~The First Strike~
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「今日も良い天気」
新鮮な朝の空気を吸い気持ち良く伸びをした
「緑が沢山あるから風も気持ち良いし、やっぱり此処は良い所だな」
この街、シゾンタニアには仕事で来ていて今は騎士団の駐屯地にお世話になっている
「アンアン!」
伸びをし終わると同時に子犬が鳴くような声が聞こえ振り向くと青い毛並みをした子犬が私の方へと走って来ていた
「ラピード、おはよう!」
「アン!」
駆けて来たラピードに目線を合わせるようにしゃがみそのままラピードを抱き上げお互いに朝の挨拶を交わした
「今日も元気ね、ラピード」
「アンアン!」
元気にじゃれてくるラピードに微笑んで言うとまた元気な返事が返ってきた
「ラピード、今日も一日頑張ろうね」
「アン!」
シゾンタニアに着てからは朝早く目が覚めてこうやって新鮮な空気を吸っていると犬舎からラピードが出て来て私と朝の挨拶を交わし、数分じゃれ合った後にこう言って一日が始まるのだった
僕の宝物(前編)
「あ、リア、おはよう」
「おはようリア」
「ヒスカさん、シャスティルさん、おはよう御座います」
ラピードと朝の挨拶を交わし終わり、部屋に戻って身支度を済ませ食堂に行くと朝食の乗ったトレーを持っていた二人と会った
「これから朝食?」
「はい」
「なら一緒にどう? 私達もこれからだから」
「はい、じゃあご一緒します」
「じゃあ先に席取ってるわね」
「はい」
元気良く答えると二人も微笑んで先に空いている席へと向かって行った
ヒスカさんとシャスティルさんはこの隊の中で唯一の女性騎士でユーリとフレンの先輩騎士で新人であるユーリとフレンの面倒も見てくれている
ユーリとフレンの事は手紙のやり取りをずっとしているからお互いの心境は分かっていたけど、二人の面倒を見てくれているヒスカさんとシャスティルさんからも二人の話を聞いてみたいというのもあったし、ヒスカさんもシャスティルさんも同姓がいて嬉しいようで良く私にも声を掛けてくれる
「おはよう、リア」
「フレン、おはよう」
朝食を取りに行くとフレンも今からなのかトレーを持って並んでいた
「フレンもこれから?」
「ああ」
「なら一緒に食べない? ヒスカさんとシャスティルさんが席取ってくれてるの」
「なら一緒させてもらおうかな」
「うん」
朝食を持ってヒスカさんとシャスティルさんが座っている所を探していると、大きな欠伸をして食堂へ入って来ているユーリを見つけた
「ユーリ、おはよう」
「ん、ああ、おはよ」
「まったく、そんなに大きな欠伸をして・・・」
「自然現象なんだから仕方ねえだろ」
「だからって、」
「お前等、こんな入り口で言い合うなよ。入って来る奴の迷惑だ」
「あ、兄さん」
二人が言い合っていると丁度食堂へと入って来た兄さんが二人を見て溜息を吐きながらそう言った
「あ、リアー、こっち!」
「ほら、呼んでるぞ」
「あ、うん。ユーリも兄さんも後で来てね。じゃ、フレン先に行こ」
ユーリとフレンが兄さんの言葉を聞き黙ったと同時に私の姿を見つけたヒスカさんが声を掛け、フレンと先にヒスカさん達の所に向かった
少ししてユーリと兄さんも私達の所に来て一緒に食事を始めた
そして子供の頃のからの付き合いがある私達の話しを聞きたいと言われその話しをしていた
だがとある話題でまたユーリとフレンが言い合ってしまった
「あれはオレじゃなくてお前が」
「いいや、ユーリだ!」
「ちょっと二人共、あんまり大きな声出さないで」
「どっちもどっちだっただろ。今更言い合うなって」
私と兄さんの言葉を聞くとユーリもフレンも黙って椅子に座った
「・・・流石幼馴染みね」
「この二人がこんなにあっさり退くなんて」
そしてその様子を見ていたヒスカさんとシャスティルさんは感心してそう呟いていた
「お前等、朝から元気だな」
そう声が聞こえ視線を向けると呆れたような顔をして私達の様子を見ているナイレンさんがいた
「ナイレンさん、おはよう御座います」「「「隊長、おはよう御座います」」」
「おう、おはよう」
「隊長、いつからいたんだよ」
「あんだけ騒いでりゃイヤでも目立つだろうが。ほら、食い終わったんならさっさと準備してこい」
「はい」
ナイレンさんの言葉を聞き、私達は一斉に立ち上がって食器とトレーを返して各々の部屋都へと向かった
*
時間は過ぎ今は午後、リアはセイとアスラと共に仕事で街へ繰り出していた
「あ、」
後少しでセイとアスラとの待ち合わせ場所に着く所だったのだが、リアはあるものを見つけぽつりとそう呟き雑貨屋のショーウィンドウの前に移動した
「このリボン、可愛い」
ショーウィンドウに飾られリアの目に止まったリボン、それはネクタイと同じような長さのあるピンクのリボンだった
少しだけ柄が刺繍してあり、右側のリボンにはちょっとした飾りが付いていたが、どちらもハデ目のものではなく、普通に身に付けていても可笑しくなかった
「・・・・」
「リア、何してるのこんなところで」
暫くそのリボンを見ていると聞き慣れた声が聞こえ振り返ると巡回中のヒスカとシャスティルがリアを見つけ声を掛けた
「あ、ちょっとこのリボンが目に入って」
「? これね。可愛いわね」
「はい。さっき目に止まって見てたんです」
言うとリアはまたそのリボンをじっと見つめた
「買わないの?」
「そうですねえ・・・」
そんなリアを見てヒスカが声を掛けるとリアは少し唸った後答えた
「・・まだ仕事が終わってないですし・・」
「頑張ったご褒美に買うの」
「はい」
値段としては余裕で買えるものだったが、仕事が終わったご褒美に買おうと決めたのかシャスティルの言葉に同意して微笑んだ
「そっか。きっとリアに似合うわよ」
「ええ、似合うと思うわ」
「リア此処にいたか」「先輩」
二人の言葉を聞き微笑んでいると更に聞き慣れた声が聞こえ振り返るとユーリとフレン、セイが三人の元へやって来た
「お疲れ様、二人共」
「兄さん、アスラ、遅くなってごめんね」
「良いよ。ボク達もさっき合流した所だし」
「ユーリとフレンも一緒だったの?」
「そこで一緒になってな。それより何してたんだ?」
ユーリもフレンも巡回中だったのかリアとセイとアスラが待ち合わせていた所で丁度一緒になったようでリア達を探していたのだった
「ちょっとね」
「ふーん」
「じゃ、俺達は行くか」
「うん」
リアは小さく笑って言うとユーリは曖昧な返事を返し、セイの言葉を聞きリアはアスラと共にその場を離れた
「・・・ね、あんた達、リアにプレゼントあげた事ないの?」
「なんだよ、いきなり」
リア達の姿が見えなくなるとヒスカはユーリとフレンに向き合いそう聞いた
「誕生日プレゼントならありますけど・・・、?「「誕生日・・?」」
フレンがそう言うとユーリもフレンもふとある事に気が付き言葉を切った
「どうしたのよ?」
「・・・そういやリアの誕生日ってもうすぐだったよな」
「ああ」
「なら、いけるわね」
「「?」」
二人の反応を見てヒスカとシャスティルはニッと笑ってユーリとフレンを見た
「「・・・・」」
夜、ユーリとフレンは自室である事を考えていた
「・・・・」
「・・・なんだ?」
「・・・別に」
「「・・・・」」
ユーリはちらりとフレンを見るとフレンはその視線に気付き声を掛けたがユーリはそう言うと窓の外へ視線を移しまた無言になってしまう
二人が思っている事、それは昼間、ヒスカとシャスティルに言われた事が原因だった
「リアにプレゼント?」「リアにプレゼント、ですか?」
「そうよ、あんた達があげるの」
リア達の姿が見えなくなりヒスカとシャスティルは二人にある事を提案した
「リアの誕生日はもうすぐなんでしょ? だったらプレゼントはあんた達二人で渡せばいいじゃない」
「オレとフレン一緒にか?」
「さっきからそう言ってるでしょ」
「でも、何故?」
「あんた達、意外と鈍いのね」
ヒスカとシャスティルはユーリとフレンを見てはあと溜息を吐き、ショーウィンドウの方を指さした
「これよ」
ヒスカが指さした先を見ると、ショーウィンドウの中に飾られているピンクのリボンが目に入った
「リボン?」
「さっきリアがこのリボンを見てたのよ」
「仕事が終わったご褒美に買うつもりみたいだけど、誕生日が近いならあんた達がプレゼントしてあげなさいよ」
「その方がリアも喜ぶと思うわよ」
「「・・・・」」
そう言われユーリとフレンは黙ってそのリボンを見ていた
((リアにプレゼント・・か・・・))
そしてユーリとフレンは自室に戻って来てからずっとその事を考えていたのだった
(ガキの頃は、そんなに気にしなかったのにな・・・)
子供の頃は二人一緒にプレゼントをあげたりしていたが、月日が流れお互いに衝突している自分達の事を思うと素直に二人でプレゼントを贈ると言う事が出来ないでいた
数日後、
「ラピード、待って!」
「アンアン!」
「はあ、はあ・・・、やっと追いついた」
現在リアはラピードと一緒に散歩に出ていた
此処に来てからというもの、ラピードはリアに懐き仕事がない時などは一緒にいる事が多かった
勿論リアもラピードやランバート達の事を気に入ってるし、まだ子供で軍用犬の訓練を受けていないラピードはユーリかリア、そしてフレンやナイレン達以外の側を離れないでいた
今日の仕事が片付きリアは犬舎に向かいラピードと散歩に出ていて、先に走って行ったラピードを追い掛けやっと追いついた所だった
「・・・あ」
暫くラピードと街を歩いていたが、ふとある場所に目が止まった
そこは以前リアが立ち止まったあの雑貨屋だった
「・・・良かった、まだ残ってた」
ショーウィンドウに飾られているあのリボンを見てまだ残っていた事に安堵した
「ワン」
「よう、リア」
「? あ、ナイレンさん、ランバート」
犬の鳴き声と共に聞き慣れた声が聞こえ振り返るとナイレンとランバートがリアとラピードを見つけ歩いて来ていた
「ラピードと散歩か」
「はい。仕事が早く終わったので」
「すまないな、いつも」
「いえ、好きでやってる事ですから」
「良かったな、ラピード」
「アン!」
ラピードはランバートの側に行っていたがナイレンの言葉が聞こえたのか直ぐに返事を返した
ナイレンも最初はラピードが直ぐにリアに懐いた事に驚いていたが、動物好きだと聞き、更にこうやってラピードの世話をしてくれている事に感謝していた
「それ、気になってるのか?」
「はい。仕事が終わった後に買おうかと思って」
ナイレンはショーウィンドウに飾ってあるリボンを見てリアがこのリボンを欲しがっているのかと思いそう聞くと直ぐに返事が返ってきた
「そうか」
微笑んで言うリアを見てナイレンも小さく笑っていた
「「・・・・」」
その様子を巡回中だったユーリとフレンも見ていた
そして数言話すとリアはまたラピードと散歩に戻るのかその場を離れて行った
「・・・ユーリ、フレン、出てこい」
そう言われユーリとフレンはそのままナイレンの所へ歩いて行き、二人が着たのを確認するとナイレンはこう告げた
「お前等、こいつをリアにプレゼントしてやれ」
「は?」「はい?」
唐突にそう告げられユーリとフレンは呆気に取られてしまった
「え、あの、隊長?」
「さっきの見てただろ」
「ああ、」
「なら話しは早いし、結論も出てるだろ」
「で、ですが、隊長・・・」
ナイレンの言葉を聞きユーリもフレンも以前此処でヒスカとシャスティルに同じような事を言われたのを思い出す
それでもお互いにまだ蟠りがあるのか、その言葉に素直に従えないでいた
「ユーリ、フレン、お前達にとってリアはどういう存在だ?」
「「?」」
急に真剣な表情と声でそう言われ二人は顔を上げてナイレンを見た
「ただの幼馴染みか? 親友か?」
「それは・・・、」
その先の言葉が解ったのか答えようとしたがその言葉は喉元で途絶えてしまった
「お前等にとってもリアにとってもお互い“大事な存在”なんじゃないのか?」
「「・・・・」」
大事な存在、それは多くの意味を表す
幼馴染み、親友、そして想い人と言う事も含め、子供の頃、リアとセイが言霊使いだと知った時に自分達を受け入れてくれた事に凄く感謝していたリア
それ以来、リアの中でも二人の存在は大きくなり大事な存在となってる事にユーリもフレンもそしてセイやアスラ達も気付いていたし、ユーリ達も更に大事に思うようになっていた
「お前等がお互いの事をどう思ってようとリアの事思ってるんだったら、リアが喜ぶ事をしてやるのが一番じゃないのか」
二人の今の心境を理解しているのかナイレンは少し表情を緩めてそう告げると、ユーリとフレンは一瞬驚いて目を瞠っていた
「ま、頑張れよ」
そんな二人を見てナイレンはふっと笑ってランバートとその場を離れて行った
後編へ続く
2011.07.14
新鮮な朝の空気を吸い気持ち良く伸びをした
「緑が沢山あるから風も気持ち良いし、やっぱり此処は良い所だな」
この街、シゾンタニアには仕事で来ていて今は騎士団の駐屯地にお世話になっている
「アンアン!」
伸びをし終わると同時に子犬が鳴くような声が聞こえ振り向くと青い毛並みをした子犬が私の方へと走って来ていた
「ラピード、おはよう!」
「アン!」
駆けて来たラピードに目線を合わせるようにしゃがみそのままラピードを抱き上げお互いに朝の挨拶を交わした
「今日も元気ね、ラピード」
「アンアン!」
元気にじゃれてくるラピードに微笑んで言うとまた元気な返事が返ってきた
「ラピード、今日も一日頑張ろうね」
「アン!」
シゾンタニアに着てからは朝早く目が覚めてこうやって新鮮な空気を吸っていると犬舎からラピードが出て来て私と朝の挨拶を交わし、数分じゃれ合った後にこう言って一日が始まるのだった
僕の宝物(前編)
「あ、リア、おはよう」
「おはようリア」
「ヒスカさん、シャスティルさん、おはよう御座います」
ラピードと朝の挨拶を交わし終わり、部屋に戻って身支度を済ませ食堂に行くと朝食の乗ったトレーを持っていた二人と会った
「これから朝食?」
「はい」
「なら一緒にどう? 私達もこれからだから」
「はい、じゃあご一緒します」
「じゃあ先に席取ってるわね」
「はい」
元気良く答えると二人も微笑んで先に空いている席へと向かって行った
ヒスカさんとシャスティルさんはこの隊の中で唯一の女性騎士でユーリとフレンの先輩騎士で新人であるユーリとフレンの面倒も見てくれている
ユーリとフレンの事は手紙のやり取りをずっとしているからお互いの心境は分かっていたけど、二人の面倒を見てくれているヒスカさんとシャスティルさんからも二人の話を聞いてみたいというのもあったし、ヒスカさんもシャスティルさんも同姓がいて嬉しいようで良く私にも声を掛けてくれる
「おはよう、リア」
「フレン、おはよう」
朝食を取りに行くとフレンも今からなのかトレーを持って並んでいた
「フレンもこれから?」
「ああ」
「なら一緒に食べない? ヒスカさんとシャスティルさんが席取ってくれてるの」
「なら一緒させてもらおうかな」
「うん」
朝食を持ってヒスカさんとシャスティルさんが座っている所を探していると、大きな欠伸をして食堂へ入って来ているユーリを見つけた
「ユーリ、おはよう」
「ん、ああ、おはよ」
「まったく、そんなに大きな欠伸をして・・・」
「自然現象なんだから仕方ねえだろ」
「だからって、」
「お前等、こんな入り口で言い合うなよ。入って来る奴の迷惑だ」
「あ、兄さん」
二人が言い合っていると丁度食堂へと入って来た兄さんが二人を見て溜息を吐きながらそう言った
「あ、リアー、こっち!」
「ほら、呼んでるぞ」
「あ、うん。ユーリも兄さんも後で来てね。じゃ、フレン先に行こ」
ユーリとフレンが兄さんの言葉を聞き黙ったと同時に私の姿を見つけたヒスカさんが声を掛け、フレンと先にヒスカさん達の所に向かった
少ししてユーリと兄さんも私達の所に来て一緒に食事を始めた
そして子供の頃のからの付き合いがある私達の話しを聞きたいと言われその話しをしていた
だがとある話題でまたユーリとフレンが言い合ってしまった
「あれはオレじゃなくてお前が」
「いいや、ユーリだ!」
「ちょっと二人共、あんまり大きな声出さないで」
「どっちもどっちだっただろ。今更言い合うなって」
私と兄さんの言葉を聞くとユーリもフレンも黙って椅子に座った
「・・・流石幼馴染みね」
「この二人がこんなにあっさり退くなんて」
そしてその様子を見ていたヒスカさんとシャスティルさんは感心してそう呟いていた
「お前等、朝から元気だな」
そう声が聞こえ視線を向けると呆れたような顔をして私達の様子を見ているナイレンさんがいた
「ナイレンさん、おはよう御座います」「「「隊長、おはよう御座います」」」
「おう、おはよう」
「隊長、いつからいたんだよ」
「あんだけ騒いでりゃイヤでも目立つだろうが。ほら、食い終わったんならさっさと準備してこい」
「はい」
ナイレンさんの言葉を聞き、私達は一斉に立ち上がって食器とトレーを返して各々の部屋都へと向かった
*
時間は過ぎ今は午後、リアはセイとアスラと共に仕事で街へ繰り出していた
「あ、」
後少しでセイとアスラとの待ち合わせ場所に着く所だったのだが、リアはあるものを見つけぽつりとそう呟き雑貨屋のショーウィンドウの前に移動した
「このリボン、可愛い」
ショーウィンドウに飾られリアの目に止まったリボン、それはネクタイと同じような長さのあるピンクのリボンだった
少しだけ柄が刺繍してあり、右側のリボンにはちょっとした飾りが付いていたが、どちらもハデ目のものではなく、普通に身に付けていても可笑しくなかった
「・・・・」
「リア、何してるのこんなところで」
暫くそのリボンを見ていると聞き慣れた声が聞こえ振り返ると巡回中のヒスカとシャスティルがリアを見つけ声を掛けた
「あ、ちょっとこのリボンが目に入って」
「? これね。可愛いわね」
「はい。さっき目に止まって見てたんです」
言うとリアはまたそのリボンをじっと見つめた
「買わないの?」
「そうですねえ・・・」
そんなリアを見てヒスカが声を掛けるとリアは少し唸った後答えた
「・・まだ仕事が終わってないですし・・」
「頑張ったご褒美に買うの」
「はい」
値段としては余裕で買えるものだったが、仕事が終わったご褒美に買おうと決めたのかシャスティルの言葉に同意して微笑んだ
「そっか。きっとリアに似合うわよ」
「ええ、似合うと思うわ」
「リア此処にいたか」「先輩」
二人の言葉を聞き微笑んでいると更に聞き慣れた声が聞こえ振り返るとユーリとフレン、セイが三人の元へやって来た
「お疲れ様、二人共」
「兄さん、アスラ、遅くなってごめんね」
「良いよ。ボク達もさっき合流した所だし」
「ユーリとフレンも一緒だったの?」
「そこで一緒になってな。それより何してたんだ?」
ユーリもフレンも巡回中だったのかリアとセイとアスラが待ち合わせていた所で丁度一緒になったようでリア達を探していたのだった
「ちょっとね」
「ふーん」
「じゃ、俺達は行くか」
「うん」
リアは小さく笑って言うとユーリは曖昧な返事を返し、セイの言葉を聞きリアはアスラと共にその場を離れた
「・・・ね、あんた達、リアにプレゼントあげた事ないの?」
「なんだよ、いきなり」
リア達の姿が見えなくなるとヒスカはユーリとフレンに向き合いそう聞いた
「誕生日プレゼントならありますけど・・・、?「「誕生日・・?」」
フレンがそう言うとユーリもフレンもふとある事に気が付き言葉を切った
「どうしたのよ?」
「・・・そういやリアの誕生日ってもうすぐだったよな」
「ああ」
「なら、いけるわね」
「「?」」
二人の反応を見てヒスカとシャスティルはニッと笑ってユーリとフレンを見た
「「・・・・」」
夜、ユーリとフレンは自室である事を考えていた
「・・・・」
「・・・なんだ?」
「・・・別に」
「「・・・・」」
ユーリはちらりとフレンを見るとフレンはその視線に気付き声を掛けたがユーリはそう言うと窓の外へ視線を移しまた無言になってしまう
二人が思っている事、それは昼間、ヒスカとシャスティルに言われた事が原因だった
「リアにプレゼント?」「リアにプレゼント、ですか?」
「そうよ、あんた達があげるの」
リア達の姿が見えなくなりヒスカとシャスティルは二人にある事を提案した
「リアの誕生日はもうすぐなんでしょ? だったらプレゼントはあんた達二人で渡せばいいじゃない」
「オレとフレン一緒にか?」
「さっきからそう言ってるでしょ」
「でも、何故?」
「あんた達、意外と鈍いのね」
ヒスカとシャスティルはユーリとフレンを見てはあと溜息を吐き、ショーウィンドウの方を指さした
「これよ」
ヒスカが指さした先を見ると、ショーウィンドウの中に飾られているピンクのリボンが目に入った
「リボン?」
「さっきリアがこのリボンを見てたのよ」
「仕事が終わったご褒美に買うつもりみたいだけど、誕生日が近いならあんた達がプレゼントしてあげなさいよ」
「その方がリアも喜ぶと思うわよ」
「「・・・・」」
そう言われユーリとフレンは黙ってそのリボンを見ていた
((リアにプレゼント・・か・・・))
そしてユーリとフレンは自室に戻って来てからずっとその事を考えていたのだった
(ガキの頃は、そんなに気にしなかったのにな・・・)
子供の頃は二人一緒にプレゼントをあげたりしていたが、月日が流れお互いに衝突している自分達の事を思うと素直に二人でプレゼントを贈ると言う事が出来ないでいた
数日後、
「ラピード、待って!」
「アンアン!」
「はあ、はあ・・・、やっと追いついた」
現在リアはラピードと一緒に散歩に出ていた
此処に来てからというもの、ラピードはリアに懐き仕事がない時などは一緒にいる事が多かった
勿論リアもラピードやランバート達の事を気に入ってるし、まだ子供で軍用犬の訓練を受けていないラピードはユーリかリア、そしてフレンやナイレン達以外の側を離れないでいた
今日の仕事が片付きリアは犬舎に向かいラピードと散歩に出ていて、先に走って行ったラピードを追い掛けやっと追いついた所だった
「・・・あ」
暫くラピードと街を歩いていたが、ふとある場所に目が止まった
そこは以前リアが立ち止まったあの雑貨屋だった
「・・・良かった、まだ残ってた」
ショーウィンドウに飾られているあのリボンを見てまだ残っていた事に安堵した
「ワン」
「よう、リア」
「? あ、ナイレンさん、ランバート」
犬の鳴き声と共に聞き慣れた声が聞こえ振り返るとナイレンとランバートがリアとラピードを見つけ歩いて来ていた
「ラピードと散歩か」
「はい。仕事が早く終わったので」
「すまないな、いつも」
「いえ、好きでやってる事ですから」
「良かったな、ラピード」
「アン!」
ラピードはランバートの側に行っていたがナイレンの言葉が聞こえたのか直ぐに返事を返した
ナイレンも最初はラピードが直ぐにリアに懐いた事に驚いていたが、動物好きだと聞き、更にこうやってラピードの世話をしてくれている事に感謝していた
「それ、気になってるのか?」
「はい。仕事が終わった後に買おうかと思って」
ナイレンはショーウィンドウに飾ってあるリボンを見てリアがこのリボンを欲しがっているのかと思いそう聞くと直ぐに返事が返ってきた
「そうか」
微笑んで言うリアを見てナイレンも小さく笑っていた
「「・・・・」」
その様子を巡回中だったユーリとフレンも見ていた
そして数言話すとリアはまたラピードと散歩に戻るのかその場を離れて行った
「・・・ユーリ、フレン、出てこい」
そう言われユーリとフレンはそのままナイレンの所へ歩いて行き、二人が着たのを確認するとナイレンはこう告げた
「お前等、こいつをリアにプレゼントしてやれ」
「は?」「はい?」
唐突にそう告げられユーリとフレンは呆気に取られてしまった
「え、あの、隊長?」
「さっきの見てただろ」
「ああ、」
「なら話しは早いし、結論も出てるだろ」
「で、ですが、隊長・・・」
ナイレンの言葉を聞きユーリもフレンも以前此処でヒスカとシャスティルに同じような事を言われたのを思い出す
それでもお互いにまだ蟠りがあるのか、その言葉に素直に従えないでいた
「ユーリ、フレン、お前達にとってリアはどういう存在だ?」
「「?」」
急に真剣な表情と声でそう言われ二人は顔を上げてナイレンを見た
「ただの幼馴染みか? 親友か?」
「それは・・・、」
その先の言葉が解ったのか答えようとしたがその言葉は喉元で途絶えてしまった
「お前等にとってもリアにとってもお互い“大事な存在”なんじゃないのか?」
「「・・・・」」
大事な存在、それは多くの意味を表す
幼馴染み、親友、そして想い人と言う事も含め、子供の頃、リアとセイが言霊使いだと知った時に自分達を受け入れてくれた事に凄く感謝していたリア
それ以来、リアの中でも二人の存在は大きくなり大事な存在となってる事にユーリもフレンもそしてセイやアスラ達も気付いていたし、ユーリ達も更に大事に思うようになっていた
「お前等がお互いの事をどう思ってようとリアの事思ってるんだったら、リアが喜ぶ事をしてやるのが一番じゃないのか」
二人の今の心境を理解しているのかナイレンは少し表情を緩めてそう告げると、ユーリとフレンは一瞬驚いて目を瞠っていた
「ま、頑張れよ」
そんな二人を見てナイレンはふっと笑ってランバートとその場を離れて行った
後編へ続く
2011.07.14