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翌日、
「ルードくん、おはよう」
「おはよう御座います、リアさん」
いつものように朝食を作る為に厨房に向かうと既にルードが作り始めていて献立を聞いて作り始める
二人の手際はいつもと変わらずであっという間に朝食が完成し、リアが人数分のナイフとフォークを持つのを見てルードが声を掛けた
「ああ、リアさん。梓さんの分はこちらに置いて下さい」
「え?」
「・・ダリウス様から今日からは上で食事を取らせるようにと言われていますので」
まだ目を覚ましていないが起きれば今まで通り食事は与えるが、暫く外出禁止と言う事になっているようだった
昨日の今日で梓の機嫌が直るものでもないし、特に今ダリウスと顔を合わせたくないだろうと判断したのだろう
「・・・・」
お互いの気持ちが解る分、リアも辛い立場にあった
それでも昨日、ダリウス達の側にいると決めた以上ダリウスの指示に従うのが今リアが出来る事だった
「おい、ルード。飯はまだか」
そう思っていると虎がずかずかと厨房へ入って来た
「食べるだけで何もしない貴方に言われたくないですね」
「ああ?」
普段ならコハクも手伝ってくれるのだがコハクもまだ思っている事があるようで軽く挨拶をするとソファに座っていた
「直ぐに準備しますね。あ、政虎さん、昨日は迎えに来てくれて有り難う御座いました。その後の事も・・・」
「ん? ああ、礼は別に良い」
「でも色々と助かりましたし」
迎えに来てくれた時に愛宕山での出来事やダリウスの気遣いなどの事を教えてくれたのは他でもなく虎なのだし、多少迷惑を掛けてしまったからちゃんとお礼をしたかったのだ
「・・・そんなに礼がしてえなら別の方法で良いぜ」
「・・別の方法、ですか?」
「虎、リアさんから何か一品貰うつもりですか?」
そう、普段虎にお礼をする時は食事のうち、どれか一品を寄越す、と言うのが多いのだがこの時は別のものと言う言い方だった
「ちげえよ。リア、そのままじっとしてろよ」
「え? はい・・・。・・・って、ひゃあっっ!?!?!?////」
「なっ!?」
虎がリアの正面に来たかと思ったら首筋の辺りの髪を少し避け虎の顔が首筋に近付き何をするのかと思ったらそのままリアの首筋をぺろりと舐めた
「っ・・・・!/////」
「何色気のねえ声出してんだよ」
虎が離れた所で舐められた首筋に手を当て顔を真っ赤にして固まっているリアを見て虎は小さく笑った
「ど、どうしたの? って、わっ、リアさん、大丈夫!?」
リアの悲鳴?に似た声を聞き食堂に居たコハクが駆け付けた途端リアは身体の力が抜け顔を真っ赤にして首筋に手を当てたままぺたんとその場にへたり込んでしまいコハクが声を掛けるも放心状態なのか気付いていない
「と、虎っ! 貴方、リアさんに何をしているんですかっ!///」
「何ってリアが礼をしてえつーから礼の品を貰っただけだろ」
「契約書に、“リアさんに変な真似はしない事”と書いてあったでしょう!」
我に返ったルードは虎に強調するように言っていたが肝心の虎はいつものように聞く耳を持たない感じだった
「ま、声は味気なかったが、飯の前に甘 いもん食わせて貰ったぜ」
キリの良い所で虎は踵を返し、満足そうに言うとそのまま食堂へ向かって行った
「リアさん、大丈夫ですか・・・」
「・・・・」
「完全に固まっちゃってるね・・・」
「ええ・・・」
未だに先程の出来事で固まってへたり込んでいるリアにルードもコハクも声を掛けるがまだ放心状態のままだった
13.宵
「ありがとう御座いました」
入り口の扉の所に設置してあるベルがチリンチリンと音を立て扉の閉まる音が聞こえる
リアは今日もミルクホールで働いていた
「・・・ふう」
「あれ? 珍しいね、リアが溜息吐いてるなんて」
「ちょっと疲れてる顔してるけど、何か遭ったの?」
「え? ううん、ちょっと寝付きが浅くって・・・」
「そっかー。昨日の夜暑かったもんねー」
小さく息を吐いたのが同期に聞こえたようでリアがそう言うと納得してくれた
実際に言った事は嘘ではないが、思っていたよりまだ梓やダリウス達の事を気にしているのだろうと改めて思った
あの日から梓は外出禁止となり食事もあの鉄格子があり厳重に鍵が掛かっている部屋で取る事になって数日が経っていた
ダリウスとルードはこの数日日中は定例の古美術商の競売に行っていて、リアも店が忙しく今は昼から夜に掛けて働いていた
ただ、気になっている事があった
それは梓の部屋の下の垣根が折れていた事、そしてあの日以来怨霊が増えたはずなのに、怨霊が減っている箇所がある事
ダリウスは怨霊は捨て置けと言い、リア達は誰も怨霊を退治していないが、自分達の前に現れた時だけは怨霊を倒していた
それ以外は手を出していないし、精鋭分隊が退治しているのを何度か見かけたがそれでも以前より減っていたのだ
「・・・・」
そこである事が浮かぶがそれは一旦置いておく事にし、梓とはあの日以来話を出来ていないのでそろそろ話をしたいと思っていると新しい客が入って来たのを知らせるベルの音が店内に響く
「いらっしいま・・・・きゃああ、片霧副隊長!」
「こんにちは、お嬢さん方」
同期の二人がきゃーきゃーと声を上げていると片霧副隊長と呼ばれた人物はカウンター席に座る
「ご機嫌よう、リアくん」
「こんにちは、片霧さん。今日はお休みですか?」
「いえ、丁度巡回が終わったので一息しようと思いまして。いつもの、お願い出来ますか」
「はい。当店特製のシベリア1つですね」
片霧副隊長こと片霧秋兵は帝国軍の精鋭分隊副隊長であり参謀総長の息子なのだが、帝国軍人とは思えない程優しくて紳士な人物であり、何よりこの店の常連でシベリアが好きと言うちょっと可愛い一面もあるのだ
「うーん・・。やはりこの店のシベリアが一番美味ですね」
「有り難う御座います」
幸せそうに食べて言う秋兵を見てリアもそして隣に同期達も同じように礼を言う
「そう言えば、リアくんは日比谷公園の近くを通って帰っていると言っていましたね」
「はい」
「なら気を付けて下さい。今あの辺りは怨霊が増えていますから」
「それってやっぱり、この前愛宕山で鬼が怨霊を呼んだ所為ですか?」
「ええ。我々も巡回して怨霊を倒してはいますが念の為にと思いまして」
「・・・・」
秋兵や同期の言葉を聞き、ある事を思い出す
愛宕山の事件の事は例に漏れず『鬼の仕業』として世間に知らされていた
リアもダリウス達もその事は新聞を読んで知っていたが改めてそう言われ複雑な思いを抱くが此処で気にしていると聞かれかねないので知らせてくれて有り難う御座いますと答えたのだった
*
「ほい、珈琲」
「ありがとう御座います」
「それで、今日はあんた一人でどうしたんだ」
仕事が終わった後リアはハイカラヤに寄り村雨の元を訪れていた
「この前はありがとう御座いました。色々と気遣って下さって」
「ああ、良いって。その様子だとあの後本条から聞けたんだな」
「はい。私も含めまだみんな傷が癒えてはいないですけど・・・」
「・・俺はダリウスがやろうとしていた事を知っていてあんたに言わなかった。・・・憎くはないのか」
あの日、村雨は梓がダリウスに利用され、梓の黒龍の神子の力を引き出してやろうとしている事を知っていた
たがあの時は村雨もまだダリウスと取引中で言えなかったのだ
「村雨さんもダリウスさんと取引中で言えなかったんですし。それに私を気遣ってくれたのは事実なので憎いと言う事はないです」
「・・あんたも変わった奴だな」
「え?」
「いや、謙虚だなっと思っただけだよ」
小さく笑って言った言葉が聞こえず聞き返したが先程と違う事を言うも、そのどちらもリアには当てはまっていた
「あの、それで少し教えて欲しい事があるんですけど」
「ん?」
「今日うちの店に片霧さんが来たんですけど、その時に日比谷公園の近くに怨霊が増えたと聞いて・・」
「ああ。確かに今あの辺りが一番怨霊が多いな。今朝も近くに住む住民が散歩をしていた時に怨霊に襲われたらしい。精鋭分隊が巡回して倒してはいるが、愛宕山に近いのもあってなかなか減らんようだ」
「芝公園の方も同じくらいと思っても良いんでしょうか」
「おそらくはな」
「・・・他に、怨霊が増えている所はありますか?」
「・・・知ってはいるが、それを聞いてどうする? 日比谷公園と芝公園はあんたの帰り道だから解るが」
「・・・梓ちゃんが怨霊退治出来ない分、私も自分に出来る事をやっていこうと思っているんです。ダリウスさんの革命の手伝いをするのはまだ先ですから・・・」
真剣な眼差しをして言うリアを見て村雨は小さく笑った
「最近のガキはどいつもこいつも似たような事を言うもんなのかねえ」
「え・・?」
「いや、こっちの話しだ」
数日前に村雨はリアと同じように真剣な眼差しをして同じような事を言った人物の事を思い出してそう言い、リアの希望通り他にも怨霊が多い場所を教えた
そしてその帰り、
日比谷公園に差し掛かり、自然に囲まれた場所を歩くと夜風が頬を撫でる
だが、その風は徐々に重たいものとなっていき瘴気に吸い寄せられ怨霊が集まり始め、怨霊の声が木魂する
「・・・・」
それを聞きながらリアはスタスタと歩いて行き、怨霊も獲物だと言うようにリアの後を追い掛けてくる
(・・・10・・、いえ、15ね)
怨霊の気配を感じながら今背後にいる怨霊の数を数える
そして日比谷公園の入り口付近に着いた時だった
リアはナイフを宙に投げパチンと指を鳴らすと先程宙に投げたナイフが怨霊目掛けて振ってきた
見事ナイフは怨霊に当たり怨霊達は悲鳴を上げながら消えていきあっという間に怨霊を倒してしまった
少しするとシンッと静まり返り、生温かった風も自然の涼しさを感じる風に戻り空気も清浄に戻った
「・・・・これで、日比谷公園の辺りは一掃出来たわね」
言って一番近くにあるナイフを取ると残りのナイフが瞬時に消えリアの手元に数個戻り、残りはナイフホルダーに収まっていた
近くにある時計を見ると既に午後9時半を回っていた
「これ以上遅くなるとダリウスさんやルードくんが心配するから帰らなきゃね」
9時か9時過ぎに戻る予定と言っていたが流石にこれ以上遅くなると探しに来るだろうと思い踵を返して蠱惑の森を目指して歩き出した
続く
あとがき
あ、れ・・? まさかな梓ちゃんとダリウスさんが登場しない回になってしまったΣ( ̄□ ̄;)!!
よ、予定ではちゃんと出てるはずだったのに・・・ι
ま、まあ、でもそこは次回の冒頭からって事で・・・、とりあえず感想を・・・
前回のあとがきでシリアスって言ってたのにまさか序盤でちょい甘になってしまったww
あれは虎ルートで見られるので何処かで使いたいなー。そだ、お礼の品こっちにしようと思ってああなりました
あそこはルードくんも顔を赤くして驚いていた事でしょうw
あの後ルードくんとコハクによってリアちゃんは放心状態から帰って来たんでしょうね
その間ダリウスにも色々と言われてそうだなとか思ってますw
そして秋兵との絡みもやっと書けましたね
あの店のシベリア好きらしいのでもういつもの、で通じるようですねww
それにやっぱり周りからきゃーきゃーと黄色い声も上がるのは納得だよねw
それからハイカラヤへ行き村雨さんとの会話でしたが、最後の方でガキがどう・・と言っていたのはこの時点でもう会っていたから、なんですよねw
そしてそして、リアちゃん一人だけでの戦闘シーンですが、あっという間に怨霊倒しちゃっちゃったよww
今まで本気で戦ってる所書いてなかったから、前にダリウスが言ってたのはこの事かっと納得するシーンでした
さて、次回は・・・いよいよあそこです
シリアス入るけど切なくもなりますね・・・
それではまた次回
2015.06.24
「ルードくん、おはよう」
「おはよう御座います、リアさん」
いつものように朝食を作る為に厨房に向かうと既にルードが作り始めていて献立を聞いて作り始める
二人の手際はいつもと変わらずであっという間に朝食が完成し、リアが人数分のナイフとフォークを持つのを見てルードが声を掛けた
「ああ、リアさん。梓さんの分はこちらに置いて下さい」
「え?」
「・・ダリウス様から今日からは上で食事を取らせるようにと言われていますので」
まだ目を覚ましていないが起きれば今まで通り食事は与えるが、暫く外出禁止と言う事になっているようだった
昨日の今日で梓の機嫌が直るものでもないし、特に今ダリウスと顔を合わせたくないだろうと判断したのだろう
「・・・・」
お互いの気持ちが解る分、リアも辛い立場にあった
それでも昨日、ダリウス達の側にいると決めた以上ダリウスの指示に従うのが今リアが出来る事だった
「おい、ルード。飯はまだか」
そう思っていると虎がずかずかと厨房へ入って来た
「食べるだけで何もしない貴方に言われたくないですね」
「ああ?」
普段ならコハクも手伝ってくれるのだがコハクもまだ思っている事があるようで軽く挨拶をするとソファに座っていた
「直ぐに準備しますね。あ、政虎さん、昨日は迎えに来てくれて有り難う御座いました。その後の事も・・・」
「ん? ああ、礼は別に良い」
「でも色々と助かりましたし」
迎えに来てくれた時に愛宕山での出来事やダリウスの気遣いなどの事を教えてくれたのは他でもなく虎なのだし、多少迷惑を掛けてしまったからちゃんとお礼をしたかったのだ
「・・・そんなに礼がしてえなら別の方法で良いぜ」
「・・別の方法、ですか?」
「虎、リアさんから何か一品貰うつもりですか?」
そう、普段虎にお礼をする時は食事のうち、どれか一品を寄越す、と言うのが多いのだがこの時は別のものと言う言い方だった
「ちげえよ。リア、そのままじっとしてろよ」
「え? はい・・・。・・・って、ひゃあっっ!?!?!?////」
「なっ!?」
虎がリアの正面に来たかと思ったら首筋の辺りの髪を少し避け虎の顔が首筋に近付き何をするのかと思ったらそのままリアの首筋をぺろりと舐めた
「っ・・・・!/////」
「何色気のねえ声出してんだよ」
虎が離れた所で舐められた首筋に手を当て顔を真っ赤にして固まっているリアを見て虎は小さく笑った
「ど、どうしたの? って、わっ、リアさん、大丈夫!?」
リアの悲鳴?に似た声を聞き食堂に居たコハクが駆け付けた途端リアは身体の力が抜け顔を真っ赤にして首筋に手を当てたままぺたんとその場にへたり込んでしまいコハクが声を掛けるも放心状態なのか気付いていない
「と、虎っ! 貴方、リアさんに何をしているんですかっ!///」
「何ってリアが礼をしてえつーから礼の品を貰っただけだろ」
「契約書に、“リアさんに変な真似はしない事”と書いてあったでしょう!」
我に返ったルードは虎に強調するように言っていたが肝心の虎はいつものように聞く耳を持たない感じだった
「ま、声は味気なかったが、飯の前に
キリの良い所で虎は踵を返し、満足そうに言うとそのまま食堂へ向かって行った
「リアさん、大丈夫ですか・・・」
「・・・・」
「完全に固まっちゃってるね・・・」
「ええ・・・」
未だに先程の出来事で固まってへたり込んでいるリアにルードもコハクも声を掛けるがまだ放心状態のままだった
13.宵
「ありがとう御座いました」
入り口の扉の所に設置してあるベルがチリンチリンと音を立て扉の閉まる音が聞こえる
リアは今日もミルクホールで働いていた
「・・・ふう」
「あれ? 珍しいね、リアが溜息吐いてるなんて」
「ちょっと疲れてる顔してるけど、何か遭ったの?」
「え? ううん、ちょっと寝付きが浅くって・・・」
「そっかー。昨日の夜暑かったもんねー」
小さく息を吐いたのが同期に聞こえたようでリアがそう言うと納得してくれた
実際に言った事は嘘ではないが、思っていたよりまだ梓やダリウス達の事を気にしているのだろうと改めて思った
あの日から梓は外出禁止となり食事もあの鉄格子があり厳重に鍵が掛かっている部屋で取る事になって数日が経っていた
ダリウスとルードはこの数日日中は定例の古美術商の競売に行っていて、リアも店が忙しく今は昼から夜に掛けて働いていた
ただ、気になっている事があった
それは梓の部屋の下の垣根が折れていた事、そしてあの日以来怨霊が増えたはずなのに、怨霊が減っている箇所がある事
ダリウスは怨霊は捨て置けと言い、リア達は誰も怨霊を退治していないが、自分達の前に現れた時だけは怨霊を倒していた
それ以外は手を出していないし、精鋭分隊が退治しているのを何度か見かけたがそれでも以前より減っていたのだ
「・・・・」
そこである事が浮かぶがそれは一旦置いておく事にし、梓とはあの日以来話を出来ていないのでそろそろ話をしたいと思っていると新しい客が入って来たのを知らせるベルの音が店内に響く
「いらっしいま・・・・きゃああ、片霧副隊長!」
「こんにちは、お嬢さん方」
同期の二人がきゃーきゃーと声を上げていると片霧副隊長と呼ばれた人物はカウンター席に座る
「ご機嫌よう、リアくん」
「こんにちは、片霧さん。今日はお休みですか?」
「いえ、丁度巡回が終わったので一息しようと思いまして。いつもの、お願い出来ますか」
「はい。当店特製のシベリア1つですね」
片霧副隊長こと片霧秋兵は帝国軍の精鋭分隊副隊長であり参謀総長の息子なのだが、帝国軍人とは思えない程優しくて紳士な人物であり、何よりこの店の常連でシベリアが好きと言うちょっと可愛い一面もあるのだ
「うーん・・。やはりこの店のシベリアが一番美味ですね」
「有り難う御座います」
幸せそうに食べて言う秋兵を見てリアもそして隣に同期達も同じように礼を言う
「そう言えば、リアくんは日比谷公園の近くを通って帰っていると言っていましたね」
「はい」
「なら気を付けて下さい。今あの辺りは怨霊が増えていますから」
「それってやっぱり、この前愛宕山で鬼が怨霊を呼んだ所為ですか?」
「ええ。我々も巡回して怨霊を倒してはいますが念の為にと思いまして」
「・・・・」
秋兵や同期の言葉を聞き、ある事を思い出す
愛宕山の事件の事は例に漏れず『鬼の仕業』として世間に知らされていた
リアもダリウス達もその事は新聞を読んで知っていたが改めてそう言われ複雑な思いを抱くが此処で気にしていると聞かれかねないので知らせてくれて有り難う御座いますと答えたのだった
*
「ほい、珈琲」
「ありがとう御座います」
「それで、今日はあんた一人でどうしたんだ」
仕事が終わった後リアはハイカラヤに寄り村雨の元を訪れていた
「この前はありがとう御座いました。色々と気遣って下さって」
「ああ、良いって。その様子だとあの後本条から聞けたんだな」
「はい。私も含めまだみんな傷が癒えてはいないですけど・・・」
「・・俺はダリウスがやろうとしていた事を知っていてあんたに言わなかった。・・・憎くはないのか」
あの日、村雨は梓がダリウスに利用され、梓の黒龍の神子の力を引き出してやろうとしている事を知っていた
たがあの時は村雨もまだダリウスと取引中で言えなかったのだ
「村雨さんもダリウスさんと取引中で言えなかったんですし。それに私を気遣ってくれたのは事実なので憎いと言う事はないです」
「・・あんたも変わった奴だな」
「え?」
「いや、謙虚だなっと思っただけだよ」
小さく笑って言った言葉が聞こえず聞き返したが先程と違う事を言うも、そのどちらもリアには当てはまっていた
「あの、それで少し教えて欲しい事があるんですけど」
「ん?」
「今日うちの店に片霧さんが来たんですけど、その時に日比谷公園の近くに怨霊が増えたと聞いて・・」
「ああ。確かに今あの辺りが一番怨霊が多いな。今朝も近くに住む住民が散歩をしていた時に怨霊に襲われたらしい。精鋭分隊が巡回して倒してはいるが、愛宕山に近いのもあってなかなか減らんようだ」
「芝公園の方も同じくらいと思っても良いんでしょうか」
「おそらくはな」
「・・・他に、怨霊が増えている所はありますか?」
「・・・知ってはいるが、それを聞いてどうする? 日比谷公園と芝公園はあんたの帰り道だから解るが」
「・・・梓ちゃんが怨霊退治出来ない分、私も自分に出来る事をやっていこうと思っているんです。ダリウスさんの革命の手伝いをするのはまだ先ですから・・・」
真剣な眼差しをして言うリアを見て村雨は小さく笑った
「最近のガキはどいつもこいつも似たような事を言うもんなのかねえ」
「え・・?」
「いや、こっちの話しだ」
数日前に村雨はリアと同じように真剣な眼差しをして同じような事を言った人物の事を思い出してそう言い、リアの希望通り他にも怨霊が多い場所を教えた
そしてその帰り、
日比谷公園に差し掛かり、自然に囲まれた場所を歩くと夜風が頬を撫でる
だが、その風は徐々に重たいものとなっていき瘴気に吸い寄せられ怨霊が集まり始め、怨霊の声が木魂する
「・・・・」
それを聞きながらリアはスタスタと歩いて行き、怨霊も獲物だと言うようにリアの後を追い掛けてくる
(・・・10・・、いえ、15ね)
怨霊の気配を感じながら今背後にいる怨霊の数を数える
そして日比谷公園の入り口付近に着いた時だった
リアはナイフを宙に投げパチンと指を鳴らすと先程宙に投げたナイフが怨霊目掛けて振ってきた
見事ナイフは怨霊に当たり怨霊達は悲鳴を上げながら消えていきあっという間に怨霊を倒してしまった
少しするとシンッと静まり返り、生温かった風も自然の涼しさを感じる風に戻り空気も清浄に戻った
「・・・・これで、日比谷公園の辺りは一掃出来たわね」
言って一番近くにあるナイフを取ると残りのナイフが瞬時に消えリアの手元に数個戻り、残りはナイフホルダーに収まっていた
近くにある時計を見ると既に午後9時半を回っていた
「これ以上遅くなるとダリウスさんやルードくんが心配するから帰らなきゃね」
9時か9時過ぎに戻る予定と言っていたが流石にこれ以上遅くなると探しに来るだろうと思い踵を返して蠱惑の森を目指して歩き出した
続く
あとがき
あ、れ・・? まさかな梓ちゃんとダリウスさんが登場しない回になってしまったΣ( ̄□ ̄;)!!
よ、予定ではちゃんと出てるはずだったのに・・・ι
ま、まあ、でもそこは次回の冒頭からって事で・・・、とりあえず感想を・・・
前回のあとがきでシリアスって言ってたのにまさか序盤でちょい甘になってしまったww
あれは虎ルートで見られるので何処かで使いたいなー。そだ、お礼の品こっちにしようと思ってああなりました
あそこはルードくんも顔を赤くして驚いていた事でしょうw
あの後ルードくんとコハクによってリアちゃんは放心状態から帰って来たんでしょうね
その間ダリウスにも色々と言われてそうだなとか思ってますw
そして秋兵との絡みもやっと書けましたね
あの店のシベリア好きらしいのでもういつもの、で通じるようですねww
それにやっぱり周りからきゃーきゃーと黄色い声も上がるのは納得だよねw
それからハイカラヤへ行き村雨さんとの会話でしたが、最後の方でガキがどう・・と言っていたのはこの時点でもう会っていたから、なんですよねw
そしてそして、リアちゃん一人だけでの戦闘シーンですが、あっという間に怨霊倒しちゃっちゃったよww
今まで本気で戦ってる所書いてなかったから、前にダリウスが言ってたのはこの事かっと納得するシーンでした
さて、次回は・・・いよいよあそこです
シリアス入るけど切なくもなりますね・・・
それではまた次回
2015.06.24