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二人目の神子召喚当日の夜、
「みんな、部屋に戻る前に一つ良いかな」
夕食の片付けをしようと思い席を立とうとしている面々を見てダリウスは一声掛けた
「ん~、ダリウスさん、なに?」
「今日の約束、覚えているよね。夜から出掛けるよ。準備しておいて」
「畏まりました」
「隠し武器はいくつ持ってくかな・・・」
ダリウスの言葉に梓も固唾を呑み緊張しているのが分かった
「梓ちゃん、大丈夫?」
「うん・・ちょっと緊張しちゃって・・・」
「ああ、そうだ。村雨から、追加で情報・・・」
隣の席に座っている梓を見てリアが声を掛けているとダリウスがそう言いまたダリウスへと視線を向ける
「向こうには、精鋭分隊だけでなく結界を張れる術師がいるそうだ」
「結界を張れる術師・・・九段さん、ですね」
「おそらくはね」
帝国軍で術師と言うと彼以外いない
リアも九段とは面識はあるが彼が術を使っている所は見た事がない
実際どのくらいの使い手なのかは定かではないが、星の一族なのだからかなりのものなのだろうと検討が付く
それに今回は警備の軍人だけでなく、精鋭分隊も一緒となると戦力的に厳しくなる可能性もある
これから召喚される神子も、そしてダリウスや梓達に怪我がなければ良いけどと思っていた
「リアも準備が出来たら行こうか」
「え? 何処に?」
「リアさんは一緒に来ないんだよね?」
「ハイカラヤよ。みんなが戻って来るまでそこで待っている事になってるの」
そう言ってリアはルードの後に続き食器を持って厨房へと向かって行った
それから暫くしてダリウスの空間移動でハイカラヤの脇道に着き、そのまま表へと向かった
「終わったらルードか虎が迎えに来るから。それまで大人しく待っているんだよ」
「分かりました」
「ではね」
言うとダリウスは先程と同じように脇道へ行き空間移動で邸へと戻って行った
それを見送りリアもハイカラヤの中へ入った
11.秘め事
「ったく、ダリウスの奴、押しつけやがって・・・」
「忙しいのにすみません・・・」
中に入ってカウンター席に座ってマスターと話をしていると暫くしてから村雨が奥から出てきて現在村雨特製ブレンドを淹れてもらっている最中だった
「あんたが気にしなさんな。ほい、珈琲」
「有り難う御座います」
「おや、そこの娘さん、確かあのミルクホウルの看板娘さんじゃないかい?」
村雨に淹れて貰った珈琲を一口飲んでいると隣の隣に座っていた男性がリアを見てそう声を掛け周りの人達もつられてリアを見る
「おお、本当だ。村雨先生のお知り合いだったんですね」
「ああ・・」
「うちの常連なのよ。この時間に来るのは滅多にないけどね」
「ほお、そうなんですか」
マスターの言葉を聞くと周りの人達が話し出しまた皆の視線が集まる
「それにしても、随分と親しげに先生と話していますね。まさか先生のお手つきですか」
「えっ!///」
その言葉に驚いて思わず珈琲を零しそうになってしまうが、直ぐに村雨とマスターが続ける
「な訳あるか。今日はこいつが住んでる邸の主が留守だから暫く預かってるんだよ」
「ちょっと、あんまりこの子をからかわないで頂戴」
「おっと、これは失礼。マスターのお気に入りの子でもありましたか」
あははっと陽気に笑う男達を見て村雨は溜息を吐き珈琲が入った自分のカップとリアのカップを持って立ち上がった
「此処だと、ゆっくり話も出来んな。奥行くぞ」
「え、良いんですか?」
「此処よりゆっくり出来るだろうよ。マスター、楓月の連れが迎えに来たら通してやってくれ」
「わかったわ。ごゆっくり~」
言うと村雨は先に奥へと歩き出しリアも席を立ちマスターに一礼してから村雨の後に続いた
「珈琲、此処に置くぞ」
「はい」
「適当に座ってくれ」
言うと村雨は机の前に座りその前にリアも座った
村雨の部屋に来るのは初めてで辺りをきょろきょろと見ていると村雨が小さく笑って声をかけた
「そんなに珍しいか?」
「はい」
「そりゃお宅が住んでる邸と比べたら珍しいものばかりだろうな」
村雨もダリウスの邸には行った事がないが、ダリウスの話を聞いたりしているのだから何となく想像は付いているのかもしれない
机の上を見ると沢山の資料と原稿用紙があった
「新しい小説、書いていたんですか?」
「ああ。まだ構成を練っている最中だがな」
リアも村雨の小説は読んだ事があった
「うちの店にも村雨さんの小説が置いてあるんですよ。たまにお客さんとも話す時がありますし」
「・・・そりゃどうも」
村雨が書く小説は他の人と違った視点や物語が多く、街でも人気があり先程も言っていた通りリアの働いているミルクホールにも村雨の小説が置いてあり客と小説の事について話す時も多々あった
この部屋で素敵な物語が生まれているんだろうなと思っていると
「あ・・、」
「ん?」
ある一点に目が止まり村雨もリアが見ている先、時計の時刻を見ると、既に神子召喚の時刻を過ぎていた
「・・・」
「心配、か・・・?」
「・・・少しだけ」
急に黙ってしまったリアを見て村雨が声を掛けるとリアは少しだけ不安そうな顔をして小さく頷いた
昨日ダリウスと東京駅の屋根の上で話をした時にだいぶ不安はなくなったと思っていたが、今回の警備の数の事を考えると少しだけ心配になってしまう
特にコハクは状況が掴めないまま付いて行ってる状態だし、何より争い事を好んでいない梓も一緒なのだ
鬼の一族の襲撃となれば帝国軍は容赦なく襲ってくるだろう
「・・・ま、楓月の心配事も多少は当たるかもしれんな」
「どう言う事ですか・・?」
「まさかあんた、ダリウスから聞いてないのか?」
キョトンとしたような顔をして言うリアを見てダリウスはあの事をリアに伝えず此処に預けたのかと今納得した
「・・・いや、これは俺からは話せんな。規約違反になる」
つまり村雨はリアが知らない事を、ダリウスがリアに黙っている事を知っているようだった
ダリウスなりにリアを気遣ってこの場に預けたのだろうと思いそこで言葉を切るが、直ぐに言葉を続ける
「ただ、俺があんたに言えるのは、既に環境が変わってしまっている事。そして、あんたは暫く傷つく事になるだろう」
「・・え・・?」
「村雨、いるか」
真剣な表情で言う村雨と村雨の言葉を聞きリアがその言葉に驚いていると聞き慣れた声が聞こえ部屋の入り口の扉が開いた
「迎えが来たみたいだな」
「政虎さん・・・」
迎えに来た政虎を見て怪我がない事を確認するとほっと安堵の息を吐いた
「とっとと帰るぞ。早く珈琲飲んじまえ」
「あ、はい」
「やれやれ、せわしないね」
「村雨、報酬は明日渡しに来るそうだ」
リアが残っていた珈琲を飲んでいる間にダリウスからの伝言を伝えると村雨は了解と答え急いで政虎の元へ行くリアへ目を向ける
「村雨さん、珈琲ご馳走様でした。それと忙しいのに付き合って下さって有り難う御座いました」
「ああ。・・・さっきの話しを聞きたけりゃ本条にでも聞くと良い」
「あ? ま、いいや。行くぞ」
「あ、はい」
急に話しを振られ虎は何の事だか分からないと言う様な顔をしたがそのままリアと共にハイカラヤを出た
「っ!」
だが、ハイカラヤを出ると此処に来た時より外の空気が変わっている事にリアは気が付いた
「・・・空気が重い・・・。それに、どうしてこんなに瘴気が漂ってるの?」
梓が来てから怨霊退治に赴き、前よりも怨霊が減り瘴気も減っていた
それがこの数時間で前よりも空気が重くなっていて帝都全体から瘴気が溢れているのを感じた
「そりゃ神子様の力を引き出してあの獣を呼んだからな」
「・・・どう言う事ですか?」
虎の言葉にリアは足を止め虎もリアを一瞥する
「・・・・蠱惑の森に着いたら話してやる」
言うと虎は歩き出しリアもその後に続く
確かに今の時間、外に出ている人が少ないにしても何時何処で誰が聞いているか分からない
さっきの村雨やそして前を歩いている虎の様子を見る限り、リアが思っているより重要で重たい話になるのだろうと思いながら蠱惑の森へと向かって歩き出した
続く
あとがき
やっと二人目の神子召喚当日までやってきました
此処はゲーム本編と違ってオリジナルで書いたのでかなーーり悩んで書きました
そして何より最後の最後までタイトルが決まらなかった回でした(^_^;)w(他はあっという間に思い付いたのにね・・(^_^;)ww)
さて、最後にも書いた通りですが、次回はダリウスがリアちゃんに黙っていた事が明らかになります
ええ、かなりシリアスで重たーーーい話になるでしょうね・・・
でも今回村雨さんと沢山絡めたし、マスターやお客さん達との会話も書けたのでそこは楽しかったですよ!
ちゃんと「お手つき」も入れたしねww
では、次回もお楽しみに(シリアスなのにお楽しみ・・か? ・・と、村雨さんのツッコみと溜息が聞こえたようなww)
2015.06.23
「みんな、部屋に戻る前に一つ良いかな」
夕食の片付けをしようと思い席を立とうとしている面々を見てダリウスは一声掛けた
「ん~、ダリウスさん、なに?」
「今日の約束、覚えているよね。夜から出掛けるよ。準備しておいて」
「畏まりました」
「隠し武器はいくつ持ってくかな・・・」
ダリウスの言葉に梓も固唾を呑み緊張しているのが分かった
「梓ちゃん、大丈夫?」
「うん・・ちょっと緊張しちゃって・・・」
「ああ、そうだ。村雨から、追加で情報・・・」
隣の席に座っている梓を見てリアが声を掛けているとダリウスがそう言いまたダリウスへと視線を向ける
「向こうには、精鋭分隊だけでなく結界を張れる術師がいるそうだ」
「結界を張れる術師・・・九段さん、ですね」
「おそらくはね」
帝国軍で術師と言うと彼以外いない
リアも九段とは面識はあるが彼が術を使っている所は見た事がない
実際どのくらいの使い手なのかは定かではないが、星の一族なのだからかなりのものなのだろうと検討が付く
それに今回は警備の軍人だけでなく、精鋭分隊も一緒となると戦力的に厳しくなる可能性もある
これから召喚される神子も、そしてダリウスや梓達に怪我がなければ良いけどと思っていた
「リアも準備が出来たら行こうか」
「え? 何処に?」
「リアさんは一緒に来ないんだよね?」
「ハイカラヤよ。みんなが戻って来るまでそこで待っている事になってるの」
そう言ってリアはルードの後に続き食器を持って厨房へと向かって行った
それから暫くしてダリウスの空間移動でハイカラヤの脇道に着き、そのまま表へと向かった
「終わったらルードか虎が迎えに来るから。それまで大人しく待っているんだよ」
「分かりました」
「ではね」
言うとダリウスは先程と同じように脇道へ行き空間移動で邸へと戻って行った
それを見送りリアもハイカラヤの中へ入った
11.秘め事
「ったく、ダリウスの奴、押しつけやがって・・・」
「忙しいのにすみません・・・」
中に入ってカウンター席に座ってマスターと話をしていると暫くしてから村雨が奥から出てきて現在村雨特製ブレンドを淹れてもらっている最中だった
「あんたが気にしなさんな。ほい、珈琲」
「有り難う御座います」
「おや、そこの娘さん、確かあのミルクホウルの看板娘さんじゃないかい?」
村雨に淹れて貰った珈琲を一口飲んでいると隣の隣に座っていた男性がリアを見てそう声を掛け周りの人達もつられてリアを見る
「おお、本当だ。村雨先生のお知り合いだったんですね」
「ああ・・」
「うちの常連なのよ。この時間に来るのは滅多にないけどね」
「ほお、そうなんですか」
マスターの言葉を聞くと周りの人達が話し出しまた皆の視線が集まる
「それにしても、随分と親しげに先生と話していますね。まさか先生のお手つきですか」
「えっ!///」
その言葉に驚いて思わず珈琲を零しそうになってしまうが、直ぐに村雨とマスターが続ける
「な訳あるか。今日はこいつが住んでる邸の主が留守だから暫く預かってるんだよ」
「ちょっと、あんまりこの子をからかわないで頂戴」
「おっと、これは失礼。マスターのお気に入りの子でもありましたか」
あははっと陽気に笑う男達を見て村雨は溜息を吐き珈琲が入った自分のカップとリアのカップを持って立ち上がった
「此処だと、ゆっくり話も出来んな。奥行くぞ」
「え、良いんですか?」
「此処よりゆっくり出来るだろうよ。マスター、楓月の連れが迎えに来たら通してやってくれ」
「わかったわ。ごゆっくり~」
言うと村雨は先に奥へと歩き出しリアも席を立ちマスターに一礼してから村雨の後に続いた
「珈琲、此処に置くぞ」
「はい」
「適当に座ってくれ」
言うと村雨は机の前に座りその前にリアも座った
村雨の部屋に来るのは初めてで辺りをきょろきょろと見ていると村雨が小さく笑って声をかけた
「そんなに珍しいか?」
「はい」
「そりゃお宅が住んでる邸と比べたら珍しいものばかりだろうな」
村雨もダリウスの邸には行った事がないが、ダリウスの話を聞いたりしているのだから何となく想像は付いているのかもしれない
机の上を見ると沢山の資料と原稿用紙があった
「新しい小説、書いていたんですか?」
「ああ。まだ構成を練っている最中だがな」
リアも村雨の小説は読んだ事があった
「うちの店にも村雨さんの小説が置いてあるんですよ。たまにお客さんとも話す時がありますし」
「・・・そりゃどうも」
村雨が書く小説は他の人と違った視点や物語が多く、街でも人気があり先程も言っていた通りリアの働いているミルクホールにも村雨の小説が置いてあり客と小説の事について話す時も多々あった
この部屋で素敵な物語が生まれているんだろうなと思っていると
「あ・・、」
「ん?」
ある一点に目が止まり村雨もリアが見ている先、時計の時刻を見ると、既に神子召喚の時刻を過ぎていた
「・・・」
「心配、か・・・?」
「・・・少しだけ」
急に黙ってしまったリアを見て村雨が声を掛けるとリアは少しだけ不安そうな顔をして小さく頷いた
昨日ダリウスと東京駅の屋根の上で話をした時にだいぶ不安はなくなったと思っていたが、今回の警備の数の事を考えると少しだけ心配になってしまう
特にコハクは状況が掴めないまま付いて行ってる状態だし、何より争い事を好んでいない梓も一緒なのだ
鬼の一族の襲撃となれば帝国軍は容赦なく襲ってくるだろう
「・・・ま、楓月の心配事も多少は当たるかもしれんな」
「どう言う事ですか・・?」
「まさかあんた、ダリウスから聞いてないのか?」
キョトンとしたような顔をして言うリアを見てダリウスはあの事をリアに伝えず此処に預けたのかと今納得した
「・・・いや、これは俺からは話せんな。規約違反になる」
つまり村雨はリアが知らない事を、ダリウスがリアに黙っている事を知っているようだった
ダリウスなりにリアを気遣ってこの場に預けたのだろうと思いそこで言葉を切るが、直ぐに言葉を続ける
「ただ、俺があんたに言えるのは、既に環境が変わってしまっている事。そして、あんたは暫く傷つく事になるだろう」
「・・え・・?」
「村雨、いるか」
真剣な表情で言う村雨と村雨の言葉を聞きリアがその言葉に驚いていると聞き慣れた声が聞こえ部屋の入り口の扉が開いた
「迎えが来たみたいだな」
「政虎さん・・・」
迎えに来た政虎を見て怪我がない事を確認するとほっと安堵の息を吐いた
「とっとと帰るぞ。早く珈琲飲んじまえ」
「あ、はい」
「やれやれ、せわしないね」
「村雨、報酬は明日渡しに来るそうだ」
リアが残っていた珈琲を飲んでいる間にダリウスからの伝言を伝えると村雨は了解と答え急いで政虎の元へ行くリアへ目を向ける
「村雨さん、珈琲ご馳走様でした。それと忙しいのに付き合って下さって有り難う御座いました」
「ああ。・・・さっきの話しを聞きたけりゃ本条にでも聞くと良い」
「あ? ま、いいや。行くぞ」
「あ、はい」
急に話しを振られ虎は何の事だか分からないと言う様な顔をしたがそのままリアと共にハイカラヤを出た
「っ!」
だが、ハイカラヤを出ると此処に来た時より外の空気が変わっている事にリアは気が付いた
「・・・空気が重い・・・。それに、どうしてこんなに瘴気が漂ってるの?」
梓が来てから怨霊退治に赴き、前よりも怨霊が減り瘴気も減っていた
それがこの数時間で前よりも空気が重くなっていて帝都全体から瘴気が溢れているのを感じた
「そりゃ神子様の力を引き出してあの獣を呼んだからな」
「・・・どう言う事ですか?」
虎の言葉にリアは足を止め虎もリアを一瞥する
「・・・・蠱惑の森に着いたら話してやる」
言うと虎は歩き出しリアもその後に続く
確かに今の時間、外に出ている人が少ないにしても何時何処で誰が聞いているか分からない
さっきの村雨やそして前を歩いている虎の様子を見る限り、リアが思っているより重要で重たい話になるのだろうと思いながら蠱惑の森へと向かって歩き出した
続く
あとがき
やっと二人目の神子召喚当日までやってきました
此処はゲーム本編と違ってオリジナルで書いたのでかなーーり悩んで書きました
そして何より最後の最後までタイトルが決まらなかった回でした(^_^;)w(他はあっという間に思い付いたのにね・・(^_^;)ww)
さて、最後にも書いた通りですが、次回はダリウスがリアちゃんに黙っていた事が明らかになります
ええ、かなりシリアスで重たーーーい話になるでしょうね・・・
でも今回村雨さんと沢山絡めたし、マスターやお客さん達との会話も書けたのでそこは楽しかったですよ!
ちゃんと「お手つき」も入れたしねww
では、次回もお楽しみに(シリアスなのにお楽しみ・・か? ・・と、村雨さんのツッコみと溜息が聞こえたようなww)
2015.06.23