長短編
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大切なもの
それはみんなそれぞれ持っていて、大事と思うものもそれぞれ違う
けど、その大事なものの為なら・・・
人は強くなれる・・・
それが、愛する人なら尚更・・・
大切なもの
此処はオルニオンの宿屋
いつものようにみんな自由行動を取っていて、みんな何処かへ出掛けていたが、私は部屋に残って一人で考え事をしていた
世界の運命をかけた戦い、そしてあの星喰みと私の星喰みを抑えている力にケリを着けに行くまであと数日
実際に不安がない訳ではない
みんなが居るから安心出来るけど、またあの力を使わなきゃいけないとなるとやっぱり不安になってしまう
だけど、私が今こうして不安になっているのは別に思っている事があるからだった
『世界中の魔刻を精霊に変える――』
これであの星喰みに対抗出来る精霊の力になる
だけど、そうなると魔導器が使えなくなってしまう
勿論、私やみんなが使っている武醒魔導器も・・・
それはみんな納得はしている
実際に私や兄さんは言霊使いの力があるから魔導器がなくなっても今まで通りに戦えるから不便ではなくなる
「・・・・」
そう思っているとふとある人物の面影が頭を過ぎった
「・・・ユーリ、部屋にいるかな?」
私はベッドから立ち上がってユーリが泊まっている隣の男子部屋へと足を運んだ
「・・・ユーリ、いる?」
軽くノックをするが返事がない
「いないのかな・・・?」
フレンの所にでも行ってるのかな? と思って踵を返そうとしているとカリカリと音が聞こえた
「・・・?」
その音はユーリ達の男子部屋から聞こえ、疑問符を出しているとガチャリと音を立てて扉が開き何か青いものが見えた
「ワン!」
「ラピード! もしかして開けてくれたの?」
「ワン!」
それはラピードで、私が来た事に気が付いて扉を開けてくれたのだった
「ありがとう、ラピード。・・・あっ」
ラピードにお礼を言って優しく撫でて部屋に入るとベッドの一角に目が止まった
そこは窓際にあるベッドで暖かい陽の光が窓から入って来ていた
そしてそこに私が探している人物、ユーリが眠っていた
ラピードはそのまま歩いて行き、ユーリが眠ているベッドの横に行き陽の当たる所に着くとその場に座って丸まった
「・・・二人共、日向ぼっこしてたのね」
私は小さく笑って部屋にあった丸椅子を持ってユーリの所へ移動して、椅子を置いて座った
私が来た事に気が付いていないのか、それとも疲れていたのか、ユーリは暖かい陽の光を浴びて気持ち良さそうに眠っていた
「二人共、気持ち良さそうに眠っちゃって・・・」
私はユーリとラピードを見てとても気持ち良さそうに眠ているのを見て小さく笑った後、ユーリの左腕に着けている武醒魔導器を見る
「・・・・」
ユーリの武醒魔導器、それはユーリにとってもラピードにとっても、そして、フレンや私や兄さん、アスラにとっても、とても大切なもの・・・
(ナイレンさん・・・)
ユーリの武醒魔導器はユーリがまだ騎士団にいた時の隊長、ナイレンさんが使用していた武醒魔導器
あの時の事は今でも覚えているし、忘れる事の出来ない出来事
そして、今の私達にとって大きな影響があった
今でこそ私もユーリもフレンも兄さんも口にはしなくなったけど、あの時に今みたいに力があれば、と、思ってしまう・・・
「・・・・」
彼と出会った事でユーリもフレンも成長した
それは今もだけど、今の二人を見ているとやっぱりナイレンさんの影響を受けているな、と思う所が多々ある
魔刻が無くなれば魔導器は使えなくなる
勿論、武醒魔導器も・・・
世界中の魔刻を精霊に変える、と言った時のユーリはいつも通りのユーリだったけど、やっぱりこの武醒魔導器の事を思うと切ない気持ちになってくる
魔刻がなくなる、と言うだけで実際に武醒魔導器自体がなくなる訳じゃない
けど、“大切なもの”だからこそそう思ってしまうのかもしれない・・・
「・・・・」
私はラピードが咥えているキセルに目をやり、そしてまたユーリの武醒魔導器に目を戻す
「・・・ユーリなら、大丈夫か」
ユーリなら、魔刻がなくなってもラピードと同じように武醒魔導器をずっと身に着けているだろう
「・・・大切なもの・・だから・・・ね」
そう思っていると欠伸が出て、瞼が重くなって眠気が襲ってきた
そして、リアは眠てしまった
「・・・ったく、何が大丈夫なんだか」
オレはリアが眠たのを確認するとゆっくりと身体を起こしリアを見た
「男の部屋で無防備に寝る奴があるか・・・ん?」
気持ち良さそうに眠ているリアを見て小さく笑っていると、リアの手がオレの武醒魔導器に触れている事に気が付く
「・・・大切なもの・・だから・・・ね」
「・・・・」
オレはリアが眠りにつく前に言っていた事を思い出す
「大切なもの・・・か・・・」
オレにとって、この武醒魔導器はとても大事なもの
それはリアやフレンやセイやアスラ、そしてラピードにとっても大事なもの
これはオレが騎士団にいた頃に世話になった、隊長のものだからだ
あの時の事は忘れた事はねえ・・・
オレ達に大きな影響を与えてくれたあの人の事を・・・
魔刻がなくなって、武醒魔導器 が使えなくなるのは正直言うとやっぱツライもんがある
完全になくなる訳じゃねえし、戦えねえ訳じゃねえけど、大事にしてるものの一部がなくなっちまうからな・・・
「・・・リアも、同じ事思ってたのかもしんねえな」
どことなく不安そうな面持ちで部屋に入ってきたリア
そしてオレの武醒魔導器に触れていたのが、リアも同じ事思ってたのかもしんねえ、と思ってしまう
『やっぱ大切なものは自分の手で守りたいんだよ・・・』
「・・・・」
ふと、あの時の隊長の言葉が頭を過ぎった
そしてオレは自然とリアに目を向けていた
(オレにとって大切なもの・・・)
それはこの武醒魔導器でもあるが、
「オレにとって今大切なものは・・・」
オレはそのまま眠っているリアを抱えてゆっくりとベッドに降ろし、その隣に寝転んで
「リア、お前だよ・・・」
そう呟いてリアを抱きしめ、リアの唇に触れるだけのキスを落した
「・・・隊長、オレは今度こそ自分の大事なもんを守ってみせるよ。絶対に」
ユーリは誰に言う訳でもなくそう呟き、リアを抱きしめたまま眠りについた
二人が眠った後、ラピードはそっと布団を掛けてやり、また元の所に戻って眠りについた
数時間後、
「ただいまー、ユーリ! って、うわぁっ!?」
「どうしたよの、少年。大声出して」
「しぃー」
「あそこ」
「ん?」
カロルは元気良く言うがある場所を見て驚いて声を上げると後ろにいたレイヴンがすかさず聞き返すが、隣にいたエステルが静かに、と言う合図を出すと、皆、一斉にアスラが言う方を見る
「・・・あら」
そこには気持ち良さそうに眠っているユーリとリアとラピードの姿があった
「気持ち良さそうに眠っちゃって・・・」
「起こすのもなんだし、このまま寝かせておこうよ」
「そうだな。行こうぜ」
そんな二人と一匹を見て皆アスラの言葉に同意し、荷物を置いて部屋を出たのだった
(私にとって大切なもの、それは・・・)
(オレにとって大切なもの、それは・・・)
(ユーリ、だよ)
(リア、だよ)
セイ達が部屋を出て暫くすると、ユーリとリアは自然に微笑んでいて、ユーリはリアを抱きしめリアはユーリの胸に顔を埋めていたのだった
終わり
あとがき
劇場版を書いてる時にふと、そういや、魔刻を精霊化する時 のユーリの心情って、本当はどうだったんだろう? って思って書いてみました
実際ゲームん時じゃまだ映画の方出来てなかったから、あんま気にした様子じゃなかったけど、映画観た人でこう思った人は何人かいたんじゃないかなぁ? と
本編でも言ってましたけど、実際には魔刻がなくなるだけであって本体がなくなる訳じゃないけど、やっぱ思い出のあるものって一部なくなるだけでもツラくなりますよね
なので、今回はリアちゃん視点とユーリ視点でこの話しを書いてみました
そして、後は例の隊長の台詞
ユーリはこの言葉をずっと胸に刻んで生きてきたと思うんですよ
下町のみんなや仲間達の事すっごく大事にしてるから
だから、リアちゃんの事も大事にしてるし、リアちゃんもユーリの事大事にしているだろう、と思って最後はこうしました
ユーリもフレンもナイレンさんの影響を受けて、本当に立派になりましたよね
・・・あぁ、まだ語りたいけどこれ以上語ってると本当にかなりなページいっちゃいそうなので、最後にこれだけ言わせて下さい
劇場版メンバー、大好きだ!!
それでは此処まで読んで頂き、有り難う御座いました!
2009.11.04
それはみんなそれぞれ持っていて、大事と思うものもそれぞれ違う
けど、その大事なものの為なら・・・
人は強くなれる・・・
それが、愛する人なら尚更・・・
大切なもの
此処はオルニオンの宿屋
いつものようにみんな自由行動を取っていて、みんな何処かへ出掛けていたが、私は部屋に残って一人で考え事をしていた
世界の運命をかけた戦い、そしてあの星喰みと私の星喰みを抑えている力にケリを着けに行くまであと数日
実際に不安がない訳ではない
みんなが居るから安心出来るけど、またあの力を使わなきゃいけないとなるとやっぱり不安になってしまう
だけど、私が今こうして不安になっているのは別に思っている事があるからだった
『世界中の魔刻を精霊に変える――』
これであの星喰みに対抗出来る精霊の力になる
だけど、そうなると魔導器が使えなくなってしまう
勿論、私やみんなが使っている武醒魔導器も・・・
それはみんな納得はしている
実際に私や兄さんは言霊使いの力があるから魔導器がなくなっても今まで通りに戦えるから不便ではなくなる
「・・・・」
そう思っているとふとある人物の面影が頭を過ぎった
「・・・ユーリ、部屋にいるかな?」
私はベッドから立ち上がってユーリが泊まっている隣の男子部屋へと足を運んだ
「・・・ユーリ、いる?」
軽くノックをするが返事がない
「いないのかな・・・?」
フレンの所にでも行ってるのかな? と思って踵を返そうとしているとカリカリと音が聞こえた
「・・・?」
その音はユーリ達の男子部屋から聞こえ、疑問符を出しているとガチャリと音を立てて扉が開き何か青いものが見えた
「ワン!」
「ラピード! もしかして開けてくれたの?」
「ワン!」
それはラピードで、私が来た事に気が付いて扉を開けてくれたのだった
「ありがとう、ラピード。・・・あっ」
ラピードにお礼を言って優しく撫でて部屋に入るとベッドの一角に目が止まった
そこは窓際にあるベッドで暖かい陽の光が窓から入って来ていた
そしてそこに私が探している人物、ユーリが眠っていた
ラピードはそのまま歩いて行き、ユーリが眠ているベッドの横に行き陽の当たる所に着くとその場に座って丸まった
「・・・二人共、日向ぼっこしてたのね」
私は小さく笑って部屋にあった丸椅子を持ってユーリの所へ移動して、椅子を置いて座った
私が来た事に気が付いていないのか、それとも疲れていたのか、ユーリは暖かい陽の光を浴びて気持ち良さそうに眠っていた
「二人共、気持ち良さそうに眠っちゃって・・・」
私はユーリとラピードを見てとても気持ち良さそうに眠ているのを見て小さく笑った後、ユーリの左腕に着けている武醒魔導器を見る
「・・・・」
ユーリの武醒魔導器、それはユーリにとってもラピードにとっても、そして、フレンや私や兄さん、アスラにとっても、とても大切なもの・・・
(ナイレンさん・・・)
ユーリの武醒魔導器はユーリがまだ騎士団にいた時の隊長、ナイレンさんが使用していた武醒魔導器
あの時の事は今でも覚えているし、忘れる事の出来ない出来事
そして、今の私達にとって大きな影響があった
今でこそ私もユーリもフレンも兄さんも口にはしなくなったけど、あの時に今みたいに力があれば、と、思ってしまう・・・
「・・・・」
彼と出会った事でユーリもフレンも成長した
それは今もだけど、今の二人を見ているとやっぱりナイレンさんの影響を受けているな、と思う所が多々ある
魔刻が無くなれば魔導器は使えなくなる
勿論、武醒魔導器も・・・
世界中の魔刻を精霊に変える、と言った時のユーリはいつも通りのユーリだったけど、やっぱりこの武醒魔導器の事を思うと切ない気持ちになってくる
魔刻がなくなる、と言うだけで実際に武醒魔導器自体がなくなる訳じゃない
けど、“大切なもの”だからこそそう思ってしまうのかもしれない・・・
「・・・・」
私はラピードが咥えているキセルに目をやり、そしてまたユーリの武醒魔導器に目を戻す
「・・・ユーリなら、大丈夫か」
ユーリなら、魔刻がなくなってもラピードと同じように武醒魔導器をずっと身に着けているだろう
「・・・大切なもの・・だから・・・ね」
そう思っていると欠伸が出て、瞼が重くなって眠気が襲ってきた
そして、リアは眠てしまった
「・・・ったく、何が大丈夫なんだか」
オレはリアが眠たのを確認するとゆっくりと身体を起こしリアを見た
「男の部屋で無防備に寝る奴があるか・・・ん?」
気持ち良さそうに眠ているリアを見て小さく笑っていると、リアの手がオレの武醒魔導器に触れている事に気が付く
「・・・大切なもの・・だから・・・ね」
「・・・・」
オレはリアが眠りにつく前に言っていた事を思い出す
「大切なもの・・・か・・・」
オレにとって、この武醒魔導器はとても大事なもの
それはリアやフレンやセイやアスラ、そしてラピードにとっても大事なもの
これはオレが騎士団にいた頃に世話になった、隊長のものだからだ
あの時の事は忘れた事はねえ・・・
オレ達に大きな影響を与えてくれたあの人の事を・・・
魔刻がなくなって、
完全になくなる訳じゃねえし、戦えねえ訳じゃねえけど、大事にしてるものの一部がなくなっちまうからな・・・
「・・・リアも、同じ事思ってたのかもしんねえな」
どことなく不安そうな面持ちで部屋に入ってきたリア
そしてオレの武醒魔導器に触れていたのが、リアも同じ事思ってたのかもしんねえ、と思ってしまう
『やっぱ大切なものは自分の手で守りたいんだよ・・・』
「・・・・」
ふと、あの時の隊長の言葉が頭を過ぎった
そしてオレは自然とリアに目を向けていた
(オレにとって大切なもの・・・)
それはこの武醒魔導器でもあるが、
「オレにとって今大切なものは・・・」
オレはそのまま眠っているリアを抱えてゆっくりとベッドに降ろし、その隣に寝転んで
「リア、お前だよ・・・」
そう呟いてリアを抱きしめ、リアの唇に触れるだけのキスを落した
「・・・隊長、オレは今度こそ自分の大事なもんを守ってみせるよ。絶対に」
ユーリは誰に言う訳でもなくそう呟き、リアを抱きしめたまま眠りについた
二人が眠った後、ラピードはそっと布団を掛けてやり、また元の所に戻って眠りについた
数時間後、
「ただいまー、ユーリ! って、うわぁっ!?」
「どうしたよの、少年。大声出して」
「しぃー」
「あそこ」
「ん?」
カロルは元気良く言うがある場所を見て驚いて声を上げると後ろにいたレイヴンがすかさず聞き返すが、隣にいたエステルが静かに、と言う合図を出すと、皆、一斉にアスラが言う方を見る
「・・・あら」
そこには気持ち良さそうに眠っているユーリとリアとラピードの姿があった
「気持ち良さそうに眠っちゃって・・・」
「起こすのもなんだし、このまま寝かせておこうよ」
「そうだな。行こうぜ」
そんな二人と一匹を見て皆アスラの言葉に同意し、荷物を置いて部屋を出たのだった
(私にとって大切なもの、それは・・・)
(オレにとって大切なもの、それは・・・)
(ユーリ、だよ)
(リア、だよ)
セイ達が部屋を出て暫くすると、ユーリとリアは自然に微笑んでいて、ユーリはリアを抱きしめリアはユーリの胸に顔を埋めていたのだった
終わり
あとがき
劇場版を書いてる時にふと、そういや、
実際ゲームん時じゃまだ映画の方出来てなかったから、あんま気にした様子じゃなかったけど、映画観た人でこう思った人は何人かいたんじゃないかなぁ? と
本編でも言ってましたけど、実際には魔刻がなくなるだけであって本体がなくなる訳じゃないけど、やっぱ思い出のあるものって一部なくなるだけでもツラくなりますよね
なので、今回はリアちゃん視点とユーリ視点でこの話しを書いてみました
そして、後は例の隊長の台詞
ユーリはこの言葉をずっと胸に刻んで生きてきたと思うんですよ
下町のみんなや仲間達の事すっごく大事にしてるから
だから、リアちゃんの事も大事にしてるし、リアちゃんもユーリの事大事にしているだろう、と思って最後はこうしました
ユーリもフレンもナイレンさんの影響を受けて、本当に立派になりましたよね
・・・あぁ、まだ語りたいけどこれ以上語ってると本当にかなりなページいっちゃいそうなので、最後にこれだけ言わせて下さい
劇場版メンバー、大好きだ!!
それでは此処まで読んで頂き、有り難う御座いました!
2009.11.04