「何故です?」
「彼女をそう簡単に他の男に渡す事が出来ないからだよ」
「まるで彼女の恋人のような言い方ですね」
男の言葉を聞くとダリウスは得意げな顔をして言う
「残念だけど、そうだから、だよ」
「!?」「なっ!?」
その言葉に男だけでなくリアも驚いてしまい目を瞠る
「そ、そんな事、簡単に信じると思っているんですか」
だが男は諦めきれないのか未だに食って掛かってくる
「・・・仕方ない、か。リア、こっちへおいで」
「え、・・あ、はい」
ダリウスに呼ばれリアは素直にダリウスの所へ行くと、良い子だね、と言って軽く頭を撫でられた
そして、
「え、ダリウスさ・・・っ!?////」
「!?」
そのままリアの腰に手を回し距離が近くなったと思っているとダリウスの顔が近付き、そして二人の距離が完全になくなった
「・・・これで、解ってもらえたかな」
「っ、・・・!」
少ししてダリウスは体を離し男を見てそう言い、リアは恥ずかしさで顔を俯けていたがしっかりとダリウスの腕を掴んで離れようとしないのを見て男はそのまま何処かへ走り去って行った
「・・・やれやれ。やっと終わったようだね。リア、もう平気だよ」
「・・・・・」
それを見送りダリウスはリアに声を掛けたが、リアは未だに顔を真っ赤にして固まったままだった
「そんなに無防備にしていると、・・・本当に唇にキスするよ」
「えっ・・・!///」
その言葉でやっと我に返りあたふたとし始めダリウスは思わず笑ってしまった
「そんなに慌てなくて平気だよ。だた、ああでもしないとあの手の男は引かないからね」
先程の男を諦めさせる為、ダリウスはリアとキスをしているように見せかけていただけだで、本当は唇に近い場所に顔を近付けていただけだった
助けてくれた事に感謝をしているが、それでもリアにとっては異性があんなに近くに顔を近付けるのも初めてだったし、何よりダリウスが相手だったから余計に恥ずかしさが増していた
「・・・けど、俺としては本当にあのままキスしても良かったけど」
「・・・えっ・・。!」
その言葉にリアは驚いて顔を上げると群青色の瞳がじっと見つめそれから先程の様に距離が縮まっていき、ダリウスはそのままリアの頬に軽くキスを落とした
「っ~~・・! ダ、ダ、ダリウス・・さん!?////」
「ふふっ。これくらいはしても罰は当たらないだろう」
未だにダリウスに抱きしめられている為、身動きが取れないリアは先程よりも顔を真っ赤にしてダリウスを見ながら言うとダリウスは満足げに笑っていた
「それに、さっき言った事は冗談でもないから」
「・・・え?」
言うとダリウスはリアから少しだけ距離を取り、
「それじゃあリア、ワルツを踊ったら俺達も帰ろうか」
いつも以上に優しい目と声をして言うダリウスにリアも頷き、ワルツを踊り始めた
ワルツの音楽が聞こえてくる中、二人は中庭で優雅にワルツを踊った
その光景は会場の中の華やかさよりもっと優雅で、そして何処か甘い雰囲気が漂っていた
おまけ
「リアさん、昨日から少しボーっとしてるけど具合でも悪いの?」
「ううん・・。大丈夫」
「の割にはいつのも覇気がねえよな」
翌日、食堂でいつも通り朝食を取ろうとしたが、リアの様子が可笑しい事に気が付きコハクも虎も、そしてルードも声を掛けた
「夜会で何か遭ったんですか?」
「え・・///」
ルードのその言葉に思わず反応し少しだけ顔が赤くなった
「え、何で顔赤くなってるの!?」
「なっ、何でもないの///」
「何でもねえって顔してねえぞ。ダリウス何が遭った」
「優美な姫君に惹かれて交際を申し込んだ男が居たから追い払っただけだよ。 ―― リアにキスしてね」
「そうでしたか・・・、」
優雅に紅茶の入ったティーカップを片手に持ちダリウスはさも当然と言う様に言い放ち、ルードも状況を理解したが、
「―― っ!、キ、「「キス!?!?///」」
「っ・・・///」
直ぐにダリウスの言葉に反応し、ルードは驚いて手に持っていたお盆を落とし、コハクも身を乗り出してリアを見て当人であるリアは更に顔を赤く染め俯いてしまった
「・・・ダリウス、お前、オレ達の知らねえとこで手出してたのか」
「虎には言われたくないかな」
と、会話が繰り広げられていて、リアは恥ずかしさのあまり今直ぐにでも穴があったら入りたいと思っていたのだった
続く
あとがき
はい、やっとダリウスさんお当番回きましたっ!
ダリウスさんは比較的書きやすい方なのでそんなに時間掛からずに思い付いたし書き上がりましたねw
保護者でありお父さんな面も入れつつやっぱり甘いのは入ってるし、ゲームでも結構絡んでたのでそれを踏まえつつ書いたらすんなり書けたので、ほんと書きやすかったです
頬にキス・・の所、髪や額でも良いかなーって思ったけど意味調べたら頬の方が良かったので頬にしましたw
後はやっぱりルードくんは本当に良く出来た従者ですよねw
ドレスを手直しする辺りも実はダリウスルートのあそこから取ってるんですけどねw(解った人はプレイ済みの人だなw)
そして蠱惑の森の皆さん、何か梓ちゃんがいなくなってからリア姫に攻めてきてんなwww
前からこのツッコミを思っていただろうし、俺も書きたかったけど此処までとっておきましたww←
ルードくんとコハクのあのキス!?!?って反応が好きすぎるww
それと何気に虎の事を解ってるダリウスさんが流石だと思いますwww(多分前回のアレとかだと思うけどww)
あ、あの後ちゃんとリアちゃんから「頬に、ですからっ!///」って言われましたのでww 言うのも恥ずかしかっただろうがww
さて、とりあえず一人一人お当番は回って着たので次回はちょっと本編入れつつとある人のルートも入れます
あそこってルートじゃなくても本編にかなり繋がる所だからさ
それでは、また次回!
ソワレ:夜会
2015.06.28