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「じゃあ、九段さんが張った結界を壊す為にあの仮面で梓ちゃんの・・黒龍の神子の力を引き出して黒麒麟を呼んだって事ですか・・・?」

蠱惑の森に着き森の中に入り、リアはハイカラヤを出て虎が言った通り、気になっていた事を聞いた

だが、虎から聞かされた事はリアが思っていたよりもとても重く、

そして、梓にとってもリアにとっても、

とても残酷なものだった




12.冷めゆく熱




ダリウス達が二人目の神子、白龍の神子召喚儀式が行われていた愛宕山で使った手段はこうだった

星の一族、萩尾九段が予想以上に強い結界を張っていた為、壊す事が出来なかったが、その結界を壊す方法は他にあった

それは黒龍の神子である梓が怨霊退治で得た陰の気を使い、霊獣黒麒麟を呼び結界を破壊し突破する事だった

そこまでだったらリアも想定は出来ただろう

だが、その先からは思いも掛けない出来事が続くのだった

黒麒麟は梓の意志で呼び出されたものではなく、ダリウスが鬼の首領のみ扱える仮面を使い、梓に暗示を掛け黒麒麟を呼び出したそうだ

その衝撃で梓は気を失ってしまい、黒麒麟はダリウスの命令に従うようになっていてダリウスは黒麒麟にその結界を破壊させ白龍の神子の召喚儀式が行われている場所へと向かい、ルード、虎、コハクはその間に精鋭分隊と戦っていた

「その後はダリウスが黒麒麟連れて白龍の神子の所に向かって行って龍の宝玉ぎょくを破壊したっつーわけだ」

「・・・・それ、で、瘴気が溢れて・・・また、怨霊が増えた・・?」

「ま、そうだな」

この蠱惑の森はダリウスとルードの術によって守られている為、森や邸には何も影響はないので至って平穏ではあるが・・・

黒麒麟が龍の宝玉の力により相殺し、黒麒麟は闇に帰ったがその時に陰の気が更に放出し、その気に吸い寄せられ怨霊の数が増してた

「・・じゃあ、最初から龍の宝玉の破壊が目的・・だったんですか・・?」

「あんだけの数揃えてりゃ流石に神子奪還は難しいだろ。なら、さっさと宝玉を壊しちまって八葉を選ばなくさせるつーのが今回の作戦だったわけだ」

「・・そう、ですか・・・」

多くの人達を傷つけてしまった事に申し訳ない気持ちと共に、龍の宝玉の破壊と言う目的の事は理解出来た

もし、八葉が選ばれていたら・・・

帝国軍の勢いは増し、鬼の一族に対する為の戦力として使うはずだ

だが過去に八葉に選ばれたのは人間だけではない

鬼や星の一族、神子と同じく異世界から来た人や院と帝、そして異人や平家と源氏と対立している者同士が選ばれた事もあった

破壊心・黒龍の神子がダリウス達鬼の一族側にいるとはいえ、仮に八葉に帝国軍側の人間だけでなく鬼の一族も選ばれていたら・・・

今の状況でお互いを理解する事は無理な話だった

それは過去の書物などを読んだり鬼の一族や自分の一族からも聞かされていたし帝国軍も鬼もお互いが相容れぬ存在と言う事をリアも知っているからこそ、ダリウスが龍の宝玉を破壊したと言う事は理解出来ていた

だが、リアが気にしていたのは別の事だった

「・・・・梓ちゃんは・・無事、なんですか・・・?」

「一応な。ダリウスと一戦やって直ぐに気絶させられたそうだがな」

虎の言い方を見るとどうやらその時虎は一緒にいなかったようだ

多分しんがりをして辺りを見張っていたのだろうと思った

ただ、ダリウスと戦ったと言う所が気になるが、ダリウスの事だから梓に怪我をさせている事はないと判断していると

「けど、暫く部屋から出られねえだろうよ」

「え?」

邸の庭先に着いたと当時に虎はそう言ってある一点を指差す

「・・・!」

そこは梓が使用している部屋の隣、今は空き部屋だったが明らかに数時間前とは違っていた

いつの間にかその部屋の窓に鉄格子が付いていたからだった

「どうして、あんなものが・・・」

「さっきも言っただろ。神子様はかなり反発してもう蠱惑の森には戻らないっつって、ダリウスと一戦やったんだ」

「じゃあ、あの部屋にいるのは・・・」

「神子様だよ・・・。多分部屋にも頑丈に鍵が掛かってるだろうよ」

「・・・!」

梓の心境を考えれば反発してしまうのは当たり前と言えば当たり前だ

今まで親切にしてもらっていた相手から利用され、信頼を裏切られたのだから・・・

「っ・・・」

そう思いリアは邸へ向かって走ろうとしていると

「待て」

「っ・・・!」

虎に腕を掴まれ足が止まってしまう

「ダリウスに神子様を部屋から出せとでも言いに行くつもりか?」

「・・・出来ればそうして欲しいです。梓ちゃんは何も分からない状態で此処に来て、今まで自分の世界に帰る為に怨霊退治をしてきたんです・・。それで全てが解決して元の世界に帰れるとは私も思ってなかったですけど、あんなに一生懸命真っ直ぐに頑張っていたのに理由も聞かされないまま利用されたら、・・そう言ってしまうのは当然です・・・」

「ダリウスもそれを承知でした事だ。ただ、神子様の力で黒麒麟を呼ぶっつーのは元からの計画じゃなく第二作戦だったんだよ」

つまり帝国軍の・・九段が張った結界がそこまで強いものでなかったら、梓が黒麒麟を呼ぶ事はなかったと言う事だ・・・

そしてその第二作戦の事を知らなかったのは梓だけではない

同じくあの時共に居たコハクも、そして、ハイカラヤに居たリアも、だった

「・・・・」

「ダリウスが何でお前を村雨に預けたと思う?」

「・・え?」

「ダリウスなりにお前を気遣ったんだろ。第二作戦やって俺達が邸に戻って来た時に神子様が気絶してんの見たら、お前もダリウスに食って掛かってただろ」

「・・・・」

その可能性がない訳ではないのは自分も一番解っているし、ダリウスもそれを解っていたから昨日ハイカラヤに居なさいと言い、


『・・・けど、もうすぐ俺は、君を傷つけ悲しませてしまうだろう』


そう言われた意味が虎から聞いた事で理解が出来たのだった

「・・・・」

「おら、そろそろ中入んぞ」

大人しくなったリアを見てこれ以上は何も言わないと判断した虎はリアの腕を放し、邸の方へ歩き出しリアもその後に続く


「戻ったぞ」

ガチャっと玄関の扉が開く音が邸の中に響き虎に続いてリアも中へ入る

「・・・あ」

「・・・お帰りなさい、リアさん。虎、ご苦労様でした」

居間に行くとコハクがリアを見て小さな声を出すがその声は何処か弱々しかった

続いてルードもリアと虎に声を掛けると虎はそのままどかっとソファに座る

「・・・・・」

そしてダリウスを見ると目を閉じて何かを考えている顔をしていて、やはりこの場に梓の姿はなかった

「ああ、リアお帰り。・・・顔が真っ青だね。もしかして虎から聞いたの」

「・・・・はい」

梓の事を気にしているとダリウスが目を開けリアを見て言うが顔が青くなっている事に気付き心配そうな顔をして尋ねると、リアは空いているソファに腰掛けながら答え、その返事を聞くとそう・・・と言い、少し息を吐く

邸に入って来た時にも思ったが数時間前までは暖かで賑やかさがあったが今はシンと静まり返っていて何処か冷たさを感じていた

そう思っているとカチャっと音が聞こえテーブルを見ると紅茶の入ったティーカップが置かれていた

「どうぞ。少し落ち着きますし温まりますよ」

「ありがとう、ルードくん」

「コハクもどうぞ」

「うん・・・・・」

だがコハクも梓の事が気になっているのか一口飲むとまた視線を落としてしまう

ルードはダリウスの前にも紅茶を置き、そのままダリウスの隣に控え浮かない顔をしているリアとコハクを見ていたが、ルードも普段とは何処か違う表情を浮かべていた

リア、君は俺達のやり方をどう思った?」

暫く目を閉じていたダリウスの言葉に一斉にリアに視線が集まる

「・・・・正直、驚きました。私は梓ちゃんとコハクくんと同じで今回の作戦は知らなかったし、私一人だけ一緒に行っていなかったからハイカラヤを出て街に瘴気が漂っているのを感じて政虎さんに聞くまでは何も解らない状態でした」

リアが共に行けない理由は皆承知の上だった

帝都の有名店であるミルクホールで看板娘として働いていて、精鋭分隊副隊長、片霧 秋兵と顔見知り、更にハイカラヤでは村雨の知り合いであり帝国軍付きの相談役で星の一族である萩尾 九段とも顔見知りである以上、ダリウス達と共に行動している所を見られてしまえば今後店で働けなるだけではなく帝都を歩く事も出来なくなるし下手をすればそのまま帝国軍の元に置かれ鬼の一族の事を聞かれかねないからだった

「知らなかったとは言え、梓ちゃんだけでなく多くの人を傷つけてしまった事に変わりはないので申し訳ない気持ちでいっぱいです・・・」

リアさん・・・」

梓と同じように辛そうな顔をして言うリアを見てコハクがぽつりと言い、ルードも何かを思っている顔をしていた

ダリウスの革命を成す為の手伝いに参加してはいるが、リアが本当の意味でそこに参加するのは最後の段取りの時だ

それ以外は何かあれば報告する、と言うだけで後はルードと共に邸で家事全般をしている事が条件の一つだった

そして龍神によって黒龍の神子として選ばれた梓の事は黒龍の神子、と言うより同姓の友達であり妹のように接していたから、今回の事を思うとリアも同じように痛みを感じていた

「・・・君も傷つけてしまった事は謝るよ」

ダリウスのその言葉に東京駅の屋根の上で言われた言葉が脳裏を過ぎり、その事に同意するようにルードもリアを見て申し訳ない顔をして目を伏せた

「・・・それで、リアはこれからどうするつもり?」

ダリウスの群青色の瞳がリアを見つめそう問う

白龍の神子が選ばれはしたが、龍の宝玉が破壊され、神子を守護する八葉が選ばれなくなり白龍の神子の力が弱くなったとは言え、帝国軍側には白龍の神子の加護がある

神子が帝国軍にいると解れば世間も帝国軍に今以上に信頼を寄せ、誰も“真実を知ろう”としなくなるだろう

「私は・・・」

皆の視線が先程よりも集まったような気がして一瞬息を詰める

あのままダリウスが破壊心・黒龍の神子である梓を手放すはずがなく逃がさない為に、そして革命の事やこの帝都の闇の真実を聞いてもらう為にもまずは梓を落ちつかせる為にあの鍵の掛かった部屋に梓を置いているのだろうと言うのも虎の話しを聞いて思った事だった

虎の言う通り、ダリウスの気遣いがなければリアも梓と同じように食って掛かっていたかもしれない


『・・・リア、君は何が遭っても俺の―― 俺達の側にいてほしい』


そして、東京駅の屋根の上でダリウスが言った言葉が思い出され一旦目を瞑る


(・・例え自分が傷付いたとしても、鬼の一族への疑いを晴らしたい事と帝都の闇をなんとかしなちゃいけないのは確か。それに、ダリウスさんやルードくん、政虎さんやコハクくん、そして、梓ちゃんといる今の生活が、私にとって凄く大切なものだから ――)


そこで小さく息を吸い目を開け


「それでも私はダリウスさんやルードくん、政虎さんやコハクくんの側にいます」


と、いつもの優しい笑顔を向けて言った

「「「「・・・・・」」」」

リアの言葉にこの場に居た全員意表を突かれたような顔をした

「・・貴女って人は・・・」

「・・・ほんっと、変わった女だよな」

「・・・え?」

「・・やっぱりリアさんは聖母様だね」

少し張り詰めていた空気がリアの言葉によりなくなり、ルードと虎は表情を緩めて小さく笑ってそう言い続いてコハクも嬉しそうに笑ってそう言った

そして、

「・・・本当に、君はいい子だね」

ダリウスもいつもの優しい目をして小さく笑ってリアを見てそう言った

リアの答えを聞いて安心したよ」

先程のリアの返事と笑顔を見てリアが思っていた事を理解したのか、皆本当に安堵した顔をしていてリアもいつものみんなの表情を見れて安堵していた

「これから大変な事が多くなっていくけれど、これからもよろしくね、リア

「はい」

それは梓の事や街に溢れてしまっている瘴気やその瘴気に吸い寄せられて集まって来た怨霊達、そして、帝都の闇の事、色々と含めているだろうが、自分の在るべき場所を再確認し、リアも頷いて返事を返した



続く



あとがき



やっっっっと書き終わった!

今回一番悩んで書きました・・・

でも此処は本編で描かれてないシーンだし、これから先に繋がる為の大事なシーンだったのでかなり時間を掛けて書き上げました

虎との会話の所はやっぱり何だかんだで虎も大人な対応をしてる所が本編でも多かったのでちょっと此処で大人な対応をしてもらいました

後はやっぱり東京駅の屋根の上でダリウスが言った言葉も此処で使わないとこの先の展開に進めないからね

蠱惑の森チームは本当に色々と抱えてるしかなり重要な人物達だからねww

で、タイトルは梓の心境や皆の態度などをイメージしたらこれがしっくりくるなと思ったので冷めゆく熱でした

歌詞的に言うなら梓だと思ってますw(梓ちゃん出てないけどな(^_^;)ww)

とにかく、リアちゃんやダリウス達の仲が何とかなったので良かった!

さて、次回は本編に沿いながらちょっとオリジナルになるのかな・・・?←疑問系w

でもシリアスになると思いますけどねw

では、また次回!



GRANRODEO 5rdアルバム 「CRACK STAR FLASH」&GRANRODEO 曲名でお題  80.冷めゆく熱 より




2015.06.23
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