長短編
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「パジャマパーティー?」
仕事が終わりハイカラヤに寄ったリアは同じくハイカラヤに着ていた梓と千代と会い、三人で話をしながらいつものように珈琲を飲んでいたが、途中で聞き慣れない言葉が出てきた
「ええ。梓の世界ではそう言うみたいなの」
どうやら寝間着などを着てみんなでお喋りしたりする事を梓の世界ではパジャマパーティーと言うらしい
「前に梓と一緒にやったのだけど凄く楽しかったのよ」
「リアさんはパジャマパーティーってやった事ある?」
里にいた頃と帝都に出て来てからの事を思い出すが、パジャマパーティーらしい事はやった事はなかった
「うーん、ないかも」
「なら、今度はリアさんも一緒にやりましょう」
「あ、そうだね! どう、リアさん」
リアの答えを聞くと千代も梓も嬉しそうにそう聞いてきた
「うん、楽しそうだし良いと思う。けど、私が軍邸に入っても大丈夫?」
禍津迦具土神との戦いが終わり帝都に平和が戻り帝国軍と鬼の一族の関係も前と比べると良くはなってきている
が、軍邸の出入りは軍邸に住んでいる梓や千代や九段、そして精鋭分隊や家政婦などしか入れないはず
良好な関係になってきているとはいえ、軍とは無関係の人間であるリアが入って良いのかが気になっていた
「勿論よ。それにリアさんなら九段も快く了承してくれるわ」
「それに私達友達だし、大歓迎だよ」
「そうだね。じゃあ色々と決めて私もお泊まりの確認をしてみるね」
にっこりと微笑んで言う千代と梓を見てリアも微笑み返し、また三人で微笑み合った
「・・・と言う事なので、今度の日曜日に梓ちゃんと千代ちゃんの所に泊まりに行っても良いでしょうか?」
それから時間は過ぎ、リアは帰宅してルードと共に夕飯の準備を済ませ夕食の時にダリウスに梓と千代の所に泊まる、と言う事を伝えていたのだった
「へえ、神子様のとこにねえ」
「勿論構わないよ。行っておいで」
「そうですね。たまには梓さん達と一緒に過ごすのも良いでしょうし」
「梓さん達の所にお泊まりかぁ。良いなぁ」
「コハク、貴方は駄目ですよ。泊まりに行くのはリアさんだけですよ」
「うー、わかってるよー。でもリアさんが泊まりに来たら梓さんも千代さんも絶対喜ぶだろうね」
「そうだね。君達の仲の良さは俺達も知っているしね」
「当日は楽しんで来て下さい、リアさん」
「うん、ありがとう」
「手土産よろしくな」
「あ、えっと、何かあれば買って来ます・・ι」
そして、パジャマパーティー当日
「こんばんは」
「おおリア、久し振りだな」
「九段さん、こんばんは。あ、これ、良かったらどうぞ」
「おお、これは前に言っていた菓子か!」
「はい」
夕方、軍邸に梓と共に訪れたリアは九段に挨拶をした後、手土産であるお菓子を渡していた
それは以前ハイカラヤで九段と会った時に話していた甘味の店のお菓子だった
「リアさん、いらっしゃい」
そう話していると千代も出迎えてくれて早速三人で客間へと向かった
「お邪魔します」
「わぁ、もう三人分のお布団が敷いてある」
「こう見るとこの客間も随分と印象が変わるものね」
普段この客室はあまり使う事がないらしいが梓も千代もこの軍邸に来た時に一度中に入った事があったようだ
「そう言えば、寝間着は持って来なくて大丈夫って言ってたけど本当に良かったの?」
パジャマパーティーの話をした時に千代から持って来なくて大丈夫、と言われていたので簡単なものしか持って来ていなかった
「ええ、だって、リアさんにはこれを着て貰いたいんですもの♪」
そう言って千代は手に持っていた紙袋から洋服を取り出した
「・・・それは、ネグリジェ?」
千代が持っていたものはネグリジェだった
「ええ。以前梓とパジャマパーティーをやった時に私達も新しいネグリジェだったから、リアさんにもって」
「今回は私も選んだんだけどね」
どうやら千代が今持っているネグリジェは梓と千代、二人が選んでくれたものだった
「後でみんなでお披露目ね」
楽しそうに言う千代を見て梓もリアも微笑んでいた
そして、
「二人とも、お待たせ」
「あ、リアさん「「・・・・」」
「? どうかした?」
夕食を終えそれぞれお風呂も済ませリアも部屋に戻って来たのだが、リアを見た途端、梓も千代も驚いたような顔をしていたが直ぐに表情を変えた
「リアさん、すっっごく似合ってる!」
「ええ。まるで本物のお姫様みたいだわ! 写真に撮りたいくらい似合っているわ」
「うん! 私の世界だったら直ぐに撮るんだけどなぁ」
「でも梓ちゃんも千代ちゃんも凄く可愛いよ」
「私はまだ慣れないんだけど」
「私はまたこうやって梓と一緒に着られて嬉しいわ」
二人は色違いでお揃いのネグリジェを着ていた
その姿がまるで姉妹のように感じリアは微笑んでいた
「二人も良く似合ってるから写真に撮りたいって言うの何となく解るな」
「どうせなら三人で撮ってみたいわね」
「うん。機会があれば撮ってみたいよね」
そう言って三人で笑い合った後、パジャマパーティーは始まりそれぞれ準備して着たお菓子や飲み物の準備を始め例のパジャマパーティーが始まった
今夜は楽しいパジャマパーティー
「うーん、リアさんが作ったマドレーヌ、やっぱり美味しいなぁ」
「本当。凄くふわふわしててこの蜂蜜ミルクとも合うわぁ」
「喜んでくれて良かった。二人が用意してくれたお菓子も蜂蜜ミルクもとっても美味しいよ」
あれから少ししてパジャマパーティーが始まり今はそれぞれが準備したお菓子や飲み物を食べたり飲んだりしながら話をしていた
「梓から聞いていたけれど、リアさんの手作り菓子、本当に美味しいわ」
「リアさん、お菓子だけじゃなくて料理も上手だしね」
「ありがとう。でも梓ちゃんだって料理上手だったじゃない」
「そうかな? ・・でも、一度失敗した事が・・・」
「そう言えばそうだったね」
その時の事を思い出したのか梓は少しだけ表情を変え、リアも同じようにその時の事を思い出していた
「なあに、その話?」
「私がまだダリウスの邸に居た頃の話なんだけど、ルードくんが昼食の準備をしててその時に私もほうれん草と卵のソテーを作ったんだけど・・・焦がしちゃって・・・」
「まあそうだったの」
「でも美味しかったよ。梓ちゃんが一生懸命作ってくれたのが伝わったから私はあんまり焦げたのを感じなかったよ」
「リアさん・・・」
「それにそれ以外でも料理を手伝ってくれたから感謝もしてるし、楽しかったんだよ」
「そっか・・。うん、私も楽しかったしリアさんには今でも凄く感謝してるんだ」
「ふふっ、何だか聞いているだけでも凄く素敵だわ。梓がリアさんと凄く仲が良いとは思っていたけれど、色々と遭ったからなのね」
ずっとリアと梓の話を聞いていた千代がそう言って微笑んでいた
「ねえリアさん、前に梓から少しだけ聞いたけれど、リアさんからももっと色々な話を聞いてみたいわ」
「うん、せっかくの機会だし、話せる事なら」
「梓とリアさんはいつ頃出逢ったのかしら?」
「私がこの世界に来てダリウスの邸に行った時だよ。リアさんが出迎えてくれて。私、その時凄く混乱してたし疲れてたけどリアさんが凄く親切にしてくれて・・。その後も色々と優しくして貰ったし、リアさんには感謝しきれない程、お世話にもなってるよね」
「辛い思いをさせちゃった時もあったけど・・。でも、梓ちゃんが邸に来て一緒に過ごして本当に楽しかったから。きっと千代ちゃんも同じだと思うけれど」
「ええ。梓といると楽しいし本当に頼りになるものね」
「え、何か急に恥ずかしくなってきたんだけど///」
急にリアと千代から褒められ梓は少しだけ頬を染めそれを見てリアも千代も小さく笑った
「梓ちゃんと一緒にいる時に姉妹みたいって言われた事もあったよね」
「うん。でも、私、リアさんはお姉さんみたいって思ってるからそう言われてちょっと嬉しかったな」
「私も」
「友達であり姉妹のよう、ね。羨ましいわ」
「千代もリアさんの事お姉さんみたい、って思ってるでしょ」
「ええ。リアさんと話していると本当に姉と話しているみたいって思う時があるもの」
「千代ちゃんもそう言ってくれるの、何だか嬉しいな」
「じゃあリアさんは私達のお姉さん、だね」
その言葉に三人で笑い合った
「でもリアさんは帝都に来る前から鬼の一族の方々と知り合いだったのよね」
「ええ、私の生まれ育った里が鬼の一族の隠れ里の近くにあったの。だから鬼の一族とは知り合いだったし、ダリウスさんとルードくんも昔から知り合いだったの」
「リアさんから見て鬼の一族の人達ってどう言う人?」
「・・・千代、若干目が恋バナを聞いた時と同じようになってるよι」
「ふふ、それは勿論、恋バナも含め、色々と聞いてみたいでしょ♪」
「ええっ///」
恋バナと言う単語は以前梓から聞いた事があり、その意味を理解するとリアは少しだけ焦ってしまうが千代は先程と変わらず目をキラキラとさせてリアの話の続きを待っていた
「えっと、私、そう言った話はないんだけど・・・」
「あら、リアさんはミルクホウルの看板娘じゃない。色々な殿方から告白されたりもしているでしょう」
「・・ええっと・・・ま、まあ・・・」
「あ、やっぱりそうだったんだ」
梓もそこは気になっていたようで小声でそう言っていた
「でも私、そう言った事は興味が無いと言うか・・・それどころじゃなかったし」
「そうだよね。リアさんもダリウスとルードくんと同じで帝都や鬼の一族の事を考えていたんだもんね」
梓もリアがどうしてダリウス達と共に居たか、と言う事を知っていたし、リアが恋愛系に関心がないと言う事も知っていた
「なら、リアさんから見て鬼の一族・・いえ、鬼の首領ってどんな人?」
「私から見て? ・・そうだな、ダリウスさんは凄く優しい人よ。梓ちゃんや私も含め、邸に暮らしているみんなの事を優しく見守ってくれてるからみんなの保護者・・、」
「みんなのお父さん、って感じだよね」
「ええ。それに花を育てるのが上手なの。特にダリアが好きで一番大事に育ててるの」
「じゃああの時のダリアはお邸で育てたダリアだったのかしら?」
それはあの事件の時、千代が病院に入院していた時にリアが見舞いにと持って行ったダリアの事だった
「確かにあのダリアは凄く綺麗だったわ。沢山愛情を感じたもの」
「そう感じてくれていたならダリウスさんも喜ぶよ。けど、ああ見えて実は料理が苦手だったりするのよ」
「ああ、うん。そうだね・・・ι」
「梓も何か心当たりがあるの?」
「私も邸でリアさんとルードくんと虎から聞いただけなんだけど・・・その、凄く斬新な料理をする・・と、言うか・・・ι」
「斬新・・・?」
「えっと、梓ちゃんが邸に来る前の話なんだけど、何度かダリウスさんが料理を作った事があって、その時の料理が鮑の酢漬けのサンドイッチ、とか、馬鈴薯のおはぎ、とか・・・色々と、ね・・・ι」
「・・・それは、斬新・・と言うより、個性的過ぎる料理、ね・・・ι」
流石にそこまで聞いて千代も想像したのか、リアと梓が苦笑している理由が分かった
「つまり鬼の首領は女泣かせだけれど、苦手な事もある、と言う事ね」
「・・・女泣かせ?」
「梓から戯れのような事を言う方って聞いていたから」
「確かに戯れや悪戯っぽい事を言う時もあるかな。でも、一度だけそう言った事でダリウスさんに助けられた事があったな」
「え、そうなの?」
「梓ちゃんが邸からいなくなってだいぶ経った時の話なんだけどね。ダリウスさん、普段は古美術商の仕事をしているんだけど、馴染みの顧客から夜会を開くから来て欲しいって言われてダリウスさんと一緒に夜会に参加した時があったの。それで一番最後に一緒にワルツを踊った男性から交際を申し込まれたんだけど」
「ええ!?」「まあ!?」
交際、と言う言葉を聞き梓も千代も驚いてしまう
「それで答えに困っている時にダリウスさんが交際を申し込んだ男性に、自分の恋人だから・・って言って助けて貰って・・・」
「そんな事が遭ったんだ」
「梓も初耳なの?」
「うん。それでその男性は納得したんだ」
「え・・・」
「してないみたいね」
リアの反応を見て千代はまた楽しそうに笑った
「それで、どうやってリアさんを助けてくれたの?」
「えっと・・・その、交際を申し込んだ男性に私とダリウスさんが恋人だって証明するような形になって・・・ダリウスさんが私とキスしてるように見せかけて・・///」
「「ええ!!??」」
「実際にはしてないからねっ!/// 相手にそう見えるようにしただけだからっ!///」
先程より驚いている二人を見てリアは慌ててそう言い添える
「・・・ダリウス、やっぱり凄いや」
「・・ええ、やっぱりあの方は女泣かせね。けれど、案外本気なのかもしれないわよ」
「ああ・・。ダリウスならあり得そう・・・。リアさんと一緒にいる時、ちょっと雰囲気違うし」
「まあ! じゃあ、本当に・・・」
「あ、あの、二人とも、勝手に何か納得しないで? えと、そろそろ次の人の話にいかない? ええっと、・・じゃあ次はルードくん」
何処か勝手に納得している梓と千代を見てリアが修正を掛けようとして次の人の話題に移し、梓と千代も話をやめてリアの方を見て話の続きを待った
「実はルードくんとは一番付き合いが長いんだ」
「そうなの?」
「うん。ダリウスさんと出逢う前からの知り合いだからね」
「どうやって出逢ったの?」
「ルードくんとはお互いの里の近くの平原で修行してる時に出逢ったのよ。そこからの付き合いだからルードくんとダリウスさんとはもう四、五年になるのかな?」
「そんなに前からの知り合いだったのね」
「そっかぁ。だからリアさんといる時は雰囲気が私達とは違うんだね」
「どう言う事?」
「ダリウスやリアさんと一緒の時は凄く優しい表情なんだけど私達の時は少しツンって感じ・・・厳しい感じみたいになるの。本人としては当然の差、なんだろうけど」
「あははっ。でも厳しい所もあるけど素直で優しい所もあるでしょ」
「うん。邸でルードくんにいっぱいお世話になったし、いつもルードくんとリアさんが食事を作ってくれたし、毎日の料理が楽しみだったんだ」
「そう言ってくれると作り甲斐があるから嬉しいな、有り難う。ルードくん、年下だけど見習う所が多いし頼りになるし色々と助けて貰ってる所もあるし」
「ほんとしっかりしてるよね」
「梓だけでなくリアさんにまで頼られているなんて何だか羨ましいわ」
「千代も何か教えて欲しい事があったら言ってみたら? ルードくん、教えてくれると思うよ」
「そうかしら」
「ええ、きっと教えてくれると思うよ」
「思わず先生って言っちゃうくらい上手だから」
「本人は先生って言われるの嫌がると思うけど」
先生と言われた時のルードを思い出しリアと梓は小さく笑っていた
「でもたまにだけど、年相応の反応を見せる時もあるのよ」
「まあ。意外と素直な子なのね」
「リアさんやダリウスの前でしか見られないと思うけどな」
ルードの性格を解っている梓がそう言うとリアもそうかも、と言って納得していた
「けど、頼りになるって言うなら政虎さんも、かな」
「確かに虎は見た目は怖いけど結構頼りになるよね」
その言葉に思わず笑ってしまう
「政虎さんってああ見えて結構面倒見が良いのよ。困っている人がいたら何気なく助けたりして。私達も助けられた事あるしね」
「私はリアさんより助けられた回数は少ないかもしれないけど、一番助かったなって思うのがあの時なんだ」
「あの時?」
「・・愛宕山の事件が遭った次の日なんだけど、あの部屋から抜け出そうとした時にコハクが手伝ってくれたんだけど、その後虎に見つかって・・・でもその事は黙っておいてやる、って」
「実際、私やダリウスさんも薄々気付いていたけど、梓ちゃんと会えた時に梓ちゃんが何も言わなかったからその事は黙っていたの」
「そっか・・・」
「でも梓ちゃんがいなくなった後が色々と大変だったけどね。政虎さんもコハクくんもルードくんに食事抜きにされてたしダリウスさんからの仕事も差し止めされてたから・・・」
「あ、それは虎とコハクから聞いた・・ι」
梓も虎やコハクからその話は聞いていたようで少しだけ申し訳ない顔をしていた
「けど政虎さんは困っている人がいたら助ける人だから、梓ちゃんが教えてくれたヒーローみたいって思ってるの」
「虎がヒーロー・・・何となくだけど解る気がするな」
ヒーローと言う言葉は以前ミルクホールで三人で喋っていた時に梓から意味を聞いていたので千代もその意味を知っていた
「お顔は怖いけれどとても頼りになる方なのね。じゃあ最後は」
「コハク、だね」
「コハクくんは明るくて親しみやすい人よね」
「ええ、以前会った時に親しみやすい方だって伝わったもの」
「何でも自分から手伝ってくれる事が多いから今でも助かってるな」
「邸にいた頃、良くコハクと一緒に手伝ってなぁ。それにコハクは独楽回しも上手なんだよ」
「良く浅草の仲見世で披露していたのよ。お客さんも多くて常連さんもいるし大人気なのよ」
「そうなの? 是非見てみたいわ」
「コハクに言ったら見せてくれるよ」
「なら今度お会いした時に言ってみようかしら。そう言えば梓の事を女神様って呼んでいなかったかしら?」
以前祝勝会をやった時に梓の事をそう呼んでいた事を思い出しそう尋ねた
「コハクと出逢った時に何故だかそう呼ばれたのがきっかけかな・・。でもリアさんもコハクから聖母様って呼ばれてるんだよ」
「聖母様! 解るわぁ! リアさんにピッタリの表現ね!」
「千代ちゃん、そこ納得しちゃうの?ι」
「ええ。同姓の私達ですらそう思ってしまうもの」
千代の言葉に梓も同意するかように微笑んでいた
「梓とリアさんから話を聞いて何だか鬼の人達の印象も随分と変わったわ」
「そう? 良い方に変わってくれていたら私は嬉しいな」
「ふふ。リアさん、凄く嬉しそうだね」
「大切な人達がそう思われたら誰だって嬉しいでしょ」
「リアさんにとってやっぱり鬼の人達は大切な人なのね」
「ええ」
本当に嬉しそうに微笑むリアを見て梓と千代は言葉を詰まらせた
「? どうかした?」
「いえ、その、今のリアさんが本当に聖母様のように見えて・・」
「うん・・・そのネグリジェとリアさんの笑顔が合いすぎてて・・・」
「思わずときめいちゃった(ときめいてしまったわ)」
「ええ///」
二人の言葉に驚いてしまうがそんなリアを見て梓と千代は小さく笑ったが直ぐに何か話し出した
「やっぱりこんなに素敵なリアさんを鬼の人達や他の殿方に渡すのは勿体ないわ」
「え?」
「ダリウス達がリアさんの事凄く大事にしてるのは知ってるけど、・・やっぱり、ねえ?」
「あ、梓、ちゃん?」
何処か結束を固めたような梓と千代を見てリアは疑問を持つ
「リアさん、何か遭ったら私達に直ぐに言ってね」
「私達が悪い虫からリアさんを守るから」
「え、えっと、あ、ありがとう・・・ι」
二人の迫力に負けてかそう言って小さく苦笑した
「けれどそんな素敵なリアさんを今夜は私達が独り占め、ね」
「そうだね」
言うと千代と梓はリアの隣に来てリアを間に挟むようにして寝転んだ
「ふふ。じゃあ今日は二人のお姉さんになるから、思いっきり甘えても良いよ」
リアがそう返すと梓も千代も嬉しそうな顔をしてまた三人で楽しそうに笑い合った
パジャマパーティー、初めてだったけれど、梓ちゃんと千代ちゃんと色々な話をして美味しいお菓子を食べて美味しい飲み物を飲んで思っていたよりも凄く楽しい時間を過ごせた
色々な縁が遭って出逢った二人だけど、今まで話せなかった事なども話してもっとお互いを知れて仲良くなれた気がする
こうやって女の子同士でお泊まりして楽しくお喋りをする事が今までなかったから凄く楽しかったし、またやりたいなって思っちゃった
「また、こうやって三人でパジャマパーティー出来ると良いね」
自分の両サイドで眠っている梓と千代を見てリアは優しく微笑みながらそう呟きリアも眠りに付いたのだった
終わり
あとがき
はい、と言う事で、久々の遙か6の長編! そして神子達との夢でした!w
ええ、まさかの神子達落ちですよ←ww
前々から遙か祭2016のイベント会場限定CDに入っていた梓と千代がやったパジャマパーティーネタを使いたいなあ・・・って思ってたんですけど、やっと思い付いたので書いてみました
神子達と和気藹々としているものを書けたし、CDで使われていたような内容に近いものを含め書けたので良かったかなと思っています
つーか、蠱惑の森の皆さんと九段さん、出番めっちゃ少なくてごめんね(^^;)w
でも今回も楽しく読んで頂けていたら満足です!
では、また何か短編やら長編など思い付いた時には書きたいと思っています!
此処まで読んで頂いて有り難う御座いました!
2016.07.17
仕事が終わりハイカラヤに寄ったリアは同じくハイカラヤに着ていた梓と千代と会い、三人で話をしながらいつものように珈琲を飲んでいたが、途中で聞き慣れない言葉が出てきた
「ええ。梓の世界ではそう言うみたいなの」
どうやら寝間着などを着てみんなでお喋りしたりする事を梓の世界ではパジャマパーティーと言うらしい
「前に梓と一緒にやったのだけど凄く楽しかったのよ」
「リアさんはパジャマパーティーってやった事ある?」
里にいた頃と帝都に出て来てからの事を思い出すが、パジャマパーティーらしい事はやった事はなかった
「うーん、ないかも」
「なら、今度はリアさんも一緒にやりましょう」
「あ、そうだね! どう、リアさん」
リアの答えを聞くと千代も梓も嬉しそうにそう聞いてきた
「うん、楽しそうだし良いと思う。けど、私が軍邸に入っても大丈夫?」
禍津迦具土神との戦いが終わり帝都に平和が戻り帝国軍と鬼の一族の関係も前と比べると良くはなってきている
が、軍邸の出入りは軍邸に住んでいる梓や千代や九段、そして精鋭分隊や家政婦などしか入れないはず
良好な関係になってきているとはいえ、軍とは無関係の人間であるリアが入って良いのかが気になっていた
「勿論よ。それにリアさんなら九段も快く了承してくれるわ」
「それに私達友達だし、大歓迎だよ」
「そうだね。じゃあ色々と決めて私もお泊まりの確認をしてみるね」
にっこりと微笑んで言う千代と梓を見てリアも微笑み返し、また三人で微笑み合った
「・・・と言う事なので、今度の日曜日に梓ちゃんと千代ちゃんの所に泊まりに行っても良いでしょうか?」
それから時間は過ぎ、リアは帰宅してルードと共に夕飯の準備を済ませ夕食の時にダリウスに梓と千代の所に泊まる、と言う事を伝えていたのだった
「へえ、神子様のとこにねえ」
「勿論構わないよ。行っておいで」
「そうですね。たまには梓さん達と一緒に過ごすのも良いでしょうし」
「梓さん達の所にお泊まりかぁ。良いなぁ」
「コハク、貴方は駄目ですよ。泊まりに行くのはリアさんだけですよ」
「うー、わかってるよー。でもリアさんが泊まりに来たら梓さんも千代さんも絶対喜ぶだろうね」
「そうだね。君達の仲の良さは俺達も知っているしね」
「当日は楽しんで来て下さい、リアさん」
「うん、ありがとう」
「手土産よろしくな」
「あ、えっと、何かあれば買って来ます・・ι」
そして、パジャマパーティー当日
「こんばんは」
「おおリア、久し振りだな」
「九段さん、こんばんは。あ、これ、良かったらどうぞ」
「おお、これは前に言っていた菓子か!」
「はい」
夕方、軍邸に梓と共に訪れたリアは九段に挨拶をした後、手土産であるお菓子を渡していた
それは以前ハイカラヤで九段と会った時に話していた甘味の店のお菓子だった
「リアさん、いらっしゃい」
そう話していると千代も出迎えてくれて早速三人で客間へと向かった
「お邪魔します」
「わぁ、もう三人分のお布団が敷いてある」
「こう見るとこの客間も随分と印象が変わるものね」
普段この客室はあまり使う事がないらしいが梓も千代もこの軍邸に来た時に一度中に入った事があったようだ
「そう言えば、寝間着は持って来なくて大丈夫って言ってたけど本当に良かったの?」
パジャマパーティーの話をした時に千代から持って来なくて大丈夫、と言われていたので簡単なものしか持って来ていなかった
「ええ、だって、リアさんにはこれを着て貰いたいんですもの♪」
そう言って千代は手に持っていた紙袋から洋服を取り出した
「・・・それは、ネグリジェ?」
千代が持っていたものはネグリジェだった
「ええ。以前梓とパジャマパーティーをやった時に私達も新しいネグリジェだったから、リアさんにもって」
「今回は私も選んだんだけどね」
どうやら千代が今持っているネグリジェは梓と千代、二人が選んでくれたものだった
「後でみんなでお披露目ね」
楽しそうに言う千代を見て梓もリアも微笑んでいた
そして、
「二人とも、お待たせ」
「あ、リアさん「「・・・・」」
「? どうかした?」
夕食を終えそれぞれお風呂も済ませリアも部屋に戻って来たのだが、リアを見た途端、梓も千代も驚いたような顔をしていたが直ぐに表情を変えた
「リアさん、すっっごく似合ってる!」
「ええ。まるで本物のお姫様みたいだわ! 写真に撮りたいくらい似合っているわ」
「うん! 私の世界だったら直ぐに撮るんだけどなぁ」
「でも梓ちゃんも千代ちゃんも凄く可愛いよ」
「私はまだ慣れないんだけど」
「私はまたこうやって梓と一緒に着られて嬉しいわ」
二人は色違いでお揃いのネグリジェを着ていた
その姿がまるで姉妹のように感じリアは微笑んでいた
「二人も良く似合ってるから写真に撮りたいって言うの何となく解るな」
「どうせなら三人で撮ってみたいわね」
「うん。機会があれば撮ってみたいよね」
そう言って三人で笑い合った後、パジャマパーティーは始まりそれぞれ準備して着たお菓子や飲み物の準備を始め例のパジャマパーティーが始まった
今夜は楽しいパジャマパーティー
「うーん、リアさんが作ったマドレーヌ、やっぱり美味しいなぁ」
「本当。凄くふわふわしててこの蜂蜜ミルクとも合うわぁ」
「喜んでくれて良かった。二人が用意してくれたお菓子も蜂蜜ミルクもとっても美味しいよ」
あれから少ししてパジャマパーティーが始まり今はそれぞれが準備したお菓子や飲み物を食べたり飲んだりしながら話をしていた
「梓から聞いていたけれど、リアさんの手作り菓子、本当に美味しいわ」
「リアさん、お菓子だけじゃなくて料理も上手だしね」
「ありがとう。でも梓ちゃんだって料理上手だったじゃない」
「そうかな? ・・でも、一度失敗した事が・・・」
「そう言えばそうだったね」
その時の事を思い出したのか梓は少しだけ表情を変え、リアも同じようにその時の事を思い出していた
「なあに、その話?」
「私がまだダリウスの邸に居た頃の話なんだけど、ルードくんが昼食の準備をしててその時に私もほうれん草と卵のソテーを作ったんだけど・・・焦がしちゃって・・・」
「まあそうだったの」
「でも美味しかったよ。梓ちゃんが一生懸命作ってくれたのが伝わったから私はあんまり焦げたのを感じなかったよ」
「リアさん・・・」
「それにそれ以外でも料理を手伝ってくれたから感謝もしてるし、楽しかったんだよ」
「そっか・・。うん、私も楽しかったしリアさんには今でも凄く感謝してるんだ」
「ふふっ、何だか聞いているだけでも凄く素敵だわ。梓がリアさんと凄く仲が良いとは思っていたけれど、色々と遭ったからなのね」
ずっとリアと梓の話を聞いていた千代がそう言って微笑んでいた
「ねえリアさん、前に梓から少しだけ聞いたけれど、リアさんからももっと色々な話を聞いてみたいわ」
「うん、せっかくの機会だし、話せる事なら」
「梓とリアさんはいつ頃出逢ったのかしら?」
「私がこの世界に来てダリウスの邸に行った時だよ。リアさんが出迎えてくれて。私、その時凄く混乱してたし疲れてたけどリアさんが凄く親切にしてくれて・・。その後も色々と優しくして貰ったし、リアさんには感謝しきれない程、お世話にもなってるよね」
「辛い思いをさせちゃった時もあったけど・・。でも、梓ちゃんが邸に来て一緒に過ごして本当に楽しかったから。きっと千代ちゃんも同じだと思うけれど」
「ええ。梓といると楽しいし本当に頼りになるものね」
「え、何か急に恥ずかしくなってきたんだけど///」
急にリアと千代から褒められ梓は少しだけ頬を染めそれを見てリアも千代も小さく笑った
「梓ちゃんと一緒にいる時に姉妹みたいって言われた事もあったよね」
「うん。でも、私、リアさんはお姉さんみたいって思ってるからそう言われてちょっと嬉しかったな」
「私も」
「友達であり姉妹のよう、ね。羨ましいわ」
「千代もリアさんの事お姉さんみたい、って思ってるでしょ」
「ええ。リアさんと話していると本当に姉と話しているみたいって思う時があるもの」
「千代ちゃんもそう言ってくれるの、何だか嬉しいな」
「じゃあリアさんは私達のお姉さん、だね」
その言葉に三人で笑い合った
「でもリアさんは帝都に来る前から鬼の一族の方々と知り合いだったのよね」
「ええ、私の生まれ育った里が鬼の一族の隠れ里の近くにあったの。だから鬼の一族とは知り合いだったし、ダリウスさんとルードくんも昔から知り合いだったの」
「リアさんから見て鬼の一族の人達ってどう言う人?」
「・・・千代、若干目が恋バナを聞いた時と同じようになってるよι」
「ふふ、それは勿論、恋バナも含め、色々と聞いてみたいでしょ♪」
「ええっ///」
恋バナと言う単語は以前梓から聞いた事があり、その意味を理解するとリアは少しだけ焦ってしまうが千代は先程と変わらず目をキラキラとさせてリアの話の続きを待っていた
「えっと、私、そう言った話はないんだけど・・・」
「あら、リアさんはミルクホウルの看板娘じゃない。色々な殿方から告白されたりもしているでしょう」
「・・ええっと・・・ま、まあ・・・」
「あ、やっぱりそうだったんだ」
梓もそこは気になっていたようで小声でそう言っていた
「でも私、そう言った事は興味が無いと言うか・・・それどころじゃなかったし」
「そうだよね。リアさんもダリウスとルードくんと同じで帝都や鬼の一族の事を考えていたんだもんね」
梓もリアがどうしてダリウス達と共に居たか、と言う事を知っていたし、リアが恋愛系に関心がないと言う事も知っていた
「なら、リアさんから見て鬼の一族・・いえ、鬼の首領ってどんな人?」
「私から見て? ・・そうだな、ダリウスさんは凄く優しい人よ。梓ちゃんや私も含め、邸に暮らしているみんなの事を優しく見守ってくれてるからみんなの保護者・・、」
「みんなのお父さん、って感じだよね」
「ええ。それに花を育てるのが上手なの。特にダリアが好きで一番大事に育ててるの」
「じゃああの時のダリアはお邸で育てたダリアだったのかしら?」
それはあの事件の時、千代が病院に入院していた時にリアが見舞いにと持って行ったダリアの事だった
「確かにあのダリアは凄く綺麗だったわ。沢山愛情を感じたもの」
「そう感じてくれていたならダリウスさんも喜ぶよ。けど、ああ見えて実は料理が苦手だったりするのよ」
「ああ、うん。そうだね・・・ι」
「梓も何か心当たりがあるの?」
「私も邸でリアさんとルードくんと虎から聞いただけなんだけど・・・その、凄く斬新な料理をする・・と、言うか・・・ι」
「斬新・・・?」
「えっと、梓ちゃんが邸に来る前の話なんだけど、何度かダリウスさんが料理を作った事があって、その時の料理が鮑の酢漬けのサンドイッチ、とか、馬鈴薯のおはぎ、とか・・・色々と、ね・・・ι」
「・・・それは、斬新・・と言うより、個性的過ぎる料理、ね・・・ι」
流石にそこまで聞いて千代も想像したのか、リアと梓が苦笑している理由が分かった
「つまり鬼の首領は女泣かせだけれど、苦手な事もある、と言う事ね」
「・・・女泣かせ?」
「梓から戯れのような事を言う方って聞いていたから」
「確かに戯れや悪戯っぽい事を言う時もあるかな。でも、一度だけそう言った事でダリウスさんに助けられた事があったな」
「え、そうなの?」
「梓ちゃんが邸からいなくなってだいぶ経った時の話なんだけどね。ダリウスさん、普段は古美術商の仕事をしているんだけど、馴染みの顧客から夜会を開くから来て欲しいって言われてダリウスさんと一緒に夜会に参加した時があったの。それで一番最後に一緒にワルツを踊った男性から交際を申し込まれたんだけど」
「ええ!?」「まあ!?」
交際、と言う言葉を聞き梓も千代も驚いてしまう
「それで答えに困っている時にダリウスさんが交際を申し込んだ男性に、自分の恋人だから・・って言って助けて貰って・・・」
「そんな事が遭ったんだ」
「梓も初耳なの?」
「うん。それでその男性は納得したんだ」
「え・・・」
「してないみたいね」
リアの反応を見て千代はまた楽しそうに笑った
「それで、どうやってリアさんを助けてくれたの?」
「えっと・・・その、交際を申し込んだ男性に私とダリウスさんが恋人だって証明するような形になって・・・ダリウスさんが私とキスしてるように見せかけて・・///」
「「ええ!!??」」
「実際にはしてないからねっ!/// 相手にそう見えるようにしただけだからっ!///」
先程より驚いている二人を見てリアは慌ててそう言い添える
「・・・ダリウス、やっぱり凄いや」
「・・ええ、やっぱりあの方は女泣かせね。けれど、案外本気なのかもしれないわよ」
「ああ・・。ダリウスならあり得そう・・・。リアさんと一緒にいる時、ちょっと雰囲気違うし」
「まあ! じゃあ、本当に・・・」
「あ、あの、二人とも、勝手に何か納得しないで? えと、そろそろ次の人の話にいかない? ええっと、・・じゃあ次はルードくん」
何処か勝手に納得している梓と千代を見てリアが修正を掛けようとして次の人の話題に移し、梓と千代も話をやめてリアの方を見て話の続きを待った
「実はルードくんとは一番付き合いが長いんだ」
「そうなの?」
「うん。ダリウスさんと出逢う前からの知り合いだからね」
「どうやって出逢ったの?」
「ルードくんとはお互いの里の近くの平原で修行してる時に出逢ったのよ。そこからの付き合いだからルードくんとダリウスさんとはもう四、五年になるのかな?」
「そんなに前からの知り合いだったのね」
「そっかぁ。だからリアさんといる時は雰囲気が私達とは違うんだね」
「どう言う事?」
「ダリウスやリアさんと一緒の時は凄く優しい表情なんだけど私達の時は少しツンって感じ・・・厳しい感じみたいになるの。本人としては当然の差、なんだろうけど」
「あははっ。でも厳しい所もあるけど素直で優しい所もあるでしょ」
「うん。邸でルードくんにいっぱいお世話になったし、いつもルードくんとリアさんが食事を作ってくれたし、毎日の料理が楽しみだったんだ」
「そう言ってくれると作り甲斐があるから嬉しいな、有り難う。ルードくん、年下だけど見習う所が多いし頼りになるし色々と助けて貰ってる所もあるし」
「ほんとしっかりしてるよね」
「梓だけでなくリアさんにまで頼られているなんて何だか羨ましいわ」
「千代も何か教えて欲しい事があったら言ってみたら? ルードくん、教えてくれると思うよ」
「そうかしら」
「ええ、きっと教えてくれると思うよ」
「思わず先生って言っちゃうくらい上手だから」
「本人は先生って言われるの嫌がると思うけど」
先生と言われた時のルードを思い出しリアと梓は小さく笑っていた
「でもたまにだけど、年相応の反応を見せる時もあるのよ」
「まあ。意外と素直な子なのね」
「リアさんやダリウスの前でしか見られないと思うけどな」
ルードの性格を解っている梓がそう言うとリアもそうかも、と言って納得していた
「けど、頼りになるって言うなら政虎さんも、かな」
「確かに虎は見た目は怖いけど結構頼りになるよね」
その言葉に思わず笑ってしまう
「政虎さんってああ見えて結構面倒見が良いのよ。困っている人がいたら何気なく助けたりして。私達も助けられた事あるしね」
「私はリアさんより助けられた回数は少ないかもしれないけど、一番助かったなって思うのがあの時なんだ」
「あの時?」
「・・愛宕山の事件が遭った次の日なんだけど、あの部屋から抜け出そうとした時にコハクが手伝ってくれたんだけど、その後虎に見つかって・・・でもその事は黙っておいてやる、って」
「実際、私やダリウスさんも薄々気付いていたけど、梓ちゃんと会えた時に梓ちゃんが何も言わなかったからその事は黙っていたの」
「そっか・・・」
「でも梓ちゃんがいなくなった後が色々と大変だったけどね。政虎さんもコハクくんもルードくんに食事抜きにされてたしダリウスさんからの仕事も差し止めされてたから・・・」
「あ、それは虎とコハクから聞いた・・ι」
梓も虎やコハクからその話は聞いていたようで少しだけ申し訳ない顔をしていた
「けど政虎さんは困っている人がいたら助ける人だから、梓ちゃんが教えてくれたヒーローみたいって思ってるの」
「虎がヒーロー・・・何となくだけど解る気がするな」
ヒーローと言う言葉は以前ミルクホールで三人で喋っていた時に梓から意味を聞いていたので千代もその意味を知っていた
「お顔は怖いけれどとても頼りになる方なのね。じゃあ最後は」
「コハク、だね」
「コハクくんは明るくて親しみやすい人よね」
「ええ、以前会った時に親しみやすい方だって伝わったもの」
「何でも自分から手伝ってくれる事が多いから今でも助かってるな」
「邸にいた頃、良くコハクと一緒に手伝ってなぁ。それにコハクは独楽回しも上手なんだよ」
「良く浅草の仲見世で披露していたのよ。お客さんも多くて常連さんもいるし大人気なのよ」
「そうなの? 是非見てみたいわ」
「コハクに言ったら見せてくれるよ」
「なら今度お会いした時に言ってみようかしら。そう言えば梓の事を女神様って呼んでいなかったかしら?」
以前祝勝会をやった時に梓の事をそう呼んでいた事を思い出しそう尋ねた
「コハクと出逢った時に何故だかそう呼ばれたのがきっかけかな・・。でもリアさんもコハクから聖母様って呼ばれてるんだよ」
「聖母様! 解るわぁ! リアさんにピッタリの表現ね!」
「千代ちゃん、そこ納得しちゃうの?ι」
「ええ。同姓の私達ですらそう思ってしまうもの」
千代の言葉に梓も同意するかように微笑んでいた
「梓とリアさんから話を聞いて何だか鬼の人達の印象も随分と変わったわ」
「そう? 良い方に変わってくれていたら私は嬉しいな」
「ふふ。リアさん、凄く嬉しそうだね」
「大切な人達がそう思われたら誰だって嬉しいでしょ」
「リアさんにとってやっぱり鬼の人達は大切な人なのね」
「ええ」
本当に嬉しそうに微笑むリアを見て梓と千代は言葉を詰まらせた
「? どうかした?」
「いえ、その、今のリアさんが本当に聖母様のように見えて・・」
「うん・・・そのネグリジェとリアさんの笑顔が合いすぎてて・・・」
「思わずときめいちゃった(ときめいてしまったわ)」
「ええ///」
二人の言葉に驚いてしまうがそんなリアを見て梓と千代は小さく笑ったが直ぐに何か話し出した
「やっぱりこんなに素敵なリアさんを鬼の人達や他の殿方に渡すのは勿体ないわ」
「え?」
「ダリウス達がリアさんの事凄く大事にしてるのは知ってるけど、・・やっぱり、ねえ?」
「あ、梓、ちゃん?」
何処か結束を固めたような梓と千代を見てリアは疑問を持つ
「リアさん、何か遭ったら私達に直ぐに言ってね」
「私達が悪い虫からリアさんを守るから」
「え、えっと、あ、ありがとう・・・ι」
二人の迫力に負けてかそう言って小さく苦笑した
「けれどそんな素敵なリアさんを今夜は私達が独り占め、ね」
「そうだね」
言うと千代と梓はリアの隣に来てリアを間に挟むようにして寝転んだ
「ふふ。じゃあ今日は二人のお姉さんになるから、思いっきり甘えても良いよ」
リアがそう返すと梓も千代も嬉しそうな顔をしてまた三人で楽しそうに笑い合った
パジャマパーティー、初めてだったけれど、梓ちゃんと千代ちゃんと色々な話をして美味しいお菓子を食べて美味しい飲み物を飲んで思っていたよりも凄く楽しい時間を過ごせた
色々な縁が遭って出逢った二人だけど、今まで話せなかった事なども話してもっとお互いを知れて仲良くなれた気がする
こうやって女の子同士でお泊まりして楽しくお喋りをする事が今までなかったから凄く楽しかったし、またやりたいなって思っちゃった
「また、こうやって三人でパジャマパーティー出来ると良いね」
自分の両サイドで眠っている梓と千代を見てリアは優しく微笑みながらそう呟きリアも眠りに付いたのだった
終わり
あとがき
はい、と言う事で、久々の遙か6の長編! そして神子達との夢でした!w
ええ、まさかの神子達落ちですよ←ww
前々から遙か祭2016のイベント会場限定CDに入っていた梓と千代がやったパジャマパーティーネタを使いたいなあ・・・って思ってたんですけど、やっと思い付いたので書いてみました
神子達と和気藹々としているものを書けたし、CDで使われていたような内容に近いものを含め書けたので良かったかなと思っています
つーか、蠱惑の森の皆さんと九段さん、出番めっちゃ少なくてごめんね(^^;)w
でも今回も楽しく読んで頂けていたら満足です!
では、また何か短編やら長編など思い付いた時には書きたいと思っています!
此処まで読んで頂いて有り難う御座いました!
2016.07.17