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梓が帝国軍側に来て数日が経った
初めのうちは周りに軍人が多く緊張もしていたが、今ではだいぶ緊張する事もなくなった
そして今は各地の怨霊退治の為に、対である白龍の神子、駒野 千代と二人の神子の護衛をし共に怨霊退治をしている精鋭分隊隊長の有馬 一、副隊長の片霧 秋兵、そして軍の相談役であり星の一族の萩尾 九段と、梓達に頼み込まれ協力する事になった里谷 村雨と共に行動していた
村雨は今日は情報屋の仕事で共にいないが、今日は今まで怨霊退治した場所を周り異常が無い事を確認していた
「これでこの辺りの怨霊は退治出来たな」
「ええ、梓のお陰ね」
「梓、良くやってくれた」
「みんなの協力があったからだよ」
「いえ、本当に梓くんは頑張ってくれました」
みんなに褒められ嬉しい気持ちと少しだけ褒められて照れている部分もあった
「では、明日からは違う場所へ怨霊退治に行くとしよう」
「そうですね。では今日はこれで解散と言う事で良いんですかね、有馬」
「ああ」
「でしたら、これから皆さんで出掛けませんか?」
「え?」
秋兵の言葉に皆一斉に疑問を持った
17.めぐりあい
「さあ、着きましたよ」
あれから秋兵の提案に乗り皆で飲食街へと向かい、今はある店の前にいた
「・・・此処は?」
「ミルクホウルです」
「おお、此処があのミルクホウルか。我は一度来てみたかったのだ」
「九段、はしゃぎすぎよ」
「・・・何故俺まで」
「・・・・(此処は・・)」
はしゃぐ面々を見て有馬は未だに自分も共に連れられて来ている事に疑問を持っていて、梓はこの店を見てある事を思っていたが、皆秋兵と共に中に入って行き梓もその後に続く
チリンチリンと扉の上に設置してあるベルが新しい客だと知らせるように鳴り店員達からいらっしゃいませと声が上ったと思ったら黄色い声が聞こえ始める
その事に疑問を持ちながらリアもテーブルを拭いていた手を止め顔を上げる
「いらっしゃいま・・・せ・・・」
だが、入って来た新たな客を見てリアは目を瞠ってしまう
そこに居たのは常連客である秋兵と今日は連れがいるのか彼の後ろに数人いた
そしてその中に
「・・・・梓、ちゃん・・?」
梓の姿もあった
「「え?」」
リアの言葉を聞くと秋兵を含め連れの者達も一斉に梓を見た
「梓くん、リアくんと知り合いだったんですか?」
「・・は、はい・・・」
「・・・・」
が、そこでお互いに言葉が途絶えてしまう
「5名様ですね、こちらの席へどうぞ」
リアは直ぐに気持ちを切り替えいつものように接客を始め、今自分が拭いていたテーブルと隣のテーブルをくっつけ梓達を席へ案内した
「ご注文はどうなさいますか?」
メニューを配ってサロンのポケットから注文表とペンを出して卓番と人数を書きながら尋ねる
「僕はいつものでお願いします」
「いつもの・・・?」
「私はこのスウィートポテトにしようかしら」
「・・・うむ、我はビスケットとチョコレイトウとミルクキャラメルの詰め合わせにしよう!」
真新しいものを見る子供のようにはしゃぐ九段とそれを宥める千代だったが千代もメニューを見て少しばかり目を輝かせていた
「梓くんはどうしますか?」
「え?」
「後はお前だけだ」
いつの間にか有馬も注文していたようで
「・・じゃあ、私も・・いつもの、で」
「はい、畏まりました」
ぽつぽつと言い、全員の注文を聞くとリアはメニューを回収し会釈をしてその場を離れ厨房へと向かって行った
「・・・・(やっぱり、ちょっと気まずいな・・・)」
あの日、突然何も言わずに邸から離れ帝国軍の元に行ってしまった
リアの気持ちは今も変わらずダリウス達と共にいる事、そしてダリウス達がやろうとしている事に協力する事だ
リアも梓と同じで多くの人を傷つけてしまった事に対して悲しみを覚えているし、自分の事を大事に思ってくれているのは知っている
けど、今はお互い違う立場にいるし、まさかこんな形でこのミルクホールに来て再会するとは思ってはいなかったので、どんな顔をしていれば良いのかと思っていた
「おい、高塚、聞いているのか」
「え・・・」
考え事をしていたからか、有馬に呼ばれるまで気が付かなかった
「すみません。あの、なんですか」
「先程、いつものと言っていたので梓くんも此処の常連なのかと思いまして」
「常連・・と言う程ではないですけど、何度か来た事があるんです」
「まあそうだったの。それでさっきの人と知り合いだったのね」
「成る程。でも彼女と話せているとは梓くんは運が良いんですね」
「え?」
「む、どう言う事だ?」
「彼女はこの店の看板娘なんですよ」
「まあ」
「そうだったのか」
「ええ。ですから常連客でもなかなか彼女と話せる機会がないんですよ」
「片霧さんとは、良くお話していると思いますけど」
そう話していると第三者の声が聞こえ声の主を見るとリアが注文の品を持って来た所だった
「なら、僕も運が良いと言う事ですね」
一人一人の注文の品を並べながら秋兵の言葉を聞き全員分の配膳が終わった所でリアは全員を見た
「初めましての方もいますので挨拶をさせて頂きます。私は楓月璃唖と言います。皆さんのご活躍は常々聞いています」
少し他人行儀で話すリアを見て一瞬だけだが梓は距離を感じてしまう
その間にリアと初めて会う有馬と千代も挨拶をしていたが次に挨拶をすると思っていた人物が言わないので千代は自分の隣に居る九段を見る
「九段、貴方は挨拶しなくて良いの?」
「ああ。我とリアは既に顔見知りだ」
「おや、そうだったんですか」
「いつの間に・・・」
「九段さんとはとあるカフェーでのお友達なんです」
「うむ。たまにカフェーで会った時は、共にアイスクリンやケーキや和菓子などの話をしておるぞ」
・・つまり甘味仲間なのか・・・と聞いていた面々は思った
あのハイカラヤで甘味話をするリアと九段の姿を想像して、
(・・・ある意味、凄いような気がする・・ι)
と梓は思っていた
そして目の前にある自分が頼んだ品を見る
(・・・・いつもリアさんとこのカステラを食べてたんだよね)
いつもの、と言って頼んだが、この店に来てカステラと紅茶を頼んだのは1度だけ
後は邸で何度かリアと二人で食べたりみんなで食べたりしていた
そう思い返して紅茶を飲もうとしティーカップを上げるとカップの下に小さく紙が折り畳んであり、梓はそれをみんなに見られないようテーブルの下で開いて中を見る
「・・・!」
それを見て梓は一瞬目を瞠ったが直ぐにその紙を折り畳んでポケットに入れた
「ありがとう御座いました~」
一時間くらいした後、梓達はミルクホールから出てきた
「はあ、とても美味しかったあ」
「ああ、なかなか美味いものを出す所だったな」
「おや、駒野くんだけでなく有馬まで気に入ってくれましたか」
「我も満足したぞ」
「九段さん、ずっと本に夢中でしたからね」
「お前達も随分と盛り上がっていたようだが」
そう言う梓だったが、梓も千代と最近出たばかりの服飾系の雑誌を見てはしゃいでいた
「あら、神子と言えど、お洒落には敏感な乙女なんですよ。ねえ、梓」
「うん。・・・あれ」
ミルクホールを出て暫く話しながら歩いていたが急に梓が立ち止まり梓を見ると何かを探しているそぶりを見せた
「何か探し物ですか?」
「・・・あの、ミルクホールに忘れ物をして来ちゃったみたいなので、皆さんは先に戻っていて下さい」
「そうか。では気を付けて帰って来るのだぞ」
言うと九段達は軍邸へ向けて歩いて行き梓も踵を返してミルクホールへと向かう
客が入って来た時に鳴るベルの音が聞こえリアは店主に声を掛けて梓の方へ行く
「梓ちゃん、どうぞ、こっち」
そう言ってリアが案内した席はカウンター席だったが其処は客席から少し視界が遮られていて一部の客しか使用出来ない特別席だった
梓も一度だけこの席に座った事があった
「さっき飲んだばかりだけど・・・何か飲む?」
「じゃあミルクで」
「うん。ちょっと待ってね」
そう言ってミルクをグラスに入れて出してくれた
「ありがとう」
梓が此処に戻って来たのは、あの時見つけたメモを見たからだった
それはリアからの手紙で話したい事があるから来てほしいと書かれていた
梓もリアとはちゃんと話しておきたいと思っていたから有馬達と別れて戻って来たのだった
「・・・こうやって話すの久し振りね」
「うん・・・。前にも同じ会話したよね」
梓がそう言うとリアは笑ってそうねと言った
「梓ちゃん、今の暮らしは楽しい?」
「え? うん。みんな優しい人達ばかりだし、自由とは言えないけど外にも出られるし」
「そう。梓ちゃんが幸せそうにしてるなら安心した」
「あ・・・」
いつものリアの優しい笑顔を見て梓は安心感と懐かしさを感じた
「リアさん、その、急に邸からいなくなっちゃってごめん。ずっと言いたかったんだけど、どう伝えたら良いのか解らなくて・・・」
此処に来てこうやって伝えるのが一番良いと思っていたのだが、なかなか来る時間もなくもし来たとしても誰か一人でも共を連れていないといけなかったのでタイミングが掴めずにいた
だから今こうやって2人で話せる時間が出来て良かったと梓もリアも思っていた
「・・・梓ちゃんがいなくなって私もコハクくんもルードくんも、勿論ダリウスさんと政虎さんも寂しい思いはしていたわ。でも頑張ってる梓ちゃんの事を聞いたりしてそれでも良いのかなって私達も思えるようになったの」
「え・・」
「新しい世界を見て、自分で考えて行動して、それで梓ちゃんのやるべき事を見つける。それが一番良いと思うし、そうやってるうちにいつかまた会えるって思ってたから」
「・・・・」
「住む世界も違って関わり合いも少なくなってるけど、私は今まで通り梓ちゃんと友達として接していたいって思ってる」
「それは私も同じだよ。こうやってリアさんと話してると安心するし凄く落ち着けるし・・・」
そこで梓は言葉を切ったがそんな梓を見てお互いに同じ事を思っていたのかと思って笑い合って邸にいた時のような雰囲気に戻り、お互いに今までの事を話したりしていた
「そうだ。梓ちゃんに大事な報告があったんだった」
「え? なに?」
「コハクくんね、少し記憶を取り戻したの」
「え、本当!?」
「うん。今度コハクくんに会ったら聞いてみると良いよ。いつもの所で独楽回しやってるから」
いつか梓と会えたらコハクの事は話しておいた方が良いと思っていたし、梓もずっと心配していた事だったから伝えられて良ったとリアは思っていた
それから暫くして話を切り上げリアと梓は店の前にいた
「じゃあ梓ちゃん、気を付けてね」
「うん。今日は話せて良かったし楽しかった」
「私も。また話をしたくなったらいつでもいらっしゃい。皆さんと一緒でも良いし2人で話したい時はあの席に案内するから」
「うん。じゃあまたね」
「ええ」
言うと梓は笑顔で手を振って人並みの中に入って行った
「・・・・良かった。本当に元気そうで」
我が子や妹を見るような目をして梓が走って行った方を見ながらリアはそう言った
(あの様子なら今はまだ心配する事はない。自分の見つけた道を走って行けるだろうから)
ある事を思ったがそれはまだ先の事だと思い、梓の嬉しそうな顔を思い出しながらリアは店へと戻って行った
続く
あとがき
はい、やっと帝国軍側の皆様と会えました! そして久々に梓とも会えました!!
いつかちゃんと会ってお互いに話したいと思っていたのでやっとそのチャンスが来て良かったね!
そしてずっと九段と知り合いと言う事が気になってはいましたが、まさかな甘味仲間とはwww 二人とも甘い物が好きだから意気が合ったんだろうねw
何気にマスターも会話に混ざってそうだなーっとも思ったし、それを見て村雨さんがツッコミを入れたり呆れてたりしてそうだなってのも想像出来たわww
それから有馬と千代ともやっと会えましたね
今後彼等とも関わっていくだろうからやっぱり此処で会わせておかないとね
梓とも邸にいた時のように仲良しな友達&姉妹って雰囲気に戻ったから此処も一安心だね
しかし今回書く上で一番大変だったのはこの時代の西洋菓子です
ゲーム本編では秋兵の好みであるシベリアが出てきたし、サブイベントでカステラも出てきたし某ルートでシュークリームやビスケットも出てきたからその辺りはさっと使えたけど後が解らなくてネットで調べて出たのがスウィートポテトとチョコだったので千代ちゃんと九段さんに頼んでもらいました
えーっと、これで重要人物とは全員会えた感じかな?
次回はまた蠱惑の森チームの方に戻ります
が、頑張って書きます・・・
それでは!
GRANRODEO 曲名でお題 49.めぐりあい より
2015.06.26
初めのうちは周りに軍人が多く緊張もしていたが、今ではだいぶ緊張する事もなくなった
そして今は各地の怨霊退治の為に、対である白龍の神子、駒野 千代と二人の神子の護衛をし共に怨霊退治をしている精鋭分隊隊長の有馬 一、副隊長の片霧 秋兵、そして軍の相談役であり星の一族の萩尾 九段と、梓達に頼み込まれ協力する事になった里谷 村雨と共に行動していた
村雨は今日は情報屋の仕事で共にいないが、今日は今まで怨霊退治した場所を周り異常が無い事を確認していた
「これでこの辺りの怨霊は退治出来たな」
「ええ、梓のお陰ね」
「梓、良くやってくれた」
「みんなの協力があったからだよ」
「いえ、本当に梓くんは頑張ってくれました」
みんなに褒められ嬉しい気持ちと少しだけ褒められて照れている部分もあった
「では、明日からは違う場所へ怨霊退治に行くとしよう」
「そうですね。では今日はこれで解散と言う事で良いんですかね、有馬」
「ああ」
「でしたら、これから皆さんで出掛けませんか?」
「え?」
秋兵の言葉に皆一斉に疑問を持った
17.めぐりあい
「さあ、着きましたよ」
あれから秋兵の提案に乗り皆で飲食街へと向かい、今はある店の前にいた
「・・・此処は?」
「ミルクホウルです」
「おお、此処があのミルクホウルか。我は一度来てみたかったのだ」
「九段、はしゃぎすぎよ」
「・・・何故俺まで」
「・・・・(此処は・・)」
はしゃぐ面々を見て有馬は未だに自分も共に連れられて来ている事に疑問を持っていて、梓はこの店を見てある事を思っていたが、皆秋兵と共に中に入って行き梓もその後に続く
チリンチリンと扉の上に設置してあるベルが新しい客だと知らせるように鳴り店員達からいらっしゃいませと声が上ったと思ったら黄色い声が聞こえ始める
その事に疑問を持ちながらリアもテーブルを拭いていた手を止め顔を上げる
「いらっしゃいま・・・せ・・・」
だが、入って来た新たな客を見てリアは目を瞠ってしまう
そこに居たのは常連客である秋兵と今日は連れがいるのか彼の後ろに数人いた
そしてその中に
「・・・・梓、ちゃん・・?」
梓の姿もあった
「「え?」」
リアの言葉を聞くと秋兵を含め連れの者達も一斉に梓を見た
「梓くん、リアくんと知り合いだったんですか?」
「・・は、はい・・・」
「・・・・」
が、そこでお互いに言葉が途絶えてしまう
「5名様ですね、こちらの席へどうぞ」
リアは直ぐに気持ちを切り替えいつものように接客を始め、今自分が拭いていたテーブルと隣のテーブルをくっつけ梓達を席へ案内した
「ご注文はどうなさいますか?」
メニューを配ってサロンのポケットから注文表とペンを出して卓番と人数を書きながら尋ねる
「僕はいつものでお願いします」
「いつもの・・・?」
「私はこのスウィートポテトにしようかしら」
「・・・うむ、我はビスケットとチョコレイトウとミルクキャラメルの詰め合わせにしよう!」
真新しいものを見る子供のようにはしゃぐ九段とそれを宥める千代だったが千代もメニューを見て少しばかり目を輝かせていた
「梓くんはどうしますか?」
「え?」
「後はお前だけだ」
いつの間にか有馬も注文していたようで
「・・じゃあ、私も・・いつもの、で」
「はい、畏まりました」
ぽつぽつと言い、全員の注文を聞くとリアはメニューを回収し会釈をしてその場を離れ厨房へと向かって行った
「・・・・(やっぱり、ちょっと気まずいな・・・)」
あの日、突然何も言わずに邸から離れ帝国軍の元に行ってしまった
リアの気持ちは今も変わらずダリウス達と共にいる事、そしてダリウス達がやろうとしている事に協力する事だ
リアも梓と同じで多くの人を傷つけてしまった事に対して悲しみを覚えているし、自分の事を大事に思ってくれているのは知っている
けど、今はお互い違う立場にいるし、まさかこんな形でこのミルクホールに来て再会するとは思ってはいなかったので、どんな顔をしていれば良いのかと思っていた
「おい、高塚、聞いているのか」
「え・・・」
考え事をしていたからか、有馬に呼ばれるまで気が付かなかった
「すみません。あの、なんですか」
「先程、いつものと言っていたので梓くんも此処の常連なのかと思いまして」
「常連・・と言う程ではないですけど、何度か来た事があるんです」
「まあそうだったの。それでさっきの人と知り合いだったのね」
「成る程。でも彼女と話せているとは梓くんは運が良いんですね」
「え?」
「む、どう言う事だ?」
「彼女はこの店の看板娘なんですよ」
「まあ」
「そうだったのか」
「ええ。ですから常連客でもなかなか彼女と話せる機会がないんですよ」
「片霧さんとは、良くお話していると思いますけど」
そう話していると第三者の声が聞こえ声の主を見るとリアが注文の品を持って来た所だった
「なら、僕も運が良いと言う事ですね」
一人一人の注文の品を並べながら秋兵の言葉を聞き全員分の配膳が終わった所でリアは全員を見た
「初めましての方もいますので挨拶をさせて頂きます。私は楓月璃唖と言います。皆さんのご活躍は常々聞いています」
少し他人行儀で話すリアを見て一瞬だけだが梓は距離を感じてしまう
その間にリアと初めて会う有馬と千代も挨拶をしていたが次に挨拶をすると思っていた人物が言わないので千代は自分の隣に居る九段を見る
「九段、貴方は挨拶しなくて良いの?」
「ああ。我とリアは既に顔見知りだ」
「おや、そうだったんですか」
「いつの間に・・・」
「九段さんとはとあるカフェーでのお友達なんです」
「うむ。たまにカフェーで会った時は、共にアイスクリンやケーキや和菓子などの話をしておるぞ」
・・つまり甘味仲間なのか・・・と聞いていた面々は思った
あのハイカラヤで甘味話をするリアと九段の姿を想像して、
(・・・ある意味、凄いような気がする・・ι)
と梓は思っていた
そして目の前にある自分が頼んだ品を見る
(・・・・いつもリアさんとこのカステラを食べてたんだよね)
いつもの、と言って頼んだが、この店に来てカステラと紅茶を頼んだのは1度だけ
後は邸で何度かリアと二人で食べたりみんなで食べたりしていた
そう思い返して紅茶を飲もうとしティーカップを上げるとカップの下に小さく紙が折り畳んであり、梓はそれをみんなに見られないようテーブルの下で開いて中を見る
「・・・!」
それを見て梓は一瞬目を瞠ったが直ぐにその紙を折り畳んでポケットに入れた
「ありがとう御座いました~」
一時間くらいした後、梓達はミルクホールから出てきた
「はあ、とても美味しかったあ」
「ああ、なかなか美味いものを出す所だったな」
「おや、駒野くんだけでなく有馬まで気に入ってくれましたか」
「我も満足したぞ」
「九段さん、ずっと本に夢中でしたからね」
「お前達も随分と盛り上がっていたようだが」
そう言う梓だったが、梓も千代と最近出たばかりの服飾系の雑誌を見てはしゃいでいた
「あら、神子と言えど、お洒落には敏感な乙女なんですよ。ねえ、梓」
「うん。・・・あれ」
ミルクホールを出て暫く話しながら歩いていたが急に梓が立ち止まり梓を見ると何かを探しているそぶりを見せた
「何か探し物ですか?」
「・・・あの、ミルクホールに忘れ物をして来ちゃったみたいなので、皆さんは先に戻っていて下さい」
「そうか。では気を付けて帰って来るのだぞ」
言うと九段達は軍邸へ向けて歩いて行き梓も踵を返してミルクホールへと向かう
客が入って来た時に鳴るベルの音が聞こえリアは店主に声を掛けて梓の方へ行く
「梓ちゃん、どうぞ、こっち」
そう言ってリアが案内した席はカウンター席だったが其処は客席から少し視界が遮られていて一部の客しか使用出来ない特別席だった
梓も一度だけこの席に座った事があった
「さっき飲んだばかりだけど・・・何か飲む?」
「じゃあミルクで」
「うん。ちょっと待ってね」
そう言ってミルクをグラスに入れて出してくれた
「ありがとう」
梓が此処に戻って来たのは、あの時見つけたメモを見たからだった
それはリアからの手紙で話したい事があるから来てほしいと書かれていた
梓もリアとはちゃんと話しておきたいと思っていたから有馬達と別れて戻って来たのだった
「・・・こうやって話すの久し振りね」
「うん・・・。前にも同じ会話したよね」
梓がそう言うとリアは笑ってそうねと言った
「梓ちゃん、今の暮らしは楽しい?」
「え? うん。みんな優しい人達ばかりだし、自由とは言えないけど外にも出られるし」
「そう。梓ちゃんが幸せそうにしてるなら安心した」
「あ・・・」
いつものリアの優しい笑顔を見て梓は安心感と懐かしさを感じた
「リアさん、その、急に邸からいなくなっちゃってごめん。ずっと言いたかったんだけど、どう伝えたら良いのか解らなくて・・・」
此処に来てこうやって伝えるのが一番良いと思っていたのだが、なかなか来る時間もなくもし来たとしても誰か一人でも共を連れていないといけなかったのでタイミングが掴めずにいた
だから今こうやって2人で話せる時間が出来て良かったと梓もリアも思っていた
「・・・梓ちゃんがいなくなって私もコハクくんもルードくんも、勿論ダリウスさんと政虎さんも寂しい思いはしていたわ。でも頑張ってる梓ちゃんの事を聞いたりしてそれでも良いのかなって私達も思えるようになったの」
「え・・」
「新しい世界を見て、自分で考えて行動して、それで梓ちゃんのやるべき事を見つける。それが一番良いと思うし、そうやってるうちにいつかまた会えるって思ってたから」
「・・・・」
「住む世界も違って関わり合いも少なくなってるけど、私は今まで通り梓ちゃんと友達として接していたいって思ってる」
「それは私も同じだよ。こうやってリアさんと話してると安心するし凄く落ち着けるし・・・」
そこで梓は言葉を切ったがそんな梓を見てお互いに同じ事を思っていたのかと思って笑い合って邸にいた時のような雰囲気に戻り、お互いに今までの事を話したりしていた
「そうだ。梓ちゃんに大事な報告があったんだった」
「え? なに?」
「コハクくんね、少し記憶を取り戻したの」
「え、本当!?」
「うん。今度コハクくんに会ったら聞いてみると良いよ。いつもの所で独楽回しやってるから」
いつか梓と会えたらコハクの事は話しておいた方が良いと思っていたし、梓もずっと心配していた事だったから伝えられて良ったとリアは思っていた
それから暫くして話を切り上げリアと梓は店の前にいた
「じゃあ梓ちゃん、気を付けてね」
「うん。今日は話せて良かったし楽しかった」
「私も。また話をしたくなったらいつでもいらっしゃい。皆さんと一緒でも良いし2人で話したい時はあの席に案内するから」
「うん。じゃあまたね」
「ええ」
言うと梓は笑顔で手を振って人並みの中に入って行った
「・・・・良かった。本当に元気そうで」
我が子や妹を見るような目をして梓が走って行った方を見ながらリアはそう言った
(あの様子なら今はまだ心配する事はない。自分の見つけた道を走って行けるだろうから)
ある事を思ったがそれはまだ先の事だと思い、梓の嬉しそうな顔を思い出しながらリアは店へと戻って行った
続く
あとがき
はい、やっと帝国軍側の皆様と会えました! そして久々に梓とも会えました!!
いつかちゃんと会ってお互いに話したいと思っていたのでやっとそのチャンスが来て良かったね!
そしてずっと九段と知り合いと言う事が気になってはいましたが、まさかな甘味仲間とはwww 二人とも甘い物が好きだから意気が合ったんだろうねw
何気にマスターも会話に混ざってそうだなーっとも思ったし、それを見て村雨さんがツッコミを入れたり呆れてたりしてそうだなってのも想像出来たわww
それから有馬と千代ともやっと会えましたね
今後彼等とも関わっていくだろうからやっぱり此処で会わせておかないとね
梓とも邸にいた時のように仲良しな友達&姉妹って雰囲気に戻ったから此処も一安心だね
しかし今回書く上で一番大変だったのはこの時代の西洋菓子です
ゲーム本編では秋兵の好みであるシベリアが出てきたし、サブイベントでカステラも出てきたし某ルートでシュークリームやビスケットも出てきたからその辺りはさっと使えたけど後が解らなくてネットで調べて出たのがスウィートポテトとチョコだったので千代ちゃんと九段さんに頼んでもらいました
えーっと、これで重要人物とは全員会えた感じかな?
次回はまた蠱惑の森チームの方に戻ります
が、頑張って書きます・・・
それでは!
GRANRODEO 曲名でお題 49.めぐりあい より
2015.06.26