長短編
夢主名変更
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その日、下町にある“我が家”と呼ばれている家はいつも以上に賑やかだった
この家はユーリを始めとした下町で身寄りの無い子供達が住んでいる家で、ハンクスと妻であるジリが管理をしている所でもあった
何故この家が賑やかなのか、その理由は
ある兄妹が来たから
その兄妹と言うのは紛れもなく昨日下町に戻って来たセイとリアだった
「なあ、二人とも“壁の向こう”から来たんだろ?」
“壁の向こう”とは下町以外の帝都の事、そして更に言うなら帝都の外の事を表していた
「でも元は下町にいたんだよな?」
「うん、おとうさんたちのおしごとのつごうでいなかったの」
「けど外には魔物もいるんだろ?」
「比較的安全な道を通って戻って来たからな」
「じゃあ魔物と出くわさなかったんだ」
「でもセイって魔物と戦ったことあるんだったよな」
「さてな」
「なあなあ外ってどんなとこなんだ?」
「え、えっと・・・」
下町の、否、帝都の外から戻って来た二人にこの家に住んでいる子供達は興味心身と言わんばかりで二人に詰め寄っていた
「こら、おまえさん達、それくらいにせんか」
「あんまり女の子に詰め寄るんじゃないよ。あと、質問攻めにしても一気に答えられないだろう」
少しだけ困った顔をしているリアを見かねてハンクスとジリが声を掛けるとリアとセイの周りに集まっていた子供達は距離を取った
「まったく、セイが帰って来た事と、この子(リア)が来た事で浮かれすぎだよ」
そう、皆がはしゃいでいたのはセイが帰って来た事の嬉しさと、何よりこの下町に女の子が来た、と言う事だった
「じいさん達に挨拶に来たのに散々だな」
「それだけみんなリアとセイの事が気になってたんだよ」
そのやり取りをユーリとフレンは少し離れた所で見ていた
今日リアとセイは改めてハンクスとジリに挨拶をしようと思ってこの家を訪ねた
それを見ていた子供達がハンクスとジリとの会話が終わったのを見計らって、二人の元に集まって先程の光景に繋がるのだった
何とか質問攻めから解放され、子供達は部屋に戻ったり外に向かいハンクスとジリ、ユーリとフレンとリアとセイだけがこの場に残ったが、リアは何処か嬉しそうな顔をしていた
「嬉しそうな顔してどうしたんだ?」
そんなリアを見てユーリは声を掛けた
「うん。まちの人たちもだけど、みんなあったかい人たちだなっておもって」
言うとリアはまた嬉しそうに微笑んだ
「「!///」」
その表情を見た途端、ユーリとフレンは目を瞠り、そして少しだけ頬が赤くなっていた
「随分と可愛らしい笑顔を見せる子じゃないか」
ジリはそう言ってリアの頭を優しく撫でると心地良かったのかリアはニコリと笑った
「こりゃ、下町にもまた新しい風が吹きそうじゃな」
ハンクスもそう言って笑い、暫く話した後、これからよろしくお願いします、と言ってリア達は我が家を後にした
それからリアは暫く下町で生活を始め、ユーリやフレン、下町の人達とも暮らしだし下町の生活にも馴染んでいった
勿論リアとセイは言霊使いの仕事もある為、度々下町を離れる事があったがそれでもこの下町に戻って来る事、そしてユーリとフレンと共に過ごす時が大切だとリアもセイも感じていた
そうして時は過ぎリアが7歳になり下町で暮らしていたある日の事、
その日、ユーリとフレンはいつもの下町の仕事が長引き夜遅くに我が家に戻る事になってしまった
「たく、お前があそこで手間取ったから遅くなったじゃないか」
「ユーリがちゃんとしなかったからだろ」
「あそこで魔物が出てこなきゃさっと終わってたんだけどな」
今日は畑に行っていたのだが、途中で魔物が出てしまい、ユーリは直ぐさまそれに気付き魔物と戦い遅れてフレンもみんなを避難させた後、ユーリと一緒に魔物と戦った
その後は後片付け等があったり、念の為に魔物が近くにいないか、とやっていたらこの時間になっていたのだ
「そういやリアとセイはそろそろ戻って来るっつってたよな」
「ああ、手紙だと明日か明後日だったはずだ」
リアとセイは情報屋の仕事で今下町を離れているが、数日前にそろそろ戻れそうと手紙を貰っていたのだった
「なら、また下町が賑やかになるな」
「リアとセイが戻って来たら街のみんなも喜ぶからね」
壁の向こう・・つまり結界の外にあまり出た事がない下町の住人にとっては外に出て仕事をしている二人と二人の両親の事をいつも気にしている
だから戻って来ると嬉しさと安堵が混ざりいつも以上に賑やかになる
勿論リアとセイ達の人柄の良さがそうさせているし、それは二人の友であるユーリとフレンも例外ではなかった
そう思いながら下町を歩いていると、
「「?」」
一瞬だが、何か白い光のようなものが見えた
((気のせいか・・・?))
もう一度白い光のようなものが見えた方を見るも何もない
二人は気のせいだと思い歩みを進めようとしていると
「「!」」
少し先の方に見覚えのある人物を見掛ける
「あれは・・・」
「リアとセイ・・・?」
二人が見た人物、それは今下町を離れているリアとセイだった
リアとセイは二人に気付いていない様だが、何処かいつもと違う雰囲気を漂わせて何かを追うように走って行った
「「・・・・」」
ユーリとフレンは自然と顔を見合わせ頷いた後、二人が走って行った方へと向かった
「確かこっちに来たよな」
「けど、此処は・・・」
ユーリとフレンがリアとセイの後を追って着いた場所、そこは下町の住人ですら寄り付かない灰色小路と言われている場所だった
この灰色小路は複雑な作りをしており、一度迷ったら出られずそこで朽ち果てた者もいて、亡者がいる・・・と言われていた
昼間でも日が差す事がない為、薄暗いが夜になると更にうっそうとしていて誰もが好んで寄り付く場所ではなかった
「・・・此処に、入って行ったのか?」
「・・・多分ね」
リアとセイも下町にいるから灰色小路の噂を知らないはずがない
だが、先程居た場所から更に進んで辿り着く場所と言えば此処だけだった
「!」
「またか!」
途端、また白い光のようなものが奥から見えた
そして二人は頷き、中に入った
二人は何度かこの場所に入った事がある
フレンは昔、初めて下町に越してきた頃に入ったが迷わないように目印を付けて覚えていた事もあり、フレンが道を覚えているから大丈夫だとユーリは思いフレンと一緒に灰色小路を更に進んで行く
そして、少し開けた場所に辿り着く少し手前で二人は足を止めた
そこに居たのはやはり、リアとセイだった
が、二人の間に見覚えのない白い生き物と先程から二人が見えた白い光も見えた
その光は何か生き物のような形をしていた
「二人とも、結界は張ったよ!」
「リア、そっちに回れ!」
「うん!」
「「!」」
ユーリとフレンはリアとセイの間にいる白い生き物が喋った事に驚き、更にリアとセイが白い光の生き物と戦っているのを目にして驚いて言葉を失っていた
「これで、止める!」
「リア、今だよ!」
セイが雷の魔術を発動させ動きを封じると白い生き物はリアに合図を出す
そして、
―――終止符 と 告げる冷たい雨
遠い日々へ馳せる思い
リアは目を閉じて唄を歌い出した
天上 を仰ぐ度 紡げない未来に
君が幸せであれと最期まで願う
地の果ての影に留まりながら
鉛の空を想うのだろう
リアが歌い上げていく度に感情が乗り、ユーリもフレンも自然とその唄に聞き入っていた
夜を算 え 夢を観て 黎明の聖刻 を迎え
限りある生命 よ 魂よ
永遠 に眠れ ―――
「「!」」
リアが歌い終わると、セイが動きを封じていた白い光が消えていった
「・・・消えた・・?」
「・・・あれは、一体・・?」
「!」
「・・・え・・ユーリ・・フレン・・・?」
「お前等、何時からそこに・・・」
ユーリとフレンの言葉が聞こえ白い生き物は直ぐに振り返り、それにつられてリアとセイもそこを見ると、そこには驚いたままのユーリとフレンがいた
「・・・もしかして・・今の、見て・・た・・?」
リアは驚いた顔をしたままそう尋ねたが、その声は驚きと言うよりも何か悲しさを抑えながら言っているようだった
「ああ・・・」
「っ!」
「リア!」
ユーリの言葉を聞くとリアは何かを堪えるかのような顔をしてそのまま二人の横をすり抜け元来た道を駆けて行った
「・・・セイ、これは一体・・?」
「・・・・」
フレンにそう問われ、セイは一度息を吐き白い生き物を見た
「セイ、この二人なら話しても大丈夫だと思うよ」
「・・・そうだな。・・・これが、本来の俺達の仕事なんだよ」
「本来の仕事・・・?」
そしてユーリとフレンを見てセイはそう言い、語り始める
「お前等、言霊使いって知ってるか?」
「言霊使い? なんだそれ?」
「確か、お伽噺に出てくる人物だよね。でもその名は禁忌だからあまり口にしてはいけないって」
フレンは知っているようで自分が知っている事を言うとセイはその通りだと言う様に頷いた
「・・・それが、俺とリアなんだよ」
「「!?」」
「セイが言った通りの事もあるけど、存在自体知られちゃいけないから表向きは情報屋としてたんだよ」
二人が驚いている間に白い生き物がそう付け加えた
「・・・その生き物は・・?」
「ボクはアスラ。リアの相棒で言霊使いが使う式神の一種だよ」
「リアがお前達と会った後もアスラもお前達の事見てたけどな」
次々に思わぬ事に驚き二人は頭の中で整理が出来ていなかった
「・・・とりあえず、これ以上遅くなるとみんな心配されるし、一旦戻ろう」
「そうだな。気になる事はあるだろうが、それは明日にでも話してやるよ」
混乱している二人を見て、と、時間も時間だった為、皆、複雑な気持ちのまま、家に戻った
次の日、ユーリとフレンは昨日の事が気になり改めてリアとセイが住んでいる家を訪ねた
「・・・セイ、リアは?」
「・・部屋に籠もってるよ」
「・・・・・」
リアの事が気になりユーリもフレンも自然と二階へ続く階段を見ていた
いつもならあそこから元気な姿とあの笑顔を見せてくれるのだが、今はそれがない
気になりつつも、セイに言われ二人は椅子に座った
「・・・昨日の続き、聞きに来たんだろ?」
「ああ。ちゃんとリアとセイの事を教えてくれ」
「どうしてリアがあんな悲しそうな顔をしていたのかもね」
「「・・・・」」
二人の真剣な表情を見てセイとアスラは改めて昨日の続きを話す事にした
「言霊使いの云われは色々あるが、有名なのは昨日フレンが言った通りだ」
「そう言われるようになったのは、存在を隠す為でもあるんだ」
「存在を隠す?」
「言霊使いの力は魔導器で使う魔術とも違う力を持って生まれてくるからな」
「その力は人に寄って違うんだけど、力があると解れば悪用する人がいるからね」
「だから存在しないって事になったのか」
「ああ。俺やリア以外も言霊使いはいるが、言霊使いとして知られないようにみんなそれぞれ表向きの仕事をしている」
「それに、言霊使いだって事は本来なら言っちゃいけないんだよ」
「・・・悪用されかねないから?」
「それもあるけど、人と違う力を持っているとそれを恐れ批難されかねないからね」
「だから言霊使いだって事は、本当に信頼出来る相手しか言っちゃいけない事になってる。これは俺達言霊使いの掟みたいなものだ」
「「・・・・」」
それを聞き、昨日のリアの表情が蘇る
それはユーリとフレンが居た事と言霊使いの仕事を見られた事、そして何より怯えたような悲しそうな顔をしていたのがこれでようやく解った
「・・・リアは、オレ達に嫌われると思ってるから部屋に籠もってるのか?」
「・・・力の事を知られた事も恐れて?」
「・・・ああ。リアにとってお前等は“こっちでの”大事な友達、だからな」
「・・・それは、セイも、でしょ」
アスラはそう言ってセイを見るとセイも微笑し、それを見るとアスラはテーブルの上から降りた
「俺達が今話せるのは此処までだ。・・・お前達はこれからどうする?」
「決まってんだろ。リアと話すよ」
「ああ、僕達はリアの事もセイの事も怖がってないってね」
「・・・・本当に・・?」
「「!」」
途端、か細い声が聞こえ声の聞こえた方を見るとリアがアスラを抱えて階段の方から顔を覗かせていた
「・・・聞いてた通りだぞ、リア」
「・・・・・」
「聞いていたって何時から・・?」
「アスラを通してずっと俺達の話を聞いてたんだよ」
「・・・二人とも、本当に私やお兄ちゃんの事、怖くないの?」
まだ少しだけ戸惑いの目をしてゆっくりとユーリとフレンの側に行きそう尋ねた
「リアはリアだろ。特別な力があってもリアはオレ達が知ってるリアだよ」
「それはセイも一緒だよ」
「「!」」
ユーリとフレンはいつもの優しい笑みを浮かべリアとセイを見てそう言うと、思わずな言葉にリアだけでなく、セイも意表を突かれた顔をしていた
「本当に、本当・・だよね?」
「本当だよ」
「リアはオレとフレンの事信じられねえか?」
「ううん。ただ・・ね、二人が直ぐに私とお兄ちゃんの事受け入れてくれた事が嬉しいのとビックリしちゃって・・・」
「・・・お前等はそう言う奴だったよな」
そしてセイも安堵したような表情を浮かべそんな四人を見てアスラは何処か嬉しそうに微笑んでいた
「ユーリ、フレン、これからも私とお兄ちゃんと仲良くしてくれる?」
「「ああ、勿論だよ」」
「っ、ありがとう!」
ユーリとフレンは優しい笑みでそう答えるとリアは嬉しさで言葉が詰まったが、直ぐに今まで以上に嬉しそうな笑顔を見せた
*
「ふふっ」
「何急に笑ってんだよ」
ユーリとフレンと出逢ってからの事を思い出していたリアは嬉しそうに笑い、そんなリアを見てユーリはそう言った
「ううん。ただやっぱりユーリとフレンが私と兄さんの親友で良かったな、って思ってただけ」
「・・・そっか」
嬉しそうな顔をして言うリアを見てユーリも同意するように笑ってそう言った
「ユーリ」
「ん?」
「ありがとう、私と兄さんの親友でいてくれて」
嬉しそうな、そして綺麗な笑顔をしてリアはそう言うとユーリは驚いた顔をしたが、
「ああ、リアとセイ・・と、あいつもな」
「ふふ、うん」
ユーリも笑顔でそう言ってお互いに微笑みあった
―― これが、私達の出逢い、そして私と兄さんの事をユーリとフレンが受け入れてくれた時の事だった
この出来事が遭ったから、私達は強い絆で結ばれ大事な親友と思えるようになった
この絆は、ずっと変わらない
これが、光と影、太陽と月の大切な思い出だから ―――
Encounter of light and a dark, the sun and the moon ~光と影、太陽と月の邂逅~(後編)
End.
あとがき
はい、と言う事で、かなり空いてしまいましたがやっっっっっっっっと下町幼馴染み組の邂逅の後編が仕上がりました!!(イベント後だから絶好調で書けたぜっ!ww)
本当にお待たせしてしまってすみませんでしたι
下町コンビの小説を読んでこうしよう、ああしよう、あーでもあんまり取り入れるとうちとの設定が・・・って色々と模索していたらかなり時間が掛かってしまいましたが、やっぱり原作の方も大事にしているので下町コンビの小説に出て来た所をすこーし含めたいなって思ったので、我が家やハンクスさんの奥さんであるジリさんや壁の向こうと言う言い方や灰色小路、下町でのお仕事等も此処で出してみました
灰色小路は読んだ時から、あ、此処使えるや、って思ったのでリアちゃんとセイ兄ちゃんが言霊使いの仕事をしている所を二人が見る、って言う所にしました(小説読む前から何処かでバレると言う設定は考えていたけどねw)
リアちゃんも最後の語りで言ってたけど、この出来事が遭ったからこそ、四人の絆が強くなって今後の出来事も四人で楽しさやツラさも分かち合って互いを更に認めて強くなっていったんだよね
ふう、無事にこの話が書き終わった事に本当に安堵してます
これで皆さんが気になっていた邂逅とリアちゃんとセイ兄ちゃんの事を認めたって言う事が解ったと思うのでそこも安堵していますw
最初の方にも書いたけど、イベント後なのでいつも以上にみんなやユーリとフレン、そしてリアちゃんとセイ兄ちゃんが出て来てくれて止まっていた所からサラサラと書けました!
今後もまた色んな話が書けたらと思っています!
長くなりましたが、此処まで読んで頂き有り難う御座いました!
そして改めて10周年おめでとう&イベントお疲れ様でした!w
2018.09.18(まさかな6年越しで完成ιww)
この家はユーリを始めとした下町で身寄りの無い子供達が住んでいる家で、ハンクスと妻であるジリが管理をしている所でもあった
何故この家が賑やかなのか、その理由は
ある兄妹が来たから
その兄妹と言うのは紛れもなく昨日下町に戻って来たセイとリアだった
「なあ、二人とも“壁の向こう”から来たんだろ?」
“壁の向こう”とは下町以外の帝都の事、そして更に言うなら帝都の外の事を表していた
「でも元は下町にいたんだよな?」
「うん、おとうさんたちのおしごとのつごうでいなかったの」
「けど外には魔物もいるんだろ?」
「比較的安全な道を通って戻って来たからな」
「じゃあ魔物と出くわさなかったんだ」
「でもセイって魔物と戦ったことあるんだったよな」
「さてな」
「なあなあ外ってどんなとこなんだ?」
「え、えっと・・・」
下町の、否、帝都の外から戻って来た二人にこの家に住んでいる子供達は興味心身と言わんばかりで二人に詰め寄っていた
「こら、おまえさん達、それくらいにせんか」
「あんまり女の子に詰め寄るんじゃないよ。あと、質問攻めにしても一気に答えられないだろう」
少しだけ困った顔をしているリアを見かねてハンクスとジリが声を掛けるとリアとセイの周りに集まっていた子供達は距離を取った
「まったく、セイが帰って来た事と、この子(リア)が来た事で浮かれすぎだよ」
そう、皆がはしゃいでいたのはセイが帰って来た事の嬉しさと、何よりこの下町に女の子が来た、と言う事だった
「じいさん達に挨拶に来たのに散々だな」
「それだけみんなリアとセイの事が気になってたんだよ」
そのやり取りをユーリとフレンは少し離れた所で見ていた
今日リアとセイは改めてハンクスとジリに挨拶をしようと思ってこの家を訪ねた
それを見ていた子供達がハンクスとジリとの会話が終わったのを見計らって、二人の元に集まって先程の光景に繋がるのだった
何とか質問攻めから解放され、子供達は部屋に戻ったり外に向かいハンクスとジリ、ユーリとフレンとリアとセイだけがこの場に残ったが、リアは何処か嬉しそうな顔をしていた
「嬉しそうな顔してどうしたんだ?」
そんなリアを見てユーリは声を掛けた
「うん。まちの人たちもだけど、みんなあったかい人たちだなっておもって」
言うとリアはまた嬉しそうに微笑んだ
「「!///」」
その表情を見た途端、ユーリとフレンは目を瞠り、そして少しだけ頬が赤くなっていた
「随分と可愛らしい笑顔を見せる子じゃないか」
ジリはそう言ってリアの頭を優しく撫でると心地良かったのかリアはニコリと笑った
「こりゃ、下町にもまた新しい風が吹きそうじゃな」
ハンクスもそう言って笑い、暫く話した後、これからよろしくお願いします、と言ってリア達は我が家を後にした
それからリアは暫く下町で生活を始め、ユーリやフレン、下町の人達とも暮らしだし下町の生活にも馴染んでいった
勿論リアとセイは言霊使いの仕事もある為、度々下町を離れる事があったがそれでもこの下町に戻って来る事、そしてユーリとフレンと共に過ごす時が大切だとリアもセイも感じていた
そうして時は過ぎリアが7歳になり下町で暮らしていたある日の事、
その日、ユーリとフレンはいつもの下町の仕事が長引き夜遅くに我が家に戻る事になってしまった
「たく、お前があそこで手間取ったから遅くなったじゃないか」
「ユーリがちゃんとしなかったからだろ」
「あそこで魔物が出てこなきゃさっと終わってたんだけどな」
今日は畑に行っていたのだが、途中で魔物が出てしまい、ユーリは直ぐさまそれに気付き魔物と戦い遅れてフレンもみんなを避難させた後、ユーリと一緒に魔物と戦った
その後は後片付け等があったり、念の為に魔物が近くにいないか、とやっていたらこの時間になっていたのだ
「そういやリアとセイはそろそろ戻って来るっつってたよな」
「ああ、手紙だと明日か明後日だったはずだ」
リアとセイは情報屋の仕事で今下町を離れているが、数日前にそろそろ戻れそうと手紙を貰っていたのだった
「なら、また下町が賑やかになるな」
「リアとセイが戻って来たら街のみんなも喜ぶからね」
壁の向こう・・つまり結界の外にあまり出た事がない下町の住人にとっては外に出て仕事をしている二人と二人の両親の事をいつも気にしている
だから戻って来ると嬉しさと安堵が混ざりいつも以上に賑やかになる
勿論リアとセイ達の人柄の良さがそうさせているし、それは二人の友であるユーリとフレンも例外ではなかった
そう思いながら下町を歩いていると、
「「?」」
一瞬だが、何か白い光のようなものが見えた
((気のせいか・・・?))
もう一度白い光のようなものが見えた方を見るも何もない
二人は気のせいだと思い歩みを進めようとしていると
「「!」」
少し先の方に見覚えのある人物を見掛ける
「あれは・・・」
「リアとセイ・・・?」
二人が見た人物、それは今下町を離れているリアとセイだった
リアとセイは二人に気付いていない様だが、何処かいつもと違う雰囲気を漂わせて何かを追うように走って行った
「「・・・・」」
ユーリとフレンは自然と顔を見合わせ頷いた後、二人が走って行った方へと向かった
「確かこっちに来たよな」
「けど、此処は・・・」
ユーリとフレンがリアとセイの後を追って着いた場所、そこは下町の住人ですら寄り付かない灰色小路と言われている場所だった
この灰色小路は複雑な作りをしており、一度迷ったら出られずそこで朽ち果てた者もいて、亡者がいる・・・と言われていた
昼間でも日が差す事がない為、薄暗いが夜になると更にうっそうとしていて誰もが好んで寄り付く場所ではなかった
「・・・此処に、入って行ったのか?」
「・・・多分ね」
リアとセイも下町にいるから灰色小路の噂を知らないはずがない
だが、先程居た場所から更に進んで辿り着く場所と言えば此処だけだった
「!」
「またか!」
途端、また白い光のようなものが奥から見えた
そして二人は頷き、中に入った
二人は何度かこの場所に入った事がある
フレンは昔、初めて下町に越してきた頃に入ったが迷わないように目印を付けて覚えていた事もあり、フレンが道を覚えているから大丈夫だとユーリは思いフレンと一緒に灰色小路を更に進んで行く
そして、少し開けた場所に辿り着く少し手前で二人は足を止めた
そこに居たのはやはり、リアとセイだった
が、二人の間に見覚えのない白い生き物と先程から二人が見えた白い光も見えた
その光は何か生き物のような形をしていた
「二人とも、結界は張ったよ!」
「リア、そっちに回れ!」
「うん!」
「「!」」
ユーリとフレンはリアとセイの間にいる白い生き物が喋った事に驚き、更にリアとセイが白い光の生き物と戦っているのを目にして驚いて言葉を失っていた
「これで、止める!」
「リア、今だよ!」
セイが雷の魔術を発動させ動きを封じると白い生き物はリアに合図を出す
そして、
―――
遠い日々へ馳せる思い
リアは目を閉じて唄を歌い出した
君が幸せであれと最期まで願う
地の果ての影に留まりながら
鉛の空を想うのだろう
リアが歌い上げていく度に感情が乗り、ユーリもフレンも自然とその唄に聞き入っていた
夜を
限りある
「「!」」
リアが歌い終わると、セイが動きを封じていた白い光が消えていった
「・・・消えた・・?」
「・・・あれは、一体・・?」
「!」
「・・・え・・ユーリ・・フレン・・・?」
「お前等、何時からそこに・・・」
ユーリとフレンの言葉が聞こえ白い生き物は直ぐに振り返り、それにつられてリアとセイもそこを見ると、そこには驚いたままのユーリとフレンがいた
「・・・もしかして・・今の、見て・・た・・?」
リアは驚いた顔をしたままそう尋ねたが、その声は驚きと言うよりも何か悲しさを抑えながら言っているようだった
「ああ・・・」
「っ!」
「リア!」
ユーリの言葉を聞くとリアは何かを堪えるかのような顔をしてそのまま二人の横をすり抜け元来た道を駆けて行った
「・・・セイ、これは一体・・?」
「・・・・」
フレンにそう問われ、セイは一度息を吐き白い生き物を見た
「セイ、この二人なら話しても大丈夫だと思うよ」
「・・・そうだな。・・・これが、本来の俺達の仕事なんだよ」
「本来の仕事・・・?」
そしてユーリとフレンを見てセイはそう言い、語り始める
「お前等、言霊使いって知ってるか?」
「言霊使い? なんだそれ?」
「確か、お伽噺に出てくる人物だよね。でもその名は禁忌だからあまり口にしてはいけないって」
フレンは知っているようで自分が知っている事を言うとセイはその通りだと言う様に頷いた
「・・・それが、俺とリアなんだよ」
「「!?」」
「セイが言った通りの事もあるけど、存在自体知られちゃいけないから表向きは情報屋としてたんだよ」
二人が驚いている間に白い生き物がそう付け加えた
「・・・その生き物は・・?」
「ボクはアスラ。リアの相棒で言霊使いが使う式神の一種だよ」
「リアがお前達と会った後もアスラもお前達の事見てたけどな」
次々に思わぬ事に驚き二人は頭の中で整理が出来ていなかった
「・・・とりあえず、これ以上遅くなるとみんな心配されるし、一旦戻ろう」
「そうだな。気になる事はあるだろうが、それは明日にでも話してやるよ」
混乱している二人を見て、と、時間も時間だった為、皆、複雑な気持ちのまま、家に戻った
次の日、ユーリとフレンは昨日の事が気になり改めてリアとセイが住んでいる家を訪ねた
「・・・セイ、リアは?」
「・・部屋に籠もってるよ」
「・・・・・」
リアの事が気になりユーリもフレンも自然と二階へ続く階段を見ていた
いつもならあそこから元気な姿とあの笑顔を見せてくれるのだが、今はそれがない
気になりつつも、セイに言われ二人は椅子に座った
「・・・昨日の続き、聞きに来たんだろ?」
「ああ。ちゃんとリアとセイの事を教えてくれ」
「どうしてリアがあんな悲しそうな顔をしていたのかもね」
「「・・・・」」
二人の真剣な表情を見てセイとアスラは改めて昨日の続きを話す事にした
「言霊使いの云われは色々あるが、有名なのは昨日フレンが言った通りだ」
「そう言われるようになったのは、存在を隠す為でもあるんだ」
「存在を隠す?」
「言霊使いの力は魔導器で使う魔術とも違う力を持って生まれてくるからな」
「その力は人に寄って違うんだけど、力があると解れば悪用する人がいるからね」
「だから存在しないって事になったのか」
「ああ。俺やリア以外も言霊使いはいるが、言霊使いとして知られないようにみんなそれぞれ表向きの仕事をしている」
「それに、言霊使いだって事は本来なら言っちゃいけないんだよ」
「・・・悪用されかねないから?」
「それもあるけど、人と違う力を持っているとそれを恐れ批難されかねないからね」
「だから言霊使いだって事は、本当に信頼出来る相手しか言っちゃいけない事になってる。これは俺達言霊使いの掟みたいなものだ」
「「・・・・」」
それを聞き、昨日のリアの表情が蘇る
それはユーリとフレンが居た事と言霊使いの仕事を見られた事、そして何より怯えたような悲しそうな顔をしていたのがこれでようやく解った
「・・・リアは、オレ達に嫌われると思ってるから部屋に籠もってるのか?」
「・・・力の事を知られた事も恐れて?」
「・・・ああ。リアにとってお前等は“こっちでの”大事な友達、だからな」
「・・・それは、セイも、でしょ」
アスラはそう言ってセイを見るとセイも微笑し、それを見るとアスラはテーブルの上から降りた
「俺達が今話せるのは此処までだ。・・・お前達はこれからどうする?」
「決まってんだろ。リアと話すよ」
「ああ、僕達はリアの事もセイの事も怖がってないってね」
「・・・・本当に・・?」
「「!」」
途端、か細い声が聞こえ声の聞こえた方を見るとリアがアスラを抱えて階段の方から顔を覗かせていた
「・・・聞いてた通りだぞ、リア」
「・・・・・」
「聞いていたって何時から・・?」
「アスラを通してずっと俺達の話を聞いてたんだよ」
「・・・二人とも、本当に私やお兄ちゃんの事、怖くないの?」
まだ少しだけ戸惑いの目をしてゆっくりとユーリとフレンの側に行きそう尋ねた
「リアはリアだろ。特別な力があってもリアはオレ達が知ってるリアだよ」
「それはセイも一緒だよ」
「「!」」
ユーリとフレンはいつもの優しい笑みを浮かべリアとセイを見てそう言うと、思わずな言葉にリアだけでなく、セイも意表を突かれた顔をしていた
「本当に、本当・・だよね?」
「本当だよ」
「リアはオレとフレンの事信じられねえか?」
「ううん。ただ・・ね、二人が直ぐに私とお兄ちゃんの事受け入れてくれた事が嬉しいのとビックリしちゃって・・・」
「・・・お前等はそう言う奴だったよな」
そしてセイも安堵したような表情を浮かべそんな四人を見てアスラは何処か嬉しそうに微笑んでいた
「ユーリ、フレン、これからも私とお兄ちゃんと仲良くしてくれる?」
「「ああ、勿論だよ」」
「っ、ありがとう!」
ユーリとフレンは優しい笑みでそう答えるとリアは嬉しさで言葉が詰まったが、直ぐに今まで以上に嬉しそうな笑顔を見せた
*
「ふふっ」
「何急に笑ってんだよ」
ユーリとフレンと出逢ってからの事を思い出していたリアは嬉しそうに笑い、そんなリアを見てユーリはそう言った
「ううん。ただやっぱりユーリとフレンが私と兄さんの親友で良かったな、って思ってただけ」
「・・・そっか」
嬉しそうな顔をして言うリアを見てユーリも同意するように笑ってそう言った
「ユーリ」
「ん?」
「ありがとう、私と兄さんの親友でいてくれて」
嬉しそうな、そして綺麗な笑顔をしてリアはそう言うとユーリは驚いた顔をしたが、
「ああ、リアとセイ・・と、あいつもな」
「ふふ、うん」
ユーリも笑顔でそう言ってお互いに微笑みあった
―― これが、私達の出逢い、そして私と兄さんの事をユーリとフレンが受け入れてくれた時の事だった
この出来事が遭ったから、私達は強い絆で結ばれ大事な親友と思えるようになった
この絆は、ずっと変わらない
これが、光と影、太陽と月の大切な思い出だから ―――
Encounter of light and a dark, the sun and the moon ~光と影、太陽と月の邂逅~(後編)
End.
あとがき
はい、と言う事で、かなり空いてしまいましたがやっっっっっっっっと下町幼馴染み組の邂逅の後編が仕上がりました!!(イベント後だから絶好調で書けたぜっ!ww)
本当にお待たせしてしまってすみませんでしたι
下町コンビの小説を読んでこうしよう、ああしよう、あーでもあんまり取り入れるとうちとの設定が・・・って色々と模索していたらかなり時間が掛かってしまいましたが、やっぱり原作の方も大事にしているので下町コンビの小説に出て来た所をすこーし含めたいなって思ったので、我が家やハンクスさんの奥さんであるジリさんや壁の向こうと言う言い方や灰色小路、下町でのお仕事等も此処で出してみました
灰色小路は読んだ時から、あ、此処使えるや、って思ったのでリアちゃんとセイ兄ちゃんが言霊使いの仕事をしている所を二人が見る、って言う所にしました(小説読む前から何処かでバレると言う設定は考えていたけどねw)
リアちゃんも最後の語りで言ってたけど、この出来事が遭ったからこそ、四人の絆が強くなって今後の出来事も四人で楽しさやツラさも分かち合って互いを更に認めて強くなっていったんだよね
ふう、無事にこの話が書き終わった事に本当に安堵してます
これで皆さんが気になっていた邂逅とリアちゃんとセイ兄ちゃんの事を認めたって言う事が解ったと思うのでそこも安堵していますw
最初の方にも書いたけど、イベント後なのでいつも以上にみんなやユーリとフレン、そしてリアちゃんとセイ兄ちゃんが出て来てくれて止まっていた所からサラサラと書けました!
今後もまた色んな話が書けたらと思っています!
長くなりましたが、此処まで読んで頂き有り難う御座いました!
そして改めて10周年おめでとう&イベントお疲れ様でした!w
2018.09.18(まさかな6年越しで完成ιww)