長短編
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「リア、今日一日僕のパートナーになってくれないかい?」
そう言われたのは午前中の事だった
シンデレラは0時まで
「毎度ありー!」
此処は露店街、今日は特に仕事もなく宿屋の女将さんのお手伝いをしていて、今は買い出しに来ていた
「うーんと、これで全部・・かな?」
私は買い物リストに書かれている物と抱えている袋の中身を見比べ確認する
「・・・うん、良し。これで全部ね」
確認が終わり、袋を抱え直して再び歩き出した
「・・・あれ?」
そして広場に戻って来ると、ベンチに見覚えのある人物が座っていた
「・・・フレン?」
「? やあ、リア」
フレンは私の声に気が付いて顔を上げた
「どうしたの、こんな所で?」
「ちょっとね・・・。リアは買い物かい?」
「うん。女将さんの手伝いでね」
「今日一日?」
「ううん。買い出しだけだよ」
「そうか・・・」
私の返事を聞くとフレンはまた何か考え出した
「・・・フレン、何か悩み事? 良かったら聞くよ?」
私はそう言ってフレンの隣に座り、フレンはちらりと私を見て少しだけ考えて顔を上げた
「リア・・・」
「ん?」
「今日一日、僕のパートナーになってくれないかい?」
「・・・パートナー?」
フレンは真剣な顔で言い、その言葉の意味が解らずに首を傾げているとフレンは説明を始めた
「実は今日城で舞踏会が行われるんだけど、それに僕も出る事になってしまってね。けど、パートナーと一緒じゃないと駄目みたいで・・・」
「それでパートナーを探してたの?」
「ああ。けど、なかなかパートナーが見つからなくて・・・」
「騎士団にいる女性の人とかは?」
「殆どが警備に回っているからね。僕の隊もそうなんだ。でも今から他を当たるにも当たれなくて・・・」
「で、考えてる時に私が通りかかったって事?」
「ああ。勿論無理にとは言わないよ」
フレンはそこで言葉を切ってじっと私を見て答えを待った
「でも、私が行っても良いの?」
「エステリーゼ様はリアなら喜んで歓迎すると思うよ」
そう言ったエスエルの顔が浮かび小さく笑い、フレンに向き合って答えた
「解った。そう言う事なら喜んで協力するよ」
私は笑顔で言うとフレンは安心した顔をした
「ありがとうリア。助かるよ」
「フレンの頼みだもん」
「じゃあ後で城の前で会おう」
「うん」
お互いにベンチから立ち上がって軽く挨拶をするとフレンは城の方へ歩き出し、私は下町へ向かって歩き出した
「・・・と言う訳で、今リアはザーフィアス城にいる訳」
「成る程な・・・」
場所は変わって、此処はユーリの部屋
ユーリはリアを尋ねて部屋に行ったのだが当の本人はいなかった
そして女将さんの所から戻って来たセイとアスラと会い、部屋に戻って来たがセイは直ぐに仕事に行き、アスラから事情を聞いた、と言う所だった
「にしても、舞踏会ねぇ・・・」
「どうかしたの?」
「いや、オレとは縁遠いとこだなと思ってさ」
「ユーリ、ああいう場ニガテそうだしね」
「お偉いさん方の相手とかしなきゃなんねえしな」
「絶対に参加したくない、って顔してるよ」
「そりゃな」
ユーリはそう言って笑って言葉を続ける
「リアもフレンの頼みとはいえ良く参加したな」
「まあリアならああいう場にいても違和感ないしね」
「まあな」
リアの性格上、直ぐに場の雰囲気に慣れるものだし、オンとオフの切り替えが利くからフレンもリアをパートナーとして選んだのかもしれない
「後、せっかく偉い人達が集まる場に行けるんだから、情報収集もしてくるって言ってたよ」
「・・・相変わらずそういう所もしっかりしてんのなι」
ユーリは少しだけ苦笑していた
「・・・ねえ、エステル。本当にこれ着なきゃダメ?」
「勿論です」
変わってこちらはリアサイド
リアはフレンと合流した後、ドレスの方はエステルが選んでくれると言う事になりエステルの部屋に着ていたのだが・・・
「リアなら絶対に似合いますよ」
「・・・・ι」
エステルは目をキラキラさせながら言うが、リアは何故か浮かない顔をしている
それは今手元にあるドレスが原因だからだ
手元にあるのは淡いマリンブルーのカクテルドレスで白のレースとコサージュが付いている
見た目は凄く綺麗なドレスなのだが、
「・・・もしかして気に入りませんでした?」
「あ、いや、そういう事じゃないんだけど・・・」
そのドレスはかなり胸元が開いているのだった
(・・・流石にこれは開きすぎでしょ///)
普段からあまり露出した服を着ないリアとしては少しだけ抵抗があった
「・・・エステルはどんなドレス着るの?」
「わたしですか? わたしはあれです」
エステルは自分のベッドの上に置いてある服を指さす
その服はまさにお姫様と言う風情があるドレスだった
「だからリアはこのドレスなんです」
「・・・何で?」
今の話しでどうやったらそこに繋がるのか解らないで疑問を振るとエステルはニッコリとして答えた
「リアはわたしの遠緑で他国にいるお姫様、って設定なんです♪」
そう言ったエステルの目は凄くキラキラとしていた
「・・・まあ確かに姫、って呼ばれてるけど・・・」
「だから心配ないです」
「・・・・ι」
姫、とは呼ばれているが少しだけ分類も違うような・・・と思っているリアだったがそれはエステルに届く事はなかった
「じゃあリア、時間もない事ですし着替えましょう。皆さん、お願いします」
「畏まりました」
「え? ちょ、ちょっとエステル!?」
リアの言葉は綺麗に流されエステルは側に控えているメイド達に合図を出すとメイド達はリアが着るドレスを持ち、エステルはリアの背中を押して着替えに入った
「けど、ああいう場って色々と厄介事が多いんじゃねえのか?」
こちらは戻ってユーリサイド
ユーリは舞踏会、と言う言葉を聞いてふと浮かんだ疑問をアスラに言った
「まあね。けど、何か遭ったらリアも知らせてくれるしフレンもいるし大丈夫でしょ。それに、もしもそうなったら、ボクが動くより誰かさんが直ぐに動くと思うけどな」
アスラはじぃっとユーリを見て言うとユーリは一瞬きょとんとして直ぐにその言葉を理解して笑っていた
「はは、そうだな」
数分後、
「わあ、リア、とっても綺麗です。本当にお姫様みたいです!」
「あ、ありがとう///」
エステルやメイド達に引っ張られていき、リアは綺麗にドレスアップされ、まるで本当に貴族のお姫様、と言わんばかりの姿だった
「これでフレンのパートナーとして参加出来ますね」
「では、会場へご案内します」
「はい。リア、行きましょう」
「う、うん」
エステルは嬉しそうな顔をしてリアの手を引いて歩き出した
「フレン!」
舞踏会会場の扉の前に行くとフレンがいた
エステルは嬉しそうな顔をしてフレンの元に駆け寄って行った
「エステリーゼ様。どうしたんですか、嬉しそうな顔をして」
「フレンのパートナーを連れ来ましたよ」
言うとエステルは私の腕を引いてフレンの前に連れてきた
「・・・リア?」
フレンはきょとんとして私を見た
「リア、とっても似合ってますよね」
エステルはニッコリとしてフレンに振るとフレンはゆっくりと口を開いた
「ええ。そうですね」
「じゃあわたしはこれで失礼しますね。また後で」
エステルはそう言って先に会場へと入って行った
「「・・・・」」
エステルが立ち去るとお互いに無言になってしまった
どうしようかと思っているとフレンは小さく笑って私を見た
「・・・驚いたな。此処まで変わるなんて」
「・・・予想外?」
「予想以上だよ。 ・・・これは気を付けないとな」
フレンはそう言って優しく笑うと、何か小さく呟いた
「? フレン、何か言った?」
その言葉が聞き取れずにいるとフレンはいや、と言って小さく笑った
「では、行きましょうか、お姫様?」
「うん・・・」
そして紳士がエスコートするように私に手を出し、私は小さく笑ってその手を取ってフレンと一緒に会場へと入った
会場に入ると貴族の人達や国の偉い人達が楽しそうに踊っていたりグラスを持って話しをしていた
情報集めで色んな所のパーティーや舞踏会に忍び込んだ事があったけど、やっぱり帝都と言うだけあって他と比べると顔ぶれも華やかさも違った
そう思いながら歩いていると周りの声が聞こえだした
「あれはフレン殿」
「まあ、あちらの方は何方なんでしょう?」
「綺麗な方ですこと」
「何処のお嬢様でしょう?」
通り過ぎる度にざわつき話し声が聞こえる
「・・・私達、凄い注目されてない?」
「そうだね。ま、無理もないけどね」
「?」
フレンはそう言って小さく笑い、私はその意味が解らず小さく首を傾げていた
そして舞踏会も始まりフレンも色んな人と話し私の紹介もした
設定が設定な為か、フレンが私を紹介する度におぉっ!と声が上がる
そう声が上がるのも無理もないのかもしれないけど・・・ι
こういった場には情報集めで忍び込んだ事があるお陰なのか、それともフレンやエステルがいるお陰なのか、そんなに苦なく他の人達とも話す事が出来、色々と情報を集める事が出来た
「ふう・・・」
私は一息吐こうと思ってグラスを持ってテラスへと来ていた
「疲れたかい?」
突然聞き覚えのある声が聞こえ振り返るとフレンが私の方に歩いて来ていた
「ちょっとだけ。フレンは疲れてないの?」
「僕も少しだけ疲れてるよ。此処まで大勢の人と話した事はなかったからね」
「そっか・・・」
フレンの立場を考えれば大勢の人に話し掛けられるもの無理はない
しかも今の私は他国のお姫様でエステルの遠緑という設定だ
パートナーとしても騎士としてもいつも以上に私に気を遣っていたし、舞踏会の大半は話しをしていたのだから疲れるのも無理はない
そう思いながら夜風に当たっているとふと演奏が聞こえだした
この曲が流れだしたと言う事はこの曲がワルツを踊る最後の時間、そして舞踏会が終わりに近づいたと言う事だった
「・・・舞踏会、もうすぐ終わるんだね」
「ああ。けど、僕達はまだやってない事があるよね?」
「?」
何の事だか解らずに首を傾げているとフレンは紳士のようにお辞儀をして私の前に手を出した
「一曲踊って頂けますか、お姫様?」
「喜んで」
私は一瞬きょとんとしたが直ぐに微笑んでフレンの手を取って踊り出した
「リア、上手だね」
「ありがとう。そう言うフレンこそ」
「僕はエステリーゼ様や他の人達に教えて貰ったんだよ」
けど、これが会場の中だったら今みたいに上手く踊れているかも解らない
周りに人がいなくて、気持ちの良い風が当たっているからか、それとも踊っている相手がフレンだから安心して踊れているのかもしれない
そう思いながら私はフレンとワルツを踊っていた
*
「リア、今日は本当にありがとう」
舞踏会も無事に終わり、私達は部屋に戻る為に廊下を歩いていた
「私の方こそありがとう。楽しかったよ」
「僕もだよ。でも少し残念だな」
お互いにお礼を言っているとフレンは少しだけ残念そうな顔をしてそう言った
「この格好のリアが見られなくなるのは」
「///」
改めて言われなんだか照れくさくなって少しだけ顔を赤くするとフレンは小さく笑って、ある部屋の一室で止まった
「今日は此処で休んでくれ」
終わる時間も遅いからと言ってフレンとエステルが城に泊まる事を勧めてくれ、今日は此処にお世話になる事にした
「うん、じゃあお休み」
「リア」
「ん? っ!」
扉を開けようとしているとフレンに呼ばれ振り返ると、突然目の前に何かが覆い被さったが、それは直ぐに離れた
「お休み、リア」
フレンはそう言ってニッコリとして歩いて行った
「・・・・////」
私は顔を赤くして唇を抑えて暫くはフレンが歩いて言った方を見ていた
リアは部屋に戻り私服に着替え時計を見ると丁度0時を回った所だった
「もうこんな時間か。今日は疲れたし、もう寝よう・・・」
そう言ってリアはベッドに入って眠りについた
シンデレラの魔法は0時になると消えてしまう
リアのシンデレラとしての時間も0時を回ったと共に消えた
「今日一日だけだったけど、僕のお姫様でいてくれてありがとう、リア」
フレンは0時を回ってもそのシンデレラの事や今日の出来事を忘れる事も消える事もなかった
終わり
あとがき
フレン夢書いてみました
これは仕事してる時に冒頭の方が頭に浮かんで携帯にメモってたものだったんですが、思いの外長くなってしまったw
一応箱版連載後の話しと思って下さいw
にしても、今回もエステルが暴走してましたねw
エステル書きやすいし遊びやすいんだもんww
連載で良く絡ませてたり一緒に行動させてたからかもしれないけど、意外とアスラとユーリの絡みが書きやすかった
で、絶対にリアちゃんとフレンは周りの人達の目を惹かせて注目を集めたでしょうねぇ~vv
だからその分、フレンはリアちゃんの側を離れられなかったと思うけどw
一応甘目指して書いたけど・・・甘・・ かな・・・?
そうなってたら良いな! うん!
それでは此処まで読んで下さって有り難う御座いました!!
2009.09.06
そう言われたのは午前中の事だった
シンデレラは0時まで
「毎度ありー!」
此処は露店街、今日は特に仕事もなく宿屋の女将さんのお手伝いをしていて、今は買い出しに来ていた
「うーんと、これで全部・・かな?」
私は買い物リストに書かれている物と抱えている袋の中身を見比べ確認する
「・・・うん、良し。これで全部ね」
確認が終わり、袋を抱え直して再び歩き出した
「・・・あれ?」
そして広場に戻って来ると、ベンチに見覚えのある人物が座っていた
「・・・フレン?」
「? やあ、リア」
フレンは私の声に気が付いて顔を上げた
「どうしたの、こんな所で?」
「ちょっとね・・・。リアは買い物かい?」
「うん。女将さんの手伝いでね」
「今日一日?」
「ううん。買い出しだけだよ」
「そうか・・・」
私の返事を聞くとフレンはまた何か考え出した
「・・・フレン、何か悩み事? 良かったら聞くよ?」
私はそう言ってフレンの隣に座り、フレンはちらりと私を見て少しだけ考えて顔を上げた
「リア・・・」
「ん?」
「今日一日、僕のパートナーになってくれないかい?」
「・・・パートナー?」
フレンは真剣な顔で言い、その言葉の意味が解らずに首を傾げているとフレンは説明を始めた
「実は今日城で舞踏会が行われるんだけど、それに僕も出る事になってしまってね。けど、パートナーと一緒じゃないと駄目みたいで・・・」
「それでパートナーを探してたの?」
「ああ。けど、なかなかパートナーが見つからなくて・・・」
「騎士団にいる女性の人とかは?」
「殆どが警備に回っているからね。僕の隊もそうなんだ。でも今から他を当たるにも当たれなくて・・・」
「で、考えてる時に私が通りかかったって事?」
「ああ。勿論無理にとは言わないよ」
フレンはそこで言葉を切ってじっと私を見て答えを待った
「でも、私が行っても良いの?」
「エステリーゼ様はリアなら喜んで歓迎すると思うよ」
そう言ったエスエルの顔が浮かび小さく笑い、フレンに向き合って答えた
「解った。そう言う事なら喜んで協力するよ」
私は笑顔で言うとフレンは安心した顔をした
「ありがとうリア。助かるよ」
「フレンの頼みだもん」
「じゃあ後で城の前で会おう」
「うん」
お互いにベンチから立ち上がって軽く挨拶をするとフレンは城の方へ歩き出し、私は下町へ向かって歩き出した
「・・・と言う訳で、今リアはザーフィアス城にいる訳」
「成る程な・・・」
場所は変わって、此処はユーリの部屋
ユーリはリアを尋ねて部屋に行ったのだが当の本人はいなかった
そして女将さんの所から戻って来たセイとアスラと会い、部屋に戻って来たがセイは直ぐに仕事に行き、アスラから事情を聞いた、と言う所だった
「にしても、舞踏会ねぇ・・・」
「どうかしたの?」
「いや、オレとは縁遠いとこだなと思ってさ」
「ユーリ、ああいう場ニガテそうだしね」
「お偉いさん方の相手とかしなきゃなんねえしな」
「絶対に参加したくない、って顔してるよ」
「そりゃな」
ユーリはそう言って笑って言葉を続ける
「リアもフレンの頼みとはいえ良く参加したな」
「まあリアならああいう場にいても違和感ないしね」
「まあな」
リアの性格上、直ぐに場の雰囲気に慣れるものだし、オンとオフの切り替えが利くからフレンもリアをパートナーとして選んだのかもしれない
「後、せっかく偉い人達が集まる場に行けるんだから、情報収集もしてくるって言ってたよ」
「・・・相変わらずそういう所もしっかりしてんのなι」
ユーリは少しだけ苦笑していた
「・・・ねえ、エステル。本当にこれ着なきゃダメ?」
「勿論です」
変わってこちらはリアサイド
リアはフレンと合流した後、ドレスの方はエステルが選んでくれると言う事になりエステルの部屋に着ていたのだが・・・
「リアなら絶対に似合いますよ」
「・・・・ι」
エステルは目をキラキラさせながら言うが、リアは何故か浮かない顔をしている
それは今手元にあるドレスが原因だからだ
手元にあるのは淡いマリンブルーのカクテルドレスで白のレースとコサージュが付いている
見た目は凄く綺麗なドレスなのだが、
「・・・もしかして気に入りませんでした?」
「あ、いや、そういう事じゃないんだけど・・・」
そのドレスはかなり胸元が開いているのだった
(・・・流石にこれは開きすぎでしょ///)
普段からあまり露出した服を着ないリアとしては少しだけ抵抗があった
「・・・エステルはどんなドレス着るの?」
「わたしですか? わたしはあれです」
エステルは自分のベッドの上に置いてある服を指さす
その服はまさにお姫様と言う風情があるドレスだった
「だからリアはこのドレスなんです」
「・・・何で?」
今の話しでどうやったらそこに繋がるのか解らないで疑問を振るとエステルはニッコリとして答えた
「リアはわたしの遠緑で他国にいるお姫様、って設定なんです♪」
そう言ったエステルの目は凄くキラキラとしていた
「・・・まあ確かに姫、って呼ばれてるけど・・・」
「だから心配ないです」
「・・・・ι」
姫、とは呼ばれているが少しだけ分類も違うような・・・と思っているリアだったがそれはエステルに届く事はなかった
「じゃあリア、時間もない事ですし着替えましょう。皆さん、お願いします」
「畏まりました」
「え? ちょ、ちょっとエステル!?」
リアの言葉は綺麗に流されエステルは側に控えているメイド達に合図を出すとメイド達はリアが着るドレスを持ち、エステルはリアの背中を押して着替えに入った
「けど、ああいう場って色々と厄介事が多いんじゃねえのか?」
こちらは戻ってユーリサイド
ユーリは舞踏会、と言う言葉を聞いてふと浮かんだ疑問をアスラに言った
「まあね。けど、何か遭ったらリアも知らせてくれるしフレンもいるし大丈夫でしょ。それに、もしもそうなったら、ボクが動くより誰かさんが直ぐに動くと思うけどな」
アスラはじぃっとユーリを見て言うとユーリは一瞬きょとんとして直ぐにその言葉を理解して笑っていた
「はは、そうだな」
数分後、
「わあ、リア、とっても綺麗です。本当にお姫様みたいです!」
「あ、ありがとう///」
エステルやメイド達に引っ張られていき、リアは綺麗にドレスアップされ、まるで本当に貴族のお姫様、と言わんばかりの姿だった
「これでフレンのパートナーとして参加出来ますね」
「では、会場へご案内します」
「はい。リア、行きましょう」
「う、うん」
エステルは嬉しそうな顔をしてリアの手を引いて歩き出した
「フレン!」
舞踏会会場の扉の前に行くとフレンがいた
エステルは嬉しそうな顔をしてフレンの元に駆け寄って行った
「エステリーゼ様。どうしたんですか、嬉しそうな顔をして」
「フレンのパートナーを連れ来ましたよ」
言うとエステルは私の腕を引いてフレンの前に連れてきた
「・・・リア?」
フレンはきょとんとして私を見た
「リア、とっても似合ってますよね」
エステルはニッコリとしてフレンに振るとフレンはゆっくりと口を開いた
「ええ。そうですね」
「じゃあわたしはこれで失礼しますね。また後で」
エステルはそう言って先に会場へと入って行った
「「・・・・」」
エステルが立ち去るとお互いに無言になってしまった
どうしようかと思っているとフレンは小さく笑って私を見た
「・・・驚いたな。此処まで変わるなんて」
「・・・予想外?」
「予想以上だよ。 ・・・これは気を付けないとな」
フレンはそう言って優しく笑うと、何か小さく呟いた
「? フレン、何か言った?」
その言葉が聞き取れずにいるとフレンはいや、と言って小さく笑った
「では、行きましょうか、お姫様?」
「うん・・・」
そして紳士がエスコートするように私に手を出し、私は小さく笑ってその手を取ってフレンと一緒に会場へと入った
会場に入ると貴族の人達や国の偉い人達が楽しそうに踊っていたりグラスを持って話しをしていた
情報集めで色んな所のパーティーや舞踏会に忍び込んだ事があったけど、やっぱり帝都と言うだけあって他と比べると顔ぶれも華やかさも違った
そう思いながら歩いていると周りの声が聞こえだした
「あれはフレン殿」
「まあ、あちらの方は何方なんでしょう?」
「綺麗な方ですこと」
「何処のお嬢様でしょう?」
通り過ぎる度にざわつき話し声が聞こえる
「・・・私達、凄い注目されてない?」
「そうだね。ま、無理もないけどね」
「?」
フレンはそう言って小さく笑い、私はその意味が解らず小さく首を傾げていた
そして舞踏会も始まりフレンも色んな人と話し私の紹介もした
設定が設定な為か、フレンが私を紹介する度におぉっ!と声が上がる
そう声が上がるのも無理もないのかもしれないけど・・・ι
こういった場には情報集めで忍び込んだ事があるお陰なのか、それともフレンやエステルがいるお陰なのか、そんなに苦なく他の人達とも話す事が出来、色々と情報を集める事が出来た
「ふう・・・」
私は一息吐こうと思ってグラスを持ってテラスへと来ていた
「疲れたかい?」
突然聞き覚えのある声が聞こえ振り返るとフレンが私の方に歩いて来ていた
「ちょっとだけ。フレンは疲れてないの?」
「僕も少しだけ疲れてるよ。此処まで大勢の人と話した事はなかったからね」
「そっか・・・」
フレンの立場を考えれば大勢の人に話し掛けられるもの無理はない
しかも今の私は他国のお姫様でエステルの遠緑という設定だ
パートナーとしても騎士としてもいつも以上に私に気を遣っていたし、舞踏会の大半は話しをしていたのだから疲れるのも無理はない
そう思いながら夜風に当たっているとふと演奏が聞こえだした
この曲が流れだしたと言う事はこの曲がワルツを踊る最後の時間、そして舞踏会が終わりに近づいたと言う事だった
「・・・舞踏会、もうすぐ終わるんだね」
「ああ。けど、僕達はまだやってない事があるよね?」
「?」
何の事だか解らずに首を傾げているとフレンは紳士のようにお辞儀をして私の前に手を出した
「一曲踊って頂けますか、お姫様?」
「喜んで」
私は一瞬きょとんとしたが直ぐに微笑んでフレンの手を取って踊り出した
「リア、上手だね」
「ありがとう。そう言うフレンこそ」
「僕はエステリーゼ様や他の人達に教えて貰ったんだよ」
けど、これが会場の中だったら今みたいに上手く踊れているかも解らない
周りに人がいなくて、気持ちの良い風が当たっているからか、それとも踊っている相手がフレンだから安心して踊れているのかもしれない
そう思いながら私はフレンとワルツを踊っていた
*
「リア、今日は本当にありがとう」
舞踏会も無事に終わり、私達は部屋に戻る為に廊下を歩いていた
「私の方こそありがとう。楽しかったよ」
「僕もだよ。でも少し残念だな」
お互いにお礼を言っているとフレンは少しだけ残念そうな顔をしてそう言った
「この格好のリアが見られなくなるのは」
「///」
改めて言われなんだか照れくさくなって少しだけ顔を赤くするとフレンは小さく笑って、ある部屋の一室で止まった
「今日は此処で休んでくれ」
終わる時間も遅いからと言ってフレンとエステルが城に泊まる事を勧めてくれ、今日は此処にお世話になる事にした
「うん、じゃあお休み」
「リア」
「ん? っ!」
扉を開けようとしているとフレンに呼ばれ振り返ると、突然目の前に何かが覆い被さったが、それは直ぐに離れた
「お休み、リア」
フレンはそう言ってニッコリとして歩いて行った
「・・・・////」
私は顔を赤くして唇を抑えて暫くはフレンが歩いて言った方を見ていた
リアは部屋に戻り私服に着替え時計を見ると丁度0時を回った所だった
「もうこんな時間か。今日は疲れたし、もう寝よう・・・」
そう言ってリアはベッドに入って眠りについた
シンデレラの魔法は0時になると消えてしまう
リアのシンデレラとしての時間も0時を回ったと共に消えた
「今日一日だけだったけど、僕のお姫様でいてくれてありがとう、リア」
フレンは0時を回ってもそのシンデレラの事や今日の出来事を忘れる事も消える事もなかった
終わり
あとがき
フレン夢書いてみました
これは仕事してる時に冒頭の方が頭に浮かんで携帯にメモってたものだったんですが、思いの外長くなってしまったw
一応箱版連載後の話しと思って下さいw
にしても、今回もエステルが暴走してましたねw
エステル書きやすいし遊びやすいんだもんww
連載で良く絡ませてたり一緒に行動させてたからかもしれないけど、意外とアスラとユーリの絡みが書きやすかった
で、絶対にリアちゃんとフレンは周りの人達の目を惹かせて注目を集めたでしょうねぇ~vv
だからその分、フレンはリアちゃんの側を離れられなかったと思うけどw
一応甘目指して書いたけど・・・甘・・ かな・・・?
そうなってたら良いな! うん!
それでは此処まで読んで下さって有り難う御座いました!!
2009.09.06