~The First Strike~
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「っ! な、何!?」
皆、魔導器が止まった事に喜んでいると急に遺跡が揺れ出した
「エアルの流れを遮断されたから、魔導器が暴走し始めたんだよ!」
「一先ず逃げるぞ!!」
セイの言葉に皆急いでその場から離れ、走って外へと向かい出した
だがその途端魔導器に繋がれていたエアルを吸うホースのようなものが魔導器から外れ出し辺りに火花が散った
リア達はそれをかいくぐりながら走っていると、小さな悲鳴が聞こえた
「きゃっ!」
それはシャスティルの声だった
シャスティルはそのホースのようなものを受けてしまい、気を失ってしまった
「シャスティル!」「シャスティルさん!」
ヒスカとリアとはそれに気が付き、声を発すると直ぐに遺跡が崩壊し始めた
「こりゃやべえって!」
「ユーリ、逃げるぞ!」
ナイレンはシャスティルの元に駆け寄りシャスティルを背中に背負い、自分の剣をフレンに預けた
「っ!!」
そして、辺りは完全に崩壊を始めた
「リア、急げ!」
「うん!」
少し先にいるユーリがリア達に声を掛けリアが一歩踏み出そうとした
が・・・、
「!」
足下に何かが埋まっている事に気が付き歩みを止めた
「リア?」
歩みを止めたリアを不思議に思いフレンはリアを見て、その視線の先を見た
そしてアスラがリアの元に駆け寄り肩に乗った
「「・・・・」」
「何やってんだ?」
「隊長、・・・これ、・・この魔刻・・・」
リアとアスラは眉を寄せてそれを見ているとナイレンが追いついて来て、フレンは床にあるものをナイレンに知らせた
それは目のような形をした魔導器だった
「・・・後だ」
「はい・・。リア、行こう」
「うん・・・」
ナイレンは目を細め少しだけ考えた後、二人を促がしフレンはリアと一緒に駆け出し、ナイレンは二人を先に行かせたのを見ると、自分も駆け出した
地面が爆発し、辺りには煙が立ち込めだした
リアはアスラと共にユーリ達の元まで走って行き、少し遅れてフレンが出て来た
そしてその後にナイレンと背中に背負われているシャスティルが出て来た
リア達はそれを見ていると、突然ナイレンがいる場所が低くなった
「!?」
ナイレンがいる場所の床が崩れ始め、そして
「ナイレンさんっ!?」
ナイレンのいた場所が崩れ、ゆっくりと下へと落ちて行きだした
「ユーリィィィ!!!」
リア達が目を丸くしているとそう声が聞こえ、突然シャスティルが宙に舞いユーリの所に落ちて来ていた
ユーリはシャスティルを受け止め、尻餅を付いた
「シャスティル! シャスティル!?」
「大丈夫、息してる」
ヒスカはシャスティルに駆け寄り声を掛けるとユーリが安心させるように言い、息をしているのを確認するとやっと安堵した
「ナイレンさん!?」
「隊長!?」
リアとユーリはそれを見て直ぐに崩れた所へ向かい、皆もその場に駆け寄った
「ナイレンさ、っ!?」
リアは声を掛けようとしていると、ナイレンの様子に気が付いた
ナイレンは崩壊し、沈んでいった床の上に座り込んでいた
どうやらシャスティルをユーリに向かって投げたので力を使い切ってしまったようだった
「手ぇ出せ!」
そう声が聞こえリアは隣を見るとユーリがナイレンの方に一生懸命手を伸ばしていた
だが、床はどんどん沈んでいき、その手は遠すぎて届かない
「くっ・・・!」
「! ユーリ!?」
ユーリは手を滑らせ落ちそうになるが、リアとセイとフレンがユーリを掴み引き上げた
「俺等が押さえっから」
そう言ってセイの後ろからエルヴィンが自分の斧をユーリに渡す
そしてセイ、フレン、エルヴィンに支えられ、ユーリは斧の棒の方をナイレンに伸ばす
「今助ける!」
リアも固唾を呑んでユーリ達の様子見て、そしてナイレンへと視線を向ける
だが、ナイレンの左腕からは血が出ていた
あれはこの建物に入る前に負った怪我だった
「・・・ナイレンさん」
リアはそう呟くと、ナイレンはリアに優しい笑みを向ける
「っ!?」
「今っ・・・くそっ・・・、」
「無理だ、行け」
「うっせえ!! 手ぇ出せっつってんだよ!!」
「もう、動けねえんだよ」
「「「!?」」」
ナイレンはそう言い深手を負った左腕を見みせると皆、驚いて息を飲んだ
その腕は腐食を始めていたからだった
「んなもん治るっ。手ぇ出せっっ!!!」
「ユーリ、」
「全然届かねっ、何か他にねえのかよっっ!!!」
「ユーリ!」「ユーリッ!」
「っ!?」
ナイレンは我を失ったユーリを一喝し、それと同時にリアがユーリを止めるように抱きつき、ユーリは正気を取り戻した
「わかってんだろ? 助かるものを助けてくれ・・・」
痛みをこらえ、ユーリ達に笑顔を向けるナイレン
「っ・・・、」
リアはその言葉を聞き、ツラさを堪えるようにギュッとユーリの服を掴んだ
そしてナイレンは自分の腕から魔導器を外し、ユーリに向かって投げた
「持ってけ」
ユーリはそれを無言で受け取り、ただじっとナイレンを見ていた
「フレン、みんなを頼む」
「・・・!」
フレンはナイレンの言葉に目を開き今にも泣きそうな顔をした
「お前は良い騎士になれ! 親父さんを超えろ!!」
「ーーーっ!!!」
そして優しい笑みを向けてそう言うとフレンは更に目を瞠った
「・・・ナイレン・・さん・・・」
「リア、・・泣くな」
リアは顔を上げてナイレンを見ると、ナイレンは先程と同じく優しい笑みをリアに向ける
「ユーリとフレンの事、頼んだぜ」
「「・・・っ」」
その言葉にユーリとフレンは微かに反応するが、まだ言葉を失ったままナイレンを見ている
リアは一度ユーリとフレンを見て、またナイレンへと視線を向ける
「・・・はい」
リアは涙を堪えながら今出来る精一杯笑顔をナイレンに向けた
「本当に娘みたいで楽しかったぜ」
「・・・っ、・・」
リアはその言葉が胸に刺さり、涙を堪え笑顔を崩さないよう唇を噛み締めた
そんなリアを見て微笑み、セイへと視線を向ける
「・・・セイ、あの事、頼んだぜ」
「・・・ああ。必ず果たす」
「・・・頼んだぜ」
「うん・・・」
ナイレンの言葉にセイもアスラも悔しさを堪え冷静に答えた
「嫌だ、隊長、隊長っ!!!」
ヒスカは涙を流しながら必死にナイレンに叫ぶ
だが、もう崩落を止める事は出来ない
「・・、行け・・・」
ナイレンは一通り皆を見て、目を閉じた
「・・・っ、あばよ・・っ」
メルゾムも後ろを向き、悔しそうに唇を噛みそう告げて歩き出した
「・・・ナイレンさん、・・っ!」
リアは涙を堪え、崩落していく方へ目を向け、
「私も、・・私もっ、ナイレンさんに出逢えて、本当に良かったです!!」
リアは必死にそう叫ぶとナイレンは満足そうに笑った
リアはその笑顔が更に胸に刺さり目を反らしそうになったが、ユーリ、フレン、セイ達と共に崩落していく所をじっと見ていた
「・・・っ!!」
ナイレンがいた場所が殆ど見えなくなるとリアは堪えきれなくなり隣にいたセイへと抱きつき、セイはそんなリアを静かに受け止め、リアはセイの腕の中で涙を流した
そして暫くしてリア達はその場を後にした
急いで外にいるユルギスやメルゾムの部下達と合流しなければ、この遺跡から出る事も、街と遺跡を繋ぐ唯一の橋すら渡れなくなってしまう
皆、今は何も考えず、ただひたすら走っていた
そしてユルギス達と合流し、橋を渡っていると徐々に橋も壊れだし、急いで橋を渡り、全員渡りきると同時に橋と遺跡が崩れ落ちたのだった
「・・・・」
此処は遺跡から少し離れた所にある草原
リア達は此処でシャスティルが目覚めるのを待っていた
空はもう夕空になっていて草原には柔らかな風が吹いていた
「・・・・」
リアは崩壊した湖の遺跡をただじっと見ていた
辺りにはもうあの赤いエアルもなく、森の季節外れの紅葉も徐々に無くなり緑が戻って来ていた
「・・・んっ・・・」
すると微かに声が聞こえ、リアはゆっくりと振り向くとヒスカに膝枕されていたシャスティルが目覚め身体を起こしているのが見えた
だが、やはりあのホースが当たった傷が痛むのかお腹を押さえていた
「助かったんだ」
「うん、終わったよ」
シャスティルは遺跡の中じゃないと分かりヒスカに尋ねると、ヒスカは薄く笑って返事を返した
「気が付いたか」
ユーリも遺跡からシャスティルへと視線を移し声を掛けた
だが、シャスティルはある人物が周囲に居ない事に気が付きヒスカに尋ねた
「・・・あれ、隊長は?」
「・・・・」
ヒスカは隊長、と言う言葉を聞いた途端、少しだけ俯いて目に涙を浮かべた
「フレン、隊長何処!?」
そのヒスカの顔を見て、シャスティルは動揺しフレンに尋ねた
「・・・・」
フレンは何も言わずシャスティルから視線を外し、手に持っている剣を少しだけ握りしめた
「・・、リア・・?」
「・・・・」
「セイ・・・、アスラ・・・」
「「・・・・」」
シャスティルはフレンが持っている剣を見て嫌な事が浮かび、リア、そしてセイとアスラにも尋ねたが、リアも俯き何も答えず、セイもアスラもただ無言のままだった
「ユーリ・・・」
シャスティルは少しだけ震えた声を出して最後の一人、ユーリへと視線を向ける
「隊長、カッコ良かったぜ・・・」
ユーリは優しい声色でシャスティルに話し掛けた
その言葉でシャスティルは事態を把握し、その途端、堪えきれなくなったヒスカが声を上げて泣き出した
そしてシャスティルも首を横に降り、悲痛な悲鳴を上げて泣き出した
「いやぁぁぁぁぁ!!!!」
そして、皆も耐えきれず涙を流し出した
フレンはナイレンから受け取った剣を見つめ、ユーリは遺跡へと目を向けていた
「っ・・、」
リアも涙を堪えていると、綺麗な緑色のエアルが蛍のように美しく現れだした
「・・・これで、此処は普通の生活に戻れるよ」
アスラはそのエアルを見てそう呟き、セイは静かに頷きリアに目を向けると、リアは少し目を閉じ俯いた後、その場から立ち上がってゆっくりと遺跡の方を見た
そして、
―――終止符 と 告げる冷たい雨
遠い日々へ馳せる思い
目を閉じて意識を集中させ静かに歌い出し、それを見たセイとアスラも目を閉じて意識を集中させる
天上 を仰ぐ度 紡げない未来に
君が幸せであれと最期まで願う
リアの歌声に惹かれるように皆顔を上げリアを見た
地の果ての影に留まりながら
鉛の空を想うのだろう
リアは徐々に感情を変え歌い続け、セイとアスラはリアの言霊に力を注いでいく
夜を算 え 夢を観て 黎明の聖刻 を迎え
限りある生命 よ 魂よ
夕暮れの中、綺麗な緑色のエアルがリアの歌声に反応するように現れ、蛍のように美しく辺りを舞っていた
永遠 に眠れ―――
皆、その悲しくも美しい唄に、今の自分達の気持ちを表しているような気がして、ただじっと聴き入っていた
(・・・この唄が、私達の気持ちを乗せて、
ナイレンさんやランバート達に届いていますように――)
16.She was singing sorrowfully in a sorrowful voice.
続く
あとがき
泣きシーンその2・・・
来ちゃったよ、このシーン!!
もうこのシーンはほんっっとうにボロ泣きでした!!
映画3回見たけど、全てこのシーン、隊長の所とユーリの「隊長、カッコ良かったぜ・・・」で泣きました!!
書いてて若干泣きそうでしたもん・・・(泣)
あぁっ・・、目が潤んでるぅ~・・・(泣)
色々と書きたい事あるけど、泣きそうだから次行きます!!
She was singing sorrowfully in a sorrowful voice.:彼女は悲しげに歌っていた
2009.11.18
皆、魔導器が止まった事に喜んでいると急に遺跡が揺れ出した
「エアルの流れを遮断されたから、魔導器が暴走し始めたんだよ!」
「一先ず逃げるぞ!!」
セイの言葉に皆急いでその場から離れ、走って外へと向かい出した
だがその途端魔導器に繋がれていたエアルを吸うホースのようなものが魔導器から外れ出し辺りに火花が散った
リア達はそれをかいくぐりながら走っていると、小さな悲鳴が聞こえた
「きゃっ!」
それはシャスティルの声だった
シャスティルはそのホースのようなものを受けてしまい、気を失ってしまった
「シャスティル!」「シャスティルさん!」
ヒスカとリアとはそれに気が付き、声を発すると直ぐに遺跡が崩壊し始めた
「こりゃやべえって!」
「ユーリ、逃げるぞ!」
ナイレンはシャスティルの元に駆け寄りシャスティルを背中に背負い、自分の剣をフレンに預けた
「っ!!」
そして、辺りは完全に崩壊を始めた
「リア、急げ!」
「うん!」
少し先にいるユーリがリア達に声を掛けリアが一歩踏み出そうとした
が・・・、
「!」
足下に何かが埋まっている事に気が付き歩みを止めた
「リア?」
歩みを止めたリアを不思議に思いフレンはリアを見て、その視線の先を見た
そしてアスラがリアの元に駆け寄り肩に乗った
「「・・・・」」
「何やってんだ?」
「隊長、・・・これ、・・この魔刻・・・」
リアとアスラは眉を寄せてそれを見ているとナイレンが追いついて来て、フレンは床にあるものをナイレンに知らせた
それは目のような形をした魔導器だった
「・・・後だ」
「はい・・。リア、行こう」
「うん・・・」
ナイレンは目を細め少しだけ考えた後、二人を促がしフレンはリアと一緒に駆け出し、ナイレンは二人を先に行かせたのを見ると、自分も駆け出した
地面が爆発し、辺りには煙が立ち込めだした
リアはアスラと共にユーリ達の元まで走って行き、少し遅れてフレンが出て来た
そしてその後にナイレンと背中に背負われているシャスティルが出て来た
リア達はそれを見ていると、突然ナイレンがいる場所が低くなった
「!?」
ナイレンがいる場所の床が崩れ始め、そして
「ナイレンさんっ!?」
ナイレンのいた場所が崩れ、ゆっくりと下へと落ちて行きだした
「ユーリィィィ!!!」
リア達が目を丸くしているとそう声が聞こえ、突然シャスティルが宙に舞いユーリの所に落ちて来ていた
ユーリはシャスティルを受け止め、尻餅を付いた
「シャスティル! シャスティル!?」
「大丈夫、息してる」
ヒスカはシャスティルに駆け寄り声を掛けるとユーリが安心させるように言い、息をしているのを確認するとやっと安堵した
「ナイレンさん!?」
「隊長!?」
リアとユーリはそれを見て直ぐに崩れた所へ向かい、皆もその場に駆け寄った
「ナイレンさ、っ!?」
リアは声を掛けようとしていると、ナイレンの様子に気が付いた
ナイレンは崩壊し、沈んでいった床の上に座り込んでいた
どうやらシャスティルをユーリに向かって投げたので力を使い切ってしまったようだった
「手ぇ出せ!」
そう声が聞こえリアは隣を見るとユーリがナイレンの方に一生懸命手を伸ばしていた
だが、床はどんどん沈んでいき、その手は遠すぎて届かない
「くっ・・・!」
「! ユーリ!?」
ユーリは手を滑らせ落ちそうになるが、リアとセイとフレンがユーリを掴み引き上げた
「俺等が押さえっから」
そう言ってセイの後ろからエルヴィンが自分の斧をユーリに渡す
そしてセイ、フレン、エルヴィンに支えられ、ユーリは斧の棒の方をナイレンに伸ばす
「今助ける!」
リアも固唾を呑んでユーリ達の様子見て、そしてナイレンへと視線を向ける
だが、ナイレンの左腕からは血が出ていた
あれはこの建物に入る前に負った怪我だった
「・・・ナイレンさん」
リアはそう呟くと、ナイレンはリアに優しい笑みを向ける
「っ!?」
「今っ・・・くそっ・・・、」
「無理だ、行け」
「うっせえ!! 手ぇ出せっつってんだよ!!」
「もう、動けねえんだよ」
「「「!?」」」
ナイレンはそう言い深手を負った左腕を見みせると皆、驚いて息を飲んだ
その腕は腐食を始めていたからだった
「んなもん治るっ。手ぇ出せっっ!!!」
「ユーリ、」
「全然届かねっ、何か他にねえのかよっっ!!!」
「ユーリ!」「ユーリッ!」
「っ!?」
ナイレンは我を失ったユーリを一喝し、それと同時にリアがユーリを止めるように抱きつき、ユーリは正気を取り戻した
「わかってんだろ? 助かるものを助けてくれ・・・」
痛みをこらえ、ユーリ達に笑顔を向けるナイレン
「っ・・・、」
リアはその言葉を聞き、ツラさを堪えるようにギュッとユーリの服を掴んだ
そしてナイレンは自分の腕から魔導器を外し、ユーリに向かって投げた
「持ってけ」
ユーリはそれを無言で受け取り、ただじっとナイレンを見ていた
「フレン、みんなを頼む」
「・・・!」
フレンはナイレンの言葉に目を開き今にも泣きそうな顔をした
「お前は良い騎士になれ! 親父さんを超えろ!!」
「ーーーっ!!!」
そして優しい笑みを向けてそう言うとフレンは更に目を瞠った
「・・・ナイレン・・さん・・・」
「リア、・・泣くな」
リアは顔を上げてナイレンを見ると、ナイレンは先程と同じく優しい笑みをリアに向ける
「ユーリとフレンの事、頼んだぜ」
「「・・・っ」」
その言葉にユーリとフレンは微かに反応するが、まだ言葉を失ったままナイレンを見ている
リアは一度ユーリとフレンを見て、またナイレンへと視線を向ける
「・・・はい」
リアは涙を堪えながら今出来る精一杯笑顔をナイレンに向けた
「本当に娘みたいで楽しかったぜ」
「・・・っ、・・」
リアはその言葉が胸に刺さり、涙を堪え笑顔を崩さないよう唇を噛み締めた
そんなリアを見て微笑み、セイへと視線を向ける
「・・・セイ、あの事、頼んだぜ」
「・・・ああ。必ず果たす」
「・・・頼んだぜ」
「うん・・・」
ナイレンの言葉にセイもアスラも悔しさを堪え冷静に答えた
「嫌だ、隊長、隊長っ!!!」
ヒスカは涙を流しながら必死にナイレンに叫ぶ
だが、もう崩落を止める事は出来ない
「・・、行け・・・」
ナイレンは一通り皆を見て、目を閉じた
「・・・っ、あばよ・・っ」
メルゾムも後ろを向き、悔しそうに唇を噛みそう告げて歩き出した
「・・・ナイレンさん、・・っ!」
リアは涙を堪え、崩落していく方へ目を向け、
「私も、・・私もっ、ナイレンさんに出逢えて、本当に良かったです!!」
リアは必死にそう叫ぶとナイレンは満足そうに笑った
リアはその笑顔が更に胸に刺さり目を反らしそうになったが、ユーリ、フレン、セイ達と共に崩落していく所をじっと見ていた
「・・・っ!!」
ナイレンがいた場所が殆ど見えなくなるとリアは堪えきれなくなり隣にいたセイへと抱きつき、セイはそんなリアを静かに受け止め、リアはセイの腕の中で涙を流した
そして暫くしてリア達はその場を後にした
急いで外にいるユルギスやメルゾムの部下達と合流しなければ、この遺跡から出る事も、街と遺跡を繋ぐ唯一の橋すら渡れなくなってしまう
皆、今は何も考えず、ただひたすら走っていた
そしてユルギス達と合流し、橋を渡っていると徐々に橋も壊れだし、急いで橋を渡り、全員渡りきると同時に橋と遺跡が崩れ落ちたのだった
「・・・・」
此処は遺跡から少し離れた所にある草原
リア達は此処でシャスティルが目覚めるのを待っていた
空はもう夕空になっていて草原には柔らかな風が吹いていた
「・・・・」
リアは崩壊した湖の遺跡をただじっと見ていた
辺りにはもうあの赤いエアルもなく、森の季節外れの紅葉も徐々に無くなり緑が戻って来ていた
「・・・んっ・・・」
すると微かに声が聞こえ、リアはゆっくりと振り向くとヒスカに膝枕されていたシャスティルが目覚め身体を起こしているのが見えた
だが、やはりあのホースが当たった傷が痛むのかお腹を押さえていた
「助かったんだ」
「うん、終わったよ」
シャスティルは遺跡の中じゃないと分かりヒスカに尋ねると、ヒスカは薄く笑って返事を返した
「気が付いたか」
ユーリも遺跡からシャスティルへと視線を移し声を掛けた
だが、シャスティルはある人物が周囲に居ない事に気が付きヒスカに尋ねた
「・・・あれ、隊長は?」
「・・・・」
ヒスカは隊長、と言う言葉を聞いた途端、少しだけ俯いて目に涙を浮かべた
「フレン、隊長何処!?」
そのヒスカの顔を見て、シャスティルは動揺しフレンに尋ねた
「・・・・」
フレンは何も言わずシャスティルから視線を外し、手に持っている剣を少しだけ握りしめた
「・・、リア・・?」
「・・・・」
「セイ・・・、アスラ・・・」
「「・・・・」」
シャスティルはフレンが持っている剣を見て嫌な事が浮かび、リア、そしてセイとアスラにも尋ねたが、リアも俯き何も答えず、セイもアスラもただ無言のままだった
「ユーリ・・・」
シャスティルは少しだけ震えた声を出して最後の一人、ユーリへと視線を向ける
「隊長、カッコ良かったぜ・・・」
ユーリは優しい声色でシャスティルに話し掛けた
その言葉でシャスティルは事態を把握し、その途端、堪えきれなくなったヒスカが声を上げて泣き出した
そしてシャスティルも首を横に降り、悲痛な悲鳴を上げて泣き出した
「いやぁぁぁぁぁ!!!!」
そして、皆も耐えきれず涙を流し出した
フレンはナイレンから受け取った剣を見つめ、ユーリは遺跡へと目を向けていた
「っ・・、」
リアも涙を堪えていると、綺麗な緑色のエアルが蛍のように美しく現れだした
「・・・これで、此処は普通の生活に戻れるよ」
アスラはそのエアルを見てそう呟き、セイは静かに頷きリアに目を向けると、リアは少し目を閉じ俯いた後、その場から立ち上がってゆっくりと遺跡の方を見た
そして、
―――
遠い日々へ馳せる思い
目を閉じて意識を集中させ静かに歌い出し、それを見たセイとアスラも目を閉じて意識を集中させる
君が幸せであれと最期まで願う
リアの歌声に惹かれるように皆顔を上げリアを見た
地の果ての影に留まりながら
鉛の空を想うのだろう
リアは徐々に感情を変え歌い続け、セイとアスラはリアの言霊に力を注いでいく
夜を
限りある
夕暮れの中、綺麗な緑色のエアルがリアの歌声に反応するように現れ、蛍のように美しく辺りを舞っていた
皆、その悲しくも美しい唄に、今の自分達の気持ちを表しているような気がして、ただじっと聴き入っていた
(・・・この唄が、私達の気持ちを乗せて、
ナイレンさんやランバート達に届いていますように――)
16.She was singing sorrowfully in a sorrowful voice.
続く
あとがき
泣きシーンその2・・・
来ちゃったよ、このシーン!!
もうこのシーンはほんっっとうにボロ泣きでした!!
映画3回見たけど、全てこのシーン、隊長の所とユーリの「隊長、カッコ良かったぜ・・・」で泣きました!!
書いてて若干泣きそうでしたもん・・・(泣)
あぁっ・・、目が潤んでるぅ~・・・(泣)
色々と書きたい事あるけど、泣きそうだから次行きます!!
She was singing sorrowfully in a sorrowful voice.:彼女は悲しげに歌っていた
2009.11.18