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電車の止まる音が駅に響き、扉が開くとそこから多くの客が降りてくる
その中にリアもいた
「ちょっと予定より早く着いちゃったかな・・・」
駅に設置してある時計を見て時間を確認すると予定時刻より30分も前に着いていた
「少し時間もあるし、天気も良いから両国橋の辺りを散歩してから行こうかな」
言うとリアは踵を返して駅を出て両国橋の方へ向かう
「うーん、やっぱり此処は風が気持ちいいなぁ」
両国橋に差し掛かり涼しい風と共に先程乗っていた電車とは反対方向へ行く電車が横切っていく
「・・・あれ?」
その電車が通り過ぎ河川敷の方を歩こうかと思い河川敷に向かう階段の所を見ると見覚えのある人物達がいた
19.それぞれの力
「梓ちゃんと、村雨さん・・・?」
「え?」
「それに皆さんも・・・」
「おや、リアくん。おはよう御座います」
リアはそこに集まっている面々を見て声を掛けた
そこには梓を始め、精鋭分隊の有馬と秋兵、そして白龍の神子の千代と軍の相談役である九段と・・今日は村雨も一緒にいた
「おはよう御座います。皆さん勢揃いしてこんな所でどうしたんですか?」
「今し方、この両国橋の水面に巨大な影がありと目撃情報があったのだ」
「それで皆さんで真偽を確かめに来たと言う事ですか?」
「ええ」
「・・村雨さんもご一緒にですか?」
「呼び出されたからな・・・こんだけいりゃ俺が呼びつけられる必要があるかどうか」
「此度の相手は少し厄介かもしれぬのだ。一応、戦力を整えておきたくてな」
「それで、お宅はどうして此処に」
「私はこの辺りに用があって。ちょっと早く着いたので両国橋の辺りを散歩しようと思って」
「それで来てみたら俺達がいたので声を掛けた、と言う事か」
「そんな所です」
確かに一般市民なら神子様御一行を見かけても恐れ多くて普通に話掛けるなど出来ないだろうが、リアは梓を始め秋兵や九段、村雨とも知り合いだし、有馬とも千代とも一度顔を合わせ話をした事があった
人柄なのか性格なのか、それとも仕事柄なのか、誰にでも接する事が出来るリアは彼等を見かけても普通に接してくれていた
その事をありがたいと思いながら彼等は話を元に戻した
「それで九段殿、先程おっしゃっていた厄介と言うのはどう言う事でしょう」
「私も気配を感じられないですし・・・」
「先程の目撃情報から考えるに怨霊は何処に居ると思う?」
「・・・もしかして川の中? 目撃した人は、「水面に影」って言ってたみたいだし」
「ああ、我も同意見だ。河川敷に下りてみよう」
九段の言葉に頷き皆歩き出そうとしていると、千代がリアを見た
「じゃあ私達は行きますね」
「ええ」
だが、リアは皆の後ろを着いて行くように歩いていた
「・・・あの、どうして一緒に着ているんですか?」
「さっき言わなかったかしら。河川敷を散歩するって」
「民間人が来るのは危険だ。怨霊が出るかもしれないんだぞ」
「気にしないで下さい。一応私も自分の身は自分で守れますから。それに皆さんの勇姿を見ていたいので。勿論、少し離れた所に座ってますから邪魔はしません」
にっこりと良い笑顔で言うリアを見て梓と村雨以外は呆然として少し固まってしまった
「流石リアさん・・・」
「あの度胸は流石と言うか頼もしいと言うか・・」
あの有馬相手に平気でああ言ってのけるのだから梓も村雨もそう言って村雨は小さく笑い、梓は邸にいた時にルードと虎の言い合いを止めていたリアを思い出していた
そうしてリアを含め皆で河川敷に下りた
リアは先程言った通り河川敷を下りた階段の近くに座って梓達の様子を見ていた
「・・・ああは言っていたけれど、大丈夫かしら」
「リアさんなら大丈夫だよ。それに私達で何とかすれば大丈夫」
リアの強さを知っている梓は千代にそう言い、怨霊の気配を探る
「・・・・」
そしてリアは少し離れた所にいる梓達を見て先程聞いた梓達の会話を思い出していた
(梓ちゃん達が探そうとしている怨霊は川の底にいるって考えるのが妥当ね。「水面に影」って言ってたからかなりの大物でずっと住み着いていた怨霊と思った方が良いかもしれないわね)
敵は辺りの怨霊達が次々と消えゆくのを感じ過敏になっているとも思った方が良さそうだ
だが、問題はどうやってその怨霊を倒すか、だった
リアも気配さえ分かれば直ぐにナイフを投げて退治する事が出来るが梓のように直ぐに気配を捉える事が出来ないし、今はリアが戦えると言う事を知らない有馬達も一緒だから下手に手出しは出来ない
(・・・そう言えば、黒龍の神子って招霊が使えなかったっけ?)
ふと、文献で読んだ事を思い出した
(確か、『陰の気を用いて怨霊を此方 へ招く力』・・・だったっけ)
つまり黒龍の神子である梓が怨霊の気配を感じ、その怨霊に自分の元へ来て、と願えば必然的に姿を現す訳だ
その方法は星の一族である九段なら知っているだろうと思って彼等を見ていると九段が梓に何か伝え梓が川の方を見て祈るようにしていると
「!」
途端、水面と辺りの空気が震え始め黒い瘴気が集まり、それは大きな塊となり巨大な怨霊が数体現れた
「・・・どうやら成功したみたいね」
梓達は怨霊を確認すると自分達の武器を取り出し戦い始める
「・・・お手並み拝見、ね」
有馬と秋兵はお互いの動きを判断し援護に回ったり先手を打ち見事に怨霊を倒していき、九段も村雨と共に神子達を守りながら戦い梓も隙を見て狙いを定めて怨霊を倒していく
「・・・・ふうん。なかなか良い連携ね。それに梓ちゃん、また強くなってる」
関心と共に梓の成長ぶりを見て素直に喜んでいた
「けど、皆さん少しだけ甘いかな・・・」
何かを思ったリアはある一点を見て少しだけ体を屈ませた
梓達は各々戦っていた怨霊を倒し、辺りに気配がないかを確認する
「・・・・これで、全部、かしら・・」
「・・・っ!」
千代ももう怨霊が出てこないのを見てそう言い梓達も頷き武器を降ろそうとしていた時だった
先程怨霊が出てきた瘴気の辺りから新たな気配を感じ、皆瞬時に反応をするもこの位置から直ぐに攻撃出来るのは飛び道具を持っている梓だけだった
「え?」
そう思った矢先、怨霊は姿を見せる事なく悲鳴に似た声を上げ消えていき、辺りに溜まっていた瘴気は完全になくなり涼しい自然の風と空気になった
「・・・今のは・・・?」
「・・・何が起きたと言うのだ・・・?」
皆今何が起こったのか解らない状態だった
誰もこの場から動いていない
だが、怨霊も瘴気も消え先程までとは違い両国橋の平和な風景に戻っていた
「・・・高塚、お前が怨霊を倒したのか?」
「え・・」
そう、この場で飛び道具である武器を持っているのは梓の銃だけだ
そして怨霊の気配をいち早く察知する事が出来るのも梓だけ
皆そう解釈し梓に一斉に視線が集まる
「えっと・・・。(! あ、もしかして!)」
梓はある事を思い皆に気付かれないよう自分達から少し離れた場所に居るリアを見る
リアは両国橋の上を走っている電車を見ていたが梓の視線に気付いたのか梓を見ていつもの優しい笑顔を向けてくれていた
その笑顔を見て何かを思った梓だったが、先程の怨霊は自分が倒した、と言う事にしておいた
それを聞き千代や九段、秋兵が凄いと褒め有馬も礼を言っていた
「あんたも熟々不憫なガキだねえ」
「え?」
そんな中、村雨も何かを解っているのか梓にそう言っていた
「さっき怨霊を倒したのはあんたじゃなく、あそこにいる楓月なんだろ」
「村雨さん、気付いていたんですか?」
「あんたのさっきの反応を見てそう思っただけだよ」
村雨もリアが戦える事を知っているから梓の反応を見れば梓ではなくリアが倒した、と言う答えに辿り着く
そしてそのまま皆でリアの元へ向かう
「皆さん凄かったです」
「優美な姫君に僕の勇姿を見て頂けて光栄ですよ」
「秋兵――」
いつもの調子で言う秋兵を見て有馬も千代も呆れていた
「片霧さんはいつも通りですね・・。でもこれで此処は安全ね」
「うむ。リアも安心して散歩が楽しめるな」
「はい。皆さん有り難う御座います」
「じゃ、そろそろ解散って事で良いのかね」
「ああ。我々はこれから他の怨霊退治に向かうが」
「なら今日は俺抜きでやってくれ。昼から出版社と打ち合わせがあるんでね」
「じゃあ私もそろそろ行きますね」
「ええ。ではまた」
言うと有馬達は踵を返して階段を登りだしたが、直ぐに梓が戻って来る
「リアさん、さっきはありがとう」
「え?」
「最後の怨霊を倒したの、リアさんだよね」
「・・・・ええ」
あの時、リアは瘴気の中に潜む怨霊の視線を感じ取っていた
梓達と離れ少し上り坂になっている所に座っていたお陰で怨霊を早く見つける事が出来た
そして怨霊と戦っている梓達にも気付かれないように気配を消して体制を低くし怨霊が動いた所を見計らってナイフホルダーからナイフを1本抜いて素早く投げ怨霊を倒しその後は自分だと気付かれないように周りの景色を見たりしていたのだった
「・・・楓月も相当な策士だな」
「策士は酷いですよ。面倒事を避けただけです」
リアはダリウス達鬼の一族側に属していると言ってもいい
村雨のように戦う力があると解れば協力してほしいと言われてしまうし、一緒にいる時に何かの拍子で鬼の一味と解ってしまう可能性もある
だから先程の事は言わず梓と村雨だけその事を知っている事になるのだ
「あ、私、そろそろ行かなくちゃ」
懐中時計を開いて時間を確認したリアはそう言い村雨もハイカラヤに戻ると言っていた
「じゃあ梓ちゃん。またね」
「うん。リアさん、本当にありがとう」
「頑張ってね」
「うん。じゃあまた」
言うと梓は手を振って走って階段を駆け上がって行った
「・・・楓月も色々と大変だな」
「村雨さんもお仕事の合間に梓ちゃん達を手伝っていて大変だと思いますけど」
「そりゃ彼奴等に押し切られたからな・・・」
村雨が梓達に同行している事やその経緯はリアもハイカラヤで村雨と九段から聞いていたので知っていたが初めてこうやって一緒にいる所や、ダリウスから報酬として貰った流星剣で怨霊を倒している所を見たのだった
「って、本当にそろそろ行かないと政虎さんに怒られちゃう」
「なんだ、用ってのは本条とか」
「はい。ダリウスさんからの頼まれ事で今日は政虎さんと一緒に。それじゃあ村雨さん、私はこれで失礼します」
言うとリアは急いで走って行った
「慌ただしいな。けど、・・ダリウスが楓月を側に置いておく理由もなんとなく解った気がするな・・・」
普段からリアの事は知っていたが、今日でまた色々な一面を見てダリウスがリアを側に置いている理由がなんとなく解り小さく笑った後、村雨も自身のねぐらであるハイカラヤへと向かって歩き出した
続く
あとがき
はい、今回は帝国軍側の皆さんと一緒に行動する?回でしたw
前回本編使うって言ったけど、この辺りって鬼の皆さん達まだ殆ど絡んでねえww どうしよう・・・ιってなってたけど、此処なら帝国軍側の人達と絡み書けそうだし、本編で言うなら今どの辺り~って解るから此処にしよう!って思って此処に決まりましたw
帝国軍側の人達とも絡みが書けて楽しかったし、最後の方のリアちゃんと梓ちゃんと村雨さんのやり取りも書いてて楽しかったです
さて次回は最後の方に書いてある通り、虎と会った所からです
ええ、次のお当番は言わずも虎です!
まーーたかなあああり時間掛かると思うけど頑張って書きます!
ではっ!(意外とあとがき短かったなww)
2015.06.27
その中にリアもいた
「ちょっと予定より早く着いちゃったかな・・・」
駅に設置してある時計を見て時間を確認すると予定時刻より30分も前に着いていた
「少し時間もあるし、天気も良いから両国橋の辺りを散歩してから行こうかな」
言うとリアは踵を返して駅を出て両国橋の方へ向かう
「うーん、やっぱり此処は風が気持ちいいなぁ」
両国橋に差し掛かり涼しい風と共に先程乗っていた電車とは反対方向へ行く電車が横切っていく
「・・・あれ?」
その電車が通り過ぎ河川敷の方を歩こうかと思い河川敷に向かう階段の所を見ると見覚えのある人物達がいた
19.それぞれの力
「梓ちゃんと、村雨さん・・・?」
「え?」
「それに皆さんも・・・」
「おや、リアくん。おはよう御座います」
リアはそこに集まっている面々を見て声を掛けた
そこには梓を始め、精鋭分隊の有馬と秋兵、そして白龍の神子の千代と軍の相談役である九段と・・今日は村雨も一緒にいた
「おはよう御座います。皆さん勢揃いしてこんな所でどうしたんですか?」
「今し方、この両国橋の水面に巨大な影がありと目撃情報があったのだ」
「それで皆さんで真偽を確かめに来たと言う事ですか?」
「ええ」
「・・村雨さんもご一緒にですか?」
「呼び出されたからな・・・こんだけいりゃ俺が呼びつけられる必要があるかどうか」
「此度の相手は少し厄介かもしれぬのだ。一応、戦力を整えておきたくてな」
「それで、お宅はどうして此処に」
「私はこの辺りに用があって。ちょっと早く着いたので両国橋の辺りを散歩しようと思って」
「それで来てみたら俺達がいたので声を掛けた、と言う事か」
「そんな所です」
確かに一般市民なら神子様御一行を見かけても恐れ多くて普通に話掛けるなど出来ないだろうが、リアは梓を始め秋兵や九段、村雨とも知り合いだし、有馬とも千代とも一度顔を合わせ話をした事があった
人柄なのか性格なのか、それとも仕事柄なのか、誰にでも接する事が出来るリアは彼等を見かけても普通に接してくれていた
その事をありがたいと思いながら彼等は話を元に戻した
「それで九段殿、先程おっしゃっていた厄介と言うのはどう言う事でしょう」
「私も気配を感じられないですし・・・」
「先程の目撃情報から考えるに怨霊は何処に居ると思う?」
「・・・もしかして川の中? 目撃した人は、「水面に影」って言ってたみたいだし」
「ああ、我も同意見だ。河川敷に下りてみよう」
九段の言葉に頷き皆歩き出そうとしていると、千代がリアを見た
「じゃあ私達は行きますね」
「ええ」
だが、リアは皆の後ろを着いて行くように歩いていた
「・・・あの、どうして一緒に着ているんですか?」
「さっき言わなかったかしら。河川敷を散歩するって」
「民間人が来るのは危険だ。怨霊が出るかもしれないんだぞ」
「気にしないで下さい。一応私も自分の身は自分で守れますから。それに皆さんの勇姿を見ていたいので。勿論、少し離れた所に座ってますから邪魔はしません」
にっこりと良い笑顔で言うリアを見て梓と村雨以外は呆然として少し固まってしまった
「流石リアさん・・・」
「あの度胸は流石と言うか頼もしいと言うか・・」
あの有馬相手に平気でああ言ってのけるのだから梓も村雨もそう言って村雨は小さく笑い、梓は邸にいた時にルードと虎の言い合いを止めていたリアを思い出していた
そうしてリアを含め皆で河川敷に下りた
リアは先程言った通り河川敷を下りた階段の近くに座って梓達の様子を見ていた
「・・・ああは言っていたけれど、大丈夫かしら」
「リアさんなら大丈夫だよ。それに私達で何とかすれば大丈夫」
リアの強さを知っている梓は千代にそう言い、怨霊の気配を探る
「・・・・」
そしてリアは少し離れた所にいる梓達を見て先程聞いた梓達の会話を思い出していた
(梓ちゃん達が探そうとしている怨霊は川の底にいるって考えるのが妥当ね。「水面に影」って言ってたからかなりの大物でずっと住み着いていた怨霊と思った方が良いかもしれないわね)
敵は辺りの怨霊達が次々と消えゆくのを感じ過敏になっているとも思った方が良さそうだ
だが、問題はどうやってその怨霊を倒すか、だった
リアも気配さえ分かれば直ぐにナイフを投げて退治する事が出来るが梓のように直ぐに気配を捉える事が出来ないし、今はリアが戦えると言う事を知らない有馬達も一緒だから下手に手出しは出来ない
(・・・そう言えば、黒龍の神子って招霊が使えなかったっけ?)
ふと、文献で読んだ事を思い出した
(確か、『陰の気を用いて怨霊を
つまり黒龍の神子である梓が怨霊の気配を感じ、その怨霊に自分の元へ来て、と願えば必然的に姿を現す訳だ
その方法は星の一族である九段なら知っているだろうと思って彼等を見ていると九段が梓に何か伝え梓が川の方を見て祈るようにしていると
「!」
途端、水面と辺りの空気が震え始め黒い瘴気が集まり、それは大きな塊となり巨大な怨霊が数体現れた
「・・・どうやら成功したみたいね」
梓達は怨霊を確認すると自分達の武器を取り出し戦い始める
「・・・お手並み拝見、ね」
有馬と秋兵はお互いの動きを判断し援護に回ったり先手を打ち見事に怨霊を倒していき、九段も村雨と共に神子達を守りながら戦い梓も隙を見て狙いを定めて怨霊を倒していく
「・・・・ふうん。なかなか良い連携ね。それに梓ちゃん、また強くなってる」
関心と共に梓の成長ぶりを見て素直に喜んでいた
「けど、皆さん少しだけ甘いかな・・・」
何かを思ったリアはある一点を見て少しだけ体を屈ませた
梓達は各々戦っていた怨霊を倒し、辺りに気配がないかを確認する
「・・・・これで、全部、かしら・・」
「・・・っ!」
千代ももう怨霊が出てこないのを見てそう言い梓達も頷き武器を降ろそうとしていた時だった
先程怨霊が出てきた瘴気の辺りから新たな気配を感じ、皆瞬時に反応をするもこの位置から直ぐに攻撃出来るのは飛び道具を持っている梓だけだった
「え?」
そう思った矢先、怨霊は姿を見せる事なく悲鳴に似た声を上げ消えていき、辺りに溜まっていた瘴気は完全になくなり涼しい自然の風と空気になった
「・・・今のは・・・?」
「・・・何が起きたと言うのだ・・・?」
皆今何が起こったのか解らない状態だった
誰もこの場から動いていない
だが、怨霊も瘴気も消え先程までとは違い両国橋の平和な風景に戻っていた
「・・・高塚、お前が怨霊を倒したのか?」
「え・・」
そう、この場で飛び道具である武器を持っているのは梓の銃だけだ
そして怨霊の気配をいち早く察知する事が出来るのも梓だけ
皆そう解釈し梓に一斉に視線が集まる
「えっと・・・。(! あ、もしかして!)」
梓はある事を思い皆に気付かれないよう自分達から少し離れた場所に居るリアを見る
リアは両国橋の上を走っている電車を見ていたが梓の視線に気付いたのか梓を見ていつもの優しい笑顔を向けてくれていた
その笑顔を見て何かを思った梓だったが、先程の怨霊は自分が倒した、と言う事にしておいた
それを聞き千代や九段、秋兵が凄いと褒め有馬も礼を言っていた
「あんたも熟々不憫なガキだねえ」
「え?」
そんな中、村雨も何かを解っているのか梓にそう言っていた
「さっき怨霊を倒したのはあんたじゃなく、あそこにいる楓月なんだろ」
「村雨さん、気付いていたんですか?」
「あんたのさっきの反応を見てそう思っただけだよ」
村雨もリアが戦える事を知っているから梓の反応を見れば梓ではなくリアが倒した、と言う答えに辿り着く
そしてそのまま皆でリアの元へ向かう
「皆さん凄かったです」
「優美な姫君に僕の勇姿を見て頂けて光栄ですよ」
「秋兵――」
いつもの調子で言う秋兵を見て有馬も千代も呆れていた
「片霧さんはいつも通りですね・・。でもこれで此処は安全ね」
「うむ。リアも安心して散歩が楽しめるな」
「はい。皆さん有り難う御座います」
「じゃ、そろそろ解散って事で良いのかね」
「ああ。我々はこれから他の怨霊退治に向かうが」
「なら今日は俺抜きでやってくれ。昼から出版社と打ち合わせがあるんでね」
「じゃあ私もそろそろ行きますね」
「ええ。ではまた」
言うと有馬達は踵を返して階段を登りだしたが、直ぐに梓が戻って来る
「リアさん、さっきはありがとう」
「え?」
「最後の怨霊を倒したの、リアさんだよね」
「・・・・ええ」
あの時、リアは瘴気の中に潜む怨霊の視線を感じ取っていた
梓達と離れ少し上り坂になっている所に座っていたお陰で怨霊を早く見つける事が出来た
そして怨霊と戦っている梓達にも気付かれないように気配を消して体制を低くし怨霊が動いた所を見計らってナイフホルダーからナイフを1本抜いて素早く投げ怨霊を倒しその後は自分だと気付かれないように周りの景色を見たりしていたのだった
「・・・楓月も相当な策士だな」
「策士は酷いですよ。面倒事を避けただけです」
リアはダリウス達鬼の一族側に属していると言ってもいい
村雨のように戦う力があると解れば協力してほしいと言われてしまうし、一緒にいる時に何かの拍子で鬼の一味と解ってしまう可能性もある
だから先程の事は言わず梓と村雨だけその事を知っている事になるのだ
「あ、私、そろそろ行かなくちゃ」
懐中時計を開いて時間を確認したリアはそう言い村雨もハイカラヤに戻ると言っていた
「じゃあ梓ちゃん。またね」
「うん。リアさん、本当にありがとう」
「頑張ってね」
「うん。じゃあまた」
言うと梓は手を振って走って階段を駆け上がって行った
「・・・楓月も色々と大変だな」
「村雨さんもお仕事の合間に梓ちゃん達を手伝っていて大変だと思いますけど」
「そりゃ彼奴等に押し切られたからな・・・」
村雨が梓達に同行している事やその経緯はリアもハイカラヤで村雨と九段から聞いていたので知っていたが初めてこうやって一緒にいる所や、ダリウスから報酬として貰った流星剣で怨霊を倒している所を見たのだった
「って、本当にそろそろ行かないと政虎さんに怒られちゃう」
「なんだ、用ってのは本条とか」
「はい。ダリウスさんからの頼まれ事で今日は政虎さんと一緒に。それじゃあ村雨さん、私はこれで失礼します」
言うとリアは急いで走って行った
「慌ただしいな。けど、・・ダリウスが楓月を側に置いておく理由もなんとなく解った気がするな・・・」
普段からリアの事は知っていたが、今日でまた色々な一面を見てダリウスがリアを側に置いている理由がなんとなく解り小さく笑った後、村雨も自身のねぐらであるハイカラヤへと向かって歩き出した
続く
あとがき
はい、今回は帝国軍側の皆さんと一緒に行動する?回でしたw
前回本編使うって言ったけど、この辺りって鬼の皆さん達まだ殆ど絡んでねえww どうしよう・・・ιってなってたけど、此処なら帝国軍側の人達と絡み書けそうだし、本編で言うなら今どの辺り~って解るから此処にしよう!って思って此処に決まりましたw
帝国軍側の人達とも絡みが書けて楽しかったし、最後の方のリアちゃんと梓ちゃんと村雨さんのやり取りも書いてて楽しかったです
さて次回は最後の方に書いてある通り、虎と会った所からです
ええ、次のお当番は言わずも虎です!
まーーたかなあああり時間掛かると思うけど頑張って書きます!
ではっ!(意外とあとがき短かったなww)
2015.06.27